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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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61.  ロッキー3 《ネタバレ》 『ロッキー』と『ロッキー2』はボクシング映画と言うより人生映画だがこの『3』でようやくボクシングそのものを描く映画になる。それにしてもオープニング中に時間の経過と現状を一気に紹介する見せ方が上手い。凄いのは初めてチャンピオンになった『2』から惜しげもなく引退間近まで時間を進めていること。シリーズ1~3作目まではその都度これで終わらせるつもりで作っているようだ。最初から続編ありきで始める昨今の映画はちょっと見習ってほしい。 『3』でのロッキーはゴロつき時代とは全く異なる堂々たるチャンピオンぶりでスーツも似合っている。体も脇腹の腹斜筋が浮き出た見事なもので最強のチャンピオンの設定に説得力を与えている。そしてミッキーとの絆が前半で語り尽くされる。ミッキーが名伯楽イメージなのはこの『3』あってのことだ。 クラバー・ラングはひたすら悪意を撒き散らす「悪役」だが、あのむやみな闘志はボクシングでは必ずしも悪とは言えない。そしてロッキーはラングが持っている「虎の目」を取り戻すために苦闘する。その折り返し点になるのはエイドリアンとの言い争い。『2』の時のように格好つけて一言で済ませず泥臭くいくのが良い。泥臭いと言えば80年代始めのカリフォルニアはシリコンバレーを擁する今とは隔世の感があるのが興味深い。そしてたぶん現地の本物のボクサーなのだろう、ジムにいる男たちが獣のような目をしている。 ストーリーは挫折から闘志を取り戻して試合に向かう、というもはや黄金パターンだが『3』ではトレーニングでアゲていく描写にカタルシスがある。まさに友情・努力・勝利でその過程の「特訓」シーンにあのテーマが使われる。そして試合では『2』でも使われた音楽がより効果的な使われ方をしていてさらにアガる。そしてクライマックス後の締め方も小粋。ラストシーンがダラダラ長い昨今の映画はちょっと見習(略)。 この映画は全体として人物の心情をきちんと映像で表現するので観ていてわかりやすい。そりゃ文芸的、芸術的な価値では初代に及ばないだろうが、映画表現として最高の部類だろう。少なくともこの1作で見ればシルベスター・スタローンは役者として超一流、アクション俳優として超々一流、監督としては神だ。10点満点中13点を進呈。[インターネット(字幕)] 10点(2019-08-19 18:03:07)《改行有》

62.  ロッキー 《ネタバレ》 長年うろ覚えでしかなかった名作をちゃんと観直してみました。おおこれはたしかに名作だ。そして後の派手な大作群とはまったく違う、とても地味で心のこもった丁寧な作品。 まず若いスタローンが美しい。まるでギリシア彫刻のようで、それがしゃべるとまったく学のない粗野な、しかし根は悪くなさげなイタリア移民の若者そのものになる。もしこの映画がスタローン自身の企画だと知らなかったらよくこんな役者を見つけてこられたなと思うところだ。そして物語も当時の売れない俳優スタローンの境遇をなぞる。 初代『ロッキー』のロッキーは大した才能もなく、さらにはやる気すらなく底辺の生活に甘んじている、ただ友人の妹の地味ぃ~な店員に恋するだけの若者。ミッキーは名伯楽どころか罵詈雑言ばかり吐き捨て、あげくビッグマッチが転がり込んでくると手のひらを返してすり寄ってくる。その「ビッグマッチ」の相手、アポロはボクサーとして完璧なら頭も切れて茶目っ気がありプロモーターの才もある。ロッキーを指名してしまったのはうかつだったが、彼に落ち度はない。 この映画には悪役はいない。そしてロッキーもエイドリアンも無名のセコンド陣もみんな本物。その本物が織りなす重苦しさの中でバート・ヤング演じるポーリーが唯一「上手い俳優」っぽさで軽やかな風を吹かせてくれる。そういう奇蹟のバランスで成り立っている。仮にもし『ロッキー』1作で終わっていたらこの映画自体の価値はさらに高いものになっていたかもしれない。ただそうならなかったことでロッキーはただの名作映画の地位に収まらずあらゆるカルチャーに影響を与えていく存在になった気がする。[インターネット(字幕)] 9点(2019-08-19 15:21:01)(良:3票) 《改行有》

63.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 まず最初のストーリーロールの一行目から薄っぺらい。続くシーンもことごとく漫画、というかアメコミっぽい。ああCGだけの薄味エンタメなのね、と斜に構えていると役者の演技が良いのでだんだん引き込まれる。まるでキャラクターが深みを増すにつれ面白くなる連載漫画みたいだ。 その連載漫画ノリは次の週の展開を考えていない行きあたりばったりなのでまるで先が読めない。しかしそれをやり過ぎて全体の話の整合性がかなり危うくなる。ここまでやるともはや「諸行無常」で一体何なのこの話!?こいつら全員バカなの!?と言いたくなる。 でもそもそも現実世界ってそうじゃない?頭の良い奴らが訳の分からない思い込みで空気読んで忖度してアホな切り盛りしてるじゃない?映画で現実の問題を見せられたくないって?いやいや、現実世界の中で空想のストーリーを仕立てて生きている奴、ちょっと多すぎでしょう。この映画は完全な架空世界で誰一人として思い通りにならない展開をやっちゃうのが痛快だ。思うに今作でようやく「WARS」の名にふさわしくなったんじゃないだろうか。実際大勢死ぬし。 この映画はストーリーの破綻なんかより、しょうもないギャグや無意味なマスコット動物、そして2時間半の長さが問題だ。つまり余計なシーンをバッサリやれば(僕的には)名作だ。なにより役者の演技がみんな素晴らしい。ほぼ全員七転八倒のひどい役回りなのに大したものだ。そして最後に大きな+点、赤い塩の惑星。絵面が良くて効果的、しかもどこかにありそう。新シリーズには数少ない「新しい世界」だ。 ライアン・ジョンソンはたしかに映画監督として未熟な点も多々あるだろうが、間違いなく才能がある。でも次はお上手なJJエイブラムズなんだね。どうせみんな気持ちよく転がされてファン大歓喜なんでしょ?あーあ。[DVD(字幕)] 8点(2019-08-06 09:16:22)《改行有》

64.  オースティン・パワーズ 《ネタバレ》 元ネタの007シリーズや英語のニュアンスが分からないとなかなか厳しいようですね。ああここ多分笑うとこなんだろーなー、と思いながら時間が経つのを待つ鑑賞体験。ただエリザベス・ハーレイはいい!特に銀ピタ衣装を着(させられ)るシーンはものすごく可愛い。あのくだりだけで+3点しようじゃないか!!!・・・・・・・・。[インターネット(字幕)] 3点(2019-06-11 20:12:58)

65.  ゴーストバスターズ(2016) 《ネタバレ》 今頃オリジナルシリーズを観て乗れなかったという者だが、正直これはかなりいい。やはり現代の映画なので「ゴースト」の存在が受容されていく社会の描写がちゃんと描かれている。最初から街のヒーローというわけじゃない。 キャストがとにかく素晴らしいのだが、特にケイト・マッキノンが最高でどのシーンでも超個性的で格好良い。これは惚れてまうやろ。「二刀流」の殺陣のシーンとかああいうの他のキャラでももっとやればよかったのに。とんでもないバカ男を演じたクリス・ヘムズワースも取り憑かれてからの「普通さ」がかえって不気味で良かった。このバカ男にクリステン・ウィグの生真面目博士がなぜか入れあげるのが面白い。ケビンが吹き出したコーヒーを奪い取って飲むとかネタとしてギリギリだろ(笑)。周囲がマッドなのでメリッサ・マッカーシーが常識人役になって影が薄くなるのは仕方がない。 不満点としては、まずオリジナルをリスペクトするのは良いが、ビル・マーレイ以外はカメオ出演が無理やり過ぎる。もっと自然に出す方法はいくらでもある気がするのだが。あと現代の作品として設定や成立過程を丁寧に描くのは良いが、ラストがこれまた今風にだらだらと長い。長すぎて収まらずエンドロールでも延々やってる。みんな、もっと映画はすっきり終わらせる勇気を持とう。カットした分はいくらでもDVDの特典映像に入れればいいだろ。[インターネット(字幕)] 8点(2019-05-27 14:33:37)《改行有》

66.  ゴーストバスターズ2 《ネタバレ》 オリジナルの『ゴーストバスターズ』は80年代という時代性を反映していて今観るとちょっと辛いものがある。その点この『2』は少し時代が進んでいるぶん、前作についていけない身にはだいぶ観やすくなっている。まず話の進み方が丁寧。テンポが悪くなったという評も多いが、ストーリーのすっ飛ばしや雑なプロットがなくなった。若干シリアスにもなっているが、言ってみるとより「映画」になっている。前作では「間抜け役」と「小役人」はずっと駄目なキャラクターとして固定されていたが、この作品ではちゃんと救済される。リック・モラニスはちょっと救済されすぎなような気がするが。 この映画は初代の良さと様式を活かしながら前に進もうとした。それが成功したとは言い難いが個人的にはこっちの方が好きだ。そういえばタイトル曲もちゃんと当時の先進スタイルにアップデートされている。やはり真面目に作られた映画ではあったんだよ。[インターネット(字幕)] 6点(2019-05-27 13:46:58)《改行有》

67.  ゴーストバスターズ(1984) 《ネタバレ》 いつか観るつもりで観ていなかった有名映画を21世紀も初頭を過ぎた時代に初見で観ました。ゆるっ!これはかなり当時の時代性を反映した映画で、いつ誰が観ても名作というものじゃない気がする。 冒頭のビル・マーレイが演じる、女子学生を口説くためにインチキ実験をする教授、あれTVのコントなら成立するでしょう。これを素で映画として見るとかなり感じが悪い。この映画は当時のTVのお笑い人気タレントを当時流行したSFXと組み合わせた流行×流行がたまたま時代性のツボにはまった映画であって、だから人気があったのにシリーズとして続かなかったのだと思う。 今の時代から見ると「ゴースト」が社会に認知される過程がばっさり省かれていて、話のテンポが良いというより雑な感じがする。アメリカ人にとってはTVでおなじみの顔がいつもの調子で荒唐無稽な活躍をするのが痛快だったのだろう。正直ヒロインが賢く強く美しいシガニー・ウィーバーじゃなくて単に可愛い子だったらかなり締まりのない作品になっている気がする。[インターネット(字幕)] 5点(2019-05-27 12:37:39)《改行有》

68.  インクレディブル・ハルク(2008) 《ネタバレ》 制御不能のスーパーパワーを持ってしまた男の苦悩、理不尽な追撃からの逃走劇、それらがとても丁寧に作られている。その中でエドワード・ノートンとリヴ・タイラーの演技が画面に格調すら与えている。荒唐無稽な設定に「成り立ち」を人間性を含めてきちんと描く現代のスーパーヒーロー映画らしい。 問題はそこから「面白さ」が一向に生まれてこないことだよ。ハルクはずっと苦しんでばかりでカタルシスというものがない。それならそれでひたすらシリアスに物語を(アベンジャーズ用に)完遂するのかと言うと、中盤以降は急に雑になる。「ミスター・ブルー」はとんでもなくバカっぽいし(よくこんな男に命運を任せる気になるな)、最強の敵として立ちはだかるティム・ロスはあまり強そうに見えない。名優の演技だけでなんとかするのは無理だよ。そして逃げ惑うモブがうざい。お前らは「山道で飛び出してきて延々車の進行方向に逃げ続ける野ウサギ(実体験)」か?人間なら前頭葉を使え。 そして素材も改造度もはるかに上の相手を倒すロジックが「必殺技」。これは技名を叫んで繰り出す映画だったのか?それならもうちょっと早くそのノリを見せておかないと唐突過ぎるぞ。おまけにラストのシーンでいつのまにかやたら人がたくさん立ってるが、そこはボロビルの屋上じゃなかたっけか?合成する前の撮影で設定を間違えただろう? 2008年というのは「悩み苦しむスーパーヒーロー」が大流行していた頃で、たしかにシリアスな部分はよくできてはいる。それとハルクの設定や物語との接地に失敗した感がある。[インターネット(字幕)] 5点(2019-05-27 10:14:35)《改行有》

69.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 名だたる評論家たちが年間ベストに挙げ、巷も大絶賛。どうやら僕はそこに乗れない少数派のようだ。 たしかに良い映画だとは思うが、この映画の「感動」って元のクイーンの曲の力にあるんじゃない?それは別に悪いことじゃないし再現度はそりゃ素晴らしいが、そこが大事ならもっと音楽に焦点を当てればよかったのにと思う。しかし長い上映時間の大半を占めるのはフレディのセクシュアリティの葛藤。果たしてこれはストーリーとして何度も繰り返して表現すべきプロットだろうか?。フレディのソロ活動がカネまみれでクイーンを裏切る「完全悪」みたいな扱いなのもよく分からない。もっと分からないのはライアン・メイとロジャー・テイラーがこの映画のかなりの権限を握っているらしいこと。つまりその他史実の改変もこの二人の意向てこと?(少なくともOKは出しているはず) ライブ・エイドの演奏場面はもちろん素晴らしいのだが、当たり前だけど本物のライブ映像の方がもっと良いんだよ(笑)。このへんは音楽やスポーツの伝記映画の宿命ではある。しかしこれをクライマックスにするのならそこに至る雌伏の時期が物語上必要だが、それは「無駄な」ソロ活動や乱痴気騒ぎに「うつつを抜かしていた」フレディが「ファミリー」の元に帰る、という話なんだな。それでいいのかブライアン&ロジャー? 個人的にはフレディ役は当初の予定だったらしいサシャ・バロン・コーエンで観てみたかった。ラミ・マレックは確かに頑張っているが、フレディ・マーキュリーという人のとんでもない「強さ」を表現しきれていないように感じる。そりゃフレディは繊細で闇も弱さもある人だったろうが、どんな大観衆も圧倒する強さがこの役には必要だろう。サシャならそれができたように思うのだが。[映画館(字幕)] 6点(2019-01-02 04:17:11)(良:2票) 《改行有》

70.  スター・トレック/BEYOND 《ネタバレ》 クリス・パインはとうとうシャトナーの演技をなぞる気はなかったね。まあそれでもいいが、あのベッタベッタした喋り方で「カークだ」と言われましても。 大げさな演出や矛盾に満ちたプロットはJ・J・エイブラムズ版と何も違いがない。シーンの都合に合わせて増えたり減ったりする敵、簡単に死ぬ人々、対して滅茶苦茶な状況で確実に生き残る主人公たち、無意味に追加されるピンチ、そして相変わらず隠された謎に根拠なく突然気付くクルー。あの禍々しい超兵器は最初友好の贈り物だったよな?なんでまたそんな物騒なものを?人間がエイリアン化してたなんていう超展開の説明は一言だけ。若スポックが未来の自分である老スポックを他人のように尊敬したりその死を「普通に」悲しむのも非論理的で意味が分からない。 あと音楽がくどい。スター・ウォーズはずっと音楽が流れてオペラっぽいのだが、こっちでそれやられてもね。妙に叙情的なテーマは決して悪い曲ではないが、ちょっと大仰で何度も繰り返されると恥ずかしくなってくる。 まあハードロックで敵を殲滅していくのは面白かったね。ヨークタウンの映像は凄かったね。ジェイラは可愛かったね。正直途中呆れながらも観終わった後味は(JJ版と違って)そう悪くない。でももうこれいい加減終わりにしようぜ。次はTNGのプリークエルとかにしてくれ。[インターネット(字幕)] 6点(2018-11-19 22:42:18)(良:1票) 《改行有》

