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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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1861.  集団奉行所破り
東映の一連の“集団抗争時代劇”が、時代劇の歴史における異色作であるならば、本作はさらにその集団抗争モノの中の異色作とでも言えるでしょうか。虚無感や悲愴感より、ユーモアがまずは表に出ています。ここでの“集団”とは、ほとんどゴロツキのような連中、その彼らの大阪弁での軽妙な会話というか、逆にディープ過ぎる会話というべきか、がテンコ盛りで、要するにユーモラスであると同時になんともコッテリした、関西人以外のヒトが観れば胸焼けしそうな世界です。開高健の「日本三文オペラ」みたいなエネルギーあふれまくりの世界。小難しい顔した大友柳太朗演じる浪人も、軽妙な彼らの中に混じるとむしろ、これまたユーモラスな存在ともなるんですけれども、映画はただただ明るい色調なだけではなく、登場人物たちそれぞれの「訳あり」なところが、時に映画に暗い影を落としたりもします。彼らが目指すは、よりにもよって、奉行所への押し込み強盗。究極のアナーキズム。そしてクライマックスの死闘へなだれ込むと、やはり悲愴感・虚無感が表れてくるのですが、それをひたすらあおり立てるのではなく、BGMなどに感傷的な要素を入れているのも、見逃せない本作の特徴。登場人物誰もが、活き活きとして素晴らしい。一見冷酷ながら二面性を備えた役どころの佐藤慶が素晴らしい。そして誰よりも、シナシナとシナを作りつついかにも訳アリ感に満ち満ちた、桜町弘子が素晴らしいです。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-08-31 10:54:04)
1862.  現代やくざ 人斬り与太
『仁義なき戦い』前夜、とも言うべき作品。文字通りの「仁義なき」生き様、アナーキーな愚連隊の姿を、エネルギーあふれる深作演出で暴力的に描き切ってます。しかしまた、大きな組織の狭間で、彼らに向こうを張ろうとして目一杯背伸びをし、敗れ去って蹂躙されていく主人公の姿が、なにやら先の大戦で敗戦した日本の姿そのままのようにも見えてきて、なかなかに切ないものがありますな。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-08-25 08:53:57)
1863.  今そこにある危機
公開当時、姉が「しょうもない。映画館で寝てしまったのは初めてや」と大変立腹していた作品です。だとすればさぞかし傑作なのだろうと(笑)、後に私も観て、やっぱり眠くなった……ということはなくて、面白かったです、ハイ。監督・主演がなかなか固定されないジャック・ライアンシリーズの中で、今作は前作から続くP・ノイスとH・フォードのコンビ。ハン・ソロとダースベイダーとの会話も楽しめるキャスティングになってます。さて、このシリーズ、殆ど読んでないので(唯一読んだのがよりによって「日米開戦」というのが…)、何が売りなのかよくわかっておらず、「その時々のハイテクを駆使した作戦を描く軍事ウンチク作品」なんだろう、と勝手に解釈して、別名“今そこにある機器”シリーズだと思っていたのですが。この解釈でよろしいでしょうか。それはともかく、本作、前半はアクションが断片的で確かにサスペンスが続かない、あくまで「遠くの出来事」といった感じ。それが、後半、ライアン自身が「危機」の中に身をおくようになると、アクションもまたサスペンスを伴う執拗なものへとなっていく。そしてまた、あくまで事件は遠い外国で起こっている、麻薬組織との局地的な戦いであって、現地の「危機」は、国内にまでは全く及んでいないのだけど、その一方で、現地の「理不尽さ」は国内に根深く存在する「理不尽さ」と強く結び付いていて、それが同時進行的に描かれる。そりゃ、盛り上がろうともいうもの。前半で寝てちゃ、損しますよ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-25 08:27:05)
1864.  危険がいっぱい
これはどういうオハナシかというと、「日頃の不真面目さがたたり、ついに和尚さんにお寺を追放されてしまった小坊主さん、山中で道に迷い、たまたま見つけた一軒屋に泊めてもらうことに。しかしその一軒屋で暮らすお婆さんの正体は、鬼婆で……」という、アレですね。だいぶ違うけど、まあ、そういうことでしょう。ただし3枚のおフダは出てきません、代わりに気の利いたオチが待っています。アラン・ドロン演じる主人公、ギャングに追われ、逃げのびた先で、とあるマダムの運転手として雇われる。しかし、マダムの家には、秘密があった。という訳で、マジックミラー越しのやり取りなどのミステリアスな道具立てや、ときにはユーモアなども織り交ぜながら、自由きままだった主人公が、身動きが取れなくなっていく様を描いていて、大いに楽しめる作品ながら、毒のきいたオチには、ため息も出てしまいます。ラロ・シフリンのいかにも彼らしい音楽も、秀逸。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-18 16:38:55)
1865.  ケオマ・ザ・リベンジャー
独特の詩情あふれるマカロニウェスタン。いや詩情というより、“なんちゃってポエム”なところのある作品で、ちょっとモヤモヤしています(ムヤミに挿入される回想シーンとか)。フランコ・ネロ演じる主人公ケオマ、長髪にボサボサのヒゲ、見るからにヒッピー。正直、キタナイ。マカロニにありがちな、主人公へ問いかけるような(あるいは主人公にツッコミを入れるような)ナレーション代わりの主題歌が頻繁に挿入されるけど、これまた、歌ってるのが「中島みゆき」としか思えない瞬間が多々ある。そうなりゃもう、“なんちゃってポエム”というより、“なんちゃってニューシネマ”とも呼びたくなります。という本作。伝染病の蔓延により隔離された、とある町。主人公ケオマが、とある女性を助けたことから、町を支配する連中との戦いが始まる。始まると言っても、ポエム入ってて、なかなか盛り上がらない。なんだこの凡作は、と観ててちょっとイライラしてきた頃、本作は突如、本領を発揮します。ランボーよろしく、銃弾のベルトを両肩にかけたケオマが仁王立ち(ランボーというより、『赤ちゃん泥棒』のあのボロボロ男みたいですが)。わずかな味方とともに、大勢の敵を相手に一大銃撃戦を展開。いや~なかなかやりますね。でこれがクライマックスと思いきや、さにあらず。その後ああなってこうなるのですが、皆さんの目でお確かめ下さい……。しっかし、ボサボサのケオマが車輪にハリツケにされている場面をみると、「ああ、イエス・キリストをモチーフにした設定だったのか」と。だもんで、あの「兄」たちも、「3人」でなければいけなかったのか、と。いや、そんな納得の仕方ではまったく納得のいかない作品なので(笑)、あまりこだわらないことにいたしましょう。ラストの強引すぎるセリフも、納得はいきませんが(笑)、名言です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-08-18 15:56:29)
1866.  仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦
ヤケクソもここに極まれり。お祭りです。仮面ライダーと戦隊モノをぜーんぶ出しちゃえ、という企画案に対し、「解無し」という立派な解答を提示してくれた、製作陣の並々ならぬ努力に拍手。まず、半年少々しか放送されなかった仮面ライダーディケイド、コヤツが「歴代仮面ライダー」ありきの、非常にメタな性質をもった面倒なキャラ(その分、企画としては使い道が多い)。で、あの悪名高い(?)『オールライダー対大ショッカー』という映画が作られちゃうのだけど(アリンコみたいにライダーがうじゃうじゃ出てきても、なあ)。で、さらなる上を、安直に目指してしまうと、本作『仮面ライダー×スーパー戦隊』となっちゃう訳ですな。お誂え向きなことには、戦隊側にも『ゴーカイジャー』という面倒な企画が通っていて、コヤツらは過去の戦隊モノに色々変身できちゃう、明らかに“お兄ちゃんの世代”さらには“親の世代”へのご機嫌取りみたいなキャラなのですな(余談ですが、タイムレンジャーの最終回で、過去の戦隊を詳細に解説してくれていてなかなか面白かったと記憶しています。