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どっぐすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 86
性別 男性
自己紹介 日本人なので邦画好き!
淀川先生のように、いつまでも「きれいですね~」「すごいですね~」と映画を楽しみ続けます。
不幸にしてつまらん映画を見た後も、シネマレビュー見ると爆笑ネタになって、HAPPYになります。「いや~、シネマレビューって本当にいいもんですね」あ、コレは水野御大・・・

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  i 新聞記者ドキュメント 《ネタバレ》 
まず映画として面白かった。 メディアに興味のある方なら記者がどういう仕事をしているか、新聞記事がどのように提供されているか、 単純にそのドキュメンタリーとして面白い。  今の政権がメディアを巧妙に利用していることは数年前から如実に感じていたが、 先日、「桜を見る会」問題が発覚し、朝のワイドショーをひとしきり賑わせた直後、 突然、緊急事態でもない不自然な速報テロップが連続して流れて驚いた。 「景気判断が上昇」「ハンセン病家族補償法案を提出」といったニュースである。 政権の悪印象を払拭するための、なんというわかりやすい情報の出し方だろうと思った。  先の参議院選挙の某局の特別番組では、この映画で登場する政治家の生い立ち再現ドラマという信じがたいコーナーがあった。 選挙報道番組が堂々と政党の宣伝番組と化している。 政権と関わりが深いと言われる企業が、この番組のスポンサーとして入っていたことと無関係ではあるまい。 (有名なホテルのCMが流れてました)  この参議院選挙では、自分の世帯に選挙公報が届かなかった。 広報を配る町会の役員の名前をネットで調べたら、ある政党所属の市議会議員の名前があった。 町会に理由を問い合わせても全く取り合ってもらえない。 確実に今の世の中は、かつてないような、おかしなことが起こっている実感がある。  話をこの映画に戻すと、テレビでは発言を許されない人たちが多々見られるのは興味深い。 実際、この映画で出てくる事件、問題は全く解決しておらず、「終わったこと」「無かったこと」にされているだけである。 辺野古の赤土の問題も初めて知った。 特に印象に残ったのは、先の参議院選挙、秋葉原で某政治家が登場するシーンである。ゴージャスな音楽が流れ、ショーと化している。 たまたま現場に自分がいたら正直、カルチャーショックであろうと思う。 公共の場で一人の政治家がここまで祭り上げられる演出が行われているのは不気味に感じざるを得ない。  編集としては露骨に意図的に感じる部分もあったが、意図的ではないドキュメンタリーなどありえない。 おかしいものはおかしいと言うこと。それは子供の態度ではなくはるかに大人の態度だと感じる。 返す刀のようだが、この記者の行動を見て、いわゆるヒーロー、ヒロインに仕立て上げてはならないようにも感じた。 この人は職務に忠実で、職業上の信念としてあたりまえのことをやっているだけで、この人が表に出てくるような状況こそがおかしいのだと思う。 マスコミも様々な不作法をしてきた歴史があるから自分は全面的にマスコミの仕事を支持するというわけではない。 なので、善対巨悪で割り切るかのようなアニメーションのシーンは余計に感じる。  しかし自分はこの人が注目されたことによって、メディアに多少の希望を感じたことは事実である。 自分は長年、ソーシャルサイトでニュースを見てきたが、罵詈雑言のコメントが目に入るのに辟易し、精神衛生上も良くないこともあり、 最近は新聞をネット契約して雑音のない記事を読むようにしている。どこの新聞とは言わないが。 誠実な仕事をしている人たちには、自分ができる範囲で対価を払って報いるべきだと思ったからだ。 誠実な情報にきちんと対価を払うことで、少なくともメディアが良い方向に行けば良いと思う。  ネット上の得体のしれない人たちが何を言おうと、個として自分はこう考える。 この映画はリアルタイムで改めて今の日本の政治のあり方について考えてさせてくれます。
[映画館(邦画)] 8点(2019-11-28 02:19:39)
2.  新聞記者 《ネタバレ》 
昭和の時代って、実際の政治事件を扱った社会派ものから、荒唐無稽なスパイものやら、パニックものまで政治を扱った映画で面白い作品がたくさんあった。 また、昭和の時代はどんな権力者でも批判されてあたりまえであって、多くの映画の題材にもなり、いかにも悪い権力者、理想的な権力者も描かれた。 また、そういう作品を観て政治の世界、権力者のあり方というものを知ったものだ。 過去の映画でも、新聞記者が特ダネを握りつぶされるという描写はよくあるのだが、最近ではそういう描写すら自粛されているのではないかという危惧がある。  最近では犯罪サスペンス映画で本筋とあまり関係ない政治批判的な描写を入れたり、 全く架空の怪獣映画で官邸を風刺してみたり、 領土問題で全く架空の政権を登場させるといった方法でしか、政治を扱う映画が作れないのだろうかと思っていたら、 まさに直球ストレートな作品が登場したことに賛辞を送りたい。  かなりリアリティを感じる新聞社のオフィスに対して、内調の職場風景はやりすぎなぐらい架空なのだが(まるで秘密基地である)、 扱っている内容は現在進行形で起こっているであろうことである。 そしてあの問題の核心が出た時に、この映画の中の政権がいかに危険な考えを持っているか納得した。 (フィクションの中の政権と一応断っておきます)  メディアの報道のされ方、それに対するネットでの反応などで、ここ数年疑問に思ってきたことが、かなりの部分納得させられるものがあった。 最近、自分は政治について発言するのも怖いという感覚があるのだが、極端な話、メディアが統制されていけば隣の北の国のような大本営発表的な報道しかされないようになる。(あくまで極端な仮定です) それは民主主義国家ではないことは、隣の国を見れば明白である。  そんな妄想にまで至りましたが、この「フィクション映画」を観て、多くの人が考えてほしい。
[映画館(邦画)] 9点(2019-07-03 02:52:52)(良:4票)
3.  空母いぶき 《ネタバレ》 
原作に思い入れがあったわけでもないので、フィクションの娯楽映画として普通に楽しめた。敵国の設定変更はありだと思う。 原作通りの設定だったら、実写では生々しすぎるし、話もややこしすぎてしまうだろう。 公開前になにやら騒ぎもあったが、総理がストレスを抱えて当然ということを表現しているだけで何の疑問も感じなかった。(観てもいない映画のことで騒ぐこと自体くだらないことである) 自分は軍事オタクというわけではないので、戦闘シーンは娯楽映画として素直によく出来ていると思う。ギリギリまで専守防衛に徹する緊迫感はかなり良い。 正直、コンビニのシーンは必要なのか?とは感じた。平和の表現として一般人を描くことは脚色としてありとは思うが、緊迫感を阻害しているだけで、ここは演出として成功していないように思う。  最も印象に残ったのは、強硬な言動をする大臣に対して総理が「戦(いくさ)という言葉を軽々しく使うな」と諌めるシーン。 現実には、領土問題で信じられない暴言を吐く議員も出てきたわけで、そういう意味で絶妙なタイミングでの公開となってしまった。 このフィクションの中の自制心のある政治家、自衛官を見ていると、現実の政治家の方が既にやばくなっているように思う。このような事態にならないことを願うばかりである。
[映画館(邦画)] 7点(2019-06-04 01:18:27)
4.  ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 
出だしからエンドロールまで、前作以上に日本のゴジラへのオマージュたっぷりで楽しめました。 ゴジラという名前だけをパクられた90年代のハリウッドゴジラとは隔世の感があります。 日本のゴジラファンなら、昭和から平成の世代に渡って「あ、このネタは・・・」と思い当たるところが多々あると思います。 ハリウッド映画でこの音楽が聞けようとは、スタッフの怪獣映画愛が尋常ではないです。 正直、何が起こっているのかわからないほど、アクションシーンが激しすぎる感もありますが、 ここまで「特撮映画」に敬意を払って頂いているので、甘々の点数です。
[映画館(字幕)] 8点(2019-06-04 00:37:51)(良:3票)
5.  華氏119 《ネタバレ》 
ここ数年、この国では以前は決して起こらなかったような現象が起きている。 マイケル・ムーアはトランプによって目覚めさせられたと言っているが、 自分もここ数年の間、某政治家のおかげでこれほど政治に関心を持ったことはない。 最低限の行動として選挙には必ず行くようになった。 民意が反映されていない選挙制度(投票数でトランプは確実に負けていた)というのも驚きだったが、この国はどうだろうかと疑問に思う。  フリントの水道水の問題は痛ましく衝撃的であるが、 間違いなくこの国でも似たような問題が起きている。それは拝金主義と差別に起因するものだ。  ドイツに独裁者が生まれてしまった過程の考察も興味深い。 この映画に登場する歴史学者が語っているように、歴史を知ることの重要性は多くの知識人、文化人が語っている。 自分も歴史の事件の結果、ディティールに意識がいきがちであるが、重要なのはそれが起こった過程から学ぶということである。  不勉強な自分は、アメリカは民主主義が最も進んだ国だとなんとなく誤解していたが、実は民主主義を体現することが理想であって、実際は民主主義が機能していないという話も実に興味深かった。  今の時点でこの国がアメリカより優れていると思えるのは、銃がスーパーなんぞで買えない、持てないということだ。この点だけは本当に幸せだと思う。  この映画の見解に賛同するかは人それぞれでいいと思うが、アメリカで起こっていることは日本でも少なからず起こっているという実感はある。  この映画はこの国に多くの示唆を与えていると思う。
[DVD(字幕)] 8点(2019-04-19 00:56:23)(良:1票)
6.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
すごく話題になっているようなので観たが、この映画の多くの評価で決定的に欠けているものがある。 劇中のカメラマン役ではなく、エンディングで登場している実際に撮影しているカメラマンの超絶的なカメラワークである。 このカメラワーク抜きではこの映画はここまで評価を得られなかったであろう。 いわゆるかつてのフィルム映画とは違ったビデオ機材で撮影されていると思われるのだが、 「蘇る金狼」で松田優作のアクションシーンを1カット長回しで撮った伝説カメラマン、仙元誠三を思わせるものがある。 このカメラワークのインパクトが無ければ、後半のドラマは凡庸になっていたに違いない。 アイデアより、役者より、カメラそのものを操るプロの技術に賛辞を送りたい。
[インターネット(邦画)] 7点(2019-03-17 23:46:53)(良:1票)
7.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
1984年「ゴジラ」公開当時にこういう「絵」が見たかった、どうしたらもっと本物に見えるのだろうか、と寝ても覚めても考えていた当時中学生の自分にとっては、庵野・樋口両監督が長い年月をかけて経験を積み、その願いを実践してくれたことにまずは感謝したい。  「シン」の意味は様々あろうが、これが真のゴジラかと言えば、良くも悪くも多くのゴジラの一つのバリエーションであろうと思う。 初代を超えるかどうかという問題は、初代が厳然と存在している以上そのインパクトは誰が作っても超えようがない。  しかし間違いなく3.11を逃げないで踏まえた現代の「ゴジラ」であろうと思う。 自分は最近の表現の過剰な自粛を悲しく思いますし、その中でこういうフィクション性が高いジャンルの映画を傘にして、多くの人が語りにくいことを表現していることがこの作品の最大の収穫だと思います。  非常事態に際して、誰が悪いのか、誰が責任を取るのかという短絡的な指摘ではなく、この国の構造的な問題を客観的に極めてわかりやすく指摘していると思います。(情報が多すぎてわかりにくいという点が逆に役所の本質をわかりやすく表現している)  例えば危機に際して首相が「都民を置いて避難はできない」と啖呵を切るが、その直後の側近の提言でいとも簡単に「わかった」と納得するシーンも実に含みを感じる。こういうやりとりがあったというアリバイがあって避難できるという政治家の腹も読めるのだ。これも避難するための役所の手順にすぎないと自分は感じた。(だからほとんどの政治家に感情移入できないような見せ方になっている) 自衛隊の攻撃はまさに膨大な「手順」の連続である。射撃の意思決定までの手順をこれほど正確に描いた邦画は初であろう。 重大な行動のためには膨大なハードルが用意されているという役所の本質がわかりやすく、非常に勉強になった。  若い人たちには風刺という概念すらないかもしれませんが、こういう切り口で風刺のきいた社会派映画を作る余地はあるのだと感心しました。  ヒロインのカヨコの役作りも自分はOKと思います。上手い下手という以前に、仕事で男性と対等に渡り合える女性はもっと邦画で描かれるべきだと思います。 ゴジラ映画としては多くの方と同じように細かいツッコミはいくらでもしたくなりますが、今回は明らかに怪獣映画という範疇には収まらない内容で、映画のセリフと同じように「日本のクリエーターはまだまだやれる」ことを少し誇りに思います。