71.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 イーストウッドの映画は「観やすい」。人種差別、異民族文化、貧困、世代の断絶、暴力ととにかく重いテーマを真正面から扱いながら、観やすい、というのは凄い。イーストウッドという人はやはり大した映画人だ。 過酷な体験を持ち身の回りのことはきちんとこなし妻を愛し続け、しかし世間的にはその能力を評価されることはないウォルトにはみんな共感するでしょう。人格者の若い神父、何も言わずお礼の食べ物を届け続けるベトナム婦人たち、もちろんタオやスーにも共感するでしょう。でも偏屈なウォルト爺さんにうんざりする息子たちや間を取り持とうとする嫁、我関せずの孫たちにも共感しない?もっと言うとスーにちょっかいかけてウォルトに撃退される黒人ギャングたち、何もできない白人彼氏、コミュニティ内に生き場所を見つけようとしてあがく最低最悪なゲス野郎ベトナム人ギャング共にもちょっと共感しないかな? 自立したアメリカ人であろうとするスーは結局自分のコミュニティ内の暴力に打ちのめされる。そしてコミュニティは守ってくれず外側にある社会システムに訴えようとしない。ウォルトはそのアメリカ社会を信じて身を投じる決断をするわけだが、この決着の付け方に僕は違和感を感じる。要はこれが保守思想家であるイーストウッドが信じる核の部分なんだろう。 イーストウッドは人間とその集合である社会とそれが「信じるもの」を信じていて、かつ現実を見据えている。まことに立派な態度だとは思う。この映画は傑作には違いないが、果たしてこれが普遍的なメッセージとなりうるのかという疑問も感じる。そしてフォード社のグラン・トリノという車が理想の象徴になっていることにこの思想の限界を感じるのだ。[インターネット(字幕)] 6点(2018-11-19 22:28:54)(良:1票) 《改行有》

72.  LOOPER/ルーパー 《ネタバレ》 この監督のテイストはクリストファー・ノーランに似ている。カット割りとシーン描写が上手くリズム感と説得力があるが、全体のテーマに腑に落ちないものがある。この腑に落ちなさをノーランより思い切り開き直って展開するのが面白い。が、問題もある。 ルーパー達が持たされる「ラッパ銃」は射程が短いので処刑には使えるが攻撃に向かない(わざわざそれを実演するプロットまである)。だから最後はあの選択しかない。これは良い。しかし突然変異によって人口の何割かが超能力を持つ(だから現代でもできるはずの時代設定が近未来になっている)という設定は未来の大悪党の能力の理由付けためのものに過ぎない。これはいらんでしょう。結局ストーリーの「ために」作られた設定があからさまだからノイズに感じる。そもそも映画の設定なんてどんなに無茶でも物語内で整合性が取れていればその世界に入っていけるのだが、ストーリーの都合という「舞台裏」が見えてくると興ざめしてしまう。 ブルース・ウィリスとジョセフ・ゴードン=レヴィットは印象こそ違うがメイクのおかげもあって並ぶとけっこう似ている。だが役者は頑張ってもストーリーに同一人物性を現すものがない。そりゃ30年経てば人は変わるでしょう。若い時の方が賢明ということもあるでしょう。しかし同一人物の根本的な人間性がすれ違ったままというのはどうなのか。この映画は魅力はあるがSFとしても人間ドラマとしてもちょっと破綻が多すぎる。[インターネット(字幕)] 5点(2018-10-08 21:29:02)《改行有》

73.  バトルシップ(2012) 《ネタバレ》 SFアクション映画と思わせて青春コメディ?な序盤。どのシーンもきっちり作られていて各演技が優れていておまけに編集のテンポも良い。だから本筋がよく分からなくなるほどだが、この高品質な満艦飾がいい感じのデタラメ感を持っていてかなり愉快。 30分過ぎからはエイリアンとの闘いに収束していくが、CGIの出来にややばらつきはあるものの破壊の表現などはかなり良い。侵略的異星人を単なる嫌がらせ役ではなく理解不能の存在に描いているのも良かった。各キャラクターもしっかり活躍させておいてかつ主役を食わない程度にひっこめるシナリオの妙がある。重厚なBGMとハードロックを組み合わせる音楽もセンスが良い。 古戦艦と古英雄の活躍とかカタルシス要素をしっかり盛り込んで実によく出来たエンタメ映画なのだが、しかし中身は、ないよね。作家性のなさというか、指揮者不在のフェスティバル楽団。「祭り映画」という評も頷ける。楽しいので人には勧められるが、しょせんレジャー映画というか、自分の映画体験としてはこれで2時間楽しむなら別のことしてもよかったね、と思えてしまう。[インターネット(字幕)] 6点(2018-08-16 21:53:16)《改行有》

74.  ヴィヴィアン・マイヤーを探して ある青年が骨董市で出品された大量の写真のネガを落札した。現像してみると素晴らしい写真の数々だったので、審美眼に自信があったその青年は写真を美術館に持ち込むが門前払いを食らってしまう。そこでブログにアップすると一躍大評判に。映画はその写真を撮った謎の女性、ヴィヴィアン・マイヤーについて調査するドキュメンタリー映画です。 写真の素晴らしさとその撮影者ヴィヴィアンの謎に満ちた生涯もさることながら、写真を「発掘」したこの青年、ジョン・マルーフという男もまた実にユニークだ。ヴィヴィアンの写真を広く知らしめ、ついにはこの映画まで作ってしまった。マルーフは話が上手く映像映えのする男で、基本関係者インタビューばかりのこの映画では案内役としてもっと画面に登場しても良かったと思う。特にヴィヴィアンの人物像に迫る中盤以降は同じ画面ヅラばかりでちょっとダレてくる。 とはいえこれはドキュメンタリーとして秀逸だ。世間に埋もれたまま生涯を終えたアーティストを美しい映像と事実の積み重ねで紹介する。ミステリアスなヴィヴィアンの魅力もさることながら、それを掘り起こしたマルーフのセンスと行動力に脱帽する。[DVD(字幕)] 8点(2018-08-08 21:43:40)《改行有》

75.  ヒューゴの不思議な発明 《ネタバレ》 前半1時間延々続く少年の苦労話が辛い。まあ映像は美しいしカメラワークも見事、主役のエイサ・バターフィールド君も印象的。名だたる名優が居並ぶ中でクロエ・モレッツとの子供だけのパートが見劣りしない。 後半は打って変わって話が急展開するが、じゃああの前半は何だったん?まず前半だけずっと流れ続けるハリー・ポッター風の音楽がくどすぎる。そしてあれほど意味ありげに登場したノート、あれ単なるマクガフィンなんだな。ストーリー上で「大事な物」扱いであればなんでもいい。だから用済みになると話から消えてしまう。もっと言うと機械人形も物語上大事な役割を果たすが、要は「大事な物」だから大事という存在。ヒューゴが劇中でちゃんと「発明」していればまた意味も変わるのだろうが。 話が途中から映画黎明期の歴史にシフトしていくのでヒューゴの存在意義が危うくなる。それを補うために人形を大事にしたり爺さんに彼の「功績」をわざわざスピーチさせたりするわけ。ノートや人形だけでなく主役まで小道具と化してしまっている。この映画は後味は良いし映像は美しいし映画愛に満ちているがその「映画愛」に集中したためにかえって物語の意味が薄れている。 邦題は評判が悪いが実は原作のタイトルでもある。原作ではヒューゴの「不思議な発明」が本当に出てくるらしいが、映画ではそのプロットが削られたために原題でもなくなった。それを邦題で復活させるとは何考えてんの?[インターネット(字幕)] 5点(2018-08-07 20:09:28)(良:1票) 《改行有》

