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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ペーパー・ムーン 《ネタバレ》 
友人であったオーソン・ウェルズのアドバイスを受けた、ボグダノヴィッチの傑作。 「殺人者はライフルを持っている」や「ラスト・ショー」、後の「マイ・ファニー・レディ」でホークスやプレストン・スタージェスへのオマージュを捧げてきたボグダノヴィッチ。本作はあえて白黒で撮られ、舞台を中西部に変更したのもボグダノヴィッチの懐かしき時代へのリスペクトだろう。 同時期に「都会のアリス」を撮っていたヴィム・ヴェンダースもさぞかしたまげただろうねえ。どっちも素晴らしい映画だけに。  少女が見つめるもの、葬儀、道の向こうを奔る車、他人の墓から花束をぶん奪って参列する男、エイメン(AMEN)。 風が吹き荒ぶ原っぱ、ポンコツ車で少女を連れていく旅の始まり。  この娘が最初可愛くないんだか可愛いんだか仏頂面、おじさんもかっこ悪いんだか何だか。 そんなデコボコな二人が徐々に表情を和らげ、距離を詰めていく様子が面白い。遠くから徐々に近づくショットで話し合う人々の表情を繰り返し強調する。  ドアを閉めて子供を送り出したら詐欺師の仕事開始。慣れなれしくお尻を触って追い出すのも、まだ単なる子供扱いだから。 風を受けて回転するエンブレム、ポケットに託される資金、食事を通じて親子のような関係に近づいていく二人。少女の叫びを正面から受け止め、拳を机に叩き込む口喧嘩。  車で街をめぐる旅、「隠れろ」と言った理由、新聞に刻まれた印、後部座席に積まれていたもの、真実を知って苦い顔をせざる負えない。 帽子を脱がないのはまだ他人だから、預かった子にベッドをゆずり自分は雑魚寝、煙草を吸うのは「子供扱いしないで」というアピールと背伸び。  胸に輝く星に遭遇するピンチ、思わぬ「パパ」の声。  仏頂面にはリボンをプレゼント、帽子を脱ぐのは親しくなっていくから、子だくさんには無料サービス、訪問先に拡がる憧れ、運転中の喧嘩。  帽子を投げつけズボンだけ脱いで寝る男を他所に、箱の底から探し出すもの、鏡を見ながらアクセサリーや香水なんか付けたりしてにんまりするのが可愛い。 床屋、男の子じゃないもん(ドアを蹴り開ける)、札束とレジ打ち機の数字、必殺泣き脅し、書かれた文字、新しい“ドレス”。  遊園地、わたあめ、親子のように「パパ」にねだり、微笑む月は待ち続ける。  ハーレム、女と荷物を乗せて走る横移動、詐欺師しか注意しない喫煙(当たり前のように火を貰うなww)、席を取られ、付き合いの長い男を奪られ遠くで座り込む嫉妬、女どうしの説得。 揺れ動く腰を見つめる野郎どもに呆れ、独り寂しく煙草を吹かす。  ホテルでの一件はサスペンスフルな展開に。 暖房器具をよじ登り、窓の先から覗いたもの、朝食の間に行われる共謀、ホテルの受付から引き出す情報、原稿を作る練習、階段を登ったり降りたりを繰り返し、ドアの前に置かれる贈り物、交わされる視線、ドアの間から覗く視線、手を振り合う別れ。  煙草をやめるのは男を「パパ」のように慕い親子のような関係になっていったから。開かれたドアから出る者、窓から見つめるもの、追跡、茂みから覗くもの、開けられるもの、渡されるもの。  侵入、接近と交渉、運び出されるもの、近づくもの。闇夜で不気味に光る煙草の火。  保安官たちとの遭遇からホークス映画さながらのスリリングなアクションも展開される。 後ろからジリジリ近づく音、ライトが光り音が鳴り響くのは存在を知らせるため。箱、運ばれてくるもの、差し出す両手、弾を確認し構えられるショットガン。 帽子に隠される“顔”、容赦なくひっくり返され砕かれ放り投げられるもの、帽子が掴むもの。  廊下のコーナーで一瞬見せるジョン・フォード「駅馬車」のジョン・ウェインを思い出すようなショット、コーナーを曲がったら駆け出し階段から落とされるもの、車に乗り込んだら猛スピードでぶっ飛ばして走り出せ!河の前で急カーブ、警察とのカーチェイス、障害物がありゃ斜面を登り追い越す。  追手を撒くための車探し、挑発的な交渉と決闘、一撃。  受け継がれるエンブレム、ドアが外れるようなオンボロ、運転を任せ後押しするようになった信頼関係。  扉を開けた瞬間に待つもの、先回り、鬼ごっこ、路上から飛び降りる追跡の行方。  ボロボロになっても送り届けられるもの、座席に残された贈りもの。  サイドミラーに映るもの、投げ捨ててもまた拾い上げればいい、抱え込んで乗せてやればいい。車は旅人たちを誘うように坂を走り出し、道の彼方へと消えていく。
[DVD(字幕)] 9点(2016-09-28 16:15:12)(良:1票)
2.  ピカドン 《ネタバレ》 
木下蓮二と木下小夜子夫妻による短編アニメ「ピカドン」。   原爆の惨禍をセリフを一切挿入せず、映像だけで語りつくした作品。  とにかくこの作品、原爆が落ちるまでの平和な日常からして不気味な静けさに包まれている。  刻々と「あの瞬間」まで時を刻んでいく時計、家から学校や仕事場に向かうため外に出て行く人々、紙飛行機で遊ぶ子供。   爆弾は横向きに音も無く落ちてくる。それをふと見上げた瞬間、一瞬強張ったり呆然とする顔、顔、顔をした人々を猛烈な閃光によってすべてを焼き尽くす。   熱線によって赤子に乳をやる母親が一瞬にしてドロドロになり、肉塊と化す瞬間。爆風によって髪は逆立ち、建物も人間も何もかも薙ぎ払う。   破壊された街を、皮膚がズルズルに溶けた人々が水を求めてさまよい、斃れ、次々に死んでいく様子の地獄絵図。  たった数分に凝縮されたあの日の地獄。これだけで戦争の恐怖は多大に伝わる。  この作品は、最後に高層ビル群が並ぶ「現代(1978~1979年当時)」を映し、雲の上から傍観するように飛ぶ紙飛行機を映して物語を締めくくる。あの紙飛行機は「誰」が飛ばしたものなのだろうね。  そこに絶望を見るか希望を見るかは貴方がた次第です。
[DVD(邦画)] 9点(2016-09-09 14:47:04)(良:1票)
3.  火宅 能「求塚」より 《ネタバレ》 
イジー・トルンカに師事した川本喜八郎が、極限まで極めた人形アニメーションの傑作。「鬼」や「道成寺」等も必見だ。  能の「求塚」を題材に、人形、草、火、水、そして光と影が生物のように蠢めいていく。  ナレーション、霧の中の道を歩く旅人の脚、ふと編笠をあげて横を見ると、若い娘たちが談笑しながら農作業に精を出していた。 一本一本ものを取り、仕事仲間に微笑むような素振り。一本一本ものを取り、仕事仲間に微笑むような素振り。樹木といった風景は素朴な絵柄で描かれる。  セリフもナレーションによって語られる。  霧の濃い薄野原、ふと振り向くとその奥から現れる謎の女。 光の無い眼、不気味な黒髪がたわみ、男は薄をかきわける脚と彼女に吸い込まれるように誘われる。  項垂れた冷たき表情から、精気に満ちた過去を女は「告白」し始める。 籠の中で跳ねる鳥、木の下で眼を閉じ想いを馳せる者、馬に乗り木の枝を首元に差し込みながら想う者、桜の木々を飛び回る鶯。  迫り来る男たちの表情・視線、それに軽く挨拶をし流すように去っていく。恐ろしいが故に流してしまう。  口を開けたまま何を祈っているのか、両手で顔を覆い悩み、蝋燭の火が文を焼き尽くし、火の玉となってぶつかり合う男心、その間で揺れる乙女心。  吹き荒ぶ風、女を賭けた狩り、射抜かれるものから流れ出る鮮血が川を流れ、恐怖と哀しみが黒い影となって女の顔を覆う。  霧の中へ揺れ消えていく羽衣、闇夜の塚の前で抱き合う憎しみを超えた者たち、互いに抜き放ち、接近し、空間を真紅に染め上げる。  祈る者に近づく火の玉、火の玉は白い化身となって接近する。  漆黒の空間で輝く白装束、華、鮮血に染まった男たち、火の鳥は黒くなり、ついばみ血まみれにし何もかも焼き尽くす。  断崖に押し寄せる波、投げ出される命、海の底にまで拡がる火炎地獄。 強すぎる愛が、暴走する火炎となって愛した者に襲い掛かる哀しさといったらない。  白く美しい乙女は、最後まで両手を合わせて祈りながら去っていく。まるで相談を聞いてくれた旅人に礼を言うように…。  まばゆい夜明け、赤く染まる大地。
[DVD(邦画)] 9点(2016-09-04 05:38:34)
4.  霧につつまれたハリネズミ 《ネタバレ》 
霧につつまれたハリネズミ(霧の中のハリネズミ)。ノルシュテインによる摩訶不思議な短編だ。  夜空を背にした黒いシルエット、野を歩いてくるハリネズミ。彼は時折上を見たり、辺りを見回したりしながら野を歩き続ける。 黒く染まった木々、ハリネズミが出会う蝶の群、巨大なフクロウ、水面に映る体躯、井戸?の底への挨拶、草木をかきわけるように進み、小高い丘の上で遭遇する白い馬、霧が拡がる空間に吸い込まれていく。  霧の中を手探りで進む好奇心と恐怖、恐怖を煽るヴァイオリンの旋律、不意に落ちてくる木の葉、遭遇するカタツムリ、象、馬、コウモリ、蝶、フクロウ、犬。 木の枝で探る正体、繰り返される叫び、荷物の行方、飛び回る光、迫り来るものが渡す贈り物、飛び込んだ先で拡がる波紋、川に運ばれながら眺める夜空、怖いけど頼もしい「背」との出会い。  待っていたもの、夢だったのか幻だったのかわからないものへの想いで頭がいっぱい、夜空を眺める二人の背中。
[DVD(字幕)] 9点(2016-09-04 05:37:18)
5.  女囚701号 さそり 《ネタバレ》 
