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ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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1.  血煙高田の馬場(1937) 《ネタバレ》 
特に手紙を読む辺りから最後に至るまでが圧巻で、〝馳せ参じる〟ということが、いかにダイナミックでいかに感動的であるかを、この映画は教えてくれます。安兵衛が走るカットの連続(斬新だ!)の間に挿入される長屋の人々の「わっしょい!わっしょい!」が興奮を起こすミソで、間に合わぬと承知の上で「安さん、急げ急げ~」と思わされてしまいます。私の映画史上(極めて脆弱で未見の傑作も数多存在するが)、最高の〝走り〟はこれです。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2012-04-17 18:48:24)(良:2票)
2.  吸血鬼(1931) 《ネタバレ》 
分かったようで良く分からない筋書きや、夜か昼か判別不能な明るさは〝?〟ですが、影が恐怖を演出する光の世界は、ビックリ箱のような安易な脅かしのトリックではなく純然たる恐怖で迫る本物の映画であります。あるいは、ラストのおが屑で埋め殺してしまうシーンなどは通常ならば悪を成敗し安堵する箇所なのですが、徐々に降り積もるおが屑からのぞく手とメガネにゾッとさせられる最も怖いシーンとなっています。また導入部も見事で、宿屋の天井が低く見え囚われた感じがし、不穏な空間に誘われたようです。
[DVD(字幕)] 8点(2012-04-06 18:43:33)
3.  望郷(1937) 《ネタバレ》 
極めて面白そうなカスバの町並みが、装置として期待を超えていかないのは不満ですが、これはそれぞれの町を体現している女優の映画です。まるでカスバのように影が差し汗臭さすら感じさせるイネスに対し、宝石どころか服までピッカピカでパリを彷彿させる華やかなギャビー。あれほど眩しかったら目がくらむのも当然で、登場時点でイネスには100パー勝ち目が無いと分かり可哀相になってしまいますが、ギャバンの喜び様を見るとパリへの甘美な誘惑はいかんともしがたいものです。
[DVD(字幕)] 7点(2011-07-08 18:44:53)
4.  フランケンシュタイン(1931) 《ネタバレ》 
研究所の禍々しさは現在においてもホラー映画のお手本のようですし(怪物に生命を与えるシーンが特に凄い)、あるいは怪物を追い詰めて行くタイマツの群れは圧倒的で、そこから風車小屋炎上へと繋がる流れも見事としか言い様がありません。・・・しかし、肝心の怪物自体は魅力に乏しい感じがします。暴れているシーンはただの腕っ節の強いヤツにしか見えませんし、不幸にも誕生してしまったという哀愁も物足りません。何も感傷に浸らせてくれと言っているわけではありませんが、湖のほとりで女の子と遊ぶシーンをもっとじっくり見せてほしかったです。  それと腕がダラリと垂れ下がっていたりするのに生きていたりする人物の生死の不明瞭さも気になるところです。
[DVD(字幕)] 6点(2011-07-05 18:39:49)
5.  進め竜騎兵 《ネタバレ》 
竜騎兵たちが突撃するクライマックスの迫力はもとより(エロール・フリンが仲間の死を目撃するあたりにおいても「ラストサムライ」は本作を参考にしたに違いない)、あらゆるシーンが躍動しています。馬が全てではなく、立て籠りのシーンでも銃撃により窓枠が破壊されてゆく様子や、あるいは、ヒョウ狩りや見張り台、奇襲攻撃などにおいて、落下を見せてくる感覚も面白いです(死の描写も良い)。 取って付けたような三角関係の恋愛劇でさえ丁寧に美しく撮られておりドキドキしてしまいます。  また、物語としては婚約者を取られて死へ突進する悲惨で壮絶なものであるにもかかわらず、そう暗くなっていないのは演じるエロール・フリンの力によるところが大きいです。私生活での彼はかなりのヤンチャ者だったようですが、いったんスクリーンに登場すればたとえインチキ臭いちょび髭を生やしていても好漢に見え、応援したくなってしまうのです。
