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しったか偽善者さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 75
性別 男性
自己紹介 かなりゆっくりですが、気まぐれにぼちぼちレビューしていきます。文章がヘタクソで背伸びして書いてますが大目に見てください。ストレス発散のため感情の捌け口として、ささやかな自己満足でレビューしておりますが、結果的に皆様を楽しませ、映画鑑賞のお役に立てれば幸いです。安っぽい正義感をふりかざしたような偽善的自己陶酔レビューが多いです。
「すべての作品を尊敬する謙虚な姿勢を失うことなく」、楽しみながら、かなり感情的なレビューをしております。クソ映画の弾劾は覚悟と労力を要し、めんどくさいので、あまりする気がありません(すべきなんでしょうけど)。基本的にお薦め作品の賞賛です。

大島渚「悦楽」、オリヴェイラ「神曲」、若松孝二「処女ゲバゲバ」など自分が新規登録要望した作品をレビューしてません。申し訳ありません。内容あるレビューをしたいと思ってたら腰が引けて時間がたってしまいました。とりあえず形だけでもこれからレビューしていきます。

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1.  シークレット・サンシャイン 《ネタバレ》 
自ら神に赦されたとする犯人の言葉は傲慢な神への冒涜。その言葉を聞いた主人公の神への逆恨みもお門違い。主人公は自分が最初に犯人を赦して優越感をもって犯人を見下すことにより癒しを得ようとしており、それは神の立場に立とうとする行為。こう考えればキリスト教自体が悪いわけでは全くないでしょう。この映画は宗教批判だとは言い切れません。最終的にはむしろ密かに宗教の中に希望を見出している作品かもしれません。しかし、単に不幸に陥った者の絶望と狂気や世の不条理を描いただけとも言えず、やはり一見罰当たり(?)でキワどい作品でしょうから、キリスト教徒が多い韓国でこれ作った監督の勇気は相当なものだと思います。それにしても、かなり精神的にキツい映画です。本作の「信仰」とか「赦し」とかいったものの本質に真剣に直接迫ろうとする迫力、その切実さは村上春樹「1Q84」など比べ物になりません。近頃では新興宗教なんかの勧誘をしつこくしてくる隣人を想像して他人事とは思えない人も多いんじゃないでしょうか?。狂気と紙一重の妄信の恐ろしさを身に染みて知っている人はこの映画をかなり切実に感じるのではないでしょうか?。静謐でゆったりした画面にただごとではない緊張感が漲っています。チョン・ドヨンの演技の迫力は尋常じゃありません。ストーカー的なソン・ガンホですら、これが普通だよといった感じで笑いになっており、彼の可笑しさや俗っぽい平凡さがちょっとした救いになっています。ラスト、ほんの少しだけ地面に降り注ぐ密かな陽光。私はどうしてもその光の存在自体を、そしてそこに表現された救いと希望を感じ取ろうとしてしまいます。「ベルイマンと比較すなボケッ!」と怒る映画通も多いでしょうけど、この映画はたぶん敬意をもってベルイマンを意識しています。そしてアジア映画である本作は信仰の表現にベルイマンにはない非西洋特有のリアリティがあり、日本人にもそこが切実に感じられると思うのです。結構お気に入りの場面は広場の集会で主人公が音楽を取り替えるところ。あのわけのわからん一見陳腐で可笑しなカオスには不思議な昂揚感があります。「オアシス」からさらにスケールアップしたこの監督、そこらへんの日本の監督とはちょっとレベル違うのでは?。日本の映画人は危機感持ってもいいんじゃないですか?。 
[DVD(字幕)] 10点(2010-07-05 01:17:18)(良:1票)
2.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