[映画館(邦画)] 9点(2016-08-02 02:15:10)(良:4票)
8.  日本のいちばん長い日(2015) 《ネタバレ》 
この監督は多くの登場人物を実に手際よく捌き、細かいカットの積み重ねからモザイクのように核心が見えてくるテクニックが以前から素晴らしいと思っていた。 この作品においてもその腕前は、現在の日本映画で稀有な存在だと思う。 それゆえに、社会派監督というイメージもついてしまったのかもしれないが、この監督の作品の登場人物は表層的で単純化された「キャラクター」ではなく、人間の多面性を感じさせる。  他の作品でも感じたことだが、この監督は「事件」に対してイデオロギーを語らず、あくまで、その渦中にいる人間のドラマを描いていると思う。監督自身が戦後世代なのだから今回も当然のことだと思う。  今回は天皇さえも他の登場人物と対等な描写(登場人物の中で浮いていない)で、一人の人間として描いていることは、この国の映画で初の快挙だと思う。 海外での経験に長けているこの監督独特の客観的視点があり、海外にも理解されやすいと思うし、自分を含めた戦争を知らない世代にも理解しやすい。  映画で描かれるのは緊迫感のある部分だけではなく、生活をしている人間ならば誰しもあるささいなやりとりや、外から見れば滑稽なやりとりなど、建前だけでは生きていられない人間の描写に注目する。 阿南陸相が自決前に飲酒している姿など、どんな立場の人間でも、伝聞で作られた「キャラクター」ではなく、「人間」として描かれていることに注目したい。  実際に被害を受けている民衆の描写が少ないことは、この映画の主旨では無いと思われるので自分はあまり気にならず(そういう映画は山ほどあるのでそれを見ればよい)、むしろそういう描写が少ないことで、大本営の密室性が出ていると思うし、現代に通じるこの密室性こそ危険なのだと思う。危急存亡の事態に延々議論を重ね、互いのメンツに配慮しつついちいち手順を踏んでいる描写は滑稽に感じる。 これは原発事故の際も電力会社の中で同じだったように想像できる。  また、この映画で初めて認識したのだが、時期を外せば国家が分断され朝鮮半島のようになっていたかもしれないというのは衝撃であった。(事実、北方の島は分断されている)終戦が数日遅れれば今現在の日本とは全く違った社会になっていたかもしれない。  こういう客観的視点が、過去のいわゆる戦争映画と一線を画しているように思う。
[映画館(邦画)] 7点(2015-08-18 00:41:14)
9.  ターミネーター:新起動/ジェニシス 《ネタバレ》 
さすがに5作目ともなると、かつての感動は期待していなかったが、歴史が上書きされたり、登場人物の人生があまりに狂ってしまうと、安易に変えてはいけないものを「解釈の変更」でOKにしてしまうような軽薄さを感じてしまう。 1本のアクション映画としては、あの手この手で楽しませてくれますし、そういえば1や2でこんなシーンがあったなあという懐かしさも楽しめますが、ゲームを1ステージずつクリアしていくような面白さであって、ドラマ的には浅い気がします。 これを見て、逆に1,2で語られていた真のテーマが浮かび上がったような気がします。 過去や未来がどうというのは方便で「人生は一回しかない、だから自分の力で未来を切り開く」というテーマが根底にあったからこそ、1や2は感動的だったのでしょう。 深いことは考えずに帰ってきたシュワちゃんや、今回のT-1000もなかなかクールでかっこよかったので、ターミネーター同窓会と思えばよいかと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2015-07-14 01:13:48)(良:1票)
10.  THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 《ネタバレ》 
