みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
39.《ネタバレ》 悪の化身のように描かれている大尉側の事情でちょっと考えて見ますと、「立派な父」は死ぬ際に時計に時間を留め、息子にこれを遺した。これはどういうことかというと、「オレと同じようにおまえもいつか必ず死ぬぞ」という呪いをかけたということですたぶん。 「いつか死んでしまう」ことに激しい恐怖を抱きながら残りの人生を生きろ、というのが父の呪いだったのですね。だから、他人に時計の事を聞かれた大尉は「時計なんて知らない」とウソをつきます。 「いつか死ぬ」ということに対して、知らないフリをしていたい、という意味です。 呪いをかけた父は、「悪い父」です。では、「良い父」はどこにいるかというと、地上にはすでに居なくて、命を失ってからでないと行けない地下の王国に居る。 一方で、「母」なるものはどうなっているかというと、「弱い母」は原始的な生き方をする母です。 美しさで男性を引き寄せ、セックスをさせて妊娠することによって、恒常的な男性の庇護を得ようとする、それが原始的な生き方です。実は大尉はそんなことわかっていて、罠にはまったふりをしていますが、目的である息子を得るまでは騙されたふりをしているのです。そして、「弱い母」の罠をとても憎んでいます。これが「女性嫌悪」です。本当は女の股などから生まれたくないが仕方ない、ということです。大尉が子供のオフェリアをためらいもなく射殺する場面では、これが強くあらわれています。 「弱い母」だけが登場するかというと、そうではなくて「強い母」メルセデスがいます。彼女は「意思を持った母」で、「悪い父」と戦います。正確に言うと、悪い父に呪われた男とです。 オフェリアは父なるものの庇護を受けられず、かといって「弱い母」に教えられた生き方もしたくない。「強い母」と一緒に戦う道を選ぼうとしますが、〝この時点では(内戦の時代)〟それは適わず最終的には「良い父」の待つ王国へ行く。 「呪われた男」大尉が最期にしなければならなかったのは、自分の息子にも呪いをかけて、「呪いのチェーン」をつないでいくことだった。けれどそれは「強い母」によって、阻止されます。 女性を嫌悪する男が意思を持った女に敗北した瞬間です。 スペインにはこの後も「良い父」が存在しない時代が続いたようですが、デルトロは「強い母」の存在を強調していますからスペインというのはそれで「もっている」国なのかもしれません。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-07-01 16:50:08)(良:3票) 38.《ネタバレ》 暗い世界(現実界も、幻想界も)をさまよい続けてきた彼女がたどりつけた世界が、 美しくて、輝いていて、愛に満ちていてほんとうに良かったと思う半面、 現実の世界があまりにも悲しく、かわいそうで、観終わった後しばらく言葉も見つからなかった。 でも最後の王国のシーンで、王妃様は赤ちゃんを抱いていましたよね・・・。 現実界で生まれてきて、彼女を結果的にひとりぼっちにしてしまった弟のことも、 ちゃんと忘れていなかった彼女の優しい心のありように、胸をしめつけられました。 【ミツバチ】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-05-03 18:15:45)(良:2票) 37.《ネタバレ》 内戦の無い民主的な政府の国で、そこそこお金のある両親はふたりとも健在で、ぶっ飛んだ空想癖もなく、毎日だらだら生きていられたら、元の王国に戻るなど夢にも思わないでしょう。あの時代、あの両親、あの境遇に陥ることは、オフィーリア自身の選択だったのです。(母といい娘といい、何て思わせぶりなネーミング。) そう思わないとバッドエンドです。こっちには不幸や不合理さを知るために来た。だから彼女の治める王国は長く繁栄したのだと。 もう一度見たいけど痛過ぎる。 【えんびす】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-10-28 23:48:58)(良:2票) 36.「ファンタジー」というジャンルのイメージを持って見ると異色に思える作品。ただ、残酷な環境に追い詰められたヒロインの精神世界を通じて制作者の主張がよく伝わってくる脚本で、子供に見せるには確かにグロテスクだけれど、大人が鑑賞する分には考えさせられる部分が多い一本。 【wood】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-08-08 17:40:52)(良:1票) 35.《ネタバレ》 ファンタジーや物語があるべき姿、ある理由の一つ。それはどんなに過酷な状況においても現実逃避をしたり夢を見ることができ、希望を見つけることが出来る。と個人的には考えています。