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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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1.  レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い 《ネタバレ》 
 子供の頃に観て以来、大好きな映画。   改めて再見すると「ヒロインのスザンナに共感出来ない」「主人公トリスタンが家に帰る場面を感動的に描くのは、二回繰り返さず一回に留めて欲しかった」等々、欠点らしき物も見つかるんですが……  (あぁ、やっぱり良いなぁ)って感じる場面の方が多かったですね。   特に「弟であるサミュエルの死」の件は、何度観ても胸に迫るものがあります。  瀕死の弟を抱き起こし「もう大丈夫だ」「家へ帰ろう」と呼びかける兄の姿。  ちっとも大丈夫じゃないし、弟は二度と家へ帰れないという現実が痛いほど分かるだけに、トリスタンの切なる願いと、それが叶わない絶望とが伝わってきて、忘れ難い名場面です。   そんなトリスタンが「神を呪う」と叫んだり、トリスタンの父が「アメリカ先住民を守ろうとしたが、守れなかった軍人」という立場だったりと、本来はキリスト教徒や米国人向けに作られた映画なのでしょうけど……  そのどちらにも該当しない自分でも、充分に面白かったですね。  むしろ、この映画で描かれた世界や歴史、価値観とは無縁であるからこそ、一種のファンタジーとして、夢に浸るような気持ちで楽しめたのかも知れません。   映画の要所要所で手紙が読み上げられるのも、程好いアクセントになってると思うし、序盤にも中盤にもクマを登場させてあるので「最後に主人公は、クマと戦って死ぬ」という、一見すると突飛な結末にも、しっかり納得出来る作りなのも嬉しかったです。  (この主人公の最期は、クマと戦わなきゃ駄目だ。そうじゃなかったら嘘だ)とまで思わせてくれたんだから、本当に凄い。  モンスターパニック物とは毛色が違うけど、これも一種の「クマ映画」と呼べそうですね。   それと、自分は先程「ヒロインのスザンナ」と書きましたが、どちらかといえばイザベル・スーの方が、ヒロインと呼ぶに相応しい気がします。  幼い少女時代から、健気にトリスタンを想い続け、最後は彼の妻となる。  大人になった今観ると「何があっても貴方への気持ちは変わらない」「待ってるわ、どんなに長くなっても」とトリスタンに言ってたスザンナが、彼の兄であるアルフレッドと結婚しちゃう事や「イザベルの死を願ってた」と言い出す事に、流石に付いて行けない気持ちになったりもするんだけど……  それでも楽しめたのは、彼女のアンチテーゼとも言うべき存在として「本当に何があっても、トリスタンを一途に想い続けたイザベル」が登場しているからだと思います。   そんな感じで、アレコレ分析させる余地もあるし、難しい事を考えず「男女の恋愛映画」「家族愛を描いた映画」として感覚的に楽しむのも可能だし、何ていうか、懐の大きい作品なんですよね。  老いて活舌の悪くなった父が、黒板に「(お前に会えて)嬉しい」と書いて、息子との再会を喜ぶ場面も良いし、不遇だった長兄のアルフレッドが、最後に父と弟を救ってオイシイとこ持っていくのも良い。  ブラッド・ピットの俳優人生で、最も美しい瞬間を収めたフィルムってだけでも、充分に価値があると思います。   作中で描かれるモンタナの風景も雄大で、音楽も幻想的な響きがあって、夢心地にさせてくれる。  初めて観た時から、今も変わらずに……  自分にとっての「夢のような映画」と言える一本です。
[DVD(吹替)] 8点(2023-06-14 01:51:09)
2.  レッド・ドラゴン(2002) 《ネタバレ》 
