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no oneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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81.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
世界中を飛び回る相変わらずの展開は楽しいけれど、ちょっと飽きた。スピード感あふれる展開はいいんだけど、前作までですでにやったアクションの焼き直しが多く、新味のある見せ場が少ない。雑踏のなかを素人を守りながら逃走する下りなんかは最高だったけれど、車に乗り込む辺りでまたかよと思う。というか冷静に考えるとあんな乗り方していたら数分でプスプスいって止まると思う。ジェイソン・ボーンが最強過ぎるので、どうせ今回もなんとかするんだろうなーと悪い意味で安心して鑑賞(結末もボーンの不死身っぷりを見せつけるのが最大の狙いであって、必ずしも続編を暗示しているわけじゃないと思う)。まあそれでも、取ってつけたような人間ドラマの部分に目をつむればそこそこ楽しめるレベルだった。でも平均8点というのはちょっと驚きかも。
[DVD(字幕)] 6点(2008-04-12 22:13:42)(良:1票)
82.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 
面白かったけど、深遠さに欠けるというか、あくまでも娯楽作品としてよくできているという印象。伏線の利かせ方が非常にわかりやすく、脚本の計算が透けて見える。登場人物は敷かれたレールの上を忠実に辿る人形のよう――というのは言い過ぎだとしても、少なくとも厚みのある人間としては感じられない。みんなして明らかにストーリー上必要な失敗を犯していくのには笑ってしまった。たとえ子どもであっても、あそこで葡萄を食べるのはバカ過ぎるだろう。医者の台詞や、悲痛なラストにはさすがに涙を誘われたけれど、深く感動したかと訊かれたらNOだ。面白い。それは確かだが、それ以上のものはなかった。
[DVD(字幕)] 7点(2008-04-12 21:46:18)
83.  イル・ポスティーノ 《ネタバレ》 
唐突な結末に引いてしまったけれども、この映画に漂う空気は好きです。陽光きらめく海沿いを自転車で走る姿にあの音楽――ほんの少し、ジブリっぽいなと感じました。
[DVD(字幕)] 6点(2008-02-16 18:06:07)
84.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 《ネタバレ》 
題材に見合わない繊細な描写が好き。たとえば冒頭に拳銃で撫でられた女が屈辱に唇を震わせる場面や、出所したヌードルスと抱き合ったあとのペギーが急に静かになって、無理して明るく振る舞っていたことを窺わせる場面。暴力性の強い作品ではあるけれど、その一方で心理描写が女性的といっていいほど丁寧だ。  主役の男達はまともな女性関係をなかなか築けずに、何かというと娼婦を買っている。彼らの男性性の過剰さはほとんど獣性といってもいいほどで、それが彼らを裏世界に追いやったそもそもの原因でもあるのだろう。例のレイプシーンが非常に不愉快だったので思わず観るのをやめようかと思ったけど、ヌードルスの孤独を語るのには必要な描写だったのかもしれない。愛した女と結びつくことは決してなく、力ずくでものにしようとしたって二人が別世界の人間であるという事実は変わらない。むしろあの行動がそれを証明したといってもいいと思う。(にしても、あそこまで残酷な描写はやめてほしかったかな…)。  ラストについて、「夢オチ」という解釈が案外メジャーみたいなので驚いた。別に夢オチじゃないと説明できないような大きな矛盾もないし、その説を補強する論理的な手がかりもなく、大体にしてそんな結末だと興ざめするだけでミステリ的な仕掛けとして失敗だと思うんだけど……。あの笑顔は彼が過去の美しい思い出だけを拠り所に生きていくのを暗示しただけで、それはマックスと再会したときの台詞にも表れているんじゃないかと思う。だからこそ、このタイトルなんじゃないの?
