Menu
 > レビュワー
 > すかあふえいす さんの口コミ一覧。35ページ目
すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41424344454647484950515253
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41424344454647484950515253
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41424344454647484950515253
>> カレンダー表示
>> 通常表示
681.  スティング 《ネタバレ》 
「テキサスの五人の仲間」が最高のどんでん返しならば、「スティング」は最高の計画通り。 騙される愉しみではなく、騙していく愉しみがスティングの魅力だ。 ユーモアたっぷりの犯罪映画。 ロイ・ヒルは「明日に向って撃て!」の方が好きだが、「スティング」もまた大いに楽しませてくれる傑作! 脚本の完成度で言えば「テキサスの五人の仲間」の方が上だが、純粋な満腹度で言えばやはり後年の「スティング」を俺は選ぶ。今回再見してみて一番印象が変わったのは、ポール・ニューマンの相棒を務めたアイリーン・ブレナンもとびきりの美人てほどじゃないけど場数を踏んだ女傑という雰囲気を前回見た時よりも強く感じた。キャサリン・ロスとはまた違った魅力を再発見できたのが嬉しい。 冒頭の見事な「詐欺」、一瞬のすり替え、ドライな殺し合い・・・動きで魅せる事にこだわったロイ・ヒルの粋な演出。 物語は1930年代のシカゴを舞台に、詐欺や賭博で生活を立てるフッカーの波乱に富んだ生活と復讐の物語。 各章ごとに区切る事でより盛り上がるストーリー展開、初っ端から金を騙しとるフッカーたち、その瞬間から全てのからくりが動き出す伏線のオンパレード。 賭博師・警官・マフィアの三つ巴、殺し屋、詐欺師、ボディーガードの三連装! 警官に殴られてもタダでは金をやらないフッカー。 警官・マフィアとの三つ巴の逃走劇は命のやり取りを楽しんでいるようにしか見えない。正に生きるか死ぬかの大博打。  フッカーを追うスナイダーの執着ぶり。 ここまで来ると「ルパン三世」に出てくる銭形警部のような愛着が湧いてくる。ある意味一番幸せな男だ。 ゴンドーフの詐欺師振りも凄い。相手がヤクザだろうが何だろうが度胸一番、酒は飲んでも飲まれずキッチリ大仕事。古女房ビリーとのコンビが面白い。 さあ今回最大の被害者となるドネガン。いやいやコイツは受けて当然の仕打ちよ。 命を取られた人間が一番の犠牲者なんだから。 なーに財布の50万$やら100万$なんざ軽い軽い(精神的に廃人になるだろうけど)。  ラストの締めも最高のエンディングだった。 「やっぱりそうなったか!待ってました、予想通りの最高の終わり方!」  本作は「騙される」のを期待して見る映画じゃない。 主人公たちがいかに仇を「騙して」金を巻き上げるかを見守る作品なのよ。主人公と仇の温度差をな。 そんな最高の映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:18:37)(良:2票)
682.  アンタッチャブル 《ネタバレ》 
ハワード・ホークスの「暗黒街の顔役(SCAR FACE)」の復活を予感させたパルマの傑作。同時にショーン・コネリーにとっても「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」や「王になろうとした男」に並ぶ最高傑作! 豪華なキャスト、オープニングから血が騒ぐエンニオ・モリコーネの神BGM、うごめく影と「The Untouchables(触れられざる者)」の文字。 アル・カポネがふんぞり返り髭剃りをするシーンから映画は始まる。記者の質問に対して「暴力はいけない」などとほざき、裏で部下に“見せしめ”として酒場に置き土産させて吹き飛ばすような男だ。 禁酒法時代、法権力を弄び警察すらギャングに手を出さずグルになる奴まで出て腐敗しきっていた時代。 そんな時代にある男たちが立ち上がり、巨悪へと挑む。エリオット・ネスの孤独な奮闘と空回り、それに応えるジム・マローンの男気と頭脳、凄腕の新人ジョージ・ストーン、殺る時は殺る簿記係のオスカー・ウォーレスも加わり4人、いや騎兵隊さながらのレンジャーたちの協力などもあり徐々にアル・カポネに迫る。彼等を突き動かすのはカポネに殺された少女の、酒場の、人々の声なき哀しみ、そして怒り。 そんな警察とギャングの死闘の巻き添えを喰らって死ぬ市民はもっと不幸です。 「戦艦ポチョムキン」をオマージュした駅での銃撃戦は正にそんな場面。 ネスとマローンが橋の上で出会うシーンからしてカッコ良い。素早く警棒をポケットに突きつけ腕を押さえるシーン。もしマローンがギャングの仲間だったら、ネスは懐に手を入れた瞬間に殺されていた。 「新鮮なリンゴ」を収穫する仲間集め、罵り合いの面接、マローンの殴り込み、西部劇を思わせる橋の上でのガンファイトと“死体蹴り”尋問、法廷と建物内における最終闘争・・・マッチで気付く仇、ネスが文字通り“落とし前”を付けるシーンはスッとする。その直前まで指で迷い、眼が泳ぎ葛藤を表す。撃鉄を戻す瞬間に伝わる悔しさ、殺し屋がネスに殺意を戻させる“一言”。裁判長が折れ弁護士すら裏切る瞬間は何度見ても最高。 警察側に暗殺者が迫る瞬間の戦慄。カポネからマローンへの“鎮魂歌(レクイエム)”。 駅での死闘は誰も母親を助けない、助けに入ったネスが犯人に気を取られ危うく赤子を殺しかける緊張。 ネスとカポネが正面から罵りあう姿は何処か憎めない。だってデ・ニーロのブチ切れ振りが凄いんだもん。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:15:37)(良:1票)
683.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
パトリシア・ハイスミスの原作、ヌーヴェルヴァーグのスタッフが多数終結した傑作スリラー。間違いなくルネ・クレマンの最高作だ。  海を走り飛び立つ飛行機 お洒落なOPからしてこれがヌーヴェルヴァーグの要素をふんだんに盛り込んだ作品であることが解る。撮影にアンリ・ドカエ!  机の上に敷き詰められたパンフレット、写真、絵の山、二人の男の会話から物語は始まる。  パンフレットの船、男たちが友情を深める船、事件が引き起こされる密室になる船。 盲目の男にぶつかり、謝罪の気持ちの金を払い、杖をとってしまい盲人の真似、彼らは車が絶対に止まると信じて車道を横切るのである。信じてはいるが、万が一車に轢かれて死ぬかも知れないというスリルも楽しんでいる。もう一人の男は女と遊ぶために盲人の真似ごとをする。  宝石に触るわ胸にさわるわ尻を叩くわやりたい放題、口づけは挨拶のように交わされ、それが少しずつ二人の男に亀裂を生む。 手に握られた戦利品、船上であんなに仲良くやってたのに…あの娘を自分の物にしたいという欲望が男に決断させてしまう。  海中に消えたはずの者が常にその存在を感じさせ、緊張を持続させる。ホテルで追っ手を撒く駆け引き。 隙をついて扉を開け、寝室で無防備に寝る女に近づく欲望。彼は焦らない。友人を虜にした女性、今度は自分がその女性を虜にしてやろう。それは自分を裏切った者への復讐でもある。慰めるのは過去を忘れさせて自分のものにするため。  ギターは投げ捨てられ、水着姿で手をつなぐことによって二人に肉体関係が成立したことを静かに物語る。 船が運んでくる無言の帰還者、「手」。  警官が、メイドが映画の終わりが近づいていることを知らせる。太陽をあおぎ、椅子に深く腰掛けて満足げな顔を見せる主人公。何も知らずに酒をあおり、店員の呼びかけに無垢な笑顔を見せる。  それを静かに見守る船によって、物語は締めくくられる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:14:16)
684.  赤い河 《ネタバレ》 
「リオ・ブラボー」がガンファイトなら、「赤い河」は人間ドラマの傑作。  牛、牛、牛。 見渡す限りの牛の大河。  西部劇というよりは、西部開拓時代に生きた人間たちの生き様を色濃く描ききった歴史ドラマ。 カウボーイは何故銃を持って戦ったのか?それは牧場を武装した他者から守るため。  アメリカに渡った開拓者たちは、そこに元々居住していたインディアンを押し流すように町や農場を作った。  生き残ったインディアンたちは当然報復してくる。  こちらも武装しなければ殺される・・・家族を守るため、新大陸で生き残るためカウボーイは誕生した。  開拓者たちは「侵略者」である前に「移住者」でしかなかった。  ヨーロッパで絶望し、夢と希望を抱いて命懸けでアメリカに渡ってきた。  弱肉強食の大自然・・・殺るか殺られるかの厳しき世界に。    8分目におけるコマンチの夜襲、牛の大群を追い立てるカウボーイたちの迫力、思わぬ仲間割れなど見所も豊富。  後半の山場であるコマンチに包囲された馬車隊の救出劇!   ダメなオッサンすぎて逆にカッコいいジョン・ウェイン、後半の主人公モンゴメリー・クリフトの男気、ウェインとは「リオ・ブラボー」でも名コンビだったウォルター・ブレナン爺さん、ジョアン・ミレーがエロイ等々登場人物も魅力的。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:10:14)(良:2票)
