1861. 運動靴と赤い金魚
《ネタバレ》 もう、あの妹ちゃんが反則なわけです。可愛いだけじゃなくて、ちょっとした視線や表情で、微妙な心理をきちんと表現している。止まった演技も走る演技も両方できる。あの兄貴ならずとも、この子のためなら何としても靴を手に入れてやるってなもんです。レースの最後、呼吸音の重なりだけで場面を進めるという技も凄い。実際、走っているときはああいう感じです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-07-06 03:02:32) |
1862. 炎の人ゴッホ
これだけの歴史上の超有名人ともなれば、かえって脚本も芝居も難しかったんじゃないかと思いますが・・・はたしてやっぱり、全体的にはエピソードを継いだだけの「忠実な再現」を超えるものではありませんでした。つまり、ゴッホの芸術性がどこでどのように構築されて、そしてどうやって具現化されていったのかという肝心な部分が、まったく突っ込まれていないのです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-07-06 02:09:06) |
1863. グレート・ビューティー/追憶のローマ
初老のオッサンの妄想的回想(回想的妄想?)に140分延々とつき合わされるという、困った作品でした。主観が前面に立つ内容だからこそ、前後の脈絡は必要なのであり、そうでなければ、単に思いつきのシーンをつなげただけになってしまいます。 [DVD(字幕)] 3点(2017-07-03 01:51:08) |
1864. サイレント・ランニング
《ネタバレ》 70's前半ならではの暴走感。工学美術関係については、ほかとの脈絡など考えずに「とりあえず作りたいものを全部作りました」的な熱さを感じるし、一方で背景の説明なんかはほとんどばっさりカット。その状態で、物語はひたすら必然的な結末に向けて一直線で進んでいきます。だからこそ、突然叙情的な最後の取り残されたロボットのシーンが効いてきます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-07-02 22:14:15)(良:1票) |
1865. コラテラル
《ネタバレ》 導入部から中盤過ぎくらいまでが、とにかく冗長で散漫で・・・せっかくの「一夜」の設定なんだから、もっとテンポよく進んでほしいところでした。運転手が突然切れまくって赤信号も無視し殺し屋の方が焦るくだりには辛うじてドラマがありましたが、そのようなシーンはごく一部でした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-07-01 01:20:08) |
1866. ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン
《ネタバレ》 とにかく、登場人物の全員がおつむの程度が低すぎて。何で問題が起こるのかもまったく分かりませんし、何で解決できたのかもまったく分かりません。もちろん、笑わせようとしている場面でも、まったく笑えません。最後のウィルソン・フィリップス本物登場はなかなか価値がありますが、ワンコーラスで映らなくなってしまったため、意味半減。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2017-06-26 01:10:24) |
1867. 草原の輝き(1961)
《ネタバレ》 主人公の2人が、延々とうじうじ悩んでいるばかりで、かといって前提としての抑圧がきちんと描かれているわけでもない(台詞でいろいろ言われているだけ)なので、見ていていらっとしてきます。しかも結局、それを自ら乗り越えているわけでもないので、成長や変化もないということになります。むしろ、姉とかクラスメートの彼女とかの方が、登場人物としては魅力的でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-06-24 23:55:59) |
1868. ブリッジ・オブ・スパイ
カメラ、照明、美術なんかは、もうまさに安定のスピルバーグで、画面の構成を見ているだけで140分がまったく退屈しない。加えて、そこに存在するだけで場の空気感まで変えてしまうマーク・ライランスの名演も見事(後半ほとんど登場しないのが残念ですが、話の構造上仕方ないか)。なんだけどそれでもなぜか食い足りない印象が残ってしまうのは、高水準の、そして手際の良い再現ではあっても、その中で登場人物があまり動いてないというか、呼吸してないんです。演出側の計算は全部反映しているんだけど、その計算の範囲からまったく外れていないというか・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-06-23 01:47:54) |