[DVD(字幕)] 9点(2008-02-16 17:51:09)
85.  地獄の変異
そこそこに優秀だけど冒険しない、いまいちぱっとしない優等生のような映画。  映像・美術への力の入れ方は半端じゃなくて、冒頭を観て間違ってヨーロッパの戦争映画を借りてきたんじゃないかと疑ったほど。洞窟内の映像もドキュメンタリーに劣らないクオリティで、ときどき話の筋と無関係にキレイだなーと見惚れていた。  でもお話としては毒にも薬にもならないというか、クズでもないけどA級でもないという平凡さ。暗闇のなかで怪物の姿がはっきりしないのは『エイリアン』第一作とか意識してるのかもしれないけど、いかんせんデザインが微妙。悪くもないけど、パンチが効いてない。  洞窟という閉塞感のある状況設定は秀逸なんだから、ウォータースライダーみたいな下りやロッククライミングの場面をもっと生かしてもよかったと思う。岩壁でロープを利用して振り子のように逃げるあの場面、演出次第によっては戦慄の名シーンになったはずだけど、そこもなぜか普通だった。全体を通して演出が抑え目なんだけど、それが功を奏しているのはラストぐらいなんじゃないかな。  なんというか、惜しい。何もかもが中途半端で、思い切った部分がない。もっとドラマティックにエンターテインメントできたはずなのに(あるいは、B級風味のない硬質なサスペンスにもできただろう)、地味で大人しいレベルに留まってしまったという感じ。
[DVD(字幕)] 5点(2008-02-02 16:32:45)(良:1票)
86.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
初めて観たときは最後の決闘場面にものすごい衝撃を受けた。今見ると血の吹き出し方に思わず笑うけど(全身頚動脈かよ)、それでもやはり名場面であることに変わりない。知恵比べを主としたプロットといいひょうきんなキャラクターといい、娯楽作として一つのスタンダード足り得るものと思う。まだ若い田中邦衛が『北の国から』では絶対ありえない台詞ばかりいっているのも、ちょっと面白かった。
[DVD(字幕)] 7点(2008-01-19 00:58:38)
87.  風と共に去りぬ 《ネタバレ》 
劇画調の演出には辟易させられたものの、素直に面白かった。スカーレットに感情移入するのは無理だったが、「何やってんだよw」「ありえねーww」などといちいちツッコミを入れながら観ていたら、それなりに楽しめた。利己的で自己中心的だけど、圧倒的にパワフルでたくましい。この作品が戦時中に撮られたことがそこかしこで話題になっているけれど、アメリカという国自体、まさにスカーレット的な性格をしているようにも思える。作品全体に、ほとんど野蛮なほど生命力がみなぎっている。  終わり方が唐突で、打ち切りになった少年マンガのよう(いきなり新たな敵が登場して「まだ戦いは始まったばかり…」とかいってる感じ(?))な強引さを感じた。時代の変遷と共に大切なものが何もかも失われていくけれど、わたしはどんなことをしてでも強く生きてみせる――そういいたいのだろうが、ここまでたくましいと胸焼けものだなあ。スカーレットではなくメラニーの視点で物語を展開したほうが、日本人向けの話になるかもしれない。
[DVD(字幕)] 8点(2008-01-12 02:54:45)
88.  スティング
ダサくてお洒落な音楽、雰囲気は好き。レッドフォードが健脚をもって逃走するシーンはツボにはまった。駅のホームを駆け抜ける場面、異常に足速くないか(笑)。歩幅が松田優作並みだったぞ。どんでん返しとしては革新的だったのかもしれないけれど、それ以上に全編を覆う空気の心地良さが素晴らしい。どんでん返し一本頼みで、それを取ったら何も残らないような最近のサスペンス映画はこういうところを見習ってほしい。ひとつひとつの要素を吟味して、丁寧に積み上げていく職人的な仕事をこそ継承すべきだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2008-01-05 00:54:12)(良:2票)
89.  武士道残酷物語 《ネタバレ》 
原作が『シグルイ』の人だというので観てみました。  五部までは面白い。飯倉修造編で残酷が最高潮に達したので、このあとはどう展開するのかと思いきや、社会構造が一変してもなお服従の精神は変わらない明治編。ここがある意味いちばん怖かったし、秀逸な出来栄えだと思う。  しかし戦争編と現代編については、なかったほうがよかった。第二次大戦のエピソードは取ってつけたようなうすっぺらいものだし、会社への忠誠心を武士道の系譜としてみる現代編はさすがに話を広げすぎだろう。すべてを武士道精神で説明するのは日本人論としてあまりにも大雑把で、乱暴すぎる捉え方だ。  明治編で打ち止めにしておけば傑作だったものを、強引に現代まで繋げるからこんな怪作、異色作になってしまった。青年から老人まで演じて違和感のない錦之助は見ものだけど、かなり癖の強い仕上がりで、なかなか人には奨められない。
