ハドソン川の奇跡 の 小鮒 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ハ行
 > ハドソン川の奇跡
 > 小鮒さんのレビュー
ハドソン川の奇跡 の 小鮒 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ハドソン川の奇跡
製作国
上映時間96分
劇場公開日 2016-09-24
ジャンルドラマ,実話もの
レビュー情報
《ネタバレ》 重大事故、事象が起きればあらゆる可能性を考えて、一見善良に見える対象でさえも平等に冷徹に厳しい検討対象とするのは当然のことである。
それは今回の機長側から見れば、「経験のない、前例のないトラブルを自分の経験と技量で切り抜けたのに、その俺すら疑いの視点で接してくるのか」とある種の恐怖心を抱かせるものであろうが、それは重大事故の検証という場面では仕方のないことである。機長というのはそういう責任をそもそも背負っているものなのだ。

それをメソメソと「ヒーローの俺がこんな扱いを」、「世間はみんな歓待してくれるけど実際はこんなプレッシャーを受けてたんだよ」的な描写をしても全然かっこよくないね。

毅然とむしろ事故調査側の立場に立って機長も事故の検証を、「自らが本当に正しかったかどうか?」を検討してこそ、真に素晴らしい機長となりえたと思うんだけどね。この映画はそういう描き方をすべきだったと思う。そこまで思いが至らないのがアメリカ人なのかね。いや、アメリカ人も本当の知識層はそうすると思うんだよね。クリントイーストウッドみたいな表層的な、水に浮かんだ油みたいな奴がとるとこういう映画になるんだよ。

航空機事故に限らず、
例えば医療事故なんてこんなのばっかり。医師は人間にしかつとまらない。パラメーターをいくつか入れたところで経験は目に見えないし機械に打ち込むこともできない。それなのに何か医療事故(医療ミスじゃないよ)があると、ど素人の警察、患者、裁判官、弁護士が「本にかいてあること」を盾に、あるいは「現場にいなかった専門家」の意見を恣意的に利用して素人なりの結論に持っていく。説明できない経験に基づく瞬時の判断は正当性が証明できないから負けていく。
善意によって全力で人を助けようとしても結果責任を負わせようとする。それが今の世の中。

他にもある。長野の大学生乗せた夜行スキーバスがガードレール突き破った事故だ。あれなんてまだ何もわからないうちから「運転手個人の責任」を新聞もTVも報道。さて、ほとぼりも醒めた最近、バスの老朽化点検を指示する国の通達が出たね?

世の中、現実のほうがよほど闇が多いんじゃない?
小鮒さん [映画館(字幕)] 3点(2016-09-24 23:57:01)(良:1票)
小鮒 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2023-09-14こんにちは、母さん6レビュー6.80点
2022-07-15哭悲/THE SADNESS4レビュー4.37点
2022-05-19シン・ウルトラマン10レビュー6.31点
2022-02-28裏切りのサーカス9レビュー6.21点
2021-12-17ハミングバード8レビュー5.64点
2021-11-15スペース・カウボーイ8レビュー6.17点
2021-10-06007/ノー・タイム・トゥ・ダイ3レビュー6.75点
2019-09-29ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド7レビュー6.88点
2019-09-29記憶にございません!4レビュー5.45点
2019-07-22天気の子6レビュー6.46点
ハドソン川の奇跡のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS