みんなのシネマレビュー

女は二度生まれる

1961年【日】 上映時間:99分
ドラマ小説の映画化
[オンナハニドウマレル]
新規登録(2003-12-08)【まぶぜたろう】さん
タイトル情報更新(2023-05-07)【Olias】さん
公開開始日(1961-07-28)


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監督川島雄三
助監督湯浅憲明
キャスト若尾文子(女優)小えん
藤巻潤(男優)牧純一郎
山茶花究(男優)矢島賢造
フランキー堺(男優)野崎文夫
山村聡(男優)筒井清正
山岡久乃(女優)筒井圭子
江波杏子(女優)山脇里子
上田吉二郎(男優)猪谷先生
高見国一(男優)景山孝平
倉田マユミ(女優)吟子
紺野ユカ(女優)木村信子
中田勉(男優)呉服屋
中條静夫(男優)田中
潮万太郎(男優)桜田
村田扶実子(女優)お高
山内敬子(女優)とき哉
菅原通済(男優)島崎
平井岐代子(女優)寿美吉
大山健二(男優)部長
目黒幸子(女優)小吉
村田知栄子(女優)お勢
仁木多鶴子(女優)野崎の妻
穂高のり子(女優)園子
八潮悠子(女優)桃千代
酒井三郎(男優)アパート管理人
竹里光子(女優)戸むらの女中
原作富田常雄「小えん日記」
脚本川島雄三
井手俊郎
音楽池野成
撮影村井博
配給大映
編集中静達治
録音長谷川光雄
照明渡辺長治
その他東京現像所(現像)
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【クチコミ・感想】

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25.《ネタバレ》 うーん、わからない。印象的な凝った切り取り方の映像(靖国神社のシーンとか)、賑やかな当時の街並みや暮らしの様子が楽しくって、見ていて飽きないのですが、しかし。この悪気のない女性が、いつ仕切り直して別な生き方を始めるのかと思いながら見てましたが、「故郷に帰る決心をした」ということですか。きっかけは、カタギの生活をおくる野崎(フランキー堺)の姿を見たからであり、たしかにハッとするシーンではありましたが。それでも、なぜタイトルを「小えん日記」にしなかったのかといえば、川島雄三が「女は二度生まれる」って言いたかったからとしか思えません。 なたねさん [DVD(邦画)] 4点(2024-05-10 05:47:18)

24.《ネタバレ》 見終わった直後ですが、恐怖のあまり、いまだ動悸がおさまりません。
序盤は、大映の様式的な映像美のせいもあって、わりと落ち着いたテイストの人情喜劇かと思ってましたが、芸者置屋をやめて以降の流れはかなり目まぐるしく、主人公の心理にも話の展開にもついていくのが難しくなる。そして最終盤の10分間は、気持ちがえぐられるような衝撃の展開。ラストシーンは、(最初のレビュアーの文章にもありましたが)まさしくブラックホールのような終わり方でした…。これほど予想を覆す脚本の映画は観たことがないので大きなショックです。
これはリアリズムのための手法だと思うけど、やはり藤巻潤のキャスティングがえげつない。そこが通常のセオリーを大きくひっくり返しています。
しかし、よくよく考えてみれば、序盤の会話にもあったように、2人は戦争で家族を失った犠牲者なのです。主人公は、それゆえにこそ互いに分かり合える関係を期待したのだろうけど、逆に言えば、戦争の犠牲者だからこそ、他人を利用してでもしたたかに生きるほかなかったのかもしれない。実際、いくら祈ったところで靖国神社は救ってくれなかったのだし、それは主人公自身も同じなのだから、藤巻潤の残酷さを責めることはできないのでしょう。 まいかさん [インターネット(邦画)] 8点(2024-04-12 01:51:20)

