みんなのシネマレビュー

怪物(2023)

2023年【日】 上映時間:126分
ドラマサスペンスミステリー学園もの
[カイブツ]
新規登録(2023-03-28)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2023-11-23)【イニシャルK】さん
公開開始日(2023-06-02)
公開終了日(2024-02-21)


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監督是枝裕和
キャスト安藤サクラ(女優)早織
永山瑛太(男優)保利
高畑充希(女優)広奈
中村獅童(男優)清高
田中裕子(女優)伏見
黒田大輔(男優)品川
森岡龍(男優)神崎
北浦愛(女優)八島万里子
脚本坂元裕二
音楽坂本龍一
撮影近藤龍人
製作市川南〔製作〕
大多亮
是枝裕和
東宝(「怪物」製作委員会)
ギャガ(「怪物」製作委員会)
フジテレビ(「怪物」製作委員会)
企画川村元気
プロデューサー川村元気(プロデュース)
配給東宝
ギャガ
美術三ツ松けいこ
衣装黒澤和子(衣裳デザイン)
編集是枝裕和
照明尾下栄治
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未見の方は注意です!




【クチコミ・感想】

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12


26.是枝作品は最近のものは全て見ていますが、正直どれもおもしろいと思ったことはありませんでした。しかし「怪物」はとてもおもしろかったです。安藤さくら、永山瑛太をはじめ、少年二人の演技が演技とは思えないほどあまりにも素晴らしかったです。彼らが一筋縄ではいかない複雑な心情をうまく表現していました。そして、キラキラと輝いたラストシーンは明日への希望を表しているように感じました。 みるちゃんさん [DVD(邦画)] 9点(2024-10-28 11:41:16)
《新規》



25.《ネタバレ》 皆さんの感想と少し異なるかも知れませんが、私は「怪物」は大人から見た「10歳の壁」だと思いました。子供から未熟な大人になる2次性徴なりかかりの少年少女、小4-6年位までは10歳の壁と言われて人は全員経験し、皆混乱した時代を送るけどいつの間にか終わって忘れているものです。星川と麦野中心に強調されて描かれているけど、一見問題ない様に見える教室の全員がおかしい(10歳の壁の中にいる)。私自身10歳の壁の時にいじめや親、先生への嘘(その時は仕方ないと思っていた)、異常な教室、動物虐待、暴力事件など経験しました。その時、大学出立ての新米先生は迷いながらも正面からぶつかってくれて、還暦過ぎていまでも年賀状を交換しています。
作品はスタンドバイミーのオマージュとかモンスターペアレント、校長先生の個人的問題、LGPT的な要素とか混ぜているから一番描きたい所が分かりにくくなっている様に感じました。羅生門みたいな行ったり来たりしないで正面から10歳の壁をがっちり描いたらもっと見ごたえがある作品になったようにも感じます。ヒトはそこの対応次第で思春期以降とんでもない人生になったり、本物の怪物になってしまったりするのですから。校長先生が「ああ、嘘ついちゃったんだ。」と言ってラッパを勧めた所、この先生が一番この壁を理解してたのだと思いました。
壁の時は慾をどこにぶつければ分からずに同性愛的な方向に進むことは普通にあります。それはLGBとは違います。性同一性障害はLGBという性の嗜好とは全く違う範疇なので一緒に論ずるべきではありません。芸術・美術的描き方をしすぎてかえって分かりにくくなったと感じたのでこの点数で。
rakitarouさん [インターネット(邦画)] 6点(2024-10-21 17:23:46)

24.《ネタバレ》 母親、教師、ミナト目線のパートで描かれているけれど、私はこの作品は、「大人の部」と「子供の部」の2部構成とみた。
正直、「大人の部」は、子供たちの心理を理解するための添え物という認識で視聴した。

冒頭で、足元のみで登場する少年は、虫笛を鳴らしている以上、星川、怪物の登場だ。
「怪物」と呼べる人物は、私には彼ただ一人を指しているように思える。
その他大勢のキャラたちは、どこにでもいる大人あるある、子供あるあるで、別段特異には見えない。
でも星川は違う。
おそらく彼の母は、アル中の夫と性同一性障害の息子が手にあまり、離婚して、家にいない、
父は、児童手当欲しさに息子を引き取り、息子の障害を許せず「怪物」と呼び、体罰で女の心を治療する気でいる。
当人は、浴槽で体を冷やさねば痛みを抑えられないほどの暴力を父から受け、
学校では、同級生たちから性がらみのいじめを受け、
好意を寄せているミナトからは、「皆のいる場所で声をかけるな」と言われ、
当てものクイズに使うイラストカードに「怪物」を描いたり、陰でしか一緒に遊べないミナトと「怪物だーれだ♪」と歌うなど、
人格否定のあだ名を、ふだんから気軽に遊びとして取り入れている。
これらの状況下で、小学5年生の「男の子」が、なぜニコニコと愛らしく笑っていられるのか。

星川の父がいうには、息子の頭の中には、豚の脳が入っている。
だから、植物の名前を覚えるような女々しい趣味があったり、男らしい言動ができないのだというのだろう。
自宅で人格を否定され、暴力を受け続けていれば、何ぴとたりともふつうの精神状態ではいられない。
映画の前半では、麦野家の屋内が雑多なもので溢れかえり雑然としていて、それが心の整理がつかないミナトの心を象徴しているように見え、
みずから生を断ちそうな不安定なミナトにハラハラさせられるが、
それ以上に深刻な家庭事情を抱えているのは、実は、星川の方。
その彼の唯一の口癖は、「生まれ変わる」。

星川は、性同一性障害という個性を持たず、心と性が一致した人間として人生をやりなおしたかったのか?
ラストで、横倒しになった車両の下側の窓から出て、狭い坑道を腹ばいになって進み、
明るい表の世界に出た彼らは、母体の産道をくぐりぬけて文字通り「生まれ変わる」疑似体験をした。
ミナトとの会話で星川は、生まれ「変わることなく」元のままで「良かった」と言う。
性の別なく、ミナトを好きでいられる従来の自分を受け入れている自然な様子に、ただ感動した。
2人の子供はきっと、神隠しさながらに、大人たちの手の届かぬところへ消え去ってしまったのだろう。
抜け殻のように車両に残ったミナトのレインコートが、それを物語っている。
何よりも、母や教師が車両に駆け付けたときは豪雨が降っていた。少年たちが脱出したのは、天候が回復した後。時の矛盾がすでに現実離れしている。
現代劇でありながらかすかにファンタジー要素が入っている。現実と虚構の絶妙な配分が、私にとってたまらないツボ。

それに、この作品には、3つの文学作品の香りがする。
冒頭で諏訪市の夜景が映し出される。左右に広がる明かりの帯は、まるで地上に降りた天の川。
夜の街に、遠目に映る火事の光景は、さながら「さそりの火」。
廃車両の中で飾られるのは、土星や太陽のモビール、窓には星などの切り絵、
横倒しになった車両の泥まみれの窓に雨が降る、それを内側から見れば、まるで宇宙の星々のきらめき。
どしゃぶりの中で聞こえた「出発の音」。それは、ジョバンニとカンパネルラが宇宙旅行に出かける時刻。『銀河鉄道の夜』だ。
病気の母を忘れ、ジョバンニはカンパネルラと「どこまでも一緒に行こう」と旅に出る。ミナトもたった1人の身内である母よりも、星川を選ぶ。
また、ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』のエリザベートとポール姉弟。
危険な遊戯や人に漏らせぬ思いのために、周囲の大人たちに嘘をつく。それがどれほど多くの人たちを傷つけ、騒ぎを引き起こすかということもいとわずに。
最後に『スタンド・バイ・ミー』。
2人の子供が光の指す線路を目指して駆けていくシーン。映画の文法でいうと、左方から右方へ移動するのは、過去に戻ることを表すらしい。
大人の事情を全く必要とせず、性不同一の目覚めもまだない幼い心に戻って、ただ大好きな友達といられる幸せに浸りながら、力強い雄たけびをあげているラスト。
「怪物」という言葉が、残酷という形容以外に、これほど甘酸っぱく、切なく、狂おしい響きを帯びていることに、本当に心を揺さぶられた。 tonyさん [インターネット(邦画)] 9点(2024-07-02 00:09:10)