この映画はそれを体現していました。現実の世界が醜ければ醜いほど、夢の世界は輝き、危ない魅力は増す。 そして迎えた最悪の結末は、最悪な世界から逃れる事ができ、ついに夢の世界に行く事ができた。という見方をすれば最高の結末。 それが例え現実であってもただの幻想であっても、ここにファンタジーが人にもたらす可能性の一つの答えを見た気がします。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-10-29 18:23:48)(良:1票) 34.《ネタバレ》 ファンタジーと言うには生々しい戦争のシーンが多く、かなりイタイ描写がありますね。間違っても子供連れで行っちゃダメです……口裂け縫い縫いは直視できなかった(>_<) 二つ目の試練で出てくる怪物は気持ち悪いグロい怖い!! ゾンビに追いかけられるより百万倍嫌だあれ(笑)掌の目はともかく、あの動きと皮膚のたるみが気持ち悪いわぁ。母親の栄養を吸い取って大きくなる胎児のイメージなんでしょうかね。あんなのが居る前でよく葡萄なんか食べられるな~どーしても食べたくなったとしても、もし私ならせめて脱出してから食べます(笑) あんな愛の無い男にすら頼らずにはいられなかった弱い女性だった母、愚かで悲しい存在ですね。オフェリアの作り出した幻想世界の母には弟はいなかったのが印象的。 不思議の国のアリスやオズの様な作品で主人公が迷い込む幻想世界も、決して明るく楽しい世界ではありませんでしたが、オズのように幻想世界に逃げ込むことで現実世界を肯定していた作品と違いオフェリアは戻ってはこなかった。 作り物、嘘で作り上げた「物語」が必要なのは人間だけだけど、それを作り出すのは必死で生き延びたいと叫ぶ小さい命なのかもしれない。 うーん、何とも切ない。 【kiryu】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-10-06 18:58:02)(良:1票) 33.《ネタバレ》 オフェーリアは、王国の姫君になれたのだろうか。 それとも、全ては彼女が厳しい現実から逃避するために作り上げた虚構の世界だったのだろうか。 それにしても、なんたる想像力。 オフェーリアもデルトロも、創り出す異形のキャラクターのなんと不愉快で忌まわしいことか。 あれが彼女の現実に対する認識なら、なんて悲しくて切ない物語。 そこに加点。 【roadster316】さん [インターネット(字幕)] 8点(2022-02-17 21:27:01) 32.《ネタバレ》 これはもう、見事にヤな感じのオハナシで、見終わったらだいぶ、ヘコんでしまいます。 スペイン内乱が一応終結したとは言え、独裁政権下の閉塞感の中、ミニ独裁者ともいうべき義父の姿と、幻想世界を彷徨う少女の姿が、並行して描かれます。それぞれの世界は最初、互いに関連を持っていないようであり、少女は幻想世界に逃避しているようにも見えるけれど、厳しい現実を前に、いつまでも逃避できる訳もなく。双方の世界は「血」のイメージで結びつけられているようなところもありつつ、やがて2つの世界がクロスした時、物語は悲劇を迎える。 で、ここで冒頭シーンに繋がるのですが、いざ繋がってみると、何だか、この映画の中で展開されてきた数々の幻想世界のシーンが、実は瀕死の少女が最後に見た幻に過ぎなかったような気がしてきて(そういう解釈が妥当かどうかはさておき、どうしてもそんな気がしてしまって)、少女の哀れさに、気が滅入ってしょうがないのでした。 【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 8点(2019-03-19 23:30:19) 31.《ネタバレ》 言い方は変だが、ファンタジーと残酷さは相性がいいのかもしれない。そんなことを思わせる映画。 映像がとてもいいけど、本当に哀しい。最後の結末も実は現実手ではなく、少女の中の物語で閉じているような雰囲気もある。それもまた上手い。 かなり完成度の高い作品だが、途中で「食べるな」と言われたものを食べてしまったところだけは違和感あり。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-03-21 19:16:00) 30.《ネタバレ》 ファンタジーの本質を突いている。閉鎖的で暗澹とした現実を打開するための武器となるし、ただの現実逃避用の慰み物にもなる。この映画では後者よりだ。非力な少女によって紡ぎ出された幻想は現実に蝕まれ、グロテスクで歪んだ悪夢的な世界の中に美が孕んでいる。本心では彼女は生きたかったに違いない。救いのない結末だが、ある意味で非情な現実から勝ち逃げしたとも言える。悲惨な自殺や理不尽な死が蔓延する現代社会に通じるテーマであり、世界中に星の数ほどいるオフェリア達の叫びだ。叶わない妄想の果ての無残な最期だとしても死は救いかもしれない。 