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ルクレツィアの娘さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 349
性別 女性
自己紹介 基本的には、お金を掛けた映画と歴史時代物が好き。

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1.  アマデウス ディレクターズカット 《ネタバレ》 
天才モーツァルトと凡人サリエリというあざやかな対比が、忘れられない強烈さで迫ってくる映画である。音楽家・宮廷・18世紀。どこをとっても、我々の世界とは全然、別世界のストーリーであるにもかかわらず、観ているうちにサリエリの心の闇へ入り込んでしまう。真実のモーツァルトやサリエリやコンスタンツェがどうだったかという以前に、これは人間を描きあげた見事な作品だ。お菓子が好きで、女も好きで、皇帝をも内心でバカにしているようなサリエリの俗っぽさが、観客に親近感を持たせるし、時には嫌悪感も感じさせる。他の人間にはモーツァルトの真の偉大さが分からず、自分には分かるという倒錯したサリエリの自負心。ある意味、サリエリは自分がただ凡人だとは最後まで認めたくないのだ。サリエリの負の感情の出発点が、自分がバカにされたことよりも、自分は欲望を抑えて神に気に入られようと身を正してきたのに、あの天才は努力しないで楽しんでるなんて許せん(ホントはオレだって遊びてぇ~)という部分だというのが、面白い。音楽の価値を解さない商人の家に生まれ、父の死を「神の啓示」「幸運」ととらえるほど音楽の環境に恵まれなかった少年が、血のにじむような努力をして、階段を駆け上がり、ウィーンの宮廷へ入り込んだのだ。それはそれで非凡なことなのだ。でも、天才にはなれない。だから神を恨み憎む。もっとも、サリエリはそのどす黒い感情を神へ向けたと思いこむことで、ただの嫉妬・屈辱への恨みであることを認めないようにしてるのかもしれない。けれどサリエリは根本的に音楽が好きだから「君の作品を見逃すものか」とか言っちゃうし、死の淵にあるモーツァルトの仕事を手伝いながらどこか嬉しそうだったりする。こういう屈折した感情の描写が、すごくうまい。それにしても、天才児モーツェルトとは、まさに猿回しの猿だったのかもしれない。父を亡くせばすべてを無くし、まともな埋葬もされないまま生涯を終える。父親の支配から逃れられない。乱痴気騒ぎをする息子をにらみつけ、コンスタンツェを怒鳴りつけ、だが、結局のところあの父親は息子を頼り、息子の才能を食いつぶすことしか考えていない。無邪気で浅薄で下品なモーツァルトを形成したのも、突き詰めて考えれば、あの父親なのではないか。それにしても、最後まで脳裏をエコーするモーツァルトのバカ笑いが、なんとも強烈。
10点(2004-07-05 20:16:59)
2.  砂の器
主人公の殺人は、どう考えても勝手な理屈なのに、そこに至ってしまったことを納得させるストーリー。原作の力もあるが、役者たちの演技・迫力ある映像が、共に完成度が高いのだと思う。ほとんどの人が上げている親が子を知らないと言う悲壮な場面もそうだが、親子二人のひたすら歩く姿や、主人公のピアノを弾く姿に込められた野望と孤独も、私には胸が痛かった。善意でしたことが仇になってしまうこと、差別と偏見があってしまうこと。決して大袈裟な演出ではないが、素晴らしいと思う。ラストシーンが秀逸。
10点(2003-10-20 21:07:57)
3.  禁じられた遊び(1952)
素晴らしいメロディーにのせて、描かれる戦争下の小さな小さな悲劇。これほど静かな映画が、この上なく強烈に反戦を訴えかけている。小学生の頃、親と一緒にこの映画を観たが、どうして十字架を持ってきてお墓をつくることがいけないのかよく分からなかった。冒頭に戦争の場面(両親が殺される場面)を見ても、それが少年と少女に何をもたらしたのか理解できなかったからだ。ポーレットとミシェルも理解できなかったに違いないと思う。
10点(2003-07-24 22:03:34)
4.  風と共に去りぬ
ビビアン・リー演じる強烈なスカーレットは、最高に素晴らしい。ここまで強烈な輝きを持ったヒロインは他にいないような気がする。一言で言えば「うわぁ、嫌な女~」なのだが、あふれるエネルギーがそのまま空回りしているとしか思えない人生には、同情を覚えてしまう。何でそんな男に片思いし続けるのか原作を読んでみても分からないが、アシュレへの恋心はいじらしさを通り越して、狂気じみている。原作を読むと、彼女が母親や叔母たちから愛されず、成長期に包み込むような愛情を受けていないことが分かる。自分と正反対すぎる男に恋を妄想し、母性的な友人メラニーとの奇妙な友情関係を続け、本当に真剣に愛情を与えてくれる相手を愛することが出来ない。まさに心理学などでよく言われる「母親に愛されなかった娘」そのものである。そう考えると、スカーレットの行動一つ一つは痛々しい。男たちにちやほやされることで自分の存在意義を確認しているようなところとか。ただ、その痛々しさを上回る高慢さが、キャラとして強烈なのも確かなのだが・・・・・・。だが一方で、彼女はまた逆境や因習と闘うヒロインである。商才があり、自ら率先して働くことができる。行動力がある。アシュレの妹やスカーレットの妹たちが、自分では何にもしないくせに、スカーレットを非難するところなど、スカーレットと一緒になって怒りを覚えてしまう。それにしても、古いしきたりに正面から戦っていつも玉砕しているところがまた、アサハカというか、痛々しいので、私はこのスカーレット像はものすごく愛しい。理想の女性像のメラニーもいいが、やはり、何か傷ついたり理不尽な仕打ちにあったりしたときに思い出すのは、ビビアン・リーの大地に立って「私は飢えない。決して」と誓う姿だ。本当に、全編を通じて、映像が素晴らしい。ただし、原作の人物(たとえばスカーレットの息子)が一部削られているのが、原作ファンとしては複雑な気分。
10点(2003-07-07 21:35:39)
5.  チャップリンの独裁者
何故、作品を創るのか? と考えたときに、これほどスゴイ答えを持った作品は少ないのではないだろうか。人々に向けてメッセージを放ち、考えさせ、感動させる。これだけのメッセージを持ちながら、難しいところもなく、暗い映画でもない。ラストの演説は不朽であろう。 だが、主人公たちが迫害されているのに、笑って観てしまっている。なんという恐ろしい映画だろう!! 有名な地球儀のシーンなども、大笑いしながら、ふと冷水を浴びたような気分になる。そして、実際のユダヤ人迫害が、こんな生やさしいものではなかったことを知り、呆然とするしかない。
10点(2003-06-02 22:56:44)
6.  ピアノ・レッスン
映像が美しく、音楽も良い。あまり語りすぎていない(少々説明が足りない部分もある)が故に、ハンターの演じるエイダの内面を、ピアノの音にシンクロしながら自分勝手に想像して観た。ピアノが彼女の言葉の代わりであり、意志と感情である。それを捨てさせて自分の保護下に入れようとしたダンナの行動もわかるような気がするが、やはり、女性としては主人公母娘に共感する。ピアノを与えた原住民の男は、彼女の存在そのものに興味を抱いたのである。彼女の内面を解き放ち、直接捕らえようとしてくる男に、エイダは答えたのだ。「娘にとって、ああいう母親は道徳的に問題がある」という意見もあるが、閉じこめられた母親の悲しみに、娘が気づかぬはずない。
10点(2003-05-26 13:57:31)(良:1票)
7.  ミリオンダラー・ベイビー
淡々と、本当に淡々と描かれるストーリーが重かった。途中までサクセスストーリーと見せかけておいて、後は地獄へ引きずり下ろす。イーストウッドは容赦が無い。それにしても、この作品を観ていて、あだち充の漫画とよく似ている気がした。あの、独特の「間」にによって描写される、人物の内面。イーストウッドがここまで芸術的なワザを見せてくれるとは思わなかった。それにしても、救いの一切無い映画だった。
[DVD(字幕)] 9点(2007-10-24 16:49:18)
8.  ロード・オブ・ザ・リング - スペシャル・エクステンデッド・エディション - 《ネタバレ》 
驚きの映像ばかりだった。原作の「指輪物語」は、ファンタジー小説とRPGゲーム世界におけるスタンダードだった。今後、さらに幅広い分野において、この映画のビジュアルが映像画像のスタンダードになっていくだろう。ただただ、素晴らしい。フロド・バギンスを思いっきり若くして、その分アラゴルンとボロミアに年長の役者を配した、そのバランスも良かったと思う。イアン・マッケランとクリストファー・リーの魔法使い二人にいたっては、もう、原作よりも存在感があって、当初「指輪物語」の映画化なんて、お子様向けなんじゃないかと疑っていた気分を一気に吹き飛ばしてくれた。どれもこれも印象的な場面だったが、やはり秀逸なのはボロミアの解釈と、彼の死ぬ場面。なんと言うか、やってることは非常にお約束で古いのに、なんでこんなに印象深いのかと思う。何度も観ているうちに、画面のスミで常にホビットをかばい、助け、思いやっているボロミアの姿に気が付いた。大局的にものを考えるアラゴルンと、目の前の存在に手をさしのべるボロミアの対比が、セリフ外のところできちんと演出されている。ボロミアってこんなに真摯で一途で、ホビットたちに明るく笑うことが出来るようなキャラだっけ?と思って原作を読み返したら、原作にはまた違うボロミア像があった。物語の中でボロミアが「美しい人」と表現されていたのはこういうことかと納得してしまえるほど、金髪キラキラなのも、鬼畜な悪役も多いがセクシー俳優であるショーン・ビーンの、面目躍如といったところだ。また、原作とはかけ離れて、もっとも役に立つ仲間となったレゴラス役に、何だか妙に老成したやわらかな眼差しで笑うことの出来るオーランド・ブルームは、面白い配役だと思う。そのほかも非常に各キャラクターと役者が、映像的に上手く配置されている。超人的なヒーローなのに、原作中何度も「汚い外見」と表現されているが故にファンの中でもイメージがバラバラだった人物アラゴルンが、こういう形で映像化されてブーイングがほとんど無かったというのも(さらにはヴィゴ・モーテンセンの人気まで上がってるし)奇跡的だ。確かに逸材である。賛否両論も多いリブ・タイラーのアルウェンも、ケイト・ブランシェットのガラドリエルに対抗できる存在感としては、こういう方向しかないだろう。
9点(2004-03-05 22:02:03)(良:1票)
9.  レナードの朝
今、私たちが毎日生活していて、何かに興味を持つこと、学び・体験することが、とても大切な一瞬なのだということを教えてくれる映画だ。デ・ニーロの名演には、本当に驚いた。レナードは途中で止まってしまっていた人生を、駆け抜けるように体験していく。ほんのわずかな期間のうちに少年から老人までの人生を、体験するのだ。その変化を演じきった俳優に敬意を表したい。再び人生が閉じていくことを自覚しながらも、動かせるありったけの部分を使って懸命に生きる男の壮絶な姿は、怖いような迫力があった。ロビン・ウィリアムズも良かったんだけどね・・・・・・彼は何をやっててもロビン・ウィリアムズだから。実話なのだと聞くと、ちょっと心が凍る思いがするが。
9点(2003-11-25 22:10:47)
10.  天空の城ラピュタ
ファンタジーとして、これ以上のものは無いと思う。夢と希望とを与えてくれるという意味で、本当に、何度見ても素晴らしい映画。ただ、個々のキャラクターの人間ドラマとしては、多少不満があるので、満点を上げられない。
9点(2003-10-20 21:20:26)
11.  ブラックホーク・ダウン
よくもこんな映画をよく撮ったなぁと、感嘆させられた。ソマリアの人々が、自分の年収よりも高価かもしれないような武器を持ち、女性も子供も銃をとって戦闘に参加している現実を、思い知らされた。まさに愚挙としか言いようのない事態を、ドキュメンタリー風にして一つの映画にしてしまったことが、まず、すごい。ソマリアへの軍事介入の意味を、たぶんあまり分かっていなくてやってきている兵士たちは、安直な正義感を燃やしていて、作戦は簡単に成功すると思いこんでいる。オーランド・ブルーム演じる新兵の、現状を何も知っていない無垢さ、きらきらと目を輝かせたあどけなさが、とても印象に強い。たった一つのアクシデントから、なし崩しに悪化する状況。犠牲を増やすことが分かっていながら、兵士の逐次投入せざるを得ないアメリカ軍。迷走するトラックが、戦闘の無意味さを象徴している。指がもげ、内蔵が飛び出し、死んでいく兵士の描写が、よくもここまで、と思うほど描写されていた。冒頭で、兵士たちが高みから同情していたソマリアの民衆は、やがて、襲いかかる敵になり、最後は息も絶え絶えなレンジャーたちを見送る側になる。ソマリア側1000人、アメリカ側19人という死者の数も、考えさせられる数字だった。
9点(2003-10-13 22:44:08)(良:2票)
12.  風の谷のナウシカ
ナウシカが現実離れしていても、ラストの金色の野で実は何の問題解決もしていないのだとしても、いいのである。テーマは深いところにあり、考え出せばきりがない。映画では、あえて単純明快に美しい物語にして、自然と共に生きようというメッセージを自然に受け取れるようになっているし、原作はもっと複雑に重厚に自然との共生について掘り下げていく。敵ながら複雑な事情を抱えているクシャナ殿下は気になるキャラクターだし、虫愛ずる娘に冷たいナウシカの母親は不思議な存在感。久石譲の音楽が最高。
