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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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1141.  ハウルの動く城
面白かったです~。最初の方、老婆になったソフィーが強風の中、動く城に乗り込む場面、風にはためくマントの描写があまりに見事で、観てて涙が出そうになりました。「ピノキオ」や「ダンボ」などのディズニー作品でも、何でこんなシーン観て泣くんだろ、と自分でも不思議に思えるような場面で涙が出そうになることがあります。さてそんなワケで、本作も観終わった直後にはずいぶん興奮していたのですが、さすがに日にちが経ってだいぶ冷静になってきましたので、映画のかんそうを思い切り脈絡なく書き並べてみようと思います。(1)宮崎アニメのテーマは「翔ぶ」事だと思っていたが、最近のテーマは「溶ける」なのか? (2)ソフィーの声が倍賞千恵子なら、ハウルの声は前田吟という手もある (3)あの犬の正体は、ケンケンなのか? (4)荒地の魔女は怖そうだったが、見かけ倒しだった。あれなら本物の美輪明宏の方が強そうだ。美輪の方が魔法をたくさん使えそう (5)「○○は嫌いじゃ」は、一時、我が家の流行語となった(すばらしい) (6)主題歌は正直、イマイチだったなあ・・・ (7)カブの正体など、はっきり言ってどうでもよかった (8)ソフィーは最後の方、ずいぶん可愛くなった。ってか、可愛く描かれてた (9)本作は確かに楽しめたが、最近の宮崎アニメの暴走ぶり、いよいよ次回作あたりは観客がついていけなくなるのでは、と心配 (10)でも楽しみにしております。
[映画館(字幕)] 8点(2005-05-16 23:04:51)(笑:2票)
1142.  バレット・バレエ
もしもトラヴィスがNYのタクシードライバーではなく、東京のサラリーマンだったら?ってな感じの映画ですかね。私も『タクシードライバー』はメチャクチャ好きな映画なんですけども、そういった映画が今のサブカルチャー台頭の一因になっとる訳で、サブカルチャーが「ブーム」になってしまってはもう形骸化をたどるのみ。例えば「狂気」=「かっこいい」なんぞという陳腐な公式がまかり通って陳腐な「自称:問題作」が量産され、似非「サブカルチャー」が世の中蔓延している・・・。そういう状況を、本作はよく認識し、一線を画しているように思います。「狂気⇔正気」「カッコイイ⇔ダサい」「綺麗⇔汚い」etc...なんて、本来は次元の異なるものであり、条件反射的に定式化しちゃいけない。これら異質なモノが異質な邂逅を繰り広げることで初めて、未知の衝撃が現出するわけで。『タクシードライバー』が確かにひとつの到達点であることは、ボクも絶対譲りゃしないけども、やはりトラヴィスとボクらの間には時代文化背景その他の違いによる「距離」があるのも否定できない。本作の主人公もまた、トラヴィスにはなれない(当然ながら「鉄男」にだってなれない)わけで、そのもどかしさを加味しつつ独自のアングラ世界を築きあげた本作にも拍手を贈りたいですね。ユラユラゆれるカメラによる、幻のようでありながら現実感のある薄暗い世界。眩暈に耐えつつ堪能いたしましょう。そうそう、そういえば、撮影協力に「東京大学駒場寮委員会」ってクレジットされてましたね(寮の自治会のことかな?)。東京でもっともアングラ的なロケ場所はやはりコマ寮だったのか?妙に納得・・・。
[地上波(字幕)] 8点(2005-04-21 23:17:31)
1143.  リオ・グランデの砦
いやあ、シビれました、この映画。ジョン・ウェインの元に派遣されてきた兵士のひとりが、何と実の息子、ってなわけで親子の葛藤を描く・・・と思いきや、奥さんまでやってきて話は夫婦間のイザコザに。「親子の葛藤」はどうなったんだよ~と思ってたら、ラストにはちゃんとすべてを見事に纏め上げてくれました。とにかく、演出が丁寧でよいですね。カットのひとつひとつが、ストーリーや舞台の、いわば「頂点」を的確に形成しており、イマジネーションを程よく刺激してくれて、物語の輪郭が鮮明に浮かび上がります。脇役の誰も彼もの存在が生き生きとしており、物語に厚みが感じられます。欲を言えば、ジョン・ウェインのキャラにもう少し陰があると個人的にはウレシイのですが、この際、よしとしましょう。騎馬隊によるアクションも見所です(露骨に早回しだったりしますけどね)。充実しました~。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-04-20 23:16:04)