23.《ネタバレ》 見応えは非常にあったけど、最初のパートで保利先生を異常者みたいに見えるように映像で誘導し過ぎてるのが気になった。麦野の母親目線でそう見えてるという話にしてもちょっと盛りすぎに感じる。
実際次のパートでは全く別人のような保利先生が登場するんだけど、パート1とパート2の時間軸における保利先生の精神状態もあまり噛み合ってるように思えなかった。他にも違和感を感じるところはあったけど、ラストパートの麦野と星川くんとの心理描写は非常に良かった。 映画大好きっ子さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-06-26 23:25:33)

22.《ネタバレ》 是枝裕和の『怪物』は3部構成。ひとつのプロットを3つの視点により描いている。

1つ目の母親の視点では、保利がとことん歪んでいる。
2つ目の保利の視点では、湊が歪む。
3つ目の湊の視点で、歪むのは誰か?

羅生門形式。そもそも、映画とは他者の視線から見られた世界の風景。世界を捉えようと思ったら、その世界なるものを多くの視点で囲んでいくしかない。それは視線の「反復性」と呼ばれる。

視点によって人物像が違っているのは、主観による視点であるから。それが怪物を生む。湊の視点は不安定で、「それ」が歪んで見えかけるのだけど、自分がどうしようもなくなり、それを受け入れる。そのキッカケが校長のいるところ。結局、怪物を断つ回路は、言葉(世界)ではないところ「非言語性」にあったのだなと。

すべての物語は本来、謎解きである。でもそれは容易には解かれない。だから謎は宙吊りとなり、観ている人の身体の中に「内面化」され、その人のものになる。

「反復性」「非言語性」「内面化」
『怪物』を傑作たらしめているターム。私ならこの3つを挙げる。

「なぜ性的マイノリティを描きながら不可視化したのか?」
それは、映画がその「気付き」こそを描きたかったから。ある人は、最後に二人が死んで違う世界で生き返ったとし、現世の死を以て、制裁が再生産されたと言う。これを「君と世界の戦い」(カフカの『君と世界の戦いでは、世界に支援せよ』)として単純化すれば、ある人は、「君が世界となるべきだ」と見做し、映画は「君は君であるべきだ」として映す。

私は、映画が文芸であるとすれば、映画は「君は君であるべきだ」ということこそ捨ててはいけないと思う。それが優先されなければ、君が世界になる、その世界を描くことだけに過ぎなくなるから。監督は、性的マイノリティーの世界ではなく、「君」を描きたかった。その決意を『怪物』から強く感じる。

彼ら二人は何処に生き返ったのか?ビッグクランチは時間の逆行。実は死んだのは飽和した世界の方だった、というのが私の解釈である。 onomichiさん [映画館(邦画)] 9点(2024-06-19 00:33:19)

21.《ネタバレ》 子どもは純粋無垢じゃない。
こども視点から描くと、彼らの世界は、ドロドロしている。
大人の我々は、それを忘れているだけだ。

子どもの扱いに巧い是枝監督が、その子どもワールドを描く。
観終わると、大人が「怪物」ってことになるのかな・・

田中裕子の演技が、見事に映画の層を厚くしている。
貫禄です! トントさん [DVD(邦画)] 8点(2024-06-09 18:38:36)

20.子供たちのパートは文句なし。LGBTQジャンルと言って差し支えないと思うが、美しい映像とか、星川くんの可愛らしさとか、湊の揺れる心とか、引き込まれる感覚があって素晴らしかった。是枝監督は子供を撮るのが本当に上手。しかし、この映画は玉に瑕というのか、保利先生が湊母の前で見せた姿には今でも納得がいってないんで少し減点。これはもしかすると小説なら上手くいったのかもしれないが、映像になると想像の余地はなく、安藤サクラ編と瑛太編で保利の整合性が取れていないように感じてしまった。そこだけ残念かなと。 リーム555さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-06-01 00:27:16)

19.《ネタバレ》 予備知識無しで見たので、こう来たか・・・という印象。
羅生門とか噂の二人とか小さな恋のメロディとかスタンドバイミーとかの昔の映画がよぎりました。
三人目線なので心情がわかりにくく、特に一番大事な二人の少年の感情と行動はもう少し丁寧に描いて欲しかったです。
見た者にお任せ的なラストも今一つ。 木村家の娘さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2024-05-29 21:17:16)

18.《ネタバレ》 いやぁ...
久々に見終わりに唸ってしまった。
 
まさに「怪物だーれだ?」ですわ。
 
いろんなタイプの怪物総出演。
誰もが誰かからすると怪物なんだろな。
 
星川くんのポジティブ風味がいたいけで。
主演二人が本当に名演でした。
是枝監督は子供演出が見事ですよね。 movie海馬さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2024-05-26 21:03:08)

17.《ネタバレ》 冒頭の30分は怖くて怖くて・・・絶対に死んじゃうんだと思って観ていました。
引き込まれました。
最後は是枝監督らしい観客にゆだねる形ですね。 東京ロッキーさん [インターネット(邦画)] 7点(2024-04-01 17:30:47)

16.《ネタバレ》 誤解による、被害者加害者の入れ替わり、ボタンの掛け違い混迷のストーリーを
それぞれの視点で描いた映画なんだけど・・ どーもストレスが残る1本。
観客のミスリードを誘うやり方がセコイ。

みなそれぞれ事情があるのに、悪人・サイコに見えるような仕草の強調ばかり。
その上で、各登場人物が本音を隠して自分の殻に閉じこもり、ズレた正義感で暴走へ。
さらに、悪人は居ないというテーマを掲げつつ、本当のいじめ主犯は別にいるし、
怪物保護者も別にいた。とこるが、そちらの人物は特に掘り下げない。
映画制作側にとって都合のいい部分しか見せないのなら、真実は別にあるという
投げかけを、途中で放棄しちまってないか?

面白い題材なのに、料理の方法がプロっぽくない、学生ムービーみたいだ。残念。 グルコサミンSさん [DVD(邦画)] 5点(2024-04-01 15:29:58)

15.《ネタバレ》 さすがというしかない。小説でたとえるなら東野圭吾や奥田英朗のそれ。引き込む力がすごいんだ◾️思春期以前のころのグラグラ感。二人の気持ちを決して他の人に知られないためのウソ。木田さん(女子)には、どうやらバレている(たぶん、雑巾のパス)。◾️本作は二人が事故に遭って宇宙の終焉(ビッグクランチ)を迎えて然るべき映画じゃないかな。すみません、人でなしで。【追記】皆さんのレビューを見て、そうですよねと納得。本作は、あくまでも救いのない悲しいお話です。 なたねさん [DVD(邦画)] 9点(2024-03-17 19:24:32)

14.《ネタバレ》 どこか不穏な空気ではじまり、観てるこっちはそわそわ。うちには小5の息子がいるから、余計にソワソワ。何かが子供たちの中での起こってる。でも何が起こってるかわからない。学校の対応に、僕らはググッと安藤サクラ目線に立たされる。いじめがあるのか?とか、サイコパス的な変な事件とか起こってるのか?とか。親目線、学校目線、で物語は進み、そして迎える子供目線。ここで何が起こってるのかが明かされる。いや、もう、涙が止まんなかった。なんの涙かわからんけど。最後は色々、解釈がとれる終わり方だけど、僕は結構、心に響いた終わり方でした。スッキリでもなく、単なる悲劇でもなく、なんてゆーか、ちょっと切ない感じもするけど、希望もあるようなファンタジー?変わらない2人、でも世界の方が変わった感じにも思えました。怪物はどこにもいなくて、そしてみんなの中にちょっとずついて。だから変えていこ世界みたいな気持ちにはなれました。ちなみに嫁さんは、最後が現実よりになってないのが、納得いってないみたいでした。あと、学校の対応、ひどすぎとか。どっちにしろ、色々考えさせられるわー。 なにわ君さん [インターネット(邦画)] 10点(2024-03-08 20:25:34)

