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1. パラノーマン ブライス・ホローの謎
《ネタバレ》 キャラクターはブキミカワイイし、ノーマンの切ない境遇もたしかに胸に刺さるのに、作劇がトンチンカンすぎて不完全燃焼してしまった。「何かが起こり始めている」という序章が長すぎて、やっとストーリーが転がり始めたかと思ったら、行き当たりばったりのパニックシーンばかりで物語の目的がいまいち見えず……(一応、目的は「墓の前で本を読む」ということなのだが、押し付けがましくてまったく腑に落ちない)
せっかくノーマンが「幽霊が見える」という設定なのだから、あの少女を冒頭から「正体はわからないけど、いつも見えている幽霊の一人」として絡ませればよかったのになと思った。そこから少女が他の幽霊とは違うことに気づいて……という展開にすれば、ノーマンとの絆も描けてクライマックスに感動できたと思う。
少女の声は『サイレントヒル』でアレッサ役をやったジョデル・フェルランドが当てていて、日本びいきのLAIKAスタジオらしさを感じた。魔女狩りに遭った少女を永遠に煉獄で生殺しにするのが日本なら、しっかりと救済を与えるのがアメリカ。両国の感性の違いが見えて面白い。[インターネット(字幕)] 6点(2022-10-25 09:29:40)《改行有》
2. ハッピー・デス・デイ
《ネタバレ》 まさに「小気味良い」と言いたくなる面白さだった。
ループものの定石である「パニック→受容→謎解き」の展開を終えたあと、主人公が「どうせ誰の記憶にも残らない」と自暴自棄になって、人前でオナラをブーブーしだす展開が新鮮で楽しい。終始、お笑い用語で言うところの「天丼」がスマートに用いられていて、セリフも今っぽくしゃれている。
結果ありきの不自然な展開(犯人を知りたいのなら、殺される直前にお面を取りさえすればいいのにそれをしない→お面を取ってしまうと「真犯人がいる」という大オチが成立しなくなるから…という都合)は少し気になったが、そもそもシリアスぶっていないので問題点というほどでもないように感じた。
不気味なマスクのデザインは『スクリーム』のゴーストフェイスをデザインしたトニー・ガードナーによるもので、90年代のメタホラーブームの香りを残すシニカルな作風に華を添えている。[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-14 02:09:35)《改行有》
3. ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey
《ネタバレ》 なぜかハーレイが「そこらへんにいそうな前向きな女の子になって帰ってきた」という印象。
なんというか、メンタルが至ってノーマルなのだ。もちろん暴力的だし、スーパーマーケットでお金を払わずレジを突っ切ったりするのだが、それは「狂気」ではない。もしジョーカーとの破局によってメンタルが弱体化したのだとしたら、主役になる資格さえないのではないか?
肝心のストーリーは「利害の一致した女たちが団結して敵(=男)を倒す」という、ガールズパワームービー的な世界観に小さくまとまってしまっている。全体的にフェミニズムが匂い立つのだが、アクションシーンは男たちが「斬られチャンバラをしてあげている」という感じが拭えないし、金的を潰す描写の強調にはミサンドリー(男性嫌悪)さえ感じる。
そもそもハーレイ・クインというキャラクターの魅力は、「美女なのに悪役」「もともと才女なのに白痴美を感じる」といったところにあると思う。裏を返せば「ブスでは成立しない」「知的なままではダメ」ということであり、フェミニズムやアンチルッキズムとは真逆のファンタジーのはずなのだが……
終盤のビックリハウスは面白くなりそうなシチュエーションなのに、バネやゴムでドタバタするだけでガッカリした(すごく「予算が尽きました」という感じがする)。あと細かいかもしれないが、ストーリーの構造上、常に下ネタ(エロじゃなくて汚い方の)がついて回るのもいただけない。[インターネット(字幕)] 3点(2021-08-01 09:29:36)《改行有》
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