「パト2」のオマージュらしいということは分かっていたが、今、それをやる意味があるのか、今の時代を舞台にして娯楽として楽しめるのかという疑問があったが、あまり嫌悪感を感じる表現になっておらず、アクション映画として楽しめた。 誤解を招くような言い方だが「状況」を娯楽として楽しむ映画で、その部分は「2」同様よく出来ている。  アクションについてはパトレイバーというより、昔のヘリアクション「ブルーサンダー」を思い出してしまった あの街中のヘリアクションをCGとはいえ東京で再現出来る時代になったのだという感慨があり、自分としてはそれだけで劇場で見た価値はあったと思う。  策を弄す前隊長に対して、弄されている感じの現隊長は現実的ではあるが「状況」を前にした主役として悩みすぎなのが少々つらい。悪い意味で隊長の本性が見えてしまった感じで観客としてはやや幻滅してしまった。せっかく実写でいい役者さんを出しているのだから、娯楽映画として官僚に啖呵を切るぐらいの芝居はして欲しかったのが惜しい。  また、実写シリーズを通してカーシャの存在感が非常に強いが(カーシャがアクションをすると他の役者が何をやっても印象が消し飛んでしまう)監督がどんなに演出で計算をしているにしても、生身の役者が演じる予測しきれない、制御しきれないものが滲み出てくるのがアニメと違った実写の面白さであると改めて思うし、アクション監督などのスタッフもここぞとばかりに腕を振るったに違いない。 これは実写で作った収穫のひとつであろう。  若い人には理解できない感想かもしれませんが、久々にこの監督の作品としては劇場で見た価値はありました。
[映画館(邦画)] 7点(2015-05-15 01:55:40)
11.  蜩ノ記 《ネタバレ》 
カメラが無駄な移動をしたり、奇をてらったアングルや小細工をしない(ように見せるために相当な細工と苦労をしているのであろう)1カット1カットの緊張感が素晴らしい。 合成など一切しないと思われる風景も、今の時代には相当難しいことであると思う。 観客にカメラの存在を意識させず、時代劇で描かれるその時代にはありえない視点や動きを排除した黒澤演出を見事に受け継いでいると言っていい。 黒澤監督と比較ばかりしてはもはや失礼であろう小泉監督の演出スタイルは今の時代には貴重である。 自分はこれを見た後、黒澤監督より、ふとキューブリック監督の「バリー・リンドン」を思い出した。 ストーリーと関係なく、例えば踊りの動きや、殺陣の動き、立ち居振る舞い、家の間取り、食べるもの等に見入ってしまうことがあり、おそらく過去の時代にはこのような生活と時間の流れ方があったのだろうと思わせる、ドキュメンタリーのような雰囲気が楽しめました。 映画館で様々な予告編を見ていると、めまぐるしい映像に目が痛くなってくる年頃になってきましたが、「正攻法」とは何かということを改めて示してくれたと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2014-10-09 22:43:04)
12.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 
第1作目を意識したゴジラというから、当然、そのようなゴジラ中心のお話かと思っていたら、日本の誇るもう一つの怪獣シリーズを意識したようなストーリーになっていて、別のGのリメイクではないかと思ったが、これはこれで面白かった。 敵の怪獣も、もうひとつのシリーズのあの怪獣とあの怪獣をくっつけたような習性だ。 しかし、ゴジラの姿形は日本人の自分が見てもゴジラと思えるように配慮されていて、かっこよかった。ゴジラも敵怪獣もCGなのに、なんとなく着ぐるみにも見えるユルい雰囲気が親しみが持てる。 この辺りは監督のオリジナルへの敬意が感じられて嬉しかった。 ドキュメンタリー的なチラ見せ演出は、こういう映画には欠かせないと思うが、ちょっと狙いすぎというか外しすぎというか、要所要所の見せ場は外さずにきちんと見せてもらいたかった。 「核」に関しては理屈をこねくり回しているわりに、核爆発というものをハリウッド映画では大きな爆弾ぐらいの認識しか無いのが相変わらずであるし、フィクションであれ、日本の大都市のそばに原発があるというのは日本人としてはかなり複雑な気分である。 この映画に限らないのだが、今のハリウッド映画って全く音楽が印象に残らない。明快に耳に残るメロディを作れる才能の作曲家が枯渇しているのではないかと思う。 これはかなり以前から日本映画も含めて問題だと思っている。 「ゴジラ」であるだけに誰が見てもいろいろ考えてしまうであろうが、今回はイグアナではないので、このゴジラが暴れる様を見れただけでも良かったと思います。 これだけ日本のキャラクターを研究して、そのテイストを活かしてくれたのだからそこは素直に監督に拍手です。次回作も期待してます。 
[映画館(字幕)] 7点(2014-07-30 19:36:13)
13.  009 RE:CYBORG 《ネタバレ》 
