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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1275
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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901.  悪魔を見た 《ネタバレ》 
熱い民族性がそうさせるのか、韓国映画のバイオレンスとにかく凄い。当該分野において、韓国映画界は間違いなく世界最先端を行っています。本作も例に漏れず、躊躇のない暴力描写、剥き出しとなった感情の衝突、質の高い演技と、見所の多い作品に仕上がっています。最狂の猟奇殺人犯vs殺人スキルを身につけたエリート諜報員という燃える図式も百点満点であり、少なくとも前半部分は最高クラスのバイオレンス映画としてまとまっていました。。。 ただし、後半になると物語は大脱線をしてしまいます。猟奇殺人仲間が登場したり、猟奇殺人犯が諜報員を出し抜く行動を取り始めたりと、やりすぎ感が出てしまうのです。特に、プロの諜報員であるスヒョンが、殺人鬼とは言えスキルは素人のギョンチョルに圧倒されるという展開は非常にマズく、スヒョンが無能に見えてしまうという結果をもたらしています。このテーマであれば、表面的な主導権を握っているのは終始スヒョンであり、彼は圧倒的な殺人スキルによってギョンチョルを極限まで痛めつけるが、歪みきったギョンチョルの心までは征服することができず、ついに禁断の手段に訴えてしまうという筋書きにした方が良かったと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2013-03-07 00:28:02)(良:2票)
902.  アイアン・スカイ
監督を務めたティモ・ヴオレンソラとは初めて聞く名前なのですが、母国フィンランドでは有名なクリエイターのようであり、本作は決してパッと出の新人監督が勢いで作り上げた映画ではありません。確かに、兵器やコスチュームデザインのかっこよさや、戦闘シーンの迫力や面白さには圧倒的なものがありました。スペースナチスがマンハッタンを攻撃する場面では大作映画並の手慣れた演出が楽しめるし、ナチスが誇る最強兵器「神々の黄昏号」の起動シーンにはSF映画に必要な仰々しさが宿っていました。10億円に満たない製作費でここまでのものを作り上げたことは驚異的であり、戦闘シーンについては満点に近い評価を与えられると思います。。。 ただし問題は、人間が映っている場面が驚くほど面白くないということです。感情移入可能な魅力的なキャラクターが一人も見当たらないし、かといって強烈な毒を放つ個性的な悪も登場しません。さらには、風刺映画を標榜しながらも、その切り口に新鮮さがなかった点も大きなマイナスでした。ナチスやアメリカを悪とするなんて、あまりにありきたりで面白くありませんよ。道化を装って社会のタブーを突っつくことこそがこの手の作品の使命だと思うのですが、その点、本作は危険なネタを扱っていないためにまったく見応えがありません。『チーム・アメリカ:ワールド・ポリス』くらい突き抜けないと、この手の映画は面白くないのです。
[DVD(吹替)] 5点(2013-03-03 00:45:45)(良:3票)
903.  ダーケストアワー 消滅 《ネタバレ》 
よくある侵略ものなのですが、敵が電磁波宇宙人という点が本作の特徴。ビジュアルの鬼・ティムール・ベクマンベトフが製作を担当しているだけあって、特異な設定に負けない見せ場が準備されている点には感心しました。光を放つエイリアンが迫ってくる場面にはドキドキさせられるし、彼らを撃退する場面には燃えさせられました。ビジュアルだけに注目すれば、よく出来た映画であると評価できます。。。 ただし、映画として面白くないのが難点。大きな問題が2つあって、まずひとつは主人公に魅力がなく、彼らがどうなろうが知ったこっちゃないという気分にさせられるということ。エミール・ハーシュ演じるショーンには最後の最後までかっこいい見せ場がなく、「つまづいて転んだ」「銃が撃てなくなった」などと肝心の場面で足を引っ張り続ける姿には呆れるしかありませんでした。主人公なのだから、もうちょっと男らしく描いてあげるべきではなかったのでしょうか。次に、世界が滅亡の危機に瀕する内容でありながら、全編に渡って悲壮感が不足しているということ。『宇宙戦争』『クローバーフィールド』等、このジャンルの成功作は徹底した地獄巡りをその内容としていましたが、一方で本作は何となくのどか。容赦のない殺戮シーンが不足しているし、わずかな生存者たちも妙に前向きなので、作品に重々しさがありませんでした。
[DVD(吹替)] 5点(2013-02-26 01:14:47)
904.  コロンビアーナ
2001年の設立以降、私はヨーロッパ・コープの映画をたいてい鑑賞してきましたが、9割方はつまらん映画です(笑)。ただし、時にとんでもなく面白い映画を生み出すので無視できない勢力ではあります。そのキーとなるのはリュック・ベッソンの意表を突いたキャスティングセンス。脇役ばかりで方向性の確定していなかった時期のジェイソン・ステイサムを『トランスポーター』の主演に抜擢したり、演技派としての評価が高かったリーアム・ニーソンを『96時間』でコテコテのB級アクションの世界の引きずり込んだりと、思い切ったキャスティングを実行した時には良い映画が生まれます。その点でいえば、美人であるが故に演じるべき役柄が見つからず、添え物役ばかりをこなしてきたゾーイ・サルダナを単独主演させた本作には期待がかかりました。浮世離れした美人とB級アクション、実に食い合せが良さそうな組み合わせではありませんか。。。 そんな期待通り、ゾーイ・サルダナ演じるヒロインは完璧でした。問答無用の美人はどれだけ見ても飽きないし、そのアクションはかなり様になっています。そして、浮世離れした彼女の個性は「殺し屋」という非現実的なキャラクターにピタリとはまっており、このキャスティングはベッソンが意図した通りの効果を上げています。本作は『レオン』の続編としてはじまった企画なのですが、紆余曲折を経て新作に書き換えられたという経緯があります。当初はナタリー・ポートマンが想定されていた役柄にゾーイ・サルダナを起用しようなどと思いつく人は、世界広しと言ってもベッソンくらいのものでしょう。ベッソンのキャスティングセンスには毎度恐れ入ります。。。 ただし、お話の方がイマイチだったので映画としては面白くありません。単純な復讐モノに徹していればいいものを、ヒロインの恋愛や味のあるサブキャラクターの投入などによって、肝心の本筋がボヤけてしまっているのです。悪役のインパクトは薄かったし、観客の感情を揺さぶる描写にも乏しいと感じました。「殺しの現場に自分だとわかる形跡を残し続けることで、そのうち憎きヤクザが自分を探して姿を現すはず」というヒロインの戦略にも納得感が薄く、全体として要らんものをくっつけすぎという印象です。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2013-02-25 00:27:57)(良:1票)
905.  ヴァルハラ・ライジング 《ネタバレ》 
音楽や撮影のレベルが非常に高く、さらにはヴァイオレントながら高尚な雰囲気作りにも成功しており、たった1シーンを見るだけで「この映画を撮った人間は只者ではない」と思わせるだけの異様な迫力に満ちています。両者を並べることはやや乱暴かもしれませんが、本作のニコラス・ウィンディング・レフンは、『天国の日々』を撮った頃のテレンス・マリックを思わせます。それくらいに、この映画は技術的に完璧なのです。驚きました。。。 ただし、監督は自分の手腕に絶対の自信をお持ちなのか、娯楽に対する目配せが一切ないという点が引っかかりました。言いたいことは分かるのですが、中盤がとにかく面白くありません。観客を無視して突っ走るという点においてもテレンス・マリックとの共通項を見いだせるのですが、この点については、もう少し柔軟であって欲しいと思います。桁違いの暴力が披露される序盤、そして、一行が流れ着いたのは新大陸だったことが明かされるラストのドンデンは面白いのに、中盤のつまらなさで映画全体の印象を悪くしたのでは勿体ありません。。。 なお、本作の同時上映にはマーカス・ニスペル監督の『レジェンド・オブ・ウォーリアー/反逆の勇者』をオススメします。少年時代にアメリカ大陸に流れ着いてインディアンに育てられたバイキングの男が、壮絶な復讐劇を開始するというアクション大作。本作の擬似的な続編としてどうぞ。
[DVD(字幕)] 5点(2013-01-17 01:02:06)
906.  ジェーン・エア(2011) 《ネタバレ》 
1847年に出版された『ジェーン・エア』は、当時としてはかなりの衝撃作でした。美人ではない女性を主人公とし、財産や家柄ではなく自由恋愛を尊ぶという価値観が作品全体を貫いています、ラストでは女性が男性に愛を告白するという異例の展開までが準備されており、当時の社会をひっくり返す程の大ブームとなったとか。。。 しかし、今やそんな展開は珍しくも何ともありません。古典の難しさはここにあって、初登場時に人々の関心を引いた部分は完全に陳腐化しており、現在の観客が昔の読者と同様の感動を味わうことはほぼ不可能という状況にあります。さらには、映画化においては古典へのリスペクトも要求されるために、改変を加えすぎても批判が起こります。原作のままではダメ、変え過ぎてもダメという、製作側としては何とも厄介な代物なのです。。。 そこに来て本作では、原作をなるべく忠実に映画化するという正攻法のアプローチがとられています。美しい撮影、オスカーノミネートの衣装、見応えのある演技、回想形式をとることにより尺を詰めるという映画的工夫、、、『闇の列車、光の旅』で注目されたフクナガ監督は、要求された仕事を充分にこなしていると言えます。ただし前述の理由により、映画としては面白くありません。前半部分ではキャストや撮影を楽しめたものの、1時間を過ぎた辺りからは猛烈に退屈しました。
[DVD(吹替)] 5点(2012-12-30 17:57:11)(良:1票)
907.  トロール・ハンター 《ネタバレ》 
M・ナイト・シャマランが『サイン』の宇宙人映像で使用した例が初だと思いますが、それ以降、モキュメンタリースタイルはSF映画の定番となっています。SFに不可欠な空気感をいとも簡単に作り出すことができ、おまけに対象をはっきりと映し出す必要がないため予算も節約できる。『モンスターズ』や『chronicle』等、今やこのジャンルは屈指の激戦区となっています。。。 そこに来ての本作ですが、本作ならではのオリジナリティ、他作品との差別化の程度が弱いと感じました。映画としての出来は決して悪くないのですが、観客も食傷気味となっている当該ジャンルにおいて、この程度のアイデアでは心許無いのです。一応、ラストには60mの特大トロール登場というサプライズが用意されてはいるのですが、比較対象のない雪原での戦いであるため意図した程のインパクトを与え損られていません。トロールハンターのオヤジはいい味を出しているものの映画の顔となるレベルには達しておらず、あらゆる要素が勿体無い状態となっています。。。 映画の出来とは別に私が興味深く感じたのは、トロールが反キリストであるという点です。日本のようにお寺と神社が共存している社会は極めて稀であり、土着信仰は一神教により否定され、駆逐されるというのが歴史の常です。ノルウェーもその例外ではなく、10世紀頃(劇中提示されるトロールの寿命と一致する年代)にキリスト教が本格的に上陸し、土着信仰は駆逐されました。かつて神だったトロール達が怒っている理由はここにあります。さらに興味深いのは、現在のノルウェー国民のうち9割以上はノルウェー国教会に所属しているものの、熱心な信仰心を持っているのはその内の1割程度であり、大多数の国民は便宜上教会に籍を置いているに過ぎない状態にあるという点です。さらには、ノルウェー国民のうちの相当数は、今でもトロールの実在性を信じているとか。土着信仰は形式的には消滅したものの、ノルウェー人の心の中では今なお生き続けているのです。そして、劇中のノルウェー政府がトロールの存在をひた隠しにする理由は、この辺にあるようです。。。 現在、北欧の土着信仰復権運動を担っているのはブラックメタルです。90年代には、キリスト教会に放火する等の過激な事件までを引き起こしています。エンディングにおいて、作品に相応しくないメタル系の音楽が流された理由はここにあります。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2012-12-30 17:43:40)(良:1票)
908.  デンジャラス・ラン
ジェイソン・ボーン・シリーズを思わせる音楽、おまけにボーン・シリーズの撮影監督までを召喚して製作されたスパイアクションですが、残念ながらその仕上がりはジェイソン・ボーンの二番煎じがせいぜいというレベルでした。ボーン・シリーズのおいしいところを摘もうとはしているものの、ポール・グリーングラスの神がかったアクション演出と、トニー・ギルロイの緻密な脚色を真似ることは想像以上に困難だった様子です。。。 ボーン・シリーズの魅力のひとつとして、おかしなヘマをやる人間が敵・味方のどちらにも登場しなかったという点が挙げられます。圧倒的な組織力と緻密な戦略で襲いかかってくるCIAに対し、超人的な身体能力と勘の良さでこれに立ち向かうジェイソン・ボーンという図式が燃えさせたわけですが、一方で本作の登場人物達は、皆どこか間抜け。気付くべきことに気付かなかったり、勢いで行動してボロを出したり、感情を抑えるべき場面でプライベートを気に掛けたりと、殺しのプロとは思えない脇の甘さがあるのです。そして、このことが映画の温度を引き下げる大きな原因となっています。。。 さらには、序盤で提示される基本設定を、本筋においてうまく活かせていないという問題もあります。例えば、デンゼル演じるトビン・フロストには、敵を寝返らせることを得意とするという設定がありました。この設定が置かれている以上、主人公マットは「自分はトビンに騙され、うまく丸め込まれているのではないか?」という疑念を持つべきだったし、その疑念が映画全体のサスペンスを盛り上げる一大要因となるべきでした。しかし、完成した映画においてはこの設定がほとんど切り捨てられ、最初から最後までまっすぐに話が進んでしまいます。せっかく面白い設定が準備されていたのに、これでは実に勿体無い。ドラマもうまく流れておらず、ラストの熱い会話も、観客にはうまく伝わってきません。。 ボーン・シリーズだけではなく、『007』や『ミッション:インポッシブル』といった老舗シリーズも優秀な新作を送り出しており、アクション映画界でも最大の激戦区と言える当ジャンル。そんな厳しい世界において、この程度の出来で勝負を挑むのは無謀でした。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2012-12-19 00:46:52)(良:2票)
909.  ドゥームズデイ
見せ場のクォリティは高いし、狙ったB級路線なのだからいちいち目くじら立てず素直に楽しむべき作品ではあるのですが、それにしても設定に穴が多すぎます。30年間も人工衛星で汚染地域を監視し続けながら、あれだけ大勢のヒャッハーな生存者がいることを把握していなかったロンドン政府とか、警察官であるにも関わらず、なぜか特殊部隊の指揮を任される主人公とか、防護服を脱いだ途端に異常に強くなる科学者とか、そもそもあの万里の長城はいつ築いたんだよ?とか。あとひと知恵で余計な疑問を避けられたはずの点で、多くの綻びが見られます。バカバカしい映画は嫌いではないのですが、こうも知恵が足りていない映画には乗り切れません。。。 さらには、オリジナリティも致命的に欠如しています。『マッドマックス2』『ニューヨーク1997』『キャプテン・スーパーマーケット』、本作のベースとなった作品群には、突出したオリジナリティがありました。設定が強引であろうが、世界観が稚拙であろうが、何か一点とんでもなく魅力的なアイデアがあったからこそ、これらの映画は支持を受けてこられたのです。一方本作は過去作品の模倣ばかりで、突出した何かを打ち出せていません。設定は穴だらけ、アイデア貧弱、監督が好きなものを盛り合わせただけの幕の内弁当では、なかなか高評価を与えられません。決して嫌いではないんですけどね。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2012-11-26 17:30:13)
910.  ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝 《ネタバレ》 
『インディ・ジョーンズ』の新作に合わせてのシリーズ復活、おまけに同年開催の北京五輪に因んで舞台は中国という商業的打算の塊のような本作ですが、出来は想像通りでした。バカバカしいストーリーにVFX満載のアクション、良くも悪くもシリーズの個性をきちんと継承した内容となっているのです。前作までの舞台だったエジプトをあっさり捨ててもなお『ハムナプトラ』として成立していることが驚きで、このシリーズにおいて設定やストーリーとはあってないようなものであることを再認識させられました。その分、見せ場は特盛大サービス状態です。主人公達の窮地を救う雪男、キングギドラに変身する始皇帝、兵馬俑vsミイラ軍団の大戦争、この突き抜けたバカさ加減には大いに楽しませていただきました。これぐらいやってこその『ハムナプトラ』です。娯楽作を多く手がけるロブ・コーエンによる演出は抜群の安定感で、速すぎず遅すぎず見やすいテンポを終始維持しています。役者としての達成感はゼロに近い仕事にあって出演者達は楽しげに役柄を演じており、本作の関係者は皆、期待される仕事を十分にこなしていると言えます。。。 問題なのは、『ハムナプトラ』というコンテンツの賞味期限が完全に切れていたということです。90年代末に登場したハムナプトラの魅力とは、CGという新しいツールを用いて古き良き冒険活劇を甦らせたという点にあり、CGによる映像そのものが観客を動員する力を持っていた時代だからこそヒットした作品でした。しかし、現在ではアクション映画にCGを用いることは当たり前であり、見せ場をどうやって面白く撮るか、見せ場以外の部分をどう充実させるかという、脚本力や演出力を問われる時代となっています。CGによる見せ場の連続を売りとしていた『ハムナプトラ』にとって、これは非常に厳しい状況であると言わざるをえません。おまけに、過去と同一メンバーで製作されたこと自体に意義のあった『インディ4』と違って、このシリーズに骨董品としての価値があるわけでもなく、結果は単なる時代遅れのアクション大作。数あるコンテンツの中で、なぜユニバーサルは『ハムナプトラ』をチョイスしたのだろうかと不思議で仕方ありません。。。 最後に、吹き替えはどうにかならんもんですかね。話題作りのためとはいえ下手すぎるでしょ。作品をぶち壊さない程度の品質を維持することは、映画を扱う業者さんの義務だと思います。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2012-11-23 21:57:34)
911.  ゴーストライター
本作の根幹にあるのは大した驚きも面白みもない陳腐な陰謀論なのですが、ポランスキーはこんなにもどうしようもないB級ネタを実に上品に仕上げています。その仕事ぶりは「さすが巨匠!」と言えるものであり、ベルリン映画祭監督賞受賞という高評価にも納得がいきました。しかし、それと同時に本作ではポランスキーの限界もはっきりと露呈しています。この人は70年代の監督さんなので映画全体があまりにチンタラしているし、観客のテンションを維持するためのイベント作りもできていません。クラシックなサスペンス映画の味わいを懐かしむ観客にはこのくらいで丁度良いのかもしれませんが、現代の観客が要求する適度な娯楽性を獲得するには至っていません。。。 さらに残念だったのは、ユアン・マグレガーという華も実力もある俳優を獲得しながら、彼をただの狂言回しに留めてしまったこと。『フィクサー』でトニー・ギルロイがやったように、謎解きとシンクロする形で主人公のドラマを語れば面白くなったものを、そういう工夫を一切していないのです。その結果、主人公をゴーストライターという特殊な立ち位置の人間にした意味がすっかり失われており、仮にその職業を新任の補佐官や家政婦に変更しても映画が成り立ってしまうという残念な状況となっています。。。 肝心のミステリー部分についても、ポランスキーの老練な演出によってうまく誤魔化されているだけで、よくよく考えてみれば相当に杜撰な内容です。【一般人】さんがご指摘の通り、設定のあらゆる点において納得感が薄いのです。前任のゴーストライターを消したにも関わらず、彼の足跡はそのまま放置というCIAのバカさ加減などは目に余るものがありました。主人公による謎解きにしても、本丸となる点についてはラスト5分で「いきなり気付く」というロクでもない処理がなされており、だったらこれまでの2時間でやってきたことは何だったんだと愕然とさせられました。だいたい、あんなにも露骨なダイイングメッセージに今の今まで誰も気付かなかったという設定は、さすがに不自然でしょ。
[DVD(吹替)] 5点(2012-11-19 18:26:06)(良:2票)
912.  テルマエ・ロマエ
テンポよくネタを繰り出す前半部分では、テレビ局製作ならではの強みが出ていました。良い意味で軽いのです。ひとつの場面をこねくり回すようなことはせず、ネタが終わればさっさと場面転換してしまうという引き際の鮮やかさが気持ち良いし、下ネタや考えオチは排除して誰にでも分かる簡単な笑いのみに特化した姿勢も潔いと感じました。竹内力の使い方なんて最高で、あの濃い顔はどう見てもローマ側の人間なのにあえて日本側に配置して、しかもその違和感に誰もツッコミを入れないという扱いは笑いのツボをよく心得ています。彼の顔を見る度に笑ってしまいました。この辺りの肩の力の抜き方・笑いのセンスの良さは、長年に渡って大衆娯楽に徹してきたテレビ局ならではの長所だと思います。一方で、わざわざチネチッタで撮影したというローマ帝国のオープンセットは重量級の完成度。これを捉える撮影ともども、期待以上に素晴らしい出来でした。テレビ局製作映画は何かと低く見られがちですが、最近では劇場用映画に必要な重厚さというものを身に着けつつあるようです。。。 しかし、後半部分で映画は失速してしまいます。シリアスな目標の下に登場人物達が一致団結するのですが、このパートには笑いもなければ感動も知的興奮もなく、まったく見どころがないのです。前半の程よいダメ女ぶりが楽しかった上戸彩も普通の小奇麗なヒロインに成り下がってしまうし、歴史改変ものとしての面白さを掘り下げようともしません。西洋と東洋の文明比較もありがちなレベルで深みがないし、おまけに合戦場面のチープさは見ていられない程でした。監督は前半部分で燃え尽きてしまったようで、後半はただ撮っているだけという有様。これでは高い評価はできません。
[DVD(邦画)] 5点(2012-11-10 19:52:01)(良:3票)
913.  ウォール・ストリート 《ネタバレ》 
全盛期のオリバー・ストーンは本当に凄かったんです。脚本家出身のストーンはセリフの洪水と巧みな構成によって密度の高い物語を次々と作り上げ、それが3時間越えの大作であっても、一瞬たりとも観客を飽きさせることはありませんでした。社会問題の扱いにも長けており、映画によって社会を騒然とさせることもしばしば。そんなストーン全盛期を象徴する作品こそが前作『ウォール街』であり、どうやっても映画のネタにはなりようのなかった金融戦争を真正面から扱い、これを堂々たるエンターテイメントに仕立て上げた手腕は驚異的なものでした。。。 そんな『ウォール街』から四半世紀を経て製作された『ウォール・ストリート』ですが、これが完全な凡作であり、ストーンの才能は完全に枯れしまったことが本作ではっきりとしました。社会派映画としての見応えはなく、本作におけるストーンは世界中の人々が遠の昔に知っている話をただ復唱しているのみ。小さなニュースサイトに暴露記事を掲載しただけで巨悪が倒れるという安易な決着に至っては、『JFK』で保身に走る時の権力の手強さを描いたストーンとは思えぬ手の抜きようでした。おまけにドラマの密度も低く、2時間強というストーン作品としては短い部類に入る上映時間ながら、途中で飽きてしまいます。サブプライムの扱いなどは本当に勿体ないもので、この爆弾がいつ爆発するのかという大きな山場を作り損ねています。さらには劇中のキャラクター達にも魅力がありません。特にマズかったのがキャリー・マリガン演じるウィニーを単なるヒステリックな女にしてしまったことで、マネーゲームに溺れるキャラクター達が入り乱れる本作において、一般人の代弁者たる立場にいる彼女の個性に難があるようでは、ドラマに説得力が生まれるはずがありません。彼女は拝金主義を毛嫌いしながらも、その実、大金を奪われたことがきっかけで婚約者をフったり、あれだけ嫌っていた父親が大金持参で詫びに来れば笑顔で許したりと、まさに金中心の振る舞いを繰り返します。その筋の通らなさ・薄っぺらさには唖然とするのみでした。
[DVD(吹替)] 5点(2012-11-03 17:37:34)(良:2票)
914.  ブルースチール(1990)
キャスリン・ビグロー監督×エリック・レッド脚本×オリバー・ストーン製作という何とも豪華なメンバーで製作されたアクションスリラー。才人が集結しただけあって部分的には素晴らしい場面はあるものの、全体としては平凡な映画だったという印象です。アクション映画としてのイベントが不足している上に、スリラーとしての張りつめた空気作りにも失敗しているので、短い上映時間ながら中弛みをしています。さらには、平凡な金持ちだったロン・シルバーがバイオレンスに目覚めた理由や、狂気に飲まれて歯止めが利かなくなるまでの過程、あるいは複数人の警官を相手とするに足りるだけの射撃術や格闘術をいつどこで身に着けたのかという説明など、この物語にとって必要なピースが少しずつ欠けているため、全体として見るとえらく説得力のない映画に終わっています。ジェイミー・リー・カーティスも劇中言われる程の美人には見えず、映画のあらゆる要素が作り手の意図したレベルに達していないという印象です。
[DVD(字幕)] 5点(2012-11-03 17:35:51)
915.  ハートブルー 《ネタバレ》 
キャスリン・ビグローによる演出は素晴らしいの一言。ハイライトであるサーフィンの美しさのみならず、強盗シーンの臨場感やチェイスシーンの疾走感も素晴らしく、もし彼女が多作の監督であれば、今頃はリドリー・スコットやデビッド・フィンチャーのポジションに居たのではないかとすら感じさせられました。ただし、脚本がボロボロなので映画としてはイマイチです。とりわけ、潜入捜査官とサーファー強盗団が互いの素性を認識して以降の展開は酷いものでした。FBIにマークされていることが分かったのだから強盗団はさっさと海外逃亡すればいいものを、キアヌ捜査官を誘ってスカイダイビング&最後の銀行強盗とはちょいと悠長すぎるでしょう。キアヌもキアヌで、女を人質にとられているとはいえ、言われるがままに銀行強盗のお手伝いまでしてしまうのは頭悪すぎ。逮捕して尋問した方が手っ取り早いと思えてしまうのは、脚本の工夫が足りない証拠です。最悪だったのは、後半の展開でパトリック・スウェイジ演じるボーディを完全な悪人にしてしまったことで、このために捜査官と犯罪者との間に生まれる友情物語という基本的な構図が崩れてしまっています。彼は、盗みこそするが決して人は傷つけない義賊に留めておくべきだったのです。
[DVD(字幕)] 5点(2012-10-30 01:09:38)
916.  ザ・ファーム/法律事務所
飛ぶ鳥を落とす勢いだった若きトム・クルーズを中心とし、その周りをジーン・ハックマンやエド・ハリスといったベテラン勢で固め、さらにその外側にはゲイリー・ビジーやトビン・ベルといった個性派を配置するという層の厚いキャスティングは魅力的でした。本作はパラマウントにとって相当気合いの入った企画だったようで、スタッフ、キャスト共に最高のメンバーが名を連ねています。しかし、そんなパラマウントからの期待とは裏腹に、映画の内容は平凡の域を脱していません。不吉な前兆の積み重ねでイヤな汗をかかされる前半部分はそれなりの面白さだったものの、後半部分で映画は完全に息切れしてしまうのです。監督も脚本家も複雑な話をまとめあげることでいっぱいいっぱいになってしまい、この膨大な情報量が観客に伝わるかどうかとか、クライマックスで観客はカタルシスを味わえるかどうかということは二の次にされています。直し屋として有名なロバート・タウンが脚本家に名を連ねている時点で察するべきだったのですが、それにしても、思いの外低い完成度には驚かされました。トム・クルーズ以外のキャストを完全に持て余すという名優の無駄遣いぶりもかなりのもので、本作よりも2ランクも3ランクも劣るメンバーで製作された『逃亡者』に批評面でも興行面でも及ばなかったことにも納得がいきます。
[DVD(吹替)] 5点(2012-10-17 01:53:35)(良:1票)
917.  レボリューション6
若い頃にバカをやっていた仲間が十数年ぶりに集まり、思いがけず発生した緊急事態への対応を図るという物語は非常に魅力的です。いまだにバカをやり続け、気が付けばイタイおっさんになっている者、天才肌でいとも簡単に社会的成功を手にした者、苦労してそれなりの地位を築いた者、平凡な生活に追われている者、それぞれの人生は非常に象徴的であり、現代社会の構図をたった6人のキャラクターにまで凝縮してみせた監督と脚本家の手腕は賞賛に値します。さらには、学生運動から卒業できなかったイタイ2人組には、実はそこに留まらざるをえなかった事情があったこと、そして、その他の4人はその事情から逃げ出したのだということが明かされる中盤の展開なども捻りが効いており、よく考えられた群像劇だと思いました。万人のノスタルジーを誘う空気感などもよく作られています。。。 ただしこの映画、基本的なストーリーに難があります。犯行の様子が収められたフィルムを証拠品として押収されたので、これを取り戻すために警察の倉庫に侵入するというストーリーがあまりに現実離れしていたので、うまく物語に乗っかることができませんでした。イーサン・ハントじゃあるまいし、警戒厳重な公安施設に素人が潜入するという破天荒な話には、とてもじゃないけど手に汗握ることができません。また、メンバーそれぞれに特技を与え、6人全員が揃わなければ事がうまく運ばないという制約条件を与えることがこの手の映画の常套手段だと思うのですが、本作ではそういった設定が設けられていません。その結果、一人や二人不参加でもミッションは遂行可能だし、重要な計画を実行中であっても、メンバーのうち何人かは仕事がなくて遊んでいるという、なんとも緊張感に欠ける事態が発生しています。ラストにおける刑事の手の平返しも唐突だったし、総じて犯罪映画としてのツメが甘すぎると感じました。
[DVD(吹替)] 5点(2012-10-13 02:45:55)
918.  マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙
メリル・ストリープの演技は嫌味なほどに素晴らしく、オスカー受賞も納得の技を披露しています。デ・ニーロやパチーノら同世代の演技派達が過去の名声を切り売りしながら手軽に大金を稼いでいるのを尻目に、依然として第一線に立ち続けているストリープの真摯な姿勢には頭が下がります。彼女は今回で3度目のオスカー受賞となりましたが、キャサリン・ヘプバーンが持つ最多受賞記録に並ぶのも時間の問題ではないかと思います。。。 そんなストリープの熱演の一方で、肝心の映画はスポットを当てる対象を完全に間違えており、観るべき点に乏しいという残念な仕上がりとなっています。この映画は認知症を患った現在のサッチャーを中心としており、彼女の回想によって”鉄の女”であった過去が語られるという形式となっています。過去と現在との対比によって個人としてのマーガレット・サッチャーに迫るというアプローチは理解できなくもないのですが、一方で観客が望むのは多くの敵を作りながらも強い意志で改革を断行し、そして結果を残してみせたサッチャーの姿であるはず。70年代後半から80年代前半の英国は深刻な経済不振に加え、権利ばかりを主張する労働組合によってあらゆる改革を妨害され、おまけにIRAによる爆破テロも頻発していました。さらには、国力低下に付け込まれてアルゼンチンにフォークランド諸島を奪われかけるという最悪の状態にあったわけですが、たった一人でそれをひっくり返してみせたのが”鉄の女”マーガレット・サッチャーなのです。在任期間中の彼女の活躍を映し出すだけで魅力的な物語となりえたにも関わらず、監督と脚本家が要らん工夫をしてしまったがために、せっかくの題材が台無しとなっています。決してつまらない映画ではないのですが、観ている間中、もどかしさを覚える仕上がりではあります。
[DVD(吹替)] 5点(2012-09-29 23:52:48)(良:2票)
919.  哀しき獣
デビュー作『チェイサー』がいきなりの傑作だったナ・ホンジン監督の第2弾。激しいバイオレンス描写、全体を覆う殺伐とした空気、追われる男の痛々しいドラマ等々、監督は本作でも堂々たる演出力を披露しており、『チェイサー』がまぐれではなかったことを証明してみせています。バイオレンス映画としてはかなり見応えがありました。ただし、DVDの特典としてくっついていた人物相関図を見てもピンとこないほどドラマが複雑であり、このことが観客のテンションを著しく下げる原因となっています。個人的には『インセプション』よりも難解に感じた作品であり、誰が何のために戦っているのかを見失うことが多々ありました。日本人の私でこの状態なのだから、東洋人の顔の区別がつかない欧米の観客であれば、混乱はより増したはずです。本作は20世紀フォックスが製作に協力した初の韓国映画であり、当初より国際マーケットでの展開を意識した企画であったにも関わらず、なぜこのような複雑な内容にしたのかがよくわかりません。
[DVD(吹替)] 5点(2012-09-25 00:50:06)
920.  ブレーキ(2012) 《ネタバレ》 
狭い箱に閉じ込められた主人公をひたすら映しているだけという内容であり、ハリウッドお得意の”ソリッド・シチュエーション”もここまで来たかと恐れ入りました。画面に映っているのは身動きの取れないスティーブン・ドーフのみ、金と人材を切り詰めた果てに登場した作品ではあるのですが、その代わりに監督と脚本家は徹底的に頭を使っており、アクション映画もかくやという勢いで物語は進行します。ここ10年ほどはネタギレを指摘されているハリウッドですが、本作のようにまだまだ意表を突いた映画を生み出す奥深さには侮れないものがあります。。。 と、決して出来の悪い作品ではないのですが、明らかな問題点もあります。なぜ犯人はこんなにもめんどくさい手段をとったのかという点に納得感がなく、観ている途中からバカバカしくなってしまうのです。ラスト2段のドンデン返しなんて『シベ超』並みの強引さであり、一気に脱力してしまいました。また、妻の危機にあたって生き方を反省する主人公の姿にも感動はなく、このことが、観客に対して”『フォーンブース』になり損ねた映画”という印象を与えています。
[DVD(吹替)] 5点(2012-09-25 00:48:18)(良:1票)
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