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161.  浜辺の女(1947) 《ネタバレ》 オープニングの波や、主人公の見る海中の悪夢、土砂降りの雨など、水のイメージの豊かさがまずはルノワールらしさだろう。 その悪夢の特撮風イメージも、『マッチ売りの少女』で特撮好きを表明しているルノワールの趣味が感じられ、 ハリウッドのシステムの中で、断片的ながらもその作家的特徴を記している。 浜に打ち上げられた難破船の中のジョーン・ベネットとロバート・ライアン。 船側の窓を通して、チャールズ・ビックフォードが手前に近づいてくるのに気づき、二人は画面右手に移って隠れる。 窓の内と外を捉えたルノワール的ショットにさらに素早い横移動が加わり、サスペンスフルだ。 水と対になるライターの炎とクライマックスの火事もフォトジェニックである。 画家の設定だが、話題となる絵を一切見せないあたりもさすが。[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2016-12-10 16:40:20)《改行有》

162.  湖中の女 《ネタバレ》 監督・主演のロバート・モンゴメリーがまずはカメラに正対して長広舌を披露する。視線をほとんど逸らすことなく長台詞を軽やかに語る彼の 眼にまずは吸い込まれるのだが、そこからその彼の眼がキャメラと化してドラマが進行していく。 いわゆる一人称キャメラである。 煙草の紫煙が画面の下手から立ち昇り、鏡の反映が絶妙なアングルで映し込まれ、オードリー・トッターの顔が間近まで迫る。 難儀しただろう撮影上の苦心や技法の方につい関心が向きすぎてドラマにいまいち入り込みづらいのと、画面の動きの乏しさでさすがに中盤には 飽きがきてしまうのがやはり難点か。 と、その辺りは想定したらしく、地味ながら車の尾行やクラッシュなど活劇的見せ場の配置も忘れてはいない。 路側に停車している不審車の横を抜け市街へと車を進行させてゆくフィリップ・マーロウの視点。フロントガラスを緩やかに流れていく夜の街路。 バックミラーに視線が移ると、不審車のヘッドライトが次第に迫ってくるのが判る。 ノワールムード香る、一人称のカメラが良く活きるシーンである。[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2016-11-10 23:41:31)《改行有》

163.  暗黒街の女 《ネタバレ》 シド・チャリシーに危害を加えることを仄めかしてロバート・テイラーを脅迫するリー・J・コッブの凄みに呑まれる。 彼が裏切り者を容赦なく滅多打ちにして粛清する様は、後の『アンタッチャブル』に受け継がれたのだろう。 その彼らのアジトの窓外を高架鉄道が走り、その騒音が響いてくる緊張感も『ゴッドファーザー』でより効果的に活かされただろう。 ショウガール役:シド・チャリシーはカラフルな衣装だけでなく、そのダンスも艶めかしい。[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2016-10-26 23:46:06)《改行有》

164.  黒い牡牛 《ネタバレ》 ダルトン・トランボの偽名、ロバート・リッチのアカデミー最優秀ストーリー賞受賞で有名だが、 ジャック・カーディフ撮影の蒼空と積乱雲が鮮やかに映えてより印象に残る。 様々な動物たちの駆け回る雄大な放牧地から、後半は車が走り回るメキシコ市内へ。 クライマックスの闘牛場はさらに華々しい色彩に彩られ、悲壮を引き立てる。 少年が間一髪で牡牛を救うものと思いきや、さにあらず。 大統領に嘆願するため街中を彷徨い歩く少年と、闘牛場を駆けまわる牡牛が対となるが、 牡牛自身の尊厳と勇敢が勝利する、というストーリーがやはり泣かせる。 二人が寄り添いながら出口へと向かうシルエット、そのラストショットが素晴らしい。[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2016-08-25 23:59:43)《改行有》

