やかまし村の春・夏・秋・冬 の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ヤ行
 > やかまし村の春・夏・秋・冬
 > パブロン中毒さんのレビュー
やかまし村の春・夏・秋・冬 の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想
作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 前作では、ほとんどが子供中心の描写で、極力大人を描かないように意識して撮られたように思った。
続編では、けっこう大人が出てきたりセリフも少しある。あくまでも、「子供の耳に聞こえた大人の話し声」としてではあるけれど。
私はリサのお父さんが大好きなのです。あのもったりした口ヒゲの。
なんというか、大人の男性が備えていなくてはならない美質をちゃんと持っている、という感じがする。
吹雪の帰り道、リサたちが偏屈な靴屋の家に避難していたとき、お父さんがソリで現れる。
子供たちは火のそばにも勧められず、温かい飲み物も提供されず、ただ、屋根の下を借りていただけの状況で、扉の開け閉めにも靴屋に怒鳴られていた。…現れたお父さんは、一瞬のうちにそんな状況を察していただろう。
けれど、「子供に対してひどいじゃないか」とか「もっと手厚くしてもバチは当たらん」とか「あんたは冷たい」とか一切文句を垂れずに、お父さんはただこう言うのだ。「グドー、グドー(こんにちわ)」と。
これは、優しくない靴屋に対して「あなたは、共同体のメンバーとして最低限の事はしてくれた。子供たちに軒を貸してくれただけでも、じゅうぶん感謝していますよ。ありがとう。」という意味である。そして、相手が非礼だからといって、己も非礼を真似することは潔しとしない、という子供たちへの教育にもなっている。なおかつ、「あなたが優しくなくても、私はこうしてあなたに対して礼を尽くしますよ。それに対してあなたの態度は恥ずかしくありませんか?」という相手への一撃でもある。…そして、グドー、グドーと言われた靴屋は、それ以上何も言えなくなってしまう、というワケだ。
ああお父さん、あなたはすばらしい。すべての大人の男性のみなさんよ、お父さんを真似ましょう。そして平和な世の中が…やかまし村にしか存在しませんね、やっぱり。
「やかまし村」は、ハルストレムがフィルムに焼き付けた人類の理想郷だった。もしかして監督は、「宇宙へのメッセージ~私たちの地球ではこんな暮らしをしています」といって、無人ロケットに搭載するような気持ちでこれを作ったのではないかしら。あながちマチガイではないと思う。
パブロン中毒さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-12-13 20:14:45)
パブロン中毒 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2012-06-13オアシス8レビュー7.36点
2012-05-20フィリップ、きみを愛してる!8レビュー5.88点
2012-05-20瞳の奥の秘密7レビュー7.27点
2012-05-13渇き(2009)8レビュー6.35点
2012-05-05プレシャス8レビュー5.66点
2012-04-10シェルター5レビュー4.42点
2012-04-06人生万歳!7レビュー6.75点
2012-01-15ブエノスアイレス9レビュー5.84点
2012-01-03ハンサム★スーツ5レビュー5.95点
2011-12-19リダクテッド 真実の価値5レビュー5.94点
やかまし村の春・夏・秋・冬のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS