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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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101.  SHRIEK(シュリーク) 最低絶叫計画 !? 《ネタバレ》 
 同じパロディ映画の「最終絶叫計画」では「スクリーム」を「最低」と貶して笑いを取ろうとしていたのに対し、本作では「最高」と絶賛してるのが印象的。   だからって訳じゃないけど、同じ「スクリーム」好きとしては好感を抱いちゃう作りでしたね。  最初から最後まで「スクリーム」をなぞる作りだから、話の芯がブレておらず、落ち着いて楽しめるのも嬉しい。   矢継ぎ早に色んな小ネタを挟み「質より量」ってスタイルにしたのも、正解だったんじゃないかと。  たとえ打率は低くても、とにかく打席数が多いもんだから、ヒットの数もそれなりになってるんですよね。  個人的には「メンタルズ」の歌や、クライマックスの追いかけっこで「ドーソン役は高所恐怖症」「監督は酒を飲ませてやらせた」などの注釈を挟むネタが、特にお気に入りです。   「去年の夏」に関しても、思い出す人によって情景が全く違う辺りには感心しちゃったし、他のネタに比べ「グリース」だけ(やたら古い作品を引っ張ってきたな……)と思っていたら、ちゃんとその後に「登場人物が元ネタを分からず、白ける」ってオチが付く辺りも、何か気持ち良かったですね。  「クリスティーン」もパロってみせてるし、作り手側と自分とで「好きな映画」が同じなんだなって思えて、嬉しくなっちゃいました。  序盤に出てきた「チャイルド・プレイ」のチャッキーも、やたら可愛いコスプレだったりして、その後に出てこないのが勿体無く思えたくらいです。   恐らくは予算でも、監督の才気という意味でも「最終絶叫計画」には及ばないのでしょうが……  個人的には、結構好きな映画でした。
[DVD(吹替)] 6点(2021-11-05 02:28:33)
102.  最終絶叫計画 《ネタバレ》 
 「スクリーム」の殺人鬼が「ラストサマー」の鉤爪を武器にしてるという、そんな絵面を拝めただけで得した気分になれますね。   基本的なストーリーも上記二作に準じている為、安心して楽しめる作りなのですが……  それだけに、最後の最後でオチが「ユージュアル・サスペクツ」になっちゃうのが、違和感あって仕方無かったです。  「スクリーム」でのデューイに相当するキャラが全ての黒幕ってネタ自体は悪くなかったし、出来れば徹底して「スクリーム」もしくは「ラストサマー」のテイストのまま終わって欲しかったですね。  途中で別の映画のネタ挟むくらいなら構わないんだけど、本作は文字通り「最後に別の映画になってしまう」って形な訳で、観た後モヤモヤが残っちゃいました。   「スクリーム」作中にも他の映画を馬鹿にする場面があるとはいえ、これだけ「スクリーム」と「ラストサマー」に乗っかった映画でありながら、その二作を作中で貶してるのも気になる部分。  オチが「ユージュアル・サスペクツ」になっちゃう点といい、作り手側に「スクリーム」と「ラストサマー」への愛情が感じられないのは、この手のパロディ映画としては致命的だと思います。   一応、良かった点も挙げておくなら「武器ではなくバナナを手にする女」とか「同性愛者かと思ったら、実はそうじゃなかった男」とか、笑える場面もキチンとあった事。  あと、音楽やカメラワークなどは意外と洗練されていたって事が挙げられそうですね。  予想以上にクオリティが高くて、面白いとか面白くないとか以前に、まず「出来の良さ」に驚かされましたし。   本作は同年公開の「スクリーム3」に匹敵するか、あるいはそれ以上のヒットを記録してるんですが、それも納得です。  この後、ウェイアンズ監督は「最凶女装計画」などの佳作も手掛けていますし、ちゃんと映画作りの才能はある人なんだと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2021-11-05 02:18:01)
103.  スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション 《ネタバレ》 
 ホラー映画の「ファイナル・ガール」になりたい少女が、その願望を叶える為に「殺人鬼」になるという映画。   こうして文章にしてみると、非常に複雑なテーマを扱っているはずなのですが、それをサラッと分かり易く作ってあるのが見事ですね。  思えば初代の時点で主人公シドニーは「注目を浴びたくて嘘をついた」と周りに陰口を叩かれてるし、1&3の犯人も「生き残った被害者に成り済ます」という手口を用いているしで、スクリームシリーズに自然と馴染む「動機」と「トリック」なんです。  そしてなおかつ、犯人であるジルを「主人公シドニーが守るべき、お姫様ポジション」として描いておいたから「犯人の意外性」も高まってるという形。  スクリームの伝統である「共犯がいる」というトリックを活かし「殺人鬼から電話が掛かってくる場面」「襲われる場面」にて、ジルが被害者側にいる事が多い為、観客としても自然と彼女は犯人候補から外して考えちゃいますし、この辺りの描写は本当に上手かったと思います。   理想の「ファイナル・ガール」になる為、ジルが偽装工作する様も面白かったし、傷だらけで報道陣に囲まれ、幸せそうに微笑む姿も良かったですね。  ジルは悪役だし、母親まで殺してるような罪深い子なんだけど、ちゃんと感情移入出来るキャラクターに仕上がってたと思います。  そんなジルの夢破れた死に顔に、彼女をヒーローと称える報道が重なって終わるのも、実に皮肉が効いてて素敵。   そして、なんといっても主人公シドニーの描写が、抜群に良かったです。  「殺人鬼の相手なら任せて」とばかりに、経験を活かして適切な対応を取る様が、凄く恰好良い。  正直、前三作の彼女には全く魅力を感じなかったんですが、本作では大いに成長して「私こそがスクリームの主人公」という貫禄を得ていたように思います。   今の映画のルールで生き残るのは「処女」ではなく「同性愛者」だと語る場面や「冷蔵庫が閉まる度にドッキリ」などの台詞も面白い。  他にも、デューイの着メロが「ビバリーヒルズ・コップ」だったりして、映画オタクがニヤリとしちゃう小ネタが散りばめられているんですよね。  スクリームって「ホラー」や「スラッシャー」や「ミステリー」という以上に「オタク映画」だと思いますし、四作目になってもその芯がブレてなかった事にも、拍手を送りたいです。   とはいえ、良い伝統だけじゃなく悪い伝統も受け継いでおり、特に「シドニーを殺す前に、共犯者を刺し殺す不自然さ」まで1と同じってのは、如何なものかと思えましたが……  まぁ、そういうのも全部ひっくるめてスクリームなんだから、これはもう仕方無いですね。  「ほらっ、またシドニー殺すの忘れてるよ」って、優しくツッコんであげるのが正解なんだと思います。   あとは「前作のキンケイド刑事が出てこないのが寂しい」とか「ジグソウを好きと言ってた女の子が意味深に包丁を手にしていたけど、特に何事も無く殺されて拍子抜け」とか、不満点としてはそのくらいかな?   今回、スクリームシリーズを一気見する前は「1が一番面白く、それに次ぐのが4」という認識だったのですが、今は「4が一番面白い」って評価に変わっちゃいましたね。  十段階で評価する為、点数としては同じ「7点」って形になりましたけど、自分としては1より4の方が好み。   スクリーム2にて「続編はオリジナルを超えられない」という台詞がありましたが……  同じシリーズの続編である4がそれを否定してみせたんだから、実に痛快な話だと思います。  いずれ訪れるであろう「5」の公開も、今から楽しみです。
[DVD(吹替)] 7点(2021-11-03 09:21:23)(良:1票)
104.  スクリーム3 《ネタバレ》 
 全四作の中で、3だけ犯人が誰だったか思い出せない……という状況のまま再鑑賞。   観終わってみれば「主人公シドニーの兄」であり「シドニーの母を殺した黒幕」という凄い犯人だった訳ですが(いやぁ、これは憶えてなくても仕方無いよ)って、何か開き直る気持ちになっちゃいましたね。  とにかく印象に残らないというか、犯人が明かされた時に(……えっ、誰?)と戸惑ってしまう度合いの高さでは、間違い無くシリーズ随一。  何せ顔を明かされた時は本当に誰だか分からなくて、犯人自ら「監督のローマン・ブリッジャー」と自己紹介した事で、ようやく(あぁ、いたなぁ、そんな奴)と納得出来たくらいですし。  これって「観客は決して犯人を当てられない」って意味では凄いのかも知れませんけど……正直、感心するより呆れる気持ちが強いです。   例えば、途中までミスリードしていた通りに、キンケイド刑事が犯人というのであれば「主人公シドニーに親身に付き合い、ロマンスの匂いも漂わせた好人物が犯人」って事で、ベタではあるけど「意外な犯人」と呼べたはずなんですよね。  でも主人公と全然絡まず、出番も少なく、観客の印象にも残ってないローマン監督が犯人とか言われても、それは「意外な犯人」ではなく「地味で目立たない奴が犯人」ってだけであり、本末転倒。  スクリームの中で、この「3」だけ脚本がケヴィン・ウィリアムソンではないって事も大きいんでしょうけど……  本筋には全然関係無いレイア姫ネタを挟んだりとか、どうもシナリオに引っ掛かる点が多いです。   その他にも「便利過ぎる変声機が登場するのに、何故そんな凄い代物を犯人が持ってるのか、説明が一切無い」「シドニーがトラウマを克服したのを示す為、ラストシーンにて家のドアを開けっ放しにしてるけど、流石に不用心過ぎるとしか思えない」といった具合に、不満点を挙げ出したらキリが無いんですが……  一応、良い所も色々あったりして、総合的に考えると「それなりに楽しめた」って結論になるのが不思議ですね。  監督は変わらずウェス・クレイヴンなので演出は手堅いし、ちゃんと「スクリームらしい魅力」を感じられたのが大きかったのかな、と思えます。   犯人の正体はスッカリ忘れてた自分でも、鮮明に憶えていた場面が二箇所あり、その「ランディからのビデオレター」「シドニーが映画の撮影現場に迷い込み、1の頃を思い出す件」の二つに関しては、文句無しで良かったです。  デューイとゲイルも相変わらずイチャイチャしていてラブコメ的な魅力があったし、最後にデューイが求婚して終わるというのも、グッと来る結末。  「エルム街の悪夢」さながら、シドニーが母親の悪夢を見る場面も、監督繋がりの遊び心が感じられて、クスッとさせられました。   それと、派手な爆破シーンもあったりして、ちゃんと観客を楽しませようという気持ちが伝わってくるのも嬉しい。  こういう「映画としての優しさ」のようなものが感じられる作品って、不満点はあっても嫌いにはなれないです。   そんなこんなで、シリーズ四作の中で評価するなら、残念ながら最下位になってしまうかも知れませんけど……  それでも一定のクオリティは保っていた辺り、流石だなって思えましたね。  有名ホラー映画のシリーズって、長く続いた分だけトンデモない代物が混ざっていたりするものですし。  一番微妙な品でも、これだけ面白いんだなって考えると「スクリーム」シリーズの地力の高さのようなものが感じられました。
[DVD(吹替)] 5点(2021-11-03 09:11:29)(良:2票)
105.  スクリーム2 《ネタバレ》 
 作中の台詞にある通り「続編はオリジナルを超えられない」を体現しちゃってるとしか思えない仕上がり。   初代より面白い続編も色々あるのは間違い無いんですけど、残念ながら本作は該当しなかった気がしますね。  一応、良い所も幾つかあるんだけど、それらは大体「1」の時点で存在してた要素だったりするので(映画オタク的な続編論議の面白さとか)目新しさが無いんですよね。  冒頭の映画館での殺人も中々ショッキングなんですが「1」の冒頭に比べると見劣りしちゃうなって、つい思っちゃいました。   それでもあえて「2独特の魅力」を探すとすれば……前作で投げっ放しだった要素を色々拾って、決着を付けている点が挙げられそうかな?  「冤罪をかけられたコットン」が、その後どうなったか描いたり、デューイとゲイルのロマンスの続きを描いたりしてるので、観ている側としては(そうそう、そこが気になってたんだよ)って、嬉しい気持ちになれるんです。  それでいて、新たに消化不良な要素を生み出すような真似はしてないし、その辺りは「1」より綺麗な作りだったと思います。   前作で描かれた「現実」に比べると「スタブ」ではシャワーシーンが追加されてるのもニヤリとしちゃったし、作中映画の「スタブ」の使い方も上手かったですね。  「この話が映画になったら、シドニー役はトリ・スペリング」という会話が前作にて行われてましたが、それが実現している辺りも面白い。  また、今回の黒幕となる「ビリーの母親」の存在は前作の時点で示唆されてたんですが、その場面を「スタブ」で再現し、自然にヒントを与える形になってるのも良かったです。   で、悪かった点はというと……やっぱり、観終わった後にスッキリしない点が挙げられそうですね。  ラストにて、主人公シドニーを救ってくれるコットンが嫌な奴なので、どうも爽快感に欠けるんです。  しかも彼がヒーローとして祭り上げられる事を示唆して終わるもんだから、折角のハッピーエンドに水を差された形。  シドニーの新しい彼氏であるデレクは良い人だったのに、犯人と疑われつつ死んでしまったって件も、後味の悪さを倍増させてた気がします。   作中にて「ショーガール」を揶揄するような台詞がありましたが、正直これも大差無い出来栄えというか……  個人的には「ショーガール」の方が面白かったくらいなので、なんか凄く恰好悪かったですね。  やっぱり、映画の中で他の映画を否定的に語るのって、あんまり好きになれないです。
[DVD(吹替)] 5点(2021-11-03 09:00:58)(良:2票)
106.  スクリーム(1996) 《ネタバレ》 
 2021年に鑑賞してみると「主演はドリューバリモアかと思ったのに、冒頭で殺されて吃驚」感が当時より高まってる気がしますね。   この「電話の向こうの殺人鬼に襲われる」導入部は秀逸であり、ウェス・クレイブン初期の秀作「鮮血の美学」に通じるような、陰鬱さと絶望感があったと思います。  此度再鑑賞してみて(ここだけクオリティ高過ぎて、浮いてるなぁ……)と感じちゃったくらい、見事な仕上がりでした。   作中で論理的な手掛かりが示された訳でもない為「犯人探しのミステリー」としては成立していないんじゃないかと思えますが……  それでも「犯人は二人組」「最初に犯人かと疑われた彼氏のビリーが、本当に犯人」ってのは意外性があって、良かったですね。  この辺りは、単なるスラッシャー映画の枠に留まらない魅力を感じます。  鑑賞後に「スクリームの犯人は誰か知ってる?」と周りに語りたくなっちゃいますし、本作が公開当時ヒットしたのも、大いに納得。  冒頭から「二つのドア、どっちにいるでしょう?」というクイズを出したり「ビリーは犯人ではない」と思わせるミスリードに貢献したりと「犯人が二人いる」事に、ちゃんと意味があるのも良かったです。   作中にて「ホラー映画の法則」を茶化す場面が挟まれているのも、特長の一つ。  「ヴァージンの特権」とか「すぐ戻るって台詞だけは言わない」とか、生き残るコツについて説明する件も面白かったけど、個人的に一番ツボだったのは「殺さないで」「続編にも出たい」と訴えてた女友達キャラが、本当に殺されちゃった場面ですね。  その後、殺人鬼達も「俺達は生き残って、続編を作ってやるんだ!」と言ってたのに死んじゃうし……  何とも皮肉で滑稽で、人死にが絡んでるのに、つい笑っちゃいました。   ホラー映画が嫌いなヴァージン少女のシドニーと、ホラー映画オタクな殺人鬼のビリーっていう主人公カップルの組み合わせも面白くって、真相を知った上で再見すると、序盤のやり取りが更に楽しめちゃう作りなのも良いですね。  ビリーは「エクソシスト」のテレビ放送版で、過激なシーンが省略されてる事に不満を示したりと、実は序盤からオタク的な一面を見せていたし、ビデオ店で働くランディに絡む場面では「主人公の彼氏」とは思えないくらいの「嫌な奴」っぷりを披露していたしで、その後の展開に自然に繋げてる辺りも上手い。  犯人の動機について「ホラー映画が原因じゃない」「両親が離婚したせい」「周りの期待がプレッシャーになったせい」とわざわざ語らせているのも、脚本家の「ホラー映画愛好家」としての譲れない一線のようなものが窺えて、面白かったです。   「怪しまれないように自分達も傷を負っておく」にしても、シドニーに止めを刺してからやるべきだろうに、勝手に自滅した犯人達が間抜け過ぎるとか、デューイとゲイルのロマンスなど、中途半端に終わった要素が多くて消化不良とか、不満点も色々あるんだけど……  まぁ、この映画の場合、作中でホラー映画を観て楽しんでる若者達同様、そういう部分にツッコミ入れつつ観るのが正しい作法なんでしょうね。  実際、誰かと一緒にコレ観た時は絶対「いや、先にシドニー殺せよ!」ってツッコんじゃいますし。  そういった諸々も計算して、意図的に「ツッコミ所」を用意した脚本だったのだとしたら、本当に見事だと思います。    あとは……「エルム街の悪夢」は1以外は最低と作中で言わせるのは、ちょっと大人げないって思えた事(ウェス・クレイヴン監督は初代「エルム街の悪夢」の監督&脚本担当)  それと「13日の金曜日」でジェイソンが出てくるのは二作目からってのは間違いでは?(一作目ラストの夢のシーンでも少年ジェイソンが出てくる)って事が気になったとか、そのくらいですね。   今回、スクリーム4まで一気に再見する予定なのですが、それによって「スクリームは1が一番面白い」っていう自分の固定観念が揺らぐかどうか、今から楽しみです。
[DVD(吹替)] 7点(2021-11-03 08:37:04)(良:3票)
107.  ラストサマー2 《ネタバレ》 
 前作ラストが「主人公ジュリーが見た夢」で片付けられる導入部にガッカリ。  でも結果的に、そこから尻上がりで面白くなったというか……  「序盤は面白いのに、中盤からつまらなくなる」っていう前作とは逆の「序盤は退屈で、途中から意外と面白い」って形になってるのが興味深かったですね。   クローズド・サークル物として「嵐に閉ざされた無人島」を舞台にしたのも正解だったと思います。  一応「優しいボーイフレンドと思われたウィルが、実は殺人鬼の仲間だった」というサプライズもありましたが、基本的にミステリー映画ではなく、スラッシャー映画として分かり易く舵取りしてるのも好印象。  「ミステリーなのかスラッシャーなのか分かり難く、どっち付かずな内容」という前作の不満点が、それなりに改善されてる形。  「如何にも怪しげな人物であるエステスが、ウィルに襲い掛かる」→「エステスは悪人? と思わせる」→「実はウィルが犯人の一人」って流れも面白くて、少なくとも脚本に関しては前作より洗練されてたんじゃないかと。  彼氏役であるレイが、プロポーズ用の指輪を質に入れて拳銃を買い、主人公ジュリーを救いに来るっていうのも、熱い展開で良かったです。   それと、前作でも「海に投げ入れようとした死体が、直前で蘇生する」という場面があり「犯人は、主人公達が殺したと思っていた死体」ってオチに自然と繋げていましたが、本作でもその辺は上手かったですね。  「ブラジルの首都はリオじゃないのに、何故かクイズに正解して旅行に招待される」って形で「この旅行自体が罠だった」ってオチに、きちんと繋げてる。  細部に不満やら矛盾点やらはありますが、こういう大事なとこはしっかりしている辺り、人気作としての背骨の太さのようなものを感じました。   そんな訳で、こうやって良い部分を挙げる限りでは「前作よりも面白い、正統進化版の続編」って言えそうなんですが……  残念な事に、前作の欠点が足を引っ張ってもいるんですよね。  2単体で評価すればカッコ良い彼氏役のレイに関しても(でもコイツ、前作ラストで罪を告白せずに逃げた卑怯者なんだよな……)って事が気になって、素直に応援出来ませんでしたし。  ラストの「殺人鬼は生きていた」オチに関しても、お約束の魅力を感じる以上に(またかよ)って呆れる気持ちが強かったです。   あと、フィッシャーマンが勢い余ってウィルを殺す場面は間抜け過ぎて笑っちゃったし、前作同様「脇役を活かしきれてない」って印象は拭えなかったのも難点。  「話の掴みが上手い」「青春映画としての切なさ」などの「1には有って、2には無い魅力」も色々ありますし……  総合的に評価すると、前作と同じくらいの面白さって感じに落ち着きそうですね。    以下は、映画の内容と直接関係無い余談。  今回再鑑賞して気付いたのですが、殺される端役として無名時代のジャック・ブラックが出演してるのも、中々興味深い符号だと思います。  それというのも「13日の金曜日」ではケヴィン・ベーコン「エルム街の悪夢」ではジョニー・デップという具合に「歴史的ホラー映画では、無名時代の大物俳優が殺されてる」っていうジンクスがあるんですよね。  本作は1ではなく2という形だし、個人的には大好きなジャック・ブラックも、上記二名ほど大物ではないかも知れませんが……  なんだかんだで「ラスト・サマー」シリーズも、歴史に残るホラー映画なんじゃないかなって、そう感じさせるエピソードでした。
[DVD(吹替)] 5点(2021-10-14 07:35:36)(良:1票)
108.  ラストサマー 《ネタバレ》 
 「去年の夏」に関する手紙が届く序盤までは、かなり良い感じ。  これはヒット作となったのも納得だなと思えたのですが……   中盤以降は失速というか、どうも着地が拙かった気がしますね。  まず、ジャンルとして「犯人探しのミステリー物」とも「殺人鬼が暴れるスラッシャー物」とも言えないような、中途半端な内容だったのが痛い。  両方の魅力の良いとこ取りが出来ている訳でもないし、観ている間(……で、どっちにするの?)と、観客としてはもどかしく思えちゃうんですよね。  鑑賞後に結論を下すとすれば「スラッシャー物」って事になるんでしょうけど、それにしたって殺人鬼となるフィッシャーマンに魅力を感じなくて、ノリ切れないんです。  無関係の人間も色々殺しまくってるから「怒りに燃える復讐者」って感じもしないし「車のトランクにあった死体」が消えちゃう件とか(この殺人鬼は現実的な存在ではなく、ファンタジーで何でも出来ちゃう系なの?)と気になっちゃうのも難点。  話の主筋はシンプルで分かり易いのに、こういう細部が曖昧で分かり難いって形なのは、ちょっとチグハグでバランス悪いんじゃないかと。   あと、キャラの使い方も勿体無い感じなんですよね。  アン・ヘッシュ演じるミッシーとか「犯人候補であり、主人公カップルと三角関係に成り得る存在」なのに、途中から全然出てこなくなって戸惑いますし。  シバース姉妹の確執が伏線っぽく描かれていたのに、姉がアッサリ殺されて終わりってのも吃驚です。  ベタではありますが、姉が殺される直前に妹を庇い「逃げなさい!」と言ったりして、喧嘩しがちでも姉妹の絆は確かにあったって展開にしても良かったと思うんですよね。  魅惑的な要素が色々散りばめられていたのに、それらを活かしきれてない気がします。   無事に殺人鬼を撃退した後「命を狙われた原因に心当たりは無いか?」と問われて「いいえ」と答える展開にも、心底ガッカリ。  (こいつら結局、何も反省してねぇな!)と呆れちゃうし「比較的善人と思われた主人公カップルも、結局は嫌な奴らだった」ってオチになっちゃう訳で、凄く後味悪いんですよね。  「殺人鬼は、実は生きていた」というお約束エンド迎えるのも、好みとは言えないです。   冒頭にて述べた通り、序盤の展開というか「話の掴み」は上手いと思うし、カメラワークや音楽のチョイスなども良いので、観ていて退屈するって事は無いんですけどね。  夜の浜辺で「高校最後の夏」を楽しむ様には、青春映画としての魅力が確かにあったと思うし……  事件から一年後、かつて抱いていた夢が嘘のように冴えない日々を送ってる仲間達と再会する流れも、切なさがあって好きです。  エンディング曲もかなり良い感じで、映画本編に対する不満を忘れさせる効果がありましたね。   商業的に成功したのは納得だし、90年代を代表する品なのは間違いないと思いますが……  名作や傑作とは評し難い。  でも、粗削りな魅力は確かにあるという「青春映画」という以上に「若者映画」って感じの一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2021-10-14 07:30:45)(良:1票)
