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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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161.  トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 
この作品が「トイストーリー」の最高だという事に文句は無い。俺としても3D・ピクサーを含めての最高傑作の1つだと思う。 だってよお・・・どのシーンを見ても泣きそうになるってのに、最後のアンディのセリフでいっつも泣いてしまうんだ。  西部劇を髣髴とさせるファースト・シーン、御馴染みの面々が縦横無尽に画面を駆け巡る疾走感!奥の奥、画面を破壊し空間の底から飛び出してくるようなダイナミックさ。フルCGという次元の壁が無い世界を無限に突き進むような興奮。 ウッディたちに襲い掛かるおもちゃは「12モンキーズ」のマーク? ビデオを通して語られるアンディの、今までの「トイストーリー」。 おもちゃたちの間では生物のように動き回る彼ら、人間の前では動いてはならないという暗黙のルール、宿命・・・彼等はその宿命から逃れるか、宿命に身をゆだねるのか。成長して“卒業”を迎えるアンディの姿。モリーの成長、犬のバスターもすっかり歳を取った。 モリーがおもちゃの動く姿を目撃した場面があった。「3」では彼女がキーパーソンになって人とおもちゃが話し合う時が来る・・・そんな事を思っていた時期もあった。結局一線を越える事が出来なかった・・・いやしない事を彼らが選んだ結果でもあるんだろうねえ。そうなっていたら、きっとアンディは卒業できなかったんじゃないだろうか。だから、おもちゃたちも最後まで己の宿命に生きる事を選んだのだと思う。  もうあの頃と同じ子供じゃいられない。彼らおもちゃにとっても卒業するかしないかの分かれ道。他の仲間達は既に多く旅立っていた。数の減った軍曹たちの姿が寂しい。ボー・ピープや羊、バギーたちの姿も見たかったなあ・・・。でも陶器のボーが幼稚園児たちに蹂躙される様を見ずに済んだのはせめてもの救い。きっと元気にやっているよな・・・きっと。  おもちゃたちが傷つかないようにクッションを引いたり、こっそり屋根裏に持って行こうとするなど最後までアンディはおもちゃたちの事を気にかけていた。そんなアンディと幼稚園の子供達の扱いの差は天国と地獄、ウッディは最初の「トイストーリー」で似たような地獄を目の当たりにしている。ウッディはその時の恐怖も覚えているから余計に怖い。  別れ行く仲間、最後の試練といわんばかりに襲い掛かる冒険・地獄の連続、レディポテトの眼が起こす“奇跡”、憎めないロッツォたちの過去、トトロやまめしば?もゲスト出演、スリリングな脱出と帰還、トイレの鏡の汚れGJ、仲間のために命懸けで何度でも戻って来る者の姿はなんでこんなにもカッコ良いのだろうか。 バズもブッ壊れたりスペイン語で踊り狂おうが最後の最後でキメてくれるナイスガイだ。バズにとっては宇宙の戦士として生きる方がもしかしたら幸せだったのかも知れない。ただ、呪われた宿命(設定)ではけして得られない掛け替えの無い仲間を多く手に入れたと思う。  溶鉱炉の絶望的な状況、死を覚悟してみんなが手を繋ぐ瞬間!解っていても、解っていてもハラハラしてしまう。その時のウッディたちの顔が凄い悲しくてさあ・・・。 リトル・グリーン・メン、おまえらこそ本当の“神様”だぜ。ロッツォの末路は救いがある方。   ラストでアンディがボニーに大切な宝物であり友人でもあるウッディたちを譲るシーンなんてもう・・・「僕のおもちゃだよ。レックス、バズ、ウッディ。  レックスは強いんだ。コイツがいれば安心だよ。 バズは立派だよ。強い意志を持った宇宙の英雄さ。うわああアンディイイイィィィッ
[DVD(字幕)] 9点(2016-01-27 20:19:41)(良:1票)
162.  夕陽のギャングたち 《ネタバレ》 
原題は頭を下に、もしくは「伏せろ!(Giù la testa)」、あるいは「伏せろマヌケ野郎!(Duck, You Sucker!)」、あるいはジェームズ・コバーンを指して「一握りのダイナマイト(A Fistful of Dynamite)」、あるいはワンス・アポン・ア・タイム三部作を飾る「昔々の革命(Once Upon a Time... the Revolution)」か。  レオーネの作品は「夕陽のギャングたち」以前の大成功と高い評価、以降の再評価によって大多数が傑作と称賛されている。本作は他の作品ほど評価されていないが、俺個人は結構好きな作品だ。 ロッド・スタイガーの強盗とジェームズ・コバーンの爆弾魔。二人の悪党が次第に友情を結んでいく過程が楽しい(流石に回想シーン多すぎ&長すぎるとは思ったが)。利害の一致から腐れ縁、漢の友情へ。  戦闘面も銃撃戦と爆弾の使い方、特にファーストシーンが良い。 走る駅馬車、乗り込む乗客、巻き起こる事件。子供軍団と一緒に死線を潜り抜けてきたであろう野獣のようなスタイガー。レオーネの映画における駅馬車は無事では済まないのである。  今回のコバーンは爆弾魔。 趣味は爆破(ジェームズ・ドカーン)、好きな飲み物はニトログリセリン(嘘)。 ヒゲがあまりにも似合ってなかったが、ヒゲの無かった過去とヒゲのある現代の対比。ヒゲの無いコバーンの若々しさが、アイルランド時代の青臭さを出していて良かったと思う。  金目当てで突撃したら実は・・・知らず知らずの内に臨まぬ英雄&もっとヤバい奴に狙われる。コバーンと二人で小高い丘から機関銃で迎撃するワクワク感・戻って来た先に拡がっていた絶望。 救出劇は「善玉・悪玉・卑劣漢(続・夕陽のガンマン)」のイーストウッドとウォラックを髣髴とさせる!  列車でのやり取りは「善玉・悪玉・卑劣漢(続・夕陽のガンマン)」から「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト(ウエスタン)」へと受け継がれる。本作は列車もドカーンの標的となる。  コバーンはあの終わり方以外考えられなかったような気がする。友を失い、想い人とも離れ離れ、旅路でも散っていく仲間・・・コバーンは先に行った仲間たちに会えたのだろうか。  そして「俺はこれからどうすりゃいいんだよ」という表情を見せるロッド・スタイガーの何とも言えない顔が忘れられない。何もかも失ってしまった漢たちの旅・・・。
[DVD(字幕)] 8点(2016-01-12 20:09:36)
163.  黄色い星の子供たち 《ネタバレ》 
