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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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101.  20センチュリー・ウーマン
本作はマイク・ミルズ監督の宝箱。1970年代のサンタバーバラ、映画、洋服、音楽、車、女の子、母、、きっと彼が好きなもの (好きだったもの) を全部集めて、それを映画にしたんだろうね。もちろん、 "この映画を大好きだった母さんに捧げます" のメッセージを添えて。ものすごい大作を作る監督は、ただ漠然とすごいと思う。でもマイク・ミルズ監督は、ちょっと違う。すごいじゃなくて、心から羨ましいと思う。だって、どう考えても羨ましいじゃない? 自分の人生の宝物集めて、こんな素敵な映画作っちゃうなんてさ・・!
[映画館(字幕)] 8点(2017-06-11 21:12:31)(良:1票)
102.  メッセージ 《ネタバレ》 
大筋はかつての名作「コンタクト」を彷彿させます。ストーリーもさることながら、特にロケーション設定がそっくりなので、A・アダムスの姿に懐かしいJ・フォスターの勇姿が思い出されて仕方がなかったです。そしてホアキン・フェニックス、まさかのサプライズ出演! と思ったらこっちは別の人でしたね (よく似ていること笑) 様々な解釈ができるとても欲張りな映画でしたが、その分多次元的な "メッセージ" に溢れた映画ではあると思いました。それは普遍的な家族へ "愛" であり、国や人種を越えた地球上の同胞に呼びかける "友好心" であり、もちろん未知なる地球外生命体に対する "知的探究心" でもある。物語の中で時間の概念がなくなり、過去・現在・未来の位置感覚が曖昧になるということ。白状するが、その時点で私の凡庸な頭脳では物語の全容理解が難しく。宇宙人の足、このイカ型の造形は娘ハンナのおもちゃを連想させるが、それならなぜルイーズ以外の者たちにも同じ造形に見えたの? などなど考えれば考えるほど、物語全ての整合はかなり複雑です。でもどうせ言語というツールに乏しい話だし、それならいっそのこと難解すぎる宇宙人のメッセージも含めて、この映画は人それぞれの解釈・想像力で楽しみたいところ。狭くて逼迫した宇宙船の中の緊張感から一転、広大な大高原の中で抱擁し合うラストの場面、これは対比が効いていてあまりにも美しい。始めから終わりまで途切れることなく、こんなにも想像力を刺激してやまない映画に出会えたことに心から感謝したい。
[映画館(字幕)] 8点(2017-05-24 23:46:51)(良:1票)
103.  カフェ・ソサエティ 《ネタバレ》 
心待ちにしていた、ウディアレン監督が描く古き良き映画の時代。例によって恋模様の男女数名がすったもんだしたあげく、あまりかみ合わないお話。その作風は時代設定が変われど健在でした。しかし相変わらずというか・・(笑) 、男たちがきれいなおネエちゃんに目が無いのは、今も昔も全く変わらずで本当笑ってしまう。でもそんな彼らの描き方は、たとえどんな形であれ、映画の発展に貢献してきた功労者に対する敬愛がひしひしと感じられました。権力と大金動く裏に犯罪の影ありで、今回も "死" のにおいが漂います。・・・とここまではいつものアレン監督ですが、今回一線を画すのは、著名な撮影監督であるヴィットリオ・ストラーロの映像美。1930年代のハリウッドという夢のように華やかなこの舞台に、まるで煌びやかな魔法をかけたよう。そして、恋に浮かれた夢から覚めたような、いつになく感傷的な終わり方。過ぎ去ったもの全て美しく、現実に取り残されては時は流れていく。そしてまた、夢の終わりとそのつづき。久しぶりにいい夢をみさせていただきました。
[映画館(字幕)] 8点(2017-05-08 18:37:36)(良:1票)
104.  LION/ライオン 〜25年目のただいま〜 《ネタバレ》 
この展開で一体どこでライオンが登場するのか? と首をかしげながら観ていたら、、これはうまい、そしてすごい。原題の何という巧妙な仕掛けに拍手。また、実話ベースなので結末はわかっていましたが、その想像を上回る大きな感動が待っていました。実の家族との再会の場面の美しさと言ったら! (泣いたな~) 苦難においても生きようとする強い意志、産みの親も育ての親も関係ない大きな母親の愛、毎度お約束のように奇跡を呼んだのはやはり人間の "こころ" でした。でも過剰なテクノロジーの進化を否定的に描いた映画も多い昨今に、今回の話は人間の心と「Google Earth」というテクノロジーの進化が仲良く手を取り合って奇跡を起こした素晴らしい事例ではないでしょうか? 神様がサルーに与えたその試練はあまりにも過酷で、25年という年月は気が遠くなるほど長く、インドとオーストラリアの距離は果てしなく遠い。でも多くの出会いと成長と、何より25年もの間、きっと何も知らない彼の心の中に確かに兄は生き続けていました。なんだろう、初めから何か見えざる手によって「今はまだ兄の死を知るべきではない」と意図的にはるか遠くへと導かれたような、とてもとても数奇な彼の人生でした。
[映画館(字幕)] 8点(2017-04-16 02:25:43)(良:1票)
105.  チャイナタウン 《ネタバレ》 
かのJ・ニコルソンが主演ということで観たが、観終えてみれば紛うことなきロマン・ポランスキーの映画だ、という感想に落ち着く。金と色と権力が蔓延る街、ロマン・ポランスキーの情念と怪奇趣味、J・ニコルソンとF・ダナウェイのむせ返るような"大人の色気"。およそ結びつかない要素が、あまりにも美しく"調和"したように思う。娘であり妹。一言聞いただけではピンとこないが、その意味に気づけばそれはあまりにも悲しく、それは不思議な、じっとりとした切ない余韻を残す。悲しくも美しきフィルム・ノワール、それは子どもたちは見てはならない世界、それは大人たちには極上の世界。
[DVD(字幕)] 8点(2017-03-06 22:53:24)
106.  ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 
率直に言って、筋金入りのSWファンには受けないだろうな、という感想です。とにかく暗い、救いがない、ジェダイがいない(笑)。でも本作は、Epi.Ⅳ有史以前に、悪しきデス・スターの設計図奪取のために命を懸けた者たち、すなわち死んだ者たちのエピソードと予めわかっていたこと。むしろ結末が読めていても最後まで一つも飽きずに鑑賞できたのは、これは新監督の手腕に脱帽せざるをえない。主演二人が穴に落ちそうになる場面など、レイア姫とルークが昔全く同じことやってましたし、オールドファンなら思わずニヤリとする場面の数々に、監督の旧作への敬愛も充分感じました。王道の娯楽映画でありつつ、SWのエピソードの一貫としていかにEpi.Ⅳにバトンを渡すか、監督はこの大役を見事に果たしたと思います。唯一残念なのは、主要キャストとダースベイダーの対峙(バトル)がなかったこと。ジェダイ抜きでいかにして戦うのか、個人的にはそれをかなり期待していたのだが・・。なおご存知のように、先日、C.フィッシャーというSWの歴史を彩った大きな存在が一つ、星に帰りました。その事実もあって、最後に懐かしいレイア姫の姿とその言葉を目の当たりにして、思い出したように唐突に感極まった。SWのスピンオフ映画とはかくあるべし、この後改めてEpi.Ⅳを観直したいと思う。レイア姫の姿に、そして"希望"という言葉に隠された壮絶な歴史を知った今では、冒頭から涙出そうでちょっと心配なのだが。
[映画館(字幕)] 8点(2017-01-16 21:01:15)(良:1票)
107.  アスファルト(2015) 《ネタバレ》 
たぶん、宇宙から人が降ってくることはまずないでしょう。そして辺境の地にあるマンションに暮らしていて、隣りの部屋に映画女優が越してくることもまずないでしょう。これは限りなく確率0%に近い、もしかしたら現実にありそうなお話。どこかファンタジー映画を観ているような、夢見心地な気分に浸れました。灰色にくすんだ映像や廃墟のようなマンション、それは人々の寂しさや空虚な心境をよく投影しています。それが終盤になるほどその風景の冷たさは、人や心の温かさを際立たせる引き立て役のように機能してきます。決して派手さはありませんが、これこそ映像のマジックでしょう。6人が織りなす3つのエピソードは、性別・年齢・人種を越えた何気ない友好のメッセージ。ハリウッド映画のそれとは違って、実に自然な配役なのでとても好感があります。一人で寂しい人。想像力のある人。そんな人たちにとって、きっと人生の宝物になる映画だと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2016-11-07 22:17:06)
108.  シング・ストリート 未来へのうた 《ネタバレ》 
さすがの安定感と言いますか、ジョン・カーニー監督の映画は外さないですね。今回、オリジナルの曲もよいのだが、やはり私の年代にとっては80年代の音楽の数々が懐かしくて、曲が流れるたびに当時を思い出して心弾みました。特筆すべき点として、音楽をテーマに、"大人たち"を多く描いてきた監督ですが、今回は少年を主人公にすえてきました。少年と音楽(ロック)とくれば当然、自由、権力に対する反抗、束縛からの解放、これなんです!規律厳しい学校。ちょいワルな仲間たちとキュートなあの娘。校長先生は世俗的な(つまらない)大人の象徴。そして、、規律とは破るためにある(笑)。未来に向かって漕ぎ出すラスト。そのすべてがあの有名な映画を彷彿させます。そうです、本作を僕は勝手にジョン・カーニー版"小さな恋のメロディ"と思ってます。本気で音楽に生きる覚悟は、長く険しい荒波に挑むようなものでしょう。その覚悟が本気であればあるほど、途中で後戻りはできません。ラストは二人の心境になって、、いや、それはさすがに図々しいので、兄貴側の心境で二人の船出を見守っていました。(それにしても何てカッコいい兄貴だ!)若さと情熱と愛があれば。自分はもう、二人のような若さはありませんが、あの頃の気持ちと音楽はいつまでも心に忘れずにいたい。
[映画館(字幕)] 8点(2016-09-16 23:39:30)
109.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
大ヒットのようで今すごく話題になっていますね。私も観てきました、「時をかける少年」。 タイムリープ、男女の入れ替わりといった設定は、映画のストーリーとしては大外れのない鉄板で、これは観る前から面白いことが約束されたも同然なのです。でもその反面、ストーリーを一つの矛盾もなく組み立てるのが難しいゆえに、この設定は諸刃の剣でもある、と言えるでしょう。超常現象X2+隕石落下!! もう途中からは、粗探しはやめてピュアな気持ちで楽しもう (笑) と割り切ることにしたため、おかげで最後までかなり楽しむことができました。それに突飛な設定の数々はあくまで映画を形成する (壮大なる) モチーフで、根は実にシンプルな青春映画。 "SF" の二文字を書いて、それを青春ファンタジーと考えれば、細かい矛盾は気にならず理屈抜きに楽しめます。 大林監督「尾道三部作」への想い、今回の設定はもちろん、特に "階段" が重要な場面で使われているあたりは監督の傾倒ぶりが伺えました。プラスの設定、"隕石落下" はまさにアニメでしかできないこと、言わばアニメーション作家である新海監督のこだわりであり、誇りです。 最後に、本作を観た若い方たちにも、ぜひこれを機に「尾道三部作」を知ってもらえたらうれしいですね。
[映画館(邦画)] 8点(2016-09-11 18:29:08)(良:4票)
110.  八月のクリスマス(1998) 《ネタバレ》 
この映画は、"死"はいつかは誰にでも訪れるものとして、あまりにも淡々と描いている。彼の落ち着いた様子に、死ぬことは怖くない、とあやうく騙されそうになる。だがそれは大きな間違い。"死"が怖くないはずがない。彼だって本当は毎日泣きたいくらい怖いのだ。死への恐怖に立ち向かう勇気を与えてくれたのが彼女であり、そしてその愛の力に他ならない。二人は結ばれなかったけど、これは珠玉のラブストーリー。愛して愛される歓びは死の恐怖にも勝ることを教えてくれたから。きっとこの出会いは、誠実に生きてきた彼のために神様が特別に与えてくれたプレゼントだったと思いたい。もう誕生日を迎えることのない彼の最後の夏の物語、八月のクリスマス。
[DVD(字幕)] 8点(2016-07-21 23:48:48)
111.  奇跡(2011) 《ネタバレ》 
本作は時事ネタをうまくストーリーに取り込んでいるので、むしろ数年後、いや何十年も後に鑑賞した方が "風味" が増していて感慨深いかも知れません。短命だった民主党政権による事業仕分けネタ、九州新幹線の全線開通で盛り上がりを見せた話など、もう既に「そういえば、こういうこと、あったなあ」と、しみじみと懐かしく思えるし。 ところで、少年たちは遠路はるばる出向いて、新幹線のすれ違う瞬間、一斉に声を大にして願いを叫びましたが、全く「奇跡」は起きません。それはそうです。だって、奇跡は目に見えませんから。そして、ある意味では、それも時事ネタと同じ。この出会い、この「大冒険」、、彼らは数年後、いや何十年も後にこの思い出を振り返っては、あの出来事自体が奇跡だった、、とやがて感傷的に気づく時が来るでしょう。 もう一つ、そこにたどり着く前の晩の出来事を、どうか彼らに忘れないでいて欲しい。見ず知らずの彼らを泊めてくれた老夫婦たちとの出会い。一団の少女の一人が孫娘によく似ていた、その孫娘の帰宅を心待ちにする優しい老夫婦が住む家に、まるで狙いを定めたように迷い込んだ・・。 実はこれこそが、確率的に言っても、まさに奇跡と呼ぶに相応しい珠玉のエピソードだったように思えます。
[映画館(邦画)] 8点(2016-06-15 23:17:17)
112.  グッド・ライ いちばん優しい嘘 《ネタバレ》 
映画の中で、スーダン内戦の様子をわずかの回想で済ませることなく、彼らロストボーイズの生い立ちからしっかりと時間をかけて描いたこと。これが彼らの人物を深く掘り下げることに成功していて、アメリカ編における彼らの一言一言に深みを与えています。 これは表向きはロストボーイズの救済を題材にした社会派の映画。でも救済されたのはキャリーの心であり、彼らに多くを教えられたのはむしろ我々の方。 平和な世界に生きている喜び。家族が当たり前のように一緒にいる喜び。与えられたすべてに感謝する心。 平和な暮らしと引き換えに、人が失ったものはあまりにも多い。 彼らロストボーイズは、僕らが失ったものを教えるために導かれた宣教師だったのかもしれません。 ちょっと興味深かったことを一つ。彼らにとっては物を買う売るといった概念はあまりなくて、それは「お金」と「商品」(サービス) を交換する、ただそれだけの行為。つまり、金を払った方がエライといった考え方は皆無で、与えてくれた人・与えられたモノに対する感謝の気持ちはいつだって忘れない。このあたりは物々交換の風習がまだ根強く残るアフリカの考え方を垣間見たようで興味深かったです。 ちなみに「嘘」って面白い言葉で、その定義は人によって曖昧です。 (と思ってます) 私にとって嘘とは、私利私欲が目的で相手をだますこと。少なくとも、相手の幸せを願って真実ではないことを語るのは私の尺度では嘘とは言いません。
[DVD(字幕)] 8点(2016-06-09 23:48:29)(良:1票)
113.  オーメン(1976)
ホラー映画の名作。怖いだけではなく、様式美も兼ね備えた格調高きオカルトホラーの金字塔。6が三つ揃ったこの日にめでたく投稿、今から久しぶりに鑑賞します。オーメン(笑)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2016-06-06 21:09:00)
114.  リップヴァンウィンクルの花嫁 《ネタバレ》 
この映画3時間でしたか。話にぐいぐい引き込まれて全く長さを感じませんでした。 黒木華さん、よかったです。好演とか物語の世界観に合っていたとかそんな次元ではなく、まるで彼女ありきでこの映画が創られたほどに。 私は、題名は "虚像の幸せ" の別名と解釈しました。出会い系、結婚式のサクラ、確かに今は取り繕った虚像の幸せであふれている。ネット社会の利便性と引き換えに、モラルや感謝の心など人が失ったものも多く、もはや幸せ感覚はあきらかに麻痺した。彼女たち二人は現代社会の被害者ではなく、"迷い子" であると思う。幸せも出会いもお手軽すぎて、何が本当の幸せだか、誰が自分に見合うのか、あげくには自分が何なのかわからなくなった。でもそんな現代に、心に傷を負って人の温もりを誰よりも欲していた二人が、お互いが最も必要とする相手に "サクラ" を通じて奇跡的に出会った・・。 題名すなわち "虚像の幸せ" とは、ネット社会に対する鋭い風刺と思いましたが、実は逆説的な意味だと思うのです。つまりこのような現代でも、生きる価値は絶対にある。ニセモノであふれたこの世界のどこかに、あなたに見合う本物 (幸せ) は確かに存在している、だからとにかく生きろ、そう言っている気がします。
[映画館(邦画)] 8点(2016-04-09 19:35:39)(良:1票)
115.  ブロークバック・マウンテン 《ネタバレ》 
私は、ジャックが生来のゲイなら、イニスのは後天的なものだと思いました。イニスの資質を見抜いてその愛を覚醒させたのがジャックならば、イニスが成り行きに身を任せたのは、この雄大な大自然の助力も決して小さくはなかったと思う。遠い昔、アメリカ西部開拓史の時代、大自然の中で愛し合う男二人。その光景は、男同士であること以上に生命と生命の躍動感に溢れていて、どこか神秘的ですらありました。なお、本作をただの同性愛を描いた物語として捉えるとこの映画の本質には気付けません。当時は現在よりも保守的で同性愛に対する世間の偏見が強かったであろう時代。そこに描かれていたのはその偏見を恐れる二人の葛藤であったり、愛のない女性と偽りの結婚生活を送る空虚な心境や罪悪感であったり。彼らを取り巻く女性たちの、そのやり場のない怒りを考えても心が痛みます。二人が生きるには時代が早すぎた、の一言で片づけるには切なすぎる物語。最後、ブロークバック・マウンテンの絵葉書と彼のシャツを見つめるイニスの悲しげな眼差しが忘れられません。
[DVD(字幕)] 8点(2016-01-01 17:04:26)
116.  潮風のいたずら 《ネタバレ》 
ゴールディ・ホーンの魅力が全開・・! 高慢ちきなジョアナと家事に育児にテンパるアニー、どちらがお好き? 私は、ジョアナのコスプレしたアニーが一番お好き。カート・ラッセルの80年代ハードロックMTV風ファッション、実は好きなんです。「子供たちのいたずら」はちょっとシンドイ。アンドリュー、あんたは最高。でもグラント・ステイトン三世さんも、ちょっとバカっぽくて憎めないかも。二人のためではなく、家族のために妥協すること、変われること。これってコメディのふりして、実は結婚することの核心を突いてると思うの。それぞれ海に落ちて始まり、最後は二人で (自ら) 海に落ちて終わる。そして、何と本作のリメイクがあるとは驚きました・・。でもそれよりまずは本作のBlu-ray化を強く望みます (笑)
[DVD(字幕)] 8点(2015-12-14 23:27:11)
117.  岸辺の旅 《ネタバレ》 
美しい切り紙の花園をゆっくりと浮かび上がらす光。村の集会所で一つずつ灯る天井の照明。ピアノの場面における人物の立ち位置と構図。等々、映画というよりは舞台劇宛らの演出の数々がとても印象的であり、同時にこの映画そのものが、この世に未練を持ったまま死んだ霊たち、成仏できずに"境界線"を彷徨う霊たちに、どうか安らかにあの世に旅立てるようにと、まるで彼らの為にお膳立てされた大がかりな舞台装置のようにも感じました。その彼らの未練とは決して怨恨に起因するものではなく、育んだ"愛"が本物(真実)であったのか、それを生前に確信することができなかったこと。彼らは死してなお、愛を確かめるために彷徨い続ける。そして瑞希と優介がとうとう触れ合い交わうことによって、彼が本当にもう一つの世界に旅立った光景から、やはりこの映画は本質的にはただ愛を描いただけの物語である、と言いたい。個人的には理解するよりも感覚で感じるべき映画と思っていて、私はあの世から見た光景と現実の曖昧さにふわふわとした浮遊感を感じ、鑑賞後に残る憂いの余韻はなぜかとても心地よかったです。
[映画館(邦画)] 8点(2015-10-07 00:36:01)(良:1票)
118.  母なる証明 《ネタバレ》 
鑑賞中にすごく感じたことなのだが、知的障害の息子トジュンが記憶を断片的に思い出す場面、毎回タイミングが良すぎるのだ。何も知らない母をまっすぐに真実へと誘うかのように。そもそも、トジュンは本当に知的障害者なのでしょうか?あくまで個人的な仮説ですが、これはその昔に農薬で母に殺されかけた少年が、知的障害を演じて復讐の機会を窺い、それを達成した話ではないだろうか。実は彼が少女を殺した場面は過失にも故意にも見えます。自分が自ら人殺しになり、あんたの息子にも人殺しの血が流れていますよ、と"母だけ"に復讐するつもりが予想外にも本当に捕まることになり、目撃者もいて事態が予期せぬ方向へ向かった。老人が殺されたり、無実の知的障害児が捕まったのは、母性が惹起した悲しき二次災害です。最後、火事場に忘れてあった鍼道具をトジュンが母に渡す場面がある。僕は全てを知っているよと言わんばかりに。お互い多くを語らぬも母子の以心伝心で、母はこのおぞましい真実を全て悟ったのではないのか。ここで何より恐ろしいのは、長きにわたり知的障害児と信じて布団を供にしていた息子が実はそうではなかったとわかった時の母の衝撃です。これはもう狂うしかない。"Mother"とは母性ではなく、復讐の対象を指していた。そう考えるとこの映画は根本からくつがえり、情念と怨念を以て迫る恐ろしい姿に変貌をするのです。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-17 23:32:33)(良:2票)
119.  あん 《ネタバレ》 
木々を揺らす風、踏切の音、鳥の囀り、耳元で囁く声。そして、"あん" が煮立つ音。その音はどれも心地よく、目をとじていても、すぅっと心の中に入ってきます。これはとても "音" にこだわった映画だと感じました。まるで目の不自由な方でもその情景が浮かぶほどに。樹木希林さん演じる徳江を店から追い払ったどら春のオーナーは、はっきり言ってこの映画の悪役です。確かに、誰にでも自分の人生と守るべき生活はある。なのになぜこれほど嫌悪感を感じるのか? それは彼女に "罪の意識" がないからです。どら息子 (甥っ子だったか?) を店にひっぱり込んで千太郎の真心を踏みにじるあたり、彼女に罪の意識というものは微塵も存在しません。千太郎には "罪の意識" がありました。何かに苦しむ人を救えなかったり、保身の為に見て見ぬふりをしたことに、罪の意識や自責の念が強い人ほど彼の涙に共感して泣けるでしょう。僕らが差別や偏見をもってきた人たちは、おいしいものや人の笑顔を好む、豊かな感性をもった普通の人々でした。救えなかったことが悲劇ではなく、それを忘却の彼方へと葬り去ることが本当の悲劇。我々は伝えていくことでしか償うことができないのだ。
[映画館(邦画)] 8点(2015-06-09 23:38:30)(良:2票)
120.  WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~ 《ネタバレ》 
同監督の「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」を、素材に対する愛情やリスペクトがまるで感じられないとかつては酷評したが、この変貌ぶりは何だろう。 実際、「林業」ってこういうものでは? というのが素人目にも伝わるし、そこに携わる人たちやその土地古来からの習慣に対する尊敬の念を強く感じる映画でした。 また、一言で言うなら、本作はとても「セクシー」な映画。第一次産業で働く日本の男たちの姿、、それはとても力強く、そして色気がありました。 「がんばっていきまっしょい」や「少年時代」など、邦画の名作の数々のオマージュもよかった。(たぶん、探せばまだありそう) 出演者たちも総じてよかったですが、意外と脇役が光っていて、特に伊藤英明さんは海猿よりはよっぽどはまり役だし、(まさに山猿!!笑) 光石さんはキャリアの中でもベストと言えるほどカッコイイ役だったと思う。そして、自衛隊クンと "愛羅武勇" のタオルをくれたお兄チャン、なぜだか、私はこの二人がとても忘れ難い。杣人祭では、しっかりとこの二人がピックアップされているという、実に抜け目のない脚本に拍手。(GOOD JOB!笑)
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-08 22:35:05)
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