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皮マンさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 225
性別 男性
自己紹介 当方のレビューは全て独断と偏向に満ちております。
「公平・公正なレビュー」などというつもりは金輪際毛頭まったくありませんので、どうぞご安心ください 。

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41.  ミクロの決死圏
初見は小学校の映画上映会。前半余計な音楽を一切排除して(含タイトルバック)胎内に到達したとたんに無調系のサウンドイフェクトを加えるというシャープな判断にまず打ちのめされた。ドラマ的には目新しいものはないが、テーマが体内観光だから視覚的に満足できればそれでいいんだ。そして結果は大満足!潜航艇のデザインはあのノーチラス号のデザインにもかかわったスタッフだそうでフライシャーとのタッグは最強ですね。エレベータで地下に降りる車と潜行艇縮小のプロセスが特撮的に一緒だったり、作戦室にアリが入り込んでいたり(そんなところで手術されるのは嫌だなあ)と、突っ込みたくなるところも多々ありますが、全体としていちいちじつにもっともらしく見えるのはやりたいことに迷いがないからだろう。ところで美術としてスタッフに名を連ねているダリがどういう働きをしたのか見当がつかないのはどういうわけだ。むしろウルトラセブンでこの映画をパクったエピソードに多大な影響をあたえているような(怪獣の名前がダリー)。いったい何やってんだか。
[映画館(字幕)] 9点(2004-09-17 19:30:17)(良:2票)
42.  顔のない眼
どんな美人も顔の皮をはいでしまえば・・・耽美なモノクロ画像とモーリス・ジャールによるもの悲しい音楽を使い、直裁なグロ表現を極力抑えながら観る者にここまで生理的嫌悪感を喚起する手腕は並大抵のものではない。主役が分散しており、先が読みづらいのもいい。ほとんど受け手の想像力を刺激することによって成立している恐怖なので、最後まで感覚の慣れによる怖さの目減りが無いのも高ポイント。スプラッターでもオカルトでもなく実は単なる美容整形手術の話なのに!あたしゃ中坊のとき夜独りで留守番しながら見てガクガク震えてしまいましたよ。楳図かずおの初期作品が好きな方はぜひぜひご覧くださいね。
[映画館(字幕)] 9点(2004-06-21 00:04:32)
43.  大魔神
タメが効いた作品の最高峰!なかなかその姿を現さない大魔神。無力な人間どもの神をも恐れぬ所業でひっぱれるだけひっぱって、観客の魔神登場に対する期待感が頂点に達したところで《《《!!どっかーん!!》》》と出てきて爆発的威力を見せつけ、観客がびっくりして思考停止している間にさっといなくなちゃう。これぞ怪獣映画のお手本!否、怪獣映画というワクを越えてもこれほどのカタルシスを味わえる作品にはなかなかお目にかかれない。いざ暴れ始めると善悪という価値観も関係ない存在という点も神話的で案外深いものがあるような。大人になって見返す怪獣映画は、かつてこんなものに夢中になった自分が単なる低能なガキだったことを思い知らされるものがほとんどだが、この作品だけは今でも充分楽しめる。さすが幾多の名監督を擁する大映京都。撮影環境とスタッフの底力が同時期ガメラシリーズを作っていた大映東京とは全然違う。
[映画館(字幕)] 9点(2004-04-16 04:21:14)(良:2票)
44.  冒険者たち(1967)
中坊のときテレビで観て涙が出た。なんてったって音楽が最高だよね。一年後の再放送の時にスピーカー・トゥ・マイクで全編録音し、受験勉強しながら幾度となく聴いた。・・・時は流れ・・・22才の時初めて劇場で観た。現実の恋愛のきびしさにボロボロになっていたオレに中坊の頃の感動はもう戻ってこなかった。その後、崇拝していたジャーナリストの『コンゴ動乱を扱っていながら、被抑圧者の視点がゼロのダメ映画である。それを指摘しない‘さよならおじさん’も駄目な人である!』という評論を読んで心底驚いた。アキャ~!このメロウな作品をそないな政治的視点で語るとは!いやはや勉強になりました。さすがです。そうだよ今この瞬間にも為政者はみんなの権利を侵害し続けているんだ!甘っちょろい感傷に浸っている場合じゃなぁい!もうこの作品の甘美さには浸れない・・・20年経過・・・最近見返してみるとかつてのさまざまな思いとともに、マタ~リ味わうことが出来てしまった。借り物の怒りは続かないね。それともくたばりぞこないの諦めの境地というやつでしょうか。やっぱりいい映画じゃないの~ぉ↑(シリ上がり)・・・エンディングでかかる“レティシアのテーマ”はアラン・ドロンのヴォーカルバージョンより受験勉強中に愛聴したピアノ・ソロバージョンの方が良いなぁと思った・・・
[映画館(字幕)] 9点(2004-04-16 03:19:15)
45.  ブラックホール(1979) 《ネタバレ》 
9点つけちゃいます・・いえ、気は確かですよ・・死後の世界(ブレインストーム)と無限の彼方(2001年宇宙の旅/キャプテン・ウルトラ)。どちらもどう視覚化しても誰も反論できないが、かといって納得させることも難しい。この手の究極の世界に果敢にチャレンジした作品はその心意気だけでもリスペクトに値する。そこでこの映画。なんと“ブラックホールの中をお見せしちゃいます”というあまりに無謀なテーマに挑戦しているのだ!本作は見所がありすぎなので本題に入る前にこの映画の素晴らしさを箇条書きにしてみました。●全編に漂う不吉なムード(これほんとにディズニー作品か?)●壊れるためにのみデザインされた怪しく耽美な宇宙船(実はこいつが主役です)●サイコ野郎パーキンスのヘタウマ演技●不気味パートと活劇パートとおちゃめパートの乖離●ジョン・バリーの素晴らしいスコア(先の乖離に付き合って一貫性がないけど)●ふざけたデザインのロボット(テレビで竹中直人が吹き替えをあてていたなぁ)●ネモ艦長を邪悪にしたような悪役キャラが魅力的●あまりにも投げやりなエンディング等々・・・これらの要素がなんか覇気のないどよ~んとした演出の中で闇鍋的に現れては消えるのだ。肝心のブラックホールの中身だが、キリスト教圏の奴らが最後にすがる冥土のイメージってことで、先に挙げた[ブレインストーム]と同じ。大霊界と同じ。というわけでひっぱっておいていうのもなんだが真面目に語るべきことは何もない。そう、「まさかブラックホールの中に入ることはないだろうなぁ、あと15分くらいでおわりそうだしなぁ~えっ!やっぱ見せちゃうの?ってだけでもう9割方満足なんです。あとは“中身はお花畑でした(キャプテンウルトラ)”でもなんでもいいんです。どうせ冥土なんだから。視覚化するの無理ですから。そこんとこよろしいでしょうか?というわけで誰が何と言おうと個人的には大満足の傑作なんですよ。
[ビデオ(吹替)] 9点(2004-03-10 00:42:59)(良:1票)
46.  真夜中のカーボーイ
“東京へ行けば刺激的な出会い(要はやらせてくれる女)が待っているんだ”と信じて上京し、あてもなく深夜の歌舞伎町を彷徨った山出しのバカ者(オレのことだよ)にとっては身につまされる作品。そんなことをしていても寄ってくるのは、同性愛者の方々と宗教の勧誘というところまで一緒。よくこんな地味な題材を退屈させずに描けるものだ。しかし田舎者が都会に持つ幻想は毛唐も変わらないのだなぁ・・シミジミ
9点(2004-02-23 23:54:17)(良:1票)
47.  本当の目的
マケドニアってどこにあるの?ってくらいで彼の国についてまったく知らない。しかしこれは面白かった。演技の重厚さと自然さは尋常ではなく、役者の佇まいを見ているだけで充分楽しめるレベル。脱いで当然というような自堕落風な娼婦と教師みたいなお堅い熟女という二人の女性が出てくるが、娼婦はともかくお堅い方もすーっと脱いだのにはびっくりした。もっともどちらも自然な演出でエロ成分は無し。むしろそういう見方を拒否するような内容の話でもあり、その媚びの無いクールさが爽やかで格好いい。原題とはほど遠い文学性の感じられない邦題だが、微妙にフックになっているので好判断と思う。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-10-07 07:38:53)(良:1票)
