Menu
 > レビュワー
 > ゆき さんの口コミ一覧。11ページ目
ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031
>> カレンダー表示
>> 通常表示
201.  80デイズ 《ネタバレ》 
 「八十日間世界一周」をジャッキー主演で映画化したという、正に夢のような映画。   その分、ちょっとファンタジー色が強過ぎるというか、映画版「八十日間世界一周」(1956年)のリメイクと考えたら違和感が大きいけど、自分としては満足でしたね。  あくまでも、ジュール・ヴェルヌの小説を翻案した「ジャッキー映画」として楽しむべきなんだと思います(エンディングのNG集は無いけど)   物語の大オチ「日付変更線を越えたから期限に間に合った」は変えてないし、世界一周の旅を通して「金や名誉よりも大切な人を得る事が出来た」という、原作で一番大切な部分を、きちんと踏襲しているのも嬉しい。  随所にアクションも盛り込まれているし、急造飛行機以外にも「色んな機能を備えたステッキ」「車輪を付けた靴」など、ワクワクさせられるアイテムが揃ってるのも良かったです。  主人公格のフォッグを発明家キャラにした事に、ちゃんと意味があったと思います。   ゴッホやライト兄弟にウォン・フェイフォンなど、史実におけるビッグネームが登場する事と「俳優としてのビッグネーム」が登場する事をシンクロさせている作りも面白い。  この辺りは「さりげなくスターを出演させる」という1956年版の遊び心に通じるものがあるし、ただ真似をするだけでなく、一歩先に進んでみせた感もありますよね。  特に「ジャッキー・チェンとシュワルツェネッガーの共演」には胸躍るものがあって、本作が「夢の映画」である事を実感させてくれました。   万里の長城を徒歩で移動する場面なんかも、旅映画らしい切なさを感じられて好きだし、パスパルトゥーの故郷の描写も「懐かしき我が家に帰ってきた……」って感じがして、良かったですね。  敵と戦っている内に、自然とキャンパスに絵が完成しちゃう場面も可笑しくって、コメディ部分としては、ここが一番お気に入りかも。   そんな具合に、様々な長所が備わっている映画なんですが……  ・船を材料として提供した船長達が、その後どうなったかについて描かれていない。 ・「また腕が取れた」と笑いを取って終わるのは、ちょっと微妙。   といった具合に、終盤において短所が目立つのが残念ですね。  最後の最後で、テンションが下がって終わっちゃう形。  これって「終わり良ければ全て良し」の逆の現象であり、作品全体の印象も微妙なまま終わっちゃう訳だから、凄く勿体無い。   せっかく旅の途中までは楽しかったのだから、その勢いのままハッピーエンドまで駆け抜けて欲しかったものです。
[DVD(吹替)] 7点(2021-04-16 14:58:23)
202.  幸せになるための27のドレス 《ネタバレ》 
 オチの良さありきというか、それがやりたい一心で映画撮ったんじゃないかと思えるような品なんですが……  自分としては、過程も含めて楽しめましたね。   例えば、話の流れとしては冒頭の「タクシー運転手とのやり取り」が面白くて、もしや彼が恋人候補かとも思える感じなのですが、ちゃんと配役や演出でケビンこそが「ヒロインと結ばれる王子様」だと分かるよう作ってあるんです。  上司のジョージを(良い人だけど、何か違う……)と観客に思わせる辺りも絶妙で、たとえヒロインが彼に恋い焦がれていても、最終的に結ばれるのはケビンの方なんだろうなと、予想も出来るし、納得も出来ちゃう。  「先が読める展開」「安易な脚本」ではあるんだけど、ちゃんと丁寧に作られていたと思います。   主人公カップルに「結婚式が大好きな女性」と「結婚式が嫌いな男性」を据えて「相性最悪かと思われた相手が、実は運命の相手だった」というラブコメ王道の魅力を描いている点も良い。  それと「ドレスを着たままおしっこする際は、誰かの補助が必要」とか、男性からすると(そうなんだ)と思える場面があるのも良いですね。  女性向けのラブコメ映画だからこその、意外な魅力って感じです。  「要領が良くて、周りに愛される妹」「それに対する、姉としての複雑な感情」を描いている点も、女性主人公ならではって感じがして、これまた楽しめちゃいました。   終盤、主人公が妹の結婚をぶち壊して憎まれ役になる訳だけど、そこで親友がキチンと「こんなの間違ってる」と諭してくれるのも良いですね。  観客が主人公から心を離してしまうのを繋ぎ止める効果があり、ラブコメの親友キャラとして、良い仕事したなって思えました。  アン・フレッチャー監督は「あなたは私の婿になる」(2009年)も良作でしたし、こういう細かい部分の作り込みが自分好みなんでしょうね、きっと。   そんな本作の欠点は……  「姉妹が仲直りする場面に、無理がある」って事でしょうか。  ここに関しては、些細な部分ではなく、映画の中で重要な部分だと思うので、ちょっと看過出来ないです。  妹のベスは、彼女なりに色々考えて「ジョージに相応しい女性になろうとした」と告白するんだけど、具体的に何か努力したという訳じゃないので、説得力に欠けるんですよね。  その辺に関しては、作り手側も気になったのか「実は仕事をクビになったばかりだし、元カレに振られていたりで、妹も挫折を経験していた」「妹は妹で、姉にコンプレックスを抱いていた」と、様々な要素を用意してはいるんですが、どれも和解に至る決定的な材料とは思えず、残念でした。  せめて「喧嘩の切っ掛けになった母親のドレスについて、妹が謝る」って場面があれば、印象も変わったかも。   とはいえ、冒頭にて述べた通り「ブライズメイドを務めてあげた友達27人が、ドレスを着て結婚式に来てくれた」というオチが凄く良かったもので、鑑賞後の満足度は高め。  (これまでの主人公の行いは、無駄じゃなかったんだ……)って感慨を抱けるし、映画のクライマックスと共に完結する構成が美しかったです。  新聞記事に擬したエンドロールも御洒落だし、ラスト数分で一気に評価を高めてくれた一本でした。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-03-16 22:55:50)(良:2票)
203.  あなたは私の婿になる 《ネタバレ》 
 これ、好きですね。  「偽りの恋が、いつしか真実の愛へと変わっていく」という既視感満載なラブコメ物なのですが、適度なサプライズがあり、ちゃんと新鮮な魅力を味わえるんです。  その最たる例が「心臓発作で倒れる祖母」であり(これは彼女を死なせて盛り上げる展開か)と、観ていてまんまと騙されちゃいました。  それが「家族を仲直りさせる為の演技でした」と判明する訳だけど、全く嫌味が無いし「悲劇を回避出来た」「お陰で皆が仲良くなれた」という形の嘘なんだから、不快感が無いんですよね。  「観客を騙す映画」って沢山あるけれど、ここまで気持ち良い騙され方をした例は、ちょっと他に思いつかないくらい。   アンドリューの元カレが復縁を迫るのかと思いきや「このままマーガレットと別れても良いの?」と言い出す場面も、凄く良かったですね。  本当に脇役が良い人達ばかりだから、彼らに支えられる形で主人公二人が結ばれる流れが、観ていて心地良い。  そんな「サプライズ」が巧みな一方、序盤でヒロインのマーガレットが「泳げない」と言う伏線があったら、ちゃんと後に溺れそうになる場面を用意したりとか、観客の予想や期待を裏切らない構成になっているのも、お見事でした。   あとは、男性目線で観ると「美人な女上司の弱みを握り、言いなりにする」という邪な願望を満たす内容になっているし、女性目線で観ると「実家が金持ちの彼と結ばれる玉の輿展開」になっているしで、その辺の「男女どちらが観ても楽しめる」というバランスの良さも、絶妙でしたね。  孤独だったマーガレットが「家族の温もり」に触れ、アンドリューの家族を騙す事に耐えられなくなり、結婚式での告白に至る流れも丁寧に描かれており、説得力がありました。   そんな本作の不満点を述べるとしたら……  冒頭にて登場する「毎朝ラテを用意してくれる店員」が可愛くて、メインキャラかと思ったら違ってたのが残念とか、男性ストリッパーの場面は観ていてキツかったとか、精々そのくらいかな?   サンドラ・ブロック主演のラブコメ映画は色々ありますが、自分としては本作が一番好きですね。  エンドロールの質問にて「婚約者は誰?」と問われ、嬉しそうに「アンドリュー」と答える姿も可愛らしいし、彼女の魅力が存分に味わえる一本でした。
[DVD(吹替)] 7点(2021-03-07 07:56:32)(良:2票)
204.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
 映画を観始めた直後に「あっ、シャーロックが主演だ!」と驚き、中盤にて「戦争映画じゃなかったのか……」と再び驚かされましたね。  確かに戦争を描いた映画でもあるのですが、それ以上に『同性愛』という業を背負った天才にスポットの当てられた映画だったと思います。   自分は数学音痴なもので、そんな観客にもストーリーを分かりやすく構成してくれた事は、本当に嬉しい限り。  「真っ当な方法でエニグマを解析しようとしたら、二千万年も掛かってしまう」など、その任務の困難さが明確に伝わってくる辺りは、凄く良かったですね。  途中、ヒロインが唐突なプロポーズを受け入れてくれたり、犬猿の仲であったはずの同僚が庇ってくれたりする流れには(ちょっと主人公に都合が良過ぎない? もっと仲が親密になるまでの描写が必要だったのでは?)なんて思ったりもしたのですが、後にキチンとそれらに対する答え合わせも用意されているのだから、お見事です。  ヒロインは自分も「普通じゃない」という引け目を感じているがゆえに、同じく「特別」な存在である主人公に惹かれていたと明かされるし、同僚はソ連のスパイだったというオチ。  後者に関しては察知する事も出来ましたが、前者に関しては、良い意味での驚きを味わえましたね。  自分は同性愛者である、という秘密を告げられて「それが何?」と返す姿には、惚れ惚れとさせられました。   それにしてもまぁ、主演のカンバーバッチさんは「SHERLOCK」でワトソンとの同性愛疑惑を掛けられたと思いきや、今度は本当の同性愛者を演じる事になるとはなぁ……なんて、微笑ましく思っていたのも束の間。  まさか、こんな悲劇的な結末を迎えるとは予見出来ず、終盤には何とも重苦しい気分を味わう事となりました。   夭逝した初恋の少年と同じ名前を機械に付け、それを偏愛する主人公の姿は、どこか滑稽でありながら、とても哀しいものを感じさせます。  観客としては(あんなに素敵な女性が愛してくれているのだから、その愛に応えてやれば良いじゃないか)と、もどかしい気持ちになったりもするのですが「クリストファ」を再び失う事を恐れる彼の姿を目にすれば、何も言えなくなってしまいますね。  慰めるヒロインの手を取った瞬間、その指に既婚者の証のリングがはまっている事に気が付き「おめでとう」と告げて、微かに笑うシーンの演技なども、素晴らしい。   作中、ヒロインが「貴方の行いによって命を救われた人が沢山いる」と慰める場面では(でも、それによって殺された人々も沢山いるのでは?)と思えてしまい、全面的に彼を「正義の人」と感じる事は出来ませんでした。  けれど、そんな事は彼女も承知の上で、彼を全肯定してあげる言葉が必要だからこそ口にしたのだろうなと、自然と納得させられる作りになっていたのも、上手かったですね。  「誰を助けて、誰を殺すのか」を決める立場に置かれた過去を持つ彼の苦悩を、ほんの一時でも癒してあげる、優しい言葉だったと思います。   それと、ストーリーの序盤にてチラッと語られた「主人公は林檎が好物である」という情報が、現実の彼の死と直接リンクしていると知った時には、大いに衝撃を受けました。  (この映画でも、もっと林檎にスポットを当てても良かったのでは?)とも思えるのですが、それをやると寓意性が高まり過ぎると考えて、故意にオミットしたのでしょうか。  判断の難しいところです。   ラストシーンの「チューリング・マシーン。今それは、コンピュータと呼ばれている」のナレーションには、本当に鳥肌が立つのを、はっきりと実感。  今、自分はノートパソコンを使って、この映画の感想を書かせてもらっている訳で、それを考えるだけでも、非常に感慨深いものがあります。   この映画を「後味が悪い」と感じなかった理由は色々とあるのですが、一番の理由は「彼を愛してくれた女性がいた」と、丁寧に描いてくれた事。  そして、少なくとも今現在の我々の世界においては、主人公の業績は正当に評価され、偉人として称えられているのだと、ハッキリ伝えてくれた事にあるのでしょうね。  本人がそれを喜ぶかどうかは、もう決して分からない事ですが、映画の観客としては救われるような思いがしました。
[DVD(吹替)] 8点(2021-02-26 03:44:20)
205.  名探偵コナン 時計じかけの摩天楼 《ネタバレ》 
 冒頭にて、十分近くも掛けて「このシリーズのお約束である『眠りの小五郎』の場面」「あらすじ」「コナンが装備しているメカの説明」まで披露してくれるという、実に親切設計な一品。  予備知識が無くとも楽しめるように……という、作り手側の配慮が感じられました。   「ボク、子供だから分かんないよ。何かヒント教えて」という甘え声での台詞など、コナン(=新一)が自らのハンディキャップを逆手に取って、犯人から情報を引き出す件も面白かったです。  蘭とのロマンスも含め、ちゃんと「子供になってしまった高校生探偵」だからこそ出来るストーリー展開にしているのですよね。  作中には「新幹線大爆破」や「ジャガーノート」など、過去の名作映画から拝借したネタも多いのですが、こういったコナンならではの魅力も忘れずに盛り込んである為、観客としても抵抗無く楽しめる感じです。   モリアーティ教授をモデルにした怪し過ぎる建築家が、そのまま犯人だったのには笑っちゃいましたけど、作劇として「犯人は誰か?」より「どうやって爆発を食い止めるか?」に重きを置いた結果なのだろうなと、納得出来る範囲内。  記念すべき映画第一作だから、犯人にはビッグネームが元ネタの人物を配したいという考えもあったのかなぁ、と推測する次第です。   電車ではなく、線路の方に爆弾が仕掛けられていると見抜く件や、爆弾解体のシーンにてモノクロ画面にし、赤と青の配線のどちらを切ったのか分かり難くする演出なんかも良かったですね。  特に後者に関しては、初見の際にかなり感心させられたのを憶えています。   難点としては、立て続けに事件が起きる構造上、テレビの数話分を繋げてみせた「総集編」めいた色合いが濃い事が挙げられるでしょうか。  それと「赤い糸が無い」「コナンのままじゃ駄目」という独白で終わる形なのも、ギャグ描写とはいえ、少し後味が悪かったです。  この作品の特性上「たとえ見た目が変わっても中身が同じだから蘭とも愛し合える」あるいは「歩美ちゃん達と一緒に過ごすコナンとしての人生も悪くない」なんて結論にはならず「何時かは新一に戻りたい」という願いをコナンが抱き続けるのは当然なのでしょうが、ハッピーエンドの後にそれをやられちゃうと、やっぱり寂しい。   後は……コナンの仲間である少年探偵団の活躍が無かったとか、気になるのは精々そのくらいですね。  娯楽作品として、バランス良く纏まっている映画だと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2021-02-11 17:01:59)(良:2票)
206.  渚のシンドバッド 《ネタバレ》 
 これほど赤裸々に同性愛を描いた内容だったのか、と吃驚。  それなりに耐性は出来ているというか、同性愛者が主人公の映画でも意外と楽しめてきた経験があるはずなのですが、本作に関しては生々し過ぎて、ちょっとキツいものがありましたね。   (邦画なので、洋画よりも身近で現実的に感じられて、物語として割り切れないのかも……)と途中までは思っていたのですが、終盤にて(いや、やはりコレは、この映画が特別なんだ)と確信。  何せクライマックスとなる浜辺のシーンが「男を愛せない男を徹底的に詰る」という内容だったりしますからね。  男を愛してしまう男が詰られるシーンなら何度も観てきましたが、その逆というのは珍しいし、何よりこの件だけで二十分近くも尺を取っていたりするものだから、もうお腹一杯。  長回し演出ならではの緊張感も相まってか、ラスト十分くらいは神経が擦り減ってしまい、観ているのが辛かったです。   終わり方に関しても、不思議な爽やかさがあり、好みな演出のはずだったのですが(でも、結局は明確な答えを出していないよなぁ……)という考えも頭をチラついてしまい、残念。  好意的に解釈すれば、観客に自由な解釈の余地を与えてくれる結末。  意地悪を言うならば、答えを出す事から逃げてしまった結末であるようにも思えました。   作中で最も印象的だったのは「優しいフリ」という言葉。  主人公が「自分は同性愛者である事」「キミを好きだという事」を親友の吉田君に告白した際に、彼は優しく受け入れてあげようとするのですが、抱き付いてキスされたりすると、最終的には主人公を拒否してしまうのです。 「本当に優しいなら、ちゃんと告白を断るべきだった」 「相手は親友だから傷付けたくない、などと遠慮するべきではなかった」  等々、色んなメッセージが込められているように感じられて、非常に興味深かったですね。   吉田君は、それまで基本的に「良い奴」として描かれていただけに、終盤にて本性が明かされるというか、その優しさが「フリ」でしかなかった事を暴かれてしまう流れが秀逸。  主人公の前では色々気遣っていても、当人のいないところで何気なく「あいつは変態」と言い放ってしまうシーンなんかは、特に衝撃的でしたね。  結局のところ「自分は同性愛者を差別するような人間ではない」と相手にアピールして、曖昧な反応をするだけでは、本質的に優しい人間とは言えないのかも知れない……と、身につまされるものがありました。   自分に告白してきた吉田君を無下に扱うヒロインに「私が女だから好きになっただけ」「ヤリたいだけなんだよ」と言わせた辺りは、本当に思い切ったなぁ、と感心。  ただ、これに関しては、ともすれば「同性愛者=肉欲に囚われない精神的な愛を求める人」という極端な美化に繋がってしまうというか、さながら「男を愛せない男は酷い奴だ」と言われているかのようで、やはり抵抗がありましたね。  そりゃあ同性愛を否定するのは間違っているけど、だからって異性愛を否定するかのようなメッセージを込めるのは、ちょっと違うんじゃないかなと。  他にも作中のアチコチにて、女性蔑視というか「男に比べて女は醜い」と訴えているかのような表現が目立ったのも気になりました。   主役の三人に負けず劣らず、脇役も個性が光っていたのは、青春群像劇といった趣があり、嬉しかったですね。  落ち込んでいる女子生徒を元気付ける為に、男子生徒が宙返りを披露するシーンなんかは、特に素敵。  後者の男子に関しては、第四の主人公とも言えそうなくらいにスポットが当たっており、作中で最も共感出来た人物かも知れません。  些細な誤解から、友達の自転車を川に沈めてしまうという間違いを起こした後、思い直して自転車を川から拾い上げる姿なども、何だか憎めない。   そんな具合に、好きなシーンと、嫌いなシーンとが綯交ぜになっており、非常に判断の難しい一品。  正直「良い映画だった」とは思えなかったのですが……  観ていて圧倒されるような、力強い映画であったのは間違いないと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2020-12-20 20:10:02)(良:1票)
207.  STAND BY ME ドラえもん 《ネタバレ》 
 コレさえ観ておけばドラえもんの基礎知識は身に付くという、有りそうで無かった一本ですね。  主人公のび太がドラえもんと出会い、友達になり、別れて、再び出会うまでを完璧に描き切っている。   「ドラえもんの事は知ってて当たり前」だからと、説明を排したドラ映画ばかりの中で、本作は極めて異質だし、初心者でも安心な作りになってるんです。  似たような例としては「ひみつ道具博物館」という傑作もありましたが、本作の方がより徹底して「ドラえもんとの出会いを、最初から描く」作りになってますからね。  国内だけでなく、海外でも歴代最高のヒットを記録したのは、こういった「ドラえもんを知らない人でも楽しめる」という、丁寧な作りが大きかったんじゃないでしょうか。   特に感心させられたのが「ドラえもんとは本来セワシの子分であり、いざとなったら電撃浴びせて機能停止させる存在に過ぎない」という原作の初期設定を踏まえた上で「ドラえもんはのび太の友達である」という結末に繋げてみせた事ですね。  しかも「謎の電撃ステッキ」「何時の間にか対等の関係になってる」という有耶無耶にされていた部分を「成し遂げプログラム」という形で分かり易く説明している。  その上で「何故か分からないけど未来に帰らなくちゃいけなくなった(初期設定では航時法が変わった為)」「何故か分からないけど現代に戻ってこれた」という部分にまで「成し遂げプログラムのせいで帰らなきゃいけない」「成し遂げプログラムが除去されたお陰で戻ってこれた」という形で、説得力ある展開に仕上げてみせたんだから、本当にお見事です。   そんな本作の中で、最も感動させられたのは「あえてドラえもんに会わない大人のび太」の場面。  「のび太が大人になっても、ノビスケが生まれたら再びドラと一緒に暮らす事になる」「今度は息子のノビスケがドラえもんの友達になる」っていう(そんなの知ってる奴が何人いるんだよ)ってレベルのマイナー設定まで把握した上で「ドラえもんは子供時代の友達」って事を描いてくれたのが伝わってきて、嬉しくって仕方無かったです。  思えば脚本担当でもある山崎監督は、デビュー作からドラえもん愛に満ちていた人ですし、そんなマニアックな設定のアレコレも、ちゃんと把握済みだったのでしょうね。   タケコプターやタイム風呂敷の描写など「恐竜2006」を参考にして、ちゃんと「今のドラえもんが好き」という層でも楽しめる形に仕上げてあるのも嬉しい。  本作に関しては「子供の頃はドラえもん好きだったけど、大人になってからは全然観ていない」って人の為に、徹底的に媚びた作風にする事も可能だったろうし、客を呼び込む為にはそれが一番簡単だったと思うんですよね。  所謂「大山ドラ世代」の声優や歌手をゲストとして呼んでも良いし、昔の主題歌やBGMを使っても良かったはず。  実際、ほぼ同時期に制作された実写版ドラCMなんかでは、これ見よがしに大山ドラ時代のBGMを使っていましたからね。  にも拘らず、本作はそういった真似を一切やらず、きちんと原作漫画や現行アニメ版に寄り添って作ってくれたんだから、なんて誠実なスタッフ達なんだと感心させられました。   他にも「ジャイスネが悪役のまま本編が終わるけど、NG集では皆楽しく映画作りしており、後味の悪さを残さない」とか「雪山のロマンスで何もせず棚ボタで結婚出来た大人のび太に、きちんと見せ場を用意してるのが素晴らしい」とか、褒め出すと止まらなくなっちゃう映画なんですが……  あえて言うなら「良い場面が多過ぎる」のが、本作の欠点と言えそうですね。  100分に満たない尺の中で、原作のエピソードを幾つもこなしているもんだから、どうも性急過ぎるというか「本来はもっと長い話なのを、総集編として短く纏めました」感は否めないんです。  インタビューからすると、八木監督も山崎監督も「自分達が作るドラえもん映画は、コレ一本きり」という覚悟で作ったようなので、アレもやりたいコレもやりたいという「ドラえもん好き心」を抑え切れず、暴走してしまい、全体の完成度には若干の陰りを残してしまった気がします。   ……とはいえ、それらを加味したとしても、充分に良い出来栄えだったと思いますね。  冒頭にて述べた通り、コレさえ観ておけば基礎知識が身に付いて、その他の「無数のドラ映画」を楽しめるようになるという意味でも、オススメの一本です。
[映画館(邦画)] 7点(2020-12-10 05:51:20)
208.  最後の忠臣蔵 《ネタバレ》 
「忠臣蔵の話というよりは、父娘の絆を描いた話だったのか」 「父娘の絆を描いた話じゃなくて、曽根崎心中のような悲恋譚だったのか」  と二度に亘って驚かされた本作品。   期待していた内容とは違っていた、という失望もあってか、どうしても満足感が得られず終いだったのですが……  それを差し引いても、細かい部分が気になってしまう映画でしたね。  例えば中盤のシーンにて「昭和三十三年」なんて書かれている墓石が、思いっきり画面に映っていて、それも主人公の立ち位置より前に鎮座していたりするものだから、これはもう完全に興醒め。  この映画の作り手全員がそこに気付かなかったとも思えないし、ちゃんと慎重に撮れば回避出来る類のミスでしょうから、何というか「作り手に誠意が欠けているのではないか」なんて疑念が生じてしまい、映画そのものに対して不信感を抱く形となってしまったのです。   普通の忠臣蔵映画であればクライマックスとなる「吉良邸討ち入り」の場面を序盤に持ってくる構成は良かったのですが、結局あそこが一番面白かったのでは……と思えてしまう辺りも残念。  その代わりに用意されている山場が「可音の嫁入り」というのは、如何にも寂しかったです。   「死んだら、あきまへん」と言われたのに切腹するラストに関しても、忠義だの美学だのよりも主人公の身勝手さを感じてしまったのだから、自分とは相性の悪い映画だったのでしょうね。  主演である役所広司の貫録、ただ画面に映っているだけで漂ってくるような哀愁は、流石と思わせるものがあっただけに、共感出来なかった事が勿体無く感じられた一品でした。
[DVD(邦画)] 4点(2020-12-07 09:04:27)
209.  9デイズ 《ネタバレ》 
 主人公が双子の兄弟に成り済ます為、チェコ語を習得したり、葉巻の吸い方やワインの飲み方を学んだりするパートが面白かったですね。  黒人男性版の「マイ・フェア・レディ」「プリティ・ウーマン」といった趣があるし、実際に劇中で後者の曲が流れたりするのだから、作り手としても意図した演出であったように思えます。   観賞前の期待通り、安心して楽しめる娯楽作品なのですが、ちょっと細かい点が気になったりもして、そこは残念。  例えば、高層ホテルにて刺客に襲われた主人公が、咄嗟に窓の外に逃げるというシーンがあるのですが、ここの件って、どう考えても窓の外の方が室内より危なかったりするんです。  何せ、足場が自分の靴ほどしかない訳で、実際に主人公は落ちそうになりながら、おっかなびっくり移動しているんですからね。  対するに、室内にいる刺客なんて全く強そうじゃなくて、主人公もガラス瓶で殴って撃退したはずなのに、わざわざ危険な窓の外に逃げたのだから、どうにも不自然。  恐らくは、その後の屋外での追いかけっこに繋げる為の脚本なのでしょうが、それならもっと自然にやって欲しかったなぁ……と、つい思ってしまいました。   「別人に成り済まして危険な取引を行う」という王道ネタを扱っているわりに「正体がバレそうになってドキドキさせられる」展開が無かった辺りも、不満ですね。  そういったベタな面白さを避けた以上は、他に何か目新しい面白さを提供してくれるのかなと思ったけれど、それも無し。  結果的に、映画の後半においては「主人公が別人に成り済ましている」という設定が忘れられてしまったかのようで、観ていて居心地が悪かったです。   そんな本作の白眉としては、主人公の母親の存在を挙げる事が出来そう。  最初は厳しい人なのかなと思ったら、実は息子に無償の愛を注いでいるのだと分かり、グッと来ちゃいましたね。  自分は、どうもこういうギャップのある描写に弱いみたいです。  息子の為に都合してあげたお金が「ビンゴの賞金250ドル」という辺りも、絶妙な塩梅。  「この母ちゃんの為にも頑張ってくれよ」と、主人公を応援する気持ちにさせられました。   それだけに、報酬の一部を母親に渡すラストシーンでは「一万ドルじゃなくて、九万ドルの方を母親にあげれば良いのに」と思わされたのですが……  実際にそうしようとしたら「私は一万で良い。九万は結婚資金に使いなさい」と叱られちゃう気もしますね。  最初は仲が悪かった堅物の相棒が、慣れないジョークを口にして祝福してくれたという、結婚式での風景も素敵。   後味が良い結末のお蔭で、なんだかんだ言っても満足出来た一品でした。
[DVD(字幕)] 6点(2020-12-07 09:01:16)(良:2票)
210.  スパイダー パニック! 《ネタバレ》 
 これは好きな映画ですね。  手に汗握る緊迫感とか、物凄いセンスの良さがあるとか、そういう訳じゃないんだけど、定期的に観返したくなるような魅力がある。   分析してみるに、やはりモンスターである蜘蛛の描き方が良かったんじゃないでしょうか。  見た目も怖過ぎず、気持ち悪過ぎずで、そこはかとなく愛嬌があるし、殺し方もそこまで残酷じゃない。  銃を持った人間と一対一なら負けちゃうけど、数の力を活かせば圧倒出来る。  移動速度も素早く、徒歩の相手なら楽勝で追い付き、バイク相手なら逃がしてしまう事もある。  知能は道具を扱える程ではないが、原始的な狩りの術は習得済み。  そしてオスの三倍も大きいメスという、視覚的にも分かり易いボス格の存在……  様々な点でバランスの良い、名敵役といった感じでした。   主人公側の戦力も程好いバランスでまとまっているし、何と言っても主武装がショットガンというのが自分好み。  モールに立て籠り、襲い来る蜘蛛の大群をショットガンで迎え撃つ場面とか、もう本当に大好きなんですよね~  こういうゲームがあったらプレイしてみたいなぁ、なんて思っちゃいます。   人物設定も良くって、男性主人公と、子持ちのヒロイン、幼い息子、年頃の娘と、もう完璧な布陣。  何でなのか分からないけど、こういう組み合わせって琴線に触れるものがあるんですよね。  「君も子供達も、纏めて幸せにしてみせるよ」という、男としての自尊心みたいな物が満たされるからかな?  息子くんの背伸びしている感じや、娘ちゃんの思春期な感じも、実に好ましかったです。  ・バイクに乗ったままジャンプし、空中で蜘蛛に蹴りを食らわせる。 ・金網越しに突き出た蜘蛛の足を、チェーンソーで一気に斬り落とす。 ・武装しろと言われた男が、ホッケーマスクにチェーンソーという「ジェイソンのようでいて、実は武器のチョイスがジェイソンじゃない」恰好をしてみせる。   等々、印象的な場面が色々と配されていて、観ている間ずっと飽きさせないのも良い。  客が少ないモールに、蜘蛛から逃げてきた人々が大挙して押し寄せるのを見て(ようやくモールに客が来たか)と喜ぶ町長のシーンなんかも、惚けたBGMと併せて、味わい深いものがありました。   誰も本気にしていないと思っていた「エイリアン襲来を警告するラジオ」のリスナー達が、終盤に駆け付けてくれるのも良いし「巨大蜘蛛に立ち向かうよりも勇気が必要な告白」をヒロインに対して行ったら、アッサリ受け入れてもらえて拍子抜けしつつ死地に赴く主人公って展開も、これまた素晴らしい。   無事に敵を一掃し、お約束のハッピーエンドを迎える結末まで、とても楽しい時間を過ごせました。
[DVD(吹替)] 8点(2020-11-27 11:39:09)(良:1票)
211.  ラン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
 「ゾンビ」+「パルクール」という組み合わせの、一発ネタのような映画かと思いきや、さにあらず。  予想以上に真面目に作られており、驚かされましたね。   とはいえ「パルクールゾンビならではの魅力」という意味では、序盤の「壁蹴り階段降りシーン」くらいでしかそれを感じられなかったし……そういう意味では、期待外れとも言えちゃいそう。  人間ドラマが中心となっており、ゾンビは障害の一つに過ぎないという扱いなんですよね。  ・主人公のコールはウイルスに感染済みであり、薬を使っても十八時間後には発症してしまう。 ・時間切れになる前に、唯一抗体を持ってる可能性があるアンジェラを見つけ出し、無事に保護しなければいけない。   という構造になっており、非常にゲーム的な作りなんです。  この辺りは「安っぽい」「薄っぺらい」と感じる人もいるかも知れませんが、自分としては、分かり易くて好印象でした。   それと、メイン主人公のコールだけでなく、サブ主人公としてアンジェラの元彼であるジョーが用意されている辺りも良かったです。  (ははぁん、コールは死んじゃうからジョーをもう一人の主人公として生存させるって訳か……)  とばかり思っていたのに、まさかの両者死亡エンドでしたからね。  これには、本当に吃驚しました。   でも、バッドエンドという訳ではなく、二人とも「無事にアンジェラを逃がす事が出来た」という満足感を抱いて死んでいくので、後味も決して悪くないんですよね。  それぞれ「大手製薬会社に雇われて、汚れ仕事を色々とやってきた始末屋」「麻薬中毒の少年を誤って射殺してしまった元警官」という暗い過去を背負っており「アンジェラを救い、人類を救う事」が「贖罪」であるという風に描かれている。  基本的に主人公が死ぬ映画ってのは好みじゃないのですが、これは冒頭の時点でコールの死が示唆されている事も含め、あまり抵抗を感じず楽しむ事が出来ました。   その他、難点としては、低予算なのが画面から伝わって来てしまう作りな事。  そして、主人公二人は罪悪感を抱いて鬱屈としているし、アンジェラは受け身なお姫様ポジションだし、その他の人物も自分勝手な言動が目立つしで、登場人物に感情移入しきれなかった事が挙げられそうですね。   総合すると、自信を持ってオススメ出来る……という程ではありませんが「意外とイケるよ」という意味で、ゾンビ映画好きには、こっそりと推薦したくなる。  そんな一品でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2020-11-27 11:33:30)(良:1票)
212.  ベイウォッチ 《ネタバレ》 
 ライフガード物……というよりは、刑事物って感じの映画ですね。   作中でも散々「それは刑事の仕事」とツッコまれていますし、海での人命救助がメインの話と思って観ると、ガッカリしちゃうかも。  海ではなく、スタジオで撮影しているなって丸分かりな場面もあったりするし、色々とハードルを低くして観る必要があると思います。   それと「よぉ、ハイスクールミュージカル」「有り得ないTVドラマのパクリみたい」などのメタな台詞を挟んでいるのは、ちょっとオタク映画っぽくて、この題材とは不釣り合いにも思えましたね。  内気なロニー青年を「第三の主人公」枠にしたりして、マッチョ賛美な体育会系の映画ではない、幅広い客層が楽しめる映画にする意図があったのかも知れませんが、それが成功していたとは言い難いかと。   でもまぁ、自分としては「ザック・エフロンとドウェイン・ジョンソン主演のアクション映画」が拝めただけでも満足というか……  至らないところも多々あるけど、充分に合格点に達してる映画だと思うんですよね、これ。   怖いもの知らずな若者と、経験豊富なベテラン主人公のコンビって時点で、バディ物としては王道な魅力があるし、二人が衝突しつつも互いを認め合い「仲間」「相棒」になっていく流れも、微笑ましくて良かったです。  観ていて安心させられるというか、新鮮な驚きは無い代わりに、落胆させられる事も少ないって感じ。   音楽もノリの良いのを揃えてあるし、水着美女のサービスシーンも豊富。  海が舞台なんだから、これは外せないとばかりに、ジェットスキーでのアクションがある辺りも嬉しいですね。  先程は「スタジオ撮影なのが丸分かりな場面がある」と減点個所を述べてしまいましたが、それ以外では「海の美しさ、解放感」を感じさせる場面も多かったし……  結果的にはプラマイゼロどころか、プラスの方が大きいくらいなんじゃないかと。   元ネタのTVドラマ版で主人公ミッチを演じたデビッド・ハッセルホフが「ミッチの師匠」というポジションで登場したりと、ファンサービスをしっかり行っている点も良かったですね。  エンドロールのNG集も和気藹々としてるし、撮影現場の楽しい雰囲気が伝わってきました。   それでも、最後に「これだけは、どうにかして欲しかった」という希望を述べさせてもらうなら……  クライマックスは「敵のボスを撃つ」ではなく「人命救助」って形にして欲しかったですね。  一応、ボスを倒す直前に「ミッチがブロディを助ける場面」もある為、ライフガード要素が必要無かったって訳じゃないんですが、最後の最後で(……これ、やっぱり刑事物でも成立したよなぁ)って気持ちにさせられて、興醒めしちゃいましたし。  そこのところを上手くやってくれていたら、もっと自信を持ってオススメ出来る品になってたと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2020-11-23 02:40:30)
213.  ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える 《ネタバレ》 
 三部作の真ん中に位置する品なのですが、初代の焼き直し感の強い内容なのが残念でしたね。   逆に考えると「1を好きだった人なら問題無く楽しめる続編」なのですが、どうもマンネリっぷりを強く感じてしまいました。  理由の一端としては、主人公グループが「フィル、スチュ、アラン」の三人組で、前作と全く同じ顔触れだったのが痛いんじゃないかと。  ここは三人の中の誰かが行方不明になって、新キャラの天才少年テディが捜索側に回るか、あるいはダグも一緒に行動する形にしても良かったんじゃないかと思いますね。  作り手側としては「イケメン主人公のフィル」「頼りないけど知性派で、真相を解く探偵役のスチュ」「トラブルメーカーのアラン」の三人組が、バランスとして完璧という自負ゆえに、前作と全く同じ布陣にしたのでしょうが、流石に変化が無さ過ぎた気がします。   そもそも、スチュが結婚する相手がジェイドじゃなく、新顔のローレンって時点で(えっ、何で?)と思えてしまって、物語に入りきれなかったんですよね。  舞台をタイにする以上、仕方無かったのかも知れませんが、自分としては「タイが舞台である事」に必然性を感じなかったし、アメリカの田舎町かどこかでも良かったんじゃないかと思えたくらい。  スチュとローレンパパとの和解も無理矢理感があったので、もう少し自然な感じに仕上げて欲しかったです。   あとは、アランの嫌な奴っぷりが明らかにアップしている点もキツい。  両親に対して嫌味な態度を取る場面とか「俺は専業ニートなんだ」と偉そうにしている場面とか、本当ゲンナリしちゃったんですよね。  そんな描写が序盤にあった以上、改心して「これからは両親を大事にする」「ちゃんと働き出す」って結末になるんだろうなと思ったのに、それも無し。  前作の時点では、ここまで酷い奴じゃなかったと思いますし、アランが好きだった自分としては、かなり寂しかったです。   何だか欠点ばかりを書いちゃいましたが、それというのも、本作の良い部分って「答え合わせが、盲点を突かれた感じで気持ち良い」とか「エンドロールで明かされるパーティーの光景が楽しそう」とか、前作にあったのと同じ良さだったりするので、改めて本作の感想として書くのが、ちょっと難しいんですよね。  それでも、あえて本作独自の長所を挙げるなら……  「マイク・タイソンやチャウの再登場が嬉しい」「テディが指を失ったのは可哀想だけど、実は自業自得だったと分かり、思わず笑っちゃった」とか、そのくらいになりそう。   総合すると「それなりに楽しめた」「続編としては、そこまで悪くない」って感じになりますし、点数を付けるなら、決して低くはならないんですが……  自分としては、物足りない印象が残る一本でした。
[DVD(吹替)] 6点(2020-11-20 16:29:36)(良:1票)
214.  ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い 《ネタバレ》 
 既に三部作を鑑賞済みで再見した為 (1は意外と出だしがシリアスで、サスペンス物にも思えるような作りだ) (この頃はダグも主人公の一人だし、チャウは端役でしかなかったんだな……)  といった具合に、色んな発見があって面白かったですね。  本作の場合「新郎のダグは、何処にいるのか?」という謎がキーとなっているので、その答えを知っている状態で観たら楽しめないかもという不安もあったんですが、それを見事に吹き飛ばしてもらえました。   あと、1の時点だとアランの駄目人間っぷりも控えめで、観ていて不愉快に思える場面が無かった事も、非常にありがたい。  三部作の中では本作が最も優れていると思うんですが、その理由としては「長所が多い」という以上に、後の二作よりも「短所が少ない」という事が挙げられそうなくらいです。   特に感心したのが「昨夜の出来事を何も憶えていない」という設定にも「酒の飲み過ぎ」だけで済まさず「ドラッグの効果」という理由まで付け足し、リアリティを補強している事。  そして「ドアは開けておけよ」という、序盤の何気無い一言が伏線になっている事ですね。  後者は短いながらも印象的な場面ですし、真相が判明した際(そうだ、屋上のドアは中からじゃないと開けられないんだ)と観客に思い出させる効果があるしで、とても良かったです。  こういう部分がしっかりしていないと「設定に無理がある」「伏線が弱い」っていう欠点に繋がってしまう訳で、本作はそういう欠点を生まないように、丁寧に作られているのが窺えました。   足を引っ張ってばかりのアランが、実はカードカウンティングが可能な天才だったと判明する流れも、非常に気持ち良い。  三部作の中では、本作が最もアランの主人公っぷりが薄いんですが、活躍度では随一だったと思いますね。  義兄となったダグを「お兄ちゃん」と呼んでハグする場面も、幼い男の子なら感動的になりそうなんだけど、実際は髭っ面の良い歳した男性なのでシュールな絵面にしかならない可笑しさがあったし、自分としては本作のアランが一番好きです。   「虎」「赤ん坊」「パトカー」といった謎掛けアイテムの数々も魅力的だし、車を飛ばして結婚式場に向かう場面はカーチェイス的な魅力もあったしで「掴み」と「盛り上げ方」が上手かった点も、お見事。  「屋上での乾杯から記憶を失う」「実は、ダグの居所も屋上」っていう構成になっているのも、凄く良いですね。  盲点を突かれたというか「答えの場所を予め示しておいた」というフェア精神のようなものが感じられて、観ていて心地良かったです。   そんな中、数少ない欠点を挙げるとしたら……  フィルが生徒達から金を騙し取り、ベガスで遊ぶ為の資金にしている冒頭部分が、不要に思える事(カードカウンティングの際の資金にしたのがコレと示すとか、予想以上に儲けたので生徒達に豪華な見学旅行をプレゼントする後日談を付け足すとか、もっと上手い活かし方があったはず)  次作以降で明かされる「アランは歌が上手い」「スチュはジェイドと結ばれない」などの情報とは、矛盾した描写が目に付く事とか、そのくらいかな?  勿論「無茶をやり過ぎ、車の修理費だけで凄い額になる」とか「鶏は虎の餌にする為に連れてきたの?」とか、細かいツッコミ所や疑問点はあるけど、観ている間は気にならなかったです。  「その後のシリーズと比べると矛盾がある」って点に関しても、コレ単体で評価する限りでは欠点とは言い難いですし、本当に良く出来ていると思いますね。   「実際には、どんなパーティーだったのか」を明かしてくれるエンドロールに至るまで、楽しい時間を過ごせました。
[DVD(吹替)] 7点(2020-11-20 16:26:27)(良:2票)
215.  ブリジット・ジョーンズの日記 《ネタバレ》 
 この映画に関しては、元ネタである「高慢と偏見」を知っているかどうかで評価が分かれそうな感じですね。   それというのも、文学少女の憧れである「ダーシー様」を1995年のドラマ版で演じたコリン・ファースが「マーク・ダーシー」役を演じている訳だから、本作のブリジットは彼と結ばれるって事がバレバレなんです。  一応、ストーリーラインとしては「マークとダニエル、どちらと結ばれるのか分からない三角関係」って形になっているので、これはかなり致命的なネタバレ。  作り手側としては、もう配役の時点で開き直り、最初から「三角関係」要素を薄めて「ブリジットとマークが紆余曲折を経て結ばれるラブコメ」として仕上げているんでしょうけど……それでも消しきれない「三角関係」要素が、重荷になってる気がしましたね。  ダニエル役にヒュー・グランドが起用されているのも「豪華」というよりは「準主役でもないのに、勿体無い」と思えちゃいました。   そんな訳で、自分としては「悪い意味で結末が分かり切ってる映画」という、大きなハンデを背負った上での鑑賞だったのですが……  それでもしっかり楽しめた辺りは、流石という感じ。   本作が2000年代を代表するラブコメというだけでなく「ブリジット・ジョーンズは2000年代と寝た女」と思えちゃうくらい、彼女が魅力的に描かれていたんですよね。  ちゃんと仕事は頑張ってるから「彼氏がいないのを嘆いて、自堕落な休日を過ごしてる姿」も微笑ましく思えたし「ぽっちゃりとした女性の色気」が、視覚的に描かれていた辺りも良い。  特にカメラに向かってブリジットの巨尻が落ちてくる場面なんて、ギャグタッチにも拘らず昂奮しちゃったくらい。  メールでは強気な態度を取れるけど、いざ相手と目が合ったら愛想笑いしちゃうとか、そんなところも憎めない。  そんな彼女を愛でる「萌え映画」として考えれば、本作は満点に近い出来栄えだったと思います。    「人生やり直せるなら、今度は子供を作ったりしない」と母に言われる場面では鼻白んだとか、ブリジットの友人達の存在意義が薄いとか、不満点も色々あるんだけど、まぁ御愛嬌。   どちらかというと、終わり方がアッサリし過ぎていたのが気になりましたね。  これは欠点というよりは「マークと上手くいきそうになって、これから面白くなりそうだってところで終わるのが残念」っていう類の不満点です。  結果的に三部作になったので、この不満も続編で解消される訳だけど、本作単体で考える分には、どうしても「物足りない終わり方」って評価になっちゃうと思います。   後は……上司にカッコいい啖呵を切って辞職する場面が痛快だったとか、頑張って新しい自分に変わろうとするブリジットに「ありのままのキミが好き」とマークが言ってくれる場面にはグッと来たとか、そのくらいかな?   こういったシリーズ物の場合、初代が一番面白くて続編は蛇足ってパターンも多い訳ですが……  本作に関しては、続編の方が面白いんじゃないかと思えましたね。  興味がおありの方は、是非チェックして欲しいです。
[DVD(吹替)] 6点(2020-11-20 04:26:52)(良:1票)
216.  ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期 《ネタバレ》 
 冒頭にて、初代同様に「All By Myself」が流れたりと、ちゃんとファンの事を意識して作ったのが窺える三作目。   とはいえ、2で最高のエンディングを迎えておきながら「やっぱりマークと別れました」と言われても納得出来ない訳で……  「無理矢理作った続編」感は否めなかったですね。  三作目まで「マークと他の男、どちらと結ばれるか?」で引っ張るのにも、無理があった気がします。   と、そんな具合にストーリー面には不満もありますが「痩せて熟女になったブリジット」を拝めるという意味では、充分に楽しめる映画。  ラブコメのヒロインが老けちゃうのって、基本的にはマイナスでしかないはずなんだけど、彼女に関しては作中の台詞通り「エロ年増」的な魅力もあって、良かったですね。  とうとう禁煙に成功したっていうのも感慨深かったし、誕生日ケーキに立てられた四十三本の蝋燭を見つめ、何とも言えない笑みを浮かべる姿も良い。  母としての愛に目覚め、無事に出産して赤ちゃんを抱く姿にも、本当に(おめでとう)と祝福する気持ちになれました。   ギャグの面でも可笑しい箇所が色々ありましたし、特に「スタバの店員」ネタはお気に入り。  ここ、過去作にも共通する「元ネタを知らずとも充分面白い」バランスに仕上げてあるのが、本当に良いと思いますね。  エド・シーランを知らなくても、ちゃんと話の流れで「彼は凄い歌手だったんだ」と理解出来るよう作ってある。  クライマックスにおける「愛と青春の旅だち」をパロった演出も、また然り。  本シリーズって、根底には「ダーシー様に恋する文学オタクの為の映画」ってのがある訳だけど、マニアックな笑いに走り過ぎず、色んな人が楽しめるよう配慮されているのが見事でした。   「夢は共有出来るのに、現実はズレてばかり」という台詞も切ないし、旦那候補のジャックも、女医さんも良いキャラでしたね。  前作におけるレベッカもそうでしたが、続編で出てくる新キャラにもきっちり魅力があるというのは、大いに評価したいところです。   その一方で、そんなレベッカが本作で再登場してくれないというのは寂しいんだけど……  まぁ、これは登場人物を絞る為に、仕方無かったのかな?  初代からの恋敵であるダニエルが出てこないのも「流石に三作連続で、同じ顔触れの三角関係やる訳にはいかないから」って事で、納得出来る範疇でした。   改めて考えてみると「マークの元妻であるカミラの存在感が薄過ぎる」とか「女上司のアリスがそこまで悪い人じゃないので、啖呵を切って辞職する場面に一作目ほどの爽快感が無い」とか、欠点も色々思い付いちゃうんだけど……  決定的にファンを裏切るような真似はしていないし、一定のクオリティはあったしで「不平不満」より「映画三本分かけて付き合ったブリジットへの愛着」が優っちゃいますね、どうしても。   マークと結婚して幸せになりましたって終わり方なのも「王道」というより「予定調和」なんですが、それが心地良い。  エンドロールの最後を飾る、家族三人の写真にも和みましたね。  良い映画であり、良い三部作だったと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2020-11-13 18:37:25)
217.  アメリカン・パイ in ハレンチ教科書<OV> 《ネタバレ》 
 中盤までは、とにかく退屈。  「自慰を家族に見られる」「恥ずかしい動画が拡散しちゃう」っていう過去作のネタをなぞりつつ、淡々と物語が進んでいく感じで、全然ノリ切れなかったんですよね。  初代に出てきた「性書」が再登場した際には(おっ……)と思いましたが、それも読める部分が殆ど無くて役立たずっていうんだから、観ているこっちもガッカリ。  唯一魅力的なキャラである「主人公の母」は出番少なめだし、山場となる「下着の万引き」「お婆さん娼婦の死」に関しても、あんまり笑えなかったです。   そんな訳で、これはシリーズでも最低の作品ではないかって失望すら浮かんできちゃったんですが……  そこで颯爽と、ジムの父親が登場!  前作の「ハレンチ課外授業」での失態を帳消しにするくらい、一気に映画を面白くしてくれたんだから、もう嬉しくって仕方無かったですね。  ボロボロになった「性書」を復元していく様はスピーディーな演出で楽しかったし、結婚生活が35年続いた秘訣について「妻を愛し、妻を尊重してきたからだ」と演説するジム父の姿も良かったです。  本作においては「若者達を優しく見守り、アドバイスを与えてくれる」というジム父の魅力がしっかり描かれており、その点でも自分泣かせというか(ちゃんと、このシリーズの魅力を分かってる人達が作ってくれたんだな……)って、感激させられるものがありましたね。   そんなジム父が退場した後の、スキー旅行のパートも面白くって、序盤~中盤にかけてのグダグダっぷりは何だったのと不思議に思えちゃうくらい。  それまで全然魅力を感じなかったヒロインのハイジについても「スキー場の女性は綺麗に見える」の法則で、スキーウェア姿が実にキュートだったし、それまで「嫌な奴」だったスコット・スティフラーには天罰が下り、反省して「憎めない奴」に変わっていくしで、それまでの欠点の数々が、悉くプラスに転じているんですよね。  「魅力を感じないヒロイン」「不愉快なだけで愛嬌皆無のスティフラー」が、一本の映画の中で、こうも変わるものかと感心しちゃいました。   それと、前作で失われた「青春映画の切なさ」が復活している点も、忘れちゃいけない魅力。  空中で止まったゴンドラにて言葉を交わし、結ばれる男女の姿なんて、実にロマンティックでしたからね。  最後に「性書」の貸し出しカードにサインして、元の場所に戻すのも「童貞からの卒業」「青春の終わり」を感じさせて、良い場面だったと思います。   冒頭にて述べた通り「中盤までが退屈」っていう明確な欠点がある為、総合的に評価するなら6点くらいになっちゃうんですけど……  後半で一気に挽回してくれた為、鑑賞後の印象は良かったですね。   やはりアメリカン・パイシリーズって良いよなぁと、しみじみ思わせてくれた、そんな一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2020-11-13 09:51:53)
218.  ディセント2 《ネタバレ》 
 前作ラストの答え合わせ。  思わせぶりなシーンは「主人公が洞窟から脱出する前に見た、束の間の幻」だった訳ですね。  まぁ、元々インパクト重視のバッドエンドというだけで、そこに深い意味なんて無かったように思えるので、単なる夢オチの一種だったという事なのでしょう。   さてさて、そんな訳で前作と地続きな続編となる本作なのですが、ご丁寧に「主人公グループが未知の地底人と遭遇するまで」の件を、たっぷり時間掛けて描いている事に吃驚です。  これって、1を未見で2から観たという人に対する配慮なのだろうけど、連続視聴した自分としては「いや、地底人がいるとか、そんなのとっくに知ってるって」と、少々ノリ切れないものがありましたね。   そんな具合に序盤は既視感が強いシーンが続き、正直退屈。  でも「前作で死んだと思われていたジュノが、実は生きていた」というサプライズが飛び出す中盤からは、ようやくギアが入った感じで、面白く観賞出来ました。  考えてみれば、確かに前作でも彼女の死亡シーンは明確に描かれていませんでしたからね。  観客を裏切らない程好い衝撃といった感じがして、好印象。  前作を生き延びた主人公のサラと、彼女が再会し、対立しそうになるも最終的には共闘してみせる展開なんかも、ベタだけど良かったと思います。  お約束の「自己犠牲」を意図的に否定してみせた前作を踏まえた上で、本作ではあえてお約束の「自己犠牲」を主人公が行ってみせる構造になっているのも面白い。  途中まで退屈だったがゆえの反動もあるかも知れませんが、この後半部分に関しては、本当に良かったと思います。   その一方で、ラストが前作と同じ「助かったと思いきや結局は助かっていない」というバッドエンドであった事には、心底ガッカリ。  