76.  スター・トレック/叛乱 《ネタバレ》 スター・トレックは深遠なテーマを扱うが、意外と中心となる核は単純だったりする。この映画は出だしからかなり良い。特にデータの暴走が良心回路の基づくものという設定はイカしている。アーミッシュのように伝統的生活を営む原始的種族が実は・・・という展開も美しい風景と相まって実に魅力ある。 だが中盤以降はなんだかその魅力が薄れてくる。巨悪に対抗するはずが、肝心の敵が全然「巨」じゃないんだよ。そしてなんと言っても不老不死を生み出す惑星に全員が惑わされ「ない」。ピカード以下クルー達もまったくその点に関しては自制心を崩さないし、驚くべきことにソーナ人も「復讐」の方がメインだったりする。おいおい現実世界でもちょっと長生きできる地域に金持ちが押し寄せたりしてるぞ。ここに焦点を当てればもっと深くなったのでは?パトリック・スチュワートも「若返った」と口で言わせるだけじゃなくてちょこっと植毛とか染色とかすれば説得力が増したのに。 ちょっと鬱陶しいのがSF的なギミックで、怪しげな数値や用語を叫んでる時間がやたら長い。そこは「ギミック」だと皆分かってるんでもうちょっとさっさと済ましてほしい。監督の副艦長にやけにおいしいシーンが押し込まれるのもご愛嬌。 全体的に惜しい映画なんだよね。不老不死、理想化されたアーミッシュ、連邦の陰謀との闘いと、テーマ的には掘り下げれば名作になり得た可能性があったはず。[インターネット(字幕)] 6点(2018-07-29 18:16:28)《改行有》

77.  ホビット/決戦のゆくえ 《ネタバレ》 本作は『ロード・オブ・ザ・リング』のファンには物足りないようですが、こっちはあのくどさにちょっと辟易する方なので素直に楽しめました。なんと言ってもテンポが良い。そしてやっと2時間ちょっとに収めてくれた。大群の整列と突撃シーンはやはり圧巻で、特に一糸乱れぬ優雅な動きのエルフ軍が素晴らしい。ドワーフ軍が山羊に乗るのも良いね。 気に入らない点ももちろんあって、まず卑怯者のアルフリド、散々ウザさを振りまくのを放置しておいてちょっと矜持を見せて出ていこうとしたらぶっ潰されるって(笑)。どっちかにしてくれよ。そしてなんと言っても肉弾戦は強いのに魔法はからきしなガンダルフ。結局このシリーズでは前作で松ぼっくり燃やしただけだぞ。いいのかそれで。 いいのかそれでと言うとバルド役のルーク・エヴァンスはどう見ても顔と活躍が主役級、なのに終盤居なくなるぞ。居なくなるといえばクライマックス中ビルボは気絶したままなのだがこれまたいいのかそれで。 ドラゴンが早々に退治されるのはあれでよし。あいつは台詞が小物すぎる。カンバーバッチがしゃべったってだめ。それより全体的に条件設定があるのかないのかよく分からない、というかストーリーの都合で変わってる気がする。オークやトロールの首のもげやすさもその都度変わる。あと人間軍は漁師だから強いという話なのに最初からおばさん前線に出してどうする。 まあいろいろな突っ込みどころもテンポ良く進むので観ている間はあまり気にならないが、このシリーズはクライマックスとラストがやたら長いのでその間に反省会が出来てしまうんだよね。[インターネット(字幕)] 6点(2018-05-19 00:02:12)《改行有》

78.  グリーン・ランタン 《ネタバレ》 評価が低いので気軽に流し見するつもりで観たらけっこう楽しめた。ていうかむしろ出来が良い部類なのでは?ライアン・レイノルズの3枚目っぷり、ヒロインの完璧彼女ぶり、親友と屈折したライバル、いかにも議員ぽい議員と演技のレベルは高い。スーパーマンを遥かに凌ぐ大設定ながらみんなそんなに強くなさそうなのはご愛嬌。 この映画は明るく楽しく爽快で「ちょっと」無理があるという正統派アメコミ映画だと思うが、生まれた2011年はシリアスヒーローが大流行の時代。おそらくそういう風潮に抗いたかったのだろうがあえなく撃沈した。しかし主人公ハルの苦悩はもうちょっと前面に出しても良かったのでは?そして「恐怖に立ち向かう勇気」という手垢まみれのテーマをもうちょっと刺さる言葉で鋭く表現してほしかった。せっかく雰囲気は良いシーンなのに。 良いシーンと言えば基本的にシーンはどれも丁寧で退屈しないのだが、特に群衆のシーンは良かった。どんなにCGが発達しても「必死で逃げ惑う大群衆」を撮るのは意外に難しい。よく見ると画面のすみで「ジョギング(ただ指示通りに走っている)している人」が写ってる名作映画はいくらでもある。この映画の悪役は「恐怖」を餌にするという設定だからこの点は重要だ。子供の集団まで必死感を出していたのは感心した。 この映画はコケてしまったせいか劇中で「予告」される続編はアニメになったようだ。制作陣は同じらしい。つまり彼らはきちんと志とヴィジョンを持って作っていたわけだ。時流に合わずに敗れたがいずれ再評価されることを願う。(とまで言っておいてなんだがそれほど深いメッセージ性とか感動があるわけではないのがつらいところ。)[インターネット(字幕)] 7点(2018-03-21 20:32:55)(良:1票) 《改行有》

79.  ジェネレーションズ/STAR TREK 《ネタバレ》 『新スタートレック』未見。TVシリーズ未見でも分かるという評判なので観てみたが、たしかにストーリーは追えるがキャラクターの前提条件がよく分からない。「感情が暴走するデータ少佐」というのはこのシリーズ知ってる人なら面白いのかもしれないが・・・。冒頭の帆船遊びも一体どういうことなのか。 全体的にこの映画は「一体どういうことなのか」という要素が多すぎる。ソランはあの外見で宇宙人?恒星を破壊するミサイルがあのサイズ?しかも地上で爆発してあんなもん?そして時間を巻き戻すネタまで使わないといけないピンチは必要あるか? 『スター・ウォーズ』でもそうだが、大作シリーズを手がける連中の中には自分が主要キャラの首を獲りたいと思う奴が出てくるものらしい。本当に劇中で死なせる必要があるか?死なせるといえばクリンゴンの女艦長達、散々キャラ立てといてあっさり皆殺しってひどくないか?なんかヒューマニズムってやつが感じられないぞ。ピカードも突然カウンセラー呼びつけてさめざめと泣き始めるとかトラウマ描写に深みがない。 もしこの映画に大物キャラの登場と死、そして「作戦失敗でいったんクルー全員死亡」がなければどうなるか考えてみてくださいよ。「偽物のユートピア」はTVでも充分できるネタでしょ?全体的に作為的な話の脆さをショックで誤魔化そうとしているのとしか思えなかった。[インターネット(字幕)] 4点(2018-03-21 20:24:27)《改行有》

80.  42~世界を変えた男~ 映像が美しく物語がサクサク進んでテンポが良い。ジャッキーとその妻役が魅力的だし久々に2時間が長く感じない映画だった。ただ当時のジャッキー・ロビンソンが受けた困難の描写は生ぬるいように感じる。どこにでも黒人ファンやコミュニティが支えていて四面楚歌な感じが薄い。そして問題なのは音楽。効果的なシーンもあるが、冒頭と最後を感動的な音楽だけで盛り上げようというのは安易過ぎないか?妻役も美しいがあんなに出す必要あるか?それならチームメイトとの葛藤をもっと描いたほうが良いような気がするのだが。 とはいえブランチ・リッキー役のハリソン・フォードは凄い。片方の口だけ上げるいつもの演技はしてみせるものの、最後までハン・ソロとは別人の気骨ある老オーナーの姿だった。映画評論家の町山智浩さんによるとハリソン・フォードという人はいつもやる気がないらしい。その気だるい演技で評判を取ってきた。『ブレードランナー』の演技も評価が高いが、劣悪な撮影環境でうんざりする気持ちをそのまま演技に出して成功した。要は天才なのだ。その天才が本気を出すとどうなるか。このブランチ・リッキーは本当に時代を変えた男に見える。[インターネット(字幕)] 7点(2018-03-21 20:10:07)《改行有》

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