48.  人生スイッチ 《ネタバレ》 
まるで筒井康隆のスラップスティックコメディを映像化したような快作。短編6つで綴られる怒りに捕らわれた人々の人生模様。些事が積み重なってどんどん大事になっていく様を見るのはブラックな笑いが好きな自分にはこの上なく痛快だ。トップのエピソードに親への復讐譚を持ってきているのもいい。なぜならここに出てくる沸点の低い人間を作ったのは間違いなく親だから。これほんと。監督は思いついた順番に並べたに過ぎない旨の発言をしているが、無意識だとしても鋭い感覚を感じる。音楽のセンスも最高。
[DVD(字幕)] 8点(2018-05-21 23:06:58)
49.  顔のないヒトラーたち
極めて丁寧に紡がれた重厚な歴史劇。戦後20年経ち、逃げおおせようとしているナチの残党を告発する若い堅物検事の葛藤に焦点が絞られていて高い文学性を感じる。内容の重さに反するように、まめにアングルを変えた細かいカットをテンポ良く繋いでいく編集。その軽快なリズム感が心地良く退屈させない。扱うテーマから予想される下世話な残虐シーンもなく安心して観ていられる。ファッション・インテリア・クルマなど装置のセンスが良く、登場人物各々の造形は堅牢で、その感情の動きの表現も画面全体の雰囲気にしっかりマッチしている。以上の点に見られるように格調高さと分かり易さが高次元で両立した演出は「アマデウス」のミロス・フォアマンを彷彿とさせる良質なものだ。同時代が舞台の同趣向の作品群の中でも出色の出来。観て良かった。
[DVD(字幕)] 8点(2018-01-31 08:20:39)(良:1票)
50.  1000日のアン
リック・ウエイクマンの変なアルバムでプログレファンにはお馴染みの、ヘンリー八世の妻を描いた脚本中心の重厚な歴史劇。アンは凜々しく、女性映画として「ブーリン家の姉妹」より誠実な作品の印象。但しその舞台はハリウッドアメリカンな空気感の王宮で、英語赤点の私にも台詞回しがクイーンズ・イングリッシュにほど遠いことが分かった。セックスの為には後先を考えない、あなたや私みたいな人が王様なので非常に共感でき、あまり馴染みのない世界観のわりに話にはすっと入っていける。彼は王様なのに宗教屋との付き合いがあって、性的に自由なんだか不自由なんだか引き裂かれたような状態。めんどくさ。アン・ブーリン役の女優さんは線の細い外見とは裏腹に、強気で野心的な女を演じきったたいへんな熱演。終盤に、激高した夫にきつ〜いビンタをされて一瞬も怯まないという奇跡的なシーンがある。ハリウッドの大作史劇としては今まで観た作品の中で最も面白かった。ところで(皆さんここからいつもの豊満談義が始まりますよ〜)ヘンリー八世はアンとセックスしたくてしたくて国が滅茶苦茶になるのだが、例によってアンはちっとも肉感的ではない。実際肖像画なんかを見ても細身なので、王様は私ら庶民が性欲を煽られる 尻が大きく・二の腕が太く・下腹の出た 豊満なタイプなんかには飽き飽きしているのかもしれない。しかしヘンリーのように「あの女じゃなければいけない」とピンポイント的に的を絞るのはいかにも素人だ。なびかなかった時はいかに王といえどもあのように苦しむことになる。ヘンリーちょっとマゾ入ってませんか。あげくセックスを取引の道具に使うような、貞淑の皮を被った不感症のゲスい女を摑むことになる。ああいうあなたや私のような性欲最優先の男には、「股の緩い女=いい人と感じる」という「やらせる優先」の回路を脳内に儲けておけば幸せに暮らせるよ、とアドバイスしてあげたかったです。
[DVD(字幕)] 8点(2017-07-09 09:00:13)
51.  アドレナリン(2006)
ただひたすらバカとエロをやるためだけのくだらない設定。すごいテンションで突っ走る、説教臭さの微塵も無いその振り切れた姿勢は賞賛に値する。浅いフェミニズムなんかを入れてアカデミー賞をもらって喜んでいる「マッドマックス」のジョージ・ミラーはこの監督の爪の垢を飲めばいい!
[DVD(字幕)] 8点(2017-01-12 19:50:37)
52.  怪談(1964)
どういうわけかこちらでの評では「耳なし芳一の話」の人気が低いが私は断然「芳一」を支持する。「黒髪」は話が単純すぎ。「雪女」は(本作の舞台装置は「型」だと理解したうえであっても)息が白くならないのが致命的でどうにもノれない。「茶碗の中」は珍しいリドルストーリーとして悪くないがあくまでオマケ的な扱い。そこへいくと「耳なし芳一の話」は元々の話の抜群の面白さに加え、海岸ロケ・屏風絵・セットの海・寺・屋敷・文字だらけの芳一の姿と、おいしいビジュアル満載だ。平家の武家屋敷でのシンメトリーを強調したキューブリックを思わせる構図も高い効果をあげている。さらに劇中で案じられる琵琶の演奏は、邦楽に見識がない私のような者にも充分その良さがわかる素晴らしいものだ。
[映画館(邦画)] 8点(2016-12-13 15:33:44)(良:1票)
53.  完全なるチェックメイト
面白い!社会性を犠牲にしながら特殊な能力を身につけた人物を描ききっています。今ならアスペルガーか自閉症スペクトラムと統合失調症の共存と診断されるのでしょう。知人にこのタイプの人がいて色々驚くことが多いのですが、彼の主観を疑似体験できて大変参考になりました。ロシア人とのチェス頂上対決は要点をうまく押さえて再現しており、ルールを知らなくても充分局面の変化と緊張感が伝わるように出来ています。ドキュメンタリー作品「ボビー・フィッシャー 世界と闘った男」と併せて観ると面白さが倍になるよ。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-09-28 08:21:59)
54.  セックス・チェック 第二の性 《ネタバレ》 
女だと思っていた選手をオリンピック出場のために「男になれ」といって育てたコーチが、彼女がふたなりだということが分かり、今度は「女にする」といってやりまくり、女にしすぎて失敗する。そんな冗談みたいな噺がシリアスなドラマとして存在するのだ。長年センス・オブ・ワンダーという言葉はもっぱらSF作品に使うものと思っていた。しかしこの作品から受ける衝撃はまさにセンス・オブ・ワンダーとしか言いようがないタイプのものだ。「女になる」という言葉の意味が一瞬よく分からなくなる快感。原作者も監督もアタマがおかしいのではないかと賞賛したい。緒形拳のキレっぷりが恐いくらいなのにも心底驚いた。動物のような安田道代と、マネキンのような小川真由美もすごい。寺内大吉原作の映画2作品は「競輪上人行上記」といいこれといいハズレがない。他にももっと観たいのだが残念なことに現在観られるのは二つしかないらしい。
[DVD(邦画)] 8点(2014-11-11 21:58:40)
55.  桐島、部活やめるってよ
クラスのイケている連中とイケてない連中が平行して対称的に描かれる。そのメリハリの効いたキャスティングと芝居の付け方が素晴らしく、演技を観ているだけでも面白い。加えて不在の桐島についてどのような落とし前をつけるのか気になって最後まで興味が持続する。音楽はあまり使用されておらずほぼ現実音のみなのに、クライマックスではそれが劇的な効果を上げるように設計されている。不意打ち的に涙腺を緩ませるその使い方はちょっとあざとさを感じるものの許容範囲内だ。「エレファント」の先鋭的な手法を下敷きにしながら分かり易いテーマとドラマチックな展開を持つ本作は、娯楽性と文学性を高次元で合体した良作だ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-01-04 16:05:49)
56.  ジュエルに気をつけろ! 《ネタバレ》 
ジャーナリストの佐野真一氏が今話題の結婚詐欺師K嶋に夢中になっている。その興奮具合から、どうやらとんでもなく魅力的な女性らしいことが伝わってくる。曰く「言葉使いが丁寧で、鈴をころがすような声」「犯罪なしには生きていけない女」「彼女の沸点は異常に低い」「こんなつまらない判決を書く裁判官に、彼女は裁けるわけがない」彼が彼女に惚れ込んでいることは分かるのだが、いったいどのような人物なのかいまいち判然としなかった。佐野氏の表現力をもってしても伝えきれない人物のようだ。ところがこの作品を見てその疑問は氷解した。上記の発言すべてこの作品の主人公ジュエルに当てはまる。なんともその魅力を解説しづらいが、リアリティのある人物造形。もちろんK嶋がまんまジュエルにそっくりなわけはない。しかしかなりの部分で共通のものがあるのではないか。だとすれば佐野氏が彼女に惚れていることを隠そうともしないのも、その判決に憤るのも全て腑に落ちる。それにしてもよくできた作品だ。尋常じゃない色っぽさとシンプルにすぎる価値観を持つ女を3人の男が語る「市民ケーン・羅生門方式」の複雑な構成。張りまくりの伏線を次々に回収する無駄のないシナリオ。製作のマイケル・ダグラスはそのメイキングで「善でも悪でもない人間を描きたかった」と言っている。常識的な価値観では悪としか言いようのない人間も、実際出会ってその行動をみてをみると、いちがいに悪と言って切り捨てるわけにもいかないことがある(無論その逆もある)。一見バカ映画の体をとりながらそのメッセージが心に届くようにできている良作と感じた。
[DVD(吹替)] 8点(2012-05-01 11:06:18)
57.  子供の情景 《ネタバレ》 
あまり馴染みのないイラン映画。しかも政治的に難しいものを抱えるアフガニスタンが舞台ということで、観る前は構えていた。しかし演技というにはあまりにも自然な子供の表情、お涙頂戴的な演出が一切無い、このふたつに心の壁は簡単に突き崩された。ほのぼの系なのかな、と、無防備になった精神にラストの「自由になるには死ぬしかない」というメッセージが突き刺さる。失礼しました。そんなに甘いもんじゃないんだね。救いのない物語のわりには後味がそれほど悪くないのは、暴力も子供のゴッコ遊びの範囲を決して出ない上品さ故だろうか。原題の元になった言葉が「仏陀は破壊されたのではない。恥辱のあまり自ら崩れ落ちたのだ」であることは押さえておいていいと思う。それにしても10代の女性がこれを監督したという事実には驚いた。
[映画館(字幕)] 8点(2011-12-08 15:07:34)
58.  座頭市地獄旅 《ネタバレ》 
市のライバル成田三樹夫氏がえらくカッコイイ!プライドのありかが将棋と剣の勝負のみに集中しきっている浪人。剣豪が日銭を稼ぐのに自分を打たせる大道芸なんかしているのがいい。そのことが彼のニヒルな人間性をさらっと表現していて上手い。物語り的にも市との脳内将棋バトルが要所要所に挟まれていて、二人の関係の深まり具合を示す良いアクセントになっている。仲良く遊んでいたのに結局対決することになる動機が判然としないが、成田氏の佇まいと行動を見るとくだくだした理屈は不要と感じてしまう。そういう狂犬のような人同士なのだな、と。三度目の対局で、徐々に将棋を指すテンポが上がっていき、一気に斬り合いになだれ込むくだりのカタルシスが気持ちいい!このクライマックスは同年発表の博打映画の傑作「シンシナティ・キッド」とそっくりなテンポと目のアップだが影響をうけているのだろうか。それにしても三隅監督は行間で語るのが本当に上手い。
[映画館(邦画)] 8点(2011-11-04 09:16:23)
59.  黒い画集 第二話 寒流
素晴らしい点が3つ。1:主要登場人物みんながいやな奴であること。主役の池部良も悪人というほどではないがつまらない仕返しを企んだりする。2:終盤になっても新たな登場人物、新たな場面が展開すること。丹波哲郎のやくざ、宮口精二の探偵などおっ、と思う意外な人物が良いタイミングで登場し退屈させない。特に丹波哲郎の存在感は圧倒的だ。少ない出番にもかかわらず思わず背筋が伸びてしまった。3:テルミンを多用した音楽。無機質なテルミンの音色は余計な情緒誘導を感じさせず、この物語がどっちに転ぶかわからないという点に大いに貢献している
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-02-13 17:54:49)(良:1票)
60.  トロン
ミクロの決死圏と並ぶ“異世界観光”映画。この手の作品は観客をその珍奇な世界に引っ張り込めればもうあらかた成功なわけで、ドラマ的に深みが無くてもあまり文句を言う気分にはなれない。生身の人間がプログラム化され、電子回路の中での冒険するという小学生の思い付きのような設定。そんな無理を承知のうえで、それでも無理矢理視覚化してしまう心意気が嬉しい。実際、電子化された人体が機械に吸い込まれていくイメージなんかベタだけど実に良くできていると思う。無機質な世界を舞台にしながら、ウエンディ・カルロス(この人元男だよ)の音楽が程良い叙情を感じさせてくれるのも心地良い。彼女の抑え気味の旋律も各種サウンドの設計も素晴らしい。ローテクCGの異様な画と相俟って醸し出されるムードは他に類例を見ないトロン独自のものだ。同時期の「ブラックホール」とともにディズニーの駄作SF扱いを受けがちな本作だが、両作品共にそのぶっとびの思い切りの良さと革新性はもっと評価されてよいのではないだろうか。
[映画館(字幕)] 8点(2009-01-20 17:38:09)(良:1票)
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