[DVD(字幕)] 8点(2011-06-24 18:07:50)
6.  西部戦線異状なし(1930) 《ネタバレ》 
例えば、学校で教師が若者たちを扇動するシーンにおいて、または訓練で泥に伏せるシーンにおいて見せる顔のクローズアップの連続は極端に説明的過ぎると思いますし、戦場の主な表情となる塹壕のシーンにおいても舞台の特異性を発揮しておらず今一つ上手く機能していないように見えます。 ただ、それでもやはりラストの蝶に手を伸ばす場面をはじめとして、ブーツの所有者が転々としていく様、酒場での鏡を使いポスターの女性の話をする場面、川で女性たちと出会う場面、あるいは終盤に再会した二人の頭上を爆撃機が旋回する場面などは忘れ難い印象的なシーンとなっています。
[DVD(字幕)] 7点(2011-05-10 18:26:31)
7.  三十九夜
逃走劇を基本としつつもサービス精神旺盛で、様々な場所で様々な工夫を凝らした出来事を起こし、時にギャグを挿みながら90分足らずという時間でまとめ上げ、抜群のテンポで見せてしまうヒッチコックの手腕はさすがで、ここにはヒッチのやりたかったことがほぼ詰まっていると言っても過言ではありません。 唯一、欠点を挙げるとすれば主人公のロバート・ドーナットがやや魅力に乏しいことで、口ヒゲも手伝って軽薄な男に見えてしまいます。
[DVD(字幕)] 7点(2011-03-28 18:27:57)
8.  光に叛く者 《ネタバレ》 
ここで印象深いのは葉巻の煙に他ならず、ウォルター・ヒューストンが葉巻を吸い始めると圧倒的なオーラが煙のようにモクモクと立ち込めます。青年の弁護士をやり込めるシーンにおいても高みの机に腰掛けてプカプカ吹かし始めると威圧感全開で、もはやどちらが優位かは言わずもがなです。ヒューストンに反抗の色を示し騒ぐ囚人の群れの中、単騎で突っ込んで行くシーンにおいても葉巻パワーで囚人たちを黙らせているようにすら見えます。剃刀で殺人を犯した囚人にヒゲを剃ってもらっている時も葉巻を吹かしていたからこそ防御壁が張られ首をスッパリされなかったと思えるほどの最強のアイテムです。しかし、その無敵の葉巻パワーが唯一通用しなかったのが娘の涙であり、ここから愛の映画へと突然変貌を遂げるところが感動的でもあります。  …ところで、ティム・バートンの「エド・ウッド」でその存在を初めて知ったフランケンシュタイン役者のボリス・カーロフが出演しているのですが、強烈なイメージがあり、密告者を殺害するシーンも良く出来ています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-23 18:22:37)
9.  サボタージュ(1936) 《ネタバレ》 
このあたりの年代の俳優さんについては良く知らないのですが、このシルヴィア・シドニーという女優さんは出演作を何本か見る限り、純真な美しさが魅力的で一本芯が通ったような印象があり、やや童顔なところも男の守ってやりたい精神をかきたてる方です。映画館の窓口で八百屋で働く刑事にニカッと微笑みかけるシーンを見ればコロリとなっても致し方がないと思います。しかし、ということは逆にイジメてやりたい精神も働くわけで、可哀相なことに弟君を爆殺されてしまい(ユーモラスな歯磨きのシーンまで入っているのにまさかだ!)、あの衝撃の食卓シーンへと導かれることとなります。本来ならば穏やかな食卓が緊張感につつまれ、思いつめたシドニーが食事をナイフで切り分けていると、当人も自分が手にしているものが凶器になると気付き慌てて放り出す…。この食卓の殺害シーンが出色です。
[DVD(字幕)] 8点(2011-01-11 18:29:13)
10.  ボー・ジェスト(1939) 《ネタバレ》 
死体が生きているように並ぶ不気味な無人砦から始まるサスペンス的面白さ、少年時代から見せる兄弟たちの微笑ましい姿、軍隊における軍曹の悪役っぷりの見事さ、そして兄弟が力を合わせて困難を乗り越え感動のラストへと…。こういう兄弟愛ものを感傷的になり過ぎずサラっと爽快に2時間足らずで描いてしまうところが凄いです。 ゲイリー・クーパーの長男と末弟のシーンが多く、現実と同じように?次男坊は損な役回りかと思っていましたら、終盤に次男坊の見せ場がしっかり用意されていて、敵の注意を引きつけるためラッパを吹き、撃たれ、砂漠で砂埃を巻き上げながらコロコロ転がってゆく様は最も印象深いシーンになっており、末弟が一生懸命それを追っかけて走ってゆく姿も感動的です。