685.  椿三十郎(1962)
前作「用心棒」を上回る絶妙なアクションとユーモアスな雰囲気が融合した映画の真骨頂とも言うべき作品。  益々野性味を増した三十郎(偽名)が介入して巻き起こる大掃除もパワーアップ! ものの数秒で数十人を斬り捨てる破壊的な爽快感。 もう馬鹿みたいに一人で叩っ斬りまくる。 予告のあの「のほほーん」としたBGMすら「これはギャグ映画だから真面目に見るな」と言いたげだ。 それを迫力ある画質と音響で堪能できるとはいやはや何とも。  何より冒頭から一気に惹き込まれる。 寺で怪しい算段をする男たち、そこに何の前触れも無しに登場する三十郎は前作「用心棒」を先に見ておかないと味わえない雰囲気だ。 その三十郎が若侍たちを嗜め、たった一人で寺を囲む男たちを叩きのめす痛快さ。やたらめったら斬るのではなく、最初は鞘で“警告”する戦術。 「リオ・ブラボー」や「ペイルライダー」もその警告に始まり無駄な流血を避けようと務めるが、結局は血みどろの戦いを避けられない哀しみ。  そんな三十郎が暴力と周到な詐欺師振りを一手に引き受け、戦を知らない若き侍たちに人を斬らせないこだわりが良い。 白刃に輝く刀のような9人の若者。それを鞘に収めて成長していく人間ドラマも見所だ。  「用心棒」に比べると無茶な部分も多い(ラストのアレの量はギャグだろもう)が、そんなたまげた映画が「椿三十郎」だ。  意地でも他の奴を血で染めたく無いのか、問答無用で地に叩き伏せる三十郎。 室戸「おまえみたいな酷い奴は許せねえ」 もっと言ってやって下さい室戸さん。  それと、三十郎のセリフにある「金魚のウンコみたいにゾロゾロ来やがって」的なセリフ。 本当に井坂(加山雄三)と保川邦衛(田中邦衛)以外見分けが付かない(笑)。 後は黒澤映画で見慣れた広瀬(土屋嘉男)くらいか。 そこにお茶目な木村(小林桂樹)を入れて11人。 まるでサッカーのチームだ。 三十郎(三船敏郎)が司令塔兼フォワード兼後方兼・・・要は全部だな。 仕事ほとんどこの人だし。 そんで加山がキャプテンか? 正に「チーム男子」。 監督はモチロン睦田夫人(入江たか子)。マネージャーが千鳥(壇令子)。これがあの「赤ひげ」で井戸端を囲む茶気茶気した娘をやると誰が思ったであろうか?同一人物が演じているとは思えないくらいキャラが薄い。 おっと、腰元のこいそ(樋口年子)も捨てがたい。この娘がいなけりゃ「室戸半兵衛終了のお知らせ」伝説も始まらなかったわけだ。  それに振り回される三人の悪人も見所。 ・・・ん? 「銀嶺の果て(原題:山小屋の三悪人)」、 「隠し砦の三悪人」、 「悪い奴ほどよく眠る」の三悪人・・・アンタどんだけ3人組の悪役が好きなんだよ監督wwww。  そして最大の見所といえば、主人公に散々振り回されて部下も上司も全員獄所にぶち込まれて人生を台無しにされてしまう室戸半兵衛(仲代達矢)。 立場が無くなり三十郎との望まぬ「血闘」。 三十郎も心臓ごと叩き切って壮絶な最期をくれてやる。 何という被害者。 情報収集とはいえ若侍を生け捕りにしてくれたり、ちょっと悪ぶりながらも何かと三十郎を気遣ってくれるなど、人間としては物凄く良い奴だった。  仲代の演技力と貫禄も素晴らしい。 あの「卯之助」が旗本一番の剣豪に化けたもんだ。 本当に同じ役者が演じているとは思えないくらい演じ分けが凄い。 殆ど刀を抜かなくとも伝わって来る強者の覇気。 そして背中から漂う哀愁! 「鞘の中の刀」でもあり続けられただろうに、三十郎に果し合いを申し込んでしまったのが武運のツキ。 三十郎と同じように「抜身の刃」と化してしまった。 「切腹」の仲代もそうだが、極限まで追い詰められたからこそ、彼らは真正面から勝負を挑んだ。 意地でもあり、誇りでもある全てを賭けて。 役者ってのはこういうもんだな~とつくづく思う。
[DVD(邦画)] 9点(2014-01-25 13:00:11)(良:1票)
686.  泥棒成金
ヒッチコックファンには不評な本作ですが、「ヒッチコックの作品」として見なければ普通に面白い作品だと思うのですけど。「シャレード」が好きな私にはヒッチコックのコメディタッチや「めまい」を思い出す凄いカーチェイス等かなり楽しめました。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 12:57:46)
687.  メトロポリス(1926) 《ネタバレ》 
フリッツ・ラングが当時のアメリカの摩天楼に衝撃を受け、妻のテア・フォン・ハルボウと共に熱狂しながら構想した「メトロポリス」。   公開当時は「近未来」、今ではゴシック調のSFファンタジー・サスペンスとしての面白さがある。  当時のドイツ美術の粋を結集した美しさ、自らも脚本を手掛けた「カリガリ博士」を思い出す怪しげなロートヴァングの研究所、機械工場の爆発と押し寄せる水、街に放置された車の山の不気味さ、そしてアンドロイドマリアの誘惑によって狂気の渦と化す人の恐怖。   1984年に熱狂的なファンだったジョルジオ・モロダーが尽力して本作が再び注目され、  2002年にマルティン・ケルパーが映像をデジタライズ、  2010年に行方不明だったフィルムが発見され「完全版」として蘇った。   ゴシック調の摩天楼が居並ぶ近未来的な都市。   冒頭から力強い機械の描写、労働者と富裕層が完全に分断された格差社会が拡がっている。   そう、本編の主軸は鮮烈な映像だけではない。  中世の貴族趣味に興じる富裕層、  近未来のはずの都市に「複葉機」が飛んでいる事自体、富裕層の道楽ぶりを表している。  近代的な都市を闊歩する富裕層の下で、自らの力で機械を動かす労働者たちが蠢いているのだ。   どんなに機械が発達しようと、それを作るのは人間だ。  手塚治虫が本作に影響を受けた事からも解るように、機械を創れるのは結局「人間」なのだ。  人がいなければ機械は目覚める事も無い。   当然、人間も機械ではない。  超過勤務や過重労働で肉体は疲れ、精根尽きるまで死ぬまで働かされる。  これでは「奴隷」と同じでは無いか。   だが、奴隷になりつつある労働者たちも黙ってはいない。  「頑張ればきっと神様が助けてくれる」と神を心の支えにして必死に生きているのだ。  労働者を励ます少女の「マリア」は、天使聖母マリアの如く人々の拠り所である。   様々な人物模様がメトロポリスをきしませていく。   壮麗な未来都市、  丁寧な作り込みの美術、  魅力的な登場人物、  起伏に富んだストーリーなどなど、我々を飽きさせない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 12:54:42)(良:2票)
688.  情婦 《ネタバレ》 
アガサ・クリスティーよりもパトリシア・ハイスミスの方が面白いと思う俺は正直クリスティーの映画化作品はどれもハズレばかりという印象。 だが、ワイルダーのこの「検察側の証人」はクリスティーの傑作短編群にも引けを取らない、数ある映像化(ドラマは除く)の中で唯一と言っていい傑作! 俺個人はワイルダーといえば「深夜の告白」や「アパートの鍵貸します」だけど、この作品も一気に引き込まれるし何よりチャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターといった面々のやり取りがとにかく楽しくて面白い。 ワイルダーの映画って狙いすぎててイマイチ笑えないのだけど、この作品は冒頭から笑いっ放しだった。 裁判の幕が上がるようなオープニング、そこに向う役者を揃える様に一人ずつ登場人物が姿を現す。 老練な弁護士ウィルフリッド、それを何かと心配する看護婦のミス・プリムソル、ウィルフリッドを助けるブローガンムーア、殺人の疑いをかけられるレナード、そして謎の女であるクリスチーネ。 ウィルフリッドとプリムソルが夫婦喧嘩(チャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターは何度も共演するガチの夫婦)をしながら車で事務所に向う場面。二人が喋るだけで楽しくなってくる。階段のリフトを見て子供のような表情を見せるロートンが面白い。このリフトのやり取りだけでも見ていて飽きない。 ところどころ伏線としか思えないセリフばかり。 何?マッチがない?君は悪い奴だ、え?ライターはある?君は良い奴だよ・・・都合良いなあ本当。 やっと退院しかたかと思えば山ほど来る依頼に口うるさい看護婦。葉巻もロクに吸えない、杖に仕込んでまで吸おうとするヘビースモーカー。 そんな彼を動かしたのはその葉巻だった。ポケットの葉巻を見て飛びつくウィルフリッド。葉巻目当ての依頼承諾がとんでもない事件に発展していく。その葉巻を「あ、そうだった」と思い出したかのように返すウィルフリッド。嫁にバレたらマズい。 モノクルの“光”で心理分析、法廷でもウィルフリッドの薬で経過時間を表現したりと単なるセリフ劇に終わらせず一切退屈させてもらえない面白さ。 レナードとクリスチーネの過去も面白い。コ-ヒー1杯飲むためにキスを繰り返す“楽しい取引”、タバコとガム、ベッドにダイブで天井崩壊、ディートリッヒの生脚。 ダメ男を助けるための大芝居、そんな尽くす女を裏切るかのような二重三重の大どんでん返し。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-22 00:26:30)(良:1票)