[DVD(邦画)] 6点(2008-01-01 20:52:10)
90.  未知との遭遇 《ネタバレ》 
宇宙人が人類より遥かにレベルの高い存在として描かれていて、ほとんど宗教の匂いすらしますね。宇宙人の行動はかなり意味不明なんだけど、それも人間には計り知れない意図があるから仕方ないんだという空気でスルーされてる。宇宙の彼方からやってきた未知の存在が人類に叡智を与えてくれるという夢想は、いかにもニューエイジ思想で、現在からするとちょっと馬鹿らしく感じられる。  けれどもこの映画は独特の美しさを持っている。それは未知のものへの憧れであったり、拒絶や恐怖であったり、畏怖心であったりする。子供の頃はともかく、いろいろな知識を蓄えた今となってはオカルト系の話には白けきった気持ちしか湧いてこないんだけれども、無邪気にUFOの特集番組なんかを楽しんでいた時代が懐かしくもある。この映画には不可思議な存在に対するさまざまな感情が詰め込まれ、UFOに託されていた人々の夢が理想的な形で表現されている。  スピルバーグの故郷はアメリカで初めてUFOが目撃された町だったという。宇宙人は信じないけれど、人が夜空に抱いた素朴な憧憬の気持ちは、いとおしいと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2008-01-01 20:26:16)
91.  天然コケッコー
一昔前の田舎町といういかにもな舞台を、こうも嫌味なく創り上げているのには驚いた。牧歌的な情景にしても素朴な人物描写にしてもごくごく自然で、役者さんたちがみんな伸び伸びとして生きづいている感じがする。  そよや大沢君もいいけど、さっちゃんや弟もかわいくていい味出してる。親父さんが原作のイメージと変わらずうざいのには笑った(佐藤浩一さんだとちょっとかっこ良過ぎる感はあったけど、そこはさすがの演技力)。シゲちゃんも上手い具合にうっとうしい感じ。総じて、脇役のはまり具合が半端じゃなかった。  原作ファンとしても、何の文句も出てこない。コミックの映像化は多いけど、山下敦弘×『天然コケッコー』ってその中でも最高の相性じゃないかと思う。漫画にはまったく台詞のないサイレントの回もあったけれど、山下さんならそういうのも違和感なく映像化できるんじゃないかな。予想以上にエピソードが盛りだくさんだったのに急ぎ足の印象もなく、調度いい按排に仕上がってる(もっとも、浮気や漫画の下りはいらなかったかも)。  繰り返し観たくなる、柔らかで温かな世界。観ている人が少ないのがちょっともったいないなあと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2007-12-23 01:54:30)
92.  秒速5センチメートル
とにかく空の色が高くて深くて、驚嘆。インタビューを拝見したところ、新海さんは「人の手で書いた絵はどんなに写実性を心がけても所詮主観が混ざるのだから、いっそのこと主観に沿った風景を」といった旨のことをおっしゃっていた。当たり前といえば当たり前のことではあるけれど、映像表現の世界ではそうした方向にまだまだ開拓されていない可能性がたくさんあるのだと思わされた。脚本に賛否両論があるのは理解できるが、彼がアニメーションにしかできない方法を模索し続けていることは確かだ。ただし、膨大なロケハンによって支えられた背景に比べて、あんまり人物の画には執着が感じられないのはやや残念だった(好みもあるかな)。  モノローグの多用は拙いとみるべきなのか作風ととるべきなのか未だにつかみかねるところがあるけれど、正直涙腺が緩んだりもした。共感を抱いてしまうとけっこうきつい(そして山崎まさよしはマジで反則)。でも次回作はそろそろ違った方向のお話を見せてもらいたいなあ。  余談:監督インタビュー中、普通に入ってくる猫に和んだ。
[DVD(邦画)] 8点(2007-12-23 01:22:25)
93.  街のあかり 《ネタバレ》 