109.  鬼教師ミセス・ティングル 《ネタバレ》 
 最後がハッピーエンド過ぎて納得いかない映画ってのがありますが、これもそんな一本。  主人公のワトソン達と、ティングル先生。どっちが悪いかといえば「ワトソン達」で、どっちが被害者かといえば「ティングル先生」なのに「前者は無罪放免」「後者は教師をクビになる」って結末を迎えちゃいますからね。  最後は主人公三人で、笑顔の卒業式を迎えて終わる訳だけど (……それで良いのか?)  とツッコむしか無かったです。   「スクリーム」「ラストサマー」「パラサイト」と同じ脚本家(本作では監督も兼任)という事で、90年代のティーンズ映画らしい魅力が詰まってる事。  舞台の大半が「ティングル邸」に限定されている為、小さな世界の「舞台劇」めいた魅力を味わえる事など、良い点も色々あるんですけどね。  主人公ワトソンの犯行動機というか、ティングル先生と戦う主因が「ママと同じ人生は歩みたくない」っていう想いゆえなのも、非常に残酷で良い。  これ、ママさんが酷い母親って訳じゃなく、娘想いの優しいママさんだし、母娘仲も良いはずなのに、それでも尚そう思ってしまうというのが、何ともやるせないんですよね。 (たとえ夜勤で毎日大変でも、夫に逃げられようとも、娘に愛情注いで育ててる立派な母親じゃないか)  と、自分としてはそう感じる訳ですが、それでも娘側の「こうはなりたくない」って想いに、説得力があるよう描かれてる。  「親のようになりたくない」「自分が思い描く理想の大人になりたい」という感情のままに行動する主人公ってのは、等身大の若者らしくて、リアルだったと思います。   それと、悪役になるティングル先生が魅力的なのも良かったですね。  そりゃあ彼女は日頃から意地悪だし、不倫もしているしで「悪い人」なんだろうけど、作中で描かれている限りでは「監禁されている被害者」な訳で、どっちかというと彼女側を応援したくなりますし。  作中で何度か言及されている「エクソシスト」の悪魔のように、巧妙に話術を駆使して窮地を脱しようとする姿は、文句無しで主人公達より恰好良かったです。  あと、不倫相手のウェンチェルコーチが、彼女との逢引では「従順な奴隷」となっちゃうのは、如何にもって感じで笑っちゃいましたけど……  個人的には、日頃偉そうな態度のティングル先生の方が「奴隷」になっちゃう関係性の方が、ギャップがあって可愛く思えたかも。   脇役&女友達枠のジョー・リンの描写も面白くって、主人公のワトソンより華やかなルックスなのに「私は脇役じゃないわ」って劇中で言わされちゃうのが、実に皮肉が効いてましたね。  「女優の才能が無い」と言われた仕返しのように、ティングル先生を騙すのに成功するのも痛快でしたし……  三角関係の泥沼を乗り越え、主人公ワトソンとの友情を選ぶ展開になったのも、嬉しかったです。  こういう「報われない女友達」枠が好きな自分としては、とても好みのキャラクターでした。   ただ、唯一のメイン男性キャラであるルークについては不満があるというか……正直言って、魅力を感じない存在でしたね。  そもそもの発端というか、諸悪の根源と言えるのは「答案を盗んだルーク」のはずなのに、なんか「優しい王子様」みたいな扱いを受けてて、違和感が拭えなかったです。  成績の書き換えを提案したのも彼だし、作中で一番「悪魔」と呼ぶに相応しいのはワトソンでもティングル先生でもなく、ルークじゃないかと思えました。   ……とまぁ、そんなこんなで、劇中では散々な目に遭ったティングル先生だけど、生徒のワトソンに「皮肉」の意味を教える事が出来たって意味では、少しだけ報われたのかも知れませんね。  クビになった後の彼女については一切描かれていないけど、何とか立ち直って欲しいものです。
[DVD(吹替)] 6点(2021-10-08 02:16:16)(良:1票)
110.  ドメスティック・フィアー 《ネタバレ》 
 実に豪華な俳優陣。  メイン三人の「濃い顔」を見てるだけでもワクワクしちゃいましたね。   今となってはコメディ映画のイメージが強いヴィンス・ヴォーンが、悪人を演じているのも新鮮。  当時は「サイコ」(1998年)の印象が色濃く残っていたがゆえの配役かとも思えますが、元々彼って「エリートな気品」「どこか不気味で冷たい顔立ち」を備え持ってる人でもありますし、本作についても適役だったと思います。  スティーヴ・ブシェミも胡散臭くて、妙に憎めない「殺され役」を演じているし、ジョン・トラヴォルタ演じる「頼れるパパさん」っぷりも、文句無し。   子役のマット・オリアリーも可愛らしく、守ってあげたいと思えるような息子のダニーを好演してましたね。  こういったストーリーの場合、演じる「子供」の魅力如何で評価が変わってきますし、そこは文句無しに合格だったんじゃないかと。  BGMも雰囲気があって良かったし、89分と短く纏まってるのも好印象でした。   ……ただ、脚本と演出は凡庸としか思えず、褒めるのが難しいです。  一応良い所もあって「ダニーは不良少年なので、周りが中々『殺人の目撃』を信じてくれない」って展開には説得力ありましたし、そんな中で、真っ先に信じてくれたのが父親のフランクっていうのも、グッと来るものはあったんですけどね。  父子の逃亡劇になるのかと思いきや、親権争いの裁判になったりするのも、意外な展開ではありました。   でも正直、それ以上に粗が目についちゃって……  「脚本と演出の不備を、演者の力で誤魔化してるだけ」って印象は拭えないです。  そもそもダニーから「人殺しが同じ家に住んでる」「しかもそれが、義理の父である」っていう恐怖や、緊迫感が伝わってこないのが致命的。  これに関しては、いくら子役が怖がった演技をしても「何も対抗手段を取らず義父の言いなりになってるだけのキャラクター」「だから追い詰められてる感じがしないし、恐怖が窺えない」って形になってる訳だから、脚本の責任だと思います。  フランクの現在の妻であるダイアンの影が薄いのや、ダニーの母が妊娠したのを活かせてない辺りも不満。  恐らくは「フランクの孤立感を高める」「ダニーの疎外感を強める」為の要素だったんでしょうけど、ダイアンは途中から出てこなくなるし、妊娠についても言及されなくなっちゃいますからね(一応、最後に流産したのが示唆されるけど、後味が悪くなっただけ)  この手の「必要無い人物、要素が多い脚本」って、どうしても評価が低くなっちゃいます。   極め付けは終盤における「ライター自爆着火」の間抜けさで、これには本当ガッカリしちゃいました。  ダニーの母が夫を疑うキッカケにしても「夫の衣類からガソリンの匂いがするのに気付き、彼が犯人と疑う」って流れでも成立したと思うし、もっと脚本を煮詰めて欲しかったですね。   たとえシンプルなストーリーでも、細部を丁寧に作れば良作、あるいは傑作と呼べる品に仕上がったのでしょうが……  残念ながら本作は、それに当てはまらない例に思えました。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2021-09-22 21:14:47)(良:1票)
