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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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701.  地球が静止する日 《ネタバレ》 
オバマ次期大統領が「change」と言って、人々がそれを信頼するのは本当に実行してくれるという期待があるからだろう。 本作にも何度も「change」が連呼されているが、生き残るためのただの苦し紛れの言い逃れにしか聞こえない。「change」と言うのは簡単だが、人々はそう簡単には変われない。「change」をするためのevidence(証拠)を明らかにしないと、宇宙人はそれを期待できないのではないか。 本作には、宇宙人が納得できるevidenceが何も描かれていない点でマイナスだ。 「地球が静止する日」というものは、人類によって行われるべきものではないかと個人的には考えた。人類が、地球や環境のために、クルマを乗ることを止めたり、工場を停止したり(地球最後の日を迎えようとしているのに働いている人がいるというのは変な話だが)、地球に負荷を一切掛けない日を設けるといった人類の「change」のevidenceを描くべきではなかったか。 現実には無理かもしれないが、映画の世界だからこそ、地球のためにできる人類の理想を描いて欲しかったところだ。 本作を見て、地球のために何かをしようと思う者がいるだろうか、恐らくいないだろう。そういう意味において、本作のメッセージ性はかなり弱いと考えられる。したがって、評価はしにくい映画だ。 最後の球体に対する総攻撃も全く意味不明な流れとしか思えない。 あれでは人類は「change」をしないということを、声を大にして宣言しているようなものだ。あの爆撃を食らって、クラトゥが人類を滅亡させないという選択をする意味が分からない。キャシー・ベイツも多少は苦悩していたようだが、攻撃命令を下す大統領をむしろ説得するくらいの「change」を見せて欲しかった。何のために、大物をキャスティングしたのか分からないキャラクターになっている。 また、宇宙人が感心した“人類の素晴らしさ”という面も弱すぎる。 バッハの素晴らしい音楽という文化的な面、親子の愛情という感情的な面が描かれているものの、あの程度では宇宙人は「change」しないだろう。 未知なものや相容れないものを恐れる人類の“弱さ”や破壊的で利己的な面を描くとともに、自己を犠牲にしても助け合うような姿や愛や絆などの人類の“強さ”をもっとアピールして欲しいところだ。 ただの壮大なSFだと思っていたのに、意外と泣けたり、感動できたりするようなオチにもっていけると評価は高まっただろう。
[映画館(字幕)] 4点(2008-12-20 23:24:59)(良:2票)
702.  ソウ4 《ネタバレ》 
Ⅰ~Ⅲまでは是非はともかくとして、そのアイディアには毎度唸らされてきたが、Ⅳははっきりいってすっきりしない。ラストのオチが分かっても、「それで・・・?」という感想しか出てこない。新たな後継者の謎や動機を明かさないままで終わるというのは、続編で描くという魂胆がミエミエであり、あまり好ましい手法とは思えない。 また、ジグソウの哲学やゲームもどこかへ消えてしまっているようにも思われる。 マシューズ刑事は一度ゲームに失敗しているが、自己の脚を犠牲にして部屋から抜け出しており、ジグソウの理念に則れば、ゲームにクリアした者ではないのか。 ゲームをクリアしたのに、再びゲームを手伝う弁護士など、単なるゲームの駒にされており、私怨的な面が多数描かれているのが残念だ。おかしな方向に複雑化してしまい、Ⅰのような面白いアイディア一つで乗り切った勢いが吹っ飛んでしまっている。悪い意味で洗練されてしまった感がある。 本作で製作者が狙った仕掛けとしては、①時間軸のズラシ方(前作Ⅲと同時進行している)、②黒人SWATに課せられた「助けようとしなければ助かる」というゲームだと思うが、この二点はどちらもⅡで似たようなものが描いており、焼き直し的に感じる。 冒頭にジグソウの解剖を念入りに行い、「ジグソウは死んでいる」と観客をミスリードさせるという製作者の狙いは評価できるが、上手くそれを活用できていない。 ⅣがⅢと同時進行的に起きているというネタの効果が薄かったのではないか。 ネタが分かっても、それほど衝撃がなかったように思われる。どうせ時間軸が異なるのであれば、生きたジグソウを黒幕として再び登場させた方がまだオチとしては面白かった。 黒人SWATに課せられた「助けようとしなければ助かる」というゲームについても、ゲームをさせることの趣旨、効果が薄い気がする。 黒人SWATにゲームを経験させて、ジグソウと同じ考え方を身につけさせ、後継者に仕立てるという目論見などが感じられず、中途半端な仕上がりとなっている。 「刑事としては人を救えない(裁けない)」が「ジグソウとしては人を救える(裁ける)」というメッセージをもっと込めてもよかった。 Ⅲまでが一つの区切りであり、Ⅳはもっと大胆に変更を加えるべきではなかったか。 新たなゲームやルールを描いてもよかった。同じ人間が何度も出てくるのは、世界観が狭すぎる。
[映画館(字幕)] 4点(2008-11-30 02:29:32)(良:2票)
703.  ゲット スマート 《ネタバレ》 
「コメディ」と「アクション」を融合させた新しいタイプの映画だとアメリカ公開時から期待しており、きっと期待通りに楽しませてくれるはずと思っていたが、思い描いた作品ではなかったというのが正直なところだ。 肝心の“笑い”の部分が個人的に全くハマらなかった(楽しめなかった人は少数なので自分が例外と思われる)。 「飛行機内で大男をみたときのリアクション」「トイレ内の格闘」「デブ男を倒したあとの監視役の勘違い」辺りはよかったが、全体的にはあまり笑えなかった。 要するに、“飛行機のシーン”がピークであり、あれ以上おいしいシーンを作れなかったのが問題ではないか。 ビル・マーレーの出演シーンでサムいと思ったのは、自分だけだろうか。 ただ、基本的にはコメディというほど“笑い”には執着していないのではないかとも思われる。 冒頭にスマートが何枚もの鉄の扉を開けるシーンがあったと思う。 たくさんの書類を手に持っており、いくらでも笑いのネタが詰まっているはずなのに、何の笑いを取ろうともしていない(何かありそうで結局何もないという高度なテクニックではまさかあるまい)。あのシーンを見て、「ちょっと様子が変だ」と思っていたが、その危惧はどうやら当たったようだ。 コメディとアクションのバランスを欠いており、あまりにも真面目に取り組みすぎてしまったように思われる。 「コメディ」を見ようと思っていたのに、全く予想外のものを見させられたら拍子抜けしても仕方がない。 いい意味での裏切りが功を奏する場合もあるが、自分にはいい裏切りにはならなかった。 本作のように「コメディとしても中途半端」「アクションとしても中途半端」「スパイモノとしても中途半端」「ラブストーリーとしても中途半端」という中途半端な映画は個人的には好きではない(逆に、いろいろな要素を堪能できるので、その点を好む人もいるだろう)のも楽しめなかった理由のひとつ。 また、主人公の設定が、エージェント合格レベルの能力を持ち合わせているという時点で“笑い”を取るというつもりがないのではないか。 エージェント試験に何度も落ちている奴が、急場しのぎで即席エージェントに仕立て上げられ、素人ならではの手法で事件を解決するというのがコメディの“王道”と思う。 失敗は多いが、普通の優秀なエージェントが活躍する映画ならば、スティーヴ・カレルが演じる必要はあるのか。
[映画館(字幕)] 4点(2008-10-25 19:56:54)(良:2票)
704.  20世紀少年 《ネタバレ》 
原作未読。1ページも読んだことはない。 浦沢直樹原作のため、公開前から気になっていたが、鑑賞がかなり遅くなってしまった。その理由は本作が堤幸彦監督作品だからである。彼には才能があると信じていた時期があった・・・。しかし、最近の作品は中途半端でどうしようもない駄作を連発し、まるでやる気を感じられない。 1%の期待もかけずに駄作を見に行くという覚悟で本作に臨んだ。 まったく期待していなかったためか、中盤までは意外と面白いと感じた。 「へぇ~、堤もマトモなものを作れるんだな」と安心していたが、コンビニが全焼した辺りから、徐々におかしくなっていき、最後には「堤、映画作るのやめやがった!」というほと酷い展開になっていった。 「こんなのロックじゃねえ!」というセリフがあったが、まさに「こんなの映画じゃねえ!」と言いたくなる。 中盤まで比較的丁寧に作っていたのに、なぜ肝心の終盤で手を抜いたのかが理解できない。 最後の展開は映画ではなくて、単にストーリーを展開させただけのもの。 あらすじを切り取って、紹介しているようなものであり、“長い予告編”を見させられた想いだ。 キャラクターの心情など何一つも伝わってこない。 唐沢以外のキャラクターはほとんど人形でもいいと思えるほど、死んでいる。 原作の雰囲気が全く分からないので、妥当かどうか分からないが、“友情”辺りのキーワードを基にストーリーを再構築してもよかったのではないか。 長い原作をそのまま描こうとするのは、映画作りとしては素人の発想。 堤も中盤まではその辺りは分かっていたと思うが、最後には放り出した。 単なるあらすじの紹介ならば、映画など見ずにマンガを読んだほうがいい。 本物のプロならば、いくら長い原作であっても、上手く調理して一本の映画として満足できるものに仕上げられるはずだ。 作品に対する情熱がやはり全く感じられず、これではプロフェッショナルの仕事とはいえない。 「原作より映画の方が面白い」と言われてこそ、プロというものだろう(原作は全く知らないけど)。 ただ、ストーリー自体は面白いと思う。 続きのストーリーを知りたいとも思う。 しかし、ストーリーが面白いからといって、「映画が面白い」「映画の質が高い」とは決して言えない。 感情が揺り動かされないと高い評価はできない。
[映画館(邦画)] 4点(2008-10-04 01:43:09)(良:1票)
705.  ショーン・オブ・ザ・デッド
高評価されている作品のため、期待していたが、全然合わなかった。 一言でいえば、あまりにも真面目すぎるのではないか。 この程度の中途半端なゾンビ映画をみても面白くもなく、もっとパロディや笑いを前面に押し出した方がいいと感じた。 ハリウッドのゾンビ映画と比較しても、大きくは差がなく、それほど個性的には思えない。 面白いのはクイーンの曲に合わせて殴るくらい。 ああいうノリが全体的には足りないのではないか。 
[DVD(字幕)] 4点(2008-09-02 20:22:45)
706.  インクレディブル・ハルク(2008) 《ネタバレ》 
アン・リー版から方向転換を図り、アクション重視にすることについては、戦略的に全く問題がないと思う。 「ハルク」になったプロセスをものの数分で描いたのは、アン・リー版の反省がみてとれる。 ただ、これではあまりにもストーリーをないがしろにしすぎではないか。 本作は「軍隊に追われていた男と、暴走した一人の軍人が、化け物に変身して戦う」というストーリー以外に何もない。 本当に、ノートンがリライトしたのかというほど、つまらない脚本となっている。 彼が手を加えたのならば、ひょっとして間違った方向に手を加えたのではないか。 アクションなのだから、深いストーリーは要らないのかもしれないが、肝心のアクション自体も画面に釘付けになるほど立派なものではなく、全く楽しむことができなかった。 「ボーン」シリーズ、「キングコング」辺りのネタを拝借しているようにも感じられ、つまらないと言われるアン・リー版の方がむしろ個性を感じられる。 アン・リー版のジャンプ時の浮遊感は必見だ。 肝心の化け物同士の戦いも、一方が圧倒的に優勢だったのに、訳の分からない地味な必殺技一発で形勢逆転するというつまらない描き方には呆れた。 逆転の仕方や、必殺技など、バトルシーンにもうちょっと工夫があってもいいだろう。 また、ノートン、タイラー、ティム・ロスといった役者の個性も全く活かすことができておらず、誰に対しても共感できるものではなかった。 三人のそれぞれの感情が、あまりにも伝わってこないのは評価できないポイントだ。 本作の唯一の見所は、「ハルクが中和されて素の人間になりかけた」というシーンではないか。 その見所をヘリコプターから飛び降りただけで終了というのはあまりにもヒネリがなさ過ぎる。 「ハルク」は怒れるオトコなのだから、もっと“怒り”に着目して欲しい。 いったんは中和されて、心拍数200を超えても変身しないが、彼の怒りが頂点に達したときに再び緑色の化け物になるというのが当然のスジではないか。 そのために、タイラーという存在がいるのだろう。 彼女が殺される(変身できない彼をかばって死ぬのが悪くない描き方)、もしくは彼女の身に危険が迫ったときに、怒りで我慢できなくなって再び変身するという描き方はできないものか。 重厚感がなく、何もかも薄っぺらく感じてしまった。
[映画館(字幕)] 4点(2008-08-16 13:58:08)(良:2票)
707.  カンフー・パンダ 《ネタバレ》 
画像だけ眺めていれば、それなりに楽しむことはできる。ただ「CGスゲエな」「パンダ強いな」「○○カッコいいな」「○○カワイイ」程度の感想しか持ち得なかった。 子ども向け作品とはいえ、もうちょっと味付けが必要ではないか。 あまりにも薄味すぎて、物足りなさを覚えた。 シーフー老子とポーの関係と、シーフー老子とタイ・ランの関係をもうちょっと対比させてもよかったかもしれない。 自分の弟子でもあったタイ・ランを信じ切れなかったので彼を悪の道に走らせてしまったが、ポーを信じ抜くことができたので、ポーも変わることができ、自分も変われたという落としどころのようなものが必要だったかと思われる。 シーフー老子とタイ・ランの関係は、甘やかして育てる現在の家庭のようなものにも通じる。 甘やかすのが本当の愛情ではなくて、自分を信じてもらい、厳しくされることが本当の愛情のようなメッセージを込めると、本作を見た子どもと親にとって何か得られるものがあったのではないか。 子ども達の可能性のようなものを信じることができるというメッセージを込めれば、本作は傑作になりえたかもしれない。 シーフー老子は、弟子を信じるというよりも、自分の師匠であるウーグ・ウェイ導師のことしか信じていないような気がするのが引っかかった。 また、「特別なことは必要ない」というメッセージも上手くは落ちていないのではないか。 「強くなること」「おいしい料理をつくること」どちらにも早道や抜け道はない。 現在の子ども達に送るメッセージとしては、「スポーツが上手くなること」「アタマが良くなること」のようなものに通じるだろう。 何事にも特効薬や魔法の力のようなものはなく、地道な努力が必要ということになる。 そう考えると、ポーが「特別なことは必要ない」と気付くのはもうちょっと早い段階でもよかった気がする。 タイ・ランもマスターファイブももともと強かったわけではないのだから、現在は雲の上のような存在であっても、自分が努力すれば彼らに近づけるはずというメッセージに繋がるはずだ。 今がどんなにダメであっても、諦めなければ雲の上の存在にも一泡吹かせることができる。そのためには、血と汗が滲むような訓練が必要ということになり、訓練の意義が活きてくる。 強くなるための近道は訓練や努力以外ないのだから。
[映画館(字幕)] 4点(2008-08-02 14:34:42)(良:1票)
708.  ランボー/怒りの脱出 《ネタバレ》 
007シリーズかと思うような作風となっており、Ⅰ~Ⅲの中では一番の駄作。 突然の蛇の登場、スカイダイビングの失敗など、どうでもいいアクシデント満載にうんざりとする。 作戦の指示に一切従わずに暴走するランボーのメチャクチャぶりやラブストーリーによって、共感を得ることを随分妨げているような気がする。 肝心のベトナム帰還兵の悲哀という要素もそれほど強く感じられなくなっている。 
[DVD(字幕)] 4点(2008-06-03 23:37:31)
709.  紀元前1万年 《ネタバレ》 
テーマや設定は悪くはないが、あまりにも発想力、アイディアが欠如している。高額な制作費を掛けた割には、その費用に見合った内容には仕上がっていない。スケールの大きさではなく、もっとアイディアに金を掛けるべきだろう。金を掛ける部分が間違っているのではないか。 特に、主要メンバー2人が「瀕死の重傷を負った敵に背後から攻撃される」という同じような展開をみせられると、さすがに悲しくなる。 女性の方はあの描き方でも悪くはないが、男性の方はもっと派手に散らすべきだろう。 意味のある死に方を描けないようでは、質の高い作品とはいえない。 なんのために存在するのか分からないようなキャラクターが多すぎる。 また、通称“ゴッド”のあっけない最期と、ハリウッド的ハッピーエンドに至るラストが非常に不味い仕上がりとなっている。 “ゴッド”とのやり取りにはもう工夫必要だろう。あまりにもあっけなさ過ぎる。 例えば、“ゴッド”が奇術的なチカラを用いて、反乱を鎮めて、交渉を持ち掛けようとするが、そのイカサマトリックに主人公が気付いて、“ゴッド”の神格性を否定して倒すといった展開の方が面白いのではないか。 今では常識になっていることだが、当時では理解不能なことを利用して民衆を統治していたといったことを紹介することもできるだろう。 訳もなく交渉に賛同しておきながら、いきなり狂ったように槍を投げ付けるなど、あまりにも発想が貧困すぎる。 ハリウッド的ハッピーエンドもあまりにも強引過ぎて苦笑するしかない。 巫母が苦しむ姿が何度も出てきて、ウザイと思っていたが、まさかこんなことのために引っ張っているとは思わなかった。 強引に生き返らせるのではなく、サーベルタイガーかマナク(マンモス)が身代わりになるとか、ティクティクか主人公の父親が身代わりになるとかもっと膨らますことはできたはずだ。 そもそも、マナク(マンモス)を暴走させるだけで、反乱がほぼ成功するというのも、あまりにも敵側をナメ過ぎではないか。 実は、主人公の父親が生きていて、反乱の準備を着々と進めていた矢先といったような展開に持っていった方がよりスムーズだろう。 そして、息子のために、自分の身を犠牲にした方がストーリーとしては引き締まったはずだ。 今後はローランド・エメリッヒは監督に専念して、脚本は他に任せた方がいいだろう。 彼には作家性はないのではないか。 
[映画館(字幕)] 4点(2008-05-05 14:37:40)(良:1票)
710.  ジャンパー 《ネタバレ》 
“テレポーテーション”という面白い素材を扱って、どうすればここまでつまらなくできるのかというほど、ヌルい。 脚本に中身が全くないだけでなく、肝心のバトルシーンにも見所はない。 どうしようもない理由で始まったジャンパー同士のバトルもあっけなく終わり、“パラディン”という組織のサミュエルとの最終バトルも拍子抜けだ。 サミュエルとのバトルには心理戦もないので、面白みに欠ける。 「ジャンパーには、以前こんなバカがいた」というネタを前フリにしているだけで、ヒネリがまったくなく、無策で特攻するヘイデンがあまりにもバカバカしい。 また、サミュエルは高圧電流の鉄線と謎のナイフを使うだけで、特殊な才能を有しない、ただのザコであり、あれでは盛り上がりようがない。 “テレポーテーション”能力を使って、サミュエルの裏をかいたつもりが、「実は俺もジャンパーなんだよ」とサミュエルにひっくり返されるいうサプライズで観客を驚かすような発想はないものか。 サミュエル以外にも“パラディン”の強力な刺客がいてもよかった。 「ボーン・アイデンティティ」と同じになるが、あの形式は悪くはない。 ヘイデンを追い詰めるジャンパーハンターとしては、魅力に欠けたのではないか。 ヘイデンへの追い込みの足りなさが目立つ。「ボーン・アイデンティティ」と同じ監督とは思えない。敵の組織が強ければ強いほど盛り上がるものだ。 ダイアン・レインというサプライズはあったが、はっきり言って“効果的”とは思えない使い方だ。ヘイデンが絶体絶命な場面でないとあまり意味がないのではないか。母親とハンターとの葛藤がまるで感じられないものとなっている。 レインだけではなく、劇中のキャラクターに喜怒哀楽が全くないので、キャラクターに一切の魅力を感じないものとなっている。 大金と労力を懸けて作り出した特殊効果を漫然と眺めるだけであり、非常に“長く”感じる90分程度の短い映画だ。 さらに、好きな人には申し訳ないが、ヒロインの女性に華がなさすぎるのもマイナスか。はっきりいって、主役の器とは思えない。 好きだった幼なじみをバーに見に行ったら、夢を壊されて愕然として、ヘイデンは立ち去ろうとしたのかと思った。 一番驚かされたのは、会話の途中で渋谷と銀座の間を超瞬間移動していたことだろうか。
[映画館(字幕)] 4点(2008-03-02 23:54:57)(良:1票)
711.  ライラの冒険/黄金の羅針盤 《ネタバレ》 
原作未読、前知識は「ダイモン」だけという状態で鑑賞したが、だいたいのストーリーは理解できるようにはなっている。 しかし、三部作の第一作ということもあり、謎だらけで終わっている。 「ダスト」を含めてストーリーは謎だらけだが、面白みはまったくなく、「この続きを早く観たい」という内容にはなっていない。 単にストーリーを流すことだけにチカラを入れており、ドラマや盛り上がりに欠ける内容となっている。この監督(脚本も兼)には、ファンタジーを撮る才能はあまりなかったのではないか。 ロールプレイングゲームや「七人の侍」で面白いのは、仲間がパーティーにどんどん加わるところだ。本作も「気球使い」「よろいグマ」などが加わるが、そのリクルートにまったく面白みがない。 「魔女」が仲間になるのは恐らく今後明かされると思うが、「気球使い」を仲間にするためのエピソードがないと「なんでこの人たち一緒に必死で戦っているの?」と思ってしまうだろう。 「よろいグマ」エピソードもかなり馬鹿馬鹿しいものとなっており、彼らの絆の深さを感じるものにはなっていないのは致命的だ。 ライラとよろいグマの絆は本作のかなり重要なものとなるはずなのに、浅く終わっているのが本作の大きな問題だ。「よろいグマの王様」エピソード以外には、ライラの勇敢さ、強さ、弱さといった魅力を感じられない。 また、ファンタジー作品で重要なのは、敵がいかに強いかという点にある。 ラスボスが強ければ強いほど盛り上がるものだ。ラストの合戦を見て、興奮したという人はあまりいないのではないか。その理由は、敵が大したことないからだ。 クマが暴れ、魔女が弓矢を放ち、気球から銃を乱射する、そんな一方的なバトルを見ていてもまるで意味はない。 肝心なのはいかに不利な状況から逆転するかという点である。味方が追い詰められれば、それだけ面白みが高まる。 「よろい熊」の不利な状況もあまり大きな不利にはなっておらず地味すぎる。 本作の盛り上がりどころというのは、最後の合戦ではなく、よろいグマ同士のバトルと考えることも出来るが、あのバトルもクマ同士が殴り合っているだけで面白くはないだろう。 大金が投じられているため、リスクを犯さず、冒険していない映画となっている。 本作を見ても、ドキドキしたり、興奮したりはできないだろう。
[映画館(字幕)] 4点(2008-02-24 01:49:57)(良:1票)
712.  アース 《ネタバレ》 
渡辺謙版を見たかったのが、時間の都合上パトリック・スチュアート版を鑑賞することにした。ナレーションの意味は分からないが、落ち着いた語りに多少の抑揚をつけており、全体のイメージに即した好感触のものであった。 しかし、内容的には満足のいくものではない。圧倒される映像や驚かされる映像も期待よりも少ないと感じた。46億年の歳月を刻み込んだ“地球”の美しい造形などはほんの少ししかなかったのではないか。可愛らしい動物の姿を追うのが、まさか“地球”というテーマを描いた映画ではあるまい。ユーモラスな動きで観客の笑いを誘うのも大事なことだが、“地球”というテーマの本質部分とズレているのではないか。「ホッキョクグマのナヌーとゆかいな仲間たち」という映画ならば別によいが。 「ライオンVSゾウ」等の衝撃的な映像も確かに見られるが、もっと残酷的なところまで映してもよかったのではないか。そうしないと“自然の過酷さ”“何億年と繰り返されている自然の摂理”といった本質的なものが伝わらない。子どもも鑑賞するので、配慮したようだが、自然はそれほどヌルいものではないと気付くきっかけとなるはずだ。直接的に残酷なシーンは描けないにしろ、残骸程度は描いて、間接的に自然の残酷さを醸し出してもよかった。 「ディープ・ブルー」でも同様の手法を取っていたが、ラストでとって付けたようなナレーションは止めていただきたいものだ。内容が伴っていればよいが、あのナレーションを聞いても「地球のことをもっと考えよう」「地球の温暖化を止めよう」とは思えない。絶滅寸前のホッキョクグマを人間に見立てたところまではよかったが、地球の危機的な状況や、地球の悲鳴が聞こえるような映像を付け加えて欲しかったところだ。 「誰もが魅了される美しい地球」をきちんと描いた後に、「美しい自然が汚されて、自然が失われていく地球」を描けば、いい対比となり、いいメッセージとなったのではないか。「ディープブルー」でも述べたが、根気よく映像を撮り続ける職人ではあるが、クリエイターというわけではないようだ。悪く言えば、北極から南極へ南下しながら、映像を単に切り張っただけともいえる。しかも、あまり意味のない映像が切り張られているところがあるのが残念だ。 美しい圧倒的な映像で観客を魅了できれば、それだけでも十分メッセージになったはずだが、そこまでのレベルではないと思う。
[映画館(字幕)] 4点(2008-01-17 23:30:35)
713.  ブレイブ ワン 《ネタバレ》 
問題はやはりラストだろう。賛否両論というが、果たして「賛」という人はいるのだろうか。あまりのメチャクチャぶりに一気に熱が冷めるのを感じたほどだ。 しかし、「愛する者を殺されたから辛い」→「救いにはならないけど、悪い奴殺したり、復讐すればいい」というのが、脚本の趣旨ではまさかないだろう。 冷静に振り返ると、意図しているラストはまさにその逆ではないかとも思われた。 キレイ事を語り復讐を諦めさせるよりも、あえて復讐することを描くことにより、「復讐なんてしても、何もならない」と訴えているのではないか。あえて間違った行動を主人公に取らせて、反面教師としての役割を担わしているのではないかと思った。 しかし、タイトルを「ブレイブワン」と銘打っている。復讐することが「勇敢」だと言いたいのだろうか。本当の「勇敢な人」とは真逆のような気がするが…。 脚本の趣旨がどうであれ、演出上にも問題があると思われる。 「愛する者を殺された場合どうすればいいのか」「親しい者が犯罪を犯した場合どうすればいいのか」という問いかけのレベルにも達していない。 問いかけの前提として、フォスターとハワードが親密な関係にならなくてはいけないが、十分とは言いがたい。恋愛関係というわけではない人間同士の深い関係を描くのは難しいが、ジョーダン監督ならば可能ではないか。「法律を犯し、自分が傷ついてまで、相手を庇う」ほど強固な関係が築かれていない。さらに「動画という証拠」を持っているにもかかわらず、「法の裁き」を受けさせないことが理解できない。法の裁きを受けさせることができない冒頭の妻の自殺偽装事件とは意味が異なってくる。 また、ラストの余韻がまるでないのも問題だ。「復讐を終えたときに、いったい何が残るのか」を観客に何らかの方法で伝えないと、映画としての意味をなさない。本作は「昔の自分とは違う自分を生きなくてはならない」という締めくくりだったように思えるが、ナレーションで逃げるのはあまり好ましくない手法だ。言葉による説明も重要だが、それだけではなく表情や動作、雰囲気だけで伝えられなくては、映画の質が高いとはいえない。 「恋人を失ったことの心の空洞が、復讐を果たしたことにより、より大きく、より深くなった」ということをもっと伝えるべきではなかったか。
