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プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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221.  イン・ザ・スープ 《ネタバレ》 いただけないショットが多い気はするが・・・率直に言ってこれは好きな作品だ。さえない映画屋と協力者の奇妙な友情、モノクロが良い雰囲気を醸し出しているところは「エド・ウッド」と似ているが、こちらの方が少しばかり先だ。真剣に手を伸ばせば届くかもしれないけれど、うたかたの如く不確かな夢。夢を追いかけるのは素晴らしい事だけど、〝誰と一緒に見るか〟というのも大切なんだと思わせてくれる。本作はアレクサンダー・ロックウェル監督が実際に体験した出来事を基にしているらしく監督の思いが詰まっているので、どこか優しい感じがするのだろう。嘘から始まった真の友情、新たな船出に思いを語る中、隣で死んでゆくのは「真夜中のカーボーイ」を彷彿させる、喜劇であり悲劇でもあるが観終わった後、心がほんのり温まる心地の良い作品だ。アルドルフォとジョーの二人の人物造形が実に面白く、ブシェーミのチャチャチャの練習場面やジョーが路地で元気いっぱい踊りまくる場面などとても良い。ユーモアに富む素敵な台詞も随所にありハッとさせられる。ちなみに私の最も好きなシーンはアルドルフォに天使だと言われたアンジェリカが始めて彼に見せる笑顔で、その表情が驚くほど美しい。[映画館(字幕)] 8点(2007-06-04 19:01:56)

222.  パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 《ネタバレ》 簡単に言えば〝かたづける気もないのにとっ散らかして遊びました〟ってところでしょうか(興行の調子が良好なら延長して遊ぶつもりで散らかしまくったのかもしれませんが;)万人が楽しむものなのに複雑だし、そもそもディズニーがこんな殺伐としたもんを作っていいのか?(絞首刑のシーンから導入した時はビックリした)ってところです・・・でもまぁ、そんな事はどぉ~でもよくて、私にとって大問題なのはイカ(タコ?)の料理の仕方です。何もスルメや刺身にしろと言っているのではないのです。なぜ調理過程を見せてくれなかったのかと言いたいのです。もちろんグルメな話をしているわけではありません。クラーケンについて言及しているのです。他が天こ盛りで時間のかかる料理は避けたかったからかもしれませんし、好意的に見て2で度々出したので食べ飽きただろうと思ったからかもしれません。だけど、だけど私は楽しみにしていたのですよ、クラーケンを。「ペットを殺した」って何のこっちゃと思っていたらあんなかたちで登場とは…。まったくターナー親子並にビックリのご対面ですよ。でもそう言えば予告にクラーケンは出てなかったなぁ。退治シーンがあったら目玉でしょうからワンカットでも予告にはさみますね(泣)。ということで期待外れではあったんですけど、もちろん良いシーンもあるんですよ。巨大な渦での戦闘とか、そこでの結婚とか、ああいうのは面白いアイディアだし確かに凄いパワーを感じます。1と2を観た上で水しぶきがかかりそうな劇場で観たし何だかんだで楽しかったのでプラス1点。[映画館(字幕)] 7点(2007-06-03 11:19:57)(良:2票)

223.  ジェニーの肖像 《ネタバレ》 ジェニーが登場すると空気が一変し、どことなく夢心地で幻想世界へ足を踏み入れた雰囲気が出ていて悠久の時を感じさせます。そして津波のシーンでモノクロから切り替わる緑が映え、いよいよもって時の間に突入した緊張感が高められています。さらに最後の最後にきて色彩の豊かさを見せる〝ジェニーの肖像〟が鮮やかであり何とも素敵です。色褪せないとはこのことで、愛と芸術の永遠という普遍性を見事に融合させ一枚の絵として完成させる素晴らしさ。友人をはじめとする登場人物たちが温かく描かれているのも微笑ましく、ファンタジーとはまさにこの作品。[DVD(字幕)] 7点(2007-05-17 18:56:33)