23.《ネタバレ》 小えんはドドンパしか知らない芸無しのいわゆる枕芸者、つまり客に春を売る方が得意と言うわけ。やたらと靖国神社が映るので、たぶん神楽坂あたりの置屋の芸者なんでしょう。そんな小えんが芸者を辞めてバーのホステスから一級建築士の妾となり、その建築士と死別するまでの男性遍歴がメインストーリーです。とは言っても体を許した男たちとは短いエピソードの羅列みたいな構成で、一種の群像劇みたいな感じです。まあ昭和三十年代のお話しですから、この映画に出てくる登場人物たちの行動というか言動は、現代の観点からは顰蹙を買わざるを得ないでしょう。小えん=若尾文子からしてよく言えば自由奔放、何を考えているのか理解不能な感も無きにしも非ずです。そんな彼女に建築士の山村聰だけは彼なりの愛情を注ぎ小えんもそれに応えようと努力するのですが、だいたい愛人を囲って所帯を持たせて妻や娘を蔑ろにするってのは、ちょっとどうなんでしょうかね、まあこの頃は“男の甲斐性”という感じで決して悪行とはとられていなかったんだからしょうがないかも。山村聰にしては珍しく男の欲望に正直なキャラを演じていました。唯一小えんと純愛的な関係性を持っていた藤巻潤にしても、芸者に復帰した彼女を取引先の外人顧客に接待で上納しようとして、とにかくこの映画に出てくる男どもはどいつもこいつもろくでなし揃いですな。おっと映画館で知り合った若い工員=高見國一だけは例外だったかもしれませんね。あと不協和音が強調される妙に不安を煽るような音楽が、印象的でした。 と言うわけでちょっと変わったテイストの作品ですが、妙に後味が残るところがあります。ところで小えんはこの映画のどこで“二度生まれた”んでしょうかね、やはりラストなんでしょうかね? S&Sさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-31 22:01:36)

22.《ネタバレ》 序盤から徐々に、いろんな男達が小えんの上に積み重なっていく。それを淡々と、深入りもせずに突き放しもせずにこなしていく小えん。その描写の品格と、そして、「あとは想像で十分」と判断したらばっさりシーンを切る編集の妙味。警察が動く気配が出て来たと思ったら、次の瞬間にはもう銀座のクラブで勤務しているという跳躍力、そして省略。●ただし、中盤以降は話が山村聰との関係に集中してしまって、せっかくのほかの男どもがもったいないことになってしまいました。あと、孝平君はやっぱり関係の発生自体が唐突な上に結局捌き切れてないし、桜田が迫ってくるくだりは、いらなかったんじゃないかなあ。 Oliasさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-06-25 00:46:50)

21.《ネタバレ》 コレもまた、凄い映画ですね。『祇園囃子』の美代栄の数年後を描いたかの様な…と思ったりもしますが、サバサバと男のあしらいも愛嬌の振り撒き方も熟れて、んで物分かりも好すぎず悪すぎず、今作の若尾文子はある種非常に「使い勝手の良い」夜の女になってるな…という様にも見えるのです。しかし、時代の移り変わり(=社会状況の好転)も背景として踏まえているのでしょーが、ごく醜い人間の欲望の海の直中に描き出したかったのは女性のしたたかでしなやかな美しさだった…という『祇園囃子』に比べても、今作で描かれるのはそーいう手練れで・十分に大人で・かつまた美しさも保っている若尾文子が抱えるトコロのどーしようもない「空虚さ」だ…という意味では、実に真逆な映画だな…とも思われるのですよ。私見ですが、どちらがよりハマっているかと言えば、確実に今作の女性像の方が若尾文子には適している…と感じられました(コレだけ純粋なルックスを擁していながらも、一方でそのキャラクターの方には確実にそーじゃない「濁り」の様なモノが感じ取れるのです)。いや~、、もう二度と(邦画で)こんな映画撮れないだろうな…とは思っちゃいますよね(色々な意味で)。 Yuki2Invyさん [インターネット(邦画)] 8点(2022-03-30 22:59:53)

20.《ネタバレ》 初見で、あやや(若尾文子)にはまった一品。色っぽいし、かわいいし、演技もいい。これ以降、あややの映画を見まくった思い出の一品。ラスト、唐突に終わるところも、監督の才気ばしったところが出て最高。 にけさん [映画館(邦画)] 8点(2018-12-21 13:15:25)