【Cinecdocke】さん [映画館(字幕)] 8点(2015-11-21 18:04:19) 29.《ネタバレ》 主人公は十代の少女。 戦時中、大人の世界に触れる。ナチの将校が、母親の結婚相手だったと思う。 そんな中、少女は「お姫様」の夢を見る。それが真実かどうかは不明(冷静に考えるなら虚構)。 監督さんで選んでレンタル。鑑賞して満足した(旧作なので百円)。 他の映画に似ていない。それが判断基準。だから7点は最低限。 ★で、8点を差し上げたい! 【激辛カレーライス】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-11-19 19:18:58) 28.《ネタバレ》 スペイン内戦時代、母親の再婚相手である独裁政権軍大尉の元へやってきた女の子。 戦時下の過酷な生活だったが彼女の前に妖精が現れて森の迷宮へ導かれ 番人の魔物に女の子の正体は地底王国の姫だと告げられる。 そして姫に戻るには3つの試練をクリアしなくてはならないのだと言う。 果たして女の子は幸せを取り戻すのか。 そして何よりこれは現実なのか。といった話。 こういう話好きですねー。 妖精や魔物の造詣が悪魔チックでどう見ても 女の子を騙し利用してるとしか思えないw また妖精や魔物が過酷な現実逃避から見える妄想だとしても悲惨過ぎる。 自分のことそっちのけで母親を助けようと一生懸命。 つい女の子を応援したくなって手に汗握る訳です。 監督は「パシフィックリム」や「ホビット」の脚本やってるデルトロ監督。 この監督絶対ロリコンやろーって思いますね。 女の子が妙にエロい感じがしましたw 【Dry-man】さん [DVD(吹替)] 8点(2015-06-25 00:25:29) 27.《ネタバレ》 これはハリーポッター系のファンタジーかと思ったが、そうでもありませんでしたね。 現実世界が大半をしめております。 良質の少女ファンタジーを期待した僕はそこら辺で、アレレ、、、と肩透かしを食らいました。てか、腹に重いボディブローをモロに喰らったのです。ゲフゥ! スペインの暗黒時代だとか、、、大変恥ずかしい事ですが、この時代背景にあまり詳しくありません。 しかし、ファンタジー部分を除けば見事な戦争映画そのものというか、、、スパイあり、クーデターあり、拷問ありの、壊疽した脚の切断ありと、、、見ているのも辛い辛い戦争映画のそのまんま。戦争映画の重苦しさで満たされとります。 「現実」は本当に現実的で、そこからはいろいろな苦しい状況が伝わってきます。 「戦争」=「現実」というのはもっとも恐ろしい残酷なことです。 その「戦争映画」に「ファンタジーの妖精」が登場するのですから、自分の中ではかなりブッ飛んだ光景でした。 しかし、現実と幻想世界との対比が見事だったように思います。 現実では人の死というものを突きつけられます。現実は死と苦しみの世界です。 だから母が出産で死んでしまう、この「死」というものは、なかなかリアルに伝わってきたように思います。 母は妊娠出産の過程で大量の血を流すのですが、その苦しみとか、それと拷問の残酷さとか凄い伝わってきて、それが「現実」なのだと思わされます。 しかし現実といっても酷すぎるのです。それが現実の時代も確かにあったのでしょう。 そこで必要になってくるのが「ファンタジー」なのだと、ファンタジーの必要性についても考えさせられます。ファンタジーのあり方といいますか。 だいたいファンタジー映画は現実がリアルに描かれていない、現実世界をリアルに描き過ぎるとファンタジーが影を潜めてしまう、、、のですが、、、 本作は「現実」と「ファンタジー」とがカッチリと分かれていて、お互い相容れない感じが印象的でした。 分かれているからこそ、ファンタジー世界が自立してちゃんと存在している。 しかし美少女ですね。少女の哀しいファンタジーって美しいです。まさにファンタジーの理想形。 大樹も出てきますし、森や迷路はファンタジー世界とつながっているんだと思いますよ。 はじめの石像とか、大蛙とか、ちょっと「千と千尋」の影響を感じたのは僕だけか? 【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-02-03 02:33:41) 26.《ネタバレ》 かなり心に来るものがある、物悲しいお話。 物語の中盤あたりまでは、あれは彼女の空想ではなく、そのような世界が本当に存在し、ハリーポッターよろしく、向こうの世界にリアルに迷いこんでしまうという展開かと思っていた。しかし、なんだかどんどん違う方向に。終わってみれば彼女の現実逃避の空想物語だったということなのだろう。ただし、完全にはっきりとそうだとは言い切れず、ラスト、本当に彼女はお姫様として幸せに過ごせたのかも?と思わせる含みがあるのも良い。 特に、彼女の空想(と思われるものは)の中でマンドラゴラの部分だけは、実際にお母さんの容態が良くなったりと、現実にその効果を発現していて、空想ではないようにも思える。 