1144.  愚か者の船 《ネタバレ》 
↓クリムゾン・キング様御指摘の点、まさに同感であります。冒頭で「あなたもこの船に乗ってるかも?」などと言われると、一瞬、蛇足に感じ、「どうせ、この船は社会の縮図です、だってんだろ、そんなの見る前から想像つくんだよ!」な~んてことを思っちゃう訳ですが、ラストのセリフを聞いて、ああこりゃ一本取られたナ、と。普通はこの逆ですよね、最初は我々と映画との関係に距離を置き、最後に「うむ我々と無関係ではないわな」と考えさせるお決まりの公式。これを逆にする見事な効果に、一本とられました。しかも、セリフの多い本作において、このラスト前にはしばらく音楽だけが流れるんですよね。憎いぜ。さてこの映画、いわゆる群像劇というやつでしょうが、まるで、緻密に書き込まれた管弦楽曲を演奏するオーケストラを思わせます。オーケストラの各演奏家たちが、ある時は表情豊かにメロディを演奏し、またある時は内声部において楽曲に深みを与えて、万華鏡のごとく色彩を変えながら楽曲は進行していく。そこにおいては、各声部を演奏する演奏家たちの間に調和と矛盾が常に混在しており、そのバランスを指揮者がとることで、推進力が生み出されていく・・・実際には、劇中で奏される音楽以外には、音楽は多用されていない作品ですが、それでも、何か音楽的な印象を受ける映画でありました。ところで、↓へちょちょ様御指摘の、スタジオ撮影の件、これは正直、私もいささか不満に感じております。海の映るシーンでは船の左舷が多く、大抵、背景の海が右から左へと流れていく映像になってます。これもまあ、もしかしたら、時間の流れを表現しようとした意識的な演出なのやも知れませんが、この単調さが、船の空間的拡がり(あるいは空間的狭さ)の感覚を損なってしまっているように思えます。しかも、背景の海と空の映像、一部使い回してるもんだから、違う日なのに同じ形の雲が出てたりするんだもんなあ。気をつけて欲しいゾ(笑)。ま、しかし、そのくらい、敢えて船上の人間模様にこだわった作品と言う事で(船外での本来の人生についても色々語られはするが、抑え気味でやや抽象的)、貴重な映画ではないかと。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-04-09 23:16:13)(良:2票)
1145.  カンフーハッスル
いや~、小川直也じゃないですけど、私もしっかりハッスルさせていただきましたよ~。この映画は、まあ、「『マトリックス』はこうやって撮るんだよ」、ってな感じの作品ですな。『マトリックス』も、タコ坊主みたいなオッサンや、サルみたいな顔の悪役のオッサンやらがもっともらしい顔して闘うというダサさ、これがなかなかよかったワケですが、いやいやそんなのまだヌルいと。どうせならジジイ&ババアの壮絶バトルが観たいだろう、と。まさにおっしゃる通りです。すばらしい。さらには小道具の使い方が見事。鐘にあんな用途があるなんて、一体誰が思いつきますかね。すばらしい。まあ、そんなこと思いついても人生においてめったに役にたちそうにないけど。それからあと、どうせ中身のない映画、あんまりカネかけ過ぎちゃだめよ、と。そんな、いろんな教訓のある映画ですかね。
[映画館(字幕)] 8点(2005-04-04 22:43:33)
1146.  ナージャの村
ベラルーシのとある村の日常が、静かに描かれています。まさに、それだけ、です。なんの変哲も無い村なのですが、普通とは異なった点が。それは、住人の数が奇妙に少ないこと、村の入り口の道にはゲートが設置され、監視下におかれていること。そして、これは目に見えないのだけれども、かつてのチェルノブイリ原発事故により、放射能汚染されていること・・・。このドキュメンタリー映画は、原発をことさらに非難しようなどという姿勢は見せていません。ただ、かけがえのない「日常」、おそらくはいずれ近いうちにこの地上から姿を消すであろうある村の「日常」を、淡々と記録しています。視点は冷静、克明ですが、その背景に何か、いとおしむような感じを受ける映画です。文明をより享受している我々日本人の方が、本来なら原発とは密接な日常を送っていそうなものなのに、たまたまチェルノブイリと「距離的に近かった」彼らの方が結果的に、取り返しのつかないまでの影響を受けているとは、皮肉な話です。しかし、この透き通るような映像を見るにつけ、「現在」の大事さというのも強く感じ、「観る」という行為自体を、改めて強く意識させられます。・・・とは言え、一番強く印象に残っているのが「パンチラ」と「豚の丸焼き」とは、我ながら情けない。とほほ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-03-31 22:57:39)(良:2票)
1147.  インサイダー
タバコはダメだけど、シシャモはいいのか!? 何のこっちゃ。ラッセル・クロウ、ごクロウさまです。堂々たるイジメラレっぷりが見事に映画を支えてます。そう、この映画、文句なしに好感持てる理想的「ヒーロー」っていないのよね。アル・パチーノなんて、かき回すだけかき回しといて、上役から「休暇とれ」って追い出されたらサッサとどっかのリゾート地に行っちゃうしさ。クロウ人ラッセルに至っては、もうミジメ、ミジメの連続(小松政夫・・・)、部屋でボーゼンとしてるシーンなんて、「ガーン。このヒト自殺しちゃったよ」と一瞬勘違いしちゃいましたよ(そういや、途中の、ゴルフ打ちっ放しにおけるシーンが、よく効いています。このヒト、本当にどこにでもいるひとりの弱い男、なんだよね)。でも、そんな人たちが、まあそれなりに世間を動かしちゃう。そういう、地味~な感動が、なんとなく親近感も相俟って胸に迫る、いい味出してる作品であります。
8点(2005-01-27 23:03:59)
1148.  サンダーアーム/龍兄虎弟
撮影時の事故のニュースは、当時の大きな話題で、私も衝撃を受けた一人でした。ああ。ジャッキーのアクションはもう見られなくなるのかと。しかし奇跡の復活をとげ、無事本作を完成。事故の影響で劇中の髪型が変わるというのが、これまた当時話題になり、さすが本当に体を張ったアクションは違うなぁ、と・・・って、あれま、気球に飛び移るシーン、上空のハズなのに、何やら木の枝みたいなのが隅の方に映っちゃってるではないか!? ・・・まあ、そういう、彼のいろんな姿がフィルムに収められた映画であります。  ⇒⇒⇒ 最近、放送されてたのを観たら、「気球の横の木の枝」は、ちゃんとトリミングされて(?)消されていました、ああよかった(笑)。ところで私、「6点」なんてつけてましたけど、とんでもないですね。これはスバラシイ作品でした、すみません。クライマックスの、体に巻きつけたダイナマイトの導火線に次々に引火していくあたりのノンストップ感覚など、実に見事で、あらためて感心しました。6点→8点。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-01-22 13:38:14)(良:1票)
1149.  スパルタンX
それまでのジャッキー映画って言うと、何だか時代がかった舞台設定で、タイトルも「○○モンキー/△△拳」みたいなアヤシイものが多かったのですが(嫌いじゃないけど)、この作品あたりで随分とイメチェン、現代のスペインを舞台にしたカンフー映画という設定がユニークでもあり、一気にジャッキーへの親近感が高まりました。ワタシにとっては記念碑的なジャッキー映画であります。カーアクションは正直言って腰砕けなのですが、格闘アクションは見ごたえ満点。まあ、今でこそ格闘技&プロレス大好きの私も、当時はまだ興味がなく、ベニー・ユキーデという人についても知らずに観てたのですが(今にして思えば、こりゃ紅白歌合戦の裏番組に持ってきても通用しそうなカード、かも?)、まさに「観ればわかる」この凄さ! スバラシイ! 格闘の中にドラマがありますな。何度観ても興奮します。ジャッキー頑張れ、ユキーデ頑張れ。さて、次は「ジャッキー・チェン vs 人食い大統領アミン」でも見てみたいところだナ。
8点(2005-01-22 00:25:02)
1150.  グローリー
南北戦争時、北軍に初めて結成された黒人部隊。デンゼル・ワシントンが反骨精神あふれすぎのヒトクセある兵士を熱演、早くもマルコムXの霊が降臨したかのような。しかし、彼を始めとする数名を除いた、「その他大勢」の黒人兵士の描かれ方がどうも雑・・・なのは、まあやむをえない面もあるのだけど・・・何かあるたびにサル山のおサルさんみたいにウッキーウッキー騒ぐのは、なんとかならんのかね~(そんな彼らもやがてアイデンティティに目覚めていく、ってなコトを言いたいんでしょうけど、もうちょっと丁寧な描き方がなかったのか・・・)。一方、この映画、おやっ、と思わせる演出もありまして、ここぞという場面で「行進のシーン」が、ひとつのモチーフとして挿入され、映画の流れを形成する軸となっているようです。ある種のリズムを生み出しています。また、全体的にロングのショットを抑え気味で、このためにラストの戦場である海岸のシーンの開放感が、「ついにここまで到達した(地理的な意味だけではなく、黒人のアイデンティティへの覚醒という意味でも)」という、突き抜けるような達成感を強く感じさせます。走っていく馬の唐突な映像が、なんとなくヘンテコなんだけど、なんとなくマッチしてる気もしないでもなかったり。っちゅうわけで、なんだか不器用な面もある映画ですが(そういや、戦場を表現するのに無闇に焚かれるスモークも微妙に変だったナ)、野心的なところも感じられる映画でした。ところで、黒人部隊がなかなか前線に出させてもらえないあたり、上層部に信用されてなかったということなのでしょうが、これが朝鮮戦争やベトナム戦争になると、逆に優先的に危険な地域に回されたりしちゃうわけで、皮肉なものです。
8点(2005-01-12 23:35:45)
1151.  活きる
本日はワタクシ、餃子作りに挑戦してみたのですが、念頭においていたのがこの映画に出てくる餃子、素朴ながら何とも美味しそうだったもんね。しっかしなかなか上手く包めなくてねえ、これが。え~閑話休題。この映画観てると、人の仕合わせも不仕合わせも、思わぬ時に思わぬ形でやってくるもんだなあ、と、しみじみ思います。文革を始めとする社会のさまざまな激流、その流れの速さに、庶民の生活はついていくのが精一杯。人々が時代の流れを作るのではなく、作られた流れに人々が流されている、多かれ少なかれどこの国も同じなんですかね。でもその中で人々は「逞しく」と言えるかどうか判らないけど、とにもかくにも、生活を営んでいく。変わっていくものもあれば変わらないものもある。死んでいくものがあれば新たに生を受けるものもある。影絵芝居の人形が、主人公とともに乗り越えていく「時代」もあれば乗り越えられない「時代」もある、しかし人形の箱だけは意外にいつまでも生き残っていたり。予想できる事など何もない。ただ、予期せぬ形で訪れる仕合わせ・不仕合わせに身を任せながら、不器用に生きていくこと、そう、この不器用さこそが、庶民の力、主人公夫婦の力であり、この映画の力なんだなあ、と。だから私も餃子の皮がうまく包めなくても、不器用なりに生きていこう、と。・・・何ちゅうまとめ方やねん。
8点(2004-12-30 20:41:09)
1152.  復活の日
スペクタクル映画の帝王=ジョージ・ケネディと、2時間ドラマの女王=丘みつ子の顔が1本の映画で両方拝めるという、奇跡のような映画。他のキャストも、ロバート・ヴォーン、ヘンリー・シルヴァなど、実にセコい、じゃなかった、ツボをついた顔ぶれ。それはさておき、人類の滅亡をテーマとした本作、ミイラ化した死体が点々とし、人類がいなくなった後も、何事もなかったかのように静かに佇む大地、その圧倒的な孤独感が胸を打ちます。病原体の蔓延により、世界各地がパニックになり、南極にいた人々が地球上に残される。映画冒頭のタイトルからもう哀し気で、まるでエンドタイトルを見ているような気分。日本の昭和基地にも「戦国自衛隊員」をはじめとした若干名がいたが(角川春樹もちゃっかり生き残ってるゾ)、しかし彼らには、故国で、世界で、何が起きているのか判らない。