フランス人は、フランス革命の頃から同じ国の人間同士で差別し、告発し、殺し合ってきた歴史を持つ。 ある者は恐怖に屈してしまい、ある者は恐怖に抗うために戦うことを選んだ。  かつて赤狩りでアメリカを追われたジョゼフ・ロージーという男がいた。 彼はフランスでヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(ヴェル・ディヴ事件)について「パリの灯は遠く」で描いた。そこには理不尽な暴力に対する抵抗と国を追われた者の共鳴があったのだろう。  そしてこの「一斉検挙(黄色い星の子供たち)」は、フランス人の女性ローズたちによる一つの告白なのだ。  「星」によって差別される日常から映画は始まる。 追い詰める側はあくまで仕事として、作業を繰り返すように政策を進める。まるで感情のない機械のように。ユダヤ人にしてみれば、彼らは自分たちを引き裂き暴力で屈服させようとした恐ろしいマシーンも同然。服をはぎとり、容赦なく殴り蹴ってくる。 彼らも人質を取られていたのだろう。だがそんなものは言い訳だ。だからこの映画にも追い詰めた側の葛藤はあまり描かれない。 「家族を人質にとられててね(棒読み)」 そうかそうか、テメえの面に一発ブチこまれて欲しかったぜ俺はよ。 ヒトラーも家族と団欒しながら何万の人間の四肢をもぎ首を引きちぎる政策を進めていく。  対して、追い詰められる側は感情豊かだ。 歌い、踊り、走り、語り合い、愛し合って。あの小さな子が走る度に軍人や警官に銃殺されるのではないかと何故かハラハラしてしまった。あの子は妖精のように場を和ませ、「この子だけは死んでほしくない」という活力を人々に与えていた。  ユダヤ人狩りは加速していく。公園や職場からの追放、警官隊の不気味さ、銃殺覚悟で生き延びろと叫び続けた御婦人、競輪場に家畜のように押し込められる理不尽さ、医者の無力さ、糞溜めの中に託される希望、消防士たちの勇気、貴重な配給食糧をブチまけてまで脱出者たちを送り出す子供たちの覚悟、走りゆく列車から力なく垂れる手、手、手・・・。  ローズさん、貴方は優しいね。生き残った人々の顛末は多少描いたが、死の描写は少なかった。 彼らを追い詰めた(自殺?何言ってやがる、追い詰めたんだろうが)人々のその後までは描かれなかった。 それ以上追及しなかったのは、あくまで生き延びた人々の体験に沿った映画だからなのだろう。 二度と会えないと思っていた人との再会・失神するほどの歓喜が肉体を突き抜けるほど、死んでしまった人々の分まで何がなんでも生きてやるという瞬間に勝るものは無かったのだと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2015-12-23 22:11:37)
164.  クリード チャンプを継ぐ男 《ネタバレ》 
この題名はどうなんだ? ただでさえ前作の原題が「ロッキー・バルボア(Rocky Balboa)」とかナメてんのか今までのナンバリングはどうしたこの種馬野郎(この辺は日本の配給会社GJ)と思ったが、今回は「クリード」である。中身を見るまでは「ロッキー」の続きかどうかさえ解らない。 「ロッキー」は名前だが初見には「クリード」って誰?「ロッキー」を知る者にはそれが最高のライバルの姓だということ、その伝説を受け継ぐ者の物語だということを悟る。   刑務所らしき場所から物語は始まる。扉が開かれ、警官らしき男とそれに連れられた子供たちが入ってくる。 廊下の壁に子供たちは並べられ、その途端に警報が鳴り響き警官は別の部屋に吸い込まれるように駆け出す! 子供たちが騒然となって取り囲む先には拳を交える二人の男の子。馬乗りになった子の激しいラッシュ、警報はゴングとなってレフェリーを呼び寄せ、幼いファイターを退場させる。  キャメラは様々な角度から戦いを映していく。観客がリングの外で下から見上げ、レフェリーが追いかけ続け眼前で見守り、上から実況し、一緒にブッ倒れて気を失うように。  裏の世界でボクシングを続け、表では自分を引き取ってくれた義母のために真面目に働いていたらしい。 まるで光が降り注ぐように白ーいオフィスを見ろよ。野獣どもが取り囲む薄暗いリングを自由に駆け拳をブチこんでいた男が、狭そうなデスクでおとなしく仕事をしている姿を。  仕事を辞めるのは本当に打ち込みたいものに挑みたいから、家族から自立するために。 彼を支えるのは本物の母親と父親がくれなかった女性の愛情だ。彼女は息子の決意を見守る事を選ぶ。  愛憎入り混じる父親たちへの思い。 スクリーンで一緒になって父親を殴りまくるかと思えば、親を侮辱されて思わず殴ってしまったり(リング上で怒りを晴らせる対象じゃないので)、好敵手と戦い抜いた勝負服をもらって誇らしげな表情を見せたり。 とにかく認められたい、プレッシャーに打ち勝ちたい、憧れでもある伝説を超えたい、息子としてじゃなくアドニス・ジョンソンとして自分の拳で夢を掴みたい、何より自分を育ててくれた師や家族のために。 公式の記録上では無敗、だがスパーリングと挑発に乗って手を出してしまう“敗北”は幾度も味わう。 リング上のルールがあればリング外のルールもある。ボクサーはそれを守るのも仕事であり、戦いだ。敗北として受け入れ、己を戒めることで初めて成長できる。  酒場でめぐり合った伝説の男も、誰かのために戦い続けてきた。 付き合いの長い男の頼みを断るのも、先客に対する礼儀のため。妻も戦った“強敵”と戦う覚悟を決めるのは誰かのために生きたいから。  積み重ねられる修行、バイクのウィリー軍団は競争するためじゃない。共に駆け抜けて窓の向うで待つ者に激励を送るため! 女が補聴器を取るのは声を聞きたくないからじゃない。男が話しかけて来るのをひたすら待つことをやめ、今度は自分から愛してしまった男を眼に焼き付けに行く。 彼女もキッカケを生んだ“音”から自立したかったのではないだろうか。もしくはこれ以上ドアを叩かれて破壊されたくなかry  師弟それぞれの戦い、言葉で煽るのは闘争本能に火を付けるため、リングで戦う父親の姿がアドニスに力を与える! ラストラウンドを盛り上げる「ロッキーのテーマ」!   映画は面白かった。だが個人的には不満点も多い。 「女は脚に来るんだ」と初代の名言をもう一度言うくらいなら、もっと脚を駆使して動き回る姿を映して欲しかった。アップの場面が多すぎるんじゃないか?俺は顎をブチ抜かれて脚が震えるシーンとかも見たかったな。 全身が映るシーンにしてもまるで影から見守るというより隠し撮りだ。 補聴器も身振りで強調される場面が少ないので気付かない人も多そう。  特に気になったのが選手が登場する度に「デンッ!」と出てくる選手の情報!んなもん ど う で も い い わっ!! 一瞬の情報にどんだけ書いてんだよ!?読んでる暇が無えよっ!DVDでも再生する度に一時停止しろってか? “プリティ”?ファッキン・リッキー・コンランの登場シーンなんか何なんだよ? 真っ暗闇の中から火を吹く男とコンラン軍団の大行進、青一色の光を浴びて「デーンッ!」笑い殺す気か演出の牛クソ野郎がああぁっ!!!映画館が爆笑の渦に包まれたのは言うまでも無い。  そんな混乱も階段を登りフィラデルフィア美術館が優しく迎え入れてくれるあの瞬間の感動が忘れさせてくれる。 ロッキーは不滅だがな!
[映画館(字幕)] 9点(2015-12-23 21:58:50)
165.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
皆さんが「スターウォーズ」に持つイメージは何だろうか。 映画史に残る偉大なる古典?SF映画の金字塔?新ソフトが出る度にCGで修正しまくりやがるいい加減にせいや(新規ファンはどれを見ればいいんだよ)?  俺にとって「スターウォーズ」は誰もが“追いかけ”続ける超A級の志で撮られた最高のB級娯楽映画だ! 西部劇、時代劇、サイエンスフィクション・・・様々なジャンルの娯楽がスペースオペラとして一つに結びつく。  J・J・エイブラムスはジョージ・ルーカスたちの意志を継いで(もう二度とCGで過剰修正しないであろう)新しくも懐かしさに溢れた冒険活劇を再び蘇らせてくれた。 個人的には見たかったものがかなり見れて満足している。多少詰め込みすぎた感もあるが、その分密度があって良かった。それでも語りきられなかったものもあるのでそれは続編で楽しむとしよう。 エイブラムスの活劇も今までの「スターウォーズ」と再会するような、“追いかけ”を生む戦いからすべてが始まる。  星々が輝く宇宙、蒼き惑星に不気味な赤い閃光が降り注ぐ。荒涼とした大地に人々がひしめく集落、何かを語り合う老人と青年、ボールのように転がり大地を駆けるロボット。 火の海で捕らわれる者と脱出する者、命を、家族を奪われていく人々。暗黒面の刃は古の大剣か十字架のように赤く輝く。 仲間の死と流血は戦いへの恐怖を植え付け、恐怖を乗り越えるのは裏切るのではなく“見限る”決意によって。連結ケーブルは逃走を阻むためじゃない。格納庫で大暴れさせ一矢報いるために!  砂漠、宇宙船、密林、焼け跡、敵の要塞、吹雪く森で繰り返される戦闘。何処に行っても敵と密告者だらけ。 事件の連続は出会ったばかりの人々を連携させ、引き離し、再びめぐり合わせて強い絆を結ばせるため。 フォースの存在は“音”が鳴り響き、見えない力で締め付けられ苦悶の表情を見せる肉体、警備兵に語りかけ魂を揺り動かし、鉄の塊が空を走ることによって語られる。  希望を探す逃亡者と戦士のようにたくましく生きる女性の出会い。 ジャンク屋は鉄屑を生活資金に、命を繋ぐ飯に、ゴロツキをブチのめす長い得物に変えて砂漠で生き延びてきた。 伝説を蘇らせるのも彼女次第。埃の被ったポンコツを最高の船に復活させ(ミレニアム・ファルコン!)、隔壁を化物から仲間を救う手段として使い、主を失った鉄塊に光を灯す! 蘇る記憶によって、眠っていた能力を使い戦う姿によって観客は彼女が何者なのかを感じ取る。 帰還者も家族を止められなかった責任と愛情の間で揺れる。 あの「新たなる希望」の頃から酒場で素晴らしい一撃を放ってきたソロもだ。出会い頭に躊躇なくブラスターをブチ込むは恨み買い捲りで相変わらず(褒め言葉)だったソロがだ。 彼はルークたちと出会いあまりに優しくなりすぎたのかもしれない。 長年死闘を潜り抜けた相棒も、そんな最高の戦友の選択を静かに見守る。  対話は戦いを避けたいという祈りであり、望む者にとっては儀式となる。 一騎打ちは仇討ちであり、自分の存在を証明するための行為でもある。伝家の宝刀チノ=リとゴリ=オシ! 地割れは命を飲み込むのではなく戦いの終わりを示し、残してきた者の元へ向う疾走によって愛情が憎悪を上回ったことを物語る。 戦士が眠るのは次の戦いによって「覚醒」する瞬間を待つために。続編も楽しみだ。  見たかったものと新たに抱く謎の数々も期待を膨らませる。 癇癪持ちのベイダーモドキとジャンク屋に隠された、戦争が、悲劇が再び繰り返されてしまった、スクリーンの向うでふんぞり返る巨大ゴラムの謎。 ハン・ソロやチューイたちのマイホームへの帰還・継承・別れ・再会。ヨーダの親戚みたいな婆ちゃん、レイア、C-3P-O、R2-D2、アクバー提督、ジェダイの希望まで! んー、流石にあの人は出なかったか。まあ「帝国の逆襲」も新しい仲間って感じの登場だったしね。きっと続編に出てくれるはず。AT-ATの逆襲もきっとあるだろうと信じて。 あとはベイダーの副官の素顔も見たかったな。さぞかし美人なのだろう。 え?ジャー・ジャー・ビンクス?何ソレ?変な骨なら砂漠に転がってた気がするけど。  ●ハン・ソロよフォースと共にあらんことを ハン・ソロについては皆さんも特に心に残ったことがあると思う。 ただ・・・俺は「あの不死身のハン・ソロが?」とどうしても思ってしまう。 「特別篇」でアクロバティックな首の動きを見せてくれたハン・ソロがだぜ?「ブレードランナー」や「インディ・ジョーンズ」でもタフなアイツがだぜ? 「ロード・オブ・ザ・リング」の某賢者と共演したゴラムまでいるんだ。何故か「希望」を感じています。
[映画館(字幕)] 9点(2015-12-21 22:11:14)(良:1票)
166.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 
当時の冷戦に右往左往する人間を皮肉ったブラック・コメディの傑作。 原爆や水爆を狂信的に作る「博士の異常な愛情」が時代を後押しする。  物語はミサイル攻撃を巡ってそれを阻止する者、実行する者の対立をシリアスかつコミカルに描く。 生きるか死ぬかの瀬戸際にコカコーラからのクレームを気にするような人間ばっかりだ。  いざ戦争になれば秩序も道徳も崩壊する。 会議場に集まる高官どもに、外で戦う人間の苦しみなんざ解るわけがない。 気にかけるだけで労いの言葉一つ送れない。 隅々まで届かない命令に何の意味も無い。  そんな人間が人々の上に立てばどうなるか? 無意味な実験や虐殺だけが繰り返されていくだけなのさ。  ラストシーンもまた印象深い。 敵の本拠を目の前にして投下装置が故障。 それを命懸けで外しに行き、爆弾もろとも基地にダイブしていくパイロット。 その時のソイツの顔は、黒い笑みで歪んでいた。 戦争の狂気がとり憑いた結果だ。  それを人々はどう思うのか? 英雄として見るか? 戦争を引き起こした愚か者と見るか?  答えは戦争を勝ち抜いた勝者か、後世に生き残った民衆のみぞ知る所だ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-12-07 19:42:23)(良:2票)
167.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
ファーストシーン、ガンファイト、人間ドラマ。全部揃っているのに西部劇らしくない西部劇。だが実に映画らしい映画だ。ジョージ・ロイ・ヒルは「スティング」も面白かったけど、俺はコッチの方が好きだ(女の子もこの映画の方が可愛くて魅力的だ)。   冒頭からエドウィン・S・ポーターの「大列車強盗」を彷彿とさせる列車の襲撃→駆けつけた騎馬隊から逃げ去るスタートダッシュ。 酒場でのポーカーから振り向き様のガンファイア、見ず知らずの美女を強姦するゲス野郎なのかと思いきや、実は馴染みの女性に対するちょっとした挨拶(イタズラ)だったという。「やーね脅かさないでよ」と笑って済ませてくれる仲の良さ。ちょっとした三角関係も“さわり”で終わるぐらい絆が深いともいえる。 仲良く逃避行、断崖ダイブ、強盗、銃を持った者が避けられぬ殺し合いの連鎖。  犯罪に生き急いでしまった者たちの束の間の安らぎ、叶わぬ願い、結局は元の殺し合いの世界に戻ってしまう虚しさ・・・それを独特の静寂が包み込む。その何とも言えない雰囲気を好きになってしまった。  サイレント映画の「アクション」で魅せる事にこだわった造り込みと呼吸、音のない静けさの中からいかに“音が聞こえてくる”ような映像を撮るか。  まるで古いアルバムをめくるような・・・。そういう心意気に溢れた映画だ。アメリカン・ニューシネマ特有のアクの強さは余り無いけども、抜き撃ちや幻想的とも言える映像は見応えがある。   機関砲といった武器ではなく、自転車で時代の波に追われるガンマンたちを表現するのが良い。 殺伐した世界の中で、一瞬の平和なひと時に流れる「雨にぬれても」は印象的。   サム・ペキンパーが“動”のワイルドバンチなら、この映画は“静”のワイルドバンチ。 ラストの「奴らは死んだのか生き残ったのか!?」というテンションが上がったまま終わるクライマックスも最高。
[DVD(字幕)] 10点(2015-10-21 22:55:49)(良:2票)
168.  憂国 《ネタバレ》 
仲間の決起に呼ばれず、今度はその仲間たちを敵として討たねばならない。殺すくらいなら死んだ方がマシだ・・・。 そう思い死ぬ道を選んだ男たちの話。それを仲間想いの志士と見るか、死に逃げたと見るかは観客に委ねられる。 小林正樹の「切腹」が言葉と“見せない”事によって語る映画ならば、この映画はその瞬間を徹底的に見せる事を選ぶ。ただただありのままを描く、セミドキュメンタリーのような描写。  漆黒の画面、巻物を広げる軍服の腕、「憂國」と英語のクレジット。  サイレン映画の体裁で、この映画は一切セリフを吐かない。うめき声一つあげず、ただ男が切腹をするまでの過程を描いていく。  「至誠」の掛け軸、着物姿の女、折り紙、筆、亡霊のようにまとわりつく男の手、両手が女をなぞる。女の記憶の中に刻まれた夫の姿。 鶴岡淑子が演じる妻は、三島由紀夫が演じる男を心から愛している。神棚に祈るように。  廊下で帰った夫を出迎える妻。 二人の男女の会話は徹底的に省かれ、思いつめた男の様子と事情を飲み込んだ女の表情だけがすべてを語る。 肩を引き寄せ、女の耳元に何かを話し、腹を斬る真似をする右手、その手を女は掴み自分の喉元に寄せる。女が振り返るのは、男に笑顔で応える瞬間。男女二人は最期の接吻を、最期の交わりを始める。 抜かれかけた刃で女は時が迫る事を理解する。 見詰め合う二人、何度も交錯する視線、抱き合う二人、死ぬ前の生きる喜び、死への恐怖とそれを味わってみたいという欲求。 髪をたくしあげ、女の表情をなぞり、男の肉体をなぞる手、指、喉、仰向けになる頭、脈打つ肉体。 女の乳房や肢体はほとんど映されない。生きている筈の肉体は性交で真の快楽を得ないのだろうか。一体何が楽しくて死の間際の快楽を求めなければならないのだろう。それは本当に死ぬ人間にしか解らない痛みだからだろうか。そうじゃない人間がそれを解るワケがない。  帽子によって影が落ちた男の顔。ハラは決まった。 死に装束をまとう女、ふんどし一丁に帽子を被り、軍服という“装束”をまとっていく男。 互いに遺書をしたため、神棚に祈り、視線を交え、別れの、最期の挨拶。  小太刀を抜き、紙を巻き、上着のボタンを外し、腹を出し、太ももの根元に先を刺して痛みを確認、腹にあてがった指の間から刃を腹に入れていく。 口元だけが激しく表す苦悶の表情。うめき声が聞こえんばかりの、震えながら刃を左から右に引いていく。 女の口元も振るえ、汗を、涙を流す。血潮が白い着物に跳ね、女は見届ける事しかできない、苦痛を変わってられない苦しみ。 肉体はうめき、腸が飛び出て、口から泡をふき、喉元に太刀を突き刺す。女は介錯でもするように男を引っ張り見届ける。  女は外の部屋に消えていく。 女を見届けるように自動で閉会する襖、照明、鏡を見て白粉をつけ、紅をさす。男が死ぬ間際も軍服で飾ったように、女も死ぬ間際に自分を飾って果てていく。  夫の血の上を歩き、帽子を先に逝った者にのせ、顔を袖で拭って綺麗にして弔う。 懐刀を抜き、切っ先を舐め、喉に突きさし果てる。文様が刻まれた砂の上。
[DVD(邦画)] 9点(2015-08-30 23:32:32)(良:1票)
169.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 
やっぱマグロ食ってるようなのとは違うな。  ハリウッドにおける“最初”のゴジラ!こういう奴を待っていたんだぜハリウッドよおっ!  何?ローランド・エメリッヒのイグアナもどき?あんなもんは「ジラ」だ「ジラ」!  オープニングの緊張、それにあのゴジラのディティールは最高だった。  ただ、オープニングが終わってから中々ゴジラが出てこねえ。初代みたいに焦らすのは良い。 ただ焦らしすぎ&「やっときたー!」って時に切り替えすぎなんだよボケゴラ。  ええい人間はいい!ゴジラを出せゴジラを!!  それにゴジラよりもオルガズム武藤の方が出番多かったね。 人間ドラマもやりすぎてちょっとくどかった。でも栗林中将(「硫黄島からの手紙」で名演を残した渡辺謙!)の「ゴジラ」を聞けただけでも良しとするか。  もっとゴジラが「ファイナルウォーズ」みたいに大暴れする(特に例のイグアナもどきを吹き飛ばす奴)のを期待した俺にはちょっと物足りなかった。
[DVD(字幕)] 8点(2015-08-27 00:23:34)
170.  メリエスの素晴らしき映画魔術 《ネタバレ》 
ジョルジュ・メリエスに関するドキュメンタリー映画。  冒頭の「月世界旅行」における月に近づいていくシーンに始まり、1890年代の世紀末のパリの様子、メリエスの生涯や映画環境の変化、リュミエール兄弟、チャップリンに影響を与えたマックス・ランデー、チャップリン、メリエスの様々な作品のワンシーン、アイデアを書いたメモやイラスト、生前の写真や撮影風景をメリエスの肉声を交えながら映していく。   それを手回しのキャメラで見せ、聞かせてくれるような演出が面白い。   メリエスのアイデアが残されたイラストで幾つか気になったのが、首を切った筈の人間が追いかけてきたり、布をかけて女性を消す手品(「ロベール=ウーダン劇場における婦人の雲隠れ」)のタネなど。                実際のマジシャンだったメリエスの豊富なアイデアには驚かされる。  監督したコスタ=ガブラスも語り、ジャン=ピエール・ジュネ、ミシェル・ゴンドリー、ミシェル・アザナヴィシウス、俳優のトム・ハンクスまで様々な人間がメリエスについて語る。  サイレントのフィルムに爆発音とかを入れたフィルムもあったな(このドキュメンタリーのために付け加えたのだろう)。  撮影当時を再現しようとする試みも面白い。  14分を過ぎたあたりでいよいよ「月世界旅行」の話題に。メリエスを代表する映画と言ったらコレだし、自分でカラー化までしちまうんだからメリエス本人もかなりの思い入れがあっただろうな。 スペインのメリエスことセグンド・ド・ショーモン(Segundo de Chomón)によるリメイク「Excursion dans la lune」まで取り上げるんだからガブラスたちも凄いぜ。   ジュール・ヴェルヌの原作の挿絵、もう一つ映画の元になったハーバート・ジョージ・ウェルズ(H・G・ウエルズ)の作品群、エイリアン。 再び挿入される月に近づいていくシーン、トム・ハンクスによる月面に着陸した探査機を背景にした語り。 当時の映画館に詰めかける人々の表情、エジソン、ニューヨークの摩天楼。当時の人々が映画で夢を描いたように、現代を生きる我々は過去の作品に懐かしさを覚え、今を見つめ直す。    「月世界旅行」のカラーフィルムの修復風景。 色鮮やかなカラー、1カット1カット丁寧に着色していく。   空を飛ぼうと挑み続ける人々の姿、宇宙の前の大空、アニメーション、進化していく映画、移りゆく時代のうねり。まるでチャップリンがあの光景を劇場で見ているような編集が面白い。 火災、風刺画、トーキーの時代、見る影もない晩年のメリエスの姿が見ていて辛い。葬儀の一部を収めたカラーフィルムから現代のロケットの打ち上げへ。   劣化してしまったフィルムの様子は寒気がする光景だ。溶けて変色してしまったフィルム。  それを防ぐための作業風景。 フィルムを透明な鍋に入れて、スープのように保存し、フィルムを傷つけないようにフィルムを差し込んで少しずつ剥がし、それを一枚一枚カメラで撮影していく。 デジタル技術の進歩はよりフィルムを蘇らせられる良い時代になったと思う。切り貼り、気の遠くなるような作業、専用の洗浄液・・・どれも映画が好きだからやり遂げられるのだろうな。   最後はカラーフィルムで「月世界旅行」の“あの場面”をもう一度映して終わる。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 16:00:43)
171.  東京の女 《ネタバレ》 
田中絹代は「非常線の女」の役よりもこの映画の役の方がしっくりくる。確かに今作は作品としての出来はあまり良いとは言えないが、細かい演出とかが気に入っている。  酒瓶、少しずつスライドして釜、食卓の朝の風景に。 靴下には穴が、足袋と靴下が干してある、煙、息子が出かけると母は割烹着を放り投げて化粧を始める。  着物の上にコートを羽織る出で立ちは「非常線の女」の水久保澄子を思い出す。  名簿、警察・聞き込み、タイプライター、突然現れる洋画のクレジット。どうやら映画館のようだ。劇中で映されるのはエルンスト・ルビッチ等が参加したオムニバス「百万円貰ったら」のオフィスでの仕事風景。 トーキーの映画をサイレントで流すというのも不思議な感じ。  そして唐突に「東京の女」の違う場面に切り替わる。壁にかけられた警察のサーベルと手袋。 よからぬ噂、疑惑、噂を聞いて「信じられないという」表情、「私だってこんなこと言いたかないわ」という表情、泣きそうになるのを堪え切れず出ていく。男も着物を投げ出し、涙を瞳にためる。  何処かの化粧室、ケバいメイクをする女性たち、電話、噂は真実となって観客の前に叩き付けられる。結ばれた髪はほどかれ、男を誘う女の表情。この変貌振りは岡田嘉子の流石の演技。 近寄る手を振り払い、最愛の姉を引っぱったかねばならない辛さ、頬にやる腕を何度も何度も、涙を流しつつ。   鏡を見て弟にぶたれた跡を悲しげに見つめる。打ちのめされて夜道をトボトボ歩いていくあしどり、傍らで静かに燃えるランプの灯は消えかかる。 「百万円貰ったら」のパンフレット、しかしゲイリー・クーパーはカッコ良いなあ。「晩春」でも名前が出るくらいだし、小津も好きだったんだろうな。 電話の知らせを入れる小僧、時計屋、凶事を告げる電話。 あの瞬間の髪を乱し気味、ショックを受けた田中絹代の表情がとても良い。顔を見た瞬間に突っ伏して泣き出す。 記者に質問責めされる姉、泣きっ面に蜂ならぬマスゴミ、薄気味悪い表情で素晴らしく殴りたくなる。 姉は「このくらいのことで死ぬなんて」と嘆き悲しむが、弟はそれほどまでに姉を信じ、愛し、心の支えにして生きてきたのだろう。冒頭の煙が再び映しだされる。 道を歩く記者は電柱の記事を読み、笑いながら去っていく。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-30 15:57:02)
172.  なつかしの顔 《ネタバレ》 
フィルムセンターで鑑賞。 オープニングは出征していく兵士や万歳をする子供たちの絵を背景にして始まる。 空を飛びまわる飛行機の模型、子供たちはそれを追う。「腰弁頑張れ」を思い出す。 ラッパの音で集まり駆け出す子供たち、行進に追いついて一緒に歩いていく。羨望のまなざし。  泣く子供を見て動く叔父さん。一方、木の上を見つめる子供たち、上って取ろうとする子供、列車の疾走、汽車の風、子供たちの疾走が事故の発生を物語る。 “名誉の負傷”、バス、徒歩、馬車に乗せてもらう移動、今度は本物の飛行機が上空を飛んでいく。家族の前で痩せ我慢、店先に並ぶ飛行機の模型。 見舞いに来る子供たち、置いてあるイモをめぐる会話が面白い。「食べなさい」とすすめても遠慮する姿が可愛い。良い子たちだ。 上演前もイモをパクパクつまむイモ好きの女性。 映画館のニュース、アメリカにいる同胞の話、戦争の様子を見て表情を曇らせる「あの人は無事だろうか・・・」思わず泣いてしまう。 お目当てのものが見れるか見れないか、期待と不安。遠く離れた人が映るのは手紙をもらうのと似たようなものだろうか。文面で姿を思い浮かべる手紙、一瞬の映像で他に映らないものや言葉を想像させる映画。  バスに揺られて眠る外では兵士たちが戦闘訓練に励む、送られた写真は見たのか見てないのか。観客の目に映されないのがその疑惑を生じさせる。 飛行機の土産、嘘を知っている人々、「広い畑みたいなところ」、「何とか」、真実を知ってしまったショックが怪我をした子供を突き動かす。 飛行機よりも真実を言って欲しい、一瞬映る川の様子、今度はもう見る事を避けない、逃げない。
[映画館(邦画)] 8点(2015-07-30 15:48:06)
173.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
白黒による撮影がクライマックスのパートカラーを際立たせる傑作。  「気をつけー!」の掛け声とともに軍艦マーチと共に日章旗を掲げた行進、そして「鬼子来了(鬼が来た)」の題名!この軍艦マーチは幾度も劇中で繰り返される。  一体どんなクソ反日映画がはじまるのか、どうボロクソに言ってやろうかと最低な好奇心で胸を躍らせたが(スイマセン私はそういうクソ野郎なのです)、その期待を見事に裏切ってくれた。   長い坂道を下っていく日本軍、その様子を見に子供たちが集まる。子供たちと交流する軍人。彼らは毎朝のように来るらしい。  闇夜、密室、蠢く脚と喘ぎ声が情事を物語る。急な来客に妻を隠す。日本軍に怯える恐怖を表す。 戸を開けた途端に眉間に拳銃を突きつけられ、ある“依頼”と共にズタ袋を置いていかれる。障子を突き破る日本刀の切っ先で念を押して。  集まって相談する村人たち。ズタ袋から出てきた男の口から出る驚愕の一言、布で遮られる表情、罵詈雑言をわめき死を望む者、違う訳を言って生を望む者の対比。違う訳を教えるやり取りが笑える。同じ日本語でも嘘をいいまくるwww 村の住人役の監督(チアン・ウェン)もそれをニヤニヤしながら見つめる。  前半はコメディ映画のような微笑ましい雰囲気が、やがて地獄のような凍りつくやり取りに変わる。ドアの開け閉めだけでもドキドキする。このドアにおける緊張は幾度も挿入される。 他人の叫びを拒むような演奏、暴れるので拘束されて介抱される、雪が降り始める外、防寒着でぐるぐる巻きに。怖がりながらもちゃんと世話をしてくれる優しさに男は打ちのめされていく。 死を覚悟した男に生きる勇気はなかったのだ。 武装して現地住民に襲われる幻。悪夢ではなく願望として。  兵士二人の鶏肉をめぐる会話、黒い影、銃剣で地面にサークルを描き動かないように言う。日本兵がいる事を気づかれないように振る舞うスリル、鶏の首にかけられたもの、子供も油断できない。   サーチライトが照らす中を進む緊張、ズタ袋に拘束されながら穴を開け、細い筒で水を飲ませる。 しかしよく泣く男だ。死にたがりは時間の経過とともに思考も変わっていく。彼らの反応が訳は嘘じゃないという事を物語る。  本部でのやり取りもピリピリとした緊張が。うだるような暑さでも規律によって己を戒める軍隊、存在そのものが中国に凸な隊長、そしてロバあああああああ貴様ああああああっ!  メンツ、プライド、面目、話をまともに聞く気もない上層部、“契約”電話。 この隊長が本当に策士と言いますか、確かに約束は守るクソ上司です。「どうせ○○○んだし、殺るだけ殺っとくか」というキレ者。日本刀の柄を首筋にあててのしごきも凄い迫力。「生きて帰ってきてんじゃねえよボケナスッ!」という感じでボッボコにしてます。怖ー。 ニコニコ顔で毎朝巡回してた軍楽隊も豹変するんだから怖い怖い。みんなクソ上司に「殺されたくない」という恐怖で動かされるのである。  賑やかな歓迎パーティー、穏やかな交流、どんちゃん騒ぎがある一言で凍りつく。村人の態度に苦悶の表情、徐々に不穏な空気へと変わり、壮絶な血祭と化してしまう。淡々と演奏を続ける楽隊が怖い。  駆け抜ける火、火、火、戦いの終わりを告げる遅すぎた放送・・・復讐、土砂降りの雨、痘痕だらけの面、最後の一撃とともに色づくフィルム・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 15:47:06)(良:1票)
174.  女狙撃兵マリュートカ 《ネタバレ》 
チュフライの傑作の一つ。 「誓いの休暇」も冒頭から“狙撃”でキッカケを掴む映画だったが、本作は狙撃に始まり狙撃に終わる。 波がうねる海原、海から砂漠に場面は移る。まるで猛吹雪の雪山のように白い砂漠を歩き続ける。砂の斜面、敵影を見つけてを迎撃態勢、走り去ろうとする敵兵を次々と狙撃していく。 兵士としての厳しい表情、彼女の呼びかけとともに指揮官が起き上がり、寝ていたい兵士たちが駆けだす!神に祈りを捧げ、遠くを進む黒い影を追跡する。指揮官はモーゼル拳銃をサーベルのように振り回して部隊を引っ張る。 駱駝は移動手段であり盾となる、長距離での撃ち合い、銃は降伏の旗や墓標・助けを呼ぶための合図。戦利品となる駱駝や情報。  たき火、夢の中に見る故郷の思い出、仲間の死、指揮官の思いやり、捕虜を連れながらの厳しい行軍、熱風が吹きすさぶ中で倒れていく兵士たち、銃を打ち捨て嘆く者も出てくる。 そんな彼らを祝福するように拡がる海原!兵士たちの表情に安堵が。 「アラビアのロレンス」が砂の海原を突き進んだ末に本物の海に辿り着いたように(映画としてはコチラが先か)。 砂漠の民に出迎えられての宴会。捕虜も一緒に宴会を楽しみ、束縛の縄を見て「ああそうだったね」という顔をするのが面白い。戦争の厳しさを忘れられる安らぎ。  会話を重ねる内に捕虜と良い雰囲気になっていく彼女、手紙、裁縫。手紙を高らかに読んでその声で目が覚めそうになる仲間、それをみて声を小さくするやり取りが微笑ましい。  浜辺で見つける船、嵐、砂漠にはなかった雨風の嵐の恐怖、無人島に二人っきりで泣き叫び弱音を見せる彼女、無人の小屋、一枚一枚服を恥ずかしそうに脱ぐ様子。味方ならともかく、相手は敵だ。 女の表情、濡れてとかれた髪、彼女の背中と投げ出された脚がエロい。荒々しくうねる海原、看病を通してどんどんデレていくマリュートカが可愛い。 彼女たちが世話になった集落にも拡がる戦火、炎のゆらめきが海の煌めきに、男の語りを彼女は黙って聞き入る。浜辺でキャッキャッウフフ。  そして訪れる最後の“狙撃”。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 15:44:39)
175.  鶴は翔んでゆく 《ネタバレ》 
「戦争と貞操」の題でも知られ、「誓いの休暇」とともにソ連(ロシア)の雪解け時代を象徴する作品。 「誓いの休暇」が戦場から始まるのに対し、この映画は平穏な日常からはじまる。どちらも“道”を駆けたり歩く映画だ。 川沿いの道を元気よく駆ける二人の恋人たち、橋、空を飛んでいく鶴の群れ、 水をまく車が二人を祝うように走り去り、駆ける道は教会へと繋がるよう。森で追いかけっこ 階段 犬の声に警戒して男は隠れ、女は駆け昇る 男はそれを追う 道路は水に濡れて湖面のように拡がる ドアから現れる犬とその飼い主、リビングで眠る両親、恋人たちは互いの家に戻っていき、二人とも朝方のベッドに飛び込む。  前半は戦争に行くまでの過程を丁寧に描いていく。友人が知らせる徴兵、戦争の接近。  工場での労働、部屋の模様替え、足で踏みつけてSMプレイ? 薄暗い部屋に彼らの目元を照らすように日が差し込む。 愛する人に贈るリスの人形、出征祝いの食事会。  24分を過ぎたあたりから戦争の足音が徐々に近づいてくる。行進する戦車の間を縫うように走り抜ける!間に合うのか、間に合わないのか・・・。  詰めかける群衆、恋人を夥しい群衆の中から必死に探す、もう二度と会えないかもしれない、無情にも人々を引き裂いていくマーチ、放られたプレゼントは群衆によって粉々に砕け散る。 電話を終えた彼女は、土嚢と対戦車用の障害物が敷き詰められた道を歩く。街もいつ空爆されるか解らない。サイレンの音、防空壕、爆撃音。 消火活動にあたる軍隊、ボロボロになった建物を駆けあがり、ドアの向こうに拡がる崩れ落ちた空間、時計の針の音を、故郷が焼ける音に耳をふさぐ。  幾度もかける電話、爆撃が迫る中でピアノを狂うように弾く。「君が逃げないなら僕も逃げないぞ」と言わんばかりに。何故なら彼女を愛してしまったから。 目の前に落ちる衝撃!たなびくカーテン、割れる窓ガラス、衝撃的な接吻。 死を前に男は女に愛を求める。女はそれを拒むように幾度もビンタを食らわせる。荒ぶるBGM!  42分を過ぎたあたりで場面は戦場に移る。 負傷者を抱えながら沼地を突き進む男たち。ここでも爆音が絶えない、 写真、ハーモニカ、有刺鉄線、爆撃と銃撃音が迫る中を仲間を抱えて進むスリル、死に際の眼に飛び込む太陽の光、めまぐるしく男の脳裏を駆ける走馬灯、幻・・・。 戦場からの手紙、雪が降り積もる外、病院を手伝うのは負傷兵の中に恋人かいないか探すためでもある。看護婦とは異性に尿瓶をあてて貰うのは恥ずかしい男心。  機関車が猛然と疾走するように市内を走って走って走り抜ける。死への疾走、轢かれそうになる子供に気づいて我に返る。まるでサイレント映画のような早回し。 コップをスプーンで叩いてあやそうとする、リスの籠に敷き詰められていた手紙、男の頬を何度も殴りつける、ハーモニカの音色。 洗濯をする手にそっと口づけ、戦争の終結と凱旋、彼女は最後の最後まで走り続ける。花束を受け取ってくれる人を探して。 それを“譲って”いくシーンが本当に哀しくてねえ。そして鶴の群れは再び大空を翔んでゆく・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 15:43:01)(良:1票)
176.  世紀末の印象派 《ネタバレ》 
メリエスによるマジックもの。  台の上に立たせた女性の人形を本物の女性に変え、お次は布をかぶせて台の上の筒の中に瞬間移動させる。 今度は女性を担ぎ上げたかと思うと粉微塵になって消えてしまう。  マジシャンは自分をテレポートさせたり、先ほどの女性に早変わりしたり、また元に戻ったりを繰り返し煙と共に消え去る。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-07-30 15:42:00)
177.  青ひげ 《ネタバレ》 
宮殿らしき場所に集まる人々、大金持ちで豊かな髭をたくわえた「青ひげ」が熱弁を奮っている。青ひげは書類を蹴り上げたりとやりたい放題。 調理場の人々に御挨拶、運ばれていく料理(ハリボテ)たち、みんなが宴会を楽しむ中で一人静かに本を読んで過ごす新妻。  5分が経った頃、本の中から突然悪魔が飛び出してくる。地下室で見てしまったおぞましい光景、そこに先ほどの悪魔も現れる。彼女は8人目の犠牲者として連れてこられたのである。 大きくなる鍵、謎の女性の精?が現れそれに祈ると鍵は小さくなり精も消える。 彼女の寝室に現れる7人の亡霊と悪魔、悪魔を振り払う銃士の姿、亡霊たちは8つの鍵に変わり彼女を苦しめるが、そこに先ほどの精が現れ鍵と悪魔を消し去る。 露わになる青ひげの本性、凶刃が迫るその瞬間、ハリボテを突き破って現れる救いの銃士たち。 ぶっ刺されても頑丈な青髭、またも現れる精と七人の亡霊たち・・・って全員生き返っているし!御丁寧に挨拶までしてお持ち帰り。  すべてを失った青ひげは絶望のうちにくたばり、周囲の建物は取っ払われ、そこには青ひげの財産をすべて手に入れたヒロインたちの姿があった。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-07-30 15:41:02)
178.  宇宙飛行士の夢 《ネタバレ》 
ジョルジュ・メリエスの短編「月まで1メートル(宇宙飛行士の夢)」。  巨大な望遠鏡、勉強中の学者、そこに現れる悪魔と謎の女。現れたかと思うと消え、学者が黒板にメモを書くとそのメモにイタズラをし、地球と月をくっつけて「人」にして小馬鹿にする。  学者の道具は次々と消え去り、望遠鏡も巨大な月の顔に食われてしまう。傘を差したら吐く息に溶かされ、子供が二人飛び出すわ遠のいて箒をかわすわやりたい放題。 すると月が美女に変わって降りてくる、三日月の椅子、美女に振り回されてとうとう窓さえ消滅し閉じ込められ、謎の像が出現する。  突撃した爺さんは月に飲み込まれてバラバラ、そして女王の手によって蘇り、悪夢のようなひと時が終わる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-07-30 15:39:36)
179.  淑女は何を忘れたか 《ネタバレ》 
小津のトーキー初期のほのぼのとしたコメディ映画。コメディと言ってもほんのちょっと「クスッ」としてしまう感覚。ルビッチ風味のやり取りを積み重ねていくのが面白い。 車、大きなタイヤを覆うカバー、車から降りてきた毛皮をまとう成金女。ボールで壁当てして遊んでいる子供と会話。  囲炉裏を囲んで主婦の談笑、「ちっ」、「ちぇっ」、「ほっほっほっほっ」。冒頭8分の軽快さが素晴らしい。  小腹がすいたからうなぎを頂戴、ご飯と別々にねって贅沢だなオイ。  大学の先生、講義 居眠り男への扱いが面白い、関西弁を喋る娘、嫁入り前でも吸いたい煙草、強制的に家庭教師を頼まれる。  「地球の面積」の話をしていたらデッカい地球儀を持ってくる子供にクスッとなる。大学の兄さんよりも子供の方が賢いのが面白い。ジェネレーションギャップ、子供たちなりの励ましソング、「こんがらがっちゃダメよ♪」。  歌を歌いながら地球儀を回して国の名前を当てっこ、北極は国じゃねえwwえ?国じゃなくて地名当て?   フェンシングの剣でのやり取り、ドクトル呼び、並べられたコーヒーカップ。 歌舞伎の見物は「麦秋」のように徹底的に見せないパターン。歌舞伎を見る客の表情や後姿のみが映される。  それを待つ女たち、芸者を見に行く人々の表情、芸者の舞いは映るのに歌舞伎は何故に映されないのだろうか。延々と舞いを映すのは「鏡獅子(菊五郎の鏡獅子)」を思い出す退屈さ。  観客「もういいよ」   芸者たちと酒を飲みかわす、財布の交換、頭痛い→額に手をやって「風邪かな?」、単に酔っぱらったとちゃうんか、姪のワガママに付き合う叔父さんが優しすぎて泣いた。  叔母さんもカンカン、後を追いかけて問い詰める、雨の降る朝食、酔ってて叔母さんの声も覚えていない。この後のやり取りが特に面白い。叔母さんが来たら説教のフリ、腹を小突く姪にワロタ。嫁に頭が上がらない夫が可愛い。  手紙でバレる嘘、説教を受ける叔父、叔父をたちを助ける姪の嘘、叔母さんも話友達との気晴らしの会話でストレス発散、叔母さんを騙して脱出する叔父さんたち。コイツら・・・w 叔父さん?ドクトル?オッサン?叔父公!姪に押されて叔父さんもアタック(物理)。叔母さんは「何でアタシがぶたれないけんの」という驚きの顔、「ちょっとやりすぎたかなー」という後悔の顔をする叔父さん。優しすぎるぜ叔父さん。 二人の女の間で板挟みの叔父さん、一応謝る姪、叔父さんも謝る、巻き込まれる岡田涙目。むしろ殴ってくれる方がが良いらしい、静かに笑うお父さんの姿、時計の音とともに夜が訪れ、コーヒーの支度をする妻の姿をロングショットで捉えて物語は終わる。
[DVD(邦画)] 9点(2015-07-28 17:43:04)
180.  ガリヴァー旅行記(1902) 《ネタバレ》 
ジョルジュ・メリエスの短編「ガリバー旅行記(ガリヴァー旅行記)」。  メリエスの作品で「月世界旅行」と共にクローズ・アップが使われた数少ない作品の一つ。今回はカラーフィルム版を鑑賞。  いきなり巨大な老人が街の中に現れて徘徊している場面から始まる。いや、ランプで辺りを照らしながら歩く彼にとっては「街が小さい」のだろう。どうやらこの爺さんがガリヴァーらしい。 彼は気づくと拘束された状態で寝ており、橋の上では複数の小さな人々がガリヴァーを見下ろし、手に持った武器で威嚇している。男の尻に矢が刺さりまくり、そのショックでガリヴァーは目覚める。  街の住人に受け入れられたガリヴァーは、彼のサイズにあった椅子や机を用意してもらい食事を堪能する。巨大な樽を牽引し、梯子をよじ登りリレーで飲み水をコップに注ぐ人々。 そこに現れた王様の一向、彼らが運んできた籠をヒョイと持ち上げ、梯子をよじ登ってきた王様?らしき人々がお姫様?を紹介し談笑を交える。直後に建物で火災が発生、ガリヴァーも机の上の水が入ったガラスの瓶?を噴射して消化を手伝う。  その次はいきなりカードの賭けを楽しむ人々のクローズ・アップ。一体何なのかと見ていると、机の上にガリヴァーの姿が現れる!今度はガリヴァーにとって「大きな」国に来てしまったようだ。巨大な人々に囲まれて何かを祈るように喋るガリヴァーの姿、彼の声は巨大な人々には小さすぎて届かないようだ。梯子を上るが手の風圧で簡単に転げ落ちてしまう。上には上がいるものだ。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-07-28 17:16:21)
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