ラストウォー1944 独ソ・フィンランド戦線 の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想

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ラストウォー1944 独ソ・フィンランド戦線 の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想
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《ネタバレ》 原題・英題とも単に「助産師」の意味であるのにこういう邦題を付けるのはさすがに極端だが、自分としては邦題など最初から信用していないので実害はない。原作は人気小説とのことで、著者も脚本に参加しているので再現度は高いと思われる。
実際の内容は、要は戦時下のドイツ軍人とフィンランド人助産師の恋愛物語である。加えて主人公の職業との関連で、いわゆる生命の大切さといったことを訴えていたらしく、またナチス親衛隊が人体実験をしていたとか、この時期にドイツ軍人とフィンランド人の間にできた子を戦後社会が認知しなかったという告発系のネタも入れてある。ほかサーミの民俗を思わせる演出が目/耳につくが、現地の実態を示しているのか単なる映画的な場所性の表現なのかは不明である。
自分が見たところではどうやら観客を選ぶ映画のようで、“人間の尊厳”といっても差し支えない場面で、あえて「女性の尊厳」という台詞(字幕)にしていたあたりに選別の意図が感じられなくもない。また主人公の性格のせいもあって、恋人以外の全方位に敵意を向けているように見えるところがあり、当面自分は糾弾される覚えはないと思いながらも、とりあえず目を逸らして関係ない顔をしたくなる雰囲気が出ていた。ほか兵役逃れに寛容だったのは日本でいう反戦映画に通じるものがあり、どうせならそういう感じ(女性+怒り+反戦)の邦題を付ければ日本でもまともに売れたのではという気がする。
なお劇中では現地住民もナチスの圧迫下にあったような印象だったが、ちなみに当時のフィンランド共和国はナチス・ドイツと対ソ戦で共闘関係にあったのであって、一方的に占領されていたのではなかったはずである。しかしこの映画にとっては、ナチスもフィンランドもひっくるめて主人公を迫害する邪悪な勢力であるから、政府間の関係などはどうでもよかったのかも知れない。この面でも党派(地域)によっては日本国内で受けが良さそうである(勧めないが)。

そのほか、どうもこの映画では現地との関係が不明なものまで動員して、殊更にナチスの残虐性を強調したがっているように見える(「黒い太陽七三一」かと思った)。「バビ・ヤール」を出して来たのも唐突で必然性が感じられなかったが、ただ自分としてはこの事件が映画で扱われたのを今回初めて見た(一応の映像付き)。日本ではほとんどソ連の作曲家の曲名としてしか知られていないようでもあるが、その曲を聴いたことのある人なら何が起こったかは知っているはずであり、もう少し日本でも認知度が高まっていいのではという気がしている。ナチスは残虐だ(自分は違う)、というのでなく、人間というのは恐ろしいものだということである。
かっぱ堰さん [DVD(字幕)] 3点(2018-07-08 18:58:40)
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