19.《ネタバレ》 川島監督作品を立て続けに観てます。戦後の激動の時期をがむしゃらに生きる人から、下半身のだらしない政治家の家族をドタバタで描いたり、そうかといったらこの映画みたいに奔放な生活をする女性を描いたり、この監督は決して登場人物を裁かない。この映画も女性の男性遍歴を描いてるが、マジメな人が観たら、眉間に皺、だが、若尾文子が邪心のない女性を演じてるもんだから、何となく許せちゃう。内容は、苦労してるさっぱりした芸者さんが、何人もの男の遍歴の後、囲われて、でも勝手な男ゆえ、浮気も許さない。でもこの男、後で娘さんが出てくるんだけど、決して不幸な家庭でもない。じゃぁただのエゴイストか、と思ったら、病気で死んじゃうだね、この男。しかも囲われてた女性が別の男性と一緒だった時に逝っちゃう。その後、この女性は真面目そうな好青年に仕事の接待で外人をもてなしてくれと言われ、あ~私はそんな風に見られてたんだ、とショックを受け、筆おろしをしてあげた若い工員と旅に出るが、旅の車中、昔の別の男が円満そうな家庭のパパになってるとこを見て、旅先で茫然としちゃう。タイトル通り行けば、ここで彼女は生まれ変わって、真面目になるんだろうけど、さぁうまくいくやら・・。戦後の日本を駆け抜けた苦労人生描くと、中々味のある監督だけど、高度成長のナンパな人間を描くと気の抜けた映画になっちゃうね。小津さんみたいなホームドラマにすることに抵抗あったんだろうか・・。結局、高度成長は犯罪劇か、ホームドラマか、青春映画かってことだね。川島監督は自分の道を模索してたという感じです。 トントさん [DVD(邦画)] 7点(2014-03-30 22:23:30)

18.ストーリーと言うより、小えんという娼妓をじわりじわりと掘り下げていく、そういう面白さがあった。退廃的・モラルの欠如・映像美の点で、前年に公開された伊映画「甘い生活」と似た味わいがあるように感じた。 kagrikさん [地上波(邦画)] 9点(2014-02-05 11:47:10)

17.《ネタバレ》 若尾さんかわいいな~美人だな~。思ったよりサクサクと進む展開は当時の時代感なのかな?それともこの監督さんの作風なのかな~。余韻の残るラストだけど、え?終わり?的な印象もありでしたね。まーとにかく若尾文子の美しさが全てデスネ Kanameさん [DVD(邦画)] 6点(2013-09-26 12:06:28)

16.《ネタバレ》 やっぱり若尾文子いいな~。でも映画自体もとても良かった。芸者さんの悲哀を描いているのに、あまり湿っぽくなくて良い。自由奔放だった小えんが筒井の妾になる。浮気によって刃物を持ち出される。筒井の喪失。奥さんとの大喧嘩。牧に対する失望…。一連の出来事による心情の変化はもはや「女は二度生まれる」と表現してもいいくらいだけど、最後にもう一つ。孝平を山に誘うも、結婚して幸せそうにしてる文夫を見かけると、彼女の中で何かが変わった。孝平と別れる。筒井からもらった時計も手放す。孝平が乗ったバスを見送って一人になった小えん。しかしなぜだろう、少しばかり笑みを浮かべている。新しい生き方を決意したということか。この瞬間、女は二度生まれた訳だね。 リーム555さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-13 17:10:11)

15.何か起こりそうだと思いつつ、何も起こらぬまま淡々と流れて行く。山村聡に山茶花究、フランキー堺、藤巻潤そして高見国一と通り過ぎていく男性は数知れず。そこには嫌みも悪気もないが、かと言ってひたすら尽くすわけでもない。まさに若尾文子の色気で成り立っているような映画だ。 ESPERANZAさん [DVD(邦画)] 6点(2013-03-11 20:42:50)

14.《ネタバレ》 10点はこの映画を超えるものに出会うまでとっておきたい。裏を返せば、この映画は私にとって限りなく理想に近いものだということだ。川島雄三が大映で撮った三本はいずれも映画史に残る傑作といって差し支えないが、とりわけこの「女は二度生まれる」は川島の漲る才気とキャストとスタッフの力が最高潮の地点で組み合わさった、およそ完璧といえるほどに堅固な作品なのだ。まず俯角と仰角の鋭いショットでもって全編を構成することにより、この映画に研ぎ澄まされた質感とリズムをもたらしている。このことが観客の集中力を促し、時間の経過を忘れさせる要因となる。これは監督だけでなくカメラマンの村井博の力量によるところが大きい。川島は構図に関しては無頓着な方だったが、村井の助言により絵画的な構図を志向するようになったという本人の証言がある。少々狙いすぎの気もあるが、それでも感服せざるをえない構図の連続である。カラーの乾いた感触や池野成の画面を補足するような魅惑的な音楽も手伝って、画面作りにおいては非の打ちどころがないと断言してもいい。次にキャストの話をしたい。もちろん若尾文子の話だ。他の俳優陣も確かな力量の持ち主であることは言うまでもないが、この映画はやはり若尾文子の、いや小えんの物語なのだ。この映画において若尾の魅力が爆発していることに異論を唱えるものはおそらくいないだろうが、それは若尾全盛の美貌のおかげだろうか、はたまた身振りや口調表情など、つまりは演技のおかげだろうか。私はこの映画における若尾を評して名演だったとは言いたくない。小えんという一個の人間がフィルムの上に確かに生きていたのだ。この映画において若尾は紛れもなく小えんだったのだ。川島は小えんという人間の生活をその卓抜な演出手腕により構築し、映画の最後の場面、25秒に渡るフィックスショットにより、小えんのこれから歩むであろう人生をも提示した。フィルムに映ったものは小えんの人生にとってほんの数場面に過ぎない。しかし川島雄三は小えんという人間についての無限の情報をこのフィルムに刻んだのだ。
ただし幾つかの欠点もある。反戦の思いを込めたであろう靖国神社のシーンはこれ見よがしで冷笑を誘うし、路地裏を映した凡庸な数ショットに興醒めする瞬間もある。しかしこれらは些細な欠点だ。未見の方は是非とも観てください。ツタヤに置いてあるし、旧作だから百円だ! 吉田善作さん [DVD(邦画)] 9点(2012-12-02 19:12:45)(良:2票)


13.平均点高いのにしょうもないコメントですいません。最後、どうしようと思ってたんやろ。 ケンジさん [DVD(邦画)] 5点(2012-02-12 00:11:53)

12.枕営業に精を出す芸無し芸者の小えんと客達が織り成す都合のいい男女関係が淡々と描かれています。したたかでしなやか。子宮でモノを考える人物を演じさせたら若尾文子の右に出る者はいない事を実感します。 The Grey Heronさん [DVD(邦画)] 5点(2010-11-23 21:12:47)(良:1票)

11.《ネタバレ》 初期の頃はともかく、いつも何かを企んでほくそ笑んでいる悪女的役柄が多い若尾文子としてはこんな表裏のない天衣無縫な女性の役は珍しく、それが逆に新鮮でとにかく魅力的でしたね。↓でも述べられてる方がいますが、同じ水商売の女性をヒロインにした、同年池内淳子主演川島作品「花影」(5点)より遥かに出来が良い。彼女に筆下ろし?をさせてもらった童貞少年君は、おそらく日本映画の中でも一番の果報者かと(笑)芸者置屋を舞台にした映画だと、成瀬の「流れる」を思い出しましたが、柳橋と九段という場所柄の違いで芸者の生態?がこうも違うのかと興味深かったです。美人なのに貞操観念が割と希薄でガードが甘い女性っていうのは、男性諸氏ににとってはユートピアでしょうね。若尾文子という類まれな魅力を持つ女優に乾杯!もとい、完敗!いや、もうどっちでもいいや・・・。 放浪紳士チャーリーさん [DVD(邦画)] 8点(2010-03-27 11:20:47)(良:2票)

10.「(売禁法のおかげで)我々チョンガーには困ったもんです」「あら、でもいつも自家発電じゃ味気ないでしょ」(セリフ詳細違うかも・・・)なーんていう会話があけすけに飛び交って面白いです。芸のない娼妓の流浪の人生。こんな、誰にも愛されない人生なんて冷静に考えればかなり悲惨なはずだけれど、小えんさんにはそういう悲壮感はほとんどないんです。それだけに、あのラストシーンが鮮烈。不気味ささえ感じさせるそのコントラストが印象的でした。 すねこすりさん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-27 15:08:58)(良:2票)

9.浮世の世界に独り生きる女を徹底的にドライな視線で描いた作品。
地味な味わいながら、実にリアルにその世界が描写されており、川島雄三監督の社会派劇を撮る巧さというものも堪能できる佳作である。

結局、最後に損をするのは女の方で、男は勝手気ままに生きて、それで最後は女を捨てて去っていく。
どこに去っていくかと言えば、あの世であり、結婚であり、飽きて他の女の所へ行くのであり、様々だ。

いずれにしても、水商売という世界、そしてそこに関わる男達は、一時の享楽しか味わうことができず、安定した幸福感というものは味わえないんじゃなかろうか。

しかし、かく言う私も、そういう世界に身を置きたいという欲求があったりして、なかなか理屈一辺倒では割り切れないのが、この世界である。

そういったやり場のなさというか、世の常というか、人生の儚さというか、浮世の世界に生きる男女の鬱憤みたいなものが、ジメジメとした感じで実にリアルに伝わってきた。

そういう意味では、川島雄三監督の手腕が遺憾なく発揮されていると言えるだろう。 にじばぶさん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-22 18:03:34)(良:2票)

8.《ネタバレ》 増村保造/溝口健二作品で見受けられる「官能的で、情念溢れる役柄」とはまた違った、川島雄三監督における若尾文子(様)の演技演出に惹かれてるこの頃であります。「若尾文子を女にしてみせます」と、上層部の前で啖呵を切った川島監督の大映デビュー作。扱ってる題材(『営み』に至る事前事後描写は邦画史上屈指の生々しさ)もあるし、台詞も艶があるってのかエロエロなのに、川島監督の物凄く冷めた視線:建前と本音が見えかくれしている演者演技もあって不思議な空間を生み出してるんですよね。(弟子の今村昌平なんかは「ノリノリでバンバンだぁ~」なんだからわからないもんだ) ポイントは2点。「かわいらしい若尾文子(様)」を鑑賞する点において極私的ベストはこの一本である事。あと珍しく川島監督が「作家性」を意識されたのではないかという瞬間=靖国神社のシーンを入れた事。社会全体の価値観がまるっきり変わってしまった事を表す隠喩として、入れたのではないかなぁと思ったわけですよ。 最後に私見をば。今回2023年「大映4K映画祭」で映画館鑑賞したのだけど、せっかく4Kリマスターした名作を上映してるのだからKADOKAWA映画、もう少し宣伝がんばれ。 Nbu2さん [映画館(邦画)] 8点(2009-06-28 21:25:35)(良:1票)

7.《ネタバレ》 美しい彼女は誰も愛した事が無いのかもしれません。それは同時に、誰にも愛されたことがないという事なのかもしれません。愛しているフリ、愛されているフリ。全てが虚像の中で、自分を演じる自分を見つめているかのようだった。悲しげな表情も、嬉しそうな表情も、全てが嘘。誰に対してもそんな表情をしているから、いつもの間にかどれが本当の自分で、どれが本当の気持ちなのかわからなかったんじゃないだろうか。それでも、生きるためにはしかたがない。これから彼女はどこへ行くのでしょう?本当の愛を探すのか、本当の自分を探すのか。最後にベンチに一人で寂しく座る彼女の姿はまさに孤独だった。ようやく望んで一人になった彼女。これから彼女は何を目にし、どうなっていくのか、ぼくは悶々と想像していようと思います。あの、若いクソガキのように。 ボビーさん [DVD(邦画)] 9点(2008-06-29 18:47:52)(良:1票)

6.《ネタバレ》 両親を戦争で失い、芸者になったものの、とりわけ芸が得意な上手い訳でもなく、ただ色気を武器に男にすがるしかない「こえん」こと若尾文子。それは、そういう彼女が男遍歴を重ねる姿は、確かに美しいのだが、それ以上に何ら目標を持たずに、その場を過ごしているだけの彼女の姿は「生きている」というよりは「浮かんでいる」ように見えた。

この「浮遊している」描写というのは、これまで、軽妙加減に才能を発揮してきた監督が、若尾文子を得て一層、焦点を強く当てたものであり、川島さんの演出に合っているようにも見えるし、他の監督では表現できないのかも知れない。

ラストシーンがとても好きで、ベンチに腰かけて佇む若尾文子をカメラはスーッと引いていく。若尾の佇まいがこれまでに見られなかったものであり、この変化は、山村聡の死や、藤巻潤の裏切り・決別によって起きたものでしょうか?しかし、この余韻には大きな力を感じさせるものがありました。

とても、素晴らしい作品だと思います。大映3作品は格段に作家性が見えます。ただ、好みでいけば「しとやかな獣」「雁の寺」の方が好きです。
サーファローザさん [映画館(邦画)] 8点(2007-08-14 18:10:14)(良:2票)

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【点数情報】

Review人数 25人
平均点数 7.40点
000.00% line
100.00% line
200.00% line
300.00% line
414.00% line
528.00% line
6416.00% line
7416.00% line
8832.00% line
9520.00% line
1014.00% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review1人
2 ストーリー評価 5.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 8.00点 Review1人
4 音楽評価 Review0人
5 感泣評価 Review0人

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