007/スカイフォール の 黒猫クック さんのクチコミ・感想

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007/スカイフォール の 黒猫クック さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 007/スカイフォール
製作国,
上映時間143分
劇場公開日 2012-12-01
ジャンルアクション,サスペンス,アドベンチャー,シリーズもの,小説の映画化,スパイもの
レビュー情報
《ネタバレ》 プロジェクトチーフは私にこう言った。
「最新の機材だの、ソフトだの技術だのはとりあえずはどうでも良い。どうやってやっつけるかは好みの武器の使い方を一つ身につけてから考えろ」

 あの日、処理しても処理しても尽きないトラブルに巻き込まれながら、横目に隣のチーフを覗う。先のプロジェクトリーダーから引き渡された機械のアセンブリを解析しながらいつもの冷静な横顔を崩さないまま、両腕の動きははとめどない。
 目を私自身が扱う部品に戻そうとしたとき、彼の額の汗がこの後のベトナム戦争のような泥沼を暗示していた。この不良品の開発を引き渡された瞬間、彼はこのプロジェクトチームが組織内で既に廃棄されたものと理解したに違いない。そして、自分自身が廃棄場にやってきてしまった事に気付いて慄然したことも想像に難くない。
 しかし、彼は冷静に言う。一つ一つを雑に扱った事で起こったトラブルのリカバーは最初から丁寧にやるよりもずっとやっかいだ、と。そして合わないつじつまを一つ一つ回収し、解きほぐしていく。

 いつもであれば美女とセックスして、自分以上にトロい敵を間抜けな新兵器で撃退していく。今回の事件もそうなるはずだった。しかし、アメリカ映画の流行において行かれてはまずい。本部が壊滅し、主要な武器も取り上げられてテロリストに蹂躙されなければならない。007にとってこれほど難しい状況を用意されてしまってはもう色々、お手上げだ。
 二時間の間に何回死んでもおかしくないジェームスが自力で何とかするしか無い。そうなれば現代技術とデバイスにどう考えてもついて行けない彼が取ったのは、自分のグラウンドに相手を引きずり込む作戦であった。

 女を抱いている余裕も無い。武器も、知識も、見透かされていた。こんな状況で彼は結局敵が足をすくわれるような幸運で生き残った。私もチーフも、講じたあらゆる手段が初期設計の時点で否定される運命にあったにもかかわらず、偶然のタイミングで基準が下がったという外的要因で踏みとどまる事が出来たのである。これも一つの強みに頼る術があったからこそ、転がり込んできた幸運であった。

 最後には間抜けなブービートラップと、間抜けな心理戦。いつもの007がそこに居たのである。

 とは言え、大事な暗号はきちんとパスワードジェネレータで作れよ。駅名を入れてしまう彼はどうしようも無くいつものボンドである。
黒猫クックさん [ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 8点(2013-04-30 03:00:41)
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投稿日付邦題コメント平均点
2016-01-10スター・ウォーズ/フォースの覚醒8レビュー6.85点
2015-12-26ロボコップ(2014)9レビュー5.66点
2015-09-20007/慰めの報酬7レビュー6.16点
2015-06-14映画 鈴木先生8レビュー6.24点
2015-06-08バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)9レビュー6.37点
2015-04-13機動戦士ガンダムUC/episode 5 黒いユニコーン5レビュー5.33点
2015-04-12007/消されたライセンス6レビュー6.65点
2015-03-29アメリカン・スナイパー9レビュー6.94点
2015-03-23遊星からの物体X8レビュー7.70点
2015-03-21007/カジノ・ロワイヤル(2006)8レビュー7.14点
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