みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
1.《ネタバレ》 馬永貞とは1800年代末期に実在したヤクザで、善悪両方の顔を持ち、武術の腕前もすごぶる強かった彼は上海でシマを広げたが、敵対する斧頭党に卑劣な手段で惨殺されてしまったという伝説の英雄の事であります。 ゴールデン・ハーベスト社のブルース・リーというカリスマに対抗すべく、ライバルであるショウ・ブラザース社が発表した大作がこの人物を題材にした『馬永貞』(邦題:『上海ドラゴン英雄拳』)ですが、そこに台湾のジミー・ウォングが同時期に同じ企画をぶつけるという暴挙に出たのが本作『ドラゴン覇王拳』であります。 さて、いつもは奇抜さで作品をてらうジミーさんですが、この作品はどうしたことか”奇抜”を封印したかのような手堅い演出。…いや、若干変なところもあるっちゃーあるんですが(ヒロインがいつの間にか一人消えていたりとか)、並みのクンフースターでは到底持ち得ないジミーさんの圧倒的な凄みも手伝って、全体としては素晴らしい出来栄えの一大ハードボイルド大作に仕上がっていると思います。 その実態はもっとも馬永貞に近い(笑)ジミーさんですが、彼の馬永貞は善悪二つの顔を持ったヤクザを、ここでは徹底して”正義の味方”として描いておりまして、フラリと上海に現れたジミー版馬永貞は、他人が困っていると、それがどんなに些細なことであっても放ってはおけないらしく、女性を食い物にする組織と闘い、世捨て人や子供を守って悪辣な武術家と戦うという、正に真の英雄を颯爽と演じております。 最後は子供への優しさが仇となって罠に嵌り、義理兄弟の契りを結んだ配達人のホーと共に、無数の斧を体中に浴びて壮絶に朽ち果てという最期を遂げてしまいますが、これこそまさに英雄像ですな。 なんとも劇画的でリアリティの無い話ですが、この“リアリティ”の無さこそがジミーさんならではの“リアリティ”だと私は思う。 この奇妙なリアリティを引っさげ、ショウ・ブラザースとブルース・リーというツワモノと真っ向から勝負して見せたこの気概。 この気概こそがジミーさんの人気の秘訣なのではないでしょうか。 【カニ】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-10-19 18:07:20)
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