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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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941.  許されざる者(1992) 《ネタバレ》 
再見。 イーストウッドが到達したリアリズム、反西部劇、アンチ・ウエスタンの最高峰。  個人的には「アウトロー」の方が痛快で好きだが、この作品を最初見た時の戸惑いと衝撃、そして再見すればするほどその凄味に惹かれた作品でもある。  夕暮れで土を耕す孤影、一軒家と一本の木の影。この強烈な黒のコントラストが本作の恐怖と緊張をより盛り上げる。 雷鳴と土砂降り、情事を語る影の蠢き、ベッド上のギシアンを止める怒声、身を守るために水を浴びせる者、凶刃を振り回され傷つく者、凶行を止める背後の気配と撃鉄の音。 柱に縛り付けられた罪人を解放してしまう汚職、悪徳保安官の不気味な笑み。初っ端から恐怖と暴力が支配する世界を叩きつけられる。  生々しいを傷を癒し、苦笑いし、黙って耐えるしかない者たちが託す「依頼」。ただただ引き受けてくれる者が現れるのを待つことしか出来ない無力さ。  一方、農場で泥にまみれ豚を追い回すヨレヨレの農夫、回りを無邪気に走る幼い兄妹の微笑ましさ、それを鼻で笑う馬に乗り訪れる若きカウボーイ。彼は銃を手放した者を再び殺しの世界に引き戻すために現れる。  主人公のマニーは若い頃、女子供を問わずに手をかけた極悪非道のアウトローだった“らしい”。マニー本人はそう語りますが、劇中のマニーは年老いた父親でしかありません。妻に先立たれ、残った幼い子供たちを養うために精を出し、何十年も銃の代わりに家族の手を握りながら生活してきた。そんな男が再び銃を握るという。家族のために。 昔のカンを取り戻そうと射撃訓練、それを心配そうに見守る子供たち。リボルバーからショットガンに変える一連のアクションが後の布石として生きてくる。  髭を剃り、窓の向こう、木の根元に眠る者に別れを済ませ、馬に乗るのも一苦労の男が覚悟を決めて旅立っていく。  「アウトロー」における農夫がガンマンへと変わる物語が繰り返され、より突き詰められる。 イーストウッドにとってはシーゲルとレオーネに捧げた作品だそうだが、この映画には全ての西部劇に対する望郷とアンチテーゼのメッセージが入っている。 人一人を死に追いやってしまう集団心理の恐怖は「オックス・ボウ・インシデント(牛泥棒)」の流れも感じさせる。   大自然の中を旅する平和な一時。それが人間の支配する魔窟に入れば空気は一変する。   この映画の保安官が振るう正義は法の執行ではなく独裁者の暴力でしかない。 法を取り締まる者がみずから法を乱す。法を乱した犯罪者を見せしめにするために制裁を加えるのは当然ですが、いきすぎた制裁は単なる暴力となり、やがて失望へと変わる。  復讐者からの「依頼」でもある賞金首探しは、腐りきった法との戦いでもある。それを受け取ってしまった男たちに待ち受ける死、死、死。  この映画にはカッコいいカウボーイなんざ一人も出てこない。 気取った老体、銃から何十年も遠ざかっていた中年、本当は人を殺すことをためらう猟師、近眼の若造、狂った保安官…往年の西部劇に溢れていた夢と希望、活気とヒーローがこの映画にはいないのさ。彼等を彩る風景だけがその美しさを失わずにいるだけで。  人を撃てば撃つほど虚しさや罪悪感が重くのしかかり、ガンマンに憧れていた青年でさえ初めて人を撃った後に恐怖で震えてしまう。「命を奪う」ということの重さ。  「いくら古い時代に夢を追い求めても、現実はこうだ」と言わんばかりの雨粒と泥にまみれた世界。 人を殺した者は当然「自分が殺されても文句なし」という覚悟が必要だし、事情を知らない者が殺しの現場を見れば「人殺し」と罵られても仕方がない。  ただ、ラストの決戦まで“おのれ”を取り戻していくマニー。  彼が一発一発放つ弾丸は、今は亡きフロンティア精神への鎮魂か、イーストウッドなりのケジメか。密室にショットガンを突きつけながら乗り込み、“投げる”ことによって緊張が跳ね上がる瞬間!  たった1人の男を集団で嬲り者にするような連中だ。そんな奴らに、卑怯だの何だの言う権利も資格もあるものかっ!!  イーストウッドは、いつも他人のために怒る男だ。自分は殴られても殴り返さない。ただ、仲間や知人を傷つける奴は絶対許さねえ。名誉なんてクソ喰らえ、「殺る時は殺る」漢なわけよ。ガンマンではなく、一人の人間としてカッコイイ。イーストウッド主演の西部劇群を見た後だと余計に感慨深い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:29:38)(良:1票)
942.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
オープニングのヴァイオリンのストリング!バーナード・ハーマンの神BGM、ソウル・バスの演出。ヒッチコック映画のオープニングでも1、2を争うワクワクするOPだ。 ヒロインの心理描写も良かったぜ。 ハイウェイを走らせる車。闇、土砂降りの雨の中を難しい表情で走り続ける。頭の中で色んな男の野次や考えがグルグル聞こえる。これだけで不安になる。 ただ後半の展開は何だよ?気をてらったとかそんなレベルじゃねえぞ?あれだけヒロインの心理掘り下げといて何だよ?オマケにロングが可愛いジャネットをショートカットにした挙句途中下車…「何が巨匠だふざけんな」というのが俺が「サイコ」を初めて見た時の第1印象だ。 この作品を見直したのも他の作品で感動したのがキッカケだったし、そうじゃなかったら二度と再評価しようだなんて思わなかった。 まあもう1回見たらやっぱり面白かった。 でもさ、大体本作の主人公は誰だよ?現生盗んだヒロイン?それともホテルの異常な管理人か?後者が最初からメインだったら俺はこの映画に100点やるぜ。 むしろホテルの場面から始めてくれたらな~とずっと思っていた。 しかし今回はしばらく彼女のドラマが続いただろう?だから予想外の展開でビックリするのは確かだが、逆にそういう事をされる大いにガッカリしてしまうのだ俺は。 でも二重人格の異常者を演じたアンソニー・パーキンスの演技は素晴らしい。 普段は大人しい青年、だが心の中には「同居人」を匿っている。絵に隠してあった覗き穴、鳥の剥製の不気味さ、手にべったり付いた血、それに殺人の時のえぐさも凄いね。 一撃じゃなく、何回も裂くようにナイフを突き立てる。 有名なシャワーシーンだが、イマイチ迫力にかける。音楽でごまかしてんだろ。 ヒッチコックの演出かと思ったら、ソウル・バスの演出だった。それでも無残に見開いた瞳は怖い。 二度目の「ナイフ」は迫力があったぜ。ソウル・バスの演出はシャワーシーンよりも階段の場面を評価したい。 終盤のヒロインの夫や姉が殺人鬼の謎を探っていく時の緊迫感。 女の服をまとった「同居人」が怖いこと怖いこと。 ノーマンの肉体を支配したのは「同居人」だった。 愛情、嫉妬、憎悪、狂気・・・最後の笑みはノーマンか「同居人」か。 殺される側の恐怖、殺す側の狂気…沼底から引き上げられる車が印象的なラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:17:28)
943.  死の谷 《ネタバレ》 
ラオール・ウォルシュが描く西部劇の傑作の一つ。  ウォルシュ監督の「ハイ・シェラ」を西部劇としてより洗練させてリメイクした。  現代的な様相、何処か虚無的な雰囲気、ファムファタール(悪女)の誕生・・・フィルム・ノワールとしても面白い西部劇だ。   ガンファイトは物足りないと感じる時もあるが、冒頭から脱獄、駅馬車の襲撃など要所要所でアクションが程よく入り人間ドラマもかなり面白いのでダレが無い。  ラストの警備隊の追撃や二人の最期はガンファイトとしても素晴らしい&壮絶なシーンを見せてくれた。   本編は白人とインディの哀しき運命を描くストーリーだが、この映画は「生」と「死」が強調されている。 白黒の画面だからこそそれを色濃く感じられる。  主人公は犯罪を犯した“罪人”であったが、一度牢獄から出て「カタギの人間」としてやり直そうとした。  旅を続ける傍ら様々な事件に巻き込まれ、インディアンの混血の娘に惹かれる。  二人は次第に強い絆で結ばれていく。  祝福する者は誰もいない教会での結婚式・・・社会からはみ出した者同士にしか解らない痛みと温もり。 しかし運命は主人公を元の犯罪者という逃れられない「死」へと追い込んでいく。  一度犯罪を犯せばその烙印を一生背負う。  一度人を殺せばもっと重い烙印を背負い続ける。  そんな事を言われているような胸に響く映画だった。   この映画は90分だが、「たった90分」と思うほど時間が早く感じられる。  もう30分この二人のやり取りが見たいくらい切なくなってしまう幕切れだった。  握った手・・・二人は一緒にあの場所へ行けたのだろうか・・・。 「暗黒街の弾痕」といい、「ボニー&クライド/俺たちに明日はない」といい、どうしてこんなにも切ない映画が多いのか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:10:01)(良:2票)
944.  L.A.コンフィデンシャル 《ネタバレ》 
「新しいフィルム・ノワールの傑作」と聞いて飛びついたが、まさかこんなキャラ映画だとは思わなんだ。 うーん、ヒロインに魅力が感じられない。元ネタの一つとされるフリッツ・ラングの「ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ」を見れば一目瞭然だ。この映画のヒロインに「ビッグ・ヒート」のグロリア・グレアムのようなファム・ファタールとしての魅力は皆無。女がほとんど出ないフレンチ・ノワールならともかく、こう女ばかり出てくるのに女に魅力が無いだなんて致命的だぜ。フィルム・ノワールとしては0点。でも、普通の犯罪映画として見れば充分すぎるほど良い映画だと思う。 でも登場人物が多すぎんだよ!誰が誰だが解んねえよ!!整理するか大量に間引く(ログアウトさせる)かどっちかにしろや!!! 余計な奴が多すぎる。モブでいいだろあんなの・・・エドにバドにバズっざけんなゴラアアアッ!!!!・・・・・・・・なんて思いながら楽しんで見てしまおう。 姿形は似ていようとも、奴らの見せる表情と魂はまったく違う。 かつてフィルム・ノワールの祖となった偉大なる作品「暗黒街の顔役」やフィルム・ノワール「三つ数えろ」においてもそれは言える。 同じようなスーツに身を包んだ悪党ども、 「偽善」を吐くゴミ野郎どもを次々から次へと地獄に送りまくる最高の“悪”アンチ・ヒーローたち、 記憶に焼き付ける間もなく忘れ去られ散っていく人々の残像。それは群像劇として一瞬の輝きを帯び、とても魅力的に思えてくる。 次から次へとスリリングな展開が続くハラハラドキドキなストーリー。 生と死は光と闇。ケビンの壮絶な生き様と死に様は正に光と闇だ。  ただ、話が余りに複雑すぎる。これはもう一度見ないと真の面白さは味わえないだろう。みれば見るほど病み付きになるタイプだとは思うが。 それに「フィルム・ノワール」ってほど曖昧な感じはしない。でも、俺にはかなり面白かった。「パルプ・フィクション」みたいな映画が好きな人にはオススメ。 