1869. グッド・ライ いちばん優しい嘘
《ネタバレ》 それぞれのシーンは意外にあっさり風味というか、そんなに引っ張らずに次に行っているのだが、それでも、前半の逃亡とキャンプのパートは、あまりにも重い。だからこそ、後半は、少なくとも映画では見慣れたはずの光景の一つ一つが、むしろ見る側にとっても違和感を生じさせる効果を発揮している。最後の着地は、タイトルとの関連性もだけど、ケニアとアメリカの両方を知っている主人公が、その経験を主体的に能動的に生かしていく、というところに意味があるんだろうな。 [DVD(字幕)] 6点(2017-06-22 00:49:31) |
1870. 80日間世界一周
《ネタバレ》 まあ、しかし、長かった。やってることは単なる観光地珍道中で、何か意表を突いたことをしているわけではなく、「頑張って現地の様子を実写化しました」という以上のものは何もない。ただ、ラストのところでは思わずそれまでの各地を回想して「おつかれさん」という気になってしまったのと、エンドクレジットのこだわりぶりが面白かったので、+1点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-06-21 01:03:56) |
1871. オブリビオン(2013)
何というか、単に、頑張って作った映像関係の数々を順に並べただけとしか思えませんでした。登場人物が、何を考え、何に基づいて行動しているのかという要素がことごとくすっ飛ばされているので、途中で世界が反転しても、落差もカタルシスもありません。ポイントとなるべき各シーンも、すでに指摘されているとおり、先行有名作からの引き写しが丸わかりだからなあ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-06-20 00:56:41) |
1872. コンテイジョン
《ネタバレ》 途中までは、一人一人の存在感が妙に希薄だし、死者続出の割には絶望感も終末感も漂っておらず全体が作り物っぽいなあと思いながら見ていたのです。しかし、見終わった後に印象を強烈にしているのは、コティヤール・パルトロウ・ウィンスレットというオスカー3女優ですらもさっさと出番を切り捨てる容赦なさ。比較的出番の多いデイモンやフィッシュバーンやジュード・ロウも、活躍らしい活躍は何もせず、うろうろしているだけ。一番地味っぽいジェニファー・イーリーが、ごくさりげなくワクチンを開発しているという結果の、妙な生々しさ。そして、最後に皮肉に満ちた「1日目」をさらりと持ってくる着地、その前のカメラのくだりとのつながりのセンス。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-06-19 02:27:39)(良:1票) |
1873. ロビンフッドの冒険
《ネタバレ》 まさに正統派冒険活劇。正義の味方が庶民を助け、敵の悪企みを阻止して、最後はお姫様を救出してハッピーエンド。ひねりは何もありませんが、こういうのはそれでいいのです。これだけやっておいて、セットやロケが必ずしもチャチくないのもちょっとびっくり。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-06-18 02:55:56) |
1874. ミッション:8ミニッツ
《ネタバレ》 「リプレイ」的世界観に立ちながら、8分間という短いサイクルと人工プログラムという背景設定によって、見事に換骨奪胎して新たな創造を提示した佳作。列車内の主人公が実体を伴っていないことは鏡のシーンで早くも明示されるし、現実の主人公も同様であることも前半で明示される。つまり、全体を通じて、主人公には、脳による意志の力しか存在していない。この作品が優れているのは、その意志の力を強く讃美し、その一点ですべてを覆せる(テロもそうだし、プログラムもそうだし、主人公の人生もそう)という希望を与えていること。8分間の設定もテロ阻止の目的も、そのメッセージに至るまでの手法にすぎない。だから、この作品は、単なるサスペンスやSFの枠を超えて、見る側の心に到達するものになっている。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-06-18 00:24:09)(良:1票) |
1875. 捜索者
《ネタバレ》 先住民がほとんど人間扱いされていないのは、まあ半世紀以上前のこととして・・・それよりも一番気になったのは、数年がかりで追跡を行っている風でありながら、時の経過がまったく表現されていないこと。それと、「物心つく前に拉致され、先住民部族の中で育った」ことの重みもまた表現されていないこと(再会のシーンで英語であっさり会話している時点で違和感がある)。唯一インパクトを感じたのは、ウェディングドレスのヴェラ・マイルズが階段を降りてくるシーン(その後はグダグダでしたが)。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-06-15 00:54:26) |
1876. 男性の好きなスポーツ
《ネタバレ》 釣りをしたこともない男が釣りの本を書いたらベストセラーになってしまい、しかもその中で釣りの大会に出ないといけなくなってしまった・・・というたった1つのネタで延々と引っ張りながら、押しと引きの呼吸、絶妙なボケとオチの挿入によって、しっかり一本のテンションを維持しているという、完成度の高いコメディ作品。しかしその中で、当初は「はたして大会の結果はどうなるのか?」が見る側の心配事だったのが、いつの間にかラブロマンスのドキドキ感に変容しているという展開の巧みさも見逃せない。女性側の設定を、ヒロインと秘書的女性(こちらも美人)の2人にしたのも正解。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-06-14 00:55:53) |
1877. 壮烈第七騎兵隊
《ネタバレ》 まさにカスター将軍の人格識見を讃え、一方で導入部分ではアホな部分も描いて親しみも持たせるという、周到な将軍万歳映画なのですが、そんな作品が堂々と作れたのも、この時代ならではだったんだろうなあ。ただ、宿敵シャープと酒を酌み交わして突然和解したかと思わせて実は・・・とか、決めるべきところがきちんと決まっている部分もあったりするので油断ならない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-06-14 00:42:25) |
1878. アイガー北壁
《ネタバレ》 途中からはひたすら壁・壁・壁の世界で、見ているだけでめまいがしそうなほど映像としては強烈です。この撮り方の誠実性が、作品の存在意義を大きく支えています。一方、背景の人物描写なんかは割と簡素というかむしろぶっきらぼうなくらい素っ気ないのですが、そんな中でも、過酷な北壁と優雅なホテル内(そして途中からどんどんいなくなるギャラリー)の対比など、静かなメッセージも力強く伝わってきます。 [DVD(字幕)] 7点(2017-06-13 02:09:19) |
1879. レッド・ムーン
《ネタバレ》 敵がまったく姿を現さず、伝聞と痕跡だけでその強力ぶりを表すという手法にまずびっくり。ただこの敵、途中までは容赦ない殺戮を繰り返している(はずである)のに、主人公とその周辺に対しては、異様に詰めが甘いというか、遠慮深いというか、一度は家の中まで突入していながら中途半端に撤収、その後もやたら遠くから狙ってきているだけ、主人公が深追いして家がノーガードになっていても、その隙を突くわけでもない、と、途中からは強いのかどうなのかよく分からないのです。なおそれよりも、一番スリリングだったのは、女性と少年が初めて主人公宅に来た日の夜であり、このぎこちなさと心理の衝突の危うさ、ほとんど喋らない母子の描写によってそれまでどういう待遇を受けていたのかを際立たせる演出の手口など、見事なほどに緊張感が冴えわたっています。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-06-13 01:54:14) |
1880. ハッピーエンドが書けるまで
《ネタバレ》 何かこう、さらっと薄味すぎるんですよね。息子とその彼女のドラッグどうこうというのは、掘り下げたらもっと面白く展開できたんだろうけど、入口で「大麻はOK」みたいに言われちゃってるもんだから、その後の障壁や葛藤が少ない(結果、パーティー途中での彼女の失踪というせっかくのシーンも、逆に唐突になっている)。娘とその彼氏の方も、娘はちょっと特殊な性格設定っぽい雰囲気を漂わせていながら、特に何も起こらない。2冊目の本とかいうネタを提供しているんだったら、その内容から膨らませられなかったのかな?キニアとコネリーの夫婦関係は、地道に待ち続けた末の元サヤというのが逆に新鮮だったので、むしろここを全面的に軸にしてほしいところでした。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2017-06-12 00:31:29) |