出てくる「ファンタジー」な世界はおよそ子どもが喜ぶメルヘンな世界とは程遠く、陰惨で不気味でダーク。出てくる奴らも禍々しい感じのばかり。その映像がキョーレツで面白い。 悲しいお話なんだけど、大尉の残忍で非道な行為をさんざん見せて、観るものに鬱憤とフラストレーションを貯めさせておいて、最後にはメルセデスさんに刺される、部隊はどんどん壊滅していく、メルセデスさんにズバっとショックなこと言われてぶち殺される・・といった具合に悪いヤツをやっつけて「スカっと勧善懲悪」「カタルシスの開放気持ちいい」な展開も用意されている。 よくできた映画。面白い。 【椎名みかん】さん [DVD(吹替)] 8点(2011-01-20 04:04:36) 25.とても好きな作品です。個人的には痛い気持ち悪い表現をあと10%ぐらいカットしてくれれば、もっと好きになれます。ただ、その部分が好きな人も勿論いるでしょうから、映画としてのマイナスポイントにはなりませんね。あの両手目玉(ペイルマン??)のインパクトはおそらく一生ものでしょうね。 【sava1100】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-01-15 13:07:43) 24.映像描写がいちいちグロテスクで怖い。 特に2番目の試練は強烈で、確実に夢に見て魘されると思います。 怖いのが苦手な僕からすると、ほとんどホラーと言っても過言ではない。 それでも、内容的にはかなり真面目なファンタジー作品で、幻想的な世界観が興味深かった。 しかも、完全に虚構に嵌まり込まず現実とリンクし続ける構成が素晴らしい。 あと、この作品に対してPG12指定というのは生温すぎる。 大人の僕ですらトラウマになりそうで、つまみ食いする度にフラッシュバックしそうです。 【もとや】さん [DVD(吹替)] 8点(2010-07-20 15:18:03) 23.《ネタバレ》 中世ヨーロッパの御伽話みたいな作品だと思いました。 残酷で暗くて、しかし同時にとても魅力的。 大人のための秀作のファンタジー。 【たんぽぽ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-05-09 17:01:10) 22.《ネタバレ》 可愛らしいパッケージに騙されてはいけない。子供向けファンタジーかと思ったら大間違いでした。ファンタジーどころか、どこまでも現実的で残酷な物語です。ファンタジー要素の取り入れ方が絶妙で、ストーリーのバランスがすごくとれている作品だと思います。 また、醜悪なデザインのクリーチャや妖精達が素晴らしい。もしこれが可愛らしいデザインのキラキラした妖精さんだったらここまで物語に引き込まれなかったと思います。 ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、まさしくその両方というラストがまた絶妙。 【大きな魚】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-05-03 05:18:06) 21.《ネタバレ》 初めて聞く名前の監督だったが、このページを見て、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ監督の作品に色々関わっている様子で、なるほど、と思った。一見、「ミツバチのささやき」の色々な面を。突出させてドラマティックにした作品という印象で、光と影のコントラストの見事さもあって、ビクトル・エリセ監督の影響が大きいのかなと思ったけれど、どちらかというと、「バベル」や「アモーレスペロス」の中で描かれているような現実の残酷さの中に、少女の逃げ場としてファンタジーを織り込んだ作品なのだろう。戦争、少女の妄想、ゲリラをかくまう逞しい女と、ひとつひとつのエピソードはそれほど斬新ではないのだけれど、正反対のものを組み合わせているというのにきちんとまとまっていて、構成がとても斬新だった。無理にハッピーエンドにしていないところもいい。 【ともとも】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-04-05 16:23:14) 20.《ネタバレ》 過酷な環境下に身をおかなければならない少女の物語。唯一のより所が、本人の意思とは関係無しに作られた"妄想"だなんて…悲しすぎる…。ラストの選択も、正しい選択だったと虚像の王に言われる所がなんとも切ない。ちゃんと理解しながらみないとおいてかれる! 【honeydew】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-02-24 00:43:35)
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