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-29 23:17:47)
945.  ブリット 《ネタバレ》 
冒頭のバシッと決まったファーストシーン、 マックィーンと犯人の壮絶なカーチェイス、 ラストの銃撃。 正に名のとおり「ブリット」な映画。  それ以外は極普通の刑事ドラマという印象 ちょっと退屈に感じてしまうシーンも多かった。  それほどマックィーンのスタント抜きのアクションが凄すぎた。  中盤のカーアクションなんか凄いぜ。ウォルター・ヒルの演出もあって凄いのなんのって! 「めまい」や「恐怖の報酬」みたいにジリジリ迫る緊張も良いが、スピーディーな破壊力を見せ付けるカーチェイスはやっぱりカッコイイ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-29 18:32:15)
946.  スカーフェイス 《ネタバレ》 
再見。ハワード・ホークスの傑作「スカーフェイス(暗黒街の顔役)」のリメイク。 個人的に「アンタッチャブル」の方が密度と展開が速くて好きなのだが、本作は90分の高密度が3時間に引き延ばされて…いやブライアン・デ・パルマとオリバー・ストーンのヴァイオレンスと流血とセックスとF●ckの雨あられが叩き込まれ膨れ上がる。  ホークス版を飾ったポール・ムニのように、狂気を爆発させたジェームズ・キャグニーのように、死に全力疾走するハンフリー・ボガートのように本作のアル・パチーノは殺しの世界に染まり、野望のためにのし上がり破滅へと向かう。  女優にしてもホークス版がサイレント時代の名残りからかアイシャドウが濃すぎてちょっと不気味だったのに対し、コッチは女優レベルがハリウッド黄金期にまで回復した80年代。70年代のパルマだったらもっとエラの出た女優を使ったかも知れない。  カストロ議長、キューバの青い海、船、希望を求めてたどりつくアメリカ。 だらだらとした取り調べ、顔の疵(スカーフェイス)、手の刺青、人々が詰め込まれるバス、背景がスクリーン・プロセスなのもホークス版へのオマージュ故か。 高速道路の下に拡がるテント、殺しへの誘い。標的、収容所での暴動、騒動に乗じての暗殺、扉の向こうに待つ死。  悪友との下積み、憧れ、妬み、喧嘩腰で依頼を引き受けるやり取り、胸元の拳銃、マリファナ。エプロンを投げるのは仕事をやめることを告げるため。 かったるい会話は相手を油断させ銃を突きつけるチャンスを作るため、背後から近づく者、拳銃程度じゃビビらない、ビーチでナンパ、TVの中も大事件、こっちはチェーンソーで修羅場(あの「ファントム・オブ・パラダイス」でムチャクチャやってた男がバラバラにされる様子を映さない!)、血の雨、意地。 砕け散るガラスとともに飛び交う弾丸とブッ殺し合い、「ざまあ見ろ」。  ナイフが拳銃に、アロハシャツがスーツに代わっていく出世。 エレベーターから現れる美女、パーティー会場、兄弟や親子のような関係…それが簡単に壊れてしまうののがギャングの世界。 差別意識、葉巻、踊りながら口説き、友と語り合う「世界のすべて」を手に入れる野望。舌を出すナンパ講義大失敗、子供もドン引き、ドイツもコイツもマリファナ漬け、突然の接吻、不意打ちに弱い人々。  家族への挨拶、嘘、怒る理由、優しさ、一瞬滲み出る狂気。 電話、交渉人の交代、ヘリから吊り下ろす絞首刑、正直者、信用、ビジネス、疑心暗鬼、忠告、二人っきりで告白、妹への欲情・視線、警察とビジネスの先に映るもの、トイレ、平手打ち、ギスギスした関係・敵だらけ、机の下の獲物…を見せつけておいてそのタイミングで妹の話にするなよ気が散る。ことが終わって後でいいでしょうと。 銃撃戦と車の疾走…何だ追手が車で追いかけマシンガンの鉛玉ブチ込んだりとかはしないのか。  救援要請相手はパッキン巨乳と夜の戯れ中(ナイスおっぱい)。 電話、報復、見苦しい命乞い。  「暗黒街の顔役」がそうであったように、ビジネスとして殺しに打ち込む内はすべてが上手くいく。だが、マリファナと汚職にまみれた世界で仁義だの私情だの持ち出した時点で歯車が噛みあわなくなっていく。  増えていく札束と白い粉、幸せそうな結婚式を行う瞬間だけがキラキラと輝く。おっかない野生の虎は「獰猛な獣を手なずけてやったぞ」、伸し上がってやったぞという成り上がり根性の現れか。泡風呂に浸かってハングリーもクソもあるかw  恥さらしに仕掛ける罠、コンプレックス、欲情、車の追跡とこだわりが招く破滅、裏切り。  逆効果のサプライズ、嫉妬、力が抜け粉まみれの机に顔をうずめる。 監視カメラも見るやつがいなきゃガバガバ警備、侵入者たち、手際よく襲い掛かる報復の波、仕事人の一撃。特注のマシンガンでブッ殺しまくり叫びまくりプールにダイブして血の噴水!!  世界はあなたのもです。 殺し屋「お、おうそうだな」 ホークス&ベン・ヘクト「(゚Д゚)」
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-28 21:36:04)
947.  壮烈第七騎兵隊 《ネタバレ》 
ラオール・ウォルシュ節爆発の傑作西部劇だった。   やっぱり「死の谷」とか「追跡」が好きな俺にとって、娯楽に全力疾走したウォルシュ映画はあんまり好きじゃない。   でもそんな事いったらジョン・フォードの「荒野の決闘」なんか、史実無視でよくもあれだけゆったりとした恋愛?ドラマにしちゃったもんだし(後の「タイタニック」はもっと酷い)、   あのグリフィスの「国民の創生」だって、ドラマの掘り下げとアクションは最高だったけど黒人差別の描写が一方的すぎて大いにマイナスだった。  リンカンを描くならリンカンが戦う理由となった黒人への多面的な描写も必要なのにな。  まあ歴史的考証は黒人描写以外100点に近いけどな。  それは「タイタニック」にも言える(かも)。   本作「壮烈第七騎兵隊」はタイトル通りのアクション重視の娯楽大作。  アクションは流石に目を見張るシーンが多い。  馬の躍動感が異常。   南北戦争の雄「カスター将軍」と第七騎兵隊の壮絶な散り様をダイナミックに描く。  カスター将軍の文字通り壮烈な人間模様、軍人としての調練と恋、組織汚職との孤独な戦い。   待ち受けるインディアンの大群、死を前にして覚悟を決めた男の雄姿・・・前半あれだけフザケきった悪ガキのエロール・フリンが一角の大将として成長した姿には心打たれる。  後の「独眼竜正宗」である。   甘い青春に富んだ単純なストーリーが、軍人となった男の孤独なドラマに変わっていく様・・・やっぱウォルシュ映画は良いなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:52:02)
948.  ブルジョワジーの秘かな愉しみ 《ネタバレ》 
コメディ版「皆殺しの天使」。   パーティーに招かれる人々。彼らはひたすら「食事をするため」にいつまでも歩き続ける。  ただ「食う」というために諦めず延々と歩いて歩いて歩き続けるのである。それが面白い。 何処までも馬鹿馬鹿しいやり取りも楽しい。時折出てくる血まみれの人間すらギャグに見えてくる。   招いておいて性交初めてとんずら、 銃を隠し持つ変態紳士(ボディチェックは確実におっぱいも触る)、 鳴り響く謎の爆音、 とりあえず射殺、 とりあえず皆殺し、 そして夢オチのオンパレード・・・本当にやりたい放題だ(褒め言葉)
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:47:01)
949.  皆殺しの天使 《ネタバレ》 
「皆殺しの天使」・・・いやー聞いただけで「それ何てヴァイオレンスアクション?」と想像してしまうねー。  ま実質タイトル詐欺です。  中身があるんだか無いんだかよく解らない、何を考えているのか、いや何も考えていないかも知れないブニュエルらしい映画。  音、悪夢、手、そしてセクハラ・・・ブニュエルと言えばこの内3つは確実に映画の何処かに入れてくる(セクハラはほぼ100%)。   ストーリーはパーティーに招かれた様々な富豪たちを密室に閉じ込めてしまうというもの。  密室というか、パーティーに招いておいて給仕が大量に辞めたり、何故か居座り続ける富豪たち。  何処までも変な作品だ。  解ったから早く出ろよ・・・。   ウィリアム・ゴールディングの「蝿の王」って本があるな。  あれは逃げ場のない孤島で人々が殺し合うが、こっちは別に鉄格子で閉じ込められるとかそんな話じゃない。  出ようと思えばいつでも出られた。  だが「どうしてここに居続けるのか解らない」という映画だ。  「じゃあ出ればいいじゃん」と言っても誰も出て行かない。  そう、出るのは簡単だ。  だが誰も出ようとしない。  死体遺棄がバレるから?  それとも下らない意地の張り合い(サウナの我慢大会みたいな)?  まるでボンドを追い詰めておいていつでも殺せるのに、何故か引き金を引けない悪党みたいな連中ばっかり。  かといってボンドみたいに秘密兵器で「テレッテレー♪」してくれる人間も出てこない。  延々と屋敷に篭って我慢大会だ。  屋敷の外で見守る連中も何故か誰も入ろうとしない。  なにこの暗黙のルール。  外から入ったら時限爆弾でも爆発すんのか?どうなんだよ?さっぱり解らん。  水が欲しい?  じゃあ壁を崩して水道から飲もう!  腹が減った?  それなら山羊を食いつくそう!  死体が出た?  悪夢にうなされる?  バカッぷるが乳繰り合ってる?   い い か ら 外 に 出 ろ (怒)  いい加減にしろよてめえら!  何の我慢大会だよ!?  つうかいつになったら「皆殺し」が始まんだー!!(期待するところがおかしい)  てっきり食べた食事に毒があって一人だけ生き残る・・・ソイツが“天使”だった!・・・的なオチを期待した俺が間違いだった ・・・だが何故か飽きない。 解ったから早く出ろよ・・・
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:45:36)(良:1票)
950.  女は女である 《ネタバレ》 
「勝手にしやがれ」や「気狂いピエロ」は悪い意味で“頭がおかしい(褒めてる)”と思ったが、「女は女である」と「はなればなれに」は良い意味でイカれてる。 俺は好きだぜこういうの。 ゴダールのすっとんきょうな演出(いや思いつきの寄せ集め)も、ギャグとして昇華されていると思う。 ゴダールが苦手って奴も、この作品と「はなればなれに」を見てから判断しても遅くないだろう。   「ゴダールって怖いイメージが・・・」なんて思っている皆さんは是非とも。   ストーリーは至極単純。シンプルイズベスト。解りやすさこそ娯楽だ。  子供が欲しいと願う彼女と、中々子供を作りたがらない男の男女関係をコミカルに描く小気味良い内容。  ミュージカルコメディのような楽しい話だ。  ネオンのようなオープニング、  過去の映画に捧げるオマージュの数々、  機関銃のような痴話喧嘩の応酬、何でもあり。   BGMが爆音で鳴り響くので「音響はトチ狂ってんのか!?」と最初思ったが、音楽に合わせてアクションをかますシーンは「ああコレがやりたかったのね」と上手いなと関心。  ほうきで野球の場面とか、夫婦喧嘩の乱痴気具合など斬新な趣向に溢れている。  特にキスシーンの「バーン!」は笑っちゃったよ。  でも音が大きすぎてセリフが聞こえねえ(笑)  何処まで狙ってやってんだかわかりゃしない。   けどセリフいらずのシーンは本当に良い。  登場人物の服のカラーイメージはモチロン、  アパートの日除けの場面、  1日中抱き合ってんのかと想像してしまうアベック、  カメラ目線な通行人、  トンカチで動くシャワー、  目玉焼きの滞空時間、  “本”による会話・・・ゴダールってこんなに粋な奴だったのか。   女性のヌードも良い意味で「装飾」として花を添える。  異質と言えるほど毒気が無い。   何だかんだ言って男女が仲良くハッピーエンドを迎える最後も心地よかった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:42:57)
951.  忘れられた人々 《ネタバレ》 
ルイス・ブニュエル最高傑作の一つ。 ブニュエルといえば何を考えているのかわからない変な映画(それが面白いのだけど)が多いが、本作は明確な社会的テーマを生々しく捉えた作品だ。 リズムやストーリーの密度は確かに凄いし面白い。たった1時間15分とは思えないほど話が詰まっている。 ブニュエル映画特有の音、悪夢、女への欲情もそろい踏み。 この「忘れられた人々」はメキシコの歴史から「忘れられた」名も無き人々の生き様を描いていく暗いストーリーだそうだ。 生活のために必死に金を稼ぐ少年、それをことあるごとに邪魔する不良グループ。 特にそこのガキ大将のハイボ。 盲目の楽士や足のない紳士から金を巻き上げ、さらには少女や子持ちの母親にまで手を出そうと(劇中ではちょっかいを出す程度)する筋金入りのクズだ。 余りにクズすぎるので妙な愛着すら出てきてしまう恐るべきクズ野郎である。「時計じかけのオレンジ」よりも愛すべきド畜生と言える(きっと褒めてる)。 ハイボの妨害に負けるものかと孤独な戦いを続ける少年。 カメラに向って卵を投げつけるほど苛立ちはつのる。 1対1のケンカに挑む少年、落ちたナイフでハイボを敗走させた。それにしても引き際を知るいじめっ子だ。 障害者への差別、躊躇なく動物を殺すシーンなど倫理に訴えかけるような生々しい描写、ラストの後味の悪さも手伝って賛否が分かれる作品だろう。 それでも見て損はしない、ブニュエルの傑作として歴史に残る作品だと俺は思う。他人は忘れても、観客は一生忘れない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:40:49)(良:1票)
952.  つばさ 《ネタバレ》 
ウィリアム・A・ウェルマンの傑作。  第一次世界大戦を舞台にしたストーリー。  物語は二人の男の友情と青春から始まる。  幼なじみと楽しく過ごすジャック、家族と過ごすデイヴィッド、ジャックに想いを募らせるメアリー、デイヴィッドに惹かれるシルヴィア。  メアリの想いもそっちのけでシルヴィアにのぼせるジャック。同じくシルヴィアに惹かれるデイヴィッド。  登場人物の掘り下げが実に丁寧で良い。  訓練、基地での一時の平穏、コメディタッチのやりとり、そこに突然訪れる仲間の死。  酒場で酒に酔うジャックだが、酒に溺れるよりも戦闘機に乗っている時の方がよっぽど戦争に酔っている。  それでも敵の大型機をコンビプレーで撃墜するジャックとデイヴィッドの友情が頼もしい。その友情の強さが後の悲劇へと繋がる・・・。  「ジャックはもう軍人なのね・・・」死にかけてまでジャックを追ってきたメアリーだが、戦いで疲れた彼の顔と「ペンダントの女性」を見て一時は身を引いていく。  一人の“弾丸”が死ねば次の“弾丸”が送られる。戦闘機乗りは「戦闘機そのもの」となって空を引き裂く弾丸と化す。  偵察任務、ドッグファイト、爆撃・・・兵士は英雄となる。多くの人間を殺傷して・・・。  ついさっきまで会話して人間が、次の瞬間には死んでいる。それが戦場だ。  メアリー(クララ・ボウ)のシーンだけどう見てもギャグです本当に。ウェイブ姿のクララ可愛いよクララ。  一瞬だけ登場するゲーリー・クーパーが忘れられない。1カットだけなのに。この頃から哀愁が尋常じゃないんだけど。  何この美味しすぎるエキストラ(チョコレートだけに)。  リアルな戦闘描写、ド迫力の空中戦、偶然が重なっておきる悲劇・・・空中戦の空間描写の凄さは「スターウォーズ」でも及ばない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:38:47)