冴えない割には美形の主人公が、動物図鑑の草食動物の項目に載っていそうな女にたらしこまれていくのが納得行かなかったけど、その点を別にすればけっこう卒のない出来。『浮き雲』や『過去のない男』よりもっと前の作品に似て、暗くシンプルなストーリーだった。次に男にどんな不幸が訪れるのかが観ていて容易に予想できる。男自身もわかっていてあえて飛び込む。この男の強さは愚直さと同意義であるはずなんだけど、どういうわけか苛立ちは覚えなかった。全然自分の不幸に酔っている部分がないからだろうか? 鬱な展開しかないのに後味はすっきりしていて引きずらない。暗いけれどなんともいえず清々しい作品だった。
[DVD(字幕)] 7点(2007-12-23 00:49:21)
94.  ブラッド・ダイヤモンド 《ネタバレ》 
アクションパートは「銃撃戦開始」→「走って逃げる」の繰り返しで、話がだれそうになったらとりあえず襲われるみたいな安易な繋ぎもあり、エンターテインメントとしてはけっこう単調な作りだと思う。しかし戦闘シーンそのものの真に迫った凄惨さと、アフリカの残酷すぎる状況が、走って逃げるだけの場面にも異様な緊張感を与えている。娯楽の要素と社会派の要素が相互に補い合っている、珍しい例。  子どもが兵士にされるとは聞いたことがあったけど、まさかこれを映像化するとは思わなかった。アフリカの紛争ニュースを聞くと、人間ってほんとうにどこまでも残酷になれる生きものなんだと痛感させられる。  純粋な好みでいうとハリウッドテイストはなしで、もっと重くしてほしかった。面白いとは思うけどテーマが重要な割りにあっさりしすぎていて、このストーリーだと二三年で忘れてしまいそうだ。
[DVD(字幕)] 6点(2007-12-18 13:26:55)
95.  ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう 《ネタバレ》 
前半は微妙で点数にして4~6点ってところだけど、最後の二篇は7~8点つけてもいいくらいしょうもなかった。  古典ホラーテイストの第6話、パンとセックスて……「120mのペッサリーを開発した。これで全国規模で避妊できる」この台詞にマッドサイエンティストの真髄を見た。第7話、真っ白な服を着た精子役の男達が次々と穴から飛び出ていく映像を観て、なんか知らんけど映画ってほんとうに素晴らしいものだな、と感慨を覚える。  全体を通してみるとさすがに古さを感じずにはいられないが、30年以上前の制作だと考えるとちょっとした驚異かも。PLAYBOYのロゴにもなっている連中が主役のオープニングとエンディングは大好き。まったくの余談ですが、あいつらって人間にすら欲情するらしいですよ。あんなに可愛いくせして。
[DVD(字幕)] 6点(2007-12-18 13:02:23)
96.  ブロードウェイと銃弾
めちゃくちゃ面白かった。おすすめ。  ウディ・アレンとしては珍しく、一般受けしやすいバランスのとれた作品となっている。すべてのキャラが立っていて、コメディとしてとてもよくできていた(ただし相変わらず笑うところでもわかりやすい演出なしにさらっとすませているので、わからない人にはわからないかもしれない)。それでいてテーマ性も深く、芸術家とはどんな人種なのかを的確に言い当てている。  仮初めの芸術家としての自己顕示欲やナルシシズムに囚われた連中ばかりいるなかで、人知れず至高を求める真の芸術家の純粋さが、恐ろしく、また哀しい。凡人は特別な才能のある人物を見ると安易に羨ましがったりするけど、天才からすると気楽で幸福そうな凡人が羨ましく見えるのかもしれない。  ウディ・アレンとは波長が合わないと思っていたけど、本作で見直した。濡れそぼった子ヤギみたいな顔してるくせして、やるじゃないかアレン。本人が出演しなかったことも、この作品の水準を上げた一因じゃないかと思う(ひどい 笑)。本人が出なかったこと、そして恋愛を主題としなかったことで、過剰な自意識やコンプレックスが作品の均衡を崩すのを防げたんじゃないだろうか。
[ビデオ(字幕)] 9点(2007-12-16 18:26:14)(良:1票)
97.  恋恋風塵
よっぽど小津安二郎が好きな監督なんだろうなーと思った。でも似ているのは雰囲気だけで、中身は薄い。現実感にこだわりすぎたためかドラマ性がほとんどなく、抑制の度合いを越えて単なる退屈な代物になっている。厚みのある台詞や演技は皆無で、最後まで観ても登場人物の人となりすら伝わらない。映像やシンプルな音楽の使い方が秀逸で、美しいと思える場面もあったけれど、いかんせん人間が描けていない。
[ビデオ(字幕)] 5点(2007-12-16 17:52:06)
98.  サウンド・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
以前にもBSでなんとなくは観たことはあったけれど、今回思い立って最初から最後まできちんと鑑賞。やはり期待を裏切らない名作でありました。  冒頭のアルプスの映像には初め「?」と思ったんだけど、タイトルが出るまで進んでから、リモコンの巻き戻しボタンを押してもう一度最初から観ていた。最後まで観終えてからまた冒頭だけ繰り返し観た。何度観ても鳥肌が立った。少なくとも冒頭についてはこれ以上見事なものを他に知らない。  けれどもラストがあっけなさ過ぎて、もの足りなさを覚えた。その割りにどうでもいいやりとりはしっかり入ってたりして、ちょっと残念(ただ、修道女さんたちの“懺悔”には思わず「…グッジョブ」と呟いた)。  すごく明るい元気に満ちた作品で、鑑賞後にはまさにあのシーンと同様に、晴れた日の高原で深く息を吸い込んだような、爽快なエネルギーが体にあふれてくる。夜の庭でマリアと大佐が、虫の音を背景に歌う静かなラブソングも好き。映画それ自体も傑作だけど、これほど音楽の力を思い知らされる作品は他にないと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2007-12-14 01:44:14)
99.  ロッキー・ザ・ファイナル 《ネタバレ》 
これまでのシリーズはすべて未見です。  そんなに感動はしなかったけれど、ポジティブなテーマを至極真面目に訴えているからか、鑑賞を終えたあとには充足感が残った。中盤までほぼ、ロッキーと誰かとの対話で物語が進む。他者との対話は自身の立ち位置を知るのにもっとも有効な方法であり、ロッキーもまた会話を通して自らの進むべき道を悟っていくように見える。息子に対して強い調子で語るのは、鏡映しになった自分自身への怒りでもあったんじゃないかと思う。  ボクシングの試合についてはほぼ予想通りに事が進んだ。なんとしても倒れないロッキーを見て、格闘家の角田信朗氏が愛弟子の武蔵を相手にした引退試合や、その後もハングリーに復帰した経緯を思い出した。あの人もロッキーファンなんですよね。むしろフィクションを地で行く角田さんすげーなと変なところに感心してしまった。
[DVD(字幕)] 6点(2007-12-06 02:14:43)
100.  ゆれる 《ネタバレ》 
隠喩とか象徴とか考えるのはあまり好きではないんだけど、いわばあの橋は兄弟の関係そのもので、間に一人の女が割り込んだがために激しく揺れ、その脆さを露呈したのだといっていいと思う。  猛の偽証はあんまりだという意見が多いけど、そうだろうか。殺人ではないにしても過失致死か傷害致死なのは間違いないわけで、結果を見る限り素直に同情できない。仮に助けようとしたとしても、危険なつり橋で人を突き飛ばすような男は刑務所に行って当然だろう。  最初、猛は兄が灰色であるのを承知でかばっていた。が、面会した兄は異様な言動を見せ、法廷では嘘をつき、偽善的なパフォーマンスまでやってのける。検事が「相手が落ちるのを予想して手を伸ばしたんだろう」と迫る下りは、なるほど証拠は無いがそれもありえなくはないな、と思わせた。あそこで傍聴席の猛がちらりと映されるが、あるいはあのときすでに、兄を疑い始めていたんじゃないだろうか。  無罪と思い込もうとしていたのが、終いには狡猾な男が芝居を打って罪を免れようとしているように見えてくる、そしてそいつを有罪にできるのは、自分だけ――だったら、あの行動もまんざら理解できなくない。  猛の証言に稔が微笑んだのは、たぶん、嬉しかったんだと思う。面会室で弟に唾を吐きかけたときから、きっと稔はどこかでああなることを望んでいた。初めて弟に本心を晒し、弟もまた本心でぶつかってきたことが、清々しかったのだろう。以前は表面的に仲の良い兄弟でしかなかったのが、おそらく生まれて初めて本気で兄弟喧嘩をしたのだ。  そしてラスト。個人的にはあの終わり方が一番よかったと思う。事件を契機に兄弟は初めて取り繕うのをやめて醜い悪意をぶつけ合い、それでも弟が再会を望んだから、兄は笑った。きっと彼らは関係の快復を望んだろう。でも確執が残っているのは当然で、元通りGSで働くのも難しいのだから、いきなりの和解なんて夢想でしかない。見通しは甘くないのを承知の上で、なおも希望を見つけようとする。  人は繋がりたがる生き物だから、どんなに頼りなくゆれる橋でも、向こう岸に渡りたいと望む。ラストが曖昧なのはごまかしではなく、そこに願いを込めようとしたからだと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2007-11-29 00:53:00)(良:1票)
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