|
プロフィール |
コメント数 |
615 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが…… 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。 |
|
1. チェイサー(2017)
《ネタバレ》 ノンストップな追跡劇が面白い……と言いたいとこなんだけど、ちょっと微妙でしたね。
奇を衒った作りではなく「誘拐犯を追いかけ、子供を取り戻す主人公」というシンプルなストーリーだし、時間も94分と短めに纏まっているし、主演はハリー・ベリーだしで、褒めたくなる要素は一杯なんだけど、肝心の「映画としての面白さ」が足りてない。
どうして楽しめなかったんだろうと考えてみたんですが、本作に関しては「骨太でシンプルな作り」という、本来なら長所となるべき部分が、仇となってしまったのかも知れません。
誘拐犯の正体は驚きのあの人とか、実は深い目的があったとか、そういう訳でもないし、本当に「主人公VS誘拐犯」ってだけの話ですからね。
序盤に主人公がウェイトレスとして働く場面を、結構な尺を取って描いており、これは伏線なのかな(揉めてた客が再登場して主人公を助けてくれるとか、あるいは誘拐犯の一味とか)と思っていたら、全然関係無かったっていうのも、観ていてズッコけちゃいましたし。
中盤にて、主人公の車が燃料切れを起こしちゃうのも、何だか象徴的。
「ネタが無いので、仕方無く燃料切れにして引き延ばしました」としか思えない展開であり、そこで車だけじゃなく、映画自体も息切れしちゃってた気がします。
尺稼ぎが露骨というか、この映画には、94分でも長過ぎたんじゃないかと。
とはいえ最初に述べた通り、自分としては「褒めたくなる」「好きなタイプ」の品だったので、以下は良かった点を。
まず、冒頭で「息子の成長を見守る母」の姿を描き、母子の絆をしっかり感じさせるのは嬉しかったですね。
こういう映画である以上、そういう描写は必要不可欠だし、やって当たり前だろって話ではあるんですが……
「当たり前の事を、ちゃんとやってくれてる安心感」が得られるっていうのは、立派な長所だと思います。
警察が全然活躍しないで、主人公が孤軍奮闘して息子を救うって展開に、しっかり説得力があったのも良い。
この場合の説得力っていうのは「警察に任せた方が息子が助かる確率は高いのに、自力で何とかしちゃうのは説得力に欠ける」とか、そういう現実的な代物ではなく、作劇として「主人公は警察に任せておけずに、自力で息子を救おうとする」っていう、主人公の心の描き方としての説得力ですね。
警察署にて、行方不明になったまま帰らない子供達のポスターを見つめ「我が子は決して、こんな風にはさせない」「何もせず待ってるだけなんて、耐えられない」と考える流れには、自然に感情移入出来ましたし。
正しい道じゃないかも知れないけど、観客として「それで良い」「そうするのが正解」「頑張って欲しい」と思える道を選ぶ主人公っていうのは、やっぱり魅力的です。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2023-08-24 12:12:55)(良:1票) 《改行有》
2. チーム★アメリカ ワールドポリス
《ネタバレ》 なんか結局「チーム・アメリカは色々迷惑も掛けるけど、世界平和の為に必要なんです」って結論になるのに白けちゃって……
映画は勇ましい出撃シーンと共に終わるんだけど、観ている自分のテンションは低調そのものっていうギャップが印象に残ってますね。
そもそも内容が悪趣味とかブラックユーモアとか以前の問題として、単に作ってる人達が「嫌な奴ら」ってだけにしか思えなかったのが痛いです。
気に入らない著名人を映画の中で登場させ、悪人として描いて殺すのが楽しいって感性の人も世の中にはいるんだろうけど、流石にノリ切れない。
というか、単純に笑いのテンポとか間の取り方とか、そういうのが上手くないように思えちゃって「悪趣味で不謹慎な笑いである」って事以外には特徴を感じられないんですよね。
人形がセックスする場面や嘔吐する場面とか、もっと短くサラッと描いてくれたら笑えたかも知れないけど、長々と何度も繰り返し描くもんだから「長いよ」「しつこいよ」と思えちゃって、笑えない。
「自分の感性に合わないので面白くないけど、これが凄い映画だって事は分かる」って品も結構あるんですが、本作に関しては「合わないとかそれ以前の問題として、全然凄いと思えない」ってパターンであり、観ていて辛かったです。
とまぁ、そんな具合に、不満を並べ立てたらキリが無い映画なんですが……
それだけじゃ寂しいので、以下は良かった点を。
まず「素人の主人公がプロの集団に仲間入りし、成長してヒーローになる」というストーリーは王道であり、映画の軸がしっかりしていた辺りは評価すべきだと思います。
本作の売りは「メインストーリーの間に挟まれる小ネタ」の方にこそあるんでしょうけど、小ネタを楽しめなかった自分でも、そこまで退屈せずに観られるよう仕上げてあるんだから、この辺は「色んな客層に配慮した、プロの仕事」って思えて、感心させられました。
歌詞の内容には鼻白むけど、挿入曲もノリが良くて楽しい代物が揃ってるし、その使い方も上手い。
人形が人形を操ってる二重構造や、猫を黒豹と言い張る「稚拙な特撮」っぷりにも、愛嬌というか「映画としての可愛らしさ」を感じられて、憎めなかったです。
総評としては、作中で揶揄されてる「パール・ハーバー」よりは面白いと思うけど、好きな映画とは言い難い……と、そのくらいに落ち着きそうですね。
こういう尖った映画の場合「大好き」か「大嫌い」の、どちらかに振り切った方が評価する側としても気持ち良いんだけど、悪趣味を気取ってる割に、妙に優等生な面もあったりして、中途半端になってしまった感じ。
傑作にも駄作にも成り切れなかったという、そんな一品に思えてしまいました。[DVD(吹替)] 5点(2022-04-21 09:45:26)《改行有》
3. 地上最大の脱出作戦
《ネタバレ》 「平和な戦争映画」という、何ともユーモラスな一品。
冒頭のシーンでは生真面目に殺し合いしている姿が描かれているだけに、どんどん「普通の戦争」から離れていってしまう姿が、愉快痛快。
「お祭りの方が戦争なんかよりも大事」という主張が窺えて、それを不真面目だと怒る人もいるかも知れませんが、自分としては大いに賛成したいところです。
上層部の目を誤魔化す為に、互いに死傷者ゼロの「戦争ごっこ」を演じてみせる馬鹿々々しさも、実に滑稽で面白い。
戦争というテーマを扱う事により、作中でどんなに不謹慎な行いがあったとしても「実際に殺し合いするよりはマシじゃないか」という痛烈な皮肉に繋げてみせる辺りが上手かったですね。
純粋にコメディ映画として観た場合、現代の目線からは演出が冗長に感じられたりもするのですが「戦時に若く、美人で、色っぽいとは何事だ」などの台詞回しのセンスは、充分に面白い。
軍人達が懸命に「殺し合いの振り」をする横で、洗濯物を干してみせるオバちゃんの姿なんかも、思わず頬が緩むものがありました。
最後には、生真面目であったキャッシュ大尉までもが「お祭り」を戦争行為よりも優先してみせるようになったというオチも、予定調和な安心感があって、実に良かったです。
物語としての主人公は、ジェームズ・コバーン演じるクリスチャン少尉よりも、むしろ彼の方であったように思えました。[DVD(字幕)] 6点(2017-10-28 05:27:19)(良:1票) 《改行有》
|