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no oneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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【製作年 : 1940年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  第三の男 《ネタバレ》 
完璧であることが欠点、というとあまのじゃくに思われるかもしれない。けれども構造として合理的で無駄が無いことと、物語として完成されていることは別の事柄だ。チャンドラーの小説に似たプロットのものがあるが、この映画とは対照的に寄り道が多く、しかしそのことが作品の豊かさでもある。今でも新鮮さを失っていないのは、どちらかというと無駄だらけのチャンドラーの方だ。  もっとも、充分見応えのある作品ではある。オーソン・ウェルズが登場したときは普通のおじさんという印象だったが、観覧車でホリーに悪の論理を語りかける、あの声音には惹きつけられた。話の内容そのものはありがちな理屈でしかないが、まるで女性を口説くようなロマンチックな状況と洒落た言い回しで幻惑する、あの手管がハリーという人物をよく表しているように思う。  ハリーは冷酷で自己中心的な男だが、どこまでも自由で、あらゆる縛りから逃げおおせている。ときには法や倫理に反するとしても、頭の硬いホリーのような凡人の目には魅力的に映ることもあるだろう。  ハリーが地下水道で追い詰められ、銃を持って近づく親友に決断を促がす場面では、ちょっと泣きそうになった。恋人すら密告したハリーが、「信頼できる仲間がほしい」、と罠の可能性も顧みずのこのこやって来たのは、ホリーがハリーの自由さに惹かれたように、ハリーもまた友の実直さ、鈍重なまでの誠実さを求めたからじゃないだろうか。ホリーは刑務所暮らしには耐えられないハリーの性分をよくわかっていて、自分の手を汚す。二人は正反対の気質を持ちつつ、互いを認め合っていた。  対してアンナは、最後までハリーに尽くしたにも関わらず、ほとんど気にかけてもらえない。恋人を放置したハリーも、親友の前には姿を現した。ラストは主人公の失恋と観るのが本来だが、どうだろう。筆者には男同士の絆に立ち入る隙を見つけようとして敗れ去った、可哀そうな女性の姿にも思える。自分の命を断つのに他人の手を恃むのは、ある意味では究極の信頼関係だろう。アンナは恋人をホリーに奪われたのだ。 それも二重の意味合いで。
[DVD(字幕)] 7点(2009-07-01 14:31:47)(良:4票)
2.  死刑執行人もまた死す
多少古びた感はあるにしても、やはり非常に見ごたえがある作品だった。暗殺者をあぶりだすために数百人の人質が取られ、もくろみが失敗すれば関係者全員が銃殺されることを前提に物語が進む。政治がらみとはいえ、ここまで酷薄で重厚な雰囲気のサスペンス映画も珍しい。   味方であるはずのチェコ人たちには、敵役のナチスほどではないにせよ空恐ろしさを感じた。密告屋らしい人物がいるとわかるとたちまち集まってきて、しまいにはリンチに発展しそうになる場面は生々しい。一人の暗殺者を守るために四百人の人質を死なせるという決断にほぼ全員がためらわずに賛成するのにも驚いた。   誇りを失うくらいなら命をも捨てる彼らに、戦時中に一億総玉砕を叫んだ日本人の姿が重なって見える。このような価値観を一概に否定すべきではないのかもしれないが、もし自分が暗殺者だったら自首したであろうことは確かだ。彼らの不屈の意志をテーマにした歌には完全に引いてしまった。   大戦直後のドイツを舞台とした小説で、ユダヤ人の子供たちが徒党を組んでドイツ人の子供を蛆虫と歌う場面があったのを思い出した。感情的になった集団はどんな行為をも正当化する。フリッツ・ラング監督がドイツ人であることを差し引いても、彼の群集心理に対する洞察力は否定できないと思う。   そして何より、小難しいことを言わなくても、単純に娯楽作として優れているというのが素晴らしい。もっとも、クライマックスもまた形を変えたリンチなのだが……
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-02-28 09:50:22)(良:1票)
3.  素晴らしき哉、人生!(1946)
あらすじを読んだ時点で「なんだこの『クリスマス・キャロル』じみた教訓くさい話は」と甘ったるさを鼻で笑い、「はっ、どんな都合のいい展開が待っているんだか」とかなり斜に構えて鑑賞。……それなのに、ラストでは自然と目頭が熱くなってティッシュを手に取っていた。自分のようなひねくれ者は、きれいごとを軽々しく語る連中をすぐ疑わしげな目で見てしまう。でもそれはきれいなものが嫌いだからじゃなくて、本当に、真にきれいなものを心の底では求めているからなのだと思う。この映画がまさにそれだ。人間の善意に対する無条件の信頼、人生の絶対的な肯定。こんなに上手く行くものかと思いつつも、泣いてしまう。希望を信じたくなる。あまりにも真っ直ぐなメッセージは、ひねくれ者の心にもずしんと響いた。
[DVD(字幕)] 7点(2005-11-21 01:17:52)(良:1票)
4.  歌行燈(1943)
映画を見てこれほど日本の伝統芸能の美を強く感じたのは初めて。能の舞台とか生で見たくなりましたから。能を映像で観た経験はないわけではないのだけど、正直今までたいしていいとは思えなかった。しかしこの映画では現代のJポップ(つまり僕が普段聴くような音楽)からはかけ離れた歌声が、素直に美しいと感じられる。その文化に馴染みのない人間まで感動させるというのは、生半可なことではありません。  とくに終盤、お袖の舞がきっかけとなって離れ離れになっていた人々が運命的に結び付けられるシーン。震えましたね、寒気がして。いつもとぼけている次郎蔵が突然真剣な目になって鼓を構えるのもかっこよかった。喜多八の「真に努力して身につけた芸は人の心を打つもの」(←うろ覚え。絶対間違ってる…)という言葉、その通りです。芸に身を捧げる人の想い、映画という芸(?)に込められた成瀬監督の想いを感じました。美の追求の果てに生まれた作品は、時代を超えて胸を打ちます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-04-25 23:31:55)(良:2票)
5.  市民ケーン 《ネタバレ》 
直球のお話でしたね。お金がいくらあっても心が満たされなければ不幸だ、という。でも素直に胸を打たれました。号泣したりはしなかったのですが、後から「薔薇の蕾」という言葉の意味を思い出すたびに胸の奥がしくしくと痛むんです。とくに切ないのは後妻が出て行った後のケーンの描写。怒りに任せて後妻の部屋を荒らすわけですが、目は虚ろで力がなく、足元はふらついていて自分が散らかしたものにつまづく始末。暴れまわっているはずなのに、あまりにも弱々しい。大人の男性というよりは、かんしゃくを起こした子供みたいな。そして召使たちが見守る中、生ける屍みたいになってとぼとぼと歩いていく。あの姿、大勢に囲まれながらも途方もなくひとりぼっちで、傷ついた子供のような姿が目に焼きついてはなれません。攻撃的なビジネス戦略も、莫大な財産の浪費も、選挙運動も、すべて幼い頃に見捨てられた寂しさを埋めるためのものでしかなかった。そして結局最期までその思いは満たされることもない……。哀しく、辛い映画でした。 (ほとんど予備知識なしで観ました。題名は聞いたことがあっても、アメリカ映画一位に選ばれたことも知らなかったし、まったく映画通ではないので技法のこともよくわかりません。他の方のレビューを読んで、素直な気持ちでこの作品を観られたことがすごく幸運だったと思いました。古典とは歴史的な意味合いだけで評価されているわけではなく、現代にも通じる部分があるからこそ残るものであって、それを感じ取ることができればとても良質の作品だと思います)
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-04-14 12:05:07)(良:1票)
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