689.  北北西に進路を取れ 《ネタバレ》 
展開が早く緊張の連続でまったく飽きさせない、「三十九夜」のアメリカ版とも言うべきスパイ映画の傑作。  今見ても面白いヒッチコックの高いアクション性は見れば見るほどその面白さにハマる。  カッコイイOP、交差する線、ビルに映る車、人の群、バスに乗り損ねるヒッチコック、エレベーターから降りてくる人々、仕事の話、タクシーによる移動は「めまい」のジリジリとした追跡のスリルを思い出す。  5分を過ぎたところでケイリーを睨み付ける謎の男たちの登場、勘違い野郎ども、早回しによるスリルの倍増は「裏窓」のクライマックスから受け継がれる、当然ドアは開かない、謎の屋敷、見張り、身に覚えのない「罪状」が襲い掛かる恐怖、油断したところに恐怖が襲い掛かるスリルがヒッチコック映画の魅力。  眠らされて起きたら車が猛スピードで走ってて死にかけるとか(スクリーン・プロセスによる見え見えの合成なのが残念)、ふと横を向いたら飛行機がつっこんで来て殺されかけるとか、勝手に殺人犯にされたり、スパイにされたり、列車で謎のワケあり美女に出会ったり行く先々でトラブルが待ち受ける。  暗闇、崖、波しぶき、うつろな眼で暗闇を走り続ける、追突事故、撮られてしまった写真、警察、殺し、スパイ、二重三重に追われる、寝台、サングラスはかけててもあまり効果がないので砕け散る。  何もない平地、通り過ぎる車、砂埃、画面に奔る緊張、いつ何処から何が来るのか解らない恐怖が不気味な唸り声をあげて襲い掛かる! 安全地帯を探して走る走る走る、頭を抱えてやり過ごさねばならない、もうもうと吐き出される煙、トラックのオッサン涙目、野次馬は男の逃走手段を路上に止めに来る。  暗闇に映るかすかな明かり、たった一人で乗り込む緊張、音、銃、像、登る、血、ハンカチ、マッチに託すメッセージ、影、思わぬ「鏡」、出来る家政婦、銃撃! 閉所の緊張から断崖におけるスリルへ、巨大な像の群、小さな閃光の揺らめき、叫び、踏みにじられる手、人の命、断崖から“旅立ち”への生還!  最後まで気が抜けなかったぜ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-22 00:18:59)
690.  エデンの東(1955) 《ネタバレ》 
ジョン・ スタインベックの原作を映画化。 原作は聖書の英語訳版である「欽定訳」と「アメリカ標準訳」の異なった訳を比較し、登場人物たちに新しい解釈をさせようという狙いを含み親子3代に渡る葛藤と苦悩を通して家族愛を描いていく。 本作は一人の少年の青春を軸に描かれる。 大戦の暗い影が差す1917年のアメリカの片田舎を舞台とするエリア・カザンの「エデンの東」は聖書の一節を元に、 一人の女性をめぐって対立してすれ違っていく兄弟、 母親の真実、 父親との確執、 「許されざる恋」が「許される恋」へと変わる瞬間、そして親子の絆。 聖書のアダムの如く東の街へと逃れてきた父親。 今度はその息子も兄と対立し逃げようとしている。 そこに訪れる救い。 現実と向き合い、真っ向から取り組む道を進むことを決める主人公。 相手の誠意が自分を傷つけ、自分の行いが相手を苦しめる・・・そんなすれ違いを丹念に描き、決裂し、修復していく・・・。 父と和解し救うことが出来たキャル。 まるで天から見守られるように穏やかな締めくくりを迎える。  が、唯一決別したままとなってしまった兄のアロン。 劇中では彼の行く末は語られない。 原作のラストにしても、誤解が生じ互いに心に傷を負わせ、それが修復しない内に悲劇が訪れる。 傷心しきった兄の心同様、キャルの心にも傷が残るもう一つの結末が暗示されている。  
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-22 00:17:08)
691.  雪国(1957)