165.  ペット 《ネタバレ》 高所に登って、地下に落ちて、クライマックスは水平軸の追っかけから再び水面下への落下―そして浮上。 グリモ―、フライシャー、ラセターと継承される王道のドラマツルギーをここでも踏襲。 あまりにも模範をなぞりすぎて、逆に陳腐にもなってきたか。 『サタデーナイトフィーバー』に乗って闊歩し、『グリース』に乗って夢心地となり、『燃えよドラゴン』に乗って大立ち回りを演じるetc、、。 ノリの良い70年代の懐メロサントラに合わせて画面も華やぐが、その辺も棚ざらえ感が強い原因か。 洗濯ものの翻る路地裏も舞台となる「多種族映画」ということで60年代『ウエスト・サイド物語』風の味付けもあったりして。 主演コンビの仲違いと和解も、ありがちな段取りを踏んだという程度でどうも弱い。ウェルメイドすぎると云えば良いか。[映画館(吹替)] 7点(2016-08-14 23:12:36)《改行有》

166.  マネーモンスター 《ネタバレ》 100分足らずのスピーディな展開の中、いわゆるストックホルム症候群的な主人公の感情の変化が明確に表現されていて キャラクターへの好感を無理なく抱かせる。 臨機応変に男たちに指示を伝えるジュリア・ロバーツ、上司に敢然と反旗を翻すカトリーナ・バルフら、スマートで颯爽とした女性像も印象的である。 複数のカメラ映像の中から適切なショットを即座に選び取り、俳優やカメラマンに指示を与え、効果的な引用映像を適宜インサート編集しつつ現場を仕切り、 尚且つ外部との情報収集も同時進行で行っていくJ・ロバーツの聡明なさまは監督本人を思わせる。 そこでさりげなく挟まれるのがハワード・ホークスだったりするセンスも堪らない。 スタジオを脱出したジョージ・クルーニーがエレベーター内でJ・ロバーツが聞いているのを知ってか知らずか 彼女に対する真情を吐露する。それをモニターで見る彼女は緊張の中、一瞬表情を緩ませる。そんな瞬間の積み重ねがラストの ツーショットに向けじわじわと効いていく。 対象を追い続けたカメラマンは、事件の顛末にそっとカメラを反らし、それを我々の側に向けて置く。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-06-12 20:56:50)《改行有》

167.  スポットライト 世紀のスクープ 《ネタバレ》 被害者、弁護士にインタビューしつつ、メモを取る指先の動き。年鑑の名簿一行一行を定規でチェックしていく手作業。 そして、ひたすら足で歩いての訪問取材。 具体的な個人ではなく、システム・構造を追究するという 題材自体は文章向きかもしれないが、記者達の肉体作業を地道に描写していくことによって行動の映画にしている。 ドアを開けて人と会う、ドアが開いて人が顔を出す、そうしたドアを活用した人物の画面への現れが充実していて、 そのことが、画面への興味を途切れさせない。 『清しこの夜』の歌声がかぶる一連のモンタージュの抒情が染み入る。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-04-22 22:55:43)《改行有》

168.  マネー・ショート 華麗なる大逆転 《ネタバレ》 いかにも、グリーングラス御用達のバリー・アクロイドらしいラフな手持ちカメラが実録風を演出する。 クリスチャン・ベールの表情にズームしつつピントを合わせてみせる手つきなどが相変わらずワザトラシイ。 当時の風俗のスチルが目まぐるしくコラージュされ、饒舌なビジネス台詞の応酬に嫌でも集中させられる。 システムのいかがわしさに次第に焦燥を表していくクリスチャン・ベールの神経症気味の芝居も相変わらず達者なら、 頑固一徹を体現するスティーブ・カレルの気難しい表情も次第にヒューモアを醸していく。 当初はクセのある身振りを見せる主人公らの姿が逆に真っ当さに転換し、業界全体のアブノーマルを炙り出していく。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-03-13 08:28:36)《改行有》

169.  スティーブ・ジョブズ(2015) 《ネタバレ》 同タイトルだけにどうしても2013年版と比較してしまうが、主人公の来歴をオーソドクスに追いかけたあちらの平凡さに対して、 後出しとはいえアーロン・ソーキンのシナリオの卓越が際立っている。 三度の製品発表会、その開幕直前の慌ただしい舞台裏を映画の場とする、挿話の取捨選択・構成が大胆である。 人物は舞台裏をアクティブに動き回り、緩急自在のカット割りと会話劇の中から人物像を炙り出していく。 過去のフラッシュバックは申訳程度に短く挟まれるのみで、映画は現在進行形を貫くが、 1984年、1988年、1998年と、画面のシャープネスを微妙に変化させているような印象もあって、時代と人物の変化を視覚化する工夫がみられる。 2013年版では単に顛末の説明としてある取締役会での解任シーンが、こちらでは窓外の土砂降りの雨が強烈な視覚イメージとして 残るといった具合に、実録性よりも印象的な画作りに優位を置くスタンスも窺がえる。 ラスト、舞台袖に立つ娘と主人公の切返しショットがなかなか良い。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-03-01 23:50:29)《改行有》

170.  ブリッジ・オブ・スパイ 《ネタバレ》 マーク・ライランスの自画像、鏡像、本人の三身が一画面内に映し出される冒頭のショット。 それは二対一の交換のドラマ、国を跨ぐスパイのアイデンティティのメタファーでもあろうか。 鏡への反射の演出は随所にみられ、様々に考察の余地がある。 裁判劇を含む饒舌な脚本でありながら、冒頭で示されるそのスパイ活動の描写は尾行劇とレンズを凝視する事という視覚の駆使であり、 そこに画面で語るスピルバーグの本領が発揮されている。 ヤヌス・カミンスキーは、凍てつくヨーロッパと、温かみのあるニューヨークのルックのコントラストをよく際立たせ、 クライマックスの橋は越境という決定的局面を光と共に象徴的に浮かび上がらせている。 本作での光は、米国パイロットを幾度も苛み、銃弾の撃ち込まれたトム・ハンクス家族を晒し、橋の向こう側に輝くライトも 必ずしも希望を象徴していない。蒼白い光芒の下、シルエットと化して消えゆくそれぞれのスパイと、立ち尽くすトム・ハンクスの 暗示的なロングショットが切なくも美しい。 マーク・ライランスの寡黙な芝居が素晴らしい一方、眉間に皺を寄せるばかりのトム・ハンクスの表情は少々単調か。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-01-11 21:21:24)《改行有》

171.  黄金のアデーレ 名画の帰還 《ネタバレ》 現代パートでの資金難とか家庭不和といった障害はある程度台詞での処理に頼らざるを得ないだろう。 その辺りの淡白さを補うかのように、過去パートの脱出劇がサスペンスと緊張に溢れている。 裏路地で逃亡を通報する者。咄嗟に逃げ道を指示し、手助けする女性。通りの群衆の中で、追う者・追われる者・味方する者・妨害する者、 それぞれの視線が交錯し、スリリングなアクションを形作っている。 出国手続きの受け答えの中で、声を上ずらせながら懸命に機転を利かす若きヒロイン(タチアナ・マズラニー)の気丈さが心を打つ。 弁護士の弁論から大団円まで、クライマックスの調停シーンは裁判映画の型通りの流れだが、それで万々歳とはならない。 その次の場面に訪れる、過去と現在ふたりのヒロインの涙とそれぞれの抱擁が美しい。 その繋がり合いはヘレン・ミレンのチャームあってのもの。メリル・ストリープではこうはいかない。[映画館(字幕)] 7点(2015-12-04 20:20:53)《改行有》

172.  帰郷(1978) 《ネタバレ》 チャップリンの『独裁者』の演説がカメラに正対してのもの(つまり映画を見る観客も含めた聴衆に対してのメッセージ)であるのに対して、ジョン・ボイトのスピーチを映し出すカメラはあくまで語りかけられる海兵隊志願の若者達と、語りかける彼の横顔とが中心となる。 同時に、そこでは無言のブルース・ダーンが軍服を脱ぎ捨て海辺に入水するシーンが対比的にクロスカッティングされ、 その慎ましい寸断によってスピーチは抑制的でより深みのある響きを獲得する。 同時にそこでは波打ち際という古典メロドラマ的モチーフが印象的に補強される。 そのスピーチもこう締めくくる。「there's a choice to be made here.」 これら品のある演出によって、そのメッセージ性も押し付けがましくなることなく心に響く。 全編に流れる歌曲は逆に少し雄弁だが。[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-11-29 23:25:20)《改行有》

173.  ミルドレッド・ピアース 《ネタバレ》 睦み合うザカリー・スコットとアン・ブライスを目撃するジョーン・クロフォード。 二人の表情には影が落ちていて判然としないが、そのシルエットの造型がどこか狂気じみた凄味すら放