ビッグ の BOWWOW さんのクチコミ・感想

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ビッグ の BOWWOW さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ビッグ
製作国
上映時間102分
劇場公開日 1988-07-23
ジャンルドラマ,ラブストーリー,コメディ,ファンタジー,ファミリー,ロマンス
レビュー情報
《ネタバレ》 日本人にとっての猫ふんじゃったのように、ピアノを前にしてアメリカ人が真っ先に奏でるのはHEART&SOULのメロディなのだろうか。他の映画やドラマでそんなシーンを見かけるたびに『ビッグ』のジョッシュを、そして彼がオモチャ売り場のピアノカーペットで見せる最高にステキな足技を、どうしたって思い出してしまう。この映画はCGどころか特撮すら使わない。子どもの役を大人が演じる、それだけだ。そしてただそれだけのことが、魔法使いも妖精も一切登場しないこの映画をすばらしきファンタジー映画として成立させていることに驚く。絵に描いたファンタジーは、現実世界と等しく、遊園地のアトラクションとして存在するのみである。子どもの夢が実現したジョッシュの部屋で巨大トランポリンを前にするスーザンは大人代表だ。クールな彼女が彼のまさに子どもならではのしつこさに負けて、最初は恐る恐るけれど次第にみるみると童心に還っていく様子がなんともすばらしい。トランポリンは空を飛ぶ夢をかなえてくれる道具だ、少なくとも子どもにとっては。大人はいつしか、そんなことを夢みた日があったことすら忘れてしまう。ドレスをぐしゃぐしゃにして跳ぶ彼女は、遠いその日を思い出す。そして大人のたしなみもクソもない最高にホットな尻飛びまで見せる。大の男と女が夢中でトランポリンを跳ねるだけのこのシーンは、どんな魔法にも負けないファンタジーだ。子どもはそんなふうに空を飛び、そしてプラスチックの指輪を魔法のリングに変える。そんな夢を描きながらも映画を現実逃避に終わらせないのはペニー・マーシャル監督流のたしなみだろうか。ファンタジーには必ず終わりがあり、その終わりを受け入れることが大人になるということだ。子どもに戻るジョッシュとは反対にスーザンや監督や我々は再びたしなみを纏い、大人に戻らねばならない。ラストの別れがこんなにもせつないのは、それがジョッシュやファンタジーとの決別であると同時に、子ども時代との再びの別れをも意味しているからだろう。子どもに戻ったジョッシュだが、終わりを受け入れた彼もまた一歩大人に近づく。だが、大人になるのは悲しいばかりじゃない。一歩一歩を重ねていつか大人になった彼がずっと年のはなれたスーザンとどこかでまた出会う、そんなファンタジーを信じる力を、我々大人だって心のどこかに持ち合わせているのだから。
BOWWOWさん [DVD(字幕)] 9点(2009-08-21 16:30:22)(良:2票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2019-02-25バーニング 劇場版10レビュー7.00点
2018-08-12リバーズ・エッジ8レビュー5.33点
2013-05-25青春神話10レビュー8.33点
2013-05-02エドワード・ヤンの恋愛時代10レビュー10.00点
2013-04-28恋恋風塵9レビュー7.00点
2013-03-09楽日10レビュー6.00点
2012-01-24海角七号/君想う、国境の南7レビュー5.23点
2011-04-02エターナル・サンシャイン9レビュー6.60点
2011-01-18ソーシャル・ネットワーク7レビュー6.53点
2011-01-02ファイト・クラブ9レビュー7.38点
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