この映画には真に尊敬できる人生の先輩が命がけで何かを後輩に伝え残そうとする姿が描かれている。本作のウォルトとタオの関係は、もはや生ける伝説であるスターが、ひよっ子のような新人俳優に本気で何かを伝えているスクリーンの外の姿と重なって見える。それだけでも感動的だ。差別用語連発の偏屈な主人公だが、この映画を観て、彼が「理屈抜きに」尊敬すべき素晴らしい人間だということに異論を唱える人はいないはずだ。ハリー・キャラハン刑事が「理屈抜きに」強烈に強く正しくカッコイイのと同じように。人権大好きでサヨ的心情の持ち主である軟弱な自分にとっては、イーストウッドは偽善に対して鋭い何かを突きつけてくる巨大すぎる憧れの強者だ。ラストの主人公の行動は、微塵も暴力反対的なものなどではない。理屈じゃないのだ。あれほど崇高な自己犠牲であると同時にあれほど完璧な復讐でもある行為なんてあり得るだろうか?。イーストウッドは評論家などにやたら好かれているように思えるし、彼をけなす文章など自分は読んだことないが、それも仕方ない。理屈じゃ太刀打ちできないんだから(と理屈をこねている自分・・・)。自分は「ミスティック・リバー」がこれまで最高かな?(まだ観てない彼の作品多いんですけど・・・)と勝手に思っていたが本作の方が上だと思う。圧倒的に感情を揺さぶられボロ泣きだったのだから。/・・・・などと、興奮したままの勢いで、みなさんの高得点にも便乗して恥ずかしい賞賛をしてしまいましたが・・・最近映画館で泣いてばっかり。気に入った映画はパンフ買うんですけど最近買ってばっかり。どうしたんだろう?・・・・。残念だったのは休日で結構客多かったのにほとんど年輩の方(みんな泣いてた)ばかりだったこと。中高生こそこの映画を観るべきです。自分がタオくらいの年齢のときにこれを観てたら、たぶん今より少しは良い方に人生変わってたと思います。
[映画館(字幕)] 10点(2009-05-02 01:01:43)(良:2票)
3.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 
・・・意外に点数低いなぁ。私は世間の絶賛とアカデミー8部門受賞という本作の権威を笠に着て、大激賞のイヤらしいレビューをしますけど・・・みなさん泣きませんでしたか?。私はボロ泣きでしたよ。単純だからでしょうか?。/途中主人公が示唆するように、あの4択のクイズ番組って出題範囲などなく問題内容に出題者の恣意が許されてるので、解るわけない問題出すことなど簡単なわけで(極端なこと言えばみのもんたのプライベートな事柄出せばいい)、欺瞞に満ちたものです。最終的には出題者も左右できない「運」に結果が左右されるいいかげんなものです。安全な高みからうろたえる無知で貧乏な金目当ての解答者を小バカにする醜悪なものです。でも、それってこの世界そのものみたいじゃないですか!。だからこそ、少なからず冷酷な現実に拒絶され続ける我々はインドの視聴者たちと同様、身勝手に主人公を応援し、豊かなくせに彼に自らを重ね、世界を変えたいと願うのです。ムンバイのビル群を見下ろしながら今「世界の中心」にいるという兄のセリフは自己肥大の傲慢さから出たのかもしれませんが、あのシーンには妙な説得力とスケール感がありました。この映画には世界の核心、世界の全てが描かれているという錯覚(そんなわけないけど)を抱きました。本作は最高のエンタメであると同時に突き抜けた崇高さがあると私は勝手に思ってます。/前半のスラムの場面に顕著な全編に渡る疾走感と溢れる生命力は絶妙の音楽とポップな映像に支えられています。もはや風格漂う王道の派手さ、悪趣味さ、カッコ良さじゃないでしょうか?。オペラでも恥ずかしいような純愛は、当初より示される「運命」的な(作られた)全体の構成からすれば当然のこと!。所詮戯れの作り事であることを忘れさせる壮絶な展開をファンタスティックに染め上げるラスト。その快感の余韻は極上!。鑑賞後、なんかこう生きる気力みたいなもんが湧いて元気が出ました。映画ってそれが最高で、それだけでもいいんじゃないですか?。自己満足でもいいです。なんか今後0点もつけられそうな映画ですけどね・・・。 
[映画館(字幕)] 10点(2009-04-24 20:53:47)(良:5票)
4.  シンドラーのリスト
