81. ウォーターボーイズ
まあ、普通の映画。特に大きな欠点はないけれど、別に感動もしない。竹中直人はうっとうしいけど、この人の場合まったくの予想通りだから大きなマイナスにはなりません。予想通りといえば、ストーリーも想定の範囲内で意外性はなし。ヒロインが平山綾というのは驚きですが。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-10-31 16:34:59) |
82. 築城せよ!
《ネタバレ》 なかなかよかったです。各人物の設定がよく考えられており、それに基づいた脚本がうまい。いや、物語から人物設定をしたのか? どちらにしろ、単に「現代によみがえった戦国武将が城を建てようとする」だけの話になっていません。人間関係を軸に据えたドラマに仕上がっています。戦国武将の片岡愛之助、対立する町長の江守徹、どちらも好演ですが、1番いいと思ったのは両者の間をを取り持つ教授役の津村鷹志。文字通り要のポジションにあって、役と役者がみごとにぴたりとはまった好例だと思います。とても味があります。この方、「ウルトラマンタロウ」に出ていましたね、なつかしいです。その他のキャストも、それぞれよかったと思います。藤田朋子は、あまり大学の先生というイメージではありませんが(笑) 見る前は悪ふざけのコメディかと思いましたが、いい意味で期待を裏切られました。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-10-26 21:53:04) |
83. 湖のほとりで
《ネタバレ》 捜査ものとしては、刑事たちのキャラクターはいいけどもの足りない。話の進行にメリハリがなく、ダラダラしています。事件関係者のドラマは、進行性の病気とか親子関係とか扱っていますが、どれも薄味で掘り下げていないので、心に残りません。素材としては悪くないとは思いますが。全体として、どこをポイントに見ていいのか(見せたいのか)がわかりません。もしかして全部が何かのメタファーとか? [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-10-24 12:32:22) |
84. 終着駅 トルストイ最後の旅
《ネタバレ》 ラスト、走り去る汽車を見ながら思った。ソフィアはきっと、夫には自分だけの人でいてほしかったのだろうと。しかしロシアの宝となり、トルストイ主義の「教祖」に祭り上げられた今となっては、それもかなわないこと。であっても、自分ひとりの夫でいてほしい。これはたいへんなワガママなのでしょうが、考えてみると一人の人だけを愛するというのはワガママなことなのかもしれません。してみると、トルストイは「すべての宗教に共通するのは愛だ」と言っていましたから、宗教というのはたいへんワガママなものということになります。宗教の間で争いが絶えないはずです。 それはともかく、いまわの際にトルストイが求めたのはほかならぬ妻であり、彼もこの時ばかりは公人の立場から逃れて一人の人間に立ち戻れたようです。であれば、これはハッピーエンドの映画ということになるのでしょう。 もともとトルストイにあまり関心はなく(それでも『戦争と平和』と『復活』は読んだ)、ヘレン・ミレンが出ているということで見たのですが、期待に違わぬ芝居を堪能できました。トルストイ役のクリストファー・プラマーも枯れた演技で、臨終の場面など妙にリアルでギョッとします。ジェームズ・マカヴォイは前半の妙にオドオドしたところがはまっていました。チェルトコフをあからさまな悪役に描いていたのは適切かどうかわかりませんが、映画としてはなかなかよかったと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2010-09-19 17:20:11) |
85. ミス・ポター
《ネタバレ》 なかなかの良品でありました。絵本作家としての思い、恋愛と両親との対立、ミリーとの友情、乱開発への反対などが、無理なく収められています。時間が短いこともあってやや薄味ですが、個人的にはあまりしつこくやられるよりはよかったですね。サクサクと話が進むので、ストレスを感じることもありません。主演のレネー・ゼルウィガーが決して美人ではないことが、本作ではプラスに働いたと思います(実際のビアトリクス・ポターは、才色兼備だったそうですが)。ミリー役のエミリー・ワトソンも好演で、間にはさまれたユアン・マクレガーは少々旗色が悪いですね。最後はずいぶんとあっさり終わりましたが、ノーマンとの恋愛が軸なので正解でしょう。駅でのキスシーンが印象的でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-09-12 11:53:52) |
86. サンシャイン・クリーニング
《ネタバレ》 本来姉が主人公なのでしょうが、ノラの方がいいキャラをしてますね。ただ、自分の責任で借金ができたんだから、旅に出ないで働けよ~と思いますが。過去に囚われてしまった姉妹が、清掃業を始めるというのがいいです。あったことの痕跡をすべて消してしまうことに対する疑問。過去へのこだわり。ローズはなんとか乗り越えることができたようですが、さて妹は? 登場人物の「その後」が気になる作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-24 19:43:48)(良:1票) |
87. ホッタラケの島 遥と魔法の鏡
《ネタバレ》 うーん、テオとかコットンとか非人間のキャラクターはいいのですが、やはり人間はゲームの中の住人にしか見えません。特に遥パパは正直気持ち悪い。ホッタラケの島は、異世界としてはなかなか面白いと思います。しかし、存在意義とかそこに住んでいるキャラクターの由来とかがよくわからず、ひたすらストーリーだけを進めていったのは、よかったのかどうか。そういうものがないから、3人組にしろ男爵にしろ、単なる脇役・悪役で終わってしまっています。もっとふくらませたら、面白くなりそうですが。遥の鏡だけが特殊な存在だというのも、よくわかりませんし。そういうわけだから、終盤でテーマらしきものが提出されても特にどうという感興も湧かないわけです。アニメーションとしては、非常によく動いていてよろしいですが、ある意味動きすぎかも。なんか物語り・動き共に力業で強引に持っていった感じで、もっと緻密な仕上がりだとよかったと思います。それにしても、これが開局50周年記念ですか。フ~ム。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-08-18 19:54:15) |
88. ホルテンさんのはじめての冒険
言いたいことはわかるのですが、どうも淡々としすぎているような気が……。個々のエピソードは悪くないですが、「悪くない」止まりで積極的に評価しようという気にはなりません。やはりというか何というか、最後の爺ちゃんの話が印象的です。隕石の旅はまだ終わっていない……。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-08-17 19:34:36) |
89. 夏時間の庭
遺産として残された美術品をどうするか~とかいうお話がメイン。それに家族のエピソードとかからんでくるのですが、それほど引きつけられるものでもない。まあ、「花器は飾っておくのではなく、花を生けてこそ」というのが印象に残ったくらいでしょうか。で、見終わって調べてみたら、〈オルセー美術館開館20周年記念作品〉として作られた作品で、出てくる美術品はすべて美術館の所蔵品らしい。要するに、美術品を見せたかったのですね。人間ではなく美術品が中心の映画なんて、見ていて面白いわけがないですわ。納得。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-08-11 12:27:17) |
90. モンスターVSエイリアン
《ネタバレ》 こういう、過去の作品に多くを負っているものは、評価が難しいですねぇ。パロディとかオマージュといえば聞こえはいいですが、要するによそからアイデアを借りてきたわけですから、二番煎じ感は否めません。本作に関してはパロディ要素てんこ盛りで、ここまで詰め込めばむしろご立派だと思います。いろいろなところから引っ張ってきて、無理なく一本の映画にまとめた手際も鮮やかかと。なんといっても、蠅男・大アマゾンの半魚人・人喰いアメーバ・モスラがチームを組んで戦うという発想が楽しいです。惜しむらくは、前半巨大ロボットとの戦いはかなりよかったのですが(特に金門橋は名場面!)、それに比べると後半の敵円盤内での展開がいまいちでした。わかりやすいテーマを軽くさらっと入れて、基本的に娯楽に徹したのも結構でした。小難しいことを考えず、90分間気楽に楽しむにはもってこいです。CGアニメはあまり好みではないのですが、これは見て損をしませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-10 08:58:16)(良:1票) |
91. クララ・シューマン/愛の協奏曲
《ネタバレ》 途中からむちゃくちゃ眠くなった。睡魔と戦いつつなんとか最後まで見ましたが、やめちゃえばよかったかな。たしかに睡眠不足ですが、いい映画なら眠気も吹き飛ぶものですし。 とりあえず、撮り方が凡庸。お話の方も、単なるプラトニックな三角関係に終わっていて、シューマンに対するブラームスの尊敬の念とかほとんど伝わってこない。ブラームス自身も子供に人気のある陽気な兄ちゃんで、あまり芸術家らしく思えません。最後まで見終わっても、結局なにが言いたかったのかよくわからんし……。 あとクラシックをよく聞いている人間として気になったのは、劇中に登場するオーケストラの楽器配置。チェロが指揮者の右手側にあり、そうなるとおそらくヴァイオリンは第1と第2が並んでいるのだろうと思いますが、これって20世紀になって指揮者のレオポルド・ストコフスキーが採用してから一般的になったというのが通説なんです。それまではヴァイオリンを指揮者の左右に置く、いわゆる「両翼配置」が主流だったんですね。この映画での配置が史実通りだとすると、デュッセルドルフのオーケストラはずいぶんと進歩的だったようですが、その辺どうなんでしょうか。この映画、どの程度「史実に忠実」なんでしょう? [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-07-27 22:32:02) |
92. つみきのいえ
《ネタバレ》 アニメーションの場合、画のタッチでかなり好き嫌いが分かれますが、これはかなり好みです。 で、この映画での「上昇する水面」は、“人間の経験”のメタファーではないかと思いました。人が経験を重ねていくにしたがって、その経験は記憶となっていくわけですが、普段は忘れてしまっています。おじいさんの部屋には思い出の写真? など飾ってありますが、あれは日常の一部であり、あってあたりまえの存在になっています。しかし一旦意識下の海に潜ってみれば、さまざまな記憶がよみがえってくる。楽しかったことも、辛かったことも。それはノスタルジアですが、人間時にはノスタルジアに浸って、感傷的になるのも悪くないんじゃないでしょうか。世間一般的には、前(将来)を向いて生きていくのがいいのでしょうが、後ろを振り返ることも必要なのかも。多くの経験をしてきた高齢者なら、なおさらです。 あと、おじいさんの家から下を見ると、水中にいくつか家がみえます。あそこにもかつては人が住んでいたのです。それはたしかに人が生きていたあかし。今はいないけれど、残った家で人がいたことがわかる。今生きている私は、最後になにか残せるのか? などと考えてしまいました。 とまあ、理屈を並べることもできますが、本当はそんなことより、この短い映画を見て単純に「いいなぁ~」としみじみできたことが、一番よかったと思います。頭(理屈)ではなく心(感性)で見る映像。「考えるな、感じろ!」ってことです。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2010-07-15 22:47:48) |
93. 県庁の星
はい、皆さんのおっしゃるとおりです。とにかく予定調和でご都合主義。だから全体を通しての印象が軽いし、これならテレビでいいでしょ、ということになります。まあ、それなりに面白いことは確かだし、見ていて飽きるということはありませんでした。積極的に高く評価しようとは思いませんが。これは大人(サラリーマン)のためのファンタジーだと感じました。ただ、最後の知事の行動とか妙にリアルなんですよね。本気にした観客が実際に行動に移すのもどうかと考えたんでしょうか。 私はテレビで見たのでこの点数ですが、お金を払って劇場で見たらもっと低い点数です。残念ながら、劇中の県庁さんのような志が映画そのものから感じられませんでした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-07-14 22:42:58)(良:1票) |
94. 曲がれ!スプーン
《ネタバレ》 不覚にも感動してしまいました。もちろん、よくないところも多い。序盤のテレビスタッフや番組の描き方はパターンでなんか嫌みだし、米が喫茶店にたどり着くまでが長い。最後のUFOのくだりは、実際には必要がないと思う。しかし喫茶店に終結したエスパーのメンバーが個性的で、そこでくり広げられる芝居はなかなか面白い。ただ、実質的には彼らが主人公で、米はむしろ狂言回し的役割なので、長澤まさみのファンが見るとガッカリするかも。 で、どこに感動したかというと、「子供の頃の夢を見続けましょうね」……というのではなく、人同士のふれあい・心の通い合い。幼い頃から信じてきた超常現象をとことん否定され続けてきた米に対し、その存在を、表だっては知られないよう“こっそり”と教えるエスパーたち。そんな彼らに対し、やはり表だっては何も言わないけれど、ちゃんと理解してあげている米。なんという奥ゆかしさ。その相手を思いやる気持ち、無言のうちに通わせる心の交流が、私の琴線に触れたようです。両者の間を取り持つテレパシストの椎名が、新参者でこれまでエスパーであることの孤独を噛みしめてきたというのも、意図的なものでしょう。 だから、てっきり米がカフェ・ド・念力を去る場面で終わるかと思ったら、あんな場面が続くとは……。子供たちの静止画を多用して、これ見よがしに感動させようという場面でした。さりげないエスパーたちと対照的で、逆に彼らのよさを際だたせていると思えば、効果はあったと思います。UFOを呼ぶ男がやらせかもと思わせるところもあったり、どうして一筋縄ではいかないものがあるようです。全体的に見ると伏線がうまく効いていて、そこにも魅力を感じました。 [映画館(邦画)] 8点(2010-06-22 21:11:14) |
95. ニセ札
芸人さんの初監督にしては、けっこう見られました。裏を返せば、芸人さんの初監督作品でなければ、見ていられません。一番まずいのは、冒頭や最後での状況説明に、いちいち字幕を使っていること。たとえば講談師を出して、この話全体を講談の中身にしてしまうとか、うまく説明する方法もあったと思いますが。あと、実話を元にしているためか、展開が妙に地味で盛り上がりに欠ける。つまり全体的に、ストレートすぎて工夫の跡やひねりが見あたりません。素人だったらこれが限界でしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-06-09 19:41:38) |
96. 噂のモーガン夫妻
《ネタバレ》 メインのプロットは、「犯罪者に追われる人物が田舎に引きこもって、そこでの生活を体験する」というもの。近頃見た某映画、ほとんどそのままです。犯人逮捕の方法も似ている。これでちょっとガックリきました。本作では、その追われる人物が別居中の夫婦になって、夫婦再生の物語が付け加わったわけです。ネタ切れ気味ですね。一応コメディ路線ですが、あまり笑うところはなかったです。熊がいなければどうなったことか……。 ストーリーに期待ができないとなると、キャラクターはどうか。主役のモーガン夫妻ですが、これがどうも今ひとつ煮え切らない。悪くはないしむしろ人物像はうまく描かれていると思いますが、いわゆる「キャラ立ち」がしていない感じです。脇役の方がアクが強く、その分主役をやや薄味にしたのかもしれません。脇役陣はウィーラー夫妻をはじめ、なかなかの好演でした。特にルーシー役の女の子、いったい何者なのか気になります。 とはいえ、それほどとんでもないところはなく、まあ無難に終わったなという感じで、インパクトは弱いです。個人的に面白いと思ったのは、メリルの射撃の腕や熊を撃退するスプレーが、たいした伏線になっていないところですね。しれっと外していました。あとはまあ……、やっぱりネタ切れ? [映画館(字幕)] 6点(2010-05-31 22:57:39) |
97. 純喫茶磯辺
どうも、あまり好きになれない人たちです。親父は世の中をナメたところがあるし、モッコはどこまで本当のことを言ってるんだか。常連客など面白いところがないわけではないけれど、全体としてはこれといってコメントすることがない映画。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-05-30 21:55:29) |
98. 譜めくりの女
《ネタバレ》 登場人物それぞれの思いが交錯する、文字通りの心理サスペンスでした。緊張感をはらんだ静かな進行は、なかなか見ごたえがあります。話の展開も意表をつくもので、なおかつ現代的です。難点は、物語が都合よく進みすぎることでしょうか。しかし、アリアーヌが精神的に不安定になった事故も、実はメラニーが一枚かんでいるのではないかと思わせるところがあり(親にさかんに電話しているし)、詳しく説明しないだけにこちらの想像力を刺激して、効果的だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-26 19:22:13) |
99. プライド(2008)
《ネタバレ》 オペラ歌手を目指す女性のお話ということで見てみたら、オペラは最初だけでアテが外れました。原作が漫画であるためか、劇的な関係の人たちが織りなす劇的すぎる物語が展開して、辟易しました。いわば芸能界の裏側を描いた話で、ワイドショーが大好きな人なら喜びそうですが、そうでない私にはひたすら退屈でした。この映画を鑑賞する資質に欠けているようです。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-05-22 19:08:23) |
100. 路上のソリスト
《ネタバレ》 実話を元にしているためか、映像的にもドキュメンタリー・タッチの雰囲気がありました(一部除く)。昔NHKで放送していた、佐々木昭一郎のドラマのような感じです。 最初は喋りまくるナサニエルに面喰らいましたが、次第に慣れてむしろ彼の個性として認められるようになりました。昔から芸術家には奇人変人が珍しくありませんし、本人も路上生活に満足している様子。見ているうちに、路上生活も悪くないんじゃないか、なんていう気にすらなってきます。 しかしロペス記者は、常識人としてナサニエルを路上生活から救おうとする。まあ一般的にはそれが当然なのでしょうが、このケースはそれでいいのかなぁ、なんて思いながら見ていました。結果として2人の価値観がぶつかり合い、種々の相克のあと、ついにナサニエルが爆発します。結果としてこれがプラスの方に作用して、助ける者と助けられる者の関係から、対等な真の友人関係を築けたようです。結局は、そこがポイントなのでしょうか。どうも、どういう点に絞って鑑賞すればいいのか、今ひとつわかりにくかったです。ナサニエルの側から見たからでしょうか。ロペスと元妻の間も、どういうことなのかピンと来ません。もしかして、「実話だから入れました」ってことなのでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-05-17 20:53:24) |