シティ・オブ・ゴッド の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想

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シティ・オブ・ゴッド の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 シティ・オブ・ゴッド
製作国ブラジル,
上映時間130分
劇場公開日 2003-06-28
ジャンルドラマ,犯罪もの,青春もの,実話もの,小説の映画化,バイオレンス
レビュー情報
これを絶賛していたプロの映画評論家がいた。
これが好きな人は、「善と悪」という概念の対立が嫌いな人だろう。
何が正しくて何がいけないか、作り手がジャッジを済ませていることが嫌いだということだろう。
それほどこの作品には「善と悪」の対立も、「正義」もない。
誰がどう転落しようとも、なんの意味もこめずに撮る。誰が死のうがセンチメンタルなBGMも一切ない。観客はただ事の成り行きを見せられているだけ。例えていうなら「神の町」に潜入カメラが常駐していて、そのマル秘映像を見ている気分だ。(私の大嫌いなやたらな手ブレ映像も疲れる)
確かにこういうのを見ると、「禁煙」だの「副流煙」だの「体脂肪」だの「適応障害」だの「ちょっとした交通事故」で大騒ぎするのがバカバカしくなってはくる。
それは「神の町」ではあまりにも命が軽いからだ。
戦後の日本に育った私たちは、「命が軽い」という状態に慣れていないのだからこういうものに困惑しても仕方がない。「神の町」というのは人間が最もアニマルに近い状態(弱肉強食)で暮らしているところだ。この映画はその状態を感情をこめずに描いて、出口が無さ過ぎる。「サバンナの食物連鎖」をNHKなどで見せられているのとどう違うのかわからなくなってくる。人間と他の動物はあんまり違わなくてもいいのか?カメラマン志望の少年の存在だけで、どういう方向性があるというのか?(同じ「感情をこめずに命が軽い状態」を描いた「シリアナ」では、「それぞれの正義という矛盾」「中東という魔物」という方向へ観客を引っ張っていくためだったし、「トレーニングデイ」の「モノサシの混乱」はラストで主人公が家族のもとで自分を取り戻すことで救いが示される。)
なので「どうだい、みんなこんな原始的な弱肉強食な暮らしをしてみないか。」でもなく「どうだい、なんて悲惨で可哀想だと思うだろう。」でもなく「ここから先に進むためにはどうしたらいいか一緒に考えてくれ。」でもなく、まさに「撮りっぱなし」だ。
見ようによってはものすごく「大人」な作品なのかもしれないが、「無責任」という見方もできる。映画というにはあまりに「意味」に欠けているかもしれない。私は絶賛はしない。
パブロン中毒さん [DVD(字幕)] 6点(2006-08-13 18:00:54)(良:2票)
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投稿日付邦題コメント平均点
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2012-05-20瞳の奥の秘密7レビュー7.30点
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