 ドラマ版「ハンニバル」を観終わった勢いで、本作も久し振りに鑑賞。  シーズン3の6話分ほどを掛けて「レッド・ドラゴン」を映像化したドラマ版に比べると流石に薄味とか、でも「刑事グラハム/凍りついた欲望」に比べれば原作にも忠実だし濃厚な作りとか、どうしても他作品と比較して論じたくなるのですが……  その場合はドラマ版「ハンニバル」の事ばかり語ってしまいそうなので、以下は、なるべく映画単品としての評価を。   まず、ウィル・グレアムを演じたエドワード・ノートンは、文句無しで良かったです。  脇役陣も豪華だし、特にハーヴェイ・カイテルがウィルの上司役で登場した際には、思わず声が出そうになったくらい。  出番が少なめなウィルの妻子に至るまで、しっかりと良い役者が揃っており、安心して鑑賞する事が出来ました。   二時間ほどの尺の中で「レッド・ドラゴン」という物語に必要な事は、大体やってくれているのも嬉しい。  冒頭にて「ハンニバル・レクターの逮捕劇」を、僅か八分ほどでスピーディーに描いてるのは見事だったし「ウィルにクリスマスカードを送ってる」「自分達は似た者同士だと語る」などの場面を挟み、レクターがウィルに抱く感情は、単なる憎しみではないと、自然に描いているのも良いですね。  物語のラストでウィルに送った手紙からしても、レクターは「自分を捕えたウィルに復讐した」というだけでなく、彼なりのラブコールを送り、そして振られたのだと感じさせるような作りになってる。  家族を守る為に傷付いたウィルと、黒幕として暗躍したレクターの二人、どちらが勝者で、どちらが敗者であったろうかと考えさせられる、この味わい深い決着の付け方は、実に好みです。   主犯となるダラハイドも丁寧に描かれており、凶悪な殺人鬼にも拘わらず(可哀想な奴だ)(盲目の女性と結ばれて、幸せになって欲しかったな……)なんて思わせてくれたんだから、お見事。  作中最大のトリック「自殺したと見せかけて、実は生きていた犯人」の場面に関しても、文字媒体ではない映像媒体で表現するのは大変だろうに、自然な仕上がりになってたと思います。   幼い息子を人質に取られたウィルが、ダラハイドのトラウマを刺激して息子を救う場面も良いですね。  ウィルの恰好良さは勿論、ダラハイド側の「こいつだけは許せない」という怒りも伝わって来る、忘れ難い名場面です。   難点としては……  「暗い部屋で電灯を点けると同時に血痕を目撃する場面」なんかは、ちょっと古臭い演出に思えた事。  それと、終わり方が微妙だった事が挙げられそうですね。  クラリスがレクターに会いたがってるという「羊たちの沈黙」に繋がる場面で終わったのですが、ファンサービスが露骨過ぎるというか……  (これは「レッド・ドラゴン」が好きな人じゃなく「羊たちの沈黙」が好きな人の為の仕掛けだよな)と思えて、どうも喜べないんですよね。   クラリスよりウィルが、そしてレクターよりダラハイドが好きな身としては、ちゃんと「レッド・ドラゴン」の物語として完結させて欲しかったです。
[DVD(吹替)] 8点(2023-05-10 02:07:12)(良:2票)
3.  レッド・ウォーター/サメ地獄<TVM> 《ネタバレ》 
 (夏だなぁ……サメ映画観なきゃ)という想いで鑑賞。   ルー・ダイアモンド・フィリップスが主演だし、割と期待値は高めだったんですが……  どうもチグハグというか「予想も期待も裏切る内容」って感じだったのが残念ですね。   これは低予算のサメ映画では結構ある事なんだけど、本作でも「銃を持った悪人の方が、サメより脅威」という現象が起きてしまっているんです。  それ自体は決して悪い事じゃないんですが、本作の場合は「銃を持った悪人を倒すカタルシス」が描かれていないのが問題なんですよね。   盗まれた金を探しに来た悪人達に、主人公グループが監禁される流れな訳だけど、主人公が頑張って反撃しようとしても、あっさり鎮圧されちゃう。  で、形勢逆転のキッカケになるのが「悪人達の仲間割れ」であり、それに乗じて主人公達が逃げ出すって形なので、何ともスッキリしないんです。   