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-04 18:10:45)(良:1票)
11.  ボレロ 《ネタバレ》 
ラストのボレロを踊るシーンの力強さ、美しさは圧巻で、ダンスパートナーとの唇が重なり合いそうで触れない微妙な距離がストイックでありながら官能的です。そんな決してピッタリと寄り添うことの無い主人公とパートナーの映画であり、美しい女優たちが次々とピカピカフワフワ艶やかに着飾って出てくるのも見所で誰もが魅力的ですが(ヘレンこそブッ千切り美しくなきゃいけないのでは?とも思うが)、ベストカップル賞に選出したいのはラオールとその兄貴の男のコンビです。わざわざ異母兄弟という設定までついておりホモセクシャルな雰囲気はないものの、炭坑夫時代から戦時中まで行動を共にし、兄貴が欲しがっている指輪を買ってあげたり、喧嘩をすれば〝実家に帰らせていただきます〟とばかりに荷造りを始め、二人同時に謝り仲直りする様子は微笑ましく長年連れ添った夫婦のようで、ラオールにとっては兄貴が一番の理解者なのです。そう思って見てしまうと最も感動してしまうのは、兄貴が伯爵夫人となってしまったヘレンに無理を承知の上で弟と踊ってほしいと頼む場面で、ラオールから貰った指輪をいじりながら懇願する姿は胸に迫るものがあります。
[DVD(字幕)] 8点(2010-07-16 18:04:23)
12.  河内山宗俊 《ネタバレ》 
もとのフィルム状態が悪いのと私の録画したビデオ状態が最悪なことで、台詞が聞き取れない部分が多かったのですが(〝河内山の女房だ〟〝初めて人間になれた〟などなど良い台詞があるのに!)、画面を見ているだけでほとんど分かってしまうぐらい作りが完璧です。原節子さんが身売りを決意する場面は言わずもがな、狭い通路を使ったチャンバラシーンも、走り去って行くシーンも、いずれをとっても素晴らしく列挙していたらキリが無いほどで、アッと言う間の凄まじい82分間でした。これが山中貞雄監督の初体験だったのですが、てっきり残念ながら夭折してしまったことや、作品が三本しか現存していないことが手伝って神格化されているのだと思っていました。が、実際に見てみて度肝抜かれるとはこのこと。しかも後に、これを撮ったのが二十代半ばと知り再び肝を抜かれました。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-06-16 18:33:13)(良:1票)
13.  丹下左膳餘話 百萬兩の壺 《ネタバレ》 
この完璧な映画の中でも一番ウナってしまったのは〝間〟の使い方です。  一つにはそのリズムの〝間〟で、例えば笑いをとるシーンにしても、そのテンポは数十年たった今でも決して時代遅れではなく、カット変わりには発言していた事と逆になってしまうというシーンを重ね重ねで見せるのですが、そこにはついつい「そらきたっ!」と言いたくなってしまう絶妙な可笑しさがあります。  もう一つには空間の〝間〟で、例えば壷を売りたい人が押し寄せているシーンで、カメラが横移動すると長蛇の列が映し出され、さらに豆粒のような左膳がちょび安を止めようと観客側に向かって必死に走ってやって来て、またもや「そらきたっ!」と思わず拍手したくなってしまうような楽しさは実にサスペンスフルです(ここは特にスクリーンで見たい)。さらに家の横通路や裏路地の長さ等々、奥行きのある距離感も素晴らしいです。  ちなみに私の最も好きな〝間〟は源三郎が自分の屋敷で金魚釣りをする、まるで眠った亀を観察しているような退屈極まりな~いあの天国の如き空間です。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2010-01-08 18:36:13)
14.  チャンプ(1931) 《ネタバレ》 
