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南浦和で笑う三波さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 210
性別 男性
年齢 62歳
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1.  フェイス/オフ
 入り方がうまい。冒頭の聖歌隊の若い女性と主人公の片方とのやりとりでインモラルな内容の映画だということを予告し、また、離陸直後で燃料満タンの飛行機に大爆発が起きなかったことで、リアリテイを追求した作品でないことを観客にほのめかす。その後の展開も、冒頭での予告どおり、全篇、インモラルでリアリテイのかけらもないシーンで首尾一貫する痛快なアクション・コメディ(コメディとしたのは主人公二人の役柄設定はコメディの古典をアレンジしたものだから。そのほかブラックなジョークが随所に見られる)。  しかし、インモラルなのは大人だけで、登場する子どもにはモラルを求め、インモラルな部分をできるだけ見せないようにしているのが、この作品に流れる倫理観。その意味では保守的であり、インモラルな内容でありながら安心してみることができるという奇妙なバランスが出来あがっているように思った。銃撃シーンで子どものヘッドフォンから漏れ聞こえる音楽にあの名曲を持ってきたセンスには脱帽。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-21 12:25:46)(良:1票)
2.  ワンダフルライフ
とあるシーンがあると聞きつけたので鑑賞。観るまで是枝監督の存在自体全く知らなかったのだが、自分と生まれ年が同じで1962年生まれとのこと。それでハタと思ったのはこの監督は学生時代に当時翻訳されたスタッズ・ターケルの「仕事!」を読んでいたのではないかということ。脚本を作るにあたって、相当な人数の人にかたっぱしからカメラを回しながらマイクを向け、その人の天国に持って行きたい思い出を取材し記録したということだが、ターケルがテープを回しながら、同書の取材で様々な職業の人に自分の言葉でその人の仕事を語らせ録音し、それをそのまま文字にして成功した手法を彷彿とさせる。是枝監督がターケルを読んでいたか否かは単なる私の趣味でどうでもいいが、記録装置を存分に使って、同じテーマの問題をおびただしい人数の人に聞き、その反応を余すことなく記録し、それをもとに作品を作り上げるという手法は、人間存在に深く迫った作品を作る手法として、ノンフィクションの活字作品だけでなく、フィクションの映像作品にも有効に機能することが示された作品であったと思う。観ている間、登場人物に感情移入している時間と、自分の過去を思い起こしている時間が何度も何度も交差する、一種不思議な体験を味わわせてくれた映画であった。
[ビデオ(邦画)] 9点(2006-12-21 01:19:08)
3.  日曜はダメよ
ギリシアのとある港町が舞台。港で働く男達のアイドルとなっている蓮っ葉な女が主人公の映画。ギリシア哲学や悲劇の知識が要求されているような気がして、あまり気楽に楽しめなかったが、最後、トイレに閉じこもった楽器弾きの男の心を溶かす主人公の機転の効いた科白が心に残った。
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-03 09:57:55)
4.  海外特派員
ハラハラドキドキシーンが寄せ鍋の具のように豊富な映画。新聞社の屋上の地球儀、アムステルダム郊外の風車、飛行機のプロペラなど、回るものづくしの遊び心が発揮されている節もある。主要な登場人物が使う乗り物は、ロンドンのタクシー、アムステルダムでの自家用車、ケンブリッジへ向かうオープンカー(ヒッチコック作品に頻出するが、この映画でもクールビューティ系がオープンカーを運転するシーンがある)、ドーバー海峡を渡る船、イギリスからアメリカへ飛ぶ飛行機、大西洋の荒波を走る軍艦と多種多様。暗殺あり、カーチェースあり、危険な場所への潜入あり、落下あり、砲撃あり、墜落あり、漂流ありと息をもつかせぬ展開が国境を越えたスケールで繰り広げられ、上映時間の長さをほとんど感じさせない。当時なかった言葉ではあるが、ジェットコースタームービーの元祖的な作品と呼んでもよいのではないかと思う。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-18 19:40:16)(良:1票)
5.  天使のくれた時間 《ネタバレ》 
20世紀最後の年に作られたクリスマスムービー。いつもは車で帰る主人公が、たまたま歩いて帰ったために、生死の境をさまようような体験をし、その体験で縁ができた黒人があたかも奇妙な能力を持っているように思わせる語り口が秀逸。本当は一人のビジネスマンがイブの夜に夢を見ていただけなのに、この語り口があることで観客は自分が観ているシーンが、偶然出会ったその黒人が引き起こした不思議な現実のように思って見入ってしまう。おまけに、ビデオで自分の過去を回想するというダメ押しがあるので、すっかり夢であることを忘れさせる作りになっているのがうまい。さらに、慣れ親しんだ生活をいっぺんに変えてしまうような思い切った決断ができるのは実は女で、男は今までの生活を一変させるような決断をなかなかできない動物であるという、男と女の本質的な違いを捉えきった脚本なので、ファンタジーでありながら、圧倒的な現実感、というか、身につまされ感がある(女の主人公は、夢の中で一度、現実のラストでもう一度、思い切った決断をしている、対して、男のほうは、終始慣れ親しんできた生活への未練が決断の基礎となっている)。最後のコーヒーを飲みながらの語り合いのサイレントシーンは、作品中では全く見せなかった現実の二人の13年間の別々の人生に思いを馳せさせ、余韻が深い。(2005/12/18追記)天使が誰かについて一晩考えたが、イブの夜の誘いを実家に帰ると断った女以外にはありえないと私は思う。ほとんどすべての出来事は、彼女がくれた時間に起っている。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-12-17 09:10:16)(良:1票)
6.  深く静かに潜航せよ 《ネタバレ》 
兵は詭道なり、ではないのだろうが、題名からして偽装工作である。タイトルとは反対に浅く早く潜航する訓練ばっかりやっている映画。艦橋に取り残される男のエピソードや、何気なく聞かされる平底船をなぜ狙わないかの艦長の説明などが後々の展開に効いてくるのがドラマ作りとして巧み。日本の爆撃機が二度にわたってピンポイントに殺到してこれる理由がさっぱりわからない点と、クラーク・ゲーブル演じる艦長の執念深さの説明が不足なのがやや不満だが、潜水艦映画はこれに限らず第二次世界大戦の時代のものが圧倒的に面白い、ということを改めて感じることとなった。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-11-02 22:07:57)(良:1票)
7.  マカロニ 《ネタバレ》 
タイトルに作り手の意気込みを感じる。何故に「マカロニ」なのか。多分、これぞ外国人に誇るべきイタリアといえる映画を作りたかったからではないだろうか。そして、それに成功しているように私には思える。だからこそ、文書保存室に部外者がすたすた入ってこれてしまうセキュリテイの甘さとか、わがままなVIPのために離陸を遅らせたりとか、あまり積極的には撮って欲しくないようなシーンを、ナポリ銀行やアリタリア航空が許容したのではないだろうか。ストーリーの語り口、伏線の貼りめぐらせ方はお手本のように見事。ジャーナリストの質問で航空機メーカーの重役がナポリを何十年も前に訪れていたことが明かされる点、文書保存室で仕事中にもかかわらず帽子を被ったままタイピングしているのをユーモラスに見せているところ、10時間で10年分の衝撃を与える飛行機の耐久テストの話を聞き、それを「ひどいな、人間に同じことをしたらどうなる。病気、喜び、悲しみ、恋愛、災難、それが一日に襲い、夕方には40才年を取っている」と人間に置き換えた何気ない車のなかでの会話。40年前にもらったZippoのライターをさりげなく取り出すエピソード、占いをする母親の御宣託、子供のころに泳ぎにきていた場所で明かされる1時という時刻の持つ特別な意味、などなど、それらこれらがすべて後の展開に効いて来るので、映画は脚本だと思っている人にはこたえられない作品ではないだろうか。ただひとつ難を言うなら、イタリア人の主人公は、しょっちゅう海外旅行に出かけていなかったとするなら消印の偽造に長けていたとしか考えられず、そのような技術をもっていれば500万リラ程度の金はなんでもないはず。という意地悪な感想をもったのは後知恵であって、観ている時は名優二人の演技にただただ魅了され、画面に引き込まれていた。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-10-02 15:01:56)
8.  芝生は緑 《ネタバレ》 
前半のアメリカ人の男とイギリス人の人妻が出会ってから親しくなるまでの会話の場面で同じ英語国同士の文化の違いがネタにされている。アメリカ人や、イギリス人なら微妙なニュアンスがわかって面白いのだろうが、日本人の私としてはそこのところがさっぱりわからないのでフラストレーションが溜まる。ただし、通常、この手のストーリーは「知らぬは亭主ばかりなり」というのが相場だが、この作品では亭主がやけに鼻がきくのが設定としては面白い。長科白が気にならない私としては後半にかけて結構面白く観る事ができた。自ら3ポンドの給料減額を申し出るほど暇だった執事が、最後の最後に大仕事をしていたのもなかなかの意外感で、ビデオの前で思わず手を叩いてしまった。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-01 22:05:58)
9.  カサブランカ
最初に見たのは多分中学生の時。当時流行っていた「ベルサイユのバラ」で今のフランス国歌がどのようなものなのかをかじっていたので、歌合戦のシーンで熱くなったのを覚えている。その後何度も観ているが、現在の私にとっては、これは、俳優ではなく、酒場が主役の映画。個人的な感触では、酒場の映画と聞いてこの映画をあげる店主が開いている店にはまずはずれがない。突っ込みどころとしては、確かに美人なのだがスウェーデン出身の大女をどのように撮っているかが面白い。バーグマンはボガートより身長が若干高いはずなのだが、フランスにいたころの回想シーンなど、二人が並び立つシーンでは、ボガートの方が背が高く撮られている。多分、上げ底の靴を履かせたか、「雪洲」させたか、何がしかの工夫がされたのだろう。ラズロ役に身長190cm以上の役者を配したり、最後の飛行場のシーンのように、男二人はまっすぐに、女は斜めに帽子を被らせたりなど、なんとかしてバーグマンの背の高さを目立たせないような演出をしているところに作り手の苦労の跡が見える。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-09-11 16:54:05)(良:1票)
10.  どつかれてアンダルシア(仮)
レンタル店で邦題につられて思わず手に取った作品。ブルーノが警官に尋問されて女を売ってしまうシーンなど、とても可笑しいんだけど、男として心の底から笑えない笑い、とでもいうのだろうか。なかなか皮肉の効いた笑い満載のコメディである。同い年のスペイン人だったら、しばしば挿入される同国の歴史的なイベントの映像になじみがあるので、より惹き付けられて見る事になっただろう。また、ユリ・ゲラーはスペインでもブームになったらしいこともわかる。これで、コンビ二人のどつき漫才自体が笑えるものであったなら大傑作だとおもうのだが、、、。その点だけが残念である。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-07-23 17:08:50)
11.  タンポポ
日本映画というと、たいがいの海外の人が思い浮かべるのは時代劇か、アニメか、怪獣特撮ということになるのだろうが、どっこいコメディも世界に十分通用するということを示した傑作。とはいえ、後の「Shall We ダンス?」のように日本人向けに作ったものが目利きの目にとまって世界で評価された、ということではなく、印象的なシーンで使われている食材は、卵だったり、牡蛎だったりして西洋でもなじみのあるもので固めているところなど、初めから海外で公開されることを(少なくとも監督個人としては)前提としていたのではないだろうか。スシやヤキトリ、スキヤキなど、日本食のステレオタイプを用いなかったのも成功の一因と思われる。生きているエビについても、エロティックなシーンに昇華させ、西洋人にとっては残虐と取られるかもしれない踊り食い自体はあえて見せていないところにしたたかな計算が感じられる。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-07-21 00:16:20)