9点(2003-07-24 22:51:39)
13.  さらば、わが愛/覇王別姫 《ネタバレ》 
公開当時は、レスリー・チャンの素晴らしい演技と、価値観の崩壊する世界に生きる人々を描きあげた映画のすさまじさに、震えるような感動を覚えた。蝶衣の変節せずに凛として生きる姿と、死に至る姿が壮絶な美しさである。京劇の大袈裟なメイクや、衣装・立ち回りの、あざやかさとグロテスクさが、ストーリーをより印象深くしていると思う。しかし今回、レスリー・チャンに哀悼を捧げるべく観たのに、コン・リーの演技に圧倒された。この映画に描き出された時代の過酷さは、むしろ彼女がすべて表現していたんだなぁと。
9点(2003-07-08 22:14:19)
14.  ラストエンペラー/オリジナル全長版
自転車に乗るシーンとか、紫禁城の門がゆっくり開いていく映像とか、どこまでも続く赤い壁(紫禁城)とか、コオロギとか、後になっても印象深く残っている場面がある。実際に紫禁城に行ったときに、どこもかしこもラストエンペラーと同じ!! という妙な感動の仕方をしてしまった。公開当時、史実に関して何の知識もなく観て、この映画をきっかけに近現代の日本と中国の歴史を深く知ることが出来た。史実ではない部分もあるかもしれないが、大まかな歴史の流れと、ラストエンペラー溥儀の数奇な運命を、うまく伝えていると思う。音楽がまた最高に良かった。オリジナル全長版はたしかに長いが、観る価値はあった。
9点(2003-06-30 11:15:59)
15.  フィラデルフィア
問題提起がハッキリしていて、考えさせられて、しかもテキスト的にならずにいるので良い作品。トム・ハンクスもさすがだったけれど、デンゼル・ワシントンの演技も秀逸。あの弁護士のキャラクターが何よりとても良かったのだと思う。実際に、まったく偏見を持たずにいられるわけがないのだ。だが、偏見はあっても差別をしないということは、とても大変だと思うので、あの弁護士はとても素晴らしい。当時は新人のアントニオ・バンデラスが、なんていうか、たしかにさりげなくそこにいて、存在感がある。
9点(2003-06-17 19:35:11)
16.  機動警察パトレイバー2 the Movie
パトレイバーを全く知らないで、日比谷の映画館で暇つぶしに観て以来、何度かレンタルしてきて観ている。漫画は少し読んでみたし、テレビアニメも何本か観たが全くレベルの違う別物だったので途中で投げた。この映画だけが特別に良くできているのだ。リアルな東京の下町の映像。日本でしかあり得ない風景を、ここまで描いているアニメーションも珍しいのではないだろうか。そして日本の防衛の危うさについては、9・11以降なので背筋が凍るような思いがする。思いがするだけで、何もしない自分。それが日本という国・・・・・・そんなふうに思った。本当に日本に有事が起きたとき、この映画を観たことがある人は、たぶん後藤隊長の叫び声を思い出すだろう。
9点(2003-06-03 22:11:45)(良:2票)
17.  欲望という名の電車(1951)
あのヴィヴィアン・リーが演じている、ということが一番のポイント。だんだん暴かれていく、醜い素顔。ヴィヴィアンはどんな気持ちで演じていたのだろうと考えてしまいます。そして演技もストーリーも壮絶です。あの虚勢の張り方にはイライラしつつも、女としてはわかっちゃうんだよね・・・・・・何となく。
9点(2003-06-03 20:47:16)
18.  キング・アーサー(2004) 《ネタバレ》 
有名なアーサー王のエピソードは全部忘れて、この映画を観た方が良い。こんなのはランスロットじゃなーい! マーリンが違う~!! エクスカリバーは聖剣じゃないの?! とか言ってると、楽しめないうちに映画が終わってしまう。モルガンもモードレッドもイゾルテもエレインも出てこないし、もっとも有名な「聖杯伝説」を見事に無視。いや~、びっくりした。その代わり、描かれるのはローマに支配され、外敵に痛めつけられる弱きブリテン島である。通常のアーサー王伝説の舞台である中世には、アングロ・サクソン系が我々こそはこの島の正統な住民という顔をしてるわけだから、アングル人やサクソン人が、外からやってくる敵だった時代を舞台にしたっていうのは、目新しい。顔に文様を描き森に暮らすブリテン人たちの姿がどれほど時代考証的に正しいのか分からないが、ブリテンの歴史に挑んだ意欲は評価したい。この映画を観て、やっぱりローマ帝国って偉大だったんだなぁと、つくづく感じた。ローマ人たちの豪奢な生活や、きらびやかな軍装や、大きな城壁や立派な馬車。