我々へのご機嫌取りは、アレで充分です)。お膳立ては揃った、あとはライダーと戦隊をテンコ盛り登場させるだけ! ライダーと戦隊が抗争を繰り広げる! 「次の獲物は?」「天装戦隊ゴセイジャーだ!」という訳で、どこかのド田舎でゴセイジャーが襲撃されている光景を観ると、スーパー戦隊というより、町興しの為のご当地戦隊にしか見えないのがトホホ(要するにコレって、テレビ放送が終わったヒーローたちは、日本各地でひっそりと余生を送っている、という設定なんですよね?? 違う??)。さてこの戦いの行方は、いかに。いかにってったって、最後は皆で手を組んで悪と戦うに決まっているのですが、ここでもアリンコみたいにうじゃうじゃヒーローを登場させるのは結構ですが、「実際に無数のヒーローが画面に収められているシーン」というのが意外に少なくて、背景の寂しい手抜きのような戦闘シーンになってしまっているのが、アカンでしょ。基本的にこういう“特撮ヒーローもの”というジャンルは、カット割りで見せることを身上とした楽しい作品であって、嫌いではないのですけどね。ちょっとお祭りバカ騒ぎが過ぎましたね。
[DVD(邦画)] 3点(2013-08-17 11:36:41)(良:2票)
1867.  バレッツ
いや素晴らしい。我々をシビレさせてくれる映画がまたここに一本。悪の道から足を洗い平和な生活を望む主人公を、突如銃弾の嵐が襲う。全身蜂の巣となった彼は、一命を取りとめるが、仲間が殺害されるに及んで、ついに彼は復讐を開始する……で、もしこの作品が、リアリティ重視で行くんだったら大怪我をおった主人公が後遺症で苦しんだり、リハビリに励んだりする場面を脚本にたっぷり盛り込んでシタリ顔をするところなんでしょうけれど、本作はそういう枝葉末節にはこだわらない、なぜなら、雰囲気を描く映画だから。主人公は冷静に宣戦布告をし、着々と復讐を進める。そのシブさといったら、もうタマランのですね。その過程では、重要な登場人物である主人公の子供たちとの関係の描写すらも、グッと抑えちゃう。心配ご無用、映画の最後で家族愛はしっかり描かれるから。この作品は、主人公が過去を清算する物語。それなりの過去を持つ人間は、それなりの清算が無ければ、ささやかな平穏すらも得ることはできない。その姿を、その雰囲気をじっくり描けば、映画は映画になるのです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-17 10:54:16)
1868.  拳銃無頼帖 流れ者の群れ 《ネタバレ》 
抗争の末、壊滅状態となった丸千組。麻島(アキラです)をはじめとする生き残り3人組に、追手が迫る。その追手というのが、これまた愉快な3人組①暗闇の銀次郎(錠です。暗闇でも百発百中の切れ者)、②青大将、③金メダル。名前の由来は①以外はよくわかりませんが、観ればなるほど、そんな通称で通ってそうな気がしてきます。丸千組の3人は、アキラはもちろんクールでニヒルでダンディ、言う事なしですが(笑)、あとの二人はどうも緊張感がない。それに比べると追手の3人組の、見事にキャラ立ちしていることといったら……いや、それほどでもないですね。まず③金メダルの泣きが入り、②青大将も冷酷になり切れず、肝心の①宍戸錠にいたっては、したり顔でゴタクを並べまくった挙句、ラストでは麻島側にちゃっかり寝返ってしまう。まるで、続編にも登場してやるぜ、と言わんばかり(多分、続編は作られなかったと思うのですが)。これだけナイスな敵役あるいはライバルのキャラクターを登場させておきながら、映画の最後までそのナイスさをまったく維持できないとは、いったいどういう了見なんでござんしょ。それを除けば、実にスバラシい作品だと思うんですけどね。「それを除くと」というすなわち、アキラ演じる麻島の兄貴の魅力に尽きる訳ですが。クールでニヒルでダンディ(しつこいってか)。単細胞の子分ふたりを巧みにいなすだけではなく、我々の目も巧みにかわし、なぜか本当になぜなのか、突然、板前と化してしまう麻島の兄貴。訳わからんけど、イナセでカッコイイから、OKなのです。アキラの魅力爆発、それに比べると、宍戸錠、ホントになんとかならんのかい。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-08-16 19:38:22)
1869.  宮本武蔵 二刀流開眼
宮本武蔵5部作の中で、ドハデな決闘を描く第2作と、破天荒過ぎる戦争映画のような決闘を描く第4作に挟まれ、繋ぎのような、はたまたちょいと地味な緩徐楽章のような、この第3作。サブタイトルの“二刀流開眼”がじっくり描かれる訳でもなし。しかし、前2作からの因縁をここに纏め上げ、続く2作へと期待を盛り上げる意味で、この第3作が一番、シビレる作品と言えるかも知れません。いや、実際、本作を観ていると、最終作では小次郎とではなくオババとこそ因縁の対決をして欲しくなっちゃう(笑)。いや、健さん小次郎の高笑いも勿論悪くないですよ。非人間的ですらある剣豪・小次郎と、剣豪になるには人間的すぎる武蔵。そして剣豪として担ぎあげられてしまった悲劇を背負う吉岡清十郎。はたまた、彼らに翻弄されてしまった女たち。実にシビれる、5部作の中でも特に欠くことのできない作品だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-08-15 20:59:38)(良:1票)
1870.  アイアン・スカイ
正直、ノリのあまりよろしくない映画ではあります。それは低予算ゆえの面もあるだろうし、説教臭さゆえの部分もあるかと思います。ナチスを笑い飛ばす映画ではなく、ナチスを引き合いに出して「現在の世界も充分、ヒドくないですか」と露骨な風刺を展開してみせる。風刺が全面に出過ぎていて、ちょっと鼻には付きます。しかしその一方、我々はまた、実写版宇宙戦艦ヤマトを引き合いに出して、「こんなに頑張ってる映画もあるのよね」と、何か嫉妬に近いものを感じたりもするのです。実にスバラシイ戦闘シーンではありませんか。なお、宇宙戦艦“神々の黄昏(Goetterdaemmerung)”の名前はもちろんワーグナーの『ニーベルンクの指輪』を締めくくる作品の名前なんでしょうが、いきなり第3幕第2場と第3場の間奏曲“ジークフリートの葬送行進曲”で映画は始まります(アイポッドに『指輪』を突っ込んで来る日も来る日も聞き続けると、この葬送の場面、本当に感動するのです、「ああ、やっと終わる」と(笑))。で、登場する子供たちの名前も『指輪』にちなんだだったりする上、映画はしっかりちゃっかりと“神々の黄昏”たるヴァルハラ炎上のごときオチを迎える。という、えらく生真面目な作品なのでもありました。ってか、あの神々の黄昏号って、まさに『さらば宇宙戦艦ヤマト』で白色彗星帝国から出てきた巨大戦艦やね。いいなあ。
[DVD(字幕)] 7点(2013-08-15 20:28:14)(良:1票)
1871.  ラスト・ボーイスカウト
ブルース・ウィリスというヒト、役を選ばないのか働き者なのか、『ダイ・ハード』で大当たりをとって以降は休むことなく山ほど映画に出演しておりますが、『ダイ・ハード』を観ててもわかるように、このヒト、あまり真面目で必死な表情は似合って無くって、ダラダラヨレヨレした感じが非常に似合っております。まあ「そもそも」の出演作であるテレビドラマ『こちらブルームーン探偵社』での役柄が一番ピッタリだった気もする訳で。で、この『ラスト・ボーイスカウト』。『ダイ・ハード』後の彼は何か自分のハマリ役を探そうとするかのように様々な役に挑戦し(ているのかと思ってたら実際は無節操なだけだった)、そんな中で、この作品の役柄などは彼にピッタリな感じがするのですが。でも何か変。きっと「監督=トニー・スコット」ってのがマズイんでしょう。でもその変な感じがまた作品の特徴だったりもします。本作の主人公、昔はそれなりのキレ者だったらしいけど、今では酔いどれのしがない私立探偵。奥さんにも浮気されちゃったりして、どうしようもないヤサグレ感、ブルースウィリス感。またその一方で、殴り殴られ口から血反吐を吐く場面が繰り返される、タフでハードな描写。これぞまさに典型的なハードボイルドの世界ですな。夜の雰囲気も魅力的。と、イイ感じなのにそこはトニー・スコット。なぜか大味な展開になり、そもそもこのハードボイルドなはずの主人公が、まさか二丁拳銃ぶっぱなしまくるとは思わなんだ。後半の娘とのカラミももうハードボイルド形無しでむしろコメディ路線か、これは。ラストはもちろんスペクタクルに締めくくり、そりゃこんなイカした作品に出てりゃ、ブルース・ウィルスも迷走するわな、と。そしてそんな彼の自分探しの旅は、今なお続くのでありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-14 00:41:57)