12.  大丈夫日記
邦題が「立派な男子」という意味の名詞の「大丈夫」と、この映画はいったいぜんたい「ダイジョウブ」なのだろうか、の2つにかかっていてたいへんセンスがあるなと思っていたら、原題の中国語からして大丈夫日記だったようで、邦題は何のひねりもなくそのまんまのようだ。残念。若いころの萬田久子似と、菊川怜似の二人の美女を相手にチョウ・ユンファ演じる証券マンのファが子供の頃からの夢を果たした後日談、といった風情のストーリー。とはいえ、ご両人とも90-56-90 には見えなかったような気もするが、そこは突っ込むところではないのだろう。刑事との大立ち回りのシーンで流れる曲が、何気なくビバリー・ヒルズ・コップに似ているような似ていないような微妙なメロディなのが香港映画らしい味なのだろうか。最後のオチは、大丈夫たる者かくあるべしをおおらかに示していて、まことに天晴れであった。この作品を勧めてくれた方に「男なら必見の一本」といわれたが、まさしくその通りの掘り出し物である。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-07-02 22:15:11)(笑:1票) (良:1票)
13.  ミリオンダラー・ベイビー
師匠が「質問はしないこと」と条件をつけて入門を許したのに、入門者は事あるたびに質問をする。師匠の側も、最初こそたしなめたものの、その後入門者がついつい発してしまう質問に対して毅然とした態度を取ろうとしない。とても不思議である。「タイトル戦はいつ」なんて弟子が師匠に訊いたりしたら私の感覚ではその時点で即刻破門である。どうもアメリカ人の師弟関係というのはよくわからない。それとも、師が男で、弟子が女だからこういうことになってしまうのだろうか、などということを考えはじめてしまったために、どっぷりと感情移入して観る、というわけにはいかなかった。病室の最後の場面で、アドレナリンの量についてとか、器械をはずすとかの説明的な科白が多いのも気になった。一台の携帯電話も使わず、通信手段を、固定電話と手紙というレトロな手段に限定していた本作の演出は非常に成功していたと思うが、そのやり方がいつまで現代のストーリーを描くのに使えるのか思うと、少し暗澹とした気分になった。
[映画館(字幕)] 7点(2005-07-01 18:44:46)
14.  最後の億萬長者
モナコ公国がモデルとなっているのだろうか。非常な財政危機に陥っているカジノリアという王国が打ち出した財政再建策のてんやわんやの騒動を描いている。今の感覚からすると相当にテンポがゆっくりのため、乗りが悪い。また、また、昔は電話が交換手を通してつながれていたという知識がないと画面上で何が行われているのかわからない恐れがあるギャグなどがあり、古臭いという感じがしてしまうのがいたしかたない作品のように思う。一人当たりにならしてウン百万の公債残高のある国の一員としては、一向に財政が好転しないストーリーなので、映画を観ながらもついつい現実の無気力な政治状況を思い出してしまい、なかなか辛いものがあった。
[ビデオ(字幕)] 5点(2005-06-18 00:47:46)
15.  罠(1949)
ボクシングのラジオ中継にアメリカが熱狂していた頃の映画。このころから既にUFOキャッチャーのような遊びがあったり、リングサイドにポータブルラジオ(といってもこの時代なのでかなり大きい)を持ち込んで野球を聞きながらのながら観戦をしたりしている人が映ったりして、当時の風俗がどんなものだったか垣間見れるのが本筋とは別な部分で面白い。試合中の喧騒と、試合が終了した後の主人公以外に誰もいないスタジアムの静寂の対比が見事。ひとりさまよい歩いた女が結局露天で食べ物と飲み物を二人分注文するところに思わずぐっとくる。ただ、古い映画なので貨幣価値の変わりようはどうしようもなく、八百長の金額などを今の感覚で捉えてしまうとこの映画の世界に入り込めなくなってしまうおそれがあるのはいかにも残念。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-06-12 17:03:03)
16.  ローマで起った奇妙な出来事