[映画館(字幕)] 4点(2008-01-09 22:10:51)(良:1票)
714.  グレムリン2/新・種・誕・生 《ネタバレ》 
ハルクホーガンのシーンだけは見ておいて損はない。あれだけは素晴らしいアイディアだと思う。何も知らず映画館で是非あれを体験してみたかった。ハルクホーガンというプロレスラーにあの役をやらせるのも、なかなかセンスのよいチョイスではないだろうか。今の日本ならば、「長州小力」にやらせるようなものか。 悪趣味ともいえるかもしれないが、前作をパロッて、様々な映画をパロッて、おまけに自虐的という世にも不思議な映画に仕上がっている。 モグアイ達に様々な個性を与えて大繁殖させて、「ニューヨーク、ニューヨーク」の大合唱の間にすべてを抹殺。確かにメチャクチャだとは思うけれども、これだけ潔く金掛けてやってもらえば批判する気もなくなる。バカバカしさを超越した、このような映画を創れる人はジョーダンテしかいないのだろう。 とてつもない進化を遂げたのはモグアイ達だけでなく、本作も子ども向けの人気映画から一気にマニア向けのとんでもないメチャクチャなコメディに進化していると思う。ある意味で、前作よりも印象には残るだろう。
[DVD(字幕)] 4点(2006-12-31 00:06:28)
715.  007/ワールド・イズ・ノット・イナフ 《ネタバレ》 
ドラマ性や人間性を重視しようとした意欲作。しかし、アクションとドラマのバランスを失し、ものの見事に中途半端な作品に仕上がった。 やや貫禄はついたがボンドも中途半端、Mの誘拐も中途半端、心の痛みを感じないエレクトラも頑張ったが中途半端、エレクトラを本気で愛していたレナード(肉体的な痛みを感じない)も中途半端、ドクタークリスマスはギャグだろう。彼女の魅力を最大限に引き立てる服装を考えての結果だと思うが、核物理学者にあんな服装をさせるというセンスを疑う。 本作の最大の見所というのは、ボンドがエレクトラを撃つということだろう。ボンドが女性(しかも愛した女性)を正面から銃で撃つのは始めてではないか。番外編の「ネバーセイネバーアゲイン」で危機一髪のところでファティマを特殊アイテムで撃ち殺したくらいしか記憶にない。「サンダーボール」のフィオナに対しては敵からの射撃の盾にしただけだし、「ゴールデンアイ」のオナトップに対しては、未必の故意によるものだが飛行機事故を利用したものだ。ボンド史に刻まれるであろうこの一大イベントがあのような結果に終わったのは残念でならない。あの場面ではエレクトラを殺しても、殺さなくても状況は変わらない(むしろ、殺さない方がレナードと交渉できたかもしれない)。このシチュエーションでただ撃ち殺すという行為の代償は、彼に「冷酷さ」「非情さ」のイメージを与えるものだ。製作者の意図はそこに尽きるのだろう。 しかし、これは単なる殺しであって、あまり効果的ではない。自分にはなぜこのシチュエーションでMを使わないのかという疑問しか沸かない。エレクトラがMを盾にして、「銃を置かないと殺す」と脅せば、彼女を殺す大義がうまれる。エレクトラを撃つことにやや躊躇するボンドにMが撃つように諭せば、Mの役割や彼女誘拐の意義も生じるだろう。自分の魅力を使ってなんとか寝返させようとする理想主義のボンドと、現実主義のM、戻れないところまで来てしまったが葛藤するエレクトラの三者の演技を光らせる絶好の機会だったが、製作陣はあまり深みを描くことを放棄したようだ。 二作目の「ロシアより愛をこめて」以来17本に登場し、作品にユーモアとファンタジーさを添えたQは本シリーズで不可欠な素晴らしい存在感を示していた。我々に二つの言葉(弱みをみせるなと逃げ道を残しておけ)を残して見事な去り方をされたと思う。
[DVD(字幕)] 4点(2006-12-01 23:38:07)
716.  007/美しき獲物たち 《ネタバレ》 
ロジャームーア最後の作品ということで、どれほど末期的な状態かと思っていたら、意外と観れる作品に仕上がっている。 アクションに関しては、ムーアには端から期待しないという姿勢が現れていて、思い切りの良い作品になっている。あまりにスタントに頼りすぎていて、「オマエ誰やねん!」という場面も垣間見られ、映画としてはギリギリな仕上がりとなっているが。 冒頭のスキーアクション(何度目だ)から始まり、パリ市内でのカーアクション、競馬の障害レース(なかなか新鮮味あり)、火事からの脱出、消防車を使った警察との派手なカーアクション(死ぬのは奴らだのペッパー警官を思い出させる)、金門橋上での決闘というように、アクションに関しては見所が非常に多い作品だ。 ストーリーは「ゴールドフィンガー」をベースにしているだろう。ゾリンの計画に反対する悪党を派手な方法で殺すのも「ゴールドフィンガー」をなぞったものだ。 二人のボンドガールに関しては、なかなか新しい趣向ではないかと感じた。メイディは有能な殺し屋兼ガールというのはあまりいない(サンダーボールのフィオナくらいか)。