戦闘機のドッグファイトのシーンで、ふと気づいたのが、CGで描いた戦闘機の動きがリミテッドアニメのようにややカクカクしていること。CGなのにセルアニメの動きの「味」を出そうとしている。 最近の別の名作アニメのリメイク作品では戦艦の動きがいかにもCG特有のスルーっとした動きなのが違和感があった。 CGと従来のセルアニメの違和感を払しょくするために、CGのコマを落とすということは理屈としては難しいことではないと思っていたのだが、何故誰もやらないのかと思っていたら、見事にこの作品が試みていたことが実に嬉しかった。 キャラクターも全てCGで描かれているらしいが、この動きの考え方ひとつとっても、CGの使い方の可能性を感じた。 肝心の内容だが、あまり過去の作品に思い入れがないので、この作品単体で考えれば楽しめました。 しかし、神や天使と、テロや武器商人を結びつける構図は、監督が頭の中で構築した理論が空回りしている感じがして説得力に欠ける。 セリフ以上に、この理屈を絵が物語っていない感じがするのが残念だ。これは絵が緻密であるといった技術論と別の問題である。 やはり娯楽アニメとしてシリアスであっても爽快感やユーモアは欲しかった。 そう、今の映画って視覚的な刺激は強いが、特にユーモアの感覚がものすごく欠けていると思う。(単純にギャグっぽいセリフを言うという意味ではありません) 全ては表現のための技術であるが、この技術の志は高く評価したいです。   
[インターネット(字幕)] 6点(2014-07-12 22:47:50)(良:2票)
14.  春を背負って 《ネタバレ》 
どんな映画も見終わった後、時間が経つとあれこれ考えてしまうものだが、やはり見終わった後のこの清々しさは大事にしたい。 原作を先に読んでいたのでキャスティングが明らかに自分のイメージとは違っていたのが不安であったが、映像になってみると、このキャスティングはあざとくも感じるがアリであると思いました。 厳しい自然の風景と対比するような「前向きな顔」というのは映画的に必要だったのだと思います。原作のエピソードを大幅に構成し直して「何が映画的であるか」を抽出したような作りになっていると思います。 原作で描かれていた山小屋経営の事情や、登山客のエピソードにはあまりつっこまず、挫折を味わった人々の回復というものがあまり描かれていないように感じるが、そこは文学の仕事であると言わんばかりに、圧倒的な風景と登山の過程、山小屋の描写は原作から持っていた自分の曖昧なイメージを遥かに凌駕してくれた。 ドラマの背景に山があるのではなく、風景がドラマを内包しているようなカメラマン兼監督の独特の視点は「剣岳」に続いて健在に思います。 この映画を見て、安直に素人が高山に登ろうとするのは危険に思うが、やはり「登ってみたい」と思える清々しさは確かに感じました。  
[映画館(邦画)] 8点(2014-06-19 22:10:05)
15.  パシフィック・リム 《ネタバレ》 
期待通りのロボットアニメ&怪獣映画のエッセンス全開の映画でありました。 グロイ戦いぶりや操縦系統はモロに「エヴァ」で、いろんなロボットアニメから頂いたような武器や必殺兵器も楽しいです。 平成版「ガメラ」をパクったようなシーンもいいです。 ロボットアニメの要素が強いので、ハリー・ハウゼンと本多猪四郎という怪獣の名匠だけに捧ぐというのは語弊があるような気もします。 迫力は充分ではあるがとにかく絵が暗い!! 意図的に怪獣の全貌をわかりにくくしているのかもしれないが、怪獣の姿がわかりにくい!! そして日本の幾多の怪獣たちと違って、怪獣がグロイばかりでかっこよくない。 ゴジラを代表する日本の怪獣たちはかっこよく、そして美しい。怪獣の描写がハリウッド定番の異形の生物であったことは残念だ。 内蔵まるだしのような要素は「怪獣」ではない。中身がわからない、わからなくてもいいのが「怪獣」なのだ。これが日本人とアメリカ人の決定的な違いだと思う。 ロボットが戦う舞台として夜の市街戦というのは、アニメではOKなのだが、実写では実は難しい。 人口の建造物の中にロボットが立つと、ロボット自体が背景に埋もれてしまうのである。これはかつての日本の実写ロボット映画「ガンヘッド」が実証している。 ジャングルや砂漠といった大自然の方がロボットは映え、大都会の中の方が怪獣は映えるのである。 スタッフはこのバランスに苦慮したかもしれないが、全体的に絵がごちゃごちゃしすぎて、わかりにくくしている原因になっているように思う。 菊地凛子がアクションもこなし、あの衣装で堂々とヒロインを演じていることは日本人として誇りを感じます。 ハリウッドや香港では、こういう女優ってあたりまえにいますが、日本では本当に貴重です。 日本人としては、つっこみたくなる要素は多々ありますが、ロボットアニメと怪獣映画をマジで合体させてくれたスタッフには敬意を表します。 この夏1番のB級アクションとしてオススメです。