その末端は腐りかけてはいるけれども、常に次世代の新芽も養っている、強大で豊かなローマ帝国が描かれていた。話の中で非難されていたのは、ローマ帝国に寄生したキリスト教だと思う。人を救うどころか痛めつける宗教。アーサーの怒りはまずそこにあるような気がしてならない。伝説の英雄アーサー王。ローマ人に生まれた男が、ある時ブリテン人の指導者になって外敵と戦い、ローマとも決別し、ひとつの王国を築く。よく考えれば不思議なお話である。なんだか「七人の侍」風で、端正でストイックな物語だった。最初に馬が騒ぎ、皆がにやりと笑って死地へ引き返す。やっぱりこういうヒロイックな場面は印象的。あとは、やっぱり氷のシーン。ああ、そこで割れてくれなきゃ!と熱くなってしまう。キャラクターではトリスタンが寡黙で渋くて素敵だった~~!! 他の円卓の騎士が影が薄い。一人目立っていたランスロットは伝説に引っ張られて意味もなく伊達男ッぷりを発揮していたが、どこが最強なのか分からなかった。この映画には不要なのにこっそりグネヴィア王妃を思慕していて変だった。いや、やっぱり一番変なのは、小娘が「囚われの姫」扱いされ、どこから出してきたのか、吹雪の中でヒラヒラのドレスに着替えてたりするところ。それにしてもキーラ・ナイトレイは貫禄がある。
8点(2004-08-10 21:20:40)
19.  スパイダーマン2 《ネタバレ》 
この2作目のほうが最初よりも、出来がよい。ストーリーの組み立て、テンポが非常に見やすい。ヒーローをやってるから、いつも遅刻して、金もなくて、お疲れモードの主人公。うーん、金持ちのバットマンとはえらい違いだなぁ~と苦笑して観ていたが、このスパイダーマンの造形がやっぱり良い。冒頭で描かれたオクタビアス博士との会話が、ストーリーの骨格を担い、ラストの伏線になっていくあたり、展開の手法としてはベタなんだけれども、非常に上手い。ただ、ポスターで観たときに、敵があんなに肥満体型だとは思ってなかったので、画面でたるんだお腹を観て、ちょっとビックリした。オクトパスの最期も、うわぁ~なんてベタな展開~、と思うんだけれども「モンスターのままでは死なない」というセリフに、ちょっと泣いた。敵役が良いと主人公も引き立つっていう意味でも、前作よりも格段に内容が良くなっている。オクトパスがブレながらも目的に向かって暴走していることによって、ブレたあげくにその能力を失っていたスパイダーマンが、自分の覚悟を取り戻す。ヒーローに戻るということが、絶望的で悲壮なものだという描写と、ヒーローの素顔を見た町の人々の「まだ子供じゃないか」という素直なつぶやきが、とても強く印象に残った。ついでにハリーやMJにあっさり正体を知られたのだし、第3部が楽しみだ。相変わらず、三白眼のせいで美形なのに愛らしさに欠けるキルスティン・ダンスト。フランス人形みたいなドレスは似合うんだけどね・・・・・・。彼女の婚約者は最初マット・デイモンに見えた・・・・・・。それにしても、結婚式から逃げるのは、ちょっとやりすぎ。
8点(2004-07-12 10:55:53)(良:2票)
20.  デイ・アフター・トゥモロー 《ネタバレ》 
環境週間のポスターに、この映画が使われているというのが、まず笑える。特撮&SF映画としては上出来といえるほど、面白かった。こういう温度では、こうなるんだーとか、こういう観測しているんだーとかいうような、単純な驚きが随所にあって、サイエンス・フィクションとしてきちんと楽しませてくれる作品だった。SF作品にこれ以上の現実的なツッコミをするのは野暮である。映像は迫力があったし、大まじめに環境問題をテーマにもってきて、こういうストーリーを練り上げるのも古き良きSFという感じでもある。主人公(子)と共に図書館にこもるメンバーの人選とか、大統領と副大統領の使い方とか、国境の場面とか、案外にかなり気を遣って話を構成しているような気がする。ラストが「インデペンデンスデイ」のごときアメリカ万歳なものにならなかったのも、時代を反映していると言うべきなのか・・・・・・。日本のシーンは確かに違和感があったが、その後の日本のが描かれることがなかったので、むしろ、冒頭に出したんだから最後もフォローしてくれよと思った。それにしても、この映画の隠れたテーマは理系VS文系なんじゃないだろうか・・・・・・? 日本は「理系離れ」と言われているが、理系離れしてたら、国家が滅ぶかも?!
8点(2004-06-18 13:49:31)
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