1872.  次郎長富士
大映が贈る、オールスター娯楽超大作時代劇。いや実際、大映作品だか東映作品だかよくわからない出来栄えです(一応、褒めているつもりなのですが…)。日本の誇るゴッドファーザー・清水の次郎長親分と、次郎長一家の面々の活躍活躍大活躍を、これ以上詰め込みようのないくらいぎっしりと詰め込んだ細密充填構造、呆れる他に無いくらい楽しい作品です。どっしり構えた長谷川一夫の次郎長に、やんちゃぶりが乗りに乗ってる勝新石松。雷蔵の神妙な顔もあれば、仇役はタッキー黒駒、そしてその側近である好敵手・小岩には、帰ってきたウルトラマンの2代目隊長(すみません、あの特徴のある声を聞くと、伊吹隊長を思い出してしまうのです)。さあ、この映画を楽しまずして、何を楽しむというのか? え? 展開が早すぎてついていけない? 大丈夫大丈夫、ついていく必要はありません、どこからでも楽しめる映画です。ラストの富士をバックにした戦争映画のごとき闘争絵巻! 最高ですな。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-08-12 14:44:19)
1873.  白熱(1973)
弟を殺害された主人公が、悪徳保安官への復讐を誓い、刑務所を脱走……とくれば、何やら殺伐とした暴力映画を想像してしまうのですが、さにあらず。ノンビリした映画です。まあ、主役がバート・レイノルズですし、この主人公、あまり“復讐”に一生懸命という訳でもなく、ノンビリまったり、楽しそうにやってます。そもそも、酒密造の罪で服役していた主人公、弟の死を聞いて、刑期残り僅かなのに脱獄を試みる、そこまではカッコいいのだけど、アッサリ捕えられてしまう、というのがなかなかイジワルな脚本です。で、当局の捜査に協力することを条件に正式に保釈されるのだけれど、両親のもとに帰った主人公、更生したことを褒められるのかと思いきや、逆に「密造仲間を売るなんてとんでもない奴だ」と親からなじられる始末。筋金入りの密造一家なワケですな。これがどうにも可笑しい。可笑しいけれど、なるほど、この件に限らず、この映画には、多様な価値観が渦巻いているのですな。だから、一本気に見えた主人公も、ひたすら復讐に燃えてる訳じゃなくて、もっと活き活きとした存在として(復讐アクション映画の主人公としては頼りない存在かも知れないけれど)、すべてを楽しんでいる。そうは言っても、一応、保安官との対決となる訳だけれど、そしてまた、クレジットに「ハル・ニーダム」という名前がある以上、カーチェイスとなる訳だけれど、これといってクラッシュシーンもない、これまたノンビリしたカーチェイスが、のどかに展開されてゆきます。保安官との対決の結末、これがまた実にスバラしくて、爆笑してしまいました。
[DVD(字幕)] 7点(2013-08-12 14:10:13)
1874.  怒りの用心棒
ガーフィールド大統領暗殺事件を題材にしたマカロニ・ウェスタン、なのですが、題材となっている暗殺事件が、どう見てもコレ、ケネディ大統領暗殺事件やんか(製作のほんの数年前)、というのが売りの作品であります。そういう意味では、いまさらこんな中途ハンパな作品を観なくとも、『JFK』を観れば充分ではないのか、と言われそうですが、いやいやいや。こちらにはこちらの味わいが。何しろ、実に強烈なカメラワークです。「どう撮れば面白いか」を考えるのは大事なことですが、本作、考え過ぎてしまったのでしょうね(正直、横顔ドアップがいかにも暑苦しい)。で、内容はというと、前半は、ジュリアーノ・ジェンマ演じる主人公が、大統領を暗殺者の手から守ることができるか否かに眼目があるのですが、本作の場合、大統領が暗殺されなければオハナシにならないので、とりあえず暗殺されます。