13.《ネタバレ》 すでに評判の通り、同じ事柄を母、教師、息子の3者の視点から描かれます。
視点が変わるたびに見ているこちらの先入観をこれでもかというほどひっくり返されます。
特に湊視点で片方の靴をなくした場面と、校長にトランペット(トローンボーンだったかな?)を吹く場面がとても好ましかったです。
あと、高畑充希が退場する場面での「また今度」にはニヤリとさせられました。

怪物は誰なのか、少年たちは死んだのかがいろいろな場面でコメントされていますので、今時点の見解を残しておきます。
私は、他人や自分自身であっても自分には見えない部分があり、それに対する恐れや思い込みが怪物で、視点を変えながら物語を進め、私たちの先入観を取り除いていくことができれば、怪物なんて本当はいないんだと説明されているように思えました。

嵐の中横倒しになった車両に雨が落ちる場面は、美しいながらも息苦しく、終盤に湊と依里が車両から出て駆け出す場面では涙があふれましたが、でも少年二人は死んでいないと信じることにします。
モチーフになったと思われる銀河鉄道の夜もカンパネルラとジョバンニは死んでいないと信じてます(笑)

是枝監督が活躍する時代に生きていてよかったなと思います。 なつこさん [映画館(邦画)] 8点(2023-07-16 16:23:36)(良:1票)

12.良い映画だと思うが、真相がわかる後半になってすっきりしない感じが残る。時間の関係もあるのかもしれないが、担任の態度についても理由がはっきりしなかった(見方が悪かったか?)。 海牛大夫さん [映画館(邦画)] 7点(2023-07-11 14:57:13)

11.《ネタバレ》 日本の現実との乖離をちょっと感じた。皆いい家いい部屋に住んでます。高級住宅街の話かな。やや貧乏そうに見える人が多少いてもよさそうなもんだがそう言う方は見受けられず、おとぎの国の映画。二人の名前をつなげて書く。いかにも小学生らしい。小学5年生で秘密基地かー。小学5年生ってもうちょっと大人なんじゃないかなー。知らんけど。字も下手すぎる。あの秘密基地、蚊がすごそう。蚊取り線香必須のはず。
担任の先生、前半は謝罪を強制されるいかにも新人類っぽい先生なのだが、後半は生徒に寄り添おうと健気に頑張る熱血教師みたいになっていて、あまりの落差に違和感はある。

まとめ: 狂気は誰にでもある。 ほとはらさん [映画館(邦画)] 6点(2023-07-01 19:15:11)

10.かの偉人の言葉「人間ならば誰にでも現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は見たいと欲する現実しか見ていない」を思い出しますが…それにしても母親視点の校長をはじめとした学校側の対応はコメディだったの?と思ってしまうような違和感。
このしっくりしない感じもサスペンス・ミステリー仕立ての学園ドラマに引き込まれてしまい、いつの間にか雲散霧消。
あの変な感じがなければ…ちょっと残念。 ProPaceさん [映画館(邦画)] 7点(2023-06-29 20:34:03)

9.《ネタバレ》 少年二人は死んじゃったんだな。。。救いようがない悲しいラストだ。
初めの母親視点では、教師側の生徒に寄り添っていない他人事丸出しの態度はあまりにひどく思われた。しかし、教師の視点に代わるとそれは誤解で正しくない・・・となるが、でも実際どうなのか?

