河内山宗俊 の にじばぶ さんのクチコミ・感想

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河内山宗俊 の にじばぶ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 河内山宗俊
製作国
上映時間82分
ジャンル時代劇,モノクロ映画
レビュー情報
本作『河内山宗俊』は、夭折の天才監督、山中貞雄の現存する数少ない作品の一つである。
他の現存する2作品である『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』と『人情紙風船』は鑑賞済み。
したがって、現存する山中貞雄作品はこれで全て観たことになった。
本作『河内山宗俊』は、『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』や『人情紙風船』の2作品と比べると、少し知名度や一般的評価が低い気がする。
そんな中、最後に観たので、それほど期待していなかった。
しかし、なんと、山中貞雄作品の中では、個人的に一番のお気に入りとなった。
かなりの傑作である。
本作のメインキャストとして、河原崎長十郎と中村翫右衛門の二人が出てくる。
この二人は『人情紙風船』や、溝口健二の『宮本武蔵』と『元禄忠臣蔵』でもコンビを組んでいた。
そんな中で、本作における二人は最も魅力的だった。
二人とも最高の俳優である。
まずは河原崎長十郎。
冒頭での将棋シーン。
最初はお茶らけている河原崎長十郎。
しかし、最後に真顔で凄んでみせる。
この時の迫力にゾクゾクした。
そして中村翫右衛門。
相変わらずのひょうひょうとした自然な演技。
素晴らしく魅力的だ。
ラスト近く、口にくわえた爪楊枝を捨て、原節子演じる娘を救うため、立ち上がる。
この時の男意気。
しびれるねぇ・・・
本作には、小津安二郎作品でお馴染みのミューズ、原節子がヒロイン役で出演している。
ちなみに本作は、原節子の最も若い頃を見ることのできる貴重な作品らしい。
小津作品に出まくっている頃の原節子と比べると、当たり前だが大分若く、純情可憐な感じ。
小津作品では比較的大柄に感じられる彼女だが、本作では小さく見えた。
この時、彼女は15歳だったらしいが、二人の男を振り回す魅惑的な少女として、十分に存在感を発揮していた。
先にも書いたが、本作における河原崎長十郎と中村翫右衛門の二人の掛け合いは、絶妙で素晴らしい。
そして全編に渡って「男意気とは何たるか」を堪能できる素晴らしく良くできた傑作である。
山中作品はどれも素晴らしいが、私は特に本作『河内山宗俊』を高く評価したい。
82分という短い尺の中に凝縮された、いつの時代にも共通する「男の生き様の何たるか」を堪能できる作品である。
にじばぶさん [DVD(字幕)] 7点(2007-08-14 13:30:46)(良:1票)
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