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1. 追憶の森
《ネタバレ》 差しっぱなしにされた車のキーの強調や、手荷物を巡るやり取りなど、如何にも説明的で諄い感じの冒頭である。
語りに入ると流れ出す劇伴も、シーンの解釈を狭めてしまう。
キイロとフユのキーワードがドラマの中で効果的に決まってこないのも、視覚的な段取りが不十分な為ではないだろうか。
もっとその二つの意匠を種明かしに至る過程のどこかに仄めかしておくべきだと思うが。
焚火の傍で科白で語られる紅茶やシャツのエピソードについても、それらをナオミ・ワッツの不在の中で具象の画面として再提示させることで
影の気遣いと情愛を印象づける、そういう段取りも本来なら欲しいところである。
映画なのだから。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-05-07 22:23:37)《改行有》
2. ツーリスト
燃えカスとなった紙片のコンピュータ解析や、列車~本部間での顔写真照合を駆使するハイテクチームに対し、メトロの人波を計算して悠然かつ優雅に尾行グループをまいていくヒロインの貫禄が痛快で楽しい。
常に男の上手を行く対話劇も面白い。
一方の『間違えられた(?)男』ジョニー・デップは、ヒッチコック作品のケイリー・グラント的な鈍臭いアクションや非技巧的な演技設計に逆に技巧が透けてしまうのが難点か。
観光名所でのロケーションに、列車内での男女の出会い(『バルカン超特急』他)に、絞殺(『ロープ』)、屋根上のチェイス(『泥棒成金』、『めまい』)、パーティ(『汚名』)そして窓を通した監視(『裏窓』)と楽しい要素は数多く、またふんだんな空撮も豪勢感があって良い。
[映画館(字幕)] 6点(2011-06-07 23:14:33)《改行有》
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