で、後半は敵の一味に闘いを挑む、ジェンマ、と来る。正義のためでもあるし、殺害された父の復讐でもあるし、大統領暗殺犯としてデッチ上げられた友人オズワルド(という名前じゃないけれど)の復讐でもある。そこにさらに、亡き大統領の側近の暗躍も絡んできたりして、大いに盛り上げたいところではあるのですが、これがイマイチ。主人公が妙チキリンなルールで決闘を挑むのが、マカロニらしいと言えばマカロニらしいのかも知れないけれど、どうも取ってつけたような感じ。やや社会派的なテーマの本作にそういう要素が合わないのかというと、決してそんな事は無いはずなんだけど、どうもテンポが悪いんですかねえ。ラストの対決も拍子抜けだしなあ。でもラストシーンは素晴らしい。意地を張っていた男たちが、あくまでそれぞれ自分の信じる道を歩いて行くんだけれど、一瞬、歩み寄る。うーむ。何が問題かわかった気がする。本作、ジェンマそもそもミスキャストなのではないだろうか(ひとりだけ不真面目な奴が混じってるように見えてしまうのです)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-08-07 00:10:25)
1875.  悪名一番勝負
田宮二郎がモメごと起こして出演できなくなりました~。というこの時点で、この『悪名』シリーズも終わってるのね。だから本作、すでに番外編っぽい印象、ついでに脚本・監督にマキノ雅弘が登場、これは我々への大きなプレゼント。田宮二郎の抜けた穴は、ちゃっかり甥の津川雅彦で補ってしまう。そんでもって、すでに殆ど寅さんと化していた本シリーズを、任侠モノ路線に引き戻し(ラストではドスを振り回す朝吉親分)、ついでに数多くの様々な途上人物の悲哀を盛り込んで、市井モノの一面も。しかし、前作までのまるでファミリー路線のようなホノボノした雰囲気を思うと、本作、急に密度の高いムツカシイお話になったわねえ、と(思えば寅さんシリーズってのは初期の一部を除き同一監督で撮り続けられ、あれはあれで実に幸せなシリーズだったよなあ、と)。本作、趣向が変わったのはいいけれど、朝吉親分の影がやや薄い(敵方の密談ばかりが描かれる印象アリ)のがちと残念。いや、それだけに、ひとり倒れふたり倒れた後についに朝吉親分が敵地へ乗り込むクライマックスが盛り上がるのです……ですが、その直前のおりんとの絡みが、ちょっとアッサリし過ぎかな。一番おいしい役は、どう考えても、田村高廣。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-08-05 23:18:14)
1876.  アシャンティ
その昔、日曜洋画劇場で観たこの『アシャンティ』とか『アイランド』、はたまた劇場で観た『ジョーズ’87/復讐篇』あたりの印象から、私はマイケル・ケインという人について、“プチ・アドベンチャーなオヤジ”という印象を持ってました。実際、自ら一生懸命泳いでみせたり、そこそこ体を張ってるとは思うのですが、どうも“プチ冒険”の枠を出ていないのです。この『アシャンティ』も、アフリカで黒人の妻を人身売買者に誘拐され、それを追跡する医者のオハナシでして、砂漠の過酷な追跡劇を描いた作品のハズなのですが、どうもあまりその過酷さが映画に見えず、どこかノンビリした印象を受けてしまう。「これは実話なんです!」と意気込んで見せても、なーんかヌルいのよね。挿入される音楽は大自然を思わせるどころか、えらく日常色豊かなユルい音楽だし、真面目な「実話」かと思ったら妙な呪術が登場するし。乱闘シーンはまるで気合いが入って無いし、チョイ役に甘んじるW・ホールデンにO・シャリフ、何しに出てきたのやら、単なる小遣い稼ぎかよ、と言いたくなっちゃう。そして極め付けは、その昔日曜洋画で観た時から脳裏に焼き付いて忘れられない、海面キラキラのラストシーン(いやむしろ、記憶よりもはるかにキラキラしてて、ビックリした)。この能天気な超ファンタジー色は、一体どういう発想から生まれるのだろうね。「実話だ」とか言いながら、まったく社会問題を提起する気、ないでしょ。いや、別に、映画でアジって欲しくないから、これはこれでいいんだけど……いいや、良くない、だって、感動を呼ぶハズのシーンで、笑いを呼んじゃうのだから。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-08-03 08:18:31)(良:1票)
1877.  サーカスの世界
物凄く地味なタイトルですが、実は、なぜか、意外に、いやムダに、スペクタクルな映画なのです。冒頭からサーカスの曲芸シーン連発、というより複数の演目が同時並行に演じられててお客さんもどこを観ていいか困るんじゃないか、と思うんですが、要するに沢山の演目、沢山の曲芸師を、映画のカメラに収めたかったんですかね。いつまでも曲芸シーンばかり続けられない。何しろ映画開始30分ほどで、クライマックスに持ってきてもいいような一大スペクタクル、船の転覆シーンが待ってるのだから(大掛かりな割には、地味なスペクタクルシーンかも知れませんが)。ま、そもそも、サーカス団を率いているマット(ジョン・ウェイン)が、欧州興行をうって出る、というストーリーが、ロケしまくります名所を映画に取り入れます、というスペクタクル印の表れ。そんでまあ、すべてを失ったマットが、団員をスカウトしてまたサーカス団を作ろうとしていく中で、かつて「ある事件」をきっかけに別れた女性曲芸師と再会したり、娘同然に可愛がってきたトニ(クラウディア・カルディナーレ。可愛過ぎ)が、マットに憧れてついてきた若者スティーヴ(誰だよこの冴えない男は)といい仲になったり(まったく釣り合わん。マットならずとも怒っちゃいますよ)。で、思わぬ過去が明らかになってゆく。と言っても最初からほとんどミエミエでバレバレな展開、ベタな展開で、非常に安心感のある展開なのですな。それぞれの役者も自分のポジションでノビノビと演じており、工夫が無いと言われればそうかも知れないけれど、このややヌルい安心感、悪くないですな。そしてまた、だからこそ、クライマックスで再び待っているスペクタクル、安心感の無い理不尽なスペクタクルに、手に汗握っちゃう、というのもある。楽しい映画でした。それにしても、これもスペクタクル映画としての意気込みの表れなのか、カット割りを多用しまくり、これがどうもつながりが悪くてギクシャクする(カットが変わると手に持っていたハズの書類が机に置かれていたり)のがえらく気になっちゃう、そこが残念。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-08-01 09:41:54)
1878.  チャップリンの殺人狂時代 《ネタバレ》 
ラストのチャップリンのセリフをもって、何やら教訓めいた映画として捉える向きもあるかも知れないけれど、いやいやいや。もっと得体の知れぬ、ぶっ飛んだ映画じゃないでしょうか、これは。だって、この主人公、殺人鬼ではありますが、要領が良いのやら悪いのやら、気がつきゃ結果オーライだけど、テキトーなことこの上なし。殺人鬼らしい凄みもなく、登場早々、毛虫を助けてあげたり、それこそサイレント喜劇俳優みたいに(!)ドタバタを繰り広げて見せたり。そんでもって、最後も悔い改める訳でもなく、澄ました顔で言う事にゃ「ワタシも人殺しですが、映画みてるアナタたちには敵いませんよ」って訳ですよね。誰がこんな「教訓」を素直に受け止めるもんですか。要するに、我々に喧嘩売ってますよね。そう、この映画の凄さは、この主人公の「規格外ぶり」にあるし、またその特殊さが、我々を悩ます点でもあると思うのです。こんな変な主人公、他ではなかなか見られません。またそもそもこの映画には、好感の持てる人物が(ひとりを除き)登場しない。困った登場人物たちが映画の中に散りばめられ、なかなかに入り組んだ構成(このため、一見、散漫な印象を受ける人もいるかも知れない)。例えば映画の最後の方での主人公逮捕のきっかけとなる一家、彼らの様子は映画冒頭で実にイヤらしく描かれるし、主人公を追う刑事の姿も映画早々に触れられ期待させておきながら、途中で実にアッサリと主人公に殺されちゃう。その他の登場人物たちのキャラクターもその多くはデフォルメされ、映画の中にゴチャゴチャと配置されているその中を、このヘンテコな主人公は、要領が良過ぎるのか悪すぎるのか、ただただ無感動に突っ走る。悪意も無ければ恐怖心もない。唯一、一度は殺そうとした女性に心を開き、財産を失った後に彼女に再会し、自首(?)を決意するあたりは、「ちょっとイイ話」に聞こえそうだけど、トンデモナイ、別に悔い改めた訳でもなんでもなく、むしろ、生きがいを失った彼が「自分が処刑される」ということに生きがいを見出し、処刑前には「映画を観ている我々に」イヤミのひとつでも言ってやる、ということに生きがいを見出したに過ぎない。うむ、これぞまさに規格外の男。規格外の映画。驚きの作品。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-07-24 22:48:37)
1879.  パリの灯は遠く
私も、カフカを思い起こしました。ドイツ占領下のフランスで、自分と同姓同名の人間の行方を追い求める主人公。なぜその人間を探すことにそこまで執念を燃やすのか、その理由は語られず、ただその姿が克明に描かれている点、そしてそれが徒労に終始する点、はたまた、残されたかすかな希望が絶望の裏返しである点、カフカの不条理世界に通じるものがあります。しかし、理由がはっきり語られない「同姓同名探し」が、必ずしも不条理なばかりではなく、不気味さを伴いつつもどこか切実さをも感じさせるのは、それがまるで「自分自身の影を追い求めている」ような行為として描かれているからでしょう。その点、つげ義春の『ゲンセンカン主人』のもつ怖さをふと思い出したりもします。舞台で歌われるマーラー「亡き児をしのぶ歌」と観客たちの空疎な笑い。この無責任で乾いた笑いは、ユダヤ人への弾圧という悲劇の時代における、醜悪な一場面ではあるけれども(そういやマーラーもユダヤ人だった)、それと同時に、人の生死があまりにも理不尽に、紙一重の差で決められてしまう、という滑稽さと恐ろしさに対する引きつった笑いのようにも思えてきたり。キザ過ぎる邦題とは無縁の、絶望と不安の映画です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-07-22 21:32:28)
1880.  天国の約束
まさかと思うような「予想通り、そのまんま」のラストですけれども(笑)、にも関わらず、呆れることなく、まさかと思うほどサワヤカな気分になれちゃう映画でした。ある少年の1日の物語、いろいろな事件の発生する一日とは言え、わざわざ大人になってからの回想という形式をとるような内容でも無い気がするのですが、つまり回想のナレーションが時に鬱陶しく思われたりしなくもないのですが、とは言えこういうのも「懐かしさ」を醸し出すための、ある種お約束的なものではあります。あと、少年に感化を与える祖父の役にはメジャーな俳優をあてて、これがアル・パチーノ。と、このように言ってくると、まるで何から何までいかにも定番といった映画のように聞こえてしまうのですが、実際には必ずしも、そうでも無いのがこの映画。“定番”と呼ぶには、ずいぶんモヤモヤした内容で、そこが良かったりする。少年の目から見た大人の世界は、ホントによくわからない。大恐慌下で大人は大変らしいけれど、少年には少年の日常がある。大人はわからない、ましてや浮世離れしまくった爺さんの言うことはもっとわからない。少年の大人を見つめる目が映画には再三登場する…。いや、大人にも大人の世界はよくわかんないんだけど(笑)、そんなこと少年にはもっとわからない。わからないなりに少年はラストで背伸びをして、いざ背伸びをして見せると、大人はそれに視線で応え、なんとなく共犯関係が成立する。それが、「大人になる」っていうことなんだなあ。と、まあ、正直、「大人になる」とは実に訳のワカランことなんですが、そういう訳のワカラナさをそのまんま映画にしている。そこに好感が持てます。そして、アル・パチーノの役は、別にアル・パチーノである必然性はまったく無くって(長々しい演説をぶつ訳でもないし)、またそこに好感が持てたり。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-22 03:32:40)
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