園子温「愛のむきだし」でもオマージュが捧げられた刑務所ヴァイオレンスアクションの傑作。  刑務所は野郎どもだけの巣窟じゃない。野獣のように眼光ギラつかせたアマ、ビッチ、女たちが蠢めく空間でもある。 そんな汗と女の匂いムンムンの泥の中、黒髪をなびかせ鋭く美しく輝く梶芽衣子の存在!こんなにカッコイイ女には野郎だろうがアマだろうが惚れちまうぜ。どんなにボロボロになろうがけっして諦めない不屈の女心。  ひたすら耐えに耐えてチャンスを待ち続け、泥にまみれ延々と土を掘り、友をお姫様抱っこまでしちゃう漢女(おとめ)っぷり。  表彰状が踏みにじられる脱獄騒動から始まるオープニング、湿地帯を走りまくる女、群がる刑務官たちの追跡! 刑務所内をすっぽんぽんで列をなして歩かされる女囚たち、腐りきった法の番人たち、互いに鉄拳で気合を入れる飢えた野獣どもの眼光、秘部に押し当てられるドス黒い警棒。  白い布に隠される情事、赤い斑点・画面がぐるぐる回転し髪が怒髪天となり灯る復讐の炎。  女囚たちも食器をガンガン打ち鳴らし脱走と憎悪をブチまける機会を待ち続ける。美しい一重美人、修羅場潜ってそうな姉さん、博打女、潜入者、脳味噌お花畑のBBA軍団。 ドア先輩にガラスを喰らわされ血に染まる鬼BBAとの鬼ごっこ、夏候惇のような凄まじさを見せつける署長。腐っても署長である。アイパッチのように鈍く光るサングラス。  まったく興奮しないパンモロよりも、百合を誘う瞬間のパンチラの方が圧倒的に素晴らしい。丸出しになったおっぱいを揉みしだき吸いまくり、雄のように、調教するようにむしゃぶりつく梶芽衣子!俺の股間の警棒も(ry  刑務作業と地獄の穴掘り耐久レース、シャベルの斬撃と大暴動!疲れを吹き飛ばす怒り、怒り、怒り、ライフルを奪い撃ちまくる!人質には恐ろしい拷問だ(我々の業界ではご褒美です)!!  目線で交わされる女たちの複雑な関係、ダイイングメッセージ、熱した電球によるヤキ入れ、復讐の黒衣、蒼ざめる最期、野郎も女どももくたばりまくる怒涛のクライマックス!!
[DVD(邦画)] 9点(2016-08-28 02:30:41)(良:1票)
6.  太陽を盗んだ男 《ネタバレ》 
「原爆」をテーマにした日本映画では「ゴジラ」に並ぶ傑作だと思う。  時計の音、原爆の実験、爆発、日の出、双眼鏡が覗く原発。  その光景とは打って変わって満員電車で大あくびをする城戸。「風船ガム」の仇名で呼ばれる教師、風船ガムは原爆の暗示? 休み時間は一人で壁当て、フェンスを雄叫びをあげながらよじ登る。男はいつそのエネルギーを爆発させるかその機会を待っていた。  家にギッシリと詰め込まれた野望の塊。 機材の山、出入りする猫に殺虫剤をかけて気絶させてしまう!飛び交う蚊が季節を語る。猫の次は警官をシュッー!   男が牙を研いでいる間に鬱憤を爆発させてしまったバスジャック犯。 修学旅行、機銃と手榴弾で乗り込んでくるオッサン、皇居に手榴弾wwwすげえ映画だな。序盤20分の強烈さ。   そこで山下警部こと菅原文太の兄貴の登場だ!「県警察vs組織暴力」の刑事役もメッチャ良いんだよなあ。 武器を置いてたった二人で乗り込んでいく、隙は絶対に見逃さない、男だけサークルを組むように連れて行く、“約束どおり”狙いをつける狙撃手、捨て身の行動。どんな奴だろうと怪我人は怪我人・・・カッコイイ。   それが城戸にとっての“起爆装置”だったのかも知れない。ひたすら原爆作りに打ち込むシークエンスを淡々と積んでいく描写。  原爆実験の様子、肉体改造、ベランダの塀の上でイメージトレーニング、何処までもスリルを追い求める狂気。 マスクを被り、潜水服に身を包み、海を泳ぎ、容易に侵入してしまう! 監視カメラだけが見た原子炉の棒を抜く瞬間の緊張、警備員たちとの戦闘。  発電機の爆破、想像以上に厳重(笑)、授業内容もどんどんおかしな方向に向かっていく。  のんきなラジオ、「鉄腕アトム」の歌とともに手作りの防護服、液体、放射能測定器、小さな小さな原爆製造工場、誰も立ち入れない猫でさえ。  ビールを飲み、TVを見ながら原爆を作っていく。その油断と爆発、そして彼も「被爆者」となってしまう。瞬間的に放射能を吹き出す事を物語る針、針、針。 完成までの作業もほぼ無言で続けられる。生まれたての汚れた鉄球がナイフで削られて磨き上げられ、不気味な光沢を帯びていく。 作ったものよりも失ったものの方が大きい。ぬこおおおっ! まさかの梅干しは“フェイク”、粘土、電池。一人で盛り上がる有頂天、ガイガーカウンターをマイク代わりに舞い上がる。   残り1時間30分は警察との手に汗握る駆け引き。 幾度もあらわれる太陽のイメージ、あえて爆弾を置いていく挑戦、現物による脅し。  腹の中に抱えたとんでもない爆弾、易々と国会に侵入、易々と監視、口調による攪乱、ボイススクランブラー。  9つ目の核所有“国”、ぽとりと落ちる髪の毛が肉体を蝕む放射能の恐怖を語る、爆弾を転がして子供のように、いや愛した猫のように遊ぶ。 パーティーで親交を深めた過去、屋上で座り込んで話し合う交渉決裂、両手で掴んでさりげなく胸にタッチ、いつの間にか接点を持つ人々。  延々とついてくるディスクジョッキーと口づけを交わす、海辺、女も見る抜けた髪の毛、サングラスという仮面、したたる歯茎の血。   デパートでの追走劇も熱い。 電話線をカットする、覚悟、机の下、札の雨、警官もヤケクソ、あふれ出る人の津波、徐々に放射能に侵されていく肉体。   奪還ターザンで大暴れ、カーチェイスをラジオ中継、「勝手にしろ(勝手にしやがれ)」、諦めない文太の兄貴は不死身だ!ヘリに捕まりながら執念の追跡!  残り20分のラストバトル。  プールを地獄にかえる破片、新聞に隠された凶器、手錠つけると捕まったヤクザにしか見えねえ兄貴、嘔吐の隙に掴む起死回生の武器、屋上での綱引き、どっちも身も心もボロボロだ。   「さあ・・・いくぞお9番」 嘘だろ・・・まだ手がピクピクしてるぜ。音だけが語る結末・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2015-07-14 13:43:58)(良:1票)
7.  ダイナマイトどんどん 《ネタバレ》 
個人的に喜八映画で一番好きな作品。 終戦から5年後の夏。汗だくの男たちが、何かを合図に支度をすませる。トラックを待ち受け、店に隠された銃を、刀を抜き放って襲い掛かる!ジープを奪って挑発。 市場を破壊する追走劇、待ち伏せ、機銃、花火、ダイナマイトでホームランじゃあっー! ドッカーン!    ヤクザ同士の会合、組長の翻訳、市街地でおにごっこ、股間に何かを隠す、場数踏んでそうな女主人、塩まいて、指でテクテクカウンターの上を歩く仕草が可愛い。    非合法な殺し合いの場が合法な野球の場に、婦人野球(パンパン)、元野球選手の鬼コーチ、命(タマ)の取り合いから球の取り合い&金玉の潰し合い、だが体を張ってボールを受け止める命がけ。何事も本気でやれば最高の仕事にしてしまうプロフェッショナル魂。  歌で士気をあげる、本当に暴れだす、掛け声で士気をあげろ!「ダイナマイツ~ どん どん」 先攻後攻が丁で決定。  旦那と対峙、ナイフ投げ、裏では博徒、泥酔ピッチャー、ひらがなや漢字、数字が混ざる背番号、思わぬ再会、挑発しまくって真意を確かめる、指の使い方、監督の手の古傷、ピッチャーの指が示す過去、それぞれの心に刻まれた傷跡。   練習投球から試合へ、今までの仕返しにボッコボコ、ツンデレ。  「原爆ピッチャー」って不謹慎にもほどがあるわwww NGワード:指  雨の中の死闘、シャベルや鍬をとっての殴り合い、さりげなく傘をやる任侠。  野球で命の賭け合いに、敵球団のスカウト。  こしらえた着物、唐突に現れる母ちゃんの遺影、殴り込みに行く馬鹿2人・・・おい野球しろよ。 ※ご覧の映画は「ダイナマイトどんどん」です  ダイナミック不祥事!その格好で銃を持つなwww あくまで野球で蹴りをつけてやるぜという心意気。もしくは単なるご都合主義(ry   扉が思いきっりオープン、着物をそっと肩にかけ、電気を消して去っていく。肩の刺青が物語る愛情。   デッドボールの応酬、ボールを持って殴り合い、乱闘寸前、「ばかもん!」「ばけもん!」複数のルールブック、アンパイア死亡、銀次なりの償い、守備妨害。  ヌードになる必要はあるのだろうか、ベースは盾、MPもブチギレ、修羅場に慣れてきた審判。  打球が、バットが、グローブが、血潮が、ありとあらゆるものが宙を舞う大乱闘!その後に両雄が再び顔を合わせるクライマックスが良い。
[DVD(邦画)] 9点(2015-07-14 13:37:32)(良:1票)
8.  新幹線大爆破 《ネタバレ》 
和製パニック映画の傑作。 後にヤン・デ・ポンが「スピード」という共通点の多い映画を撮ったが、あの映画で失われてしまった“スピード”の恐怖がこの映画にはある。スピードによって狂う人々の、速度を落としすぎれば木端微塵に吹っ飛ぶというスリルが! それにスピードが速まっていく恐怖。車両だけでなく導火線やガスの音までそのスリルを醸し出す。  冒頭からシークエンスを重ねていく様子がスリリングで面白い。 夜、煙草を吸い、人目のなくなった列車の下に何かをゴソゴソと仕掛ける男。 仕事を終えた男は、仲間らしき男に電話をかける。公衆電話が時代を感じさせるが、10円を入れ続けなければ電話が切れてしまう・中断してしまうという緊張。  決行当日の朝。階段ですれ違う男との無言のやり取り、列車に乗り込んでいく人質たちの会話が、後の緊張を盛り上げる。男たちの計画に参加する者の不穏な空気。  そして1本の電話によってテロ事件が、オープニングが、この映画が動き出す。  爆弾が何処に・何個あるのか解らない恐怖。客がそれを知ればパニックに、機関車乗りたちの決死の行動が示す爆弾の恐ろしさ、猛スピードで走る新幹線で同じ脱出はできない、密室状態(回送)で徐々にパニックになっていく人々、時計代わりのストップウォッチ、迫る列車によって決断を迫られる人々、安全装置や別の車両が爆弾の「起爆装置」になりかねない恐怖、分岐点でのすれ違い、スピードを殺せない状況でのブレーキの使い方・・・1分1分が濃い。  犯人の要求の仕方が面白い。円ではなくドルという単位の真意、「千数百人の乗客の命代に比べたら、遥かに安い要求じゃないか」の言葉。 日本政府を相手にたった数人の連携で戦いに挑むのだ。犯人たちの素性が明らかになるにつれて、観客は犯人たちに感情移入していく。あの回想は卑怯だ。自分の目の前で・・・。  犯人、鉄道員、警察どうしの葛藤も面白い。恐慌状態が人間の醜さを炙り出す。募る苛立ち、ある赤ん坊を抱えた妊婦は我が子を思うばかりにパニックに陥る。女を殴るのは母親と赤ん坊の命を死なせたくないから。それに比べて仕事命で他人どころじゃない人々、ジャーナルストは興味本位で、犯人は人々が慌てる様子を楽しんで見守る。 パニックが1本のアナウンスで収まる内はまだいい。緊急停止装置をめぐる恐怖、チャンスを待つ犯人、車掌の対応も時間の問題だ。  船上という密室、それを追跡する複数の視点。受取人が金を落とさないか、思わぬ援軍、バイクとパトカーの追跡、市街地での追跡。やっと掴んだ手掛かりは同時に人質や警察の首も絞めにかかる。バイクに乗るのは複数の公衆電話で尻尾を掴ませないため。ビル、橋の上、路上と視点がどんどん低くなっていく駆け引き。  “忘れ物”による攪乱、仲間の後退を確認して情報を地獄まで持っていく散り様、パスポートと死者への手向け。  密室から密室への受け渡し、迫る障害物、車両下での作業・・・1500人の、小さな命の、一人一人の命の重さがのしかかる。たとえ最後の一人になろうとも・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-26 22:23:23)
9.  デルス・ウザーラ 《ネタバレ》 
黒澤のカラー映画と言えば俺は「赤富士(オムニバス「夢」に収録)」が一番好きなのだが、この「デルス・ウザーラ」も黒澤明によるロシア映画の傑作だし、黒澤明が苦手だという人にも「虎の尾を踏む男達」と共にオススメしたい逸品だ。  どうも「赤富士」以外の黒澤のカラー映画はダメなんじゃないかと思っていたのだが、この映画はかなり面白い。  ロシアの雄大な大地を突き進む探検家と猟師の友情の物語。 未開の地をひたすら突き進む冒険家たち。そこで巡り合った猟師のデルス。 野生の森の中で育ってきた者と、都会から野生に放り出された冒険家たちの意識の差、そして心の交流。 カラーで収められたロシアの雄大な自然。時に優しく、時に厳しく冒険者たちを迎え入れる。急流に飲み込まれ溺れそうになるスリル、吹雪が襲い掛かりそれと“格闘”するスリル、猟銃による腕比べの楽しさ。  物語は常に静かに流れていくが、時に激しく動きドラマに引き込んでくれる。デルスにとって、眼の怪我は完全な死にはならない。森から引き剥がされること自体が、デルスにとっての“死”なのである。そして大地と一つになっていく穏やかさがそこにある。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-02 19:41:24)
10.  トラ・トラ・トラ! 《ネタバレ》 
リチャード・フライシャー、深作欣二、舛田利雄、製作のエルモ・ウィリアムズ、そして黒澤明をはじめとする脚本陣!アメリカと日本を代表する娯楽映画の名匠たちが組んだ傑作。 この面々が初っ端から娯楽スペクタクルをぶちかますのかと思いきや、日本軍が真珠湾(パール・ハーバー)への奇襲をするまでの過程を日米双方の視点から淡々と、かつ深刻に描き緊張を異様に高めていく流れが面白い。 暗号解読をめぐるアメリカの油断、そこに切り込む日本側の「もう後には引けない」という賭け、覚悟。渥美清のとぼけた笑顔は癒し。 後に待ち受ける地獄、運命を変えるために男たちは戦うしかなかった。アメリカ本土から遥か離れたハワイ。日本にとっては日系人という同胞が住む、敵の船団が集中する最短の“アメリカ”だった。 その緊張が真珠湾で一方的なまでに爆発していくスペクタクル!演習中の兵士たちのあっけにとられた顔。「そんな馬鹿な」という表情で爆炎の中に消えていく兵士たち。揺れる艦橋、爆沈する船、船、船!ワレ奇襲ニ成功セリ。ワレ奇襲ニ成功セリ。 必死になって機銃で迎撃を試みる表情、警報に何かの間違いではないのかと驚嘆を隠せない表情、この機を逃せないと必死で爆弾を投下する男たちの表情。 帰路に味方が1機撃墜されるだけでも、巨大なる“敗北”を感じずにはいられない。大物を逃した男たちの、虚しさに包まれた顔。 嵐が去った後に敵の侵入を易々と“見逃して”しまった苛立ち、悔しさの滲み出た顔、顔、顔・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-20 13:51:35)(良:1票)
11.  西部戦線異状なし<TVM>(1979) 《ネタバレ》 
ルイス・マイルストン版と是非とも見比べて欲しい。 こちらは原作に沿ったカラー版。この作品も素晴らしいんです。スコップの件とか、瓶を割る件とか。マイルストン版になかった描写と見比べられるのが嬉しい。もちろん、どちらも名作です。 それに改めて気づかせてくれたラストシーン! ラストシーンもカラー(TVスペシャル)と白黒(マイルストン)で見比べられるなんて・・・!是非とも見る時は両方。
[DVD(字幕)] 8点(2015-03-15 12:06:55)
12.  ジュリア 《ネタバレ》 
フレッド・ジンネマンは苦手だけど「ジュリア」は凄く良い映画だと思う。 最初は執筆の日々に追われる日常を描いた恋愛映画でもあるし、後半はジンネマンらしいサスペンスフルな緊張が奔る。 特に列車内のシークエンスでジリジリと張り詰める緊張、ベルリンの食堂で再会する場面の鮮烈さ。彼女が乗る前に慌てて転ぶ瞬間からその緊張は始まる。煙草の煙にむせ、隣で音が聞こえる度にビクビクしてしまう様子。 ジンネマンの映画は常に孤独との戦い・恐怖・怒り。 それを劇中にぶちまけるリリアン・ヘルマン(ジェーン・フォンダ)の強烈さ! ウィリアム・ワイラーの作品に多数参加した事でも知られるリリアン。その容赦の無いシナリオには戦慄を覚えるほど唸るものが多い。特に「偽りの花園」は凄えぜ。 劇中でも煙草プカプカやりながらタイプライターを叩いて叩いて叩き、ゴミ箱を蹴るわタイプライターをムシャクシャして窓からぶん投げるわ、サンドをムシャムシャ食うわ、野郎にビンタを浴びせるわと絶えず何かにイライラしている。 そんな女を優しく受け止めるダシール・ハメット(ジェイソン・ロバーツ)の存在も忘れられない。闇夜を静かに照らすように燃える焚き火、波の音、くゆらせた煙草の煙のように流し、なだめる。 そしてリリアンと深い友情を結んだジュリア。 映画では回想を含めミステリアスな存在で短い時間の登場だったが、実際は友情以上の感情も抱いた仲だっただろう。食事の後に仲良く踊ったり、ベッドで語らい合った以上の関係に。 リリアンにとってジュリアは古くからの友人であり、尊敬すべき師であり、女として愛してしまった掛け替えの無い女性でもある。 女たちは既に語り終えている。それを観客の前でグダグダやらずに、表情だけでその“時間”を感じさせてくれるのだ。役者陣の演技の素晴らしさもこの作品をより際立たせる。 ジュリア(ヴァネッサ・レッドグレイブ)といいリリアンといい、戦う女は何時の時代も美しい。 彼女たちは独りで戦うが、心の中には常に友の存在があった...たとえ死によって二人が永遠に別れようと、回想を通じて心の中に生きつづける友の魂は次の世代にも受け継がれていく。 「地上より永遠に」とはまた違った戦争の描き方。あの映画は波打ち際で抱き合う恋人たちの姿が忘れられないが、この作品も湖上のボートから見る曇り空がラストには美しい夕焼けとなって映る。
[DVD(字幕)] 8点(2015-02-27 15:52:21)
13.  バリー・リンドン 《ネタバレ》 
ほんとうに長くて疲れる映画だったが、見応えのある傑作だった。 やっぱりキューブリックの戦争映画にハズレなしだね。  決闘の場面からはじまるファースト・シーン。 イギリスの簡素な自然の美しさが、劇中の寒々しさをより引き立てる。 主人公の日常も“賭け”からはじまる。 「体の何処でもご自由に。勇気があればだけど(笑)」 ほほお~積極的ですね~。けしからんおっぱいしやがって・・・うらやまし(ry  バリーもまた嫉妬と意地で決闘を申し出る。決闘の度に流れる淡々としたドラムロールが痺れるぜ。 若気の至り、だがバリーには若さと「もっと暴れたい」というエネルギーが有り余っていた。  追われる身となったバリーは紆余曲折を経て真紅の征服に惹かれ軍隊に。それにしても礼儀正しい追いはぎだ事。 馬も金もない、あるのはくいぶちを稼ぐために軍隊に入ろうという気力と覚悟だけ。バリーは七年戦争へと参加する。  血気盛んなバリーはどんな決闘も受けた。 殴り合いのシーンは「拳闘試合の日」を思い出す。  バリーと策士グローガンの友情、 軍隊としての戦い。 一斉射撃の様子は火を放つようだ。 別れは同時にバリーの生存本能を揺り動かす。 身分を偽り、 ささやかな交流、 嘘も方便、しかし嘘は次の地獄へとバリーを誘う。 バリーはどんな過酷な地獄も生き残った。 その本能が人脈や新しい絆を結んでいく。 兵卒から伍長、二重スパイ、そしてギャンブラー。バクチのような人生を送り続ける。 バリーは“取立て人”として剣の腕を振るっていた頃がピークだろう。 だがバリーは取り返しの付かないミスを犯してしまった。それは結婚相手を間違えてしまった事だ。公然と死が迫る人間に向って死の宣告をする大胆さと度胸、おごり。 ココまでは栄光に満ちた半生だが、後半はバリーが不幸のどん底へと堕ちていく。 バリーは女の本当の気持ちを知らなすぎたのだ。 つうかタイミングを考えろよコイツ。  重なる不幸はバリーの心も蝕んでいく。  ブリンドンの“戦線布告”は昔のバリーを思い出す。ブリンドンの覚悟は足りなかったが、バリーはその意気を買ってあえて身を引く。いや、昔の自分を見るような自己嫌悪だったのかも。  「ルドビコ」って「時計じかけのオレンジ」?  とにもかくにも、ラストは暗い終わり方だったが美しい者も醜い者も今はすべて同じあの世なワケです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-31 22:07:47)(良:1票)
14.  親子ねずみの不思議な旅 《ネタバレ》 
フレッド・ウォルフ監督、歌詞に大林宣彦が関わっている作品。  ぜんまいを巻かないと動けないネズミのおもちゃの親子が、ある日トラブルでおもちゃ屋の外に出されて騒動に巻き込まれる話。  森でどぶねずみの帝国に遭遇したり、動物の兵隊が歌いながら行進してくるシーンが妙に焼きついている。  親子が(色んな意味で)バラバラにされちゃうんだけど、おもちゃだから治す人がいれば治る。  でも他の動物は生物だから一度死ねば生き返らない。  その辺が妙に記憶に残っていた。  結構楽しい映画だった。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2014-12-21 21:46:21)
15.  燃えよドラゴン 《ネタバレ》 
イップ・マンに師事し、キン・フーといった武侠映画にも親しんだブルース・リーの武術を活かすため、極限までシンプルにまとめられたアクション映画。  一見すれば荒唐無稽で無茶苦茶な世界観を、ブルース・リーの足運びの静けさ、気を一気に放出する動の空気が包み込む。 映像で魅せる映画にはもってこいのアクションの連続。 そこに貫かれるのは、道を外した者への「復讐」。 彼らにとって武術は「殺し合いの手段」である以前に「己を高める道」の武道。 アクション・スターとしてその武を極限まで高めたブルース・リーは後者であろう。 他人を守るための武術。己を制してこその武術。 その道を逸れ、人を殺すためだけの道具として武を使う者には破滅が待っている・・・そんな所も込みで楽しめる映画。  サモ・ハン・キンポーとのスパーリング(後の総合格闘技)、訓練、船の上での騒動、要塞での大会、潜入捜査、殺し合い、大乱闘!  クライマックスの「上海から来た女」を思い出す鏡の中での死闘!
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 19:41:33)(良:1票)
16.  ラスト・シューティスト 《ネタバレ》 
グレンドン・スワザウトの原作を映画化。 ガンに侵されながらも最期まで己と戦い続けたジョン・ウェインの遺作。 西部劇を支えてきたウェインと共に共演したジェームズ・ステュアート、 ジョン・キャラダイン、ローレン・バコール、ロン・ハワード等が脇を固める。 ジョン・ウェインほどヒゲが似合わない人間もいないが、歳を取り、ヒゲを生やすまでになった保安官の晩年像。 ヒゲも無く若さと元気に満ちていた昔と、老骨に鞭打って執念で仕事を続けようとする男の孤独な一面との対比。 「赤い河」、「リオ・ブラボー」、「ホンドー」、「エル・ドラド」のバラバラの一場面を「西部劇」という一つの世界観で統一したドン・シーゲルの粋な演出が良い。 ウェインのファンにとっては「歴代の“ジョン”なんとかさんはこの人でした!」と改めて自己紹介されるような感じかな。白黒ウェインのカッコ良さは異常。 ファーストシーン以降しばらくは撃ち合いがほとんど無い。 ジョンが知り合ったロジャース夫人たちとの交流、旧友との別れ、名を挙げようと迫る仇敵たちとの因縁。 死期が迫った中で自分を見つめ直す主人公の内面をじっくり描いていく。 「拳銃王」の真逆って所がミソだね。「拳銃王」はアウトローの孤独、本作は保安官の孤独を描いている。 自分は何を成し、何のために戦ってきたのか。 様々な思いがジョンを取り巻く。 そして文字通りラスト9分の「最後の銃撃」。 ジョン・ウェインは病ではなく、保安官として死にたかったのかも知れない。 第二世界大戦であえて本土に残り、映画の中で戦い続けた男ウェイン。 戦場に行った男たちのために映画界に留まった執念、そんな後ろめたさとの戦い。 無秩序な戦場で誰かを守って死ねるのだろうか? だったら自分は誰かを守って死にたい。せめてスクリーンの中だけでも・・・そういう思いがウェインにはあったのかも知れない。 この「ラストシーティスト」は、ウェインの心境を映像にして我々に問いかけたのかも知れない。西部劇の終末を描いたこの作品で。 ウェインはアメリカ最後のフロンティアとも呼べる西部劇を誰よりも愛し、誰よりも守ろうと戦った。 その意思をクリント・イーストウッドなどが継いだと言えるのかも知れないが、西部劇の根底に流れるフロンティア精神を最後まで貫こうとしたのはフォードとウェインくらいでは無かろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 19:48:53)(良:2票)
17.  スケアクロウ 《ネタバレ》 
暴力とsexと死で溢れかえるアメリカンニューシネマの中でも、この「スケアクロウ」は一味違う。  確かに殴るわベッドインするわ死にかけるわの映画だが、暴力的というわけでもなく、雑な感じがあまりしない。  むしろさっぱりとした空気が流れている。 純粋なロードムービーなんだよね。  罪を犯して服役していたマックスは、心に傷を持つ複雑な男だ。 愛に飢えてる。 一方、ライオンはやや多重人格?なのか、何処かとぼけた人間。 そんなライオンも暗い影を持つが、常に前向きに生きている。  ライオンはマックスのような人間にとっての「かかし」だ。  「かかし」は動かない。 一種の「道化」でもあるし、カラスにつつかれながら畑を見守るのが役目でもある。 ライオンは道化師のようにマックスに語りかけ、彼を心の闇から救って守ってやりたいと何かとつっかかる。 そんな彼をマックスは煙たがるが、数々の笑いや困難を乗り越え、二人は硬い絆で結ばれていく。  そして今度はライオンが心の闇に苛まれていく。 マックスは義理堅い奴で、今度は自分が助けてやるんだとライオンを励まし続ける。  ただ、そんな二人に唐突に悲劇が舞い込む。 それでもマックスはけしてあきらめない。 ライオンがそれを教えてくれたから。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-16 21:44:11)
18.  ルパン三世(1978) 《ネタバレ》 
原作に近いタッチとか言われてるけど、いやいやここまで破天荒な絵面じゃなかった気がするんだが。 案の定だがいつも通り不二子は「誰てめ絵」。 五右衛門もパイロットフィルム版みたいに「松崎しげる肌」。 黒すぎバロス。 髪の色、声、黒いスーツじゃなかったら誰か解らなかった。 不二子のヌード?何かいつも脱いでるような気が・・・。 だが不二子の乳首をツンツンしたルパンはこれが最後だろう。 今じゃ制作できない。 正し放送は余裕でする(ノーカット)  超能力者との対決は「ルパン1st」に出てきたパイカル以来。 ただ「マモー」は一味違った。 虚空から何の前触れも無く現れたマモーは本当に不気味な存在だ。  斬鉄剣が折れるわ、レーザー光線だわと何でもアリ。 その「折れた切っ先」がキーアイテムになるから面白い。 太陽に吸い込まれる「脳味噌」が印象的なラストだった。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-16 21:41:58)
19.  ファンタスティック・プラネット 《ネタバレ》 
この作品は眼を背けたくなるほど絵がグロテスクというか、気味が悪い。 宮崎駿は「美しくもおぞましい。日本の映画は美術が不在すぎる」とか言ったらしいが、かといってこのアニメみたいにリアルすぎたりおぞましさが強調されたかのような絵も、とっつきずらすぎてどうかと思う。   地球人に良く似たオム族は原始生活を営み、それをペットにように飼い、虫ケラのように殺す巨大なドラーグ族は高度な文明を持つが、同時に大きな“欠点”も抱えている。 後の「マクロス」である(多分違う)。  そんなオム族も知識を得る事によってドラーグ族への反抗を初め、ドラーグ族もまたそれに脅威を覚える。  アメーバのようにとろけ拡がっていく瞑想、奇妙な植物や動物、巨大な人形による交わりの“ダンス”・・・。  オム族「リア充爆は(ry」
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-16 21:33:15)
20.  地獄の黙示録 《ネタバレ》 
再見。 この映画を「ヴェトナム戦争」を描いたものと見るか、「カーツ大佐抹殺」の物語として見るかで受け取り方はまったく違うものになるだろう。  ウィラードの下に付いた部下(と俺ら視聴者)たちはヴェトナムの惨々たる光景を眼に焼き付け、何度も似たような光景を見て慣れきったウィラードにはヴェトナムの狂気や惨禍など気にしている余裕はない。  本作はコッポラの映画の中で最も退屈な映画であり、最も地獄のような映像が続く映画なのだから。だがこの作品はワルキューレ騎行とともにヘリが村を焼き払うシーン、そしてマーロン・ブランドの人殺しまくってるような強烈な演技を見るだけでも価値がある。  冒頭からこの映画はヘリ、ヘリ、ヘリが飛び交い火炎を吹きまくる。 うっそうとした森を横切るヘリ、不気味なローターの金切音、森は猛烈な煙とともに爆炎に包まれる。軽快な音楽とともに、まるで楽しむように森に火を投げ込むのだ。  そこから男の回想が始まる。脳裏にこびりつくベトナムでの地獄。写真の女性は妻だろうか?煙草、酒、枕には護身用の銃。 シーリングファンが連想させるヘリ。パンツ一丁で酒をあおり、踊り狂い、ガラスにぶつかって血を流す。  そんな男に依頼される裏切り者の抹殺。酔いつぶれた男に、雨のようなシャワーを浴びせて目を覚まさせる。  劇中最大の見せ場である「ワルキューレ騎行」の場面。 サーフィンをするために敵を村ごと吹き飛ばすシーンは強烈だ。爽快感と人間の狂気をいっぺんに見せ付けられる。どうしてキルゴア大佐が主人公じゃねえんだっ!!!!!  その後の完全版における狂気100%な場面の連続も凄まじすぎてドン引き。 プレイメイトたちとの乱痴気騒ぎ、船で密林をひたすら進み続ける疲労感、捕虜たちに下す残酷な決断、無秩序状態の兵士たちが繰り広げる地獄の光景。 リボンて…考えただけでもゾッとする。女の方が痛いんだぜ。  カーツ王国ワールドは凄すぎ。何千人も人殺してそうな凄みを感じさせるマーロン・ブランドの存在感。怖ええよ。 煙が渦巻く魔窟、祭りに興じる人々、暗闇の中から問いかけを繰り返すカーツ。 主人公「うるせーよカンペ読みのファ●キンブタ野郎、台本必死に覚えてる俺たちの苦労を知りやがれ!」  軍人として任務を遂行する!泥の河が、建物の暗闇が主人公の姿を包み隠す。雷鳴の閃光、牛を鉈で屠殺するように、返り血を浴びて。残された書類、集まる群衆を睨み付け去っていく。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-15 21:41:30)
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