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Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1630
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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161.  花束みたいな恋をした 《ネタバレ》 
韓英恵が言う様に「若い時の恋愛と、結婚って違う」という、その変化の過程を描いている映画である(最終的には結婚なんかには辿り着かずに終わっちゃうお話だケド)。だからある種、これもまた人の成長を描く映画だとも言えるのかと。   趣味・好み・つまり「価値観」が似ているとゆーのは、人間関係を築く取っ掛かりとしては非常に分かり易くて効果的な要素だとは思う。しかし、ソレが恋人を選ぶ重要なポイントだった…とゆーのは、例え部分的にはそーであっても(=ある部分の価値観がドンピシャでも)他人同士なんて価値観が異なってるモノの方が絶対に多いのだから、その時点でも若干その「継続性」の面には危うさがあるとも思うし、そもそもソレがポイントになる時点でカップルの各々としては「自分の価値観が結構大事」という人たちなんだろう、とも思えるのだよね。人間関係ってやっぱり「妥協」が何より大切だと思ってるので、その意味でもまた危ういなあ、ともね。  若干、女のコの方がよりチャランポランに見える、という人も多いのかも知れないのですケド、どーでしょうかね。確かに彼女は自分が幸せに生きてゆくにはごく「感覚的」に自分が楽しいコトをやってゆけば好いと思っている、その点は(方法論としては)少し浅薄だ、とも思います。ただ男のコの方も、自分が仕事を頑張れば(収入が安定すれば)・或いは結婚というカタチに持ち込めれば多分ナンとかなると思ってる(+ワリとそーとしか思ってない)という点で、コッチも結構テキトーだとも思うのですよね(キョウビ尚更)。だからやはり、彼らは両人とも同じ様にまだまだ成長過程にある二人だ…と見えていて、で、人間ってやっぱり一直線に向上していくワケでもなくて、上がったり下がったりグネグネと波打ちながら徐々に徐々に少しずつ上向いていく…てなモンか、とも。個人的には結局のトコロ、それでもだからその山谷の巡り合わせが生んだ結末…てなコトでしかなかったのではないか、と。まァ~ねェ~~~中で一つ、私が菅田将暉に思いっ切り感情移入してしまった…てのが、仕事がマジでヤバい時って(私の様な映画オタクでさえ)映画観ても全然楽しくない…てなコトも実際あるんだよなァ~という場面すね(ソレを「彼は変わっちゃった」とか思われると、ちと辛い…てなモンで)。  主演2人は、別にルックス的にもとても魅力的な若人だと思いますが、超絶的美男美女というワケでもないごく近寄り難くない感じも大いに纏っている、そのコトは今作が「ごく普通の恋愛」を描こうとしているという点においては非常に適切なキャスティングだったと思います(ただ、有村架純ちゃんは演技力的にもごく等身大なこの役はピッタシだったと思いますが、菅田将暉が全力で演じるにはこの役はちょっと「簡単」だったかも知れませんね)。あと、年代を明確にし、かつソコで流行ったカルチュラルな諸々は全部実際の名前を出している、そのコト自体は、この映画が「刺さる」世代や地域、的な面での普遍性を損ないかねないという意味で(映画としては)若干リスキーな選択だったかな…とも思います。が、私の様なごくターゲットド真ん中のジェネレーションにとってはコレもまたお話を一般的なモノに見せるのには非常に効果的だったとは思います。だから私としては、その点への一種の感謝を込めて、1点足しておくコトと致します。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2022-01-29 18:54:22)
162.  許された子どもたち 《ネタバレ》 
これは、観る人に依って本当に様々な評価・意見・感想が出てくるだろう…という映画ですね。第一に、少なくともその部分についてはまま優れた社会派作品だと言えるものと思います。ただまあ単純に映画としては、少し演技の質がハイ・クオリティというモノでもないごく素朴な感じだったり(或いは部分的には展開運びも少しチープだったり)もあって、やや寓話的とも言える様な「つくりもの」ぽさが雰囲気として滲んでいる…とも思いますが。  本作における最も根本的な問題提起とゆーのはまず、例え「正当な」理由があったとしても、人が人に、或いは社会が人に対して暴力や制裁(それは社会正義を実行する為の「刑罰」を含む)を与えることが果たして正しいのか、というトコロまで遡れるモノかとも思います。全く只の理想論を語るなら、こーいった暴力や制裁は無くて済むなら無い方が好いし、減らしてゆけるなら減らした方が好い、とも言えるのかとは思うのです(例えば「死刑廃止論」とか、或いは今作でも描かれる「疑わしきは罰せず」の原則とかも、根本的にはそーいう話なのではないかと思っています)。とは言え、絶対的な現実の状況として、人が人に対して振るう暴力(=加害者と被害者が発生する状況)とゆーのを今の社会から完全に無くすコトはコレも絶対に無理なのであって、だからそのカウンターパートとしての(社会正義を維持するための)刑罰としての暴力は「正当な理由があれば」許容せざるを得ない、つまり現在の社会は理由があれば人が人を傷つけることを許しているのであって、そしてその理由の「正当さ」の判断がコレも常に「絶対に正しい」という保証もまた無いのだ、というコトだと思うのですね。個人的には、だから「理由があればいじめても(暴力を振るっても・制裁を与えても)善いのか」という今作で為される問いかけとゆーのが、月並な言葉ですがやはりとても深い論点だなと感じました。コレ、私も答え出ないし、今作でも答えは全然描かれてないのですよね(言っちゃあ結構投げっぱなしな映画かも知れんですね)。  ※まあでも、深いとも言いつつ若干は屁理屈の様な議論だとも感じるのです。「絶対に正しい」ワケじゃないからといって、ソレは「正しく」ないのか、とゆーと、ソレは決してそーでもないかな、とも思うのであって。それこそ「凡そ確からしい」正しさを備えるモノとゆーのは、今の社会にも決して全く無いワケではないとも思いますし、そのレベルの正しさでいったんは満足しておけば(=イレギュラーなケースは個々に議論すれば)さほど問題も無いのかなあ…とも思ってますケドね。  前述どおり答えの出ない議論を盛大に喚起するよーな映画だと思いますが、折角思い悩まされたのだから何らか前向きなアンサー・気付き(行動指針)を捻り出せたら好いな…とも思うのです。どーすれば(どーしてゆけば)ある程度十分にこの社会で正しく在り続けられるのでしょーかね?パッと思い浮かんだのは「法に縋る」というコトでしたが、でも、法律的に問題が無いとゆーのと社会的に正しい・正義だとゆーのは全然イコールではない、とスグに思い直しましたし(今作でも例えば、問題の非常に重大な根幹部分である少年審判における主人公側の振舞いとゆーのは、それこそ法的には何の問題も無い行為だとも思うのですよ)、法的に正しければ善いなどとゆーのは、あくまで「正義」を追及していく上ではそもそも非常に不健全な態度だ、とも思いますね(結局「法的に問題が無い」は、実は結構トンデモない言葉だとも思います)。  あとは例えば一種の「非暴力・不服従」とか、つまり社会の仕組みがどーあれ自分個人としては他者を傷つけるという意味での暴力を行使しない(=それによる自分個人への不利益は甘受する)といった指針も目標になり得るかな…などとも思ったのですが、そう腹を括った自分がそのように覚悟するのは善いとして、コレも例えば今作の様に自分に近しい人・家族が何らか「抵抗」せざるを得ない状況に追い込まれたとき、この態度を取り続けることが出来るのか(それが正しいのか)というトコロにはまた論点が残るという様な気もします(取り分け今作の様な場面において、親が子どもをある面で「守らない」とゆーのが本当に正しいのか、と)。そもそもコレを正しいとしたとして、とは言え前述どおり社会における暴力一般が「正しい」のかという議論にはノータッチのままになってしまってるとも思いますし、そもそも仮にでも社会における暴力が「必要」なモノであるなら、ソコから自分だけ勝手にドロップアウトするとゆーのはある種社会的に無責任だ、とすら思えるのですね。
[DVD(邦画)] 8点(2022-01-29 18:47:52)
163.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》 
ホランド版は前シリーズと比べても少し若年層向け・ごくコミカルに楽しく観れるという質感かと感じており、ソコは今作も概ね踏襲してると思うのですが、一方で今作は結末含め全体としてしっとりする場面も多くて中でややシリアスめではあるのです。ところが、今作での騒ぎの元凶はとゆーと(マーベルでもチョイ珍しく)完全に主人公側に存在するのであって、彼らの若さ・バカさ・茶目っ気が為せる業、という点を考慮すると、雰囲気+成り行きからの全体の纏まりとゆーのはやや微妙かな…とも思ったのですね。オーラスも、私個人としてはも~ただ素直で完ペキなハッピー・エンドの方が観たかった…とも思いました(エンドロールなんかは最後の最後までほのかに期待してしまいました)。まあ権利関係がややっこしいスパイダーマンはMCUからはいったん御役御免…というコトなのかも知れませんが(→一転、ココぞという場面でまたブチ込まれる方により期待したいトコロではありますケド)。  しかし、いったんの完結編としてはその豪華さ(何と言っても出演者)はあの『エンドゲーム』にすら匹敵するとゆーか、この20年のスパイダーマン映画の集大成とでも言うべきゴージャスなモノでした。トビー・マグワイア、最近見なかったなあ~とも思っていたのですが実に素晴らしい仕事でしたね!私もサム・ライミ版は大好きで(ナンなら『アベンジャーズ』より好きなぐらい)、グリーンゴブリンを殺そうとするホランドを押し留めるシーン、年齢を経た今の彼だからこそ出来る真のヒーローの姿を垣間見たとでも言いますか、その無言のメッセージに感じ入って自分を取り戻すホランドも含めて今作ではココが一番グッときましたですね。他、アンドリュー・ガーフィールドも相変わらず爽やかでしたし、ウィレム・デフォーの迫力・凄みも際立ってました。贅沢ですね。  評点は少しだけ迷ったのですが、素直に楽しめたので高めに寄せておきます。
[映画館(字幕)] 8点(2022-01-14 18:04:40)
164.  偶然と想像 《ネタバレ》 
ごく純粋な会話劇3作によるオムニバスですが、概ねその3話はそれぞれ3パートに分かれる、その中核たる第2パートとゆーのが各々かなり同じ様な特徴を強く備えておるのですね。ココだけ、台詞に感情が入るのを極端に排除しているとゆーか、非常に淡々とした朗読的な台詞読みになっていて第一にはとにかく独特だな、という印象を受けました(ただ思えば『スパイの妻』の東出クンとかも似た様な感じが実は強く出てた…かとも思います)。各々また第1・第3パートはもう少し自然に感情が入った演技に仕上がっているので、ソコも含めてコレは高度に意図的なモノだと思いますね。コレによって、まずは非常に文学的(詩的)で、かつ単なる恋愛事象にまつわる一個人の感情とゆーよりは、ソレがより(監督の)「思想」に近い様な思考・価値観としての表現に見えてくるとゆーか、単純に静かで文芸映画的な雰囲気が心地好かった以上にとても効果的な演出だと思いましたね。    1.魔法(よりもっと不確か):35分 濱口監督の作品には、偶にかなり「アレ」な女性が出てきますよね。元はと言えば『PASSION』の時の占部房子も相っ当にチャランポランな女にも見えましたし、続く『永遠に君を愛す』の河井青葉の逆ギレも中々なモンでした。何より記憶に新しい『寝ても覚めても』の唐田えりかちゃんたるや…おそらくこの人、こーいうのが「好き」なんでしょうね。とゆーのも、そーいう(控えめに言って)「飛んでる」女性てのを総じてごく滑稽に描きつつも、やはり同時に彼女らがごく魅力的に見えてしまう様に(どいつもこいつも)描いちゃってるのですよね(=何故かナンだか憎めない…つーか)。コレは、フツーに考えればポジティブな価値観だとは思うのですし、男としても(=こーいう視点はやや不適切かとも思いますが)ある種「立派」なコトだと思います。とは言え若干ながらソコには、そこはかとなく「妙な」性癖とゆーのを感じ取れる…てな気もしますケドね。  今作はその系統としては、古川琴音ちゃんのキャラ自体はワリとシリアス方面に寄せて仕上げてた様にも思いますが、前述どおりの感情を排除した演出方針の所為もあってナンとゆーか一層「ヤバい」女の子にも見えて、名状しがたい「面白さ」とゆーのは逆に強く感じ取れた…とも思います。「感情」が彼女にそう言わせている・させている、のではなく、彼女のもっとより深く「魂」がそう囁いているかの様な、つーかね。第2パートからの(思いがけずの)緊迫感は中々に見事で一気に観入ってしまいました。そしてその意味からはオーラス、吹っ切れた彼女がふと表情を(ほんの微かに)緩めるラストショットが、個人的に非常に気に入りましたね(観てるコッチもやっと少しだけホッと出来た…とゆーか)。   2.扉は開けたままで:45分 文芸的な、という意味では、間違い無く一番文芸的な作品でしたね。とゆーか、あの小説のあのくだりはコレも監督が執筆したんすかね?だとしたら、何とも(やっぱ)変態な…もとい、素晴らしい才能ですね!コレをあーいう美人に読ませて、ソレを渋川清彦がただ聴いてる…てダケでもはや「勝ったも同然」かとも思いますが、前述どおりごく文学的・朗読的な静かな演技の中にそっと置いていかれる様な2人の感情の微かな発露の奥ゆかしさてのも、実に味わい深かったです。ラスト、あまりに間抜けな「バッド」エンドは個人的には少しだけ好みではありませんでしたが(=単に土下座小僧が「勝った」カタチになってるのが私ちょっと気に食わない…というダケのコトなのは重々分かってますケドさ)まあ3作のオムニバスなら一品くらいはこんくらいビターでも…とも思いますかね。   3.もう一度:40分 コッチは、その建付け自体は3作中で一番コミカルだと言えるとも思いますが(映画館でも結構笑いが起きてた)、ヒューマニズム的な傾向とゆーのも一番強め・かつ分かり易いモノだったかと思います(個人的には一番お気に入り)。伝えなかったことの後悔、忘れてしまったことの寂しさ、それでもふと一歩踏み出そうという勇気…誰しもが確実に共感できるという感情が色々と込められていた様に思います。第3話のこの「偶然」については謂わば「僥倖」と言って好い様なごく喜ばしいモノだったとも思いましたし、同時にソレは夏子が自分の人生を(辛さを乗り越えて)キチンと振り返った・総括したコトが呼び込んだ「必然」だったのかも知れない…とも思いました(少なくとも私は、そう思いたいですね)。
[映画館(邦画)] 8点(2021-12-31 20:39:18)
165.  マリグナント 狂暴な悪夢 《ネタバレ》 
いや~超ッ絶パワフル!!キレッキレ!!日々の陰鬱な気分を吹っ飛ばす、実に爽快なホラーでした。大満足。   とは言え序盤~中盤にかけて真相に向かって暫くモヤモヤしてゆく部分は、そのメイントリックが結局「イマジナリー・フレンド」だろうが「ヴァニシング・ツイン」だろうが決して観たコト無くはないよーな話にも思えており(=なんだかんだ結末がソッチのカテゴリーに帰着してゆくのはほぼ間違い無さそーな…つーか)、その在り来りさをショック描写(或いは部分的にはアクションとも言えるソレ)のキレ味や、ワリに凝ったカメラワーク、そして臆面も無くガンガン放り込まれるCGの端的な高水準さ、といった個々の要素のつくり込みで観せてゆこうという作品に見えているのですね。その意味では、ある種手堅い横綱相撲の様な作品にまた思えてた…とでも言いますか(流石は「横綱」ジェームズ・ワン、てか)。  しかし今作、本質的には結局オチの内容自体は前述の想像の範囲を大きくは外れないものの、その「異形さ」とゆーのが諸々ちょっと一般向けホラーの水準を逸脱してると言って好いレベルでして、ソコは間違い無く(好い意味で)従前の期待(あるいは王道なA級ホラーとしての序盤からの流れ)をブチ裏切ってくれた…と思いました(ガブリエルの正体が顕かになったシーン、映画館で間違い無く「ヒェッ…」て声が聞こえましたのですね)。そっから先の大暴れ・カッ飛ばしぶりはもう中々に凄まじく、横綱だと思ったらこれヒグマ(=もはや人外)でしたね。結論、近年稀にみる抜群のキレ味だったと言ってよいと思います。  しかし、私ですらラスト30分には薄っすらと「やりすぎ?」感も覚えるよーな有様で、コレは多分ふだんホラー観慣れない人には少~し刺激が強すぎる…かも知れんですね(エンドロールでまた館内がエラくザワついててですね…こんなのも久し振りで…)。その意味では、オーラスは存外にアッサリ暢気にグッド・エンドの方に倒れてゆく…てのも、実は高度なバランス感覚の為せる「技」かとも思いました(=コレって適切だなあ、と率直に)。重ねて、決してレベル低くもないケド全体としては「緩」な前半と、全力全開に「急」な後半のメリハリ、等、総じて隅々までかなり行き届いた良作だったと思います。コレは是非映画館で!
[映画館(字幕)] 8点(2021-12-03 23:42:13)
166.  資金源強奪 《ネタバレ》 
3億円の奪い合い!というフォーマットはワリと好くあるシンプルなモノかとも思うのですが、異常なまでに状況・敵味方がコロコロと切り替わる、その意味では結構ややっこしい話に見えなくもないよーな気もします。しかし、意外なホドに全然分かり難さとかは感じませんし、と言うか根源的にはやっぱ非常に単純な「誰も信じられない」というダケのお話で、不自然さも殆ど無くむしろ「然もありなん」と実に納得してスンナリと観てゆけるのですね。その上で、やはりこんなに凄まじく諸々のテンポが好い(好すぎる)映画とゆーのも他にあまり見当たらねーなというレベルでもあって、その面からは至上に爽快・痛快な超優良娯楽作でした。地味に凄いですねコレ。  北大路欣也が善すぎず悪すぎず、かつ軽すぎず重すぎずで好かったですね(ガタイはちょい身軽めではありますが、ソレで最終的に梅宮辰夫と張り合うとゆーのも好いバランスだったと思います)。邦画では今やちょっと役者が見当たらないですが、海外・アジア(韓国)とかでリメイクとかしてくれたりしないかな、と思ったりしますね。
[DVD(邦画)] 8点(2021-11-05 22:42:01)
167.  そして、バトンは渡された 《ネタバレ》 
早瀬が優子の境遇を知って漏らした一言「(親と血が繋がっていないのが)羨ましい。人として尊重し合えるから」とゆーのには少しだけ考えさせられましたね。今作に登場する「親たち」とゆーのは、確かにどこか非常に「遠慮深い」とも思うのですよ。その一方で彼らは優子ちゃんへの愛情とゆーのもまた確かに持ち合わせてはいて、そして確実にそのお蔭で優子ちゃんもその境遇の「見かけ」の悲惨さに比してはワリと平穏に育ってこれた、というコトにも思えるのですね。でもソコでふと、そもそも親ってナニか?て考えたときに、そーいう遠慮を抜きで何でも言い合える・ぶつけ合える、とか、つまり損得勘定とかを無しに100%自分の為に身を投げ出してくれる、とか、親ってやっぱそーいうモノじゃないかな、ともまた思うのですよ。その意味では、やはり今作では田中圭こそが最もそーいう役割を果たしていたという意味で優子の「親」に一番相応しいと思いますし、最終的に彼の元に辿り着いたからこそ今作はハッピーエンドを迎えられた、とも思うのですね。  事前に予想したよりは暗い・辛いシーンのずっと少ない映画でした。それでいてハートフルにグッとくるシーンは非常に豊富で、週末用「泣き」映画とかには持って来いだと思います。少しだけそこら辺がクドいかな?という箇所もありましたが、多少甘く付けてこの評点としておきます。追加で一つ、子役の稲垣来泉ちゃんは中々頑張りの感じられる好演技で印象に残りましたね。
[映画館(邦画)] 8点(2021-11-03 15:10:53)
168.  しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス 《ネタバレ》 
ともすれば、非常に「前時代的」とも見えかねない夫婦・男女の在り方だとも思われるのですよ。いわゆる自由選択的な恋愛というモノではなくて、二人ともそうしなければ生きられなかった、という中で辿り着いたカタチなのは確かでしょうし。ただ、生きていくために二人連れ添う、というその関係が次第に真実味を帯びてゆくのも好く分かりましたし、ソレは(あくまで今作においては添え物として描かれる)モードの画家としての立居振舞いも同様に見えて、ただ「一緒に生きていきたいから一緒に居る」或いはただ「描きたいから描く」というどちらも非常に本質的なモノに感じられ、まただからこそ非常に尊いモノにも思われました。静かですが、実に芯を食った話だと思いましたね。良作以上かと。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-10-27 22:12:42)(良:1票)
169.  ラブ・アクチュアリー 《ネタバレ》 
クリスマスにピッタリのチョコレートの詰合せ、かの様な。総じてポップでオシャレで軽い口当たりながら味は様々で、それこそ甘いのもあればちょっとホロ苦いのもある。なので、苦手な人でも多分どっかしらには引っ掛かるだろうし、終盤は畳みかけるハッピーエンドの連続が中々にゴージャスでもあったりして。  でも、やっぱりチャンとした食事にするならも少しガッツリ食べられる一品料理の方が好いかも知れないし、とても気に入った味のがあったとしても一口分しか食べられないのは口惜しいと思うコトもあるだろう。要は「食べ」方、確かにそれこそクリスマス・イヴにデートムービーとして使うなら、これ以上の映画も中々見当たらない気もしますね。特に今作、やや大人向けの「インビな」スパイスの効いたヤツも多いですからね。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-10-25 22:21:14)(良:1票)
170.  最後の決闘裁判 《ネタバレ》 
同一の一連のエピソードを3人の異なる視点から語ってゆく…とゆーのは、確かに『羅生門』或いは(そのエピソードが本質的には男女の三角関係だという点では)『去年マリエンバートで』なんかにも構成としては酷似してると言えるでしょう。ただ、今作は上映時間の大半に渡って繰り広げられるその3つの「主張」に関して、映像的にはソコに決定的な矛盾があるワケでもなく(例えばル・グリがマルグリットに乱暴を働いたのが事実か否か、という部分とかが争点になるワケではなく)、あくまで各章で実際に観せるエピソードの取捨選択によるニュアンスの差異(と、映される映像自体の若干の物理的差異)に依って鑑賞者に与える3人の印象とゆーのが移り変わっていく、という意味での心理的サスペンスという感じではあったですかね(=ミステリー的なトリックが重厚・複雑、というよりはずっとシンプルなヤツ)。  だから同じ話を3回観せられるワケなのですが、映画自体の諸々のクオリティが非常に高度なのもあって、その部分は間延びしてるというコトもなくずっとハラハラと観入ってゆけましたね。そして、肝心なラストの決闘で誰が勝つのか(=誰が勝つ「べき」なお話なのか)という点にまたハラハラ感を残す為にか、結局3人ともに何らか「瑕」がある、とも言えなくもない様なお話で、最後まで中々にムズムズもしたのですよ。男2人はワリと単純なクズなのですケド、まあ微妙ですがマルグリットにも完全に「後ろめたさ」が無かったかとゆーと…(彼女も根本的には全く悪くないのですが、ゆーてル・グリの「主張」のある部分1割程度は真実に見えなくもない…というレベルかとは思いますが)  とは言えその意味では、やはり時代的なコトもあって非常に「抑圧された女性」という存在であるマルグリットに関して一番「丸く収まる」この結末は、納得感やホッとする感の観点からは非常に無難なハッピー・エンドだったとも思います。そして重ねて、映画自体の質は歴史ものとしてもサスペンスとしても、かつ部分的に挿入される壮絶なアクション面にしても極めて高レベルだったと言って好いでしょう。普通に傑作の部類だと思いますね(流石リドリー・スコット、また次回作が観たくなってしまいますね)。
[映画館(字幕)] 8点(2021-10-17 17:44:23)
171.  DUNE デューン/砂の惑星(2021) 《ネタバレ》 
原作小説や先行映画は知らないのですが、元ネタ的にはSF大河作品とのコトで、今作もつくりとしては娯楽作 or SF作とゆーよりはまずは「史劇」のよーな雰囲気が全体に強く保たれていますね。そーなると、あまりテンポが好すぎると却って重厚さが損なわれてしまうので、今作もやはりかなりゆったりとしたスピードで話は進みます(+そして長尺)。そこら辺、史劇系の映画(或いはレオーネ的西部劇とか)を観慣れてない人だと、率直に少しかったるいとなってしまうコトも大いにあるかとゆーのは確かですね(今作はそれにプラスして「続編に続く!」で終わってしまうヤツですし)。  それでも個人的には、テンポの緩慢さはあまり気にならないとゆーかむしろ心地好くさえありました。雰囲気自体はかなり好かったと思いますよ。SF・宇宙ものではあるので当然ハイテクな要素も含まれるのですが、それ以上に中世封建社会の様な古風でアナログな世界観が強いのに加えて、とにかく舞台となる砂漠惑星の(明るく淡くは在りながらも)冷徹で空虚な感じとか、全部ひっくるめるとかなり独特なモノにも感じられましたね(少し文学的と言っても好いかも)。流石に年イチクラスの超大作だけあって映画自体のクオリティはまた細部まで行き届いてましたし、俳優陣の雰囲気や演技も手堅かったかと思います。   ※PARTⅡ鑑賞後追記: PARTⅡ鑑賞前に観直しまして、かつ分り難かった部分も情報を入れ直しました。すると、原作の深い世界観と、映画としての娯楽性・芸術性がかなり高度に並立されて居るな、という感覚がより強くなりましたね。強いて言うなら映像の力と、そして芸術性の方面により「寄っている」という感覚はありますが、PARTⅠの時点でも(=最初に観た時点でも)もっと評価しておくべき作品だったと素直に思いました。1点アップしておきます。
[映画館(字幕)] 8点(2021-10-16 17:57:35)(良:1票)
172.  ガラスの城の約束 《ネタバレ》 
弱者に決して優しくない現代社会では、余程の「物理的」要因でもなければ「善人」或いは「自分の食い扶持を稼げる程度に勤勉な人間」である義務から解放されるコトはない。増してや「人の親」ともなれば尚更である。しかし、世の中にはそーいった要因までは備えずとも、その義務をギリギリ果たせない程度に「性格」に難が有り、そして端的には「愚かな」人々というのも確かに存在するのであって、そして更に厄介なのが、そーいう人々は善か悪かの二元論でスパッと切り分けられる様な単純な人間性を擁しているワケではコレも決してなくて、確実にそーいった種々の側面を入り混じって併せ持ち、そして善か悪かを(法的にはともかく道義的には)簡単に断じるコトなど出来ない存在であるのも確かだろうと思う。ガラスの城など机上の空論ではあるのだろうケド、その「美しい」モノをただ志向する人間とゆーのは、確かに愚かではあれど決して悪人でもない様には思える、つーか。  まずは今作、そーいう人間が親になった場合(そして「不運」にもそーいう人間を親に持ってしまった場合)に発生するネガティブな事象とゆーのがそれこそイヤ!ってホドにド初っ端から見せつけ続けられる。ので、決して居心地の好い作品というワケではないのだし、結局最終的にそーいう「親」の側に感情移入の切り口を持ってこようとしている、という意味ではかなり「危ない橋を渡ってる」作品だとも思う(とゆーか普通に、序盤~中盤の描写は現実的には虐待・ネグレクトに該当する行為だと言って間違い無いと思うのだし)。今作の論点は端的には、そーいう人間が親になることの是非、というトコロだとも思えるが、率直に言って実に微妙な間隙を突いて来ている作品だ、とは感じるのだね(個人的にはやや、この両親に対する嫌悪感が勝る人の方が多いっちゅう気もするケド)。  ただ、その善悪併せ持った親の二面性・複雑性を表現するウディ・ハレルソンの演技は、正直ここ一年位に観たモノの中でも最高レベルに素晴らしいモノでした。そしてまたブリー・ラーソンの葛藤する様子にも、私は大いに共感できたのですね(確かに自分の親は社会からは相手にされない様な人物だけれども、だからと言って子である自分が親を否定することが(法的・社会的にはともかくコレも「道義的に」)正しいのか、と)。何よりそんな中でラーソンが出した結論とゆーのは、人間関係においてはなるべく「善き」部分をより目を開いて見るようにしたいと考える私のポリシーからもやはり深く共感できるモノ・とても暖かいモノだったと思います。全編に渡って中々辛い映画でしたが、最後まで観て好かったすね。
[DVD(字幕)] 8点(2021-10-04 18:53:08)
173.  ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディー 《ネタバレ》 
戦意高揚映画とのコトで、描かれるのは古き良き「アメリカの価値観」と、正にソレを体現する様なジョージ・M・コーハンの波瀾万丈一代記なのです(一点の曇りも無いアメリカ万歳!映画すね)。ただ、彼の物語として本作を観る限り、常に家族や仲間と志を共にして歩んだ彼の人生とゆーのは確かにそういった価値観を大いに体現するものであった、とは十分に感じられるのですね(=上っ面だけのプロパガンダ映画では全くないかな、と)。才気煥発な男ではありますが、相当に頑固で我の強烈なトコロも含めて決して弱点・欠点の無い人物だというワケではないと思うのです。ソコを、家族や仲間と支え・支えられするコトでむしろ短所を長所にも変えてゆけたとゆーか、その部分は彼の奥さんが言う様に「あなたには誰かがついていないといけない」というコトだったのかな、と思いました。なんとゆーか実に微笑ましく、そして羨ましい人生だと感じますね。  特にイイな!と思ったのはその奥さんとのワンシーン。大女優フェイに自作の劇に出演してもらうためアピールしに行くのですが、奥さんに歌わせたい曲"メアリー"は彼女には渡したくない、その彼の葛藤の様子に垣間見える確かな家族想いの側面(そしてやはり芯の通った側面)と、結局そのコトをごく明るく快く受け入れる妻の「彼女は歌を取って、私は貴方を取った」という洒落た返しも含めて、私も実に心地好く爽快に観ていましたですね。加えてその後、フェイが件の歌を舞台で披露するシーンも好かったですね。奥さんを演じるジョーン・レスリーもそこそこ歌は巧いのですケド、フェイ役のアイリーン・マニングは更に一枚上手とゆーか(彼女は確実に声楽的なトレーニングを積んだプロですね)、そのコトが妻の決断の正しさ・聡明さを顕かにしているし、歌唱シーンとしてもより感動的なモノに仕上がっていると思いました。ここの流れ、スゴく好きですね。
[DVD(字幕)] 8点(2021-10-03 03:51:34)
174.  アナイアレイション -全滅領域- 《ネタバレ》 
なるほど、ジャンル分けするならSFかホラーか、という作品に感じられるのは確かですが、描こうとしているSF的概念にせよそれがもたらす一種の恐怖にせよ、かなり抽象的で曖昧なモノなのですよね。その意味では、邦題がちょっとイケてないかも知れませんね。原作小説の邦題が『全滅領域』で原題が(+映画の原題も)『Annihilation』なので、映画の邦題も無難と言えば無難なのですが、繋げちゃうとなんか…もうチョイ物質的で多少チープめなSFにも見えますよね。  ただ、そーいう作品としては中々細部まで好く出来てたのではないでしょーかね。肝心なトコロが抽象的、とは言ったものの、映画の入りは結構フツーのSFに見えなくもなくて、ただそこから続いてゆくひたすら緩慢なテンポや、起承転結がイマイチ感じられないただただ不穏な展開運びが次第次第にどこか寒々しくて血の通った感じのしない異様な空気をつくり上げてゆき、ラスト、灯台付近で映像的にも異世界感を一気に炸裂させてどこか違う次元へと連れ去られる様な、とゆーのが実に爽快だったですよ。そのラスト付近の映像表現もかなりユニークで「美しい」モノだったりで、その面でのお得感もかなり高度でしたし。  確かにオーラスの「瞳」の描写はちょっとよく分かりませんでしたが(個人的には蛇足に見えます)、総合的にはかなり楽しんで観ることができました。ナタリー・ポートマンの品格も(ある種ちょっと「お高く留まった」本作には)非常に効果的だったと思いますね。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-09-19 23:09:18)
175.  オテロ 《ネタバレ》 
ゼフィレッリの『トラヴィアータ/椿姫(1982)』が今まで観た『椿姫』の公演映像全体の中でも実は最上位くらいに好きなのですが、ゼフィレッリは翌年にも再びプラシド・ドミンゴとテレサ・ストラータスを起用して『カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師』のオペラ映画を撮影しており、更に1986年に本作をまたもやドミンゴ主演で撮っている、というコトのようです。これはもはや、ドミンゴありきの題材選定というコトなのでしょう。しかし、流石に20世紀最高のオテロ歌いとも称されたドミンゴの出来自体は本作でも正に圧巻で、随所でエゲツない迫力を見せつけています(演技・演唱ともに)。加えて本作、その他キャストの出来も申し分無いですね。デズデーモナを演じるカティア・リッチャレリは歌唱も素晴らしいですが、映画女優にも引けを取らない品の在る美貌もオペラ映画としてのクオリティ向上に大いに貢献していると思いますし、本作でむしろオテロ以上に重要なキャラであるイアーゴを演じるフィスティノ・ディアスも、特にその狡猾で陰険な雰囲気・キャラづくりが実に的確でした。衣装等の美術面は流石のゼフィレッリ・クオリティでその面の出来も上々です。オペラ映画としては間違いの無い高品質かと。
[DVD(字幕)] 8点(2021-09-19 12:42:33)
176.  蝶々夫人 《ネタバレ》 
良い作品を紹介していただきました。私は世界文化社『DVD決定盤 オペラ名作鑑賞』シリーズの第8巻に同梱されたDVDにて今作鑑賞いたしました(世界初のDVD化だよ!と謳ってますですね)。ちょっと希少価値が付いていて中古価格も安くないですが、興味がある方は是非。  『蝶々夫人』で言うと、個人的にはMET06-07シーズン初演のアンソニー・ミンゲラのプロダクションは衝撃でしたね。正に文化・芸術の極致とでも言いますか、極めて高度な諸芸術・諸文化の「融合」というものを目にした、という感覚がありました。が、そのプロダクションにおいても、多分に含まれる「日本文化」的要素については多少派手さ(or舞台上の分かり易さ)等を重視したものか「純」和風とも言い難い様相ではあって(それ自体は国際的文化芸術的な「進化・前進」とも言えるものなのかも知れませんが)、例えば日本国内で上演される場合だとその部分ももう少し日本文化の実際に則したものとして表現している、という感覚があるのも確かです。今作が製作された時代ですとそれは更に顕著だったというコトのよーで、そういった「誤った」日本文化の理解をある面で正すことが、そもそも本作の製作意図であったというコトらしいのですね。  なので本作、撮影はイタリア・チネチッタで行ったということの様なのですが、衣装や調度はもちろん八千草薫さんはじめとする日本人キャストも大勢で現地に乗り込み、更には使用したセットも全て日本から輸送した、という凝り様だったそうです。その甲斐あってか、美術面や日本人キャストの雰囲気などは我々日本人が観ても全く違和感の無いレベルに仕上げられており、その点の「目的」というものは見事に達せられていると思いました。また、映画冒頭にオペラには無い「茶屋」のシーンが挿入されているのですが、こちらもセット・雰囲気や出てくる芸妓の振る舞い等は同様に細部まで好く再現されており、この点でも日本文化の紹介という観点での価値が更につくり込まれていると言えるのではないかと感じました。  もうひとつ、これは八千草さんも今作についてのエッセイで書いておられますが、今作はリップシンク(口パク)がホントに完璧に近くて、その意味でも違和感が無いのが非常に素晴らしいですね。オペラに精通していた訳でもなくイタリア語も当然分からないので非常に苦労されたとのコトですが、その意味でも細部まで丁寧につくられた(そして成果を見事に上げている)作品だと思います。今作が一般的な流通に乗っていないのは実に残念に思われます。今後ぜひ多くの人に観ていただきたい作品ですね。
[DVD(字幕)] 8点(2021-09-18 23:52:09)
177.  ハニーボーイ 《ネタバレ》 
シャイア・ラブーフの自伝的作品で、脚本を本人が書き上げ、かつキーマンとなる主人公の「父親」を自身が演じている、というアイデア。これが中々に…  一緒に居るとお互いダメになってしまう二人、とゆーのはまま存在するもんかと思うけれど、互いの互いに対するアンビヴァレントな感情の縺れ、或いは依存関係の歪み、だとかいった「理由」の側面はともかく、本作ではその二人とゆーのが(よくある恋人同士ではなくて)親子、とゆーのは少々物珍しく、かつ事態はより深刻な様にも思われる。ただ、本作のその部分のリアリティはやはりとゆーか相当に高度で、この話があくまで実話に誠実なものだとゆーのにも容易に納得は出来るのだし、そしてこの二人が互いを傷つけ合う様にしか生きられないのだ、ということ(状況或いは人間性そのものについて)にも、やはり大いに納得はゆくのである。実に切なく、そして哀しい親子の物語(ラブストーリー)だと感じましたね。  また、その親子ふたりをつくり出す演技は率直にかなり素晴らしかったと思いますが、特に父親役のシャイア・ラブーフのそれはある部分で演技の域を超えているとゆーか、非常に強力なメッセージ(それは本当は我々に向けたモノでもないのかも知れませんが)を感じるとゆーか、とても好印象だったのですね。前述どおりのそのアンビヴァレントさと、父親の方を演じていながらもソコに「息子」である自分の真実の感情を含ませた(のではないか)というコトも含めて、非常に多面的・多層的でテクニカル、かつ実に「熱い」素晴らしい仕事だと思いました。  そして、あくまで本作で描かれた時間軸においては、彼らの間にはそれでも確かに愛というものもまた存在していた様に見える、その部分は率直にとても美しい映画でもあったと思います(美しくないモノの中に本当に美しいモノが際立っている様な映画、でもあるかと)。彼らのその後は(おそらく敢えて)描かれておらず、そもそも彼らの物語はまだ終わっている訳でもないのだろうとも思うと、その物語の終着がまた美しいモノであることを願って止まない、という温かい共感に包まれる様なエンドロールの余韻も、中々に優れたものであったなあ、と思います(演出もソッチの方に寄せてたよーに思われますし)。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-09-16 00:39:14)
178.  長い灰色の線 《ネタバレ》 
好きな映画ですね。市井の一個人の人生の物語ですが、それがこんなにも波瀾万丈であるとは!もちろんそれは、彼が生涯を過ごしたのがウエストポイントという戦争にごく「近い」場所だったことも大いに関連しているのでしょうが、幸福も不幸も、出会いも別れも、人生の全てがこの映画には描き込まれている様に思います。ラスト付近の諸々の演出、そして感涙に咽ぶタイロン・パワーの姿には、かなりグッとくるものがありましたですね。長尺ですが、是非観ていただきたい一作です。
[DVD(字幕)] 8点(2021-09-08 17:06:14)
179.  北辰斜にさすところ 《ネタバレ》 
私は「いちおう」昭和の生まれ、位の年代なのですが、通ってた高校つーのがですね…まあクソ田舎の公立で、無駄に「伝統」に思い入れ(思い込み)があるという鼻持ちならないナンチャッテ進?学校だったのですケド、また変なトコロが古臭い(それこそ「伝統」的)つーか、そこら辺の大学張りにカッチリした援団(応援団)つーのが今だに組織されてたのですね。彼らは冬でも素足に下駄で生活してるという様な連中でして、コレがいわゆる「バンカラ」というヤツですな(もはや死語かも知れません)。そんな高校で素直に育った私は、またそこの教師の口車に乗せられて大学もいわゆるソッチ系のトコ(旧制第○高等学校みたいなヤツ)に行ったもんで、入学してみたら正に高校ン時と同じよーな援団ちゅうのがソコにもチャンと待ち構えて居りましたのですよ(頭のイカレ具合は流石に大学の連中の方が格段にレベルが上でしたケドも)。  でも、私はそーいうのがワリと結構嫌いじゃなかったのですね。そもそもお分かりかとも思いますが(どちらかと言えば)確実に「守旧派」という様な性向の方に与する人間でありますのでね。それに加えて昔は古い小説とかも好んで読んでましたし、ついでに『魁!!男塾』とかも散々読んでましたし、大学でも所謂「体育会」系の運動部にも属してましたし(援団から見りゃお仲間な)、ソコじゃあ今でもOBが集まりゃそれこそホントに「寮歌」なんてのを全員で酔っ払って高歌放吟してたりするのですよ。あのですね、いわゆる寮歌つーのは歌詞からして時代錯誤もいいトコロの相っ当にアレな!というヤツだったりするのですから、よく考えるとそーいうのって結構異様な光景だとも(今は)思います。本作でも終盤、記念試合の前夜祭が正にそんな光景でありまして、ソコは逆にある意味非常に懐かしく思いましたですね。    『北辰斜に』とゆーのは旧制第七高等学校造士館(現・鹿児島大学)の寮歌だそうで、私のトコのソレもそーですが基本的にはコレも七高健児のいわゆる「気概」を唄ったものですな。それは今やもう完全に消えてなくなった様なある種のエリート意識とゆーか、(今作が描かんとする青春の時代であれば完全に)自ら「国家」の礎たらんとする様な共同体に於ける目的意識を唄い込んでいるものかと思います。別に今作はそこまでそーいった価値観を見せつけてor押し付けてくる様な作品では決してなくて、あくまで戦中に青春を過ごした方々(そしてその幾ばくかは国家に殉じて散っていった方々)の青春映画、ではあるのですが、ただそーは言ってもどーしたって非常な懐古主義(それも前述どおりのある種のエリート意識を多分に含まざるを得ない様な)に支配された作品なのも確かであり、やはり「今どき誰が観るんだよ!」という類いの作品なのも間違いないとも思います。それに私自身(ですら)、コレも今どきこういった「寮歌」に唄われる様な「気概」とゆーのをキョウビの若者が持ち得る(或いは持ち得るべき)とは、もはや全く考えていません(つーかそんなモン無理に決まってんじゃねーですか)。そしてそれこそソレとゆーのは人によっては若干眉を顰めるよーな類いの価値観であるのも、全くもってそーなのだろうとも重々承知・納得しているのですし。  でも、そーであっても尚、私自身は今作で何故にこんなに泣けるんだろうというホドの感動と、そして実に爽やかなノスタルジックを感じ取ることが出来ました。正直、それが何故なのかは自分でも好く分かりませんですね。重ねて、私自身が(自分で考えているよりも一層)「古い」人間なのだ、というコトだとも思うのです。ただ同時に、私はこの映画自体にもそれでも何某かの普遍的価値、それこそ「気概」とでも言うべきモノが描き込まれていたのだと信じたい。そしてそーいうモノをこのような作品として形に残していただけたことには、僭越ながら深い感謝を捧げたい、とも思うのですね。
[DVD(邦画)] 8点(2021-09-05 00:52:22)
180.  天使のはらわた 赤い教室 《ネタバレ》 
これもポルノの側面よりもお話の内容の方を重視した系統のロマンポルノかと思うが、それでいてポルノシーンにも(お話上の)「意味」までが込められているという点において、内容とポルノが見事に両立・統合されている優れた作品だとまずもって感じる(ポルノ面については、実際に「抜ける」かどーかはまた別にしても)。まあ原作が優秀なのでしょうね。  ポルノ的には、中盤に挿入される主人公・名美と行きずりの男とのネットリした長尺の絡みの辺りが最大の見せ場かと思うが、この場面で女が抱く感情は情欲と言うよりはむしろ怨念にも似た執念であるかとも思う。その感情を表現する演技とゆーのが意外にも中々に秀逸だったです(ハッキリ言ってスゴく怖い)。ココは完全に観入ってしまいましたね。オーラスの輪姦される少女を眺める名美の表情も好かったです。今作は彼女の一世一代の名演、というヤツかも知れませんね。  もう一人、蟹江敬三も実に好かったすね~決して長大な作品でもないですけど、絶大な存在感、そしてその裏付けとなるキャラの「深み」とゆーのがこちらでもひしひしと感じられました。相変わらずイイ仕事してますね~(見た目も男臭くて実にシブいし)。これは傑作。
[インターネット(邦画)] 8点(2021-08-21 01:05:04)
040.25%
1120.74%
2191.17%
3905.52%
420412.52%
528417.42%
637923.25%
732519.94%
823614.48%
9704.29%
1070.43%

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