953.  サンライズ 《ネタバレ》 
「最後の人」とか「ファウスト」とか傑作揃いのムルナウだが、やはり1本選ぶとするとこの「サンライズ」。 田舎の幸せな夫婦の中を引き裂こうとする小悪魔的な女、その誘惑に男が打ち勝って夫婦の愛を取り戻すという話だ。 ストーリーは至極単純、中身は超ドラマティック。 天使のような嫁さんジャネット・ゲイナー、筋肉的な夫ジョージ・オブライエン、それを唆す都会女のマーガレット・リビングストン。 夫婦には既に赤ん坊がいる。 だが可愛い嫁がいるにも関わらず都会女に惹かれる夫。 どんな美人でも「見飽きた」存在になれば誘惑に惹かれてしまう。男の性という奴か。 何も無い田舎・・・全てが存在するような都会の魅力が男を虜にする。 女は「私の夫になってよ。あんな女殺しちゃってさ。」恐ろしきは女の換言よりも、その言葉に支配されてしまう夫の方だ。 「吸血鬼ノスフェラトゥ」や「ジキル博士とハイド氏」の頃から恐怖演出がズバ抜けたムルナウ。 愛する女性を「邪魔者」として殺そうとする夫の狂気。 魔が差した人間ほど恐ろしいものは無い。 強烈なモンタージュ、湖面の美しさが余計に怖い。 「ミズーリ横断」や「廃墟の群盗」で常軌を逸した映像の美しさを残したウィリアム・A・ウェルマンも、ムルナウの恐ろしさに勝てる気がしない。 湖面に浮かぶボート、二人きりの「密室」・・・犬の乱入や夫自身の葛藤・・・ただこの様子を見るだけなのにまったく飽きない、見入る、見入ってしまう。  うーむ、この先もガンガン書きたい。ただこの続きを書いてしまうと全部ネタバレになってしまう。 いや本当この後の展開が「常軌を逸した」感じになっちゃうんだもの。 取り敢えずリア充爆発しろ。 いろんな意味で夫婦愛に溺れまくりっす。すごく微笑ましい。爆ぜろ。 余りに空気が変わったので笑ってしまうほど別の映画になる。 なのに何の違和感も無かった。 更にラスト20分でまた「突然変異」だ。 何なんだよこの映画・・・ムルナウ万歳。  ラストの夕陽と髪をといた「天使」の寝顔が最高に美しかった。こんなにもキレイな映画があって良いのか・・・。 真相は是非とも本編で堪能してもらいたい。
[DVD(字幕)] 10点(2014-01-25 13:32:44)(良:1票)
954.  怒りの日(1943) 《ネタバレ》 
「奇跡」と並ぶドライヤーの最高傑作。  「魔女狩り」をめぐって揺れた時代。女は男に愛を求めるが、その禁断の愛は男を虜にする。   女の魔性の美・・・心は拒絶しても肉体は彼女を求めようとする・・・人間の本能が。  ドライヤーの宗教描写は「宗教なんざクソ喰らえ」ってところが好きだ。 劇中の二人も禁じられた愛に染まっていく・・・。   ドライヤーの描く女性像もフルスロットル。   本当こういうの上手えなドライヤーは・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:30:03)
955.  奇跡(1955) 《ネタバレ》 
「奇跡(御言葉)」の題でも知られる作品。 俺個人は宗教を否定する「怒りの日」の方が好きだが、この作品が「裁かるゝジャンヌ(裁かるるジャンヌ )」に並ぶドライヤーの最高傑作である事は確かなのだろう。 「裁かるゝジャンヌ」は神格化されたジャンヌ=ダルクを一人の人間として描き抜いたが、この映画に起こる奇跡は神の仕業か、あるいわ人の言葉が起こした奇跡なのか。それは見る者に委ねられ、その瞬間を貴方はワクワクしながら待てるのか、あるいわ苦痛を伴いながらも待てるのか。少なくとも、劇中の人間たちの神に対する信仰は何処か薄い。  丘を登り神のお告げか何かを待つもの、それを諦めてくれる事を待つもの、家族の帰りを待つもの、希望と焦りを抱えながら医者を待つもの、荷物を運ぶためにその時を待つ漆黒の馬車、椅子に座って最後の別れあるいわ奇跡を待つものたち。時計の針も誰かが再び動かしてくれる事を待っている。  のどかな農村風景、動物の鳴き声でいつものように起きる人々。青年が窓を開けると、小高い丘に階段で登っていく男の後ろ姿。 青年たちは丘を登った男の後を追い、それを窓から見守る家族。風でなびく丘、そこから見下ろすように何かを語り始める男。男は部屋の中でも火の灯された蝋燭を持ち、同じような語りを続ける。それを優しくそっと消し、家族にコーヒーを振る舞う。どうやらこの光景は家族にとって日常風景になってきているらしい。 彼はこの後も何度も何度も同じような語りを繰り返す。その積み重ねが奇跡へと繋がる。 蝋燭は室内を照らすため、死者を弔うため。  凶事を知らせる馬車の疾走。  哀しみが満ちた空間、馬の嘶きが時間の経過を伝える。薄いカーテンが窓から注ぎ込む強い光を和らげる。 重く結ばれた指がある“言葉”によって開かれる瞬間・・・!少女の唇も微笑を浮かべ、重く沈んでいた眼に光が蘇る。  冒頭でも神か人間の奇跡かは観客に委ねられると書いた。 ただ、俺個人は人間が起こした奇跡だと信じたい。たとえ本当に神様がいたとしても、その言葉を伝えられるのは人間だけなんだから。時計の針を動かし生命を与えられるのは・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:27:34)(良:1票)