川端康成の原作を忠実かつ最高に美しく描いた作品。 豊田四郎は原作の雰囲気を映像で再現してしまう反面、原作で問題視された個所(たとえば医術の間違った知識など)もそのまま再現してしまうためしばしば批判の対象にされてきた。  この「雪国」もラストの衝撃的な結末をありのままに再現してしまった。  しかし、川端康成が描いた幻想的な雪原の美しさをここまで映像化した監督は豊田四郎だけだろう。 白黒の映像だからこそ映える白と黒の濃淡。  原作から引き継がれた難解さは何度見てもよく解らない。 原作でも言明されなかった「それ」は未だに謎だ。 だからこそ様々な解釈が出来るワケだし、それを映像で堪能できるのなら映画にする意味があると思う。 感じ方は人それぞれだ。  恋心に悶える岸恵子の演技が素晴らしかった。
[DVD(邦画)] 9点(2014-01-21 23:59:56)
692.  わが谷は緑なりき 《ネタバレ》 
フォードの西部劇の最高傑作が「リバティ・バランスを射った男」「捜索者」だとすれば、人間ドラマの最高は「怒りの葡萄」「静かなる男」とこの「わが谷は緑なりき」!  炭鉱の街に生きる人々の家族愛と絆を描いていく。  炭鉱作業の描写は終盤まで挿入されない。  それはススだらけになった男たちの顔が物語るし、主人公が成長する過程で挿入される。  そう、本作の視点は子供の主人公の眼だ。  大家族の末っ子として生まれた主人公。  炭鉱でたくましく働く兄弟たちへの憧れ、様々な出会いと別れを、幼い眼に焼き付けていく。  ストライキ、孤独と戦う父、一喝する母親の強さ、一人また一人去っていく兄姉弟たち・・・主人公も勉学に励み、知る人間のいない学校で戦った。  殴られたら殴り返す。  大人が手を出したら大人が倍返しだ!  フォードの暖かい人間ドラマがここに詰まっている。  燃え盛る炭鉱に何のためらいもなく助けに向かう男たち。  「果てなき船路(果てなき航路)」でジョン・ウェインを助けに行く水夫たちに通じる熱い魂。  どんな逆境でも懸命に生きる男たちは、何時の時代もカッコイイ。  それを見守る母親、女性たち。  牧師も拳闘士も関係ない、みんな一人の人間だ。  ラストは悲しくもあり、温もりもある締めくくり。  家族の魂は主人公の心の中に生き続ける・・・そんな映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-21 23:57:55)(良:1票)
693.  ベン・ハー(1925)
シドニー・オルコットの15分の短編映画に続く映画化。 冒頭のイエス=キリストの誕生から静かに始まり、メッサーラとの確執、壮絶な海戦、どん底からの脱出、ジュダへの復讐、そして母と妹との再会・・・。 徐々に盛り上がり山場を突破し、静かに幕を下ろしていく物語。 山場となる海戦と戦車戦の迫力は凄い。 船底の奴隷生活から脱出するジュダ。 オールの穴から覗く残された者たちとの対比・・・。 ワイラーの海戦は合成がショボくて残念だったが、本作は生の人間同士の斬り合いで迫力満点だ。音のない世界から轟音が聞こえてきそうな破壊力。 流石に戦車戦はワイラーが最強だが、本作の戦車戦の迫力もワイラーの破壊力に引けを取らない。  復讐に染まりそうになるジュダだが、命の恩人である「イエス=キリスト」との再開は彼の心をなだめ、母と妹、ジュダの体と心から苦しみを洗い流していく。 それはイエスが起こした奇跡か。 それともジュダが呼び込んだ奇跡か。 とにかくジュダはユダヤ人の誇りを貫いて戦い抜いた。 それがこの映画。  
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-21 23:46:56)
694.  シャレード(1963) 《ネタバレ》 
純粋な娯楽として大いに楽しめる傑作サスペンス。  ヘップヴァーンのサスペンスと言えば「暗くなるまで待って」も面白いのだが、やっぱり「シャレード」の方が楽しくて好きだったりする。 なにしろ「北北西に進路を取れ」のケイリー・グラントのコミカルなキャラクターが楽しい。  ヘプヴァーンとグラントのやり取りは本当に飽きない。 疑心暗鬼が薄れたり高まったりの繰り返しもドラマを盛り立てる。 地味にジェームズ・コバーンまで出ているのも忘れがたい(当たり前だけど若っけえ)。  冒頭からセンスの塊のようなオシャレなオープニング、ヘップヴァーンの颯爽とした登場シーン。神オープニング。  今回のヘップヴァーンは色っぽいなあ。 オレンジを取るエロイ「ゲーム」で見せる艶めかしさ、パジャマ姿で髪を後ろに結ぶヘップヴァーンの可愛さ。  ストーリーは真犯人をめぐって様々な関連人物が登場するが、一人、また一人と消えていき最も信頼していた男にも裏切られるような展開はハラハラドキドキだ。 でもドーネンのユーモアに溢れた演出であまり殺伐とした空気はない。 なのに一切ダレる事なく楽しんでしまった。  ラストの劇場におけるクライマックスも面白いアイデア。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-21 23:33:56)
695.  イヴの総て 《ネタバレ》 
実在した女優エリザベート・ベルクナーをモデルにリアルなブロード・ウェイの舞台裏、女優たちの熾烈な女の戦いを淡々と描く。  「アクションや時代劇好きには退屈」という評判を聞いていたのだが、そんな事はない、上々の作品だった。 確かに冒頭こそ説明ばかりで退屈になるかと思ったが、イヴの巧妙な手口にドキリとして一気に引き込まれてしまう。  イヴの過去、心を許していく映画関係者、着々と親密になるイヴ・・・だがそれは総てイヴの「仮面」だった。  徐々に本心を表していくイヴ、イヴの様子に疑念と嫉妬を燃やすマーゴ、板挟みになる作家の妻カレン、イヴに思うまま操られるロイドやマックスといった作家たち、新聞記者を通して行われるメディアリテラシー・・・彼女たちは劇中で映画の登場人物だとか、スクリーンや劇場で何かを演じる姿を見せない。  何故なら既に「イヴ」という手の中でそれぞれの役を演じているからだ。  セリフが多いのも「イヴの総て」が舞台劇だという証であり、その中で嘘の電話をして不気味な笑みを浮かべるイヴの姿、イヴの部屋に突然横たわる「来訪者」を我々にだけ見せる映画的な演出がギラギラ光り面白い。  とにかくベティ・デイヴィスとアン・バクスターの騙し合いのようなやり取りが面白くて飽きない。  それに利用される者筈の者が実は利用者だった事が判明する新聞記者ドゥイットの存在。  コイツが一番の食わせ物だった。  一番の弱みを握っていたのはこの男であり、イヴをさらに巨大な掌で転がす事に成功したのはドゥイットなのだ。  何だジョージ・サンダースよ、ヒッチコック映画の時より有能じゃないか(多分褒めてる)。 それとマリリン・モンローが普通に別嬪でワロタ(当たり前だけど)。 個人的にモンローは主役をやっている時よりも脇で原石としてキラキラ光っている時のほうが可愛いと思っていたりするのです。  ラストの「新しいイヴ」が誕生する瞬間・・・怖い映画だ。 ちなみに本作のリメイク「ショーガール」は色んな意味で凄まじい事になっています(ゴールデンラズベリー賞6部門制覇)。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-20 16:30:07)
696.  ショーシャンクの空に
スティーヴン・キングの小説「恐怖の四季」に収録された「刑務所のリタ・ヘイワース」が原作。 スティーヴン・キングらしい「人間賛歌」と「不気味な宝探し」に溢れる。 原作のタイトル通り、リタ・ヘイワースやマリリン・モンロー、ラクウェル・ウェルチのポスターの使い方の巧さ。 その時代時代を代表する女優であり、世間から断絶された刑務所の時間経過をより解りやすくしている。 彼女たちが隠す「秘密」も大きな伏線となってくる。 所々に散らばった伏線、人間賛歌のヒューマンドラマから巌窟王になっていく切り替えの面白さ。 憎悪を超えた「理解」と「反撃」の数々。 冤罪によって収監された主人公のアンディ。 博愛主義でも偽善で物を言う男でもない。 いつも他人のために悩み、怒り、戦った。 ただ単に安らぎを求めていたのだから。 どんな暴力にも屈せず、望みを捨てずに懸命に生きる姿、古株のレッドやブルックスといった個性豊かな囚人たちとの心の交流。 最後の最後まで生きる事に執着した人々の人間賛歌も心地良い。  ティム・ロビンスの野心が見え隠れする奇妙で魅力な人物像、 モーガン・フリーマンの温かみのある演技。  同時期に「フォレスト・ガンプ/一期一会」、「パルプ・フィクション」、「スピード」といったキワモノ映画(大賛辞)のオンパレードに飲まれた不遇。 その中でもこの映画は最もおとなしく、最もパワーを爆発させた映画では無かろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-20 16:19:49)(良:2票)
697.  三つ数えろ