また、ゾリンに裏切られたために、ボンドに味方するというのはジョーズの流れを汲んだものだろう(ジョーズにもこういう派手な散り方を期待したが)。 ステイシーは叫んでいるだけという批判をよく浴びるが、こういう空気に近いガールもなかなか珍しい。知識だけはあるが、世間ズレしたお嬢様という感じがよく出ていた。 ウォーケン扮するゾリンは精神的に問題ある試験管ベイビーという役柄であり、そのキレっぷりには期待をしたが、大した出番もなく、おいしいところは全部メイディに持ってかれてしまい、やや中途半端になってしまったのは残念だ。目玉は、証拠隠滅を図るための作業員大虐殺だけというのはもったいない。 個人的には、運転手役を演じたチベットとの掛け合いも面白かった。「私を愛したスパイ」でもストロンバーグの研究所をロシアのスパイのアニヤと訪ねたとき、秘書役という設定を利用して、その設定でムーアは遊ぶことがあった。こういう遊び心あるユーモアと余裕がロジャームーアボンドの魅力だった気がする。彼のボンドには賛否両論あったかもしれないけど、本当に長い間頑張ってくれたという想いが強い。ラストではロシアだけでなく、彼(とマニーペニー)に勲章をあげたいと思った人は多いのではないか。
[DVD(字幕)] 4点(2006-11-27 01:13:13)
717.  007/黄金銃を持つ男 《ネタバレ》 
評判悪いようだが、ロジャームーアのボンドならばこの程度がスタンダートではないか。スカラマンガとの対決後にソレックスアジエイターの取り外しの苦労だけで終われば5点にしてもよかったかなと思っていたが、その後にニックナックと緊張感のない茶番が繰り広げられるのでうんざりする。あれは減点以外の何物でもない。 前作に引き続き、ロジャームーアは女性に厳しく、容赦しない点も描かれている。スカラマンガの愛人アンドレアがボンドに助けを求めてきた際には、危険等を承知でアンドレアを利用し、スカラマンガの元からソレックスアジエイターを奪還しようと企てる。彼女が死んだとしても、あまり感情もないようである。 同僚のグッドナイトを一人の女性や人間と見ていないような対応をしているのも特徴だ。ソレックスアジエイターの取り外し中に太陽光線に遮られてしまい。すぐにグッドナイトが止められないときに見せるイラッとした感じが意外とよい。紳士の中に時折みせる彼の冷酷さは前作に引き続きやはり健在だ。 グッドナイトは使い方としては、「ダイヤモンドは永遠に」のティファニーケースと似た感じを受けた。ボンドのための行動がすべて裏目にでたりとストーリーをかき乱す役割を担わされる。ラストにボスのアジトになぜか薄着で幽閉されているのも同様だろう。シリーズ公式に従ったのかもしれないが、どう考えても効果的ではない使い方だ。 それにしても、相変わらず、ムーアのアクションはお粗末だ。二人の女子高生やペッパー保安官といったギャグに走らなければ、収まらないと考えるのも致し方ないところだろう。 正直、ムーアは演技やアクションなど上手いとは思えない。せっかくのスカラマンガとの対決もあそこまでプルプルと動かれてしまっては、驚くというよりも失笑せざるを得ない。ボンド人形のトリックや三つの乳首による成りすまし、組み立て式の黄金銃といった工夫やアイディアは認めるが、効果的な演出ができていないし、脚本も上手く活かされていないように感じた。スカラマンガに成り済ますのであれば多少は引っ張り、ハイファットを騙した方がストーリーは締まる。ラストの対決もボンド人形と本物の二体だして、本物ではない方をスカラマンガに撃たせた方が面白かっただろう。 唯一の見所はクルマの一回転ジャンプとなっているが、これが見たいのならば映画ではなく、サーカスでも見にいけばよいと思われる。
[DVD(字幕)] 4点(2006-11-19 23:53:14)
718.  新学期 操行ゼロ 《ネタバレ》 
平均点を下げてしまってまことに申し訳がない。 本作が多数の映画監督に影響を与えた映画史に刻まれるべき作品というのは分かるけれども、一本の映画として評価した場合、自分としては点数を低くつけざるを得ない。 ただ、面白かったのは、この作品はすべて子ども目線で描かれているのではないかと感じたこと。実際は、校長先生はあのようなロートレック風の小男ではないのではないか。子どもの目線から見れば、あまり子どもと直接関わらなく、お偉いさんにはえらい腰の低い校長先生はただの小さなおっさんに見えたのかもしれない。逆に、あれこれと規則にうるさい教頭先生は、看守のような冷酷な姿に映ったのだろう。ラストにおいてもその方向性は顕著に描かれている。屋上から様々なものを投げつけて、彼らの革命は成功する。彼らにとって、物をぶつける対象は、実際は生身の人間であっても、ただの的(まと)に過ぎないと感じたのだろう。本作では、その気持ちをそのまま人形を使って描いているのには、驚きとともに斬新さが窺える。 これらを踏まえると、本作で描かれていることは全て現実と空想が入り混じった世界なのではないかとも感じた。子ども達は、電車の中やトイレの中でタバコを吸っているが、あれもただの願望や空想、「やってられないよ」という気分を表したのではないかとも思う。 髪の長いタバールも校長先生に対して、「クソ野郎」と罵りたかった気持ちが強く感じたが、実際にあのように叫ぶことができたのかどうかはよく分からない。 スローモーションで描かれる枕の羽が舞い散る革命の序章も、彼らにとっては、あの場面ではあのような美しい姿に記憶されたのだろう(実際はあのような立派なものではなかったのではないか)。子どもの目線からは、圧制に苦しみ、自由を求めて蜂起する民衆の革命の姿に重ねあわすことができたのだろう。 また、自分の母親が豆オバサンと馬鹿にされることに対して落ち込む少年を観て、「オマエラもうやめろよ」と周りに注意する姿が描かれたり、悪戯をして三人が立たされているときに、腹痛を発症させて我慢できなくなっているときに、「オマエ行ってこいよ」と背中を押してやる姿も描かれており、仲間としての絆もしっかりと感じられるようになっている。
[ビデオ(字幕)] 4点(2006-11-14 23:38:02)
719.  007/カジノ・ロワイヤル(1967) 《ネタバレ》 
なんといっても音楽のセンスが素晴らしすぎる作品。鑑賞前は、ストーリーなどないメチャクチャな支離滅裂なパロディかと思ったら、期待を裏切り、意外と想像以上にはしっかり創られているという印象を持った。作風は違うが、大物俳優が多数出演している「マーズアタック」のようなものか。 個人的に一番よかったのは、オーソンウェルズにしつこく意味不明な手品をやらせるセンス。 ちょっと気になったのは、アレンの目的が全世界を美女と140センチメートル(DVDの字幕による)の男(4フィート6インチと言っていた気がする)にするというものであった。140センチでは、アレンはともかく、ラルクのハイドさんでも生き残るのは難しいのではないか。 ボンドが7人というフレコミだったけど、そんなにいたかなと思い、ちょっと数えてみた。 ①引退した本家ボンド(女嫌いでショーンコネリーボンドをボロクソに貶す。M(マクタリー)家での力自慢対決やミミ(デボラカー)とのやり取り、牛乳屋との追いかけっこが見所。) ②クーパー(補助員。女が求め、女を求めない男としてマニーペニーのキスにのテストに合格。空手と柔道の達人で、女性に対して容赦しない。非常に目立たない人。) ③ヴェスパーリンド(事業家。500万ポンドの税金を分割払いにすることで本家ボンドに協力。イヴリンをスカウトする役だが、脈絡もなく裏切る。) ④イヴリン(ピーターセラーズ)(バカラの名手のためヴェスパーにリクルートされる。ヴェスパーとのベッドでの変装シーンやルシッフル(ウェルズ)とのバカラ戦いが見所。ヴェスパーに殺される。意味もなく税関員を殴る。) ⑤マタボンド(ボンドとマタハリの娘でダンサー、寺院で父ボンドにリクルートされる。東ドイツでの国際家政婦協会(内部のセンスよすぎる。こんな内部は観たことない)潜入が見所。途中でなぜか髪型が異なる。) ⑥ダリア(クーパーにスカウトされる。アレンに裸で拘束されるも、アレンに爆弾を飲ませる) ⑦ジミーボンド(アレン)(ボンドの甥で劣等感の塊。正体はドクターノアなのに、なぜかボンド。UFOを所有している。叔父のボンドとのやり取りやダリアに爆弾を盛られる際のやり取りが見所。小男が美女を手に入れられる世界を夢見るも失敗。一人で地獄行き) の以上7名かな。
[DVD(字幕)] 4点(2006-11-03 00:42:29)
720.  007/サンダーボール作戦 《ネタバレ》 
制作費だけはどんどんと膨れ上がり、派手な仕掛けがさらに目立つようになってきたが、肝心のストーリーがイマイチになり始めた作品。 しかし、終盤の水中戦のアイディアは素晴らしいと思う。この難しい撮影をスリリングに描こうとした努力は認めたい。しかし、やや冗長な場面が散見される上に、水中で殴りあうのには無理があるし、ナイフで切りあうのは地味すぎる。もっとコンパクトにまとめれば、本作の評価はさらに高まっただろう。 本作の問題は、ラルゴを始め悪役や作戦に魅力を欠いている点にあるのではないか。ヴァーガスは特に存在感が薄い。オッドジョブやグラントとは全く存在感が異なる存在だ。この二者と相対するのは、本作ではヴァーガスではなく、フィオナではないかとも考えられる。彼女は、ドミノの兄のダーバル少佐を誘惑し殺害に関与し、任務失敗の危機を導いたリッペ伯爵をバイクでのロケット砲で殺害し、ボンドの仲間のポーラを誘拐し自殺に追い込んだ張本人である。「ゴールドフィンガー」のプッシーとは異なり、ボンドと寝ても、決して寝返ることなく、逆にボンドを嵌めるという悪女という設定である。しかし、彼女の悪行は本作では、なぜかあまり目立たない。味方に撃たれるという退場のさせ方もやや地味であり、もったいなかったが、問題はキャスティングではないか。ルチアナ・パルッツィは、悪女というタイプではなく、どちらかといえば、ドミノを演じた方がよかったようなキュートなタイプである。もっと悪女タイプをキャスティングすれば、本作のイメージもガラッと変わっただろう。似た女性が多すぎるという批判も回避できた。 ちょっと気になったのは、ドミノの取り扱いだ。ボンドがドミノに対して近づいた理由と兄の死を告げる大事な場面がある。ラルゴを裏切るように仕向け、核兵器の在り処を探るように命じるものであるが、即座にラルゴにとっ捕まり、結局最後まで登場しない。前作の「ゴールドフィンガー」にも姉を組織に殺され復讐に燃える妹が組織に瞬殺されるという展開があり、非現実世界の中での現実性があると誉めたのだが、今回はストーリーの肝である部分のために、もう少し活躍の場を与えてやった方がよかったのではないか。ラストでラルゴにとどめを刺すという役割をドミノが担うものの、無理やり感が拭えない。核兵器を1機積んだまま、船は爆発してしまっているのもいかがなものか。
[DVD(字幕)] 4点(2006-10-24 00:25:17)
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