泥酔した父親の服を脱がし寝かしつける息子、すぐにトラブってしまう父親と常に味方してくれる息子という図式は親子関係がすっかり逆転しています。しかし、馬を取り戻し喜ぶ息子の姿を見るや安堵し力尽きるチャンプは、やっぱりどうして親であり父親としての意地を見せてくれるので胸にグッときてしまいます。逞しそうな母ちゃんのもとで暮らす方が幸せだろうけど、父ちゃんだって強いんだゾ…という感じです。  そのボクシングシーンはコマ落としで早回しをしているだけでスピード感だけしかなく面白味には欠けますが、必死に応援するあの少年の健気さとか、それまでのチャンプの車を降りる鈍重な動きなどを見ると、もはや勝利なんて夢のまた夢と思わせておいての頑張りですから、ついつい行方を見守りたくなってしまいます。  もう物語そのものは完全無欠のメロドラマなのですが(お涙ねらいならディング少年は存在自体が反則に近い)、少年が母親に抱かれ控え室から遠のいて行くラストが父子の決別を際立たせており、分かっていても目頭の温度が上昇してしまうのです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-11-13 18:51:40)
15.  影なき男(1934) 《ネタバレ》 
発明品を作っている?ワイナントの影から始まる冒頭部分からしてサスペンスに富んでいますし、懐中電灯の光が頼りの真っ暗な研究所のシーンもスリリングですし、謎解きシーンの人物の見せ方も上手いです。しかし、そんなミステリー部分よりもちょくちょく見せる仲睦まじい夫婦の描写が素敵です。本編とは何の関係もないのですが、小突き合い戯れるところとか、奥さんがお酒をグラスについで渡そうとすると夫はボトルの方をとって飲んでしまうとか、クリスマスプレゼントを交換し射的しているところとか、そういう何気ない夫婦のシーンが実に魅力的ですし、しかもこんだけじゃれておいといて命の危険がある時は本気で心配し、渾身のキスシーンとくるのですから当てられてしまいます。 また、夫婦の子供代わりである犬のアスタの存在も面白くて、愛らしくも夫婦の言うことを全く聞かないところが良いですし、ラストに目を隠す見事な仕草もお洒落じゃないですか。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-28 18:46:58)
16.  暗黒街の弾痕(1937) 《ネタバレ》 
最初の再会シーンで鉄格子ごしにキスをするのですが、これは如何なる障壁も二人の間を裂けないことを思わせるもので、その後も度々、確認するようにキスするのが逆説的に今後の悲劇的な顛末を予見させ、どこか悲しい心持ちになります。 またサスペンスとしても素晴らしく、運送屋の雇い主を殴った直後に土砂降りの銀行へとカットが変わり、車から不気味な目が覗き、ガスマスクを被る犯人の顔は分からない…。観客をミスリードしていく巧みさがそこにはあります。運命の分かれ道となる刑務所のシーンもモヤモヤとかかる霧が視界不良の退っ引きならぬ状況を見事に表しており不安感を募らせています。 ・・・ただ一つ、二人の逃避行の時間経過の感じさせ方が希薄で、どうしても赤ちゃんの誕生が唐突な感じを受けます(「ベイビーって呼んでるの」というシーンは凄く良いのですが)。例えば、浅はかな考えで物を言えば、輪転機を回すだけで全然違ったと思うのです。まぁそんな安っぽいことしたらあの雰囲気には合わず世界観ブチ壊しかもしれませんが。 
[DVD(字幕)] 8点(2009-07-21 18:34:40)(良:1票)
17.  彼奴(きやつ)は顔役だ! 《ネタバレ》 
ジェームズ・ギャグニーという役者は悪党を演じていても、最初に煙草を分けてくれたように、どこか気の良い優しい男にも見えるので、無償の愛を与え続けながら落ちぶれてゆく様は同情してしまうくらい不憫です(女も、助けを求めに来るのはともかく幸福な家庭に招き入れるのは可哀相じゃないか!)。もちろんナレーションをかぶせ時代が進んで行く度に、ギャグニーが少しずつ暴力性を増しヤクザな男へと変貌を遂げていくところは、軽快に物語を進めており説得力もあるのですが、ボガートが登場してしまうと、その悪党っぷりから比べれば、やはりどうして好漢に見えるのです(銃に関してもギャグニーの場合は基本、脅しの道具ですがボガートが持つと殺しの道具となる)。だからこそ余計に、あのラストに背中を撃たれ雪の舗道を疾走しながら絶命していくギャグニーの姿は、あまりに哀しく感動的であり涙腺にグッとくるものがあります。  惚れてしまった方が弱いのは仕方ないんですが、涙もんのギャグニーの男っぷりとラストランを見たら、彼女の心もほんの、ほんの少しばかりは動かせただろうか(当然、ギャグニーにはそんな打算もなかったのだけど)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-07-01 18:13:54)