[映画館(字幕)] 6点(2013-08-12 01:53:00)(良:4票)
16.  遺体 明日への十日間
冷徹なる事実を前に「映画」としての評価は出来ない。 この映画の登場人物たち、いや、あの日あの場所で働いていた人たちの思いと同じように、この映画のスタッフ、役者たちは、映画の職人として役者として、「自分にできることは何なのか」と自問しながらこの映画を作ったであろうと思います。 娯楽的なサービスを提供している職業人は、こういう時に全く無力な存在であると、自分もこの震災で思い知らされました。 この、もどかしい思いが、この映画になったのだと思います。 なぜか感情移入して泣ける映画ではないというのは、「泣かせる」映画ではないからだと思います。 この映画を見て自分に出来ることは、ただ、手を合わせることだけです。
[インターネット(字幕)] 8点(2013-08-07 00:36:09)(良:1票)
17.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
宮崎監督としては、今までと違う手法の作品であることは間違いないです。 子供を意識していないためか、客が見たいものを見せるより想像させる描写が多く、夢のシーンを除いたらすごく普通の大人向け映画です。 情感あるシーン、盛り上がるであろうシーンも過剰にならず、ひっぱらずに早いテンポで物語は進みます。 言葉でメッセージらしきものを語ることもありません。 主人公の行動を見ていると、監督自身の自伝でもあるような感じがします。 途中で始まり、途中で終わるかのように余韻は感じませんが、すなわちそれが「生きること」でまだ先があるというメッセージのように思います。 2度3度見て味わい深く、子供にはよくわからんけど印象に残るような作品に思います。 宮崎監督が初めて大人の視点で映画を作ったということは、逆に子供向けの映画では主人公の2,3日の行動にベッタリつかないと子供はついていけないという手法の違いを見せてくれたことで勉強になりました。 声優、音響など宮崎監督ならではの試みもありますが、成功しているかは別として自分はこの考えは肯定します。 しかしヒロインの端正な顔はもう飽き飽きです。美人って人の数だけ細い美人やふっくらした美人やタレ目の美人もいるのに、ジブリ作品の美人は同じ役者が衣装を変えているだけのように見えてしまいます。  子供の描写はおそらく世界一なのに、絶世の美女となるとどの作品も同じ顔になってしまうのが、不満ではあります。 しかし単純に泣けたいうことでは語れない密度を持った作品であると思います。  何が起こっても状況を受け止めて行動している主人公の描写、悲惨な震災や戦争に対して不平不満を言わず(そういう描写は省かれている)一歩引いた目で「状況」として捉えて行動している描写自体がメッセージのように思います。 紙ヒコーキのシーンは実に映画的な名シーンだと思います。 
[映画館(邦画)] 8点(2013-07-24 02:21:03)(良:1票)
18.  100,000年後の安全 《ネタバレ》 
たぶん、この施設の現場の人達が平然としていられるのは、100000年ではなく、使命感を持ちながらも生きている間の自分の仕事として、自分の部署としての責任で仕事をしているからだと思います。 自分も全く日々、「自分の仕事」をしているだけの存在にすぎません。 実のところ、原発推進派でも、政治家でも、電力会社の人でも、一個の人間としては善良で家族思いで、人類が滅びれば良いという人はいないと思います。 しかし、日本列島が今の形になって3万年ぐらい、10万年以上も民主主義国家の下で安全に管理できる場所などどこにも無いということは、日本の歴史上でも、政治的な歴史、人類の歴史、地学的にも明白なことです。 原発が出来てたった50年で未来永劫に渡る負債を日本は背負ってしまったのです。 まずは原発をやめること。やめなければ未来は無いこと。やめた上で対処を考えること。 廃棄物が持っている放射能は、家族の一人である前に、誰かの友人恋人である前に、某社の社員である前に、某国の国民である前に、一個の人間である前に、人類の一員である前に、地球の生き物であるという高度な認識を持てるかという問題だと思います。 「生き物の生存」よりも「科学の意義」や「政治家の立場」を優先するのが悲しい人間の性でもあります。 この映画は、人間が考えうるギリギリの対処の仕方を極めて冷静に示してくれます。 まずは「やめること」しかありません。それが人間として極めて冷静な判断だと思います。  「科学」を使うなら錬金術の「もんじゅ」よりも廃棄物を宇宙へ放り出す「軌道エレベータ」のほうが100000年単位で考えればよほど有望です。まずは「やめる」ことです。 やめなければ「生き物」にとって未来はありません。
[DVD(字幕)] 10点(2013-03-08 01:17:13)(良:1票)
19.  007/スカイフォール 《ネタバレ》 
毎度毎度、楽しみながら不満もあるし、完璧な名作など出来ようもないのでそのつもりで観ていたが、今回の古風な演出はすごく楽しめました。 超人的で過剰なアクションは冒頭のお約束アクションのみというのは、007に限らず最近では珍しい。 全体的に地味なアクションシーンが続くのですが、この監督、今のアクション映画でありがちなケレン味がなく、1カット1カットしっかりした撮り方をしている所が好感持てました。 つまり今回は、アクション映画というより、スパイが置かれるであろうシチュエーションを大事にしている演出と脚本です。 例えば地下鉄のチェイスでも、絶対人間には無理というアクションではなく、出来るかもしれないと思わせる所で抑えているが、ドラマにサスペンスがきちんとあれば地味でも楽しめるし、予算をかけなくてもちょっとしたアイデアで驚かせたり出来るというシーンが多々あります。 こういう演出は007だからこそ、古いと批判を浴びながらも伝統として守っていって欲しいなと思います。 後半はさすがに長く感じた。いつもなら世界の危機を止めるためにアクションが過剰になる所を、何故個人を守るためのアクションになっていくのかと思ったら、ああいう結末が待っていたわけですね。 2作前のボンドの誕生から一回りして、次回はまた荒唐無稽な方向に行くかもしれませんが、1作ごとにありえない方向に行ったりシリアスに戻ったりするというのもいいのではないかと思います。 あと、軍艦島は見た瞬間に「あ、軍艦島だ」と思ったのですが、日本人としてこういうロケ地が選ばれるのは嬉しいです。 音楽は定番のデビッド・アーノルドが降板してしまいましたが、トーマス・ニューマンの音楽も実に過不足無く007ぽい音楽で良かったです。
[映画館(字幕)] 8点(2012-12-04 22:26:23)(良:1票)
20.  終の信託 《ネタバレ》 
観た後、うまく頭が整理できない重さを持った作品でした。 人生には仕事上でもマニュアルに沿って判断できない事がある。 この映画では、主人公は法によって裁かれてしまうわけだが、この映画では、仕事においても私生活においてもあらゆる局面においてマニュアルを用意しなければならない社会の不毛を感じる。 自分の仕事においても、問題が起こるたびにマニュアルが増えていく経験をしているが、マニュアルができることによって個々のケースで矛盾が生じることも、マニュアルの情報量が増えることによって個々の判断力が弱くなるという面も経験している。これから社会の中核を担っていくのは、かつてマニュアル世代と言われていた人々なので、どんなことでもマニュアルにしようとする怖さはあると思う。 この映画の医療の話でなくとも、男女の仲は法律的には白黒つけられない不可思議さや残酷さをはらんでしまうものです。 法律とはマニュアルの集積であり、厳格化、細分化すればするほど、矛盾をはらんでしまうものであるということをこの映画は教えてくれる。そして法律とは絶対万能の神が決めたものではなくて、人間が決めたものに過ぎないということを教えてくれます。国が違えば全く別の解釈もありうるわけです。 先日、最高裁判所裁判官の信任というものに投票しましたが、あまりにも法を司る者を信任する制度がブラックボックスになっていると実感しました。国民にとって判断材料がなさ過ぎます。 この映画に話を戻すと、この監督の撮り方は、今や巨匠の域に達していると言えるほど隙がなく風格を感じます。テーマがテーマだけに笑いを入れられないのだろうが、一息つけるような演出もあってほしかったです。 次回作はもう少し昔のような気楽な作品も観たいと思います。 
[映画館(邦画)] 8点(2012-11-09 23:27:04)
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