しかも悪人達の中で、最も有能でボスキャラと思われた人物が、無能な仲間に殺されるって形なので「強敵を倒した達成感」も得られず仕舞い。  流れとしては「一番有能な敵が不意打ちで無能な敵に殺される」→「その無能な敵もサメに殺される」→「主人公がサメを殺して事件解決」って形であり、どうもややこしいというか……  こんな複雑なストーリーの品よりも、最後の「主人公がサメを倒す」という一点に特化した映画が観たかったなと、つい思っちゃいました。   他にも「嫌味な憎まれ役だったジーンが死ぬ場面は感動的に描く」「良い人枠なハンクはアッサリとサメに喰われ、その後に笑いを取ったりしてる」ってのも、何ともチグハグな演出。  普通は「憎まれ役をサメに喰わせて、観客をスッキリさせる」「良い人が死ぬ場面は感動的に盛り上げる」ってのが、サメ映画のお約束ですからね。  意外性を狙ったのかも知れませんが、結果的には「ベタで王道な魅力」が失われてしまっただけに思えました。   そんなこんなで、褒めるのは難しい作品なのですが……  ラスト数分で、思い出したようにサメ映画らしい内容になり、しかも「石油採掘用のドリルでサメを倒す」っていう痛快なクライマックスを見せてくれたのは、嬉しかったですね。  これまで色んなサメ映画を観てきたけど「ドリルで倒す」ってパターンは初めてだし、何かもうそれだけで(良いもん見たな……)って満足しちゃいます。   その後にダラダラと引っ張る真似もせず、警察のヘリが現れて「助かった……」という安堵感と共に終わる辺りも気持ち良い。  主人公の船の名前は「ビターエンド」だったけど、ハッピーエンドと言って良さそうな、スッキリとした終わり方でしたね。    終わり良ければ全て良し……ってのは大袈裟かも知れませんけど、一応「サメ映画を観た」って気持ちにはさせてくれたので、満足です。
[DVD(吹替)] 5点(2022-07-13 22:42:02)
4.  レッド・ブロンクス 《ネタバレ》 
 配給側が「ジャッキー・チェンこそが世界最大のアクションスターであると、世界中の皆に教えてみせる」という気概を持ち、並々ならぬ熱意で宣伝したという一作。  その甲斐もあり、ジャッキーの悲願であったハリウッド進出を成功させた、記念すべき作品なのですが……   所謂「ジャッキー映画」の中では、際立った傑作というほどではないというのが、少し寂しいですね。  (他にも良い映画は一杯あるのに、これを観るまで全米はジャッキーの魅力に気付かなかったのか)って、つい思っちゃいます。   とはいえ、商業的に成功しない事には始まらないんだとばかりに「米国でウケる為のアレコレ」を映画に盛り込んでいる辺りは、結構微笑ましく、また興味深くもありましたね。  この辺りは、ジャッキーの「芸術家」としての拘りとは違った「プロフェッショナル」としての懐の広さを感じられます。   アジア人以外の俳優も多く起用し、対話の大部分を英語にしてる辺りなんかが、特に顕著。  自伝によると、ジャッキーも「できるだけ国際的な香港映画」を目指していたようで「これは香港映画である」という信念は崩さないまま、可能な限りの配慮を行ったのが窺えました。   映画の完成度は高いとは言えず(香港に恋人がいるって設定、必要だった?)とか(最後ホバークラフトを使わなきゃ黒幕を逮捕出来ないって、無理矢理過ぎない?)とか、色々ツッコミ所は多いんだけど……  自分としては、そういった粗の数々も含めて楽しめちゃいましたね。   「アジア人の主人公が、治安の悪いブロンクスで生活している内に、美女二人と良い仲になり、車椅子の少年と友達になったりする」ってストーリー展開も、非常に好み。  「主人公はカンフーの達人である」と分かる場面を序盤に挟んであったりして、ジャッキー・チェンという存在を知らない観客に対し、丁寧な作りになっている点も良いですね。  これって、一見すると何気無い場面だけど、実は「ハリウッドで成功する為には、絶対必要な描写」だったと思いますし。  