18.  化石の森(1936) 《ネタバレ》 
一言で言ってしまえば、これは饒舌すぎます。立て籠もりというシチュエーションにもかかわらず、人質たちは余裕しゃくしゃくでほぼ痴話喧嘩のような会話をするので緊張感が希薄になっていますし、いつもギャングを演じれば文句無しに悪党に見えるボガートのその寡黙さが、ここでは善に見えてしまいます。さも得意げに詩をそらんじ田舎の純な娘を口説くレスリー・ハワードよりも、早く逃亡すべき所をおそらくやっては来ない情婦を黙々と待ち続けるボガートの方が好感が持て、いくら前屈みの姿勢で腕を振らずに獣じみた歩き方をしてみても、もはやそれすら純朴な男の動きにしか見えず、悪党として機能していないのです。  またラストの銃撃戦も監督はこのシーンに興味が無かったのか、いいかげんです。例えば裏口でボギーの子分が射殺されるのですが、それまで裏口は一度も?登場しておらず全く別の場所での出来事のような印象を受けるのです。
[DVD(字幕)] 6点(2009-06-08 18:35:00)
19.  ビッグ・トレイル(1930) 《ネタバレ》 
とにもかくにも群集が大移動して行く感じと、その困難さが良く出ています。崖から馬車を降ろすであるとか、川を渡るであるとか、砂漠や雨や雪のシーンもしっかり用意されていて盛沢山な内容です。そんな中でも最大の見所はやはりシャイアン族の襲撃シーンでしょう。数多くの馬車でグルっと円陣の防御壁を作り、その周りをシャイアン族が駆け回る。俯瞰でその様子をとらえているのですが砂煙が舞い上がり壮大な迫力のあるシーンになっています。  また、個人個人の銃撃戦もそれぞれ抜かりなくちゃんと見せてくれますし、初主演のジョン・ウェインも根っからのスターであり、若い時分から既に魅力的です。それから忘れてはならないシーンがもう一つ…それはヒーローとヒロインの最初の出会いのシーンです。ジョン・ウェインが人違いでキスをしてしまうということが観客にはあらかじめ察しが付くのですが(キスの仕方も良い)、これは二人が運命的に結ばれることを予見させるシーンでもあり、この後いくら喧嘩がはじまっても二人の愛が成就することを確信させてくれるもので、あれこそロマンティックというのだと思います。ウォルシュ監督は他の作品でも度々、いがみ合いながら距離を縮めていく男女を描いており、監督にとっては喧嘩とは仲良くなる為にするものなのかもしれません。 
[DVD(字幕)] 9点(2009-05-19 18:05:09)(良:1票)
20.  デッドエンド(1937) 《ネタバレ》 
これはほぼ街の一角だけで物語ってしまっているのが面白いところです。大都市ニューヨークの高層ビル群が高みから映り、そのままカメラが下に降りていくと貧民街となり、いかにも貧しい悪ガキたちがたむろしている。そしてそこから見上げれば金持ちたちがパーティをしている…。ドア一枚を挟んで別世界が展開される社会を見事に表現しています。 本作はギャングだヒーローだというよりも住む世界そのものを描いていて、格好良い人物というのは不在です。例えば、正義漢のようなジョエル・マクリーも育ちの良い女に目移りし浮気していますし、ボギーにしても悪としてのクールさなどとは無縁で、帰郷を母親にすら歓迎されず、昔馴染みの女のエピソードも酷なもので、ラストには高い所へ登って行き当然の如く落下し貧民街の地べたで息絶えてしまう物悲しさです(この時の銃撃戦も素晴らしい)。ただ、強いて言えばヒロインは存在していて、常に弟の見方をするシルヴィア・シドニーの優しさはこの世界の唯一の救いであり、あどけなさの残る表情が美しくとても魅力的です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-05-01 18:46:13)(良:1票)
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