人類史上指折りの悪行を描くのにお涙頂戴のシーンを入れてエンタメとして描くとは何事か?という批判は無視できないと思う。不必要にハラハラさせて安っぽくて不謹慎というのもあながち間違いではないかもしれない。賞狙いの意図や技巧的な部分のあざとさを感じ取れないこともない。でも、私は学生の頃、本作を観て映画館で泣いた。シンドラーが列車に水をかける行為にすらジーンとした。そのことで今でも私は恥ずかしいとは思っていない。単純なバカと思われても結構だ。本作は監督の出自からして、己の信念とアイデンティティをかけて作った映画であるに違いない。感情的に作った映画だろう。そこに不誠実な所は感じられない。スピルバーグのカメラは登場人物目線で、まるでその場で見ているかのような、いわば現実以上の臨場感、リアリティを映し出す。本当に撮りたいものをエンタメ畑で鍛え上げられた腕で撮った彼によらなければこんな心のこもった映像作品は作れないだろう。思うに、本作を貶める一方で客観的であるかのようにみえる冷静で多角的なドキュメンタリーを過大評価すべきではない。「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いに論理的に答えるのは不可能だが、この映画は個人の尊厳を踏みにじる行為が悪であるのは間違いないと理屈抜きに観客に確信させる。虐殺や人種差別の悪逆非道を憎む当然の感情を呼び起こし、その正当性を確認する。本作が偽善ならば偽善のどこが悪いのだろう?。この映画の力の前で偽善と言うのは空しいと思う。 その衝撃と強度によって芸術は倫理を支える力があると私は信じる。
[映画館(字幕)] 10点(2008-08-27 19:21:21)(良:2票)
5.  山椒大夫
すでに技術に詳しい方々が映像の美しさ、構図の見事さにつきたくさん言及されてますが、私にはそういことができる能力がないので、自分なりに技術以外のことでこの映画を賞賛したいと思います。私は本作は冷静に観れません。メチャメチャ青臭いヒューマニズムに感動して泣きます。慈悲の心による自己犠牲を説き、人は平等で「幸せに分け隔てはない」という「父の教え」は普通なら口にするのも恥ずかしいようなクサい言葉ですが、でも、本作を観た後にこの教えをバカにするのは難しいと思いますよ。本作を観ると、日本の歴史は人権無視の世界で展開してきたんだよな・・・(まあ当然ですが)というラディカルな考えが湧いてきて、なんか能天気な時代劇全てに欺瞞を感じさえもします。たしかに現代の人権思想をあの時代に引き移しているような違和感は多少あります(見かけは御仏の教えからくる慈悲の心がヒューマニズムの根拠ですが)。でも、それでいいじゃありませんか。人権の親玉みたいな顔してるアメリカの映画でもこんなのなかなかないですよ。キャプラ映画の演説なんかより全然心を打つ迫力がありますもん。【りく&あん】さんがおっしゃるとおり↓わかりやすさ、面白さも負けてない、いや勝ってるし。それでいてこんな美しい映像の格調高い映画は奴らには作れんですよ。本作は外国(の評論家の間)で評価が高いのか外国人の評論家が褒めてる文章を何度も目にしたのですが(アメリカでは一般には全然知られてないらしいけど、日本でもそうか・・・)西洋人からすれば自分らの土俵で負けてる気がするんじゃないですか?。ヌーベルバーグは溝口監督の映像美や技術に驚いたのかどうか知りませんが、この映画が外国の人々を引きつけるとしたらその理由は何よりも強烈に各人のヒューマニズムを刺激し、普遍的に人の心を打つからでしょう。
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-10-30 22:48:46)
6.  叫びとささやき
以前テレビで楳図かずおの部屋が紹介されてましたがどこもかしこも真っ赤でした。あんな部屋にいたら少しは精神的に影響があるかと思います(楳図作品から想像するに・・)。私は本作を観てる間、妙に不安で落ち着きませんでしたが、赤い部屋の影響かも?と思ってしまいました。本作は何事も起こりそうにないほど静かなのに、何が起こってもおかしくないと感じられる恐怖に近い緊張感が画面から伝わってきます。ベルイマンを観た後ではそこらへんの監督に対してセンスがあるなどと褒めるのは恥ずかしくなります。宗教や人生の意味などに関する思想については、私には語る能力がありませんので、以下、自分に引きつけた私的な感想を述べたいと思います。私は特に登場人物の徹底的な孤独に心揺さぶられました。妹に触れられることすら拒否するコミュニケーション不全のくせに人格同一化のような親密な愛を求め、偽善を徹底的に憎む長女。偽善を肯定し、愛に対する諦念が心にひそむ三女。凄まじいくらいの孤独を目にして心が痛いです。監督は愛や人間同士のつながりを徹底的に疑いながら、それでも必死に(次女が姉妹にすがりつくように)奇跡のようなものを追求しているかのようです。人間は普段こんな突き詰めたところで生きちゃいないでしょう。正常な人間は描かれてないのかもしれません。でも私は、私自身が人間失格なのかもしれないけど、この映画に真実を突きつけられてるような気がするのです。
10点(2004-08-03 22:38:38)(良:1票)
7.  サクリファイス
私のタルコフスキー初体験はこの彼の最後の作品でして、その後「ノスタルジア」を鑑賞し、遡るように観ていきました。当時、これまでなんでこの監督の作品を観なかったんだと悔やんだものです。マニアの方はこの作品に10点つけるのはわかってねえな、とか思うでしょうし、嫌いな人は高尚ぶりやがってと思うのでしょうが、初体験の衝撃が忘れられないんですよ。すげぇ、こういうの観たかったよぉ~って感じ。「自分にはわかる」みたいな身の程知らずな自惚れた自己満足に浸っているのかもしれません(すべての芸術への感動にはこの自己満足が大なり小なりつきまとうと思いますけどね。)。しかし、そんな簡単に私ごときに理解できるわけありません。すごく感じるのはこの作品は(他のもそうだけど)監督のかな~り個人的な体験や思いと切り離せないということです。一個人にはおこがましい世界救済の誇大妄想なんてガキの頃はよく頭に浮かぶと思うんですが(そんなことないですか?)、この話はガキの頃見た夢の話みたいな個人的妄想に近いのでは?と思います。でも、私なんかも冷戦末期の少年時代にはよく頭に浮かんだ核戦争勃発という妄想は、冷戦を生々しく切実に生きてきた監督からすれば実体験に近いのかもしれません。差し迫った自らの死を見つめているかのようですし、鬼気迫るものが感じられます。語ると陳腐になるし、私みたいなバカはもうあまり語る言葉を持ちません。この映画の鑑賞は嬉しい未知の体験でした。よく眠くなるって言われるけど、そうかなぁ?。「理解するのではなく感じる」というのは思考停止の欺瞞だと思ってんですが、タルコフスキー映画はそういう鑑賞態度でつい観てしまいます(自分にはなかなかわかんないから。悪あがきはしますが。)。圧倒的な詩的映像美は私が語ると嘘っぽいし、私が語るまでもないですが、好き嫌いが分かれるようなレベルを超えちゃってる(分かれるでしょうけど)と思いますよ。ほんとに。
10点(2004-03-07 21:14:17)
8.  素晴らしき放浪者
「黄金の馬車」や「ゲームの規則」などのように、うわぁ、おもしれ~と拍手してしまうような作品ではないと思います(そりゃ人それぞれでしょうが)。正直ドラマの盛り上がりには欠けると思うし、感動的な話でもないですし・・。喜劇ですが娯楽性がこの作品の真髄だとは思いません。私個人は笑えません(ど~せ笑いのセンスがないですよ。)。笑うどころか不快でした。既成の常識的価値観を揺るがす型破りに自由な人間の生き様を見せつけられるんですが、浮浪者を羨ましいとは思いませんから(強がりかも・・)、家の中を散らかすブーデュの振る舞いにコノヤロ~とひたすら腹が立ちました。自由すぎます。本屋の親父もブルジョワとはいえ、書生の名を「青春」と呼んで本をプレゼントしたり、不倫してたり、望遠鏡から一目でブーデュの「素晴らしさ」を見抜いたりと、なかなか洒落たおっさんなのですが、ブーデュとはサリエリとモーツァルトの違いがあります。この不快さは現実のしがらみにがんじがらめになってる私のルサンチマンから来るのでしょう。ブーデュみたいな奴実際にはなかなかお目にかかれないでしょう。存在しないかもしれない。でも、とても生々しく心を揺さぶられました。リアルです。本作は楽しむ作品というよりも心に突き刺さる芸術作品と呼ぶにふさわしい映画だと思います。河のシーンは言うに及ばず、さりげなくも艶やかな映像は素人目にも芸術的です。それにしてもラスト。それまで不快ですらあったのに結局幸福感を味わえました。自由人への憧れを描いても、現実の小市民が愚かとは言ってません。
10点(2004-03-03 22:24:27)(良:1票)
9.  トスカの接吻