落語の廓噺のような出だしではじまるローマ時代を背景とした史劇もどきのドタバタコメディ。きちんとした時代考証を踏まえてつくった可能性は限りなくゼロに近いと思う。ブロードウェイミュージカルの映画化というが、歌や踊りの場面が少なく、俄かには信じられない。ただ、馬がたくさん出てきてからのアクションシーンはジェットコースタームービーのようなおもむきがあり、好きな人間にはこたえられないクラシック映画の名シーンのパロディもあって笑わせる。端役で出ているキートンの遺作でもあるらしいのだが、キートンは最後の最後までキートンらしかったのを観られる作品でもある。
[ビデオ(字幕)] 5点(2005-05-10 12:30:27)
17.  断崖
二人が列車の中で出会ってから結婚し、ハネムーンから帰ってきたところあたりまでは漫画のようなコメディ。ただ、そこからの転調は見事で、妻の心理描写を中心に据えたラストまでの緊張感の盛り上げ方は流石。だが、振り返ると、夫があのようなちゃらんぽらんな性格で、妻に生命保険をかけていたというのが、その資金の出所もふくめちょっと無理な感じがするのはいなめない。それにしても、ヒッチコックは美人の女優がオープンカーの運転をするシーンが好きなようだ。この作品でも、夫と友人の仲を心配したジョーン・フォンテインが断崖までオープンカーを走らせるシーンがちゃんとあったので嬉しくなってしまった。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-04 11:51:05)
18.  ナック
ロンドンの観光映画にもなっているなんとなく不可思議な映像。普通は男二人と女一人の三角関係で進んでいくはずのストーリーが、男三人と女一人の四角関係になっているところが変わっているのだろうか。モッズについての知識の乏しい私には観るのがつらい映画だった。
[ビデオ(字幕)] 4点(2005-05-03 11:33:21)
19.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
うむ、これも5000ドルにまつわる映画であったか。役者の妖しさだけではなく、前半、艇の名前をさりげなく見せておき、トムが手紙を偽造して女の名前をタイプしたときに、両方が同じ綴りであることを観客に気づかせ、フィリップと女の関係のただならぬことを再認識させるところ、一人目のときはさすがに気分が悪くなったのか飲み物で口をすすいでいるようなシーンがあるが、二人目のときは事の後に平気でローストチキンにかぶりつけるくらいに悪人として成長しているところ、すなわち、失敗をやらかしたのは悪人になりきれていなかった一人目のときだったという作りになっているところなど、随所に巧いと思わせる演出が施されていることを見つけることができ、再見していて楽しい。小道具としては旅行鞄の使い方が印象的で、特にトムが逃走中に、屋上付近で軽やかに投げ出された鞄だけを下から撮っているところは何度も巻き戻したいほど見事である。三浦や湘南で知人のヨットに乗せてもらったことがあるが、この作品で描かれる地中海の海はそれとは比べ物にならないほど魅力的で、近くに住んでいる南欧の人がたいへん羨ましい。
[地上波(字幕)] 9点(2005-04-30 11:26:40)
20.  黄金(1948)
落語のようによくできたストーリーであり、また、心理劇として秀逸。飯場仕事の手配師を追い込んだときに、財布の中身を全部取らずに、200ドルだけ抜き取って、酒場にも迷惑料を置いていく金にきっちりした男としてドブズを描いていたのが後半の展開を考えると非常に巧い。ただ、私にとってこの映画で一番印象に残るのは、いい味を出している爺さんでも、大金を手にし人間が変わっていくドブズでもなく、ドブズが落盤事故にあったときに、すぐに助けに行くと思いきや、一瞬事故現場に背中を向けてしばし思考をめぐらした後に、きびすを返したカーティンの場面。あのほんの少しの間に、彼は一体何を考えていたのだろうか。「ここで助けにいかなければ、一人減って自分の取り分が多くなる」と考えたに違いないと私は思っているが、映画はその部分は何も説明せず、完全に観客の想像にゆだねている。あの場面でカーティンをすぐ助けにはいる善玉一辺倒の人物として描かなかったことが、この作品にいろいろな余韻を与えているように思える。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-04-29 01:13:50)(良:1票)
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