乱れる の ボビー さんのクチコミ・感想

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乱れる の ボビー さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 乱れる
製作国
上映時間98分
劇場公開日 1964-01-15
ジャンルドラマ,ラブストーリー,モノクロ映画,TVの映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 主人公二人の会話はどの場面でも実に巧に描かれており、演出はそれを十分に引き立てて行われていました。コウジという人物は、一見だらしが無いように見えるが、実際は芯の通った気持ちの良い性格をしている。レイコとの複雑な関係を見ていても、彼は決して淫らな行為に走らないし、紳士的な態度を常に取っている。そこにはレイコに対しての真面目で真っ直ぐな彼の心を感じることが出来た。そんなコウジを観ている人間は好きにならずにはいられない。例えば、彼の面白くて具体的な性格の一面がわかりやすく、脚本上二日目の晩に出てくる。麻雀をして帰ってきたコウジはレイコにピシャリと「ご飯はいらない」と言っておきながら、気付くとガツガツと食べているところは本当に愛くるしい。また、終盤での列車の車中でコウジはここでも「寝ない」といっておきながら、ワンカット挟んだ次のカットではグッスリと眠っているといったように、コウジの性格は憎めないほど可愛らしく、好きになってしまう。また、そういったコウジの性格を18年間傍らで見つめていたレイコにとってはそれが全ての思い出を集約しているように見えたのでしょう。だからこそ、あそこでレイコは下車しようと言ったのでしょう。そんな二人の関係性は演出でも描かれていました。二人が会話する際、ほとんどどちらかが背を向けている形になっている。また、追いかければ逃げる。近付けば離れるという動きの演出も実に素晴らしかった。そしてそんな演出があるからこそ、二つの電話のシーンがより感動的なのではないでしょうか。顔と顔を見合わせていませんが、画面で見る限り、カットバックされており、まるでそこに二人がいて向かい合っているように見えました。コウジの不器用な性格とレイコの頑な優しさが見て取れます。酒の力を借りて、顔をあわせないことをいい事に素直な思いを告げるコウジ、変わらぬ優しさを持ち続けるレイコ。演出の細やかさが画面からヒシヒシと伝わってきます。そしてラストの高峰さんの表情。嵐の前の静けさを通過し、嵐が訪れ、呼吸を乱し、髪を乱して走るレイコ。いつも淡々とした美しさを保っていた彼女が乱れる。凄すごる映画だ!
ボビーさん [DVD(邦画)] 10点(2007-11-25 18:44:58)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
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