224.  トリプルX これ確か〝ニューヒーロー誕生。ワルがワルを制す〟みたいな謳い文句だったと思うんですが…ザンダー、全然ワルじゃないじゃないですか~。むしろイイヤツ。今風に言うと〝ちょい不良ガキ〟ってところでしょうか。私には007の方がよっぽどワルに思えるけどな~。っていうより根本的な性格からすれば私自身ですらザンダーよりワル度高いかもしれません;。という訳でザンダーの人物造形が甚だ期待ハズレなんですけど、ちょっと考えてみれば全国系の万人向け娯楽大作アクションで極悪が主役なんてありえませんね。誰も共感できないヒーロじゃ観客動員できませんから。あんなこととかこんなこととかワルいことして窮地を脱するんだろなぁ~という私の妄想がちょいワルでした;。 ・・・ただヴィン・ディーゼルには今後ともアクションで頑張って欲しいです。なんせ今やいわゆるアクションスターが絶滅寸前ですからね。そういった意味では確かにニューヒーローの誕生です。[DVD(字幕)] 4点(2007-05-11 23:17:46)(良:1票)

225.  アメリカン・ヒストリーX 《ネタバレ》 人種差別という重過ぎるテーマで、問題視されて久しい現在でも尚起こっている現実に警告するかのような内容でしたが、静かにも熱く心動かされてしまいましたね。兄弟の物語が軸となっているのが観易かった要因だと思います。割と単純な展開で聡明なはずのデレクの改心理由がいささか甘い感じがしますが、ラストにダニーが撃たれてしまった事に抜けることのできない負の連鎖と根深さを感じさせますし、主題が明確になっています。また、人種差別の契機として若者の怒りが扱われているのも興味深いです。大概において自分自身でもその源が不明瞭な衝動的な若者の怒り。これはどんどん蓄積され何か不快な事に対して発散させても、それは所詮真の理由ではないので怒りのゲージはすぐに元通りの満タンになってしまう。そんな虚しい様が良く描かれています。実際にデレクが怒りのままに暴れ殺人を犯してしまうシーンがバイオレンスに痛々しく描かれているのは、逆説的に暴力を否定しているように思えます。・・・それにしてもエドワード・ノートン!恐ろしく巧いです。前に観た彼の出演作が「世界中がアイ・ラブ・ユー」の優男だったので尚更ビックリしてしまいましたよ。それからファーロングも何かこんな役ばっかりな気がしますが、似合っているので良いでしょう。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-05-01 18:07:43)

226.  2001年宇宙の旅 おっ~、これが金字塔と言われているものか~。ほっ~なるほど、ふむふむ…もし私が眼鏡を掛けていて鑑賞後おもむろに外し、ツルの先を口の端にくわえ一考した後、「凄いねぇ」と一言発したら少しはインテリに見えるんでしょうね。・・・しかし正直言ってよく分りませんでした;。いやいや分らぬどころか眠気を催すばかりの始末。こりゃイカンと頭ハッキリのお目目パッチリで持ち得る限りの感性と知性を総動員し、改めて挑みもしたけれど箸にも棒にも掛からないとはこの事でものの役にも立たず撃沈…。この映画の良さを雄弁にまくしたてたりすると映画通だったりお洒落さんっぽかたりしてカッコイイんですけどねぇ。残念ながらモノリスのハイレベル過ぎる芸術性には周回遅れでついて行けませんし、内容もつまるところ凄く簡単なことを言っているのかなとも思うけれど、やはり疑問点もあり合点が行かないのです。するとこんな私にも密かに眠る自負心のような余計なプライドがムクムクと呼び起こされまして、良さを解らぬ悔しい気持ちもフツフツと湧いてくるのです。でも熱くなってみたところで悲しいかな、結局のところ〝猫に小判〟〝豚に真珠〟〝私に2001年宇宙の旅〟なのでした。ということで私はマタタビの方ががいいなぁ。[ビデオ(字幕)] 3点(2007-04-26 18:15:24)(良:1票)

227.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 筋はあるものの観念的なストーリーはあってないようなもので感覚で味わうという印象が強いです。ですからセンスの一致如何で見る人を選ぶと思います。個人的にはアジア人がクルーの中心であったりする未来的さや、それとは反対に宇宙服などが非常にレトロなデザインなのにクスっとなりつつ、雰囲気の盛り上げに一役も二役も買っているサウンドにクルーらと共に宇宙空間に居るような気分にさせられましたし、冷めた演出、イカロスの神話をなぞった結末は好きです。・・・ただしかし、本作では太陽光に限らず〝光〟がかなり重要な要素を担っていると思うのですが、どうもそれがしっくりこないのです。光というのは、例えば船長やサールが望んだように気分を高揚させたり恍惚とさせるものとして捉えているのに、多用される暗闇に懐中電灯の光一つとってもあまり刺激的に感じられず心動かされません。そのせいか物語は極めて深刻な状況であるのにちょくちょく退屈なシーンがありました。さらにサブリミナルは効果的としても忙しなく切り替わる画面は観難いです。もちろんダニー・ボイルのことですから確信犯で心理的揺さぶりをかけてきているのでしょうが、それが過ぎているので疲れてしまいます。・・・・・ところで、この退屈さどこかで味わったことあるなぁと考えてみたら私の苦手な「2001年宇宙の旅」でした。そう言えば手緩いHALが登場しますし、ラストシーンに映る黒いあれってモノリスでしょ?[映画館(字幕)] 5点(2007-04-23 18:15:38)(良:2票)

228.  駅馬車(1939) これは凄いっ!凄過ぎる。馬車内での人間模様もさることながら時代を全く感じさせない駅馬車の襲撃シーンに手に汗握ってしまいます。もう何度観たことか。おそらくシーンだけで言ったら駅馬車襲撃シーンを映画の中で最も数多く観返しております。あの疾走感に躍動感!ド迫力で興奮しっぱなしですよ。ダイナミズムを体現させてくれるカメラワークが実に素晴らしい!この興奮は現在の映像技術をもってしてもなかなか味わえません。そして襲ってくるアパッチの怖さと、それに立ち向かうリンゴー・キッドのかっこ良さ。屋根に登って射撃するわ、操縦のきかなくなった馬をピョンピョン飛び移るわとまさに獅子奮迅の働き!男でも惚れ惚れしてしまいます。ただの悪役として記号化されたネイティブ・アメリカンと、縄かなんかで引っ張って無理矢理に転倒させられた馬には大変申し訳ないけれど、何も分らぬ子供の時分より大好きな作品なれば満点をつけたいと思います。[ビデオ(字幕)] 10点(2007-04-11 18:01:10)

229.  アンビリーバブル ともすれば未来という設定も忘れてしまいそうな近い将来が舞台ですが、これはシュールレアリスムをやりたい監督が冒険し過ぎる危険性を回避して、観客に歩み寄り少しでも物語性を備わせようとしている印象を受けます。なんせ既成概念無視の不可解な現象の連発。説明無し、物語の関連性無しにウガンダ人が空を飛びますし、異常気象を装い夏に雪が降りますし、水が凍結します。この不合理さは未来科学的と言うよりも完全に超現実的であり、同時にその画は詩情的なのです。ですから物語としては不親切と言いますかイイカゲンなのですが、私は何だかとっても惹きつけられるのです。まず最初の異変としてエスカレーターに死体が当たり前のように転がっていてホアキンと共にミステリアスな世界へと誘われる。そして錯覚のようにクレアのそっくりさんが登場するシーンにドッキっとさせられる。この奇妙な謎の数々の答えは提示されませんが、これは〝無人島に行くなら何を持って行く?〟みたいな極論に過ぎず意味など無く、愛についての追求なのだと思います。ショーン・ペンをストーリーテーラーとして使ったのは少々ズルい気がしますが、解り易さも提供してくれるしオトボケ学者キャラは味があります。ホアキンとクレアも役にはまっていますし、特にホアキンの無口で少し困惑気味の表情のアップが良いです。ただこの〝アンビリーバブル〟って邦題はどうなんでしょう?風船の如く空飛ぶウガンダ人だけに捧げられたようで、この題をつけたことがアンビリーバブルです。[DVD(字幕)] 8点(2007-03-30 18:20:48)(良:1票)

230.  フランティック ストーリー自体は格別面白いわけでもないですし些か冗長な感じもしますが、これが実に惹きつけられるのです。例えば屋根の上をスーツケースを持って歩くシーン、リチャードの心情の表われや靴がスッーっと落ちていく巧さ、鳩の存在までもがとても良い。それから犯人との取引きシーンの緊張感、赤いドレスの妻と赤いスカートのミシェルの交差などなど、どの場面をとっても取り分け派手なシチュエーションではないのに一つ一つに気分が高揚させられます。それに大の男三人が痴漢撃退スプレーでやられて慌てふためくところなんてユーモアも感じさせます。謎めいた女の怪しげな雰囲気も良いですし、大スターハリソン・フォードも役者ハリソン・フォードとして良いのです。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-03-22 18:54:21)

231.  2番目のキス ファレリー兄弟の作品にしては下品ではなく、男女のおバカな特性を面白おかしく見事に描いている。…何ていう真面目な感想はやめにして、何を隠そう私も10年来のレッドソックス党!現在、世間で話題騒然の松坂投手より巨額の投資をしてしまった自分とは一切関係の無いレッドソックスの懐具合が心配というバカっぷりです。ですから耳の痛い話に苦笑してしまった;。私の一大危機は日本では最も応援している松井秀喜選手があろうことか宿敵ヤンキースに入団してしまったこと!こりゃどっち応援すりゃいいんだ~というジレンマに陥りながらも、何時の間にか純粋にこの黄金カードを楽しめるようになったのは我ながら進歩です。殊に本作の舞台である前年のリーグ優勝決定戦は凄かった。最終戦はビデオ録画しつつも気になりちょくちょくネットで確認していたがクレメンスを打ち砕いた時は勝利を確信していた。なんせこっちはペドロだし~。…なのに有り得ない敗戦(松井選手がホームで珍しくガッツポーズしている姿は覚えている方もいるでしょう。あの試合です)。それがあっての翌年の同じ舞台、同カードでの有り得ない逆転劇!3連敗後、九回ビハインドで、それもあのM・リベラを相手に逆転してみせるなんて有り得ない!しかもその後3連勝をきめヤンキースを破るなんて奇跡も奇跡だっ~!…でもバンビーノの呪いが解けちゃってちょっぴり寂しくもあった。だってもう夢が叶ってしまったのだから(次は松井選手がチャンピオンになれること願ってます、はい。)。…ねっ、興奮して映画とは関係ないこと書いちゃってファンってのはきっとバカな生物なんです。だからあんな可愛らしくて寛容な女性に愛されるのも奇跡に近いぞ;。・・・ところで死ぬまでに一度はレッドソックス対ヤンキース戦をフェンウェイ・パークで観戦したい…できればポストシーズンの試合を。それと球場移転してしまう前に〝ベーブルースの建てた家〟でも観戦したい…できれば松井選手のいる間に。全くバカの夢は尽きませぬ。[DVD(字幕)] 7点(2007-03-16 18:00:06)

232.  メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 《ネタバレ》 本作の何よりの見所はその見事な景観であり、トミー・リー・ジョーンズなるイカツイおっさんが失礼ながら予想を遥かに上回る美的感覚の持ち主だったことに驚く。しかもこのイカツイおっさんはやっぱり一筋縄ではいかない。けっこう単純なお話の時間をバラし構成を複雑にし注意力を引きつける、それでも気が緩むものならドーンと迫力万点のおばさんの裸や腐乱した死体を映しガードが下がったところへパンチを見舞ってくる。まったく油断も隙もならない。さらに、複雑で濁った現代社会で失われつつある友情に原点回帰する物語は、単純で純粋なヒューマニズムが溢れており温かさを感じる。自分本意のマイクが最後の最後で「一人で大丈夫か?」と声をかける。他者への関心があらわれ出し彼を救っているようであり、イカツイ風貌とは裏腹にトミー・リーの優しい一面を垣間見た気がする。・・・ところで、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」という題名ほど中味は凝ったものではないが、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」という題名は近頃の映画の中では群を抜いてかっこいい。だって何度も口ずさみたくなる。メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬、メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬、メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬・・・・・長いのにあまり噛まないで言えるところが実に良い。[DVD(字幕)] 8点(2007-03-09 18:19:45)(笑:1票)

233.  オズの魔法使 オズの国へ移行するとモノクロから一変して色彩が豊かになり幻想的な世界へ足を踏み入れた雰囲気が一気に高まる。遠くの風景は絵で構成する舞台装置のようでありながら映画と見事に融合させられており、イマジネーション全開のファンタジックな世界は何とも素晴らしい。そのうえ突飛なキャラクターたちも子供騙しに留まらず驚くほどの説得力を備えている。見た目はけっこう不気味であるがユニークで愛らしいライオン。青い空を真っ黒く切り裂く魔女の恐さ。無駄なシーンは見られず、音楽はパワフルで明るくてとことん楽しい。そしてチョコチョコと付いて来る犬のトトの可愛らしいことと言ったら無い。[DVD(字幕)] 9点(2007-03-02 18:17:57)(良:3票)

234.  アメリカ,家族のいる風景 《ネタバレ》 もうのっけから良い。西部劇を匂わせながら現代に突入し徐々に本題へと入っていく。情報量が少なく主人公と共に物語を紐解くように進み興味が湧いてくる。一貫してカウボーイルックのハワードは時代に取り残されているようで孤独を感じさせる。他の登場人物たちもまた同じであり遺灰を胸に抱くスカイの姿や路地裏で泣くドリーンの姿、部屋を破壊するアールの姿、TVで野球を観戦する母の姿、ハワードを追跡するサッターの姿にそれぞれの孤独を感じさせる。また、舞台である寂れた町の景観も抜群であり一つ一つのカットが芸術的であることに驚かされる。作中に漂う雰囲気も素晴らしくその世界観にただただ引き込まれてしまうばかりである。ただ後半は少々展開が早い、と言うか甘い。短時間でハワードは目的を達し満足するし、アールともけっきょく簡単に和解する、町は淋しくも画面も決して寒々とはしていない。最後にティム・ロスに厳しい台詞を言わせるが変わり者であるサッターは観察者であるからして学者の戯言にしか聞こえないし、大局的過ぎる視点は現実味が薄い。そんなところにヴェンダース監督の温かさや優しさを感じる。まぁ結局のところこれもこれで好きなのだが、個人的には同時期に似通ったテーマ性で撮られたジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」の方が若干好みである。[DVD(字幕)] 8点(2007-02-21 21:53:25)

235.  そして誰もいなくなった(1945) 《ネタバレ》 原作との比較はナンセンスだと思いますが、原作と異なるこのハッピーエンドはいただけません。もちろん敢えて同じオチで勝負する必要性など何処にも無いのですが、アメリカ的なオチとしたことで作品の簡潔さが損なわれています。そればかりかそれにより全体のムード自体の変更も余儀なくされ、シリアスさは影を潜めコミカルになり道化役まで登場し、カップルで楽しむような作品となり本作の真の面白さは消え失せてしまっているのです。引っくり返った足先や電気傘で顔を隠すなどの洒落たシーンは随所に見られますが、原作を面白がった読者としては甚だ期待を裏切られた思いなのです。・・・もっとも、原作を読んでいなければストーリーの後追いなどしなかったでしょうから楽しめたような気もするのですがね。[ビデオ(字幕)] 6点(2007-02-08 18:44:24)

236.  ディパーテッド 《ネタバレ》 国が違えば文化も異なる訳でリメイクというよりスコセッシ監督がプロットだけを借りて翻案したという感じでオリジナルより娯楽性が高まっています。ビリーが棒?でイタリア系マフィア?を突くシーンや血がドバッと出るバイオレンス描写はゾクゾクもので凄いです。役者も皆それぞれ味が出て良かったですし、つまらなくはなかったのですが…振り返ってみると消化不良な点が多いです。最も気になるのは人物描写で、まずレオ演じるビリーが最初の面接シーンから屈折しているキャラクターなので潜入により苦しんでいく過程が明確ではないこと。というより時の流れそのものがあまり感じられず新入りの彼が何時の間にコステロと千万人に一人のフレンチと三人で車に乗るようになったのか不明なのです。人格にしても天才とか頭が良いとか言葉が並び立てられるばかりですし、己を偽る囮捜査や複雑な家族構成による苦悩より死と隣接している恐怖の方が大きくビリー独自のバックボーンが生かされていないように思えます。そしてジャック・ニコルソンも当然、圧倒的なのですが決してベストではないと思います。例えばビリーの手を靴で撃ちつけるシーンなどもっと迫力のある芝居が出来るのではないでしょうか。むしろ最初にビリーに凄むレイ・ウィンストン演じるフレンチを方が、デフォルメチックなコステロとは対照的に深刻で加減を知らず際限がない感じがして恐かったです。それからオリジナルにはないディグナムというキャラクター。わざわざ登場させたにもかかわらずこの人物の描写も希薄なのです。もちろん警察と犯罪者の境界線を不透明にしていたり最後に重要な役割を担っていますが、相当ユニークと思われる彼の人格は乱暴な面以外は一切描かれておらず掴み難いのです。というわけで、どのキャラクターも複雑で特殊と思われるのに何だかとっても薄味な印象しか残っておらず、結果、作品としての印象も今一つなのです。[映画館(字幕)] 6点(2007-02-05 17:54:20)(良:1票)

237.  マイアミ・バイス マイケル・マン作品と言えば何と言っても〝闘う男〟が魅力的であり、甲斐性なしの情けない男である私はマンが描く男世界にいつもいつも惚れ惚れし憧れを抱くのです。今回も当然、闘う男がテーマなのですが…、う~ん、今までと違って主演の二人が魅力的には見えません。冒頭の登場シーンや音楽のセンスは相変わらず良いですけどねぇ。例えば「ヒート」の敵対関係にありながらも共鳴し合う二人、「アリ」の人生と勝負し続けるアリ、「インサイダー」や「コラテラル」でも男たちの生き様が、弱者だろうと不器用だろうと男の持つ美学をもって鮮明に描かれていました。ところが本作は重々しくなり過ぎないよう意図的に排除したのかもしれませんが囮捜査の苦悩など皆無に近く、二人に〝俺とお前でなきゃ〟というようなコンビの必然性もあまり感じられず男の世界観にドップリ浸ることが出来ないのです。ジェイミー・フォックスもクールな捜査官より冴えないタクシーの運転手の方がよっぽど格好良かったですよ。以前にもこんな事あったなぁと考えてみたら、それは「ラスト・オブ・モヒカン」を観た時で、二作品の共通項は言わずもがな男女の恋愛が主体にあることです。もちろん「ヒート」や「アリ」にもラブストーリーが描かれている訳であり女人禁制などと極端な物言いはしませんが、あくまで恋愛は二次的な要素であり、マンには〝闘う男の姿〟を〝美学〟を徹底的に追求し描いて欲しいのです。というわけでマン作品としては少々期待外れでした。[映画館(字幕)] 6点(2007-01-23 17:42:48)(良:1票)

238.  レッド・ドラゴン(2002) 《ネタバレ》 はたしてこの映画にレクター博士の必要性があったのか?レクター抜きでも十分に成り立つ話だと思う。そもそも前作より過去に戻るというのは商業的な打算を感じるが、実力派スター勢揃いなのでついつい濃い内容も期待してしまう。しかも導入部のホプキンスとノートンのやりとりが興味を引くだけに残念だ。というよりオープニングテロップ前に二人の対決が決着してしまうのはいささか寂しい。そして本筋はダラハイドを中心に進行するが彼のキャラクターは今や稀有なものではない。もちろん盲目の女性との恋愛風景はドキドキものであり見せ場となっているが、やはり主要三人のキャラクターのうち最も複雑な人格であると思われるグレアムの方が興味深い。前半こそレクターに近い頭脳の持ち主であるそのグレアムが、善人であるが故に自己防衛を計りそれに気付かぬふりをする場面が描かれるものの、ダラハイド登場後は彼の人物描写が希薄になり始め棚上げされてしまう。わざわざグレアムを体現するに相応しいノートンを起用したにもかかわらず彼の苦悩を放棄してしまったのは実に惜しい。 それでも全体的には別に面白くない訳ではなく普通のサスペンスとしては楽しめる。しかし最高級の食材を使ってこのように料理されて出されたらレクターは料理人の方を食べてしまうだろう。[映画館(字幕)] 6点(2007-01-12 18:27:18)(良:1票)

239.  コングの復讐 《ネタバレ》 何故か息子サイズになった敵を常に仕留め損ねるコングの息子はなかなか愛嬌がある。が、前作と比べると話は続編でもパイロット版のような出来で、まさにコング同様に大人と子供で雲泥の差がある。デナムが主役、秘宝、原住民の扱い(涙もん)、最後に何故か島の一番高い所にいるというご都合主義、もうプロットからしていい加減にも程がありホントに同じスタッフで作ったのか甚だ疑問に思う。だが製作年を見ると納得で前作のヒットに嬉々として大慌てで作り、よほど時間が足りなかったのだろう。ついでに内容と全く合致していない邦題もかなり適当である。・・・だけど、一つ新発見。息子が居るということは必然的に母親が居るということで、キングコングにはアンにうつつを抜かした罰が下ったということだったのか!?[ビデオ(字幕)] 5点(2007-01-09 18:10:40)

240.  ブロークン・フラワーズ 《ネタバレ》 刑事ナッシュもといドン・ジョンソンもといドン・ジョンストンは無気力、無口、無表情で劇中一切笑顔を見せなければ怒りもしない。さらに一財産築き昔はプレイボーイという設定。そんな捕らえ所の無いキャラクターだがビル・マーレー(最近どんどん良い俳優になってる!)が演じているせいか何処かトボケていて可笑しく、情けなくてそのうえ哀愁を感じさせる。作品自体も相変わらずのハイセンスさで、手紙のピンクの象徴が象徴を生み出し憶測が憶測を生んでいく母親探しもなかなか面白い。だが、映画はヒントを散りばめながらあらゆる答えを出さない。彼女のうちの誰の息子なのか、ただのイタズラだったのか、それとも思い出し忘れた別の女の息子なのか…。さらにサンドを奢った男が息子なのか、カルバンクラインのモデル風の男か、ジャージを着たむさい男か、それとも全く別にいるのかいないのか…。またドンは過去の栄光にすがるようにドン・ファンの映画を観ながらソファーでダラリのカウチポテト的生活から脱却できるのか…。そしてブロークン・フラワーズとは他人から見れば微妙な生活を送るドンの昔の彼女たちのことなのか、それともドン自身のことなのであろうか…。答え欲しがりの私としてはこの結末はハッキリ言って消化不良でないわけではない。しかしこの旅でドンはある意味彼女たちの〝過去〟(思い出)と〝未来〟(過去からの変化)と〝現在〟(現状)を目にしたとも思う。過去よりも未来よりも現在が大事だと悟る旅は自照の旅でもある。自分の人生、時の流れを我に返って感じさせる本作は観ると何だかとっても胸が詰まるのである。[映画館(字幕)] 8点(2007-01-05 18:02:39)

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