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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2524
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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121.  レディ・バード 《ネタバレ》 
 重要に思えるエピソードも、そうでなさそうなエピソードも、みんな等価値であるかのようにハイスピードでどんどん流れていって、思い出したのは『勝手にしやがれ』の出だし部分ね。最近だと『15時17分、パリ行き』とか。  そうしてテンポよく描かれてゆくレディ・バードの日常コラージュが、やがて彼女の生きる世界の輪郭を浮かび上がらせて。短い時間で彼女という人間に寄り添い、親しみを抱ける存在に思えてくる、愛らしい映画。   裕福とは言えない家庭、ギクシャクした母親との関係、学校でも色々あって、でもいいことがないわけでもなくて、そんな彼女の日常は、彼女にとっては悩みやストレスだらけだけど、傍から見たら大切な、かけがえのない日々。  彼女を包み込む世界の優しさは、彼女が暮らす、そして彼女が嫌うサクラメントの街に象徴されているようで、彼女が目指す(テロのあった)NYや、中東での戦闘のニュースは、外側の、厳しい現実の世界。  サクラメントは特に街を愛するお母さんの存在を映していて、そこからの旅立ちは彼女の望んだ、でも厳しい独り立ちを示すようで。   楽しかったり、イタかったり、つらかったり、いっぱいの共感がたった94分の中に凝縮されていて、そしてこれからも続いてゆくであろう彼女の日々に、本当はもう少し見守り続けたい、って思わないワケにはいかなかったわ。   シアーシャはなんだか若い頃のジャッキー・アール・ヘイリーに似てきた気がしないでもないけれど・・・(『がんばれ!ベアーズ特訓中』参照のこと)。
[映画館(字幕)] 8点(2018-07-25 21:03:36)(良:1票)
122.  未来のミライ 《ネタバレ》 
 自分の子供は可愛い、でも世界中の誰もがその子を可愛いと思ってるとしたら、それは大間違い。他人にとって人んちの子供なんぞ、ウザいだけの存在。  そんな基本的なコトが判ってない監督が作った映画という感じね。多分、自分の実体験から来てるんでしょうけれど、このやかましく泣き虫で自己主張ばかりのクソガキくんちゃんを可愛いって感じる人間が果たしてどれだけいると思ってるんでしょ?  アタシにはあのウザさが最初から最後まで続くのでひたすら苦痛でしかなかったわ。  子を持つ親から見た「あるある」で共感を呼びたいのかしらね?   世界がほぼ一軒の家の中だけで完結するお話。家の構造は一見面白いけど、ああいう構造にしなければ映画としての演出がシンドいという事情も透けて見えるし、第一プライバシーも何もあったモンじゃなくて、実生活では絶対に色々と問題が生じるわよね。でもアレが理想、アレが正しいとか思ってそう。  ああいう家で暮らす、ああいう夫婦・・・キモチ悪いわ・・・。   テーマは否定されるべきモノでもない、ごく真っ当な事を言っていて、でもそれをセリフで言ってどうする、って感じ。もっとも私から見れば、血縁と土地とに縛られてるように見えるケドね。   そこそこの収入があって、衣食住に困らず、介護の心配もしなくていい、悩みは子育て、だけど2人以上の子供が持てるだけの余裕がある、待機児童問題も無縁な、子供の面倒を親に頼る事もできる、そんな生活をしている若い夫婦にならば楽しめる映画、かしら?  そんな人、今の日本にどれだけいるのか知らないケドね(笑)   多様性から目を背けた、酷く保守的で独善的な映画に見えるのは、アタシの僻み根性なのかしらねぇ?
[映画館(邦画)] 4点(2018-07-20 22:50:08)(良:1票)
123.  カメラを止めるな!
 これはネタバレを読んでしまってはダメ、なるべく情報をシャットアウトして見るべき映画なので、点数だけ参考にしてね。   アタシはゾンビ映画ってモノに対してなーんの思い入れもなくて、つーかニガテで、映画マニアにゾンビ映画好きが多い理由がどうにも理解できなくて。  大丈夫なゾンビ映画は『ウォーム・ボディーズ』『ゾンビランド』『高慢と偏見とゾンビ』だけ。『ショーン・オブ・ザ・デッド』すらダメってレベルだからねぇ。  んで、そんなアタシでも存分に楽しめるのがこの映画。   無名な役者しか出てこなくて、安っぽくて、映像なんか『ジュラシック・ワールド 炎の王国』の反対の極に存在するようなしょっぱいシロモノ。そして、そこにこそ意味がある映画。  有名人でリメイクしたとしたら台無しになっちゃうでしょうね。   脚本の妙味とエンドロールに込められた思い、それはたとえゾンビ映画好きでなくても、映画ファンならば誰でも共感できるものだと思うわ。   チネチッタではリピーターらしきおっさんが聞こえよがしなリアクションをとる事で、初見の人間に対して結果的にネタバレ状態になるという事態を巻き起こしやがりまして、100パーセント楽しめたのかどうか、ちょっと微妙な思いをしたのだけど(不粋なスノッブ野郎は滅びればいいの!バカ!)、それでも十分面白かったので、お薦め。
[映画館(邦画)] 9点(2018-07-16 20:02:56)(良:1票)
124.  ジュラシック・ワールド/炎の王国 《ネタバレ》 
 「科学を悪用し神を騙った人間が、その手で甦らせた恐竜によって罰を与えられる」っていう、マイケル・クライトンの原作から続く『ジュラシック・パーク』のテーマが、ここまできたって考えると、映画としての成長を感じられたりするのね。だって、今回は映画の心が恐竜側に移ってるから。   恐竜達が火山の噴火によって安住の地を追われる事から始まる受難の物語は啓示的。  抑圧、隷属、そして売買と人間の歴史の中で繰り返されてきた愚行を経て、最後は解放へと至るのだけれども、それを手助けしてゆく善の側のように見えた人間達が、でも最終的には彼らとの共存を望まないワケ。自分達とは別モノとして彼らの絶滅もやむなしと判断しちゃう。  そして、その意志に背いて最終的に彼らを解放する女神は恐竜達と同様に驕った人間の手によって生まれた存在。  これまで従順な存在として人を護ってきた闘士のブルーちゃんは、最終的に支配からの解放を選択する。前作のラストシーンを繰り返すようでいて、でも、全く逆の意味を持ってるの。支配する側の許しを得て去ってゆく前作と、支配する側の意志に背いて去ってゆく今作と。  ブルーちゃんに感情移入して見てきた人間からすれば、このラストはハンパでも、投げっぱなしでも、もにょるものでもない、最高のラストシーン、ラストカットなワケね。   前作は進化した映像以外に見るところはあまりなかった感じがしたけど、でも、今作に繋がる芽を仕込んであったのだとしたら(ラプトル四姉妹の存在ね)、少し見直したかな。  あと、絵的なセンスがだらーっとしていた前作に比べて格段に良かったのね。後半の恐竜館のホラーっぷりなんかはおんなじような絵が多かったシリーズの中では特異な面白さで。   ラプトル界のアイドル、ブルーちゃんと、貫録のレクシー姐さん、悠々自適のモササウルスさんの魅力はもちろん、頭突き恐竜スティギモロクちゃんのいいキャラっぷりや、埠頭のブラキオサウルスの悲しさ、人工的な能力が表出しまくり化け物状態インドラプトルの悲哀等々、モブまで含めて恐竜の個性を強調しまくった今作、アタシにとってコレは今までとは別物(ついでにこれまでビスタサイズを通してきたのに今回シネスコサイズになったのもね)。
[映画館(字幕)] 8点(2018-07-15 09:25:41)(良:2票)
125.  焼肉ドラゴン 《ネタバレ》 
 舞台の映画化のせいか、映像で描かれる空間の狭苦しさが気になったかな。NHK朝の連ドラ的な空間世界。でも、その狭苦しさこそが、ここに登場する人達の生を映しているのだとも言えるのかも。   笑い、泣き、怒り、精一杯生きている人々の姿が印象的な映画。沢山の大変な思い、つらい思いをして、それでも生きてゆく、その力、その生命力。  日本人でも韓国人でもなく、在日として生きるしかない人々のそれぞれの生が響いてきて。   三姉妹が良いです。感情を抑え込んで生きる真木よう子、感情を爆発させる井上真央、器用に順応している桜庭ななみ。そんな三姉妹を取り巻く男達の滑稽さ、それを包み込む父と母の大きさ。  騒がしく、次から次へと騒動が巻き起こり、そんなやかましさを見つめる末の息子。  ひとりひとりに生があって、心があって、物語があって。   移ろいやすく、壊れやすい家族の絆。   時代の波に翻弄されながら、パワフルに生きた家族の物語に魅かれ続け、そして、色々と考えさせられて。   もっと差別について描いても良かったんじゃない?と思うけど、五月蠅い連中がいる状況ではこれが限界かもね。  十把一絡げにして「日本から出てけ!」とか言っちゃう、同じ日本人として恥ずかしい存在にはなりたくないものだわね。
[映画館(邦画)] 7点(2018-07-02 21:56:15)
126.  メイズ・ランナー 最期の迷宮 《ネタバレ》 
 1作目と2作目の公開の間隔は短かったのだけど、今回は2作目から随分と間が空いて、でもストーリーすっかり忘れた!ってほどでもなくて。ヒロインが裏切ってミンホが捕まっちゃった、ってのは憶えてたわ。   コレ、本当に原作があるの?ってくらいに雑で行き当たりばったりで展開に疑問湧きまくり。  今回が完結編、なのに物語はミンホを助けなくちゃ!って目的だけで作られてるっていう。  大風呂敷広げまくりの設定、人類の存亡をかけた物語なのに、そっちの流れからは外れて、ひたすら傍流である救出作戦を延々と描くって、大胆っていうか、構成に問題ありまくりっていうか。  大きな状況を動かすのは、その救出作戦を利用した、なんかウラがありそうで、実は単に正義の人と、それに扇動された人々ってね。まあ、主人公が闘士となってみんなを率いて、なんて展開だと荒唐無稽になっちゃうのは確かだけれども。   主人公がちっとも印象に残らない個性の無さっていうのがこのシリーズの難点で、だけどワキを固める連中は個性的で、そこはシリーズ通じて魅力を感じてたわ。『リトル・ランボーズ』のコなんか、めちゃくちゃアクの強い顔になってきて、これからが楽しみな感じ。   で、最終的な着地点はそんなトコでいいワケ? あれだけ風呂敷広げといてそんな結末? つーか未消化なキャラ多過ぎじゃない? みたいな終わりを迎えるわけだけど、でも、144分間、あっちゅー間で退屈一切無し、勢いに押されて存分に堪能しちゃった感があって、元々そんなに多くを求めるようなタイプの映画じゃないんで、こんなモンでいいんじゃない?みたいな、妙な満足感を抱いたのも事実ねー。オリジナリティ全然ないけどさ。
[映画館(字幕)] 6点(2018-07-01 22:04:06)
127.  ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 
 毎度そこそこなロン・ハワード監督作品とはいえ、『スター・ウォーズ』の看板ぶら下げて、この程度でいいのぉ?って思っちゃった。でも大きな問題はロン・ハワード演出ではなくて脚本ね。   西部劇ベースっていうのは判るとして(大列車強盗だしね)、物語を構成してゆく要素1つ1つが面白くも楽しくも感動的でもなくて。途中で眠くなった『スター・ウォーズ』って初めて。   まず、幾らピンチに陥ったところでソロもチューバッカもランドも死なないってのは判っているので、それ以外の工夫っていうのが、当然あっていいと思うんだけど、特にそういう配慮はなくて。   この映画の独自キャラにドラマを負わせるってほどでもなく、ヒロインは色々と意味ありげだけれども、「意味ありげです」だけで何のドラマも結実させないままに終わっちゃうし、ソロもチューバッカもランドもイメージ壊さないように地雷踏まないようにしてるせいか、キャラとして面白くないし、クライマックス地味だし。大列車強盗の方をクライマックスに持ってった方が良かったんじゃない?   そんな中で魅力的だったのはロボ子と盗賊の親分だけど、どちらももう少し描いて欲しかったわ、くらいにちょっとしたアクセント程度の扱いで残念もいいとこ。   ソロ、チューバッカ、ランドの登場シーンはもっと印象的に盛り上げて欲しかった、って、そういうところは監督の問題かな。   アガるのはジョン・ウィリアムズのお馴染みの曲がメドレー状態でかかる戦闘シーンくらい。   例のあのキャラ登場は映画だけ見てきてる人には「なんでよ?」って状態だしねぇ。アニメシリーズの『反乱者たち』見てないと判んないわ、つーか、アレ見ててもちゃんと繋がってるってワケでもないし。ただ生きてたってトコだけが繋がってるだけのハナシで。   ちなみに、ケッセルが出てくるけれど、ギャオスベイダーは出てこないわ(ファミコン世代じゃないと判らないネタ)。   もうちょっと引っ張って続編とか作っちゃう?って作りだったけれど、アテが外れたみたいね。他の企画まで潰えちゃった。ファンが何を求めてるのか、もう少しリサーチが必要だったんじゃないかしら?
[映画館(字幕)] 5点(2018-07-01 21:34:10)(良:1票)
128.  恋は雨上がりのように 《ネタバレ》 
 実のところ、コレって(作品を作る側の)おっさん目線で作られた映画よね。鼻に付く、おっさんの自虐的なギャグが散りばめられ、おっさんの夢とか願望とか救われたいキモチとか、そういうのが加齢臭の如く、じわじわと滲み出ていて。安心安定の大泉洋だからこそ、それでも成立しちゃうわけだけれども。  おっさんのアンチ的ポジションに濱田マリを配するあたりも嫌味を最小限に抑えてる感じで、まあ、おっさんのファンタジーですわね。   一方、ヒロインの青春映画としては、挫折と、そこから一歩未来へと踏み出す勇気がまっすぐに描かれていていいカンジです。彼女を取り巻く環境(母との関係や、親友やライバルの存在や)も大切な要素として機能していて。   でも結局、小松菜奈が総て。その表情(基本は仏頂面)と、そのしなやかな立ち居振る舞いと。 彼女の所作、1つ1つが美しくて、だから冒頭で駆けるシーンはマンガ的に作り過ぎな感じで残念ね。そんな加工は不要でしょう。  女優、小松菜奈の美がキッチリと収められているという点で、大変重要な作品。   彼女が動いている、或いは止まっている事で意味が生じる映画。そして、それだけで十分なのでしょう。
[映画館(邦画)] 7点(2018-06-28 22:08:22)
129.  オンリー・ザ・ブレイブ 《ネタバレ》 
 あたしコレ予告編見て『タワーリング・インフェルノ』や『バック・ドラフト』みたいな大火災に立ち向かう男達のスリルとサスペンスに溢れたパニック大作だと思ったですヨ。ワクワクして見に行ったらさ、もう大ダメージ!みたいな。いやいや、実話ベースだったら、そりゃそうよね・・・   この映画を見る事で、森林火災に対する防火対策についての知識は身につきます。そして、それでは太刀打ちできない場合がある事も・・・。   いつ命を落としても不思議ではない危険な仕事に就く事と、相対する、家庭を守る事。そのジレンマに苦悩するドラマは正直よくある、ありがちなもので、それをまた延々と見せられてもねぇ、なんて思っちゃったり。  クライマックスで、19人が瞬く間に直面する危機、それがどうして、どのような理由で起こった、それに対して19人はどんな意識、どんな認識を持ったのか、そこはスッポリ抜けちゃってるカンジで。  そして、そんなコトを考えたりツッコんだりしてはいけませんよ、っていう「何しろコレは実話なのだから!」という大前提。このカンジはアレ、『バーニング・オーシャン』や『パトリオット・デイ』に近いわね・・・。   緊急シェルターの装着訓練を繰り返し見せる事で、なんかセリフとか見せ方とかで死亡フラグ立てまくりの19人だけれども、あの緊急シェルターがここ一番ってところで役に立つのね、きっとそうね、って思いながら見てたのですが・・・あー。   映画はドラマ中心で客観性には欠けていたので、この火災について色々と調べてみたのですが、高い気温と低い湿度の中で風速20mほどの強風によって急速に火災エリアが10倍に広がって退路を塞がれてしまったのですね。その過程を上手く描けてはいなかったかなぁ。気が付いたら、みたいな感じ。確かに当人達にとってはそういう感じだったのかもしれませんけど。   途中までずっとジョシュ・ブローリンをジェフ・ブリッジスだと思ってて、ジョシュまだー?なんて。おいおい、ジェフ20年くらい老けてないとでもいうの?って。だってジョシュ、昔のジェフに似てるんだもん。  ジェニファーは相変わらずキレイ。   マッチョイズムの映画っていうんでしょうか(いや、そういう言い方も「不謹慎!」って言われるんでしょうけどさ)、男臭さとか、男同士の下品な感じとか、そういうのニガテなんで、それもツラい映画でしたが、そういう男の熱いドラマがイイって人にはいい映画かと思います。はい。
[映画館(字幕)] 6点(2018-06-28 21:03:31)(良:1票)
130.  羊と鋼の森 《ネタバレ》 
 ピアノの調律師の物語ということで、当然、音がとても重要になるのですが、その点はキチンとしている映画でした。  散りばめられた環境音と、その中から立ち上がってくるピアノの音。その音色こそが主役だということがわかってる、そんな音響デザインが良かったです。   主人公は人並み外れた、天才的な才能の持ち主、みたいなマンガ的な(でも、よくある)設定ではなくて、ごくフツーの人で、学び、間違い、悩み、不器用に道を進んでゆく、っていうのもいいです。   調律師が音に真剣に向き合う、その繊細さ、調律された1音1音が奏者の手によって旋律を奏でてゆく、その美しさ。  音が世界を表現してゆく過程を、人の拘り、努力を通して描く、しっとりと流れて染みる映画でした。   ただ、間を取り過ぎている感じで、リズム感なし、みたいな状態になってしまっているのはちょっと残念ですか(リズムについても言及してる映画なのに)。スローなだけでリズムが無い訳ではない、と言えない事はないのかもしれませんが、スロー過ぎると流れが崩れる部分が出てくるわけで。  そのスローさの中では主人公もトロい、じれったい人間、みたいに映ってしまいますし。とりあえず、物を貰ったら「ありがとうございます」は先に言っておこうよ、みたいな。その言葉が出るまでに時間がかかり過ぎるので、結構失礼なヤツに見えますよ。   不満点が色々無い訳ではないですが、真面目に作られている映画なので、そういう点をちゃんと見るべきかな、と思いました。   ちなみにピアノの音が森を映すのは、主人公があくまで森に生まれ育ったがゆえの独自の心象風景ですよね。都会生まれの私には、ピアノの音は街や人を映すものだったりしますし。
[映画館(邦画)] 7点(2018-06-13 21:17:57)
131.  万引き家族 《ネタバレ》 
 ツイッターあたりでは見てもいない映画を中傷するおバカな人々を炙り出してみせる状態になってますが、この映画について言及する事は、そのまま今の日本を映す事になるような感じで、仕掛けてきてるねぇ、って。   弱者を切り捨てたがりな、強い者の側についている(つもりの)人でいっぱいのこの国で、ここに描かれる都合の悪い幸せは、目を逸らしたり、壊したり、断絶したりしたいモノなのかも。  好ましいとは言い難い関係で疑似家族を構成している人々それぞれの、ちょっとした儚い幸せ、それすらも許されないものなのか、人である最低限すら否定されなければならないものなのか、どうなの?と。  〇か×かでしか判断できない(自分の支持者でなければそれは敵だと思ってるような首相が存在している)この国。美しさとか心の豊かさとか、そういうのって一体どこにあるって言うんでしょ?  ね、この映画を語ればこの国の中の、どういう国民なのかが露わになっちゃう。   さて、とは言え、私はこれまでの是枝監督作品同様、そーんなには巧い映画だとは思いませんでした。  冒頭の、説明的な展開をかなり省いていきなり少女連れてきちゃうあたりの潔さは良かったのですが、答えの無いオチの無い映画なのに、はい、幸せ描写はここまで、次のシーンから波乱の展開が始まります、みたいな定型フォーマットっぷりを見せられてしまうと、なんだかなぁ、って思ったり。  総じて構成や編集に首を傾げ気味。設定上の隠し事を小出しに見せてゆく構成ゆえ自然さを欠くようにも思えました。   それを補って余りあるのは役者、特に女優の演技、まずはさすがの安藤サクラ。その生々しい肉体の存在感ときたら。演技とか役作りとか飛び越えて迫ってきます。  加えて、安定の樹木希林と若手実力派な松岡茉優、そして子役の佐々木みゆという世代を隔てた女優がそれぞれに存在感を示して、1つの「家族」の姿を見せつけてくれます。   現実は映画よりも更に厳しい、それをニュースで思い知らされて、それでも目を逸らし、切り捨て、排除し、「美しい日本を取り戻す」とか言っちゃう? 「じゃあお前はどうなんだ」? どうなんでしょう?
[映画館(邦画)] 7点(2018-06-11 21:23:47)(良:1票)
132.  犬ヶ島 《ネタバレ》 
 ウェス・アンダーソン監督作品って、映像表現は面白いと思っても、映画自体にはそんなに心動く事は無かったんですよね。でも、今回は本当に素晴らしかったです。   日本をディストピアとして描いてるので抵抗感を抱くかもしれませんが、その和風ディストピアっぷりがとても刺激的で面白くて。  大量の個性的なデザイン、画面いっぱいに詰め込まれた意匠が溢れ出てくるような感覚(っていうか実際に溢れているというか。シネスコサイズですが、ビスタの上下黒帯で画面外に字幕を出すスタイル。画面内に情報が多過ぎて、文字情報も大量で、その多くが日本語表記であるがゆえでしょうか。吹替版はどうなっているのかなぁ?)。  『七人の侍』のテーマ曲をそのまま持ってきたりしていて、黒澤明作品からの影響が強いのは明らかなのですが(そもそも『野良犬』ですし)、それ以外にも日本映画リスペクトが多く見られて、元ネタをあれこれ考えるのも楽しく。博士のモデルは平田昭彦でしょうかねぇ。   平行移動とかシンメトリーとか、毎度のウェス・アンダーソンらしさ炸裂、だけど意外にドラマに心動かされる部分が多くて。特に犬達の物語が切ないんですよね。そこには差別や独裁、弾圧、洗脳といった過去の歴史が反映されていて。そして、優しさや希望といった前向きな想いが込められていて。   日本を舞台にしたアメリカ産ストップモーションアニメーションには『KUBO クボ 二本の弦の秘密』があって、作品的な印象は全く異なるように思えますが、共通点が色々あって(動物と旅する少年とか、罪に対する赦しとか)、あちらの人が思う日本観がなんとなく見えてくる感じなのが面白いです。   スタッフロールまできっちり日本語併記な、日本で溢れたアメリカ映画、その奇妙で気持ちいい感覚をたっぷり堪能しました。
[映画館(字幕)] 9点(2018-05-25 21:30:52)
133.  GODZILLA 決戦機動増殖都市 《ネタバレ》 
 同時期に『レディ・プレイヤー1』『パシフィック・リム:アップ・ライジング』『ランペイジ 巨獣大乱闘』と怪獣リスペクトなハリウッド映画が次々公開されている中、本家の看板をぶら下げてるコレは一体何をやっているのやら。   基本は前作と一緒。ゴジラをダシに、設定世界のおたく的披露に終始する映画。前半というか、大部分が大量のセリフによる設定の説明、クライマックス部分にアクションあります、と。しかし、今回メカゴジラが登場するわけですが、これもおたく的ヒネリを効かせてみました、って状態で、その設定を面白がれるのって虚淵玄ファンくらいのモンでしょ、っていう。そんなメカゴジラを見せられて楽しいか?と。『レディ・プレイヤー1』のメカゴジラのサービス精神の欠片もないわ。  そのクライマックスにしても前作と似たような絵ヅラに終始して、やってること、ほんと、前作と変わりゃしません。3部作なわけですが、1作目から作品として発展してないって、しょーもない。  主人公は相変わらず優柔不断で行き当たりばったり、ヒロインや武闘派の種族の連中の言動もまるで共感できず、キャラにちっとも魅力がないのもそのまんま。   それでも前作よりはマシな点数付いてるのは、双子のキャラが良かった(しかしちっとも物語に活かせてないわけですが)のと、前作の存在がある分、入り込み易い(つまりここから見ても訳わからない、これ1作では全く評価できない)から、それだけ。   双子と卵って要素を出しつつモスラも出さずにスカして、とりあえず色々ワザとスカしてみせるやり方を面白がってるみたいですが(バカじゃね?)、ゴジラの看板を掲げている以上、抑えるべき最低限ってものがあるんじゃないかなぁ。今回のゴジラもまた、シンボリックな存在に終始してるだけですし。   どんな映画でもそれなりに入ってる六本木ヒルズのシネコンで観客6人とか、なかなかレアな体験させてくれた訳ですが、東宝的には笑い事じゃ済まないんじゃないですかねぇ。
[映画館(邦画)] 3点(2018-05-24 23:07:41)
134.  ランペイジ 巨獣大乱闘 《ネタバレ》 
 物語的にはFOXムービーあたりでよく見る低予算B級モンスター映画のソレ。それを役者やらVFXやらの視覚的な部分だけ巨費かけてIMAXにかけるレベルに持ち上げたようなシロモノ。そんなんでいいのか?とも思いますが、『ジュラシック・ワールド』ですらそんな状態だった訳で、最近は「ハリウッド映画なんてそんなモン」って開き直りが流行りなんですかねぇ。   とは言え、そういう確信犯的バカ映画の世界を楽しんでいるのも事実で。家族のドラマとか、主人公のトラウマとか、恋愛要素とかほぼ無し。ただ悪いヤツが悪い事して、正義が悪を罰するって単純なお話。脳みそ使わず、なーんにも考えずにただポカーンと口開けて見てればOK。   冒頭から『エイリアン』や『ライフ』みたいなSFクリーチャーもののクライマックス状態、『プレデター』や『ジュラシック・パーク』みたいな森での襲撃シーン、『ザ・マミー』や『トリプルX:再起動』みたいな飛行機墜落サスペンスとサービス満点。  その上で、動物巨大化凶暴化なハズの映画だったのが、クライマックスで完全に怪獣映画状態に。いろんな動物の遺伝子が影響して元の動物からかけ離れたデザインになってゆくあたり、巨大生物映画ではなくて、怪獣映画がやりたかったんだねぇ、って。日本でなら『キングコング×アンギラス×バラン シカゴSOS』ってタイトルで売れるくらいにはビジュアル的に寄ってます。  怪獣による都市大破壊の映像は、最新怪獣映画の世界を堪能できて、怪獣映画で育った私にはご馳走でした。   ただ、人間の悪事によって怪獣にされてしまった動物は、ちょっと可哀想。ワニもオオカミもあんな目に遭わなければ普通に暮らせていられたのにねぇ。
[映画館(字幕)] 7点(2018-05-24 20:49:06)(良:1票)
135.  ラプラスの魔女 《ネタバレ》 
 見る前はミステリーだと思ったんですけど、実際はSF&オカルト。荒唐無稽で馬鹿馬鹿しい話で、それを説得力ある描写で納得させてしまう、とかいう事は全然していないんですよね。むしろ更にヘンな事しちゃってる、みたいな。   脳外科手術によって極度に発達した観察力、洞察力が、現象の論理的帰結として到達する状況を予知するって、カオス理論に対してケンカ売ってるような話ですが(笑)、例えばヒロインがダウンバースト時にクルマを利用して屋敷に穴を開ける、その際に彼女がいかにしてクルマの重量、その重量配分、ガソリンタンクの位置とタンク内のガソリンの残量と移動を把握できたのか、それを論理的に見せる事が出来ない以上、ただのバカ映画にしかならないんですよね。それ以前の問題ってのもいっぱいありはしますけど。   全編、ヘンなんです。おかしな、普通じゃない人達ばかりが出てきて、普通じゃない言動に終始するという。その中で狂言回しとして櫻井翔が状況を解説してゆくように巻き込まれてゆきますが、その凡庸さは周囲のヘンさを際立たせるために機能しているようで。特に豊川悦司の変人っぷりは作り物感丸出し、80年代くらいまでの邦画にはこういうキャラよくいたよねぇ、って懐かしい脱力感を体験させて頂きましたよ。   結局、三池崇史監督なんですよね。『神様のパズル』からなんにも進化してない、とにかく勢いで押しちゃえばなんとかなる的な。   で、今回気になったのが、出演者全員いつもと違うヘンな顔。眉と目を強調しつつ、顔はフラット気味なメイク、そしてフラットなライティングで表情を作ってる感じ。それが作り出したのが丸顔で太って見える櫻井翔、眉毛濃すぎな広瀬すず、線目の福士蒼汰、貧相な豊川悦司、超クドい顔の高嶋政伸。本当にそのメイクとライティングで良かったのか?と。演劇の手法を取り入れてるのかもしれませんが、それって遠くの客席からでも表情が判るためのメイクなわけですから、それをドアップで撮られるとキツいわけで。   何から何まで作り物感で支配されていて、この物語に対して、それは「逃げ」なんじゃないかなぁ、と思うのでした。三池崇史監督の映画って、そんなんばっか。
[映画館(邦画)] 4点(2018-05-11 21:24:23)
136.  となりの怪物くん 《ネタバレ》 
 それなりに楽しんでしまい、それなりに感動したりもしてしまったのですが、でも、だからって肯定しちゃっていいシロモノでは無い気がして。  この程度のモノが本当に『キミスイ』の監督が撮った映画なの?って感じで。   少女マンガの映画化作品に見られるお馴染み記号的表現で固められたような映画で、この作品ならではの工夫は見られません。数多の類似作品から何ら進歩も発展もしていません。  殴られた人間がありえないくらいにぶっ飛んだり、白目剥いて失神したり、雨の中を泣きながら走ったり、原作に寄せようと無理矢理な髪型、髪色、衣装にしたり(つまりコスプレ感丸出し)。安易にキラキラ輝く世界に見せようとしてハイキーで立体感が欠如した映像とか、そういう「お約束」って本当に必要とされているモノなんでしょうか?   原作から色々と端折っているのでしょう、いきなりな展開と、心情の読めないキャラの唐突な言動が羅列された上で、最後に至ってもちゃんとケリが付かないままに放置されるキャラ続出。   それでも菅田将暉の複雑な役柄の器用な演じ分けと、土屋太鳳のひたむきなキャラとで、メイン二人が魅力的なために見られるモノになっていて(そしてメイン二人以外のキャラにちっとも魅力が無い状態なのも事実で。『キミスイ』の義理で出てるだけ?みたいな浜辺美波の扱いの悪さときたら。もこみちも実在感の欠片もないオブジェの如き存在ですし)。   このテの映画が好きなので、たとえマンネリでもパターン化されいてもつい見ちゃうのですが、目先の利益を優先して安易な映像化で原作を浪費してゆくのはそろそろ終わりにした方がいいんじゃないかなぁ。少女マンガの映画化ならばこの程度でいいや、って感じの低めな目標と結果が容易に見て取れる状態は情けないですよね。ロケーションは良かったので、そういうところは大切にして欲しいですけれど。
[映画館(邦画)] 5点(2018-05-07 22:06:33)
137.  アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 《ネタバレ》 
【どうせだからめちゃくちゃネタバレしちゃうんで注意】   これまで色々と出てきたマーベル映画を『アベンジャーズ』のための予告編映画とか揶揄して醒めた事書いてきましたが、ここまで作品が増えてヒーローが増えてごっちゃり状態になると、それはそれで豪華幕の内弁当状態で楽しいっちゃ楽しかったりします。ソーとロケットの組み合わせみたいに、もう同じ世界線に存在している事すら不思議な感覚なのに、シリアスな会話してたりして、そんなシュールな状況があちこちに見られて。そういう、他作品の主役同士の交わりや共闘の姿はワクワクさせてくれます。が、どうにもこうにも暗くて。画面自体、暗いシーンが多いのですが、その上、内容が暗くて陰惨な映像が頻出して。かなり残酷なんですよね。その陰惨さに後半もうゲンナリしてしまって。どうしてこんなお祭り映画でそこまで陰惨にならなくちゃなんないの?と。   これまでの映画(もちろん『アベンジャーズ』だけでなく、一連の各作品全て)を見ていないと判らない話だらけの上に(その全ての作品を何度もリピートしてないと色々と忘れちゃうって)、登場人物が多いのであちこちに話が飛んで、どこで誰が誰と組んでどういう行動をしてたっけ?って把握するのが大変。主役クラスでないと、もう、あなたは誰でどの作品で何をしてましたっけ?みたいな。っていうか、キャプテンですら登場時は「あんた誰?」状態で。ヴィジュアル大きく変更するのカンベン。   で【ここからネタバレ強し】、アベンジャーズ全滅!とか、誰が死んでしまう?とかなんとか、そういうのがウリになってたりするのですが、ヒーロー役引退を表明している人達が退場しちゃうんじゃ?と思わせつつ、そういう人達は生き延びて。まさかまだ1作2作しか映画がないヒーロー達が軒並み犠牲になるなんて予想してなくてビックリでしょ?みたいな仕掛けはなかなか意地が悪くて、そう来たか、とは思いました。でも、あーんなにやり過ぎちゃったら、結局のところどうせ次回作で、ねぇ、って思っちゃいますよねぇ。最後のひとまとめ以外の人達まで含めて。ギリギリの危うさ、壮絶な最期、みたいなのではなくて、魔法的な力の話なので、どうとでもなっちゃうワケで。まあ、本気で特定の作品終了ってのはあり得ないでしょうから、それを信じちゃったりするのは逆にどうなのよ?ってところでしょうか。  ヒーロー達がひたすら酷い目に遭うお祭り映画を楽しみましょう、というドSなシロモノで、昔からウルトラマンが負けたりするのが苦手な私としてはかなりシンドかったのでした。
[映画館(字幕)] 6点(2018-04-27 20:03:13)(良:1票)
138.  クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱 《ネタバレ》 
 今回はカンフー映画ベースの世界ですが、単純にカンフー映画のパターンをなぞるのではなくて、物語にヒネリが加えてあって、奥行きのあるテーマを投げかけてきます。でも、それは功罪相半ば、という感じ。正義というものについて、多面的な描き方をしていて、色々考えさせるメッセージが織り込まれている一方、明快さがなくなって、見終って澱のような、わだかまりが残るような作品になって。『クレヨンしんちゃん』ならではの気持ち良さに欠ける感がなきにしもあらずです。  物語途中で悪は駆逐され、正義の名の元に力で支配されてゆく、その恐怖を描くのに『クレヨンしんちゃん』という器が相応しかったのかどうか。唐突な解決は物語をキチンと閉じる、という事が蔑ろにされてしまっていますし。時間を置けば凶暴化は治るという設定は語られていますが、その逆側で自我を奪われた人々が治る道筋はちゃんと語られないまま、みんなで踊れば解決、ですからねぇ。   それから、前作の『シリリ』同様、今回も野原しんのすけが物語上の主役ではないのですよね。ゲストキャラこそが主役で。もう26作重ねて、しんのすけで描けることもなくなってきちゃったのかな? 作品内で成長を見せたとしても毎回毎回リセットされてしまいますし。  今回、ここぞというところは肉弾戦なのでしんのすけは出る幕がなくなっちゃうわけで。それは例えば『ブタのヒヅメ大作戦』のクライマックスでも見られた状況ですが、やっぱりしんのすけが主役として活躍する物語が見たいですね。見る前に抱いた「今回はカスカベ防衛隊がメイン?」って期待もスカされちゃった感じですし。   色々と考えて苦心して続いてるシリーズなのだと思います。でも、子供を笑わせてナンボという基本中の基本は絶対に忘れて欲しくないところです。
[映画館(邦画)] 6点(2018-04-26 22:25:07)
139.  リズと青い鳥 《ネタバレ》 
 『響け!ユーフォニアム』のテレビシリーズは見ておらず、映画の1作目を見ただけで、それもあんまり、って状態(ダイジェストなので薄っぺらい感じで)でしたが、スピンオフである今回の映画は『響け!~』の知識が全く無くても問題なく楽しめる作品だと思います。むしろ知識がジャマをしてくる?   山田尚子監督と吉田玲子脚本コンビとしては、『けいおん!』と『聲の形』という2つの極の間を漂うような作品で、純化された世界で少女達のキモチの揺らぎを描いています。表情に乏しく言葉少なく自己表現が苦手なみぞれと、明るく饒舌だけれども必ずしも内面に正直ではない希美。その心の機微を繊細に、そして雄弁に表現してゆく映像と音楽が心地良く、静かな静かな映画がじわじわ染みてくる感じで。  広い余白とディティールアップの連続という、山田監督らしい構図で溢れた映像、反復される仕草やモチーフ。その、たっぷりと行間を取る演出法で、豊かな情緒を生み出しています。   童話部分は陸奥A子的タッチの世界で(「ハッピーアイスクリーム!」も彼女のマンガで知りましたしね)、全編、少女文学世界というか昭和少女マンガ世界(『りぼん』とか『マーガレット』とかの集英社寄り感)の感覚を匂わせていて、そこに思い入れのある人には殊更響いてくるものがあるようにも思います。   2人の少女の、自分を見つけ未来に向かって踏み出す大切な時間を丁寧に描いた作品、かなり近い題材な市川実日子&小西真奈美の『blue』、アーラン・モイルの『タイムズ・スクエア』と共に私のお薦めです。
[映画館(邦画)] 9点(2018-04-26 21:22:18)
140.  レディ・プレイヤー1 《ネタバレ》 
 世界一有名な映画監督が莫大な資金と大量の人材を動員して作った、ただのDAICONオープニングアニメ(知らない人はぐぐってね)。『マトリックス』と『ロード・オブ・ザ・リング』と『アバター』と『サマーウォーズ』と『スコット・ピルグリム』と『シュガー・ラッシュ』と『ピクセル』と『ジュマンジ:ウェルカム・トゥ・ジャングル』を袋の中に入れてガンガン叩いてからバーッとぶちまけたような映画。つまりオリジナリティ無し。よくある物語を既成のキャラで画面を埋め尽くしてみせただけ。そして、だからこそ最高。   サブカルチャー、ポップカルチャーに古く、長く、深く浸ってきた人間ほど楽しめるって点では異様にハードルの高い映画。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『AKIRA』は基本中の基本として、『シャイニング』と『アイアン・ジャイアント』を見てないと話にならない状態な上、MO、MMO、そしてSF系FPS、TPSをプレイしていてナンボ、音楽は80年代中心、アニメ、映画、ゲームの細かいネタが多過ぎて、まるでどこまでついて来られるか試されているような、おたくのリトマス試験紙のような映画。  一応、リアルこそが大切ってテーマが語られはするものの、そんなものは当然タテマエで「こんなのが好きなんだろ?」ってとんでもない情報量とパワーでガンガン見せてきて圧倒されまくり。3Dメガネをかけた視界いっぱいのIMAXのスクリーンはVRにも通じて、そのおたく世界に没入する陶酔感。そして、さすがにここに登場する要素の全部はフォローできていない自分が残念。もっとも元ネタあらかた判ったからって誰かが褒めてくれる訳じゃないし、むしろどん引きされるだけですけどねー。  でも、よくある物語=王道であるがゆえに楽しめるかどうかは別として完全に置いてきぼりを食らうというワケではないので、その点だけはご安心を。脚本はツッコミどころ満載ですが(実際にこのVR世界があったら最初のカギはほんの数十分でゲットされる事でしょう)、むしろツッコんでください、くらいに思ってそうですし。   もうトシもトシだし、なんて思ってたスピルバーグが、今もこんな中二病丸出しのパワフルなアトラクション映画を作っちゃうんだねぇ、と嬉しくなりました。スピルバーグの本領はやっぱりその見世物っぷりにあると思うので。
[映画館(字幕)] 9点(2018-04-20 22:27:21)(良:1票)
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