商業的な成功が、必ずしも傑作の条件という訳ではありませんが、こういう「目的の為に必要な事」をキチンと行ってる映画って、観ていて嬉しくなっちゃいます。   序盤、不良グループが好き勝手に暴れる件は陰鬱だけど、それだけにジャッキーが「お前らはクズだ!」と断言し、彼らを倒してみせる流れが痛快。  そこで悪い奴らを倒して「めでたし、めでたし」で終わらせず、彼らを改心させ友情が芽生えるって展開にした辺りも、ジャッキー映画らしい魅力があって好きですね。  欲を言えば、後半にその「和解」っぷりを活かし、彼らと共闘して巨悪を倒すような展開にしても良かったんじゃないかって思えるんですが……まぁ、それは贅沢な要望でしょうか。   終盤の、海から上陸して市街地を暴走するホバークラフトという展開に関しても、文句無しの迫力があって良いですね。  車に剣を添えて、擦れ違いざまにタイヤを切り裂くという「ホバークラフトの倒し方」も、恰好良くて好き。  本作が成功した理由としては、この場面も大きかったんじゃないかなって思えます。  つまり「ジャッキー・チェン特有のアクション」を求めていない観客でも満足出来ちゃうような「見せ場」が用意されている訳であり、それが客を呼ぶ一因になってくれたんじゃないかと。   それと、自分としてはスーパーの店主になったエレインってキャラが、凄くお気に入りなんですよね。  話の筋としては、ダニー少年の姉であるナンシーの方がヒロインっぽいんですが(エレインと結ばれて欲しいな)って、そう思えたくらい。  でも、ダニー少年も良い子なので、彼を喜ばせる為にはナンシーと結ばれた方が……とも思えるしで、そんな歪な三角関係が、妙に好きなんです。   ストーリー展開よりも「主人公周りの設定」「ヒロインや脇役」が魅力的っていう意味では、映画よりも、むしろ連続ドラマ向きの題材だったのかも知れませんね。  元々のプロットも「主人公は留学生で、スーパーマーケットで働いている」「様々な苦難を乗り越えて異国に馴染んでいき、周りの人々と友情を育んでいく」って形であり、一本で終わる映画よりも、何話も使えるドラマの方が面白くなりそうですし。  そうしたら、最終回にて香港に帰る主人公を、寂しそうに見送るダニー少年とか、向こうに恋人がいると理解しつつも諦めきれないヒロイン達とか、そんな展開に繋がったかもと考えたりするのが、何だか楽しい。   完成度も低く、粗も多いだけに、妄想で補う楽しみもあるという……  そんな一本でした。
[DVD(吹替)] 7点(2021-06-10 08:04:43)
5.  恋愛だけじゃダメかしら? 《ネタバレ》 
 妊娠を主題としている為か、序盤にて嘔吐ネタが繰り返される事には、少々ゲンナリ。  演出も冴えていないというか、正直ちょっと好みじゃないなと感じる部分もあったりしましたね。  でも、総合的には良い映画だったと思います。   養子を迎えようとする夫婦、流産を経験するカップルなど、群像劇ならではの個性が感じられましたし、それによって様々なエピソード、様々なメッセージを描く事に成功しているのですよね。  妊娠による体調不良を「体内で奇跡が起きてる証拠」と美化する一方で「妊娠は最悪」「ニキビも出来る。歩けばアソコが痛む。オナラも出ちゃう」と、生々しく表現したりもしている。  基本的には「子を産むことの素晴らしさ」を声高に主張している映画なのだけど、そういう現実的な側面もキチンと描いている為、あまり偏った印象は受けず、素直に楽しむ事が出来たように思えます。   くしゃみと同時に軽く出産しちゃう女性もいれば、激痛に叫びながら出産する女性もいるという対比も面白かったし「血の繋がらぬ子を養子として迎え入れる場面」を、出産に負けず劣らず感動的に描いていたのも、何だか嬉しかったです。  劇中の人物同様に、世の中には子供を産みたくても産めない女性が存在する訳で、そういった人々への優しさというか「出産を経ずとも人は母親になれる、父親になれる」というメッセージが伝わって来て、とても温かい気持ちに浸れました。   ラストにて、子育てパパ軍団が、冷たい缶ビールをベビーベッドの下から取り出し、仲間にパスするシーンなんかも、妙にお気に入り。  筋トレマニアで、常に公園を走って身体を鍛え上げ、派手に女遊びしていた独身男がパパになると同時に「もう走るな、歩くんだ」と男友達から諭される件も、色々と象徴的に思えて良かったです。  そんな彼が、当初はタッチを拒んでいた相手と、仲良くタッチを交わして「パパ」の仲間入りを果たして映画が終わるという構成も、凄く後味爽やか。   大人達が主役であり、子供にスポットが当てられていない為、肝心の「子供を持つ喜び」が伝わってこない点など、色々と気になる部分もあるのですが「あぁ、良いなぁ……」と思える場面の方が多くて、帳消しにしてくれたという感じですね。  こういう映画、嫌いじゃないです。
[DVD(字幕)] 6点(2017-07-04 13:52:03)(良:1票)
6.  -less [レス] 《ネタバレ》 
 序盤の時点で「あぁ、これは死後の世界か何かに迷い込んでいるんだな」と気が付かされる訳ですが、そんなネタバレ状態でも楽しめる一品でしたね。   七時半で車内の時計が全て止まっている件などは「つまり、その時刻で事故が起こった訳か」と推測させてくれるし「あの白い服の女性は誰?」(=事故の相手となった車の運転者)など、適度に謎も残してくれているので、一番大事なオチが分かっていても、細かい部分の答え合わせを行えて、退屈しないという形。  ラストにも分かり易く死神風の男が現れるし、日本で言うところの「怪談」映画だったのだなと納得して、モヤモヤを抱えずに観終わる事が出来ました。   とはいえ「怪談だから整合性とか気にしなくても良いんだよ」感が強かった辺りは、難点と言えそう。  登場人物の行動が不自然で、ちょっと感情移入し難いものがあったのですよね。  例えば、主人公のマリオンだけが車を降りて夜道に一人きりになる際に、彼氏も一緒に降りない理由が不可解だし、マリオンの弟が野外で唐突に自慰行為を始めるのも理解不能。  運転手である父親が飲酒したりなど、色々と道徳的、あるいは宗教的なメッセージが込められているのかも知れませんが、それらを読み解く楽しさよりも、置いてけぼりな気持ちの方が強かったです。   そもそも、隠されたテーマが云々と言い出したら「去年は高速道路を使ったので事故を起こさなかった。つまり、この映画には『皆も高速道路を使おう』というメッセージが込められているんだ」と言い張る事だって出来そうな感じなんですよね。  深読みしたら、作中の延々と続く道路同様に、キリが無さそう。   一家全滅ではなく、主人公だけは助かっているので、後味が悪いという訳ではないのですが「最高のおじいちゃんになる」という、もはや叶わぬ願いが書かれたメモが拾い上げられるシークエンスと、実は去年のクリスマスの時点で笑顔だったのは父親と娘だけ(しかも娘の方は作り笑いっぽくて、家族全員が違う方向を見ている)と明らかになる写真を映し出して終わる辺りには「悪趣味だなぁ……」とゲンナリ。  総合的には楽しめた時間の方が長くても、こんな具合にラストが好みでなかったりすると、評価が難しくなってしまいますね。   彼氏が「今夜プロポーズするつもり」と語った途端に、別の場所でマリオンが「彼に別れ話を告げる練習」をしている姿を映す演出は上手いと思ったし、中弛みしそうなところで「目に見えて狂い出す母親」という展開にして、観客の興味を維持させる辺りも、感心させられるものがあります。  「実は両親揃って不倫していた」なんて下世話な真実を明かしてくれるのも、作り手のサービス精神が伝わってきましたね。   観ると幸せな気持ちになれるという類の映画ではありませんが、平均以上の満足感は与えてもらったように思います。
[DVD(字幕)] 6点(2017-02-19 18:24:13)
7.  レッド・ライト 《ネタバレ》 
 超能力者と、その真贋を見極めようとする科学者との対決というテーマは、非常に興味をそそられます。   けれど、この映画の場合は意図的にそれをクライマックスに持ってこなかったというか、結果として「本物の超能力者VS偽物の超能力者」という形になっているのですよね。  これには意表を突かれましたが、最初の路線通りに話を進めて欲しかったなぁ……とも思ってしまいました。   なんせ、大物俳優であるデ・ニーロと、シガニー・ウィーバーの対決になるのかと思われた中で、後者が唐突に途中退場する形ですからね。  衝撃的な展開ではあるのですが、疑り深い性分なせいか「これ、本当に死んだの?」なんて思ってしまい、今一つノリ切れませんでした。   超能力は本物か? 偽物か? とデ・ニーロに視点を集中させておいたところで、主人公であるキリアン・マーフィの存在によって「本物の超能力は存在する」と証明されるオチは、素直に面白かったです。  伏線も丁寧だったし、当人が予め「自白」していた事が明かされるフラッシュバック演出なんかも、心憎い。   ただ、それは結果的に「憎きインチキ超能力者の嘘を暴く」というカタルシスを薄める形にもなっている気がします。  きちんと科学的な考証によって「偽の超能力」を否定してみせて、決着を付けた後に、エンディングにてサラっと「実は主人公こそが超能力者」と明かしたりするような形の方が、好みかも。   幽霊屋敷のラップ音の正体、机を浮かしてみせるトリック、電波を使った読心術暴きなど、前半における「超常現象の謎解き」部分が面白かっただけに、後半の展開は残念。  それでも、主人公が「超能力」を証明してみせた事が、ラストの「生命維持装置を切る」行為に繋がる脚本には、唸らされましたね。  実際に死後の世界があるかどうかは分かりませんが、この映画の中では存在していて欲しいものです。
[DVD(吹替)] 5点(2016-06-02 21:43:23)(良:1票)
8.  レフト・ビハインド 《ネタバレ》 
 飛行機パニック物としては、それなりに楽しめる代物だったと思います。   ただ、それは裏を返せば「世界中から人々が消失する」という展開に、あまり必然性を感じなかった、という事にもなってしまうのが辛いところです。  だって、作中のクライマックスが明らかに「無事に飛行機が不時着出来た」場面であって、人間消失の件が全く関係無い事になっていますからね。  それこそ機長が消えてしまったのならば意味もあったのでしょうが、本作は主人公である機長が現世に健在であり、しかも彼が有能な人物であるものだから、問題無く不時着を成功させて、それでお終い。  これほど無意味で、なおかつスケールの大きい設定というのも、中々珍しいのではないでしょうか。   神様を信じる者だけが消えてしまったとなると、悪人だけが残った世界なのかと身構えてしまいますが、この映画では、その辺りも極めて曖昧。  肝心の主人公達が「神を信じていない」という一点を除けば、比較的善人である事も相まって、あまり危機感だとか絶望感だとかが伝わってこないのですよね。  何せ、主な舞台となる飛行機内に「こいつは文句無しに悪人だ」と思える人物がいないのだから、外の世界が大変な事になっているのが不自然に感じてしまうくらいです。   原作小説はベストセラーであり、これ以前にも三度映画化されているそうですが、いずれも「キリスト教を信じる事」が絶対的に正しいと描かれている内容なのだとか。  そうなると「飛行機が墜落するかも知れない」という展開に着目して、自分みたいな不心得者でも楽しめるような娯楽映画に仕上げてくれた監督さんに、感謝すべきなのかも知れません。   いずれにしても、自らを信奉する人間しか救わないのだとしたら、神様ってのは嫌な奴なのでしょうね。  そんな意地悪な神様なんかではなく、もっと誰にでも優しく出来る存在であって欲しいものです。
[DVD(吹替)] 4点(2016-05-25 13:42:58)(笑:1票) (良:2票)
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