サマリア の よしのぶ さんのクチコミ・感想

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サマリア の よしのぶ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 サマリア
製作国
上映時間95分
劇場公開日 2005-03-26
ジャンルドラマ,犯罪もの
レビュー情報
《ネタバレ》 【バスミルダ】聖娼婦をきどり、無垢な笑顔をふりまき売春をする女子高生ジョヨン。親友のヨジンはジョヨンを理解できない。不潔な男に抱かれて彼女の肉体が汚れていくと案じ、銭湯で体を洗ってあげる。そこに肉体は確かにあった。ジョヨンは窓から飛び降りて重態になる。客の一人に会いたいという彼女の願いを叶えるため、ヨジンは体を提供して客に病院に連れていくが、彼女は亡くなっていた。【ソマリア】親友の死を乗り越えるため、ヨジンは売春を決意する。映画「悪い女」と同じ構図だ。「悪い女」では女子大生が売春婦のまねをして売春婦を理解するが、ヨジンもジョアンのまねをすることで彼女を理解しようとする。但し、お金を貰うのではなく、ジョヨンの受け取った報酬を返すのだ。ヨジンは、売春は汚い行為ではなく、無償の愛で男を癒す聖なる行為だと理解し始める。仏頂面の多かった彼女が、ジョヨンが同化したかのように笑いが絶えなくなる。聖書のソマリアの女がイエスに出会ったことで生き方を変えたのと同じで、ヨジンも変った。ジョヨンはイエスだ。家族がいないのは当然。イエスは復活のために死を選んだ。だからジョヨンも笑顔で飛び降りた。ヨジンはジョヨンの精神を纏い、復活の準備をする。【ソナタ】ヨジンの父親は、娘の売春を知り衝撃を受ける。怒りは娘ではなく客に向けられた。石を車に投げて糾弾する姿は、聖書の「あなたたちの中で罪を犯したことのない者だけがこの女に石を投げなさい」に対応する。姦通罪の女を糾弾する人々に対してイエスが放った言葉だ。怒りで殺人まで犯してしまった父親は気付く。自分には客や娘を断罪する権利はない。自分も汚垢の社会に生きる罪人なのだと。会話は無いが、娘は父が自分の売春を知っているのを知る。父の嘔吐に対して娘は嗚咽で答える。娘が、父に殺される夢を見るのは娘にも罪の意識があるから。ヨジンが車の妨げとなっている石を取り除くが、これは石を投げた父親の罪の贖罪を表現している。父親にとって娘はイエスだ。かくてイエスは復活した。ソナタは車の名前で、運転は世渡りの象徴。父は、娘に世渡りの方法を教え、自首する。父の乗った車を娘の車がよろよろと追うが、ぬかるみに嵌って立ち往生してしまう。まだ若いヨジンには、前途に乗り越えるべき障害がいくつも横たわっているのだ。黄色い塗料には警鐘の意味がある。聖書を現代に翻訳した、残酷で美しい幻想映画だ。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 9点(2014-10-28 11:27:33)
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投稿日付邦題コメント平均点
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