111.  カニング・キラー 殺戮の沼 《ネタバレ》 
 ドミニク・パーセルが主演のワニ映画だなんて、それだけでワクワクします。  男臭くて恰好良いパーセルが、アフリカの巨大ワニと戦い、見事仕留めてくれるのを期待して鑑賞した訳ですが……   色んな意味で、予想も期待も外れちゃう内容でしたね。  まず、思った以上に社会派というか、ワニよりも人間同士の争いにスポットを当てた作りなんです。  この場合の争いっていうのは「自分だけが助かろうと、遭難者グループ内で醜い争いが起こる」って代物じゃなく、文字通りの戦争であり、民族間の内戦。  そもそも巨大ワニのグスタヴが人喰いの味に目覚めたのは「内戦や虐殺で多くの遺体が河に捨てられた為」というのだから、云わばワニなんて内戦の副産物に過ぎない訳です。  映画の半分が過ぎても、パーセル演じる主人公は「俺はワニになんか興味無いんだ」って断言してるし、ヒロインも「ワニなんかより、ここで行われてる虐殺を世界に伝えるべきよ」と言い出すしで、作り手としてもワニより内戦にスポットを当てていたのは明白。  それが失敗だったとは言わないし、斬殺シーンや射殺シーンなどには(確かに、ワニなんかより人間の方が怖い)と感じさせる力がありましたけど……  やっぱり、普通の、王道のワニ映画が観たかったなぁって、つい思っちゃいました。   第一、社会派な内容にするのであれば、もっと事実に即した作りにすべきだったと思うんですよね。  「人喰いワニであるグスタヴ」以外は全て架空の人物ってのが、何とも中途半端。  そんな架空のドラマ部分は悪くなく「友人を失った代わりに、彼が救おうとした現地の若者を保護する事が出来たハッピーエンド」ってのは納得なんですけど、実話に即した「結局グスタヴを退治する事は出来なかった」ってオチまで付くのが、足を引っ張ってる形。  いっそワニの存在も架空にして「今回遭遇した個体は倒したけど、まだまだアフリカには巨大な人食いワニが残ってる」みたいな形にしても良かったんじゃないでしょうか。   ジャーナリストで知性派なパーセルってのも意外性があって良かったですし、カメラワークや演出なども洗練されていたのですが……  何とも勿体無い、もうちょっとで傑作に化けてくれそうな一品でした。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2021-09-22 15:16:18)(良:1票)
112.  グラスハウス 《ネタバレ》 
 舞台となる「グラスハウス」は雰囲気満点。  ジムにホームシアターまで揃っているし(良いなぁ……住んでみたいな)って思えましたね。  海に面したレストランや、海辺の道路など、美しい場面が多い点も良い。  ヒロインのルビーが夜中にプールで泳ぐ場面なんかは、神秘的でエロティックな魅力がありましたし、ラストのカーアクションも中々迫力あったしで、ビジュアル面の満足度は高かったです。   では、シナリオ面についてはどうかと考えてみると……ちょっと微妙でした。  上述の通り、ビジュアル面には拘りが感じられたんだけど、それが裏目に出てる部分もあるんですよね。  夜のグラスハウス内での場面はともかく、まだ昼間のはずの校舎ですら薄暗い場面ばかりとか、流石に「やり過ぎだよ」って呆れちゃいます。  どうしても薄暗い場面ばかりにしたかったのであれば、そこは脚本でフォローして、不自然さを消すべきだったんじゃないかと。  主人公姉弟にはジャック叔父さんがいるはずなのに「グラス夫妻と一緒に暮らすのが嫌なら、施設に入るしかない」って言われるのも不思議だったし(その後、ジャック叔父さんに引き取られて幸せに暮らしてるとしか思えないエンディングとも矛盾してる)脚本の詰めが甘かった気がします。   それと、主人公姉弟があんまり「良い子」とは思えなくて、応援する気持ちになれなかったのも残念ですね。  例えば、麻薬中毒のエリンがルビーに寄り添うように死んでしまう場面なんかでも、観客は事前に「幼いルビーと仲良しだった頃のビデオを観て、感傷に浸る場面」を知ってる訳だから、ついエリンに同情しちゃう展開なんだけど、ルビーはエリンの死体を気味悪がってるだけなんです。  ルビーは観客と違ってエリンの悲しい一面なんか知らないから当然の反応ではあるんだけど、こういう描き方は、どうしても「感情移入出来ないヒロイン」って印象になっちゃいます。   この映画では最も重要だろう「良い人かと思われたグラス夫妻が、実は悪人だったと判明する場面」あるいは「主犯であるテリーに止めを刺す場面」にカタルシスが欠けているのも、如何なものかと。  特に後者に関しては、テリーが発砲する前に轢き殺してるので正当防衛って感じもしなかったし、もうちょい上手くやって欲しかったです。  「絵を描くのが趣味なヒロインが、防犯装置のパスワードをスケッチブックにメモする」とか、良い場面も色々あっただけに勿体無い。   何より悲しかったのは、せっかくグラスハウスが素敵だったのに、結局そこから飛び出して普通の道路でクライマックスを迎えちゃう事ですね。  せめて最後はタイトル通り「グラスハウス」で決着を付けてくれてたら、もっと良い形に仕上がったんじゃないかなって思います。 
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-08-12 18:25:16)
113.  シックスヘッド・ジョーズ<TVM> 《ネタバレ》 
 まず、ヒトデのような六つ首鮫のデザインは面白いです。  死んだ頭を他の頭が食い千切り、それを投げつけて攻撃するって場面もあるし、呆気に取られるような「地上歩行シーン」もあるしで、奇抜なデザインをきちんと作中で活かしてる点も好印象。  前作の不満点だった「せっかく良いデザインなのに、それを活かせず普通のサメ映画になってる」って部分を克服しているし、これに関しては見事だったと思います。   ただ、映画全体の面白さって意味では……  残念ながら、傑作とも良作とも呼べない感じ。   上述のサメ描写はコミカルだし、カップルセラピーキャンプって設定もラブコメ的だしで、如何にも「明るく楽しいノリ」が似合いそうなのに、何故か「ヘッド・ジョーズ」シリーズの中でも一番シリアスってくらいのストーリーなんですよね、これ。  主人公もムサい髭面のオジサンで、過去作に比べると一気に年齢上がってると思いますし、良くも悪くも「真面目」で「大人向け」って感じ。  人が死ぬ場面で感動的な音楽を流し、悲劇を煽ってみせる演出もクドい感じがして、ノリ切れませんでした。   「問題のあるカップルが命の危機に瀕し、絆を取り戻していく」っていう王道ストーリーを扱ってるにも拘らず「カップルの絆が蘇った途端にサメに喰われてしまう」ってのをお約束にしてる辺りも、何とも悪趣味。  結局、作中で復縁した上で生き残ったカップルは一組も無く、生き残った主人公とヒロインも、本来の恋人と呼べる存在は殺された後なので、どうもハッピーエンド感が薄いんですよね。   そもそも主人公グループが全然「良い人達」に思えないんだから、これはモンスターパニック物として、致命的な欠点。  主人公のウィルも「嵐が来るのを承知の上で、それを客に隠してた」とか、流石にそれはどうなのって設定のせいで感情移入出来ないし、客の皆も「アンタを訴える」ってウィルを責めてる連中ばかりだしで、観ていて「生き残って欲しい」って思えるキャラがいないんです。  なので、どんな展開になろうとも「どうでもいいや」って心境になっちゃう訳で……  良い部分も色々ある映画なんですけど、そういう根本的な部分が拙かった気がします。   六つ首サメを生み出したはずのラボが、どう見ても「海に浮かぶバラック小屋」程度の規模なのも笑っちゃったし、あからさまな低予算映画なので、あんまり厳しい目で見るのも可哀想なんですけどね。  「水に入ると危険(=水に入らなければ安全)」というイメージを与えておいた上で、サメが地上を歩いて襲ってくるという場面に繋げるのには感心させられたし、頑張って「良い映画」「面白い映画」を撮ろうという、スタッフの意気込みは伝わってきました。   そんなこんなで、総合的に評価するなら5点くらいになっちゃう訳ですが……  「サメ映画を観たい」って気持ちには、しっかり応えてくれる内容だった為、満足度としては悪くないですね。  ちゃんとサメが暴れて、退治されてと、ツボは押さえた作りでしたし。  鑑賞後に残念な気持ちになるのまで含めて「サメ映画の醍醐味」と言えない事も無いですし。   色んな意味で、サメ映画らしいサメ映画だったと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2021-07-22 11:51:20)(良:1票)
114.  ファイブヘッド・ジョーズ<TVM> 《ネタバレ》 
 (夏が来たから、サメ映画観なきゃ……)という謎の衝動に駆られて鑑賞。   シリーズの過去作二本は鑑賞済みで、今回「3」と「4」をセットで観る形になったのですが、良くも悪くも期待通りの内容であり、なんか妙に安心しちゃいましたね。  これが「予想に反し、意外な傑作だった」というパターンなら、逆にガッカリしちゃってたかも。  なんていうか「面白過ぎず、退屈過ぎず」っていう絶妙なバランスが、観ていて心地良かったです。   そもそもタイトルが「ファイブヘッド・ジョーズ」って時点で(あれ? フォーヘッドは? なんで順番飛ばしたの?)と気になっちゃう訳だけど、それに対する答え合わせが、劇中でキチンと行われている辺りも良いですね。  登場する怪物は「四つ首のサメと思わせておいて、実は尻尾の部分に五つ目の頭があった」という形であり(……なるほど、これはファイブヘッドにしておかないとマズいな)と納得出来ちゃうんです。  「三つ首のサメに思わせておいて、実は四つ首」という形だと、途中まで(前作と同じ数じゃん)という物足りなさが付き纏っちゃう訳だし、鑑賞前の違和感を承知の上で「ファイブヘッド」というタイトルにしておいたのは、英断だったと思います。   過去作に倣って、冒頭で「水着美女の姿を撮影しているパート」を挟んだり「ゴミを捨てて海を汚す人間への批判」も、堅苦しくない程度に盛り込んだりと、このシリーズのお約束が踏襲された作りなのも、安心感がありましたね。  特に前者に関しては、それ以外にも「女優さんが梯子を下りる際に、胸の谷間が良く見えるアングルで撮る」「水中カメラで胸やお尻をアップで撮る」というサービスシーンがあり、嬉しかったです。  性的に興奮するっていうよりは(ちゃんと観客を喜ばせようとしてるんだな)って思えて、安心する感じですね。  こういうのって、ある意味とても誠実な姿勢なんじゃないかって思います。   「ヘリに噛みついて墜落させるサメ」とか、低予算なりに見せ場も用意してくれてるし、前二作同様に、最後がハッピーエンドって辺りも良い。  この「ヘッド・ジョーズ」シリーズって、格別に出来が良いって訳じゃないんだけど、なんとなく憎めないのは、この「後味の良さ」が大きいんでしょうね。  主人公も含め、ちゃんと複数の人物が生き残るし、観た後スッキリした気分になれるんです。  「実は生きていたモンスターが、主人公達を襲って終わり」みたいなオチをやらないってだけでも、自分としてはポイントが高い。   そんな「お約束の遵守」「安心感を与える内容」な一方で、サメ退治のエキスパートであるレッドが、きちんと活躍して生き残る展開なのも、程好いサプライズ感があって、良かったです。  何せ「2」のダニー・トレホの死に様があった訳だから(どうせコイツも、途中でアッサリやられる役なんでしょ?)って穿った目で見ていたもので、これには驚かされました。  こういう「気持ち良い裏切り方」が出来るのって、続編映画の数少ない利点ですし、それを見事に活かしてたと思います。   勿論、短所も沢山あって……  1:イルカの声が弱点って設定が、全然活かされてない。 2:嫌な奴ポジションの重役さんが、改心したかと思ったらやっぱり嫌な奴のまま殺されて終わりとか、人物描写がチグハグ。 3:そもそも「五つ目の頭」に存在意義が薄い。   といった感じに、不満を述べ始めたらキリが無いです。  特に3に関しては、折角の良いデザインが勿体無かったですね。  「後ろに回り込んだら、そこにも頭があって喰われちゃう」とか、そういう場面があっても良かったと思います。   でもまぁ、最初に述べた通り「傑作」ではなく「サメ映画」を求めて選んだ一本なので、満足度は高めでしたね。  期待に応えてくれたという意味では、満点に近い品だったかも。   また来年の夏、こういう映画が観られたら良いなと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-07-22 11:47:36)(良:2票)
115.  いとこのビニー 《ネタバレ》 
 記念すべき500本目のレビューだから、明るく楽しい気分になれる映画が良いなと思い、本作をチョイス。   良く考えたら作中で死者も出ているし、何もかも全てハッピーエンドって訳ではない品なのですが……  久々の鑑賞後には(やっぱり、これを選んで良かった)と、しみじみ感じる事が出来ましたね。  そのくらい、終盤の逆転劇が痛快。  「被告人の無罪を証明する」という、裁判物ならではのカタルシスを、存分に味わう事が出来ました。   「ツナ缶の万引き」「アメリカ南部への偏見」などの要素によって、無実のはずの若者二人が殺人容疑を掛けられてしまう流れを、丁寧に描いている点も良いですね。  (そりゃあ犯人と誤解されるよ)(嫌な印象を持たれて当然だよ)って感じで説得力があるし、それでいて若者二人を嫌いにはなれないという、そのバランスが絶妙だったと思います。   他にも「ヒロインのリサは車に詳しい」「ビニーは裁判に不慣れなだけで、本当は賢い」という伏線が、序盤から張られている事にも感心しちゃうしで、作りが丁寧なんですよね。  裁判で無罪を証明する事が、そのまま真犯人の逮捕に繋がる形になってる点も、とても好み。  裁判物では「無罪は証明出来たけど、真犯人は不明のまま」ってオチの品もあったりして、モヤモヤさせられた経験があるだけに、本作は後味スッキリで気持ち良かったです。   食堂のメニューが「朝食」「昼食」「夕食」の三つしかない、という場面なんかも、妙に好きですね。  こういうさり気ないユーモアって、御洒落だなって思えます。   それと、自分が一番お気に入りなのは、煉瓦とトランプの喩え話の件。  ここって「ビニーは頭の良い人間である」と示すだけでなく「ビニーは本当に、ビルの無実を信じてる」事を描いた場面でもあるんですよね。  「お前は、無実なんだから」という一言が、凄く恰好良い。  作中において、一瞬たりとも「ビルが犯人かも知れない」と疑う場面が無い事も含め、この「被告の無実を心から信じてる弁護士」という描き方は、本当に良かったです。  弁護士にとって一番大切な事は、何よりもそこなんじゃないかと思えました。   そんな本作の難点を挙げるとすれば……  最後の最後、マロイ判事に助けてもらう形になったのは恰好悪かったとか、精々そのくらいかな?    いずれにせよ、数ある裁判映画の中でも、特にお気に入りと呼べそうな一本ですね。  何時か、1000本目のレビューを書く時が訪れた際には、この映画に負けないくらいの傑作をチョイスしたいものです。
[DVD(吹替)] 8点(2021-07-09 20:39:23)(良:3票)
116.  レッド・ブロンクス 《ネタバレ》 