オペラ作曲家ヴェルディが遺した老音楽家たちが余生を過ごす憩いの家「カーサ・ヴェルディ」。この中にカメラが入り、かつてのスター歌手、作曲家たちの姿を撮影した異色音楽ドキュメンタリー。老人のしつこくうざい自慢話炸裂。衰えた声で披露するオペラアリア。痛々しい。なんか可哀そう。あんまり。犯罪的。老人いじめ。いくら老人たちが嫌がらず嬉しそうにしゃべってるからってこの撮り方は詐欺だよ。老人たちはこんな描き方されてんの知ってるのか?。はっきり言ってイヤらしい覗き趣味の意味不明な映画。経営に苦しんでいる財団の弱みにつけこんで撮影許可もらったんじゃないかと勘繰ってしまう。かなりのオペラ・マニアらしい監督のゲスな自己満足だ。こんなの映画じゃねえよ。オペラ観たかったらオペラを観ろ。老人の歌聞かされても退屈なんだよ。最後まで観れねえよ。高尚ぶった気取り屋ナルシーのオペラ好きが勝手に自己満足してろ・・という罵声が聞こえてくるような映画。真面目なレビューは他の方にまかせます。胸糞悪いうんちくたれるのはやめときます。最近、「フィツカラルド」レビューしたり、オペラづいてたんですが、こんなの新規登録してる時点で嫌われてそうなんで(自意識過剰の被害妄想?)臆病者はもうオペラネタやめます。
10点(2004-02-26 22:19:31)
10.  フィツカラルド 《ネタバレ》 
やっぱ点数低いですね。西洋至上主義的な傲慢さやオペラの高尚ぶった貴族趣味も鼻につくし、無意味な徒労というオチには脱力する人もいるでしょう(わざとそういう風に描いてますけどね)。音楽が流れる以上、オペラ嫌いだったら内容以前に拒否反応があるかもしれません。でも、やっぱり私は好きです。これは空前絶後の無茶苦茶なバカをやって、とんでもないバカを描いた映画です。こんな映画を撮ること自体が凄まじいバカで、この迫真のバカさ加減はちょっと真似できないでしょう。たしかにヘルツォークやキンスキーは病院行った方がいいかもしれません。他ではなかなか味わえないこのバカさ加減に私は感動しました。しかし、あのバカは笑えません。とても哀しい。資金繰りの情けなさも含めて夢見る主人公のマヌケな姿の哀れさがなんか痛くないですか?。最後船上のオペラで笑みを浮かべる主人公がとても笑える状況にないってことが怖くないですか?。人の迷惑考えず食堂でオペラのレコード流す主人公のように好きな映画を人に薦めたことないですか?。主人公の気持ちに共感してしまったらそれこそアブナイ人ですが、他人事とも思えません。ピーター・ジャクソン「乙女の祈り」でも感じましたが、甘いテノールの歌声は狂気や幻想によく似合います。船が登る時の「ボエーム」、着水時の「リゴレット」、急流での「ランメルモールのルチア」、そしてラストの「清教徒」。船の進行とともに流れる歌は不思議にマッチして美しかったと思います。オペラファン(カルーソーの輸入盤揃えてるようなマニアじゃないですけどね、CD持ってるけど)だから冷静に観れません。イヤらしい自己満足もあるのでしょうけど、やっぱ10点。
10点(2004-02-24 22:10:24)(良:1票)
11.  イワン雷帝
面白い。とにかく面白い。ちっとも長いとは思わない。真の大河ドラマとはこの作品のことだ。評論家が有難がるための映画ではない。知ったかの私は映画の話になったら通でもないのに通ぶってこの映画を絶賛して人に薦めるが、それは本当にこの映画が面白くて心底その人に見てもらいたいから(余計なお世話)。印象に残る場面はたくさんあるが、例えば第一部のラスト、イワンの横顔のアップの向こうにロシアの果てしなく広大な大地が広がり、どこまでも人民の列が続いているかのように見えるあのショット。凄い。鳥肌もの。私は映像というものは基本的に自分勝手な感性でとらえているのだが、名作扱いの先入観があるにせよ、この作品には映像の力を圧倒的に感じさせられる。表現者でも評論家でもない私は技術論にはあまり興味はなく、美しさに感動しても美しいものを作る技術にそれほど思い入れはない(両者は不可分のものだろうが・・)。モンタージュ理論とかいうのも、作品が自分にとってつまらなかったり、美しくなかったりしたら知ったこっちゃない。しかし、エイゼンシュテインの技術が革新的で映画のお手本と賞賛されるのは本作が徹底的に面白く、映像が素晴らしいと感じられるからこそ、きっと技術が凄いんだろうなと納得である(他の監督の「市民ケーン」や「ゲームの規則」など技術が褒められる映画も同様)。美しさに心奪われた後に、美しいものを作る技術について知るのも奥深く楽しいことなのだろうが、作り手側の視点が不可欠と思われ、自分は腰が引ける。モンタージュ理論の中身などに踏み込んでいくのは将来の楽しみにしている。バカがばれるのでこの辺で能書きはやめよう。本作は個人的に小説「カラマーゾフの兄弟」と並んでに未完が残念で仕方ないロシアの芸術作品。プロコフィエフの音楽(「アレクサンドル・ネフスキー」も良いし、喜劇オペラ「三つのオレンジへの恋」も好き)がバリバリ使われてるのも個人的に嬉しい。ちなみにイワン死後の動乱時代を描いてるのがムソルグスキーのオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」(有名なオペラ映画がある。また知ったかぶり・・・)。
10点(2004-02-23 21:59:05)(良:1票)
12.  そして船は行く
サリーちゃんのパパとかパタリロみたいな人が出てきますよね、これ・・。これは凝った映画です。冒頭、サイレント映画のように始まり、全体としてはいわゆるグランド・ホテル形式。船上を照らす幻想的な青白い月の光、優雅で贅沢な船室、ボイラー室での見栄をはりあう一流オペラ歌手の歌合戦・・などなど、雑多で魅力的なイメージに溢れ、特にストーリーがない進行にも退屈しません。満月を背にした美少女のショットには見とれてしまいます。ややギャグっぽいけどヴェルディ「ナブッコ」のあの準イタリア国歌的合唱が響いたときは、そのハマリ具合にドキッとして、やられた~って感じでした。その後のなだれこむような収束もメリハリ利いてていい感じ。「運命の力」「アイーダ」「椿姫」とヴェルディのメドレーみたいな音楽に満足。オペラやオペラファンの権威的で貴族趣味的な醜さや陳腐さを皮肉りまくっても、やっぱり監督はヴェルディそしてオペラを愛してますね。ドビュッシーとかシューベルトとか「皇帝円舞曲」だとかも使われてて、傍からみれば鼻につくオペラファン、クラシックファンの自己満足も満たしてくれます。しかし、オペラが嫌いで、この映画を観ないのはもったいないと思います(私のいや~なレビューでこの作品を嫌わないでください)。たいしてマニアってわけじゃないけどオペラ好きな私なんかは冷静な目で見れないから、10点しかつけられないんですけど、本作にはフェリーニの厳しくも温かい人間観察の視線が感じられると思うんですが・・・。監督は、自分を権威に祭り上げる世の中を、そして権威となった自分自身を笑い、哀しく見つめているような気がします。
10点(2004-02-11 19:29:55)(良:1票)
13.  黄金の馬車 《ネタバレ》 
この映画も私なんぞ語るのが恥ずかしいような大傑作です。大好きです。「ゲームの規則」と甲乙つけ難い。映画全体が幕が開いて始まる劇中劇という重層的な構成(構成自体がインパクトある重要な表現。ネタバレ)。イタリア喜劇芝居にアンナ・マニャーニとイタリア色が強いのですが、アメリカ興行を意識してセリフは英語であり、南米スペイン植民地が舞台で、独特の不思議な雰囲気があります。ヴィヴァルディの軽やかな音楽が響き、色鮮やかな衣装に目を奪われ、決闘のチャンバラ?はアクション映画みたいなカッコ良さ・・と、派手なタイトルどおりの贅沢な映画です。最高のドラマの盛り上がり。鑑賞後の豊かな極上の余韻。恋のもつれのドタバタ劇が全人類的な人間愛の物語にさえ思われます(おおげさ?)。ところで、男には惚れた女はみんなカミーラみたいに見えるんじゃないでしょうか?。私なんか女はみんなあんなものと思ってます(すいません)。あれは究極の抽象化された女性の姿です(溢れる野性味と下品な笑い声と生々しい肉体はかなり個性的なんですけどね)。男が狂うのは、カミーラみたいな女性を相手に重ね合わせた幻想に対してかもしれません。「どこまでが芝居?。どこまでが現実?」という彼女のセリフは恋に落ちた男のためにこそあるセリフでしょう。闘牛士が庭でギターを持って歌う姿を私は笑えません。あの弄ばれトリオはみんな応援してしまいます。カミーラさん、男の器量を蔑むのはあんまりです(フェミニストの方、どうか許してください。)。「ゲームの規則」が「フィガロの結婚」なら本作は「コシ・ファン・トゥッテ」?。
10点(2004-02-08 20:14:54)(良:1票)
14.  ゲームの規則
「恐ろしいのは、人間誰しも言い分があるってことなんだ。」というのはここのレビューに当てはまる名言ですね。この世界映画史上の傑作と太鼓判を押されている本作を私ごときが拙いレビューすること自体恥ずかしいのですが、素人のたわいのない感想をお許しください。レビューのラインナップに箔をつけるゲスな意図がなきにしもあらずということを正直に告白します。しかし、いや、もう、圧倒されるばかりですね。これは。豊かな、あまりにも豊かな表現とでも言うんでしょうか。ゴダールは第二次大戦の予見で一つの時代の終わりだと批評したそうですが、哲学的に「祝祭(カーニバル)」とかうんちくたれることもできそうだし、現代社会へ引き付けての批評などいろんな語り口を許しそうで、とても一筋縄ではいきません。こう書くとスノッブな感じですが、評論家のものにしておくのが勿体無い面白さです。全く小難しくないハチャメチャなストーリーの裏に広大な世界が広がっているように見えるのです。観ている間はただ喜怒哀楽の波に飲まれるばかりですが、鑑賞後の余韻がこんなに豊かな作品てやっぱないですよ。元ネタの一つ「フィガロの結婚」と原作同じなあのオペラの神懸り的音楽から感じられる人間の優しさや人生の哀しさと似たようなものをこの映画の画面から感じるというのは大げさでしょうか?。ああ・・また作品の権威を笠に着た大絶賛をしてしまった。それにしても熊の着ぐるみ可愛くてしょうがないなぁ・・。
10点(2004-02-06 23:22:39)(良:1票)
15.  チャップリンの殺人狂時代
あまりに直球勝負な戦争や軍備への強烈な批判。メッセージを直接しゃべってます。ラストにあの幾つかの名台詞を言うためストーリーを冗長に積み重ねているとさえいえるかもしれません。しかし、現代の我々にとっては、前振りとして作りこまれた(?)人間味溢れる作品世界こそ重要な意味を持つのではないでしょうか?。30年銀行勤めの末、大不況のリストラで失業した主人公。この設定が他人事でしょうか?。あの連続殺人犯はいかにも今のニュースに出てきそうです。本作品は、現代社会の様子が時代を超え抽象化されて示され、アイロニカルでユーモラスな現代の寓話として普遍性を持つに至っていると思います。自らの立場を賭けた捨て身のチャップリンの表現に偽善などとケチをつけるには相当な覚悟がいるでしょう。私はシニカルな鑑賞態度は好きじゃありません。不条理な世界にあえて善や悪の姿を説得力をもって差し出す表現こそ心を打つのです。それを正面から受け取りたいです。チャップリンの説得力は最強です。主人公が法の手から逃れようとするスリルもたまらず、サスペンスとしても上出来で十分楽しめます。おばさんたちへのキザな口説きの美辞麗句も面白いですね。
10点(2004-01-24 22:00:55)(良:3票)
16.  シェルブールの雨傘
オペラに慣れきってる人間なら全部歌なんてなんの違和感もありません。踊りまくるミュージカルにかえって違和感あったりして・・。欲を言えばそれぞれのキャラクターにしっかりしたアリア・・じゃなくてナンバーをもっと歌わせて聴かせてくれれば良かったのに・・と思いましたが、リアリズムも追求してるので、ラストを無理に盛り上げずに終わったことも含めて仕方ないんでしょう。一方で舞台や設定の不自然さの排除、他方で音楽にとことんこだわった理想追求の志の高い作品だと思います。古風かというとそうでもない。かえって新鮮。ミュージカル嫌いでもこの作品は良いという知人もいました。優雅なのに切ない音楽、洒落たおふらんすの香り、カラフルな映像、カトリーヌ・ドヌーブの美貌、などなど褒めるところばっかし。未見の方、少々の違和感はささいなことです。楽しんでジーンとしましょう。
10点(2003-12-10 01:42:50)(良:1票)
17.  サーカス(1928)
個人的なことでしかありませんが、私はチャップリンの映画では基本的に笑えません。クスッとはしますが、腹かかえて笑ったことはないです。くだらんテレビタレントの下ネタで大笑いすることがあっても。お笑いってすごく時代的なものだと感じるんですけどね。本作品も腹抱えて笑ったわけではありません。しかし、しかし、しかし、うまく言葉で説明できないけど、この作品は笑えるかなどという次元で考えちゃ悪いような気がします。凄い。とにかく何が凄いのかわからないけど凄い。そのへんのタレントと比べちゃ失礼極まりない芸人根性と得体のしれぬ迫力のようなものが強烈に感じられました。ラストシーンは頭の中に焼きついて離れません。
10点(2003-12-05 21:09:51)(良:1票)
18.  大いなる幻影(1937) 《ネタバレ》 
この映画は、作品世界自体が「大いなる幻影」であるという切なさが心に迫るってくるし、優しさがキャラクターに溢れていて(悪人がほとんど出てこない)、それぞれの人間関係に胸を打たれた。おそらく幻影であろう男女の再会を願ってやまない。反戦映画としても素晴らしいと思う。でも、こういう映画って評価しにくいなぁ・・褒めるしかないみたいな・・アラを探すこと自体映画そのものにツバ吐くことに思えるし・・。しかし、そういう権威としての地位を確立してるのも、その権威自体も作品の力だと思う。私は映画の完成度、歴史的意義、読んだ評論、時代背景など個人的感動とは無関係とも思える要素も、その映画の評価とは切り離せないと思ってるし、名作をありがたがる自己満足など非難してもしょうがないと思っているので、自分はそういういやらしい権威に媚びた意識が感想に影響したことをおおいに認めて10点。豪華キャストの名演技、パイオニア的映像テクニック。そういう解説本に書いてたことへの賛美も含めて10点。
10点(2003-12-05 19:14:50)(良:2票)
19.  二十四の瞳(1954)
人口少ない海辺の村、まるで自分の小学校時代(すでにこの母校は過疎で消滅、当時も同級生の瞳の数は24より少なかったですけどね)。この映画をはじめて見たのはたしか小学校の授業かなんかでビデオ見せられたとき。そのときは戦争って嫌だなあ程度の感想。中学に入って原作読んだら本を読んで泣いた初めての経験を味わう。風景がほとんど実体験のように目に浮かぶし(時代が違うけどね)、滅茶苦茶思い入れが深い作品となる。そして、テレビで再び映画を見てこれまた感動。使用される歌がいいなぁ。後年、再びこの映画を見たのは長距離バスのビデオで。すごいぞ○○バス!と思っていたら、上映終わってビデオデッキに差し込まれた次の作品は「マネキン2」・・。自分の中では原作は世界一の反戦小説(反戦小説なんてろくに読んでないけど)であり、この映画も文句なし10点。/(追加)ちょっと前にデジタルリマスター版を映画館に観に行きましたし、DVDも買っちゃいました。正直、ちんたら間延びした感じはするんですけど、監督が意図してるか否かはともかく、それも一つの表現じゃないでしょうか?。この映画がテンポ良かったり、理知的だったらヘンです。この作品に対するあらゆる偽悪もシニカルな批評も生半可な内容では太刀打ちできないでしょう。これはそんなほとんど危ういほどの自然さを持った映画です。私のレビューと正反対です。
[映画館(邦画)] 10点(2003-12-03 23:08:49)
20.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 
ブラボー。パーフェクト。いまさらいろいろほめてもしょうがない大傑作ですがほめずにいられない。よく言われることですが、恐るべき脚本なんでしょうね。陪審制に関してですが、疑わしきは罰せずの原則や少数者保護の精神、証拠事実を大切にして議論を尽くし筋を通す姿勢などが不可欠の前提ですよね。そういうたてまえが十分に確保されていたら、ムカつく純粋培養エリート裁判官一人よりもそこらへんの十二人で判断する方がいい。私は陪審制賛成ですが、そういうたてまえが確保されそうにない今の日本で採用するにはプラスアルファがいろいろ必要だと思います。この事件の真相はまさに神のみぞ知るですが、神が有罪と知っていたとしても、陪審員が無罪としたのならこの少年は無罪なんですよね。だって人間の知恵では無罪としか考えられないんですから。長々と映画レビューで偉そうに自己満足で陪審制について書いてしまった。たまにはこんなのもいいことにしてください。
[ビデオ(字幕)] 10点(2003-11-30 21:47:17)(良:1票)
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