母親がモンペで自分の都合の良いようにしか物事を見ていないとしても、担任教師のあの感情のまるでない冷たい態度は観客を大きくミスリードしていないか?おまけに会話の最中に飴玉を食べるとか、そりゃ、ふつう怒るよ。

教師の視点になると、担任教師には普通に感情があり(そらそうだ)、いくらなんでも母親視点で担任教師にあそこまで感情がなく、終始非常識な態度を取られたと感じるだろうか?母親はそこまで異常に見えなかったし、さすがにおかしくないか?

母親、担任教師、校長先生、少年達は自分のターンで都合の良い解釈を語る当事者なので、こちら(観客)としては100%信用することができないから、この場合、第三者の客観的視点での事のあり様が真実であり、それをアンサーとして知りたかった。
そうすると、この物語で足りないのは当事者ではない他の先生方の視点ではないだろうか。

そもそも母子家庭だからモンペだと決めつけて、母親の訴えについて真摯に取り合わず、事実確認をせず、誤解があれば解く努力を初めから放棄している学校側にも十分問題がある。
母親にも問題がないとは言えないが、一人息子のために必死になるのは理解できる範囲であり、なのに最後は母親が怪物として暗示される感じに違和感がある。母親は夫に続いて子供まで亡くしてあまりにも気の毒だ。
「怪物だーれだ」という問いかけだが、みんな問題はある。でも、だからと言って誰も怪物ではないと思う。

また、作品の余白は観客の想像に委ねることも良いが、母親、担任教師、校長先生、少年達、そして同級生についても想像しないといけないほど余白が多いのはちょっと勘弁してほしい。特に、あの作文(あいうえお作文?)を読んで担任教師は何を謝罪したかったのか。ラストにつながる部分だからこそ、ここだけははっきりと提示してもらいたかった。 リニアさん [映画館(邦画)] 6点(2023-06-26 21:02:13)(良:1票)

8.「怪物」と冠されたこの映画、幾重もの視点と言動、そして感情が折り重なり、時系列が入り乱れて展開するストーリーテリングは意図的に混濁している。そして、その顛末に対する“解釈”もまた、鑑賞者の数だけ折り重なっていることだろうと思う。

本当の“怪物”は誰だったのろうか?
そもそも“怪物”なんて存在したのだろうか?
詰まるところ、私たち人間は皆、脆くて、残酷な“怪物”になり得るということなのではないか……。
鑑賞直後は、自分一人の思考の中にも、様々な感情や気付きが入り混じり、形を変えていった。

ただ、僕の中で、しだいに導き出された明確な「事実」が一つある。それは、この社会の中で一番“怪物”に近く、一番“怪物”になる可能性が高いのは、やはり「親」であろうということ。

本来人間なんて、自分一人を守り通すことだけでも必死で、余裕なんてあるはずもない。
でも、ただ「親」になるということだけで、問答無用に自分自身以上に大切な存在を抱え、それを「守り通さなければならない」という「愛情」という名の“強迫観念”に支配される。
微塵の余地もなく、自分の子を守ることも、正しく理解することも、「親なんだから当たり前」と、自分自身も含めた大半の親たちは、思い込んでいる。

でも、その“私はこの子の親なんだから”という、自分自身に対する過信や盲信が、得てして「怪物」を生み出してしまうのではないか。
一人の親として、本作を観たとき、最も強く感じたことは、誰よりもこの僕自身がモンスターになり得てしまうのではないかという“恐れ”だった。


したがって、本作の登場人物たちにおいても、最も「怪物」という表現に近かったのは、安藤サクラ演じる母親だったと、僕は思う。

彼女は、愛する息子の変調を憂い、いじめやハラスメントを受けているに違いないと奔走する。
シングルマザーとして息子を心から愛し、懸命に育てる彼女の姿は、“普通に良い母親”に見えるし、実際その通りだと思う。
意を決して学校に訴え出るものの、校長をはじめとする教師たちからあまりにも形式的で感情が欠落したような対応を繰り返される母親の姿は、とても不憫で、まさしく話の通じない“怪物”たちに対峙せざるを得ない被害者のように見える。

しかし、視点が変わるストーリーテリングと共に、物語の真相に近づくにつれ、母親が「怪物」だと疑っていたものの正体と、本人すらも気付いていない彼女自身の正体が明らかになっていく。
彼女は明るく、働き者で、息子の一番の味方であり理解者であることを信じて疑わないけれど、実は、夫を亡くした経緯がもたらす心の闇を抱え続けている。
そのことが、無意識にも、息子に対して“普通の幸せ”という概念を押し付け、アイデンティティに目覚めつつある彼を追い詰めていた。
最初のフェーズでは、紛れもない“良い母”だった彼女の言動が、視点が転じていくにつれ、自分が“奪われてしまったモノ”を、一方的に息子の未来で補完しようとしているようにも見えてくる。

“普通に良い母親”が、実は抱えている心の闇と、我が子に対する無意識の圧力と、或る意味での残酷性。
母親のキャラクター描写におけるその真意に気がついたとき、目の前のスクリーンが大きな“鏡”となって自分自身を映し出されているような感覚を覚えた。
無論、“普通に良い父親”の一人だと信じ切っている僕には、安藤サクラが演じる母親を否定できる余地などなく、只々、身につまされた。

人の親になろうが、学校の先生になろうが、人間である以上、心には暗い側面が必ず存在する。
その側面がたまたま互いに向き合ってしまったとき、人間は互いを「怪物」だと思ってしまうのかもしれない。


長文になってしまったが、ちっとも纏まりきらず、語り尽くせぬことも多い。
子役たちの奇跡的な風貌、田中裕子の狂気、坂元裕二の挑戦的な脚本に、亡き坂本龍一の遺した旋律……。
鑑賞にパワーはいるが、何度も観たい傑作だ。 鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 10点(2023-06-24 22:56:54)

7.近藤龍人の撮影は素晴らしいです。安藤サクラと永山瑛太が豪雨の中窓の泥を拭いとる様子を電車の内側から見せるショットはまるで墨絵のように見える効果があり斬新な造形だと思いました。直接関係はないかもしれませんが黒澤明が七人の侍で雨に墨汁を混ぜたというエピソードを思い出しました。しかし結局のところその撮影もただ美しい画というだけで何かの象徴として効果的に使われているわけではありません。湖だけを映したショットが何度か挿入されますが、場面の区切りとして機能しているだけです。湖の近くの町と学校という舞台設定には美しくそしてノスタルジックでもあること以上の意味がありません。作品のテーマは善意としての行動が結果として他者を追い詰めることにもなり得ること、それが必ずしも個人だけの罪というわけではなく置かれた立場や組織の論理によるものではないかと気づかせることです。しかし星川父(中村獅童)のみ別の側面を見せずに単純な悪人として描いています。それはこういう人物だけは絶対に許せないという作り手の主張といえなくもないでしょうが、安易な悪役の記号を寄せ集めた安っぽいキャラのようにも見えてしまいます。ラストも劇中で提示された多くの要素を一つにまとめ上げるテーマやメッセージを投げ捨ててありがちなメロドラマ的エンディングでお茶を濁したようにしか見えず納得がいきません。それこそ黒澤明の羅生門は最後には人間不信を拭い去ろうとする一筋の希望を提示してみせました。この映画もまたそうするべきではなかったでしょうか。 Сакурай Тосиоさん [映画館(邦画)] 5点(2023-06-23 22:37:17)

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【点数情報】

Review人数 26人
平均点数 7.31点
000.00% line
100.00% line
200.00% line
300.00% line
413.85% line
527.69% line
6519.23% line
7726.92% line
8415.38% line
9519.23% line
1027.69% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review2人
2 ストーリー評価 6.00点 Review3人
3 鑑賞後の後味 6.33点 Review3人
4 音楽評価 6.00点 Review2人
5 感泣評価 6.50点 Review2人

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