迫真の暴風の描写と相まって、絶望感が伝わります。一方日本ではパニックに見舞われる人々の姿。ココの描写が映画全体に対して半端で弱く、別にあってもなくても、という気はします(出番の多くない医師役に緒形拳を起用しているのは、少しでも印象を強めようという事なのかも知れないけど)が、多少ムダな描写でも個人的には歓迎(理由は後述)。しかし、生き残ったアキラちゃんが多岐川裕美に発見されるシーンはサスガに変ですね、アキラちゃんのウソ泣きぶり(えーんえーんママは?えーん)。そして何故か飛び乗るモーターボート、この映像にはつい、つげ義春『ねじ式』のラストを思い出してしまいます。さて、米政府の苦悩などを交えつつストーリーは進みますが(詳細略)、終盤で意外な展開、ここで女性達が南極を離れるために砕氷船に乗り込むシーンが実に印象的で、船に近付くボートからのカメラ視線が演出するゾクゾクする臨場感。さらにはラストでまたまた映画の様相は一変し、草刈正雄の世界秘境の旅へと。荒っぽい展開の映画だけど、これだけ様々なシーンを、曲がりなりにも必然性をもって詰め込んでくれると、お腹いっぱい、実に充実感があります。ボリュームに欠ける上述のパニック描写や、昭和基地隊員の存在が後半完全に無視されるなどのせいで、散漫な印象はありますが、逆にこれらの雑然とした感じの徹底ぶりがここではスケール感にまで昇華されており、見応えアリ。そしてラストの草刈正雄はホントにかっこいい。本気で憧れちゃう。
8点(2004-12-29 10:15:18)
1153.  アメリカの友人
ヨナタンは額縁職人である。額縁、それは絵画になくてはならないものだが、所詮は絵を引き立てるための物・・・これは象徴的な設定にも思える。しかし、奇妙なアメリカ人、トムとの出会いが彼の人生を変える。ヨナタンの体調不良の原因は白血病であり、どうやら余命幾ばくもないらしい。「死の病⇒殺し屋」コレ、小説&映画ノ基本ネ。という訳で、ヨナタンは報酬を条件に殺しを引き受ける。ここで、殺人シーンに至るまでのゾクゾク感がたまらない。街には冷たい光が溢れ、殊更に孤独を煽る。さらにその孤独を嘲笑うかのような原色の色使いが、時に目を刺し、カメラマン、ロビー・ミュラーの面目躍如といったところだろうか。やがて事態は抜き差しならぬ展開、第2の殺しへと。しかしこの辺りから、ヨナタンとトムの関係に変化が現れ始め・・・ところで、カウボーイハットを被ったアメリカ人=トムを演じるデニス・ホッパー、彼にとって70年代は不遇の時代であった。仕事を干され、アルコールとドラッグに溺れた彼、しかし紛れも無くアメリカ映画の良心のひとりである彼は、もしかしたら、さしずめ「生きたロード・ムービー」だったのかもしれない。そしてヨナタン、いや、ヨナタンを演じるブルーノ・ガンツと不思議な関係を結ぶホッパーの姿を目にして思うことは、「ホッパーこそがすなわち、アメリカの『ニューシネマの』友人、なのだなあ」ということ、なのである。
8点(2004-12-22 23:53:14)(良:1票)
1154.  イル・ポスティーノ
この映画、例えば、詩人の目を通してすべてを描く方法もあったかもしれない。「詩人がかつて生活を送った南イタリアの島。そこには美しい自然と素朴な人々の暮らしがあり、ひとりの郵便配達夫との交流があった。やがて詩人は島を去る。月日は流れ、久しぶりに島を訪れる彼、しかし郵便配達夫の姿はそこにはない。彼に何が起こったのか?残された妻の話から、郵便配達夫の生前の姿、生き様がよみがえる」・・・こういう、謎解き風のストーリー設計の方が、緊張感もあり、バランスいいのかもしれません。しかし。本作は敢えて、このような描き方はしなかった。しなかったからこそ、これほど独特の叙情性を持たせることができたのでしょう。映画はひとつの基準では決して語りつくせない・・・。映画の中心人物は郵便配達夫マリオですが、彼の恋愛の顛末だけみれば、何とも単純素朴すぎて、深みが感じられない、という感想になりかねない。しかし、この映画の、あまりにも素晴らしい色彩!空や海の色だけではない。屋内シーンの壁の色まで、控えめながらその色合いをアピールし、我々を魅了する。この世界の中で、マリオもまた、いわば風景の一部をなす存在。彼の素朴さこそが、存在感そのもの。そして、詩人が去り、言葉を紡ぐ者がいなくなった島で、やがて、マリオ自身が端緒となり「詩」が自ら迸り始める!・・・。やはり、この映画にはこの構成こそが相応しかったのでしょう。ちなみに、主人公を演じたマッシモ・トロイージがこのすぐ後に他界したことは、私はこの映画を観たときには知らず、後で聞いて、愕然としました。人生最後の瞬間をこの映画にかけ、しかも、あくまで個性を抑え、素朴な南イタリアの青年の姿として自らを深く沈めていったその姿。間違いなく不滅のものでしょう。
8点(2004-12-19 00:35:12)(良:1票)
1155.  恐竜100万年
いやあ、男の子はみんな、恐竜が大好きなんですよ。一番好きなのが恐竜で、2番がグラマーな原始人。よって本作! 恐竜図鑑を見るのが大好きだった子供の頃の私にとっては夢のような世界であります。特に当時は、ストップモーションなんてものを知らなくて、すべて中に人間が入って演じてると思ってたから、このテの映画は、観ててほんと不思議に思われたものでした。でも、撮影方法を知った今、不思議さはかえって増すばかり。肉食恐竜と死闘の末、「秘技・逆棒高跳び」によって仕留めるシーン、まあこのシーン自体は明らかに無茶なのですが(こんな荒技、どう考えてもムリですわな)、特撮の見せ場としては最高の部類に入ると言えるでしょう。ところで・・・ナヌ、↓本物のイグアナ、ですって!? えー、ウッソだあ、あれもストップモーションだと私は断固信じますっ!(←完全に分別を失ってます)
8点(2004-11-30 00:37:26)(笑:1票) (良:1票)
1156.  タンポポ
日頃思ってる事なんですが、映画っつーのは「時間ゲージュツ」としての側面がある以上、「あのシーンがよかった」みたいに映画をコマギレに味わうのは邪道であって、やはり映画全体の流れや構成の中でのそのシーンの位置付けに着目すべきだと思う訳ですよ(そうでなきゃ、映画は単なる「思いつき」の集合体に過ぎない事になっちゃう)。でね、そう思っちゃいるんですが、それでもやっぱり「あのシーンが好き」とかって、つい言っちゃう訳なんですな。邪道だろうが何だろうが、やっぱり楽しいですからね、そういう話するのは。しかし、特に本作、コレに関する限りは、もう堂々とコマギレにでも何にでもして、「どのエピソードが好きか」語り合いましょうよ。盛り上がりまっせ。多分、それが許される映画じゃないですかね。え、私ですか? 井川比佐志が奥さんの最後の料理を食べるハナシですな。クダラナイのなんの、もうバカ受け。それから、エピソードについてではないですが、何とも仰々しい音楽の挿入が、これまたアホでよいですねえ(リスト作曲 レ・プレリュード =前奏曲。人生とは死への前奏曲に過ぎないんだそうだ。ラーメンと何の関係が。あっはっは。なかなか深いぞ)。
8点(2004-11-23 03:00:52)(良:1票)
1157.  スラップ・ショット
いやー笑った笑った。正直、映画の内容はややコマギレで、流れが少々悪いんですけどね。でもこのバカバカしさはやめられない! 弱小ホッケーチームが、怪しい3人組の加入とともに、ラフプレイを売りものにした人気チームへ生まれ変わり、快進撃ならぬ怪進撃。それだけ。はっはっは。ホッケーをなめとんのか。コメディとは思えぬ仮借なき流血、よくやるね~。最後くらいマトモになるかと思ったら最後までメチャクチャでした。それにしても『メジャーリーグ』って映画、本作からかなり影響されてるんじゃないですかね。ポンコツチームの怪進撃を描いている事自体もそうですが、本作のポール・ニューマンに当たる存在は、『メジャーリーグ』ではトム・ベレンジャー、ともにブッチ・キャシディを演じたソックリさんの関係。チャーリー・シーンが掛けてたビン底メガネは、本作の3兄弟が掛けてたモノ。そして女性オーナーの存在まで同じ。いやー、映画界における輪廻転生ってヤツですかね。しかもそれにとどまらず、最後に戦う相手チームの描写は『バトルランナー』に受け継がれてるし(?)、「不況」に始まって、アレに終わる流れは、紛れもなく97年イギリス製の某映画と同じ。まだまだありそうだ。おお、本作、実はヒジョーに重要な作品ではないのか!?
8点(2004-11-21 00:34:15)
1158.  ディープ・インパクト(1998) 《ネタバレ》 
いや懐かしいですな。昔、出向してた先の職場で、プロジェクター使って皆で観た映画です(仕事しろ、仕事を!)。観終わって、仲間内では最大の理論派で通っていたT博士の目がキラリと輝き「この映画はおかしいんよ、彗星が2つに分裂した時点でゼッタイ軌道が変わるから、もはや地球に衝突するハズないんよ」との事。そこで無い知恵絞った挙句、出た結論が、「おそらく、最初の軌道計算が誤っていたのであろう」。要するに、彗星を爆破しなけりゃ実は地球に衝突しなかったのだが、勘違いから爆破してしまい、軌道を変えたせいで大惨事を招いたのであろう・・・。でも後でよくよく観直すと、爆破前後で軌道は変わってなかったみたいですね。まさに奇跡ですね。でも爆破はヤブ蛇じゃなかったんですね。ああよかった、はっはっは。で、ラストは彗星に特攻ですか。うーん。まるで宇宙戦艦ヤマトだね。ブラボ~! と言う訳でですね、なかなかいい映画だったと、皆で語り合った事を懐かしく思い出します。好きな映画ですね。スペクタクルに至るまでのドラマもうまく組み立てており飽きさせないし(大統領が無力なのがいい。宇宙人と戦うのも悪くないケドね)、避難の車の列が果てしなく続くシーンの素晴らしいスケール感も見逃せません。あと関係ないけど、金丸義信(プロレスリング・ノア)の必殺技「ディープインパクト」も素晴らしいので必見。
8点(2004-11-14 00:18:46)
1159.  コールド・フィーバー
白い映画。寒い映画。本作を観ていた年寄りが2,3人凍死したらしい。ってのはウソだけど(吸血ブラッシーじゃないんだから)。この映画、設定の甘さ(ゴルフボールが偶然ぶつかってスイッチオン!がアイスランド行きのキッカケ、だなんて・・・ちょっとハズカシイ)とか、出てくる人物のあまりに戯画的なところなど、気にならなくはないのですが、そこはファンタジーと割り切って。何しろこの真っ白な世界。幻想的、どころじゃありません。こういう光景を観てるだけでもう、この映画をこのままずっと観ていたい気分になります。そして最後に両親を弔うシーン。まったく場違いなハズの日本風の儀式がどうしてこんなに自然に見えるのか。このシーンを支えているのが単なるエキゾチズムではないから。もっともっと普遍的な人間の魂の発現であるから。この寒い世界の中だからこそ、映画の温もりがしっかりと伝わってくるのです。
8点(2004-11-12 01:04:31)
1160.  神に選ばれし無敵の男
とりあえず、ヘルツォークの新しい作品が観られる、という事に関してだけでも感謝しちゃう(何となくだけど)。どうせ、いわゆる「出来のいい」映画なんて期待してないし、もうお好きにしてチョーダイ、お好きに観ますから、ってな感じ。しかしヘルツォーク作品という事を意識し過ぎると、やや肩すかしかも。本作では「人間と自然の対立」という構図は希薄ですからね。確かに、主人公の筋肉ムキムキ男(実にエエ体しとるのう)の朴訥とした姿からは、何か「続 カスパー・ハウザーの謎」と呼びたくなる雰囲気も無くは無いんですけどね。如何せん、ユダヤ人という背景を持った彼、もはや、カスパーのごとき完全な自然児ではあり得ない。そうであるにはあまりにも背負うものが大き過ぎるから。冒頭、主人公と弟は村人にからかわれ、排斥される。が、カスパーとの違いは、彼の持つ怪力によって人々の中に溶け込んでいく点(ところで、この朴訥とした兄と理知的な弟の関係、これはバカボンとハジメちゃんの関係をも彷佛とさせます。赤塚不二夫の影響がこんなところにまで及んでいるとは。笑)。しかし結局はナチスとユダヤ、という壁が立ちはだかり、これを彼は超えることができない。両者の間に彷徨うハヌッセンの不思議な存在感。そして皆、歴史の狭間にひっそりと消えていく。この映画のラストはスゴイ。当時の政情の不気味な雲行きを暗示するような、いたたまれぬ程の不安。見事なラストに、ゾクッとしました。ところで本作で聴くベートーベンのピアノ協奏曲第三番、実際よりイイ曲に聴こえますなあ(←コラコラ、何ちゅうことを)。
8点(2004-11-06 00:59:25)
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