フィルム・ノワールの傑作。ボガート&バコールの黄金コンビ。 「脱出」ほどじゃないが、二人の息の合ったコンビはやはり見もの。  私立探偵フィリップ・マーロウが複雑怪奇な事件の真相を探る話だが、正直言ってワケが解らない部分も多い。  「あの男」の死因やチャイナ・ドレスに身を包んだ女性と次々にファム・ファタールに化ける女性たち、二転三転する下手人・・・つうかどんだけ女性出てくんだよ(オマケに全員別嬪という)。  だがサクサクテンポ良く進むストーリー、マーロウと美人揃いな女性陣とのウィットに富んだトーク、ボガートの書店での見事な“演技”と飽きがまったく来ない。  ドラマだけでグイグイ魅せてくれる面白さ。  受話器のやり取りなんか「どっちがかけたんだよ」と腹を抱えて笑ってしまう。頼むからこれ以上ややこしくしないでくれ(笑)。   真相に近づくマーロウだが、マフィアとの銃撃戦も見事。  ボガートのスピーディーなアクションが炸裂する!   特に終盤の銃撃戦の二段構え。  三つどころか二十秒の緊張、ファム・ファタールとの見事な「だまし討ち」、屋敷における駆け引き・・・うーむ130分という長さをまったく感じなかった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-20 13:21:30)
698.  リオ・ブラボー 《ネタバレ》 
もう何から何まで粋な西部劇。  西部劇のガンファイト、人間ドラマの練り方が巧みな王道中の王道。  とにかくファースト・シーンの「逮捕劇」が秀逸!  セリフをほとんど発さずに全てを物語る出だしの見事さ。  あの男が酒場に入った瞬間から既に「罠」を張ってたわけだ。  まあ詳細はこの映画を見て味わって下さいな。  ファースト・シーンからしばらくは主要人物のたちの紹介とウィットに富んだ保安官たちの日常生活。  仕事人間のドジッ子保安官「ジョン・T・チャンス」、  酔っぱらい助手(真のヒロイン)の「デュード」、  発砲ジジイ「スタンピー」、  そして最強の切り札「コロラド」。  保安官たちは厳重な警備を敷く。  銃を外させ、絶えず眼を光らせる。  人数が少ないからこその厳重さ、甘く見ると瞬く間に返り討ちに出来る万全の体制。  「拳銃に手を出したいか。待ってるぜ。」  この好戦的で粋なセリフが全てを物語る。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-20 13:18:42)(良:1票)
699.  赤線地帯 《ネタバレ》 
世間では評価の低い今作ですが、私には「山椒大夫」や「雨月物語」よりもずっと残酷で恐ろしい作品です。そりゃあ「夜の女」に比べると人物の掘り下げや辛辣さは無いですが、テンポの良いストーリー、一見軽快に振る舞う女たちが背負う心の闇。若尾文子のように成功を収める狡猾な女もいれば、木暮実千代のように出来てしまった子を育てるのに奮闘する女、息子に愛情が伝わらず絶望・発狂する女、と様々な女の栄枯渇水をまざまざ見せつけられます。56歳にしてこれほど若いエネルギーに溢れる作品。もっと面白い、もっと凄い映画を撮ったかも知れない・・・そう思うとこの作品が遺作として人々に記憶されるとは皮肉にも感じられます。ああ・・・もっと見たかった・・・こういう溝口映画を・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-01-20 13:13:28)
700.  雪夫人絵図 《ネタバレ》 
これは隠れた傑作でした。 テンポも良いし展開もぐるぐる切り替わる密度。当時これほどの傑作が評価されなかったのが不思議でならない。 これだけの完成度、しかも木暮実千代と久我美子ですよ?  最高に私好みの作品じゃないですか・・・(「新・平家物語」のおっぱいもたまりませ(ry)  確かに溝口作品にしては斬新とも言える内容ではある。ただ、この作品から感じられる官能的で優美さのある見事さ。 木暮実千代が色っぽい。最高に。 直接的な描写がなくともここまで艶を感じさせる演技、そして溝口の演出。  旧華族制度の崩壊、二人の男の間で揺れる煮え切らない女心・・・全てに絶望したラスト・・・後の「山椒大夫」のようなキレイな映像でした。   風呂場のお湯と白いタイルのように希望に満ちていた彼女は、度重なる不幸を目の辺りにしていく。彼女は深い水の底での安らぎを選んだのかも知れません。  まるで兄の身を案じて湖に身を投げた「山椒大夫」のあの妹のように・・・ただ後の彼女には微かな希望がありました。「私が死ねば兄は楽になる」と。そんな希望すら雪には無かった。 うら若き乙女を死に追いやる溝口の残酷さ、ただそこには若さゆえの儚さ、美しさがある。
[DVD(邦画)] 9点(2014-01-20 13:04:47)
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
600.00%
700.00%
829828.46%
971868.58%
10312.96%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS