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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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161.  散歩する侵略者 《ネタバレ》 
如何にも胡散臭そうな東出昌大の牧師や、得体の知れない笹野高史が現れたりしただけで笑いがこみあげてくる、絶妙なキャスティングが多数。 恒松祐里のアクションが素晴らしく、登場人物の歪な歩行は不謹慎な笑いを誘い、終盤の海辺と空の独特な終末感が心をゾクゾクさせる。 ちょっとしたジャンプカットの数々も何となくSF的なアクセントに感じられて心地いい。 これらの見どころだけで映画として十分と思う。  などと言いつつ、やはり何よりも長澤まさみが絶品。あの駐車場での感動的な一言こそ映画の最高潮である。
[映画館(邦画)] 8点(2017-09-15 00:04:30)
162.  昼顔(2017) 《ネタバレ》 
ヒロインにとって暮らし場所は「どこでも良かった」訳だが、映画の作り手にとっては海辺の街でなければならないのである。 花火の類との対比において、斎藤工と密会する小川に対する平山浩行の領域として、あるいはサーフボードから突き落とされ(落下)、 髪を濡らし、水圧にもがき喘ぐように歩むため、という運動的論拠もあるだろう。  躓き、よろめく上戸彩。普通の歩行のショットは稀だ。自転車を息せき切って漕ぐか、ふらつくか、足を取られてつんのめるか。 見よう見真似のぎこちない盆踊りも然り。 手で云えば、ハンバーグを捏ねる、藪蚊を払うなどのちょっとした生活動作から、マンション七階の呼び出しボタンを順に押していくなどの 心理表現まで、非意思的で不器用気味の身体性を強調することで、キャラクターの生の感触を伝えている。  上戸と伊藤歩の、視線交錯のサスペンス。クライマックスとなる踏切での光のドラマもいい。  クラクションや調理音などSEの演出も充実しているのだが、BGMが無駄に被る箇所があるのが残念。
[映画館(邦画)] 8点(2017-06-16 21:52:01)
163.  パーソナル・ショッパー 《ネタバレ》 
古屋敷で夜を迎えるヒロインが歩を進めると床が静かに軋み、窓を開けると様々な夜の音が飛び込んでくる。 序盤から音に関するデリケートな演出が為されており、それは終盤に向けて静かなサスペンスが最高潮となるよう、仕組まれている。 携帯に文字を打ち込んでいく、忙しない打音。グラスの破砕音。壁を打つ、くぐもった音。  携帯電話の映画だが、クリステン・スチュワートが神経症的にキーを打つ指先のアクションとして、リズミカルな効果音として 対話を画面に表象させていくという映画的な用法が為されているのが見事だ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2017-05-20 16:00:38)
164.  ノー・エスケープ 自由への国境 《ネタバレ》 
夜明けの地平線のショットに始まり、地平線のショットに終わる。 荒野と奇岩のランドスケープが主役であり、人物を小さく配置した望遠ショットの適切な挿入によって 傾斜と高度、遠近がよく描写され、サスペンスが終始維持されている。 ラストの岩場でのアクションをはじめ、その特殊な地形に基づく形で俳優の動きがつけられているという現場主義の感覚が特徴だ。 撮影現場で  キャラクターの背景描写も最小限にとどめ、 追う・追われるのシンプルな状況を設定し、そこからロケーションの特性を活かしたアクションを構築しているのが強みだ。  簡潔明瞭なプロットこそ面白い、その好例である。
[映画館(字幕)] 8点(2017-05-12 15:26:15)
165.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
クラクションから始まる二人の出会い。バーでの再会は街路に流れてくる音楽に引き寄せられてのものだし、店に入ったエマ・ストーンへのトラックアップに重なるのはあのクラクションの響きだ。三度目の再会もパーティ会場に流れる音楽が二人を引き合わせ、ボーイフレンドと会食中のエマ・ストーンが意を決して映画館へ向かうきっかけとなるのはレストランのスピーカーから流れてくるあのピアノソロである。 車のクラクションはさらに変奏されていき、最後のそれは夢をあきらめた彼女の決定的な転機となる感動的な呼びかけの響きとなるだろう。 音色とその記憶が一貫して二人を引き合わせていく演出は周到である。  エマ・ストーンが化粧室で独唱するとき、独り舞台に立つとき、最後のオーディションを受けるとき、照明が落とされ単一に近い光源が彼女を照らし出す。 プラネタリウムを舞い、スターとなるべき彼女はスポットライトを正面にみる。リアルト劇場の映写ライトの光を正面から受けるのも彼女の特権であり必然である。 序盤のバーのシーンでは赤のライティングが彼女のブルーのドレスを引き立て、中盤の仲違いのシーンでは緑のライト、終盤のバーではブルーのネオンが 彼女を印象的に縁取るが、たそがれ時の淡い光の中、『A LOVELY NIGHT』のタップを踏む彼女の黄色いドレスは可憐さを一層引き立てている。  そしてラスト、万感の表情で視線を交わす二人の切り返しショットが素晴らしい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2017-03-13 23:20:17)
166.  ざ・鬼太鼓座 《ネタバレ》 
巻頭の荒々しい波濤のショットを始め、佐渡の日本的な自然が実に美的に活写されていて海外マーケットを多分に意識している風にもとれるが、 その風景はあくまで躍動する若者らと一体化する形で構図化されていて単なる絵葉書的美観には陥らない。  神社や商店街などのロケーションにおける端正な構図と人物配置、屋内セットにおける透明板の床から仰ぐ大胆なアングルなどが尚のこと 演者のパフォーマンスを引き立てる。  バチを叩く青年たちの精悍な肉体がハイライトによって美しく立体的に浮かび上がり、その律動する肢体は強烈な色気を発散して素晴らしい。  披露される演目の合間に、海辺や街中をひたすら走って鍛錬するメンバーの姿が幾度も反復される。 それらのショットは、芸能の土着性と共に若々しい躍動感をもって迫ってくる。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2017-02-25 22:28:05)
167.  マリアンヌ 《ネタバレ》 
古典的ドラマの味わいと共に、それを語る古典的な映画表現の技が楽しめる。  二重スパイものと来れば、虚像と実像を仄めかす鏡の道具立ては外せない。 疑心暗鬼となる二人それぞれのスペースを縦に分断する後景の窓枠やドアの仕切りも必須だろう。 車の窓も、透過しているように見えながら外界と内側を遮断する壁である。 そして記念写真。  それらを幾度となく変奏させつつドラマを語る空間演出は、さすがゼメキスである。 居住空間内の構造を活かして様々な死角を造り、人物をフレーム内外で出入りさせる手捌きも見事なら、 カードを鮮やかに切る手からカメラを上げてブラッド・ピット本人の顔に繋げる、戦闘機の着陸からコクピットの彼へとワンカットで繋ぐ など、如何にも本人の実演である風にさりげなくアピールするカメラワークも巧みだ。  落ち着いたサスペンスとロマンスが主調かと思いきや、 監獄から車で逃走するB・ピットが、カーヴの遠心力を利用してで飛びのきつつ、手榴弾で装甲車を撃破するショットなどの しなやかなアクション感覚なども軽やかに織り交ぜて唸らせる。  映画ラストの回想シーン、B・ピットとマリオン・コティヤール二人の「最後の日曜日」のシーンだが、垂直のラインで分断されていた二人は、歩く愛娘を間に介して水平のラインによってしっかり繋ぎ合わされる。感動的だ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2017-02-12 20:29:35)
168.  ザ・コンサルタント 《ネタバレ》 
ガレージのシャッターが上がるタイミングに合わせて、芸術的な呼吸で車を入庫させるベン・アフレック。 二度目のショットでは、シャッターに接触させてしまうことで、業務が不完全なまま解雇された動揺を仄めかす。 これがシャッターを利用したキャラクター描写の例。  デスクに伏して眠っているアナ・ケンドリックをわざと起こすためにガラスドアを少し乱暴に開ける、二人の初対面のシーン。 対するはソファに眠る彼女を起こさないように気遣いながら、彼女を見納めながらやさしく静かにホテルのドアを閉じる、情感豊かな二人の別れのシーン。 こちらはドアを反復活用した感情変化の描写の例だ。  冒頭の逆光のドアをはじめとして、車のドアやエレベータの扉や抽斗など、サスペンスにロマンスに、とにかくドアを駆使した映画ともいえる。  謎解きパートは少々長いし、ジョン・リスゴーも少々小者ではあるが、各キャラクターの設定を巧みに活かしたドラマはなかなか面白い。 会計監査業務をガラス壁やボードを使ったアクションとしてみせる、童謡などの伏線のあれこれも漏れなく活用するなど、巧妙だ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2017-01-25 14:26:29)
169.  牧野物語 養蚕篇 -映画のための映画- 《ネタバレ》 
映画の中で木村サトさんから養蚕を学ぶ小川プロのスタッフ、白石洋子氏が次第に手馴れていき、カメラの前で解説する言葉も より流暢に、頼もしくなっていくのが感動的だ。 当初は標準語交じりで固い感じだった木村さんの話し言葉も次第にお国言葉が出て打ち解けてくる。  長年の試行錯誤から導かれただろう養蚕の知恵や経験則が詳細に綴られるのにも、ぐんぐんと成長する蚕の生命力にも圧倒されるが、 真摯に作業に取り組むスタッフと、農家の方との協働と交流から深まっていく関係性が画面から滲み出て来るのに打たれる。  陽の当たる庭先で木村さん母娘と白石氏が並んで語る、その前を白い蝶がすっと横切る幸福感。
[DVD(邦画)] 8点(2017-01-20 19:06:40)
170.  トゥルー・クライム殺人事件 《ネタバレ》 
壁に投影される影や、揺れるレースカーテン越しの対話。 静かな出だしから次第に加速してゆくドラマのリズム。  ピアノやテーブルやレコード盤面への不安定な人物像の執拗な反射、その構図。 真正のノワールといった感覚に十分酔える。  曲がり道を猛スピードでカーブを切りながら暴走していく車のスリリングな迫力が素晴らしい。 そのままクライマックスのロケーションを活かしたカーチェイスに突入し、 ゴミ処理場での決着へと雪崩れ込む。  ラストのラジオ放送の苦味もいい。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2017-01-09 14:41:39)
171.  スワンプ・ウォーター 《ネタバレ》 
水辺でウォルター・ブレナンが屈んだ瞬間、画面左端にいた蛇が不意に彼の右頬に飛びかかるショッキングなショットなど、 よく撮れたと思う。さりげない風に驚きを導入してくるルノワールである。 『南部の人』などにもあるが、殴り合いの格闘シーンもコマ落としとはいえ、シャープな動きと力感のあるショットも迫真だ。 カメラを振り回すばかりが脳じゃない、という手本のようである。  方や、ダンスシーンや沼地を進む小舟などの緩やかな横移動では、カメラによる運動感を堪能させてくれる。  アン・バクスターが一人ドレスを舞わせて踊るショットの何と情感豊かなことか。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2016-12-27 23:59:32)
172.  ぼくは明日、昨日のきみとデートする 《ネタバレ》 
流れていくレールと、光に満ちた車窓の風景。オープニングから照明に対する意識が非常に高い。  陽の当たる窓際に立つ小松菜奈。さらにホームでは自然の順光が、デートの際にはアンティークのランプやイルミネーションの光が、 映画スクリーンや水面の反射の照り返しが、多種多様な光でもってひたすら彼女を賛美するように輝かせる。 あるいはホームに入ってくる電車のライトが彼女を徐々に照らし出していく。美術教室の外光が彼女をまるで異世界のように包む。 それら映画の要でもある光の操りは、ドラマの主題にもかなったものだ。  時間を視覚化する針時計、砂時計、メリーゴーラウンド、交差する複線のレールや月光と、モチーフの映画的活用も巧い。 理屈は荒唐無稽だが、黒板に描かれた円環の図一発で納得させる強引さを買う。  後半の劇伴の過剰さ、エピローグの蛇足感が少々玉に瑕だが、主演二人の清潔感と彼らを魅力的に撮りあげたスタッフの技が 伝わるのがなによりだ。
[映画館(邦画)] 8点(2016-12-18 19:50:55)
173.  天使の顔(1953) 《ネタバレ》 
裁判を有利に進めるために、弁護士はロバート・ミッチャムにジーン・シモンズとの偽装結婚を勧めるシーンがある。 すると、次のショットではいきなり病院のベッドサイドで二人の挙式が執り行われているので驚かされる。 これも撮影スケジュール上の都合だろうか、唐突な展開にも思えるが、その大胆な編集が却って二人の危うい関係と末路を強く仄めかすこととなる。  継母の乗る車が土埃をあげて転落するショットと、ジーン・シモンズがピアノを弾くショットがクロスカットされる。 ピアノの静かな調べと、事故の荒々しい轟音の対が見事である。  それが再び反復されるラストの断崖のショットもさらに凄惨さを増す。事故と入れ替わりで屋敷に到着するタクシーの静けさが余韻として効く。
[DVD(字幕)] 8点(2016-12-08 00:00:05)
174.  虎鮫 《ネタバレ》 
殊更な表現をするわけでもないのに、リチャード・アーレンとジタ・ヨハンの出会いのシーンは後に彼らが心ならずも 惹かれ合い、エドワード・G・ロビンソンを裏切ってしまうことになるだろう予感を強く感じさせる。 さらには陽気なエドワード・G・ロビンソンの邪気の無い雄弁が哀れみを誘う。  波をかぶる船側で漁師たちがマグロを次々と釣り上げていく漁獲シーンの荒々しく、力強いショット。 そのマグロを船倉から籠で釣り揚げ、漁港から加工場へとコンベアーで運んでいくショットのドキュメンタルな迫力。 本筋そっちのけで、その瑞々しい労働シーンに魅入られ、撮り続けてしまったのだろう撮影クルーを想像して楽しくなる。  船長の風貌や、船上からのライフル射撃などのディティールはやはり後の『ジョーズ』にも受け継がれたのだろう。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2016-12-02 23:59:39)
175.  手紙は憶えている 《ネタバレ》 
老いと、いわゆる認知症の設定がサスペンスを一貫して持続させる。そこに銃社会という現在的テーマも巧みに絡ませながら戦後70年の時間を 浮かび上がらせる。ウェルズの『ストレンジャー』を思わせるこの題材、語り口を変えつつ引き継がれている。 大戦を生きた世代と戦後世代の対比を強く印象づけながら。 静かに、穏やかにピアノを奏でるクリストファー・プラマーのショット。そのイメージは、ラストの痛切なサプライズと共に 趣を反転させるだろう。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-11-08 23:26:13)
176.  野性の少年 《ネタバレ》 
トリュフォーが演じるイタール博士が幾度か立ち寄るレムリ一家は、クロード・ミレール監督一家のカメオ出演だという。 そのクロード・ミレールが、ヴィクトール少年(ジャン=ピエール・カルゴル)にせがまれ手押し車に乗せて遊んでやるシーンがあるのだが、 そこでの彼はちょっと強張ったようなぎこちない表情を見せる。職業俳優なら間違いなくもっと楽しそうな笑顔を演じるところだろうが、 逆にその芝居気無しの無骨な表情が何ともいい味を出しているのである。あわせて、夫人の素朴な佇まいも生来的だろう清楚さを醸し出している。  自然と文明を区分するかのように、窓辺や玄関戸といったルノワール的ショットが頻繁に登場し、ヴィクトール少年はその境界の窓辺に立って窓外を見やる。 ミルクを意味する「レ」をようやく少年は発音する。その感動的なシーンを引いた位置から見守るカメラの慎ましさがいい。
[DVD(字幕)] 8点(2016-10-27 21:46:44)
177.  光にふれる 《ネタバレ》 
背景をぼかし気味にした深度浅めのカメラは、主人公ホアン・ユィシアンの不自由な視力と同調させたのだと考えよう。 感知できるものと出来ないものが、カメラのフォーカスで仕分けされているように見える。 列車がトンネルを抜けていホウ・シャオシェン的ショットも光の主題を担いながら台湾映画の薫りを濃厚に伝えてくる。  耳を澄まし、事物に触れて大学の新生活になれていく彼の姿が丹念に追われるが、とりわけダンスと音楽を通して 外界と触れ合っていく描写が映画と相性よく馴染んでいる。  そして、激情を秘めつつ穏やかな表情を絶やさないホアン・ユィシアンの佇まいが素晴らしい。 ダンサーを志すサンドリーナ・ピンナが仏頂面と泣き顔から次第に笑顔の似合うヒロインへと変わっていくのも、彼の言葉と表情を通じてだ。 彼女が月光の差し込む夜の教室内でユィシアンの弾くピアノに合わせて踊るシーン、 彼の故郷の海辺で楽しげに戯れるシーンが美しい。  クライマックスは、それぞれが挑むコンクールとオーディションのクロスカッティングであり演奏とダンスが劇的にシンクロして盛り上げる。 寮の悪友たちもここでいいところを見せて、青春ものとしても爽やかに決めている。 映画のサントラが未だに絶版で手に入らないのが残念だ。
[DVD(字幕)] 8点(2016-10-24 23:29:39)
178.  祝(ほうり)の島 《ネタバレ》 
毎週月曜日の上関原発反対デモや埋め立てに対する海上抗議行動、4年に一度の神舞と呼ばれるイベントなど、 鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリーとかぶる部分も多いが、こちらも現地に密着して島の人々の生活を丹念に記録している。  一本釣りの漁師の船に同乗しての取材。漁獲されたタコを浜で開いて天日干しの作業をする女性達の和気藹々とした姿。 時折インサートされる、高台から見下ろす島と「宝の島」と太陽の景観。それらのショットの寡黙さこそ、作り手のスタンスの明示である。  島の小学校の入学式が行われている。在校生二人と新入生一人の計三人は、どうやら長女・長男・次男だ。 来賓はご近所さん達なのだろう。校長先生、父親の挨拶が和やかな雰囲気の中で行われている。 新入生となる次男がお父さんそっくりなのも微笑ましい。 入学式が終わって下校する笑顔の三人を、子供たちの視線の高さに合わせてカメラが追う。  その3人兄弟である生徒たちが教室で仲良く合唱するシーンがとりわけ感動的である。 彼らの元気な歌声が、島の情景へと被さっっていく。  抗議行動の切実な叫びをラストに持ってくるかと思いきや、年越しの静かなシーンから続けて、生活音の流れる静謐なエンディングが慎ましい。 纐纈あや監督の美徳である。
[DVD(邦画)] 8点(2016-10-19 22:10:59)
179.  永い言い訳 《ネタバレ》 
本木雅弘の髪型の変化、季節の移り変わりのショットや子供たちの成長が画面を通して提示され、映画の中での時の流れや人の変化というものを実感させる。 その中で、夏の夕暮れに幼い妹が団地の庭でしゃがみ込み、力尽きていく蝉を見つめているシーンなどがさりげなく不意を衝く。  是枝的?子供たちの素晴らしい表情の捉え方、大人と共演する際のフレーミング・アングル・高さなど、子供の視点に対する配慮の細やかさも伝わる。 冒頭の散髪シーンの鏡、シャボン玉、坂道と自転車など、それぞれドラマに意味を為しつつ、なにより映画の見せ場として落とし込まれているのがいい。 16mmフィルム独特の粒子感覚は夏の海などで特に見事な効果を出している。  宵の列車のシーンにかかる『オンブラ・マイ・フ』も技あり、である。
[映画館(邦画)] 8点(2016-10-18 23:59:35)
180.  七月のランデヴー 《ネタバレ》 
楽団の演奏に合わせて踊る男女のエネルギッシュな躍動が、周囲で体を揺らす仲間たちの賑やかさと相俟って素晴らしい。  序盤での、電話を介した様々なカッティングはリズムを創り出し、クライマックスでは鏡の見事な使用法に唸らされる。 鏡を背にして立ちすくむヒロイン(ブリジット・オーベール)と対峙するダニエル・ジェラン。 二人の表情のクロースアップが切返され、それぞれの視線が一瞬横に逸れる。鏡に映し出されるのは、ドレスが半開きとなった彼女の後姿だ。 スリリングな短いショット連鎖の中で、ベッケルの平手打ちが炸裂する。 この鏡はもう一人のヒロイン:ニコル・クールセルが序盤で愛らしい姿を映し出すのと対照を為すものでもあり、ほろ苦い。  若者たちの乗り込む水陸両用のボートカー(?)の滑走にも驚くが、ラストが飛行機での飛翔というのもいい。
[DVD(字幕)] 8点(2016-10-10 22:34:23)
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