 配給側が「ジャッキー・チェンこそが世界最大のアクションスターであると、世界中の皆に教えてみせる」という気概を持ち、並々ならぬ熱意で宣伝したという一作。  その甲斐もあり、ジャッキーの悲願であったハリウッド進出を成功させた、記念すべき作品なのですが……   所謂「ジャッキー映画」の中では、際立った傑作というほどではないというのが、少し寂しいですね。  (他にも良い映画は一杯あるのに、これを観るまで全米はジャッキーの魅力に気付かなかったのか)って、つい思っちゃいます。   とはいえ、商業的に成功しない事には始まらないんだとばかりに「米国でウケる為のアレコレ」を映画に盛り込んでいる辺りは、結構微笑ましく、また興味深くもありましたね。  この辺りは、ジャッキーの「芸術家」としての拘りとは違った「プロフェッショナル」としての懐の広さを感じられます。   アジア人以外の俳優も多く起用し、対話の大部分を英語にしてる辺りなんかが、特に顕著。  自伝によると、ジャッキーも「できるだけ国際的な香港映画」を目指していたようで「これは香港映画である」という信念は崩さないまま、可能な限りの配慮を行ったのが窺えました。   映画の完成度は高いとは言えず(香港に恋人がいるって設定、必要だった?)とか(最後ホバークラフトを使わなきゃ黒幕を逮捕出来ないって、無理矢理過ぎない?)とか、色々ツッコミ所は多いんだけど……  自分としては、そういった粗の数々も含めて楽しめちゃいましたね。   「アジア人の主人公が、治安の悪いブロンクスで生活している内に、美女二人と良い仲になり、車椅子の少年と友達になったりする」ってストーリー展開も、非常に好み。  「主人公はカンフーの達人である」と分かる場面を序盤に挟んであったりして、ジャッキー・チェンという存在を知らない観客に対し、丁寧な作りになっている点も良いですね。  これって、一見すると何気無い場面だけど、実は「ハリウッドで成功する為には、絶対必要な描写」だったと思いますし。  商業的な成功が、必ずしも傑作の条件という訳ではありませんが、こういう「目的の為に必要な事」をキチンと行ってる映画って、観ていて嬉しくなっちゃいます。   序盤、不良グループが好き勝手に暴れる件は陰鬱だけど、それだけにジャッキーが「お前らはクズだ!」と断言し、彼らを倒してみせる流れが痛快。  そこで悪い奴らを倒して「めでたし、めでたし」で終わらせず、彼らを改心させ友情が芽生えるって展開にした辺りも、ジャッキー映画らしい魅力があって好きですね。  欲を言えば、後半にその「和解」っぷりを活かし、彼らと共闘して巨悪を倒すような展開にしても良かったんじゃないかって思えるんですが……まぁ、それは贅沢な要望でしょうか。   終盤の、海から上陸して市街地を暴走するホバークラフトという展開に関しても、文句無しの迫力があって良いですね。  車に剣を添えて、擦れ違いざまにタイヤを切り裂くという「ホバークラフトの倒し方」も、恰好良くて好き。  本作が成功した理由としては、この場面も大きかったんじゃないかなって思えます。  つまり「ジャッキー・チェン特有のアクション」を求めていない観客でも満足出来ちゃうような「見せ場」が用意されている訳であり、それが客を呼ぶ一因になってくれたんじゃないかと。   それと、自分としてはスーパーの店主になったエレインってキャラが、凄くお気に入りなんですよね。  話の筋としては、ダニー少年の姉であるナンシーの方がヒロインっぽいんですが(エレインと結ばれて欲しいな)って、そう思えたくらい。  でも、ダニー少年も良い子なので、彼を喜ばせる為にはナンシーと結ばれた方が……とも思えるしで、そんな歪な三角関係が、妙に好きなんです。   ストーリー展開よりも「主人公周りの設定」「ヒロインや脇役」が魅力的っていう意味では、映画よりも、むしろ連続ドラマ向きの題材だったのかも知れませんね。  元々のプロットも「主人公は留学生で、スーパーマーケットで働いている」「様々な苦難を乗り越えて異国に馴染んでいき、周りの人々と友情を育んでいく」って形であり、一本で終わる映画よりも、何話も使えるドラマの方が面白くなりそうですし。  そうしたら、最終回にて香港に帰る主人公を、寂しそうに見送るダニー少年とか、向こうに恋人がいると理解しつつも諦めきれないヒロイン達とか、そんな展開に繋がったかもと考えたりするのが、何だか楽しい。   完成度も低く、粗も多いだけに、妄想で補う楽しみもあるという……  そんな一本でした。
[DVD(吹替)] 7点(2021-06-10 08:04:43)
117.  ナイス・ガイ 《ネタバレ》 
 美女が生き埋めにされるという、陰鬱な導入部に吃驚。  ラストも「巨大な車で、敵のボス宅を滅茶苦茶にして終わり」という形であり、どうも「レッド・ブロンクス」(1995年)の二番煎じというか……  (こういうのが、ハリウッド映画らしさなんだ)という打算のようなものが感じられて、ノリ切れませんでしたね。  自分としては「ハリウッド映画」よりも「ジャッキー映画」が観たいんだよって、つい思っちゃいます。   主人公に感情移入する前に、悪党達との追いかけっこが始まってしまう(しかも、それがやたら長い)ってのも如何かと思うし、三人いるヒロインとイチャつく場面が随所にあるのも、何か妙な感じ。  この手の「ヒロインが複数いるハーレム映画」としては「プロジェクト・イーグル」(1991年)という前例もあるし、個々の要素は「ジャッキー映画らしさ」を備えているんだけど、何かそれがチグハグなんですよね。  そもそも主人公の恋人はミキであると結論が出てる訳だから「主人公は誰と結ばれるのか」とドキドキしたり、完結後の恋愛模様を想像したりする楽しみも無い訳で、ヒロインが三人いる必然性が薄かったように思えます。   必然性といえば、主人公が料理人であるって設定も、途中から有耶無耶になっちゃうんですよね。  唯一、序盤の「客の口に料理を放り投げるショー」は面白かったし、料理人設定も活かされていたけど、本当にそれくらいですし。  ジャッキーの自伝などを読んで、彼の経歴を知っていれば「若い頃、オーストラリアのレストランや建築現場で働いてた」って事で、料理人設定や、終盤の建築現場での乱闘シーンにもニヤリと出来ちゃうけど……  知らなかった場合、鑑賞後には(で、どうして料理人設定にしたの?)って、疑問符しか残らない気がします。   そんな具合に「完成度」や「構成力」といった点で考えると、とても褒められない代物なんですが……  「面白いか、面白くないか」で考えた場合、答えは「面白い」になっちゃうんですよね、これ。   「馬車とタクシーの衝突」とか「コーラの缶が路上に散乱し、あちこちで噴水のように中身が噴き出てる」とか、印象的な場面が随所にあって、それだけでも観る価値はあったと思います。  終盤における、無数のドアを活かしたコントも面白かったし、色んな大工道具を駆使したアクションも、流石といった感じ。   監督のサモ・ハンがチョイ役で出てくるのも嬉しいし、ジャッキー映画ではお馴染み(?)のリチャード・ノートンも、ラスボスとして良い味出してましたね。  本作のMVPには、この二人を推したいくらいです。   ……以下、映画の内容とは直接関係無い余談なのですが、そもそも「ジャッキー」という名前自体、オーストラリアの建築現場やレストランで働いてる際に、同僚から「ジャッキー」と呼ばれてたのが由来だったりするんですよね。  つまり、本作における「建築現場でのアクション」「料理人という設定」って、ジャッキー映画としては凄くオイシイはずなんです。  それだけに、前者はともかく、後者の設定を活かせてないのが勿体無い。   素材は良かったのに、味付けが拙かったという……そんな印象が残る一本でした。
[DVD(吹替)] 6点(2021-05-20 15:48:07)(良:2票)
118.  80デイズ 《ネタバレ》 
 「八十日間世界一周」をジャッキー主演で映画化したという、正に夢のような映画。   その分、ちょっとファンタジー色が強過ぎるというか、映画版「八十日間世界一周」(1956年)のリメイクと考えたら違和感が大きいけど、自分としては満足でしたね。  あくまでも、ジュール・ヴェルヌの小説を翻案した「ジャッキー映画」として楽しむべきなんだと思います(エンディングのNG集は無いけど)   物語の大オチ「日付変更線を越えたから期限に間に合った」は変えてないし、世界一周の旅を通して「金や名誉よりも大切な人を得る事が出来た」という、原作で一番大切な部分を、きちんと踏襲しているのも嬉しい。  随所にアクションも盛り込まれているし、急造飛行機以外にも「色んな機能を備えたステッキ」「車輪を付けた靴」など、ワクワクさせられるアイテムが揃ってるのも良かったです。  主人公格のフォッグを発明家キャラにした事に、ちゃんと意味があったと思います。   ゴッホやライト兄弟にウォン・フェイフォンなど、史実におけるビッグネームが登場する事と「俳優としてのビッグネーム」が登場する事をシンクロさせている作りも面白い。  この辺りは「さりげなくスターを出演させる」という1956年版の遊び心に通じるものがあるし、ただ真似をするだけでなく、一歩先に進んでみせた感もありますよね。  特に「ジャッキー・チェンとシュワルツェネッガーの共演」には胸躍るものがあって、本作が「夢の映画」である事を実感させてくれました。   万里の長城を徒歩で移動する場面なんかも、旅映画らしい切なさを感じられて好きだし、パスパルトゥーの故郷の描写も「懐かしき我が家に帰ってきた……」って感じがして、良かったですね。  敵と戦っている内に、自然とキャンパスに絵が完成しちゃう場面も可笑しくって、コメディ部分としては、ここが一番お気に入りかも。   そんな具合に、様々な長所が備わっている映画なんですが……  ・船を材料として提供した船長達が、その後どうなったかについて描かれていない。 ・「また腕が取れた」と笑いを取って終わるのは、ちょっと微妙。   といった具合に、終盤において短所が目立つのが残念ですね。  最後の最後で、テンションが下がって終わっちゃう形。  これって「終わり良ければ全て良し」の逆の現象であり、作品全体の印象も微妙なまま終わっちゃう訳だから、凄く勿体無い。   せっかく旅の途中までは楽しかったのだから、その勢いのままハッピーエンドまで駆け抜けて欲しかったものです。
[DVD(吹替)] 7点(2021-04-15 17:19:01)
119.  幸せがおカネで買えるワケ 《ネタバレ》 
 「ユニークで愉快な宣伝家族」を描いた品かと思いきや、死者まで発生する陰鬱な展開に吃驚。   とはいえ、急転直下に作品の空気が変わる訳ではなく、少しずつ悲劇を予兆させるのが上手かったもので、違和感は無かったですね。  序盤にて (この家族、なんか変だぞ?)  と観客に思わせる描写も丁寧であり、すっかり映画の中に惹き込まれちゃいました。   「偽りの家族の中で、主人公のスティーヴだけは本当の家族になりたがっている」という設定も絶妙であり、自分としては大いに感情移入。  チームが崩壊しかけた時「家族に問題は付き物さ」と場を繕おうとするも「家族じゃないわよ」と、妻役のケイトに素っ気なくされる場面なんか、凄く切なかったですね。  単純に「ケイトを愛しているから、本当の夫婦になりたい」というだけでなく「皆で本当の家族になりたい」と願っているのが、絶妙なバランスだったと思います。  それだけに、好成績を認められて他のチームと組むよう上司に命じられても、それを拒否して「今の家族と一緒に頑張る事」を選ぶ場面が、凄く痛快。  スティーヴとケイトが、失恋した娘を慰め「家に帰ろう」と促す場面も (偽物なんかじゃなくて、立派な家族じゃないか……)  と思えて好きです。   終盤にて、隣人のラリーが自殺する場面もショッキングだったし、そこからスティーヴが「ご近所さん」に真相を告げる流れも、不思議なカタルシスがあって良かったんですが……  そこが最高潮で、その後に失速しちゃったというか、ラストの纏め方が強引だったのが残念ですね。   「スティーヴとケイトが結ばれ、前々から話してたアリゾナ行きを実現させる」って形なので、この二人にとってはハッピーエンドなんだけど (……で、息子と娘は置いてくの?)  って事が気になっちゃうんです。  息子と「父子のような抱擁を交わして」別れる場面は良かったんですが、その分だけ (娘とはロクに会話もしてないけど、寂しくないのか)  って疑問も湧いてくる。  他にも「同性愛者な息子の恋人ナオミ」についても放ったらかしで終わってるし、どうも風呂敷の畳み方が拙かった気がします。  エンドロールにて「まだまだ他にも宣伝家族は沢山いる」って示すのも、後味が悪くなっただけなんじゃないかと。   個人的には「夫婦」ではなく、四人揃って「家族」としてハッピーエンドを迎えて欲しかったですね。  総評としては「隠れた良作」って感じで、充分楽しめたんですが……  一抹の寂しさが残ってしまう映画でした。
[DVD(吹替)] 7点(2021-03-25 08:17:04)(良:1票)
120.  幸せになるための27のドレス 《ネタバレ》 
 オチの良さありきというか、それがやりたい一心で映画撮ったんじゃないかと思えるような品なんですが……  自分としては、過程も含めて楽しめましたね。   例えば、話の流れとしては冒頭の「タクシー運転手とのやり取り」が面白くて、もしや彼が恋人候補かとも思える感じなのですが、ちゃんと配役や演出でケビンこそが「ヒロインと結ばれる王子様」だと分かるよう作ってあるんです。  上司のジョージを(良い人だけど、何か違う……)と観客に思わせる辺りも絶妙で、たとえヒロインが彼に恋い焦がれていても、最終的に結ばれるのはケビンの方なんだろうなと、予想も出来るし、納得も出来ちゃう。  「先が読める展開」「安易な脚本」ではあるんだけど、ちゃんと丁寧に作られていたと思います。   主人公カップルに「結婚式が大好きな女性」と「結婚式が嫌いな男性」を据えて「相性最悪かと思われた相手が、実は運命の相手だった」というラブコメ王道の魅力を描いている点も良い。  それと「ドレスを着たままおしっこする際は、誰かの補助が必要」とか、男性からすると(そうなんだ)と思える場面があるのも良いですね。  女性向けのラブコメ映画だからこその、意外な魅力って感じです。  「要領が良くて、周りに愛される妹」「それに対する、姉としての複雑な感情」を描いている点も、女性主人公ならではって感じがして、これまた楽しめちゃいました。   終盤、主人公が妹の結婚をぶち壊して憎まれ役になる訳だけど、そこで親友がキチンと「こんなの間違ってる」と諭してくれるのも良いですね。  観客が主人公から心を離してしまうのを繋ぎ止める効果があり、ラブコメの親友キャラとして、良い仕事したなって思えました。  アン・フレッチャー監督は「あなたは私の婿になる」(2009年)も良作でしたし、こういう細かい部分の作り込みが自分好みなんでしょうね、きっと。   そんな本作の欠点は……  「姉妹が仲直りする場面に、無理がある」って事でしょうか。  ここに関しては、些細な部分ではなく、映画の中で重要な部分だと思うので、ちょっと看過出来ないです。  妹のベスは、彼女なりに色々考えて「ジョージに相応しい女性になろうとした」と告白するんだけど、具体的に何か努力したという訳じゃないので、説得力に欠けるんですよね。  その辺に関しては、作り手側も気になったのか「実は仕事をクビになったばかりだし、元カレに振られていたりで、妹も挫折を経験していた」「妹は妹で、姉にコンプレックスを抱いていた」と、様々な要素を用意してはいるんですが、どれも和解に至る決定的な材料とは思えず、残念でした。  せめて「喧嘩の切っ掛けになった母親のドレスについて、妹が謝る」って場面があれば、印象も変わったかも。   とはいえ、冒頭にて述べた通り「ブライズメイドを務めてあげた友達27人が、ドレスを着て結婚式に来てくれた」というオチが凄く良かったもので、鑑賞後の満足度は高め。  (これまでの主人公の行いは、無駄じゃなかったんだ……)って感慨を抱けるし、映画のクライマックスと共に完結する構成が美しかったです。  新聞記事に擬したエンドロールも御洒落だし、ラスト数分で一気に評価を高めてくれた一本でした。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-03-16 22:46:47)(良:2票)
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