956.  第三の男 《ネタバレ》 
キャロル・リードは「二つの世界の男」と「フォロー・ミー」は文句なしの傑作だと思うが、この「第三の男」はやや完璧すぎるし、影の演出のあざとさも気になる。 淡々と謎を解き明かしていく流れ、オーソン・ウェルズの登場シーンや地下水道での追走劇も計算され尽くしている。 加えて、プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニックの演出。 この男はどんな作品でも必ずと言っていいほど三角関係をねじ込んでくる。 「キングコング」で怪獣、男、女の三角関係を描いた男だ。当然「第三の男」も小説家、女、闇の住人の三角関係に発展していく。  第二次大戦後の暗い影が付きまとうこの映画。 戦後の新しい時代の白い「光」、社会の黒い「闇」の世界。 日夜問わずにこの白と黒がせめぎ合うサスペンス。 そこにシンプルな音楽の調べが何とも言えない雰囲気を作り出す。  友人の不可解な「謎」を追ってウィーン市内を渡り歩く主人公。 事件の真相を追うのは友情か、それとも作家としての好奇心か。 途中で出会った謎の女性。 友人について知っているらしいが、彼女にも暗い影が見え隠れしている。  様々な国が入り乱れて統治するウィーンの街は、戦後の混沌を表す良い見本だ。  そして主人公の前に現れる「第三の男」。 音楽のリズムが一気に変化し、暗闇から姿を表す。 こんなにドキドキする登場シーンはそうそうないぜ。  主人公と「第三の男」との駆け引きは徐々に激しさを増し、下水道を縦横無尽に駆け巡るラストまでの流れは惚れ惚れする。  光の中に生きる者と、闇にしか生きられなくなった者、それぞれの顛末。  それはコインの裏表のように、常にひっくり返される存在なのだ。  ラストの舗道のシーンは良いね。何度見ても。
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-25 13:23:33)
957.  テキサスの五人の仲間 《ネタバレ》 
「スティング」も面白かったけど、度肝を抜いたという意味ではこっちの方が好きだ。 西部劇としては珍しいギャンブルが主題の隠れた傑作。  人間ドラマだけでストーリーを盛り立てたその見事な脚本。  「泥棒貴族」の原案や「ハスラー」の脚本家シドニー・キャロルの見事な筋書き。  カードのテクニックよりも、ポーカーフェイスといったドラマで魅せる映画だ。   ファーストシーン。  ジョン・フォードの「駅馬車」を彷彿とさせるスピード感と集う賭博師たち。   ポーカーをやるためだけに仕事も生活も投げ出してやってくる賭博馬鹿の五人。   その一大ポーカーを観るために集まるギャラリー。  ギャラリーにとっても大イベント。   キャストもヘンリー・フォンダやジェイソン・ロバーズ、チャールス・ビックフォード、ジョアン・ウッドワードといった豪華な顔ぶれ。  とにかく登場人物がどれも魅力的。   ラストの超どんでん返しは「騙された!」の一言。  もう一回騙されたくなる面白さがあるね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:20:47)
958.  スティング 《ネタバレ》 
「テキサスの五人の仲間」が最高のどんでん返しならば、「スティング」は最高の計画通り。 騙される愉しみではなく、騙していく愉しみがスティングの魅力だ。 ユーモアたっぷりの犯罪映画。 ロイ・ヒルは「明日に向って撃て!」の方が好きだが、「スティング」もまた大いに楽しませてくれる傑作! 脚本の完成度で言えば「テキサスの五人の仲間」の方が上だが、純粋な満腹度で言えばやはり後年の「スティング」を俺は選ぶ。今回再見してみて一番印象が変わったのは、ポール・ニューマンの相棒を務めたアイリーン・ブレナンもとびきりの美人てほどじゃないけど場数を踏んだ女傑という雰囲気を前回見た時よりも強く感じた。キャサリン・ロスとはまた違った魅力を再発見できたのが嬉しい。 冒頭の見事な「詐欺」、一瞬のすり替え、ドライな殺し合い・・・動きで魅せる事にこだわったロイ・ヒルの粋な演出。 物語は1930年代のシカゴを舞台に、詐欺や賭博で生活を立てるフッカーの波乱に富んだ生活と復讐の物語。 各章ごとに区切る事でより盛り上がるストーリー展開、初っ端から金を騙しとるフッカーたち、その瞬間から全てのからくりが動き出す伏線のオンパレード。 賭博師・警官・マフィアの三つ巴、殺し屋、詐欺師、ボディーガードの三連装! 警官に殴られてもタダでは金をやらないフッカー。 警官・マフィアとの三つ巴の逃走劇は命のやり取りを楽しんでいるようにしか見えない。正に生きるか死ぬかの大博打。  フッカーを追うスナイダーの執着ぶり。 ここまで来ると「ルパン三世」に出てくる銭形警部のような愛着が湧いてくる。ある意味一番幸せな男だ。 ゴンドーフの詐欺師振りも凄い。相手がヤクザだろうが何だろうが度胸一番、酒は飲んでも飲まれずキッチリ大仕事。古女房ビリーとのコンビが面白い。 さあ今回最大の被害者となるドネガン。いやいやコイツは受けて当然の仕打ちよ。 命を取られた人間が一番の犠牲者なんだから。 なーに財布の50万$やら100万$なんざ軽い軽い(精神的に廃人になるだろうけど)。  ラストの締めも最高のエンディングだった。 「やっぱりそうなったか!待ってました、予想通りの最高の終わり方!」  本作は「騙される」のを期待して見る映画じゃない。 主人公たちがいかに仇を「騙して」金を巻き上げるかを見守る作品なのよ。主人公と仇の温度差をな。 そんな最高の映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:18:37)(良:2票)
959.  アンタッチャブル 《ネタバレ》 
ハワード・ホークスの「暗黒街の顔役(SCAR FACE)」の復活を予感させたパルマの傑作。同時にショーン・コネリーにとっても「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」や「王になろうとした男」に並ぶ最高傑作! 豪華なキャスト、オープニングから血が騒ぐエンニオ・モリコーネの神BGM、うごめく影と「The Untouchables(触れられざる者)」の文字。 アル・カポネがふんぞり返り髭剃りをするシーンから映画は始まる。記者の質問に対して「暴力はいけない」などとほざき、裏で部下に“見せしめ”として酒場に置き土産させて吹き飛ばすような男だ。 禁酒法時代、法権力を弄び警察すらギャングに手を出さずグルになる奴まで出て腐敗しきっていた時代。 そんな時代にある男たちが立ち上がり、巨悪へと挑む。エリオット・ネスの孤独な奮闘と空回り、それに応えるジム・マローンの男気と頭脳、凄腕の新人ジョージ・ストーン、殺る時は殺る簿記係のオスカー・ウォーレスも加わり4人、いや騎兵隊さながらのレンジャーたちの協力などもあり徐々にアル・カポネに迫る。彼等を突き動かすのはカポネに殺された少女の、酒場の、人々の声なき哀しみ、そして怒り。 そんな警察とギャングの死闘の巻き添えを喰らって死ぬ市民はもっと不幸です。 「戦艦ポチョムキン」をオマージュした駅での銃撃戦は正にそんな場面。 ネスとマローンが橋の上で出会うシーンからしてカッコ良い。素早く警棒をポケットに突きつけ腕を押さえるシーン。もしマローンがギャングの仲間だったら、ネスは懐に手を入れた瞬間に殺されていた。 「新鮮なリンゴ」を収穫する仲間集め、罵り合いの面接、マローンの殴り込み、西部劇を思わせる橋の上でのガンファイトと“死体蹴り”尋問、法廷と建物内における最終闘争・・・マッチで気付く仇、ネスが文字通り“落とし前”を付けるシーンはスッとする。その直前まで指で迷い、眼が泳ぎ葛藤を表す。撃鉄を戻す瞬間に伝わる悔しさ、殺し屋がネスに殺意を戻させる“一言”。裁判長が折れ弁護士すら裏切る瞬間は何度見ても最高。 警察側に暗殺者が迫る瞬間の戦慄。カポネからマローンへの“鎮魂歌(レクイエム)”。 駅での死闘は誰も母親を助けない、助けに入ったネスが犯人に気を取られ危うく赤子を殺しかける緊張。 ネスとカポネが正面から罵りあう姿は何処か憎めない。だってデ・ニーロのブチ切れ振りが凄いんだもん。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:15:37)(良:1票)
960.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
パトリシア・ハイスミスの原作、ヌーヴェルヴァーグのスタッフが多数終結した傑作スリラー。間違いなくルネ・クレマンの最高作だ。  海を走り飛び立つ飛行機 お洒落なOPからしてこれがヌーヴェルヴァーグの要素をふんだんに盛り込んだ作品であることが解る。撮影にアンリ・ドカエ!  机の上に敷き詰められたパンフレット、写真、絵の山、二人の男の会話から物語は始まる。  パンフレットの船、男たちが友情を深める船、事件が引き起こされる密室になる船。 盲目の男にぶつかり、謝罪の気持ちの金を払い、杖をとってしまい盲人の真似、彼らは車が絶対に止まると信じて車道を横切るのである。信じてはいるが、万が一車に轢かれて死ぬかも知れないというスリルも楽しんでいる。もう一人の男は女と遊ぶために盲人の真似ごとをする。  宝石に触るわ胸にさわるわ尻を叩くわやりたい放題、口づけは挨拶のように交わされ、それが少しずつ二人の男に亀裂を生む。 手に握られた戦利品、船上であんなに仲良くやってたのに…あの娘を自分の物にしたいという欲望が男に決断させてしまう。  海中に消えたはずの者が常にその存在を感じさせ、緊張を持続させる。ホテルで追っ手を撒く駆け引き。 隙をついて扉を開け、寝室で無防備に寝る女に近づく欲望。彼は焦らない。友人を虜にした女性、今度は自分がその女性を虜にしてやろう。それは自分を裏切った者への復讐でもある。慰めるのは過去を忘れさせて自分のものにするため。  ギターは投げ捨てられ、水着姿で手をつなぐことによって二人に肉体関係が成立したことを静かに物語る。 船が運んでくる無言の帰還者、「手」。  警官が、メイドが映画の終わりが近づいていることを知らせる。太陽をあおぎ、椅子に深く腰掛けて満足げな顔を見せる主人公。何も知らずに酒をあおり、店員の呼びかけに無垢な笑顔を見せる。  それを静かに見守る船によって、物語は締めくくられる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:14:16)
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