何もそこまで重ね合わせなくても……と、つい思っちゃいましたね。  もし3が出たら、今作の黒人女性も実は助かっており、サラに代わって彼女が再び洞窟に入って、そこで生き延びていたサラと再会して……という無限ループ的な展開になったりするんでしょうか。  そこまでやってくれたら天晴な気もするけど、どっちかっていうと(変に凝ってバッドエンドにするより、そのまま脱出に成功してハッピーエンドで良かったのに)という気持ちの方が強かったです。   そんな本作は「洞窟に入るメンバーが女性だけではなく、男性もいる」という点が前作との大きな違いとなっている訳ですが、結局は「男なんて不要」とばかりに、バッサリ切り捨てる脚本になっているのも凄かったですね。  「何があっても、君を見捨てない」なんて恰好良い事を言っていた男性キャラクターも、その二分後には崖から墜落して瀕死となり、そのまま何の活躍もせず退場するのだから、恐れ入ります。  その後に文字通りの意味で「足手まといな男を斬り捨てる」展開も存在しているのだから、徹底しているなぁと呆れる思い。  もしかしたら、一種の女性賛歌の映画なのかも知れませんね。   1と2の合計で、約194分。  色んなシーンを拝ませてもらいましたが、結局は「怪物なんかより女の方が怖い」という結論に至るという……そんな二作品でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2020-11-12 09:03:30)
219.  ディセント 《ネタバレ》 
 地底人という怪物なんかよりも、人間の方が怖い。  そして人間の中でも「女」は特に怖い……と感じさせる映画でしたね。   前半は洞窟からの脱出劇かと思いきや、中盤から地底人が登場して「モンスター映画だったのかよ!」とツッコませてくれる辺りは中々楽しかったし、終盤にて「友人を犠牲にして自分だけでも助かろうとする主人公」を描いているのも衝撃的。  後者に関しては、普通なら嫌悪感しか抱かないはずなのに、何となく納得出来るように仕上げられているんですよね。  その友人が主人公の夫と不倫していたからとか、誤解も重なった上での選択であるとか、そういった「理由付け」以上に「他者を犠牲にしてでも生き残ろうとするエゴイズム」を肯定的に描いており、そこに説得力が生まれているように思えました。  とにかくもう、犠牲にする友人を見下ろす主人公の目線が怖くて、強くて、ちょっと恰好良く見えたりもしたんだから、お見事です。  この手のホラー映画なら、友人側が率先して自己犠牲を選ぶのがお約束であるだけに、それを逆手に取った展開が、非常に新鮮だったと思います。   一方で、オープニングの事故がラストの夢オチに繋げる為にしか機能しておらず、劇中ではむしろ「夫と友人が不倫していた」事に重点が置かれている辺りなんかは、チグハグに思えましたね。  だから最後に娘の幻を見たとしても、何か「取って付けた」感がある。  それと、夢から覚めて起き上がった際に、気絶する前は周囲に散らばっていたはずの白骨が無くなっているなど、ミスなのか演出なのか良く分からない部分があるのも気になりました。  演出だとすれば「地底人も、その地底人の犠牲者である白骨も存在しない。洞窟で起こった惨劇は主人公達の妄想による代物」あるいは、娘の姿が消えた事も含めて「ようやく主人公が死から解放されたという事を示す為に、あえて白骨は映さなかった。血まみれなのも出産直後の赤子を連想させて、生まれ変わった事を示す為」なんて可能性もありそうなんですが……そのわりには地底人の声を被せてくるし、主人公は娘の亡霊に囚われたままみたいな表情だしで、どうも納得し難い。  「ただ単に、脱出したと思ったら、実は夢オチで未だ洞窟の中にいたというバッドエンドをやりたかっただけじゃないかなー」と思えちゃいましたね。  最後には「洞窟探検に旅立つ前の、皆が笑顔で映った写真」で〆る辺りも合わせ、後味の悪さ重視の結末であった気がします。   ……なんて具合に、色々と解釈が出来そうな「投げっぱなしオチ」だった訳ですが、その答え合わせが続編にて行われていましたね。  本作を観賞後「結局あれって何だったの?」と気になって仕方ない人には、オススメです。
[DVD(吹替)] 5点(2020-11-12 08:55:46)(良:2票)
220.  ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月 《ネタバレ》 
 前作が「これから面白くなりそうって所で終わる映画」だったもので、自分としては嬉しい続編映画。   元々、ラブコメ映画の続編って代物自体が珍しい訳で、そういう意味でも新鮮でしたね。  映画一本分をかけて結ばれた背景があるもんだから、前半部分にてブリジットとマークがイチャついている様も、とても微笑ましく感じられて良かったです。   ジェーン・オースティンの「説得」が下敷きだったり、マークが濡れたシャツ姿を披露したりと、基本的には「元ネタありきの映画」なのですが……  個人的には、元ネタを知らずとも充分楽しめるんじゃないかと思えましたね。  例えば、タイの刑務所にて女囚達と一緒にマドンナの曲を歌う場面なんかも、原曲を知らずとも十分に楽し気な雰囲気が伝わってくると思いますし。  前作は「高慢と偏見」ありきの映画だな、って印象でしたが、本作に関しては「元ネタよりも面白い映画」とすら思えちゃいました。   妊娠検査の最中に、二人が喧嘩しちゃう件なんて、特に面白い。  ここ、ほんの数分間なのに「二人の価値観や、育った環境の違い」が如実に伝わる作りになってるんですよね。  ラブラブな二人だったのに、徐々に擦れ違いが生じて喧嘩別れしちゃう流れに、自然に繋がっていたと思います。   他にも「そろそろ不幸じゃない事が起こるはず」と言った途端に、ブリジットが空港で逮捕されちゃうとか「引きずり出せるならどうぞ」と挑発したダニエルを、マークが本当に引きずり出して外で喧嘩しちゃうとか、台詞の使い方が上手いんですよね。  前作以上に「ブリジットがダニエルを選ぶ訳無い」「マークと結ばれるに決まってる」と分かり切ってる内容なのに、それでも楽しめたのは、こういう細かい部分が面白いお陰だと思います。   新キャラとなるレベッカも、非常にキュートで良かったですね。  「ブリジット→マーク←レベッカ」という関係と思わせておいて、実は「マーク→ブリジット←レベッカ」という関係だと判明する件は驚きましたし、ストーリーの面白さにも凄く貢献してる。  色んな映画に出てくるレズビアン女性の中でも、五指に入るくらい好きなキャラになりました。  妙な仮定になりますけど、もし自分がブリジットだとしたらレベッカを選んだかも知れないな……って、そう思えたくらいに可愛かったです。  煙草を吸う理由は「もっと悪い事が起きる前に死ねると思うと、心が安らぐから」と語るブリジット父も良い味出してましたし、前作以上に脇役の魅力が光ってた気がします。   そんな本作の難点としては……  タイの女囚達に見栄を張る形で「マークには酷い事された。暴力を振るわれたり、薬漬けにされたり」と嘘を吐く辺りは、流石に引いちゃった事。  あとは、中盤にてマークに部屋の鍵を渡すのが伏線かと思いきや、全然違ってて拍子抜けしちゃった事とか、そのくらいかな?   ブリジットを主役にした映画は現在三本ありますが、自分としては本作が一番好きですね。  作中の台詞にある通り「ハッピーエンドの、その先」を描いた映画として、しっかり楽しむ事が出来ました。
[DVD(吹替)] 7点(2020-11-11 10:25:49)
030.49%
110.16%
230.49%
3172.77%
4437.00%
512420.20%
620633.55%
712320.03%
86510.59%
9203.26%
1091.47%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS