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アングロファイルさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1000
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 レビュー数が1000に達したということで、活動を停止します。(今のところ)仕事がひじょうに忙しいので、映画を楽しむゆとりがありません。落ち着いたら再開するかもしれませんが、とりあえず未定です。

皆さま、ありがとうございました。縁があったらまたお会いしましょう。

※変更要望は出すかもしれません。

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101.  怪獣大戦争 《ネタバレ》 
怪獣映画に、宇宙人による侵略ものをミックスした作品。あくまで対X星人がメインで、怪獣は一歩引いた形になるのですが、それでもかなり面白かった。「電子計算機に支配され、命令を聞くだけ」というのは現実世界への風刺なのでしょうが、それを味付け程度にとどめて基本的に娯楽作品に徹したのがよかったです。  関沢新一の脚本は、アメリカ調の明朗快活なユーモアが持ち味のひとつですが、前作『地球最大の決戦』あたりから、その扱いが変わってきているようです。笑いの要素を人間でなく怪獣が受け持つようになってきました。前作なら、ゴジラとラドンの間での岩の投げ合い・それを見るモスラという場面が典型でしょう。ぬいぐるみ自体も目がクリクリ動くようになったりと、表情豊かになっています。本作では抑えられていますが、X星で目覚めたゴジラが伸びをするあたりにおかしみが感じられます。ゴジラの「シェー!」もその路線として出てきたものでしょう。これらは一般的には「子供向け」と捉えられているようですが、それは少々違うと思います。あくまで笑いを取る「ユーモア」の要素を怪獣が表現しているのです。もっともそのため、怪獣が「お芝居」をするようになった結果、人間くさくなって怪獣が持っていた脅威や巨大さが薄れたのも事実でしょう。しかし円谷英二監督としては、怪獣を単に「出てきて暴れる」存在ではなく、演技をつける「役者」として捉えていたのではないかと思います。  閑話休題。本作はメインの出演者にゴジラ映画初登場の方も多く、水野久美・沢井桂子の2人は共に魅力的。ニック・アダムスも、陽気なアメリカ的演技が本来シリアスな物語の中でいいアクセントになっていたと思います。やっぱりこの頃の東宝怪獣映画は、問答無用で面白いです。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-09-15 09:53:00)(良:1票)
102.  口笛が流れる港町
第1作より面白い。冒頭、小林旭と宍戸錠のやりとりからして爆笑なんですが、味があります。本作での宍戸錠の役は、敵とも味方ともいえない微妙な線ですが、それがかえってよかったです。鉱山をめぐる人物配置もいい。ただ、最終的に銃撃戦でけりをつけるというのは、あまり好みではないです(もちろん西部劇は別)。とはいえ、若旦那のダメっぷりも含め、楽しめました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-09-14 10:10:48)
103.  三大怪獣地球最大の決戦 《ネタバレ》 
本作については、以前見た際某ブログに感想を書き、その後某所のレビューにも書いているので、個人的には言いつくした感じですが……。 ひとことで言えば、娯楽映画の王道。無類に楽しい。こういう映画は、どこがどう面白いのか説明してはかえってつまらないものです。 ただひとつだけ言っておきたいのは、本作では本編と特撮のコンビネーションが特にいい。たとえばラドンが登場するあたり。落ちた帽子(本編セット)からパンして、ラドンが潜んでいるあたり(特撮セット)を映すやり方。その前には阿蘇でのロケシーンが使われていて、こういう映像の移行が臨場感を出しています。 あるいはストーリー的にも、ゴジラがラドンに落とされて停電するあたり。人間側と怪獣側が分離せずリンクした物語作り。ああいうところを見ると、私なんかは痺れちゃうのです。これこそ特撮映画、怪獣映画の面白さであると。本編と特撮が互いに補い合って、ひとつの物語を形作る。それがきわめてハイレベルに成功しているという点で、おそらく関沢・本多・円谷トリオの最高傑作でしょう。繰り返しますが、これぞ娯楽映画の王道。ザッツ・エンタテインメント!
[CS・衛星(邦画)] 10点(2014-09-08 21:25:20)(良:1票)
104.  モスラ対ゴジラ 《ネタバレ》 
基本的には娯楽映画ですが、そこに拝金主義や観光開発といった風刺、さらには人間不信の問題を投げかけるという味付けをしています。本作が製作された1964年は、東京オリンピックが開催され、東海道新幹線が開通した年。今から考えれば、「オリンピックによる国際化」の名の下に、古きよき東京(江戸)の風景が消滅していった時機でもあり、そうしたことが背景にあるのかもしれません。また、オリンピックを控えて「人間不信」を取り上げるというのは、まだまだ冷戦時代だったことも考えると、なかなか興味深いです。いずれにせよ、こうした風刺やテーマが娯楽性を邪魔することなくうまく機能しているあたりは、うまいと思います。 特撮面では、合成の使い方がうまいです。特にゴジラが名古屋城を襲う場面、ぎりぎりまで実景との合成を見せておいてミニチュアワークに移行することで、リアル感が増しています。港でゴジラが山の上から顔を出す場面も、非常に印象的でした。また、こうした映画では遠景に怪獣・手前に人間という構図が常套手段として使われますが、本作でもかなり効果的に使われていました。ただ残念なのは、画面全体が白っぽくなってしまったシーンがあったことです。怪獣同士の戦いでは、最初の成虫モスラ戦が、ぬいぐるみだけでなくギニョールを使ったり、コマ落としでスピード感を出したりして、見ごたえがありました。 個人的には(作品の出来は別にして)、おそらくゴジラ映画でこれがいちばん好きな作でしょう。怪獣映画を単なる娯楽ではなく、「人間不信」というテーマを取り入れたあたりが気に入っております。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-09-01 21:58:32)(良:1票)
105.  華氏451 《ネタバレ》 
原作は中学生の時に読みましたが、正直ピンとこなかった。内容もほとんど覚えていないし……。映画の方は再見で、以前はそれほどとも思いませんでしたが、見直したらそう悪くないという印象です。 雰囲気としては、いかにも昔の人が考えていた未来像というイメージがありました。しかし、未来的なのはモノレールと大画面のテレビくらいで、あとは製作当時の世の中とあまり変わらないんじゃないかと思います。つまり、「未来を舞台にしたSF」として作られたのではないという可能性もあります。内容的に言っても、必ずしも近未来である必要性は低いと思いますし。 原作者のブラッドベリとしては、「テレビによる文化の破壊」を描く意図があったようで、最後に登場する“ブックピープル”なんかは、本以前の口承文化までさかのぼってしまいます。テレビという間接的に相手と相対する装置に対し、直接会って話をするという点も対比になっているのでしょう。 しかし、映画全体としては、体制による思想の統制が強く出ているようで、そのあたりのズレが、最後になって「そこに落ち着くのか?」と思ってしまう原因になっているようです。統一感に欠けるのが残念です。また、ファビアンがいろいろと都合よく目撃しすぎでしょう。それと合成(ブルーバック?)が下手すぎ。1966年といえば、テレビで『ウルトラQ』が放送された年ですよ。 しかし、いろいろな暗喩に満ちたところがあり(モンターグがポールを使わなくなる・治療された妻が食欲旺盛になるあたりの描写・自宅でモンターグがまずベッドとテレビに火炎放射器を向ける等)、どういう意味があるのか正直よくわかりませんが、なかなか一筋縄ではいかない作品のようです。また折を見て見直してみたいです。 そういえば、この映画は吹き替えで鑑賞しなければ意味がないという意見があるようです。お説ごもっともですが、最後に堂々と出てくる"THE END"の文字は、問題ないんでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-26 22:30:36)
106.  南から来た用心棒 《ネタバレ》 
これまで見たマカロニ・ウェスタンでのジュリアーノ・ジェンマの役は、どちらかというと心優しい人物が多かったのですが、本作でのアリゾナ・コルトはなかなかハードボイルド。トランプでいかさまをしたりと、一筋縄ではいきません。それでも、どこか人のいいところがあって、そのあたりがちょっと生ぬるいかと思います。敵のゴルドの方は、バンバン人を殺しまくり。仲間だろうが町の人間だろうが、まったく関係ないようで、気に入らない相手にはすぐ鉛の弾をお見舞いするという人物。人殺しを楽しんでいるような極悪人で、ハードボイルド風の主人公の相手としてはこれぐらい必要なのでしょうが、あまりにもどんどん死にすぎるので、後半は食傷気味でした。裏切り者のウィスキーとか、なかなかいいキャラですが、それ以外は魅力的な人物もあまり登場せず、いまいちでした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-08-18 17:01:37)
107.  天使の入江
邦題から予想していた内容とはかなり違っていました。私自身は賭け事はしないので、ジャッキーが単なる愚か者にしか映りません。それが有閑マダムのお道楽という感じなので、よけいに共感できません。賭け事にとりつかれた人生を語るあたりは、興味深かったですが。映画は終わりますが、このあともこの2人は同じことを延々と続けそうで、全然ハッピーエンドという気はしません。ミッシェル・ルグランの音楽はとてもよかったです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2014-08-11 10:17:43)
108.  リオの男 《ネタバレ》 
ベルモンド主演のアクションコメディは何本かありますが、これはその初期の作品。あとのものほどのドタバタ感はなく、うまくまとまっています。誰が黒幕かは、簡単に察しがつきますが。 前半はどちらかというとサスペンス味が強く、007を思わせる部分もありました。終盤は元祖『レイダース』みたいな展開で、そこまでも普通に面白いのですが、この最後のあたりがいちばん楽しめました。あの結末も、皮肉が効いています。  以前見たときは英語版だったのですが、今回はフランス語だったのもよかったです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-10 10:50:28)
109.  怒りの荒野 《ネタバレ》 
あいかわらずリー・ヴァン・クリーフが渋くてかっこいい。本作では、いずれ若者に追い抜かれるであろう中年男のわびしさや、そんな若者を利用する狡猾さもうまく出していました。対する ジュリアーノ・ジェンマは、本当はガンマンに向いていないナイーブな若者役が合っています。最後に銃を捨てるところは、ジェンマだからサマになります。彼の映画は、ああいう甘さがあるところが特徴のようで、製作者も俳優をよく見ているということでしょう。 本作では、必ずしも簡単な善悪の対立構造図になっているわけではありません。正義を行使しようとしているのは、保安官の任に当たった2人くらいでしょう。あとの人物は、だいたい私利私欲で動いています。スコットにしても、マーフを殺された怒りからタルビーと決闘したわけで、街を守ろうとかいう気持ちはあまりなかったでしょう。あと、判事の娘があっさりタルビーについていったりと、現実的な面もしっかり描いています。そのあたりが単に甘いだけではなくてよかったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-03 18:17:47)
110.  あいつと私(1961) 《ネタバレ》 
当時の学生って、本当にこんな風だったんでしょうか? なんとなく嘘くさいというか、作り物くさい。原作の初出は判然としないのですが、石坂洋次郎は1900年生まれなので、還暦近い時に発表されたとみていいでしょう。それで大学生の生態が描けるのかどうか、ちょっと疑問です。とはいえ、冒頭の授業風景からして石坂洋次郎らしいのですが、どうもそれが頭の中で作っただけのように思えます。あんなにズケズケというか、あけすけにものを言うものなのか。現実的だったのは、デモの部分くらいでした。 見どころはもっぱら裕次郎・芦川いづみの同級生で、吉行和子・高田敏江・中原早苗・伊藤孝雄、さらには小沢昭一まで登場。あと妹役で吉永小百合に酒井和歌子と、大人の役者も含めて贅沢なキャストです。ほとんどそれだけを楽しんでしまいました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-07-23 22:19:21)
111.  続・荒野の1ドル銀貨
邦題は「続」となっていますが、『荒野の1ドル銀貨』とはなんの関わり合いもない映画。銀貨も特に出てきません。 どうも話の進行や演出に思わせぶりというか、もったいをつけたところがあって、面白さがややマイナス。マカロニ・ウェスタンだから、格好つけるのは悪くないんですが、なんだか凝ったことをやりたくてすべった感じ。結婚式のあたりからやっと乗ってきました(要するに、アクションが見どころ)。キャストはそれぞれ存在感があってよかっただけに、残念でした。でも基本的には、おもろい娯楽映画です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-07-19 21:42:23)
112.  鳥(1963) 《ネタバレ》 
改めて見て、こんなのだったかという印象。鳥が人間を襲う場面は実は一部で、それ以外のドラマ部分が結構あります。特にリディアの設定が暗示的なのですが、それが暗示だけではっきりしないのが、どうにも歯がゆい。「父性の喪失」みたいなものも関係しているのかもしれませんが、よくわかりません。 とりあえずは、鳥が襲ってくる場面だけでも見どころはあります。ただ、今の機器で見ると合成だということがはっきりわかってしまうのが、少々残念。それでも、技術的にはたいへんすばらしいとは思います。それにしても、メラニーをわざわざ電話ボックスに閉じこめて撮るなど、あざとい気もしますが。エヴァン・ハンターのシナリオがどうにも理屈っぽくて、襲撃のアクションとかみ合わず、サスペンスを削いでるように思われました。  ちなみに原作も読みましたが、こちらもかなり不気味。特に最後は、小説の方が勝ってます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-15 18:27:55)(良:1票)
113.  荒野の1ドル銀貨 《ネタバレ》 
マカロニ・ウェスタンというのは、時代や国・地域があいまいというか、どこでもいいというイメージがあります。しかし本作では、南北戦争終了後のアメリカ西部が舞台。それはいいのですが、セリフがイタリア語なので違和感があるなぁと思いつつみていたら、最後にやられました。あれがあるから南北戦争後だったのですね、納得。ほかの方のレビューにもありますが、こうした小道具の使い方がうまいです。それ以外では、主人公が妻帯者であるためか、ちょっと甘い雰囲気があるところが異色です。しかし主演がジュリアーノ・ジェンマですから、それはそれでいいでしょう。紳士然とした悪役のピエール・クレソワも魅力的。銃撃戦だけでなく肉弾戦も十分楽しめます。主題曲もマカロニらしくていいですし、娯楽作品としてはなかなか楽しめました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-12 17:18:41)
114.  冬のライオン
歴史ドラマかと思ったらそれは設定だけで、中身は『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』や『欲望という名の電車』のような、男女がいがみ合うお話でした。こういうのはどこがいいのかさっぱりわからないんですよ。お互いだまし合いをしているようですが、どういう意義があるのかまったくもって不明です。本作の場合、王位継承問題がからんで、さらにややこしくなっています。こうなるともうお手上げ。舞台劇の映画化ということで、セリフの応酬だけは堪能できました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2014-07-11 19:22:59)(良:1票)
115.  切られ与三郎
これも「題名だけは知ってる時代劇シリーズ」の一本ですね。本作の場合、歌の方で名前を知っているパターンですが(余談ですが、あの歌の歌い出しを長い間「粋な黒兵衛御輿の祭り」だと思ってました)。 で、映画としてはかなりよかったです。ひとことで言うと、時代劇らしい時代劇、由緒正しい時代劇という感じ。風情や情緒といったものが感じられ、そうしたものを表現できるだけの余裕があるという気がしました。撮影も美しい。 出演者では、浦辺粂子のおばあさんが印象的。冨士眞奈美がお嬢さん役とは驚きましたが、キンキン声で話すので、うるさいし全体から浮いている感じ。しかし、最後はいいところを持っていきましたね。
[地上波(邦画)] 8点(2014-06-30 22:16:15)
116.  沓掛時次郎 遊侠一匹 《ネタバレ》 
『関の彌太ッぺ』、『瞼の母』と共に、長谷川伸原作・中村錦之助主演の時代劇。三本の中では、これが一番よかったように思います。とりあえず、話がわかりやすい。前半の朝吉とのエピソードにしろ、後半の三蔵とのやりとりから始まるエピソードにしろ、浮世の渡世でままならないことにがんじがらめにされ、それでもなんとか懸命に生きようとする者の哀感が十分出ていました。ただ、難病ものはちょっと苦手なんですが。それにしても、最後までの「耐え」があるから、あの刀を投げ捨てるラストが非常に気分よく、また泣かせる要因でもあります。加藤泰の演出も見ごたえあり。もうこんな義理と人情と仁義が生きている世界は存在しないのかもしれませんが、それだけにいっそう貴重でしょう。私は基本的にヤクザやマフィアの映画は嫌いなんですが、こういう組織より個人に焦点を当てたドラマには、見るべきものがあると思います。
[地上波(邦画)] 8点(2014-06-29 11:01:13)
117.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
本作における「飢餓」は「貧困」とも言い換えられるでしょう。犬飼にしろ八重にしろ、偶然大金を手に入れたことから、貧困から抜け出すことになった。それはいいのですが、それ以前の貧困、飢餓ぶりが言葉で語られるだけなので、観ているこちらには実感が湧かず、空々しい感じしかしません。特に八重は、金をもらったことを十年間も感謝し続けるわけです。それほどまでに嬉しいことだったのでしょうが、以前の八重に対してこちらは特に思い入れがないものですから、その態度が過剰で、ある種偏執狂的にさえ思えてきます。製作当時の観客にとってはある程度想像できたのでしょうが、現代人にはかなり困難でしょう。現代でも若者の貧困など問題になったりしますが、やはり本作で描かれているものとは質的に異なると思います。題材となった洞爺丸事故や岩内大火を、時代を戻して利用したわけですが、結果として「その時代ならでは」というのが強くなりすぎたと思います。 もう一つ疑問なのは、三国連太郎が演じた人物は何者なのか。最初は犬飼多吉と名乗るので、それが本名かと思ったら、のちに樽見京一郎という名で登場する。しかも樽見という人物は実在していて、母親もちゃんといるらしい。では樽見が本名で、犬飼は偽名だったのか。それならば、どういういきさつで偽名を名乗っていたのか。このあたりがまったく説明されていません。八重に対して「犬飼」と名乗った以上、これが本名か否かは、八重との関係を考える上で重要になってくるはずです。それが不明というのは、納得がいきません。 結論としては、本作では筋を追うのに手一杯で、主要人物の掘り下げが浅く、結果として不十分な内容となったように思われます。感情的に怒鳴り散らす味村刑事も、全体の雰囲気から浮いてしまっています。まあ、ああいう人物も必要だと考えたんでしょうけど。もっともよかったのは、伴淳の弓坂刑事。この人だけは、首尾一貫して魅力を感じられました。
[映画館(邦画)] 6点(2014-06-28 20:57:40)(良:1票)
118.  コレクター(1965) 《ネタバレ》 
この映画、やはりテレンス・スタンプに尽きますなぁ。あのイっちゃった目つきがこわい。「愛している」と言いながら、相手をたいして信用せず支配しようとするのは、結局愛しているのが自分自身だけだからでしょう。題材からすると下世話な話にも持って行けますが、サリンジャーやピカソを使ってハイブラウな雰囲気をかもし出しています。原作者がイギリス人であることを考えると、イギリスでの階級間の違いが表現されているのかもしれません。そういったあたりにも文芸的な香りがして、俗なショッカーとは一線を画していたのが、ひとつの魅力でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-06-24 22:52:49)(良:1票)
119.  いつでも夢を(1963)
歌謡曲を題材にした映画ですが、内容的には同時期の『キューポラのある街』や『上を向いて歩こう』と同じく、働き学ぶ若者を描いた、社会派的作品。その点ではまったく定石通りなので、面白味は少ないです。橋幸夫演じるトラックの運転手がチャキチャキの江戸っ子気質で、シリアスな浜田光夫らに比べていいアクセントになっていました。あと、松原智恵子がクレジット3番目なのになぜか出番が少なく、それも少々不満でした。まあこの映画でいちばんの見どころは、当時の東京の風景でしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-06-04 18:11:01)
120.  刑事マディガン 《ネタバレ》 
同時期の刑事物としては『ブリット』や『フレンチコネクション』がありますが、それらと同じリアル志向の作品。しかもその点では、この2作を上回っています。警察官をあくまで人間として描き、家庭での問題を扱っています。生活人としての描写は『ブリット』にもありましたが、本作の方が扱いが大きく、むしろ作品のテーマとなっているフシがあります。愛妻家のマディガンに対し不倫をするラッセルという具合に、それぞれの対比もうまくつけてあります。派手なカーチェイスもなく、リアル派としてはハイレベルに仕上がっています。 あと、マディガンに誤った情報を流す男のエピソードが印象的でした。淋しさからニセ情報を流す男、それを知りつつ「また頼む」と酒をおごってやるマディガン、男気を感じさせるいい場面です。そのマディガンも、家では妻に手を焼く普通の夫であり、この公私の違いが彼をよりいっそう魅力的に見せていました。なかなか秀逸な、「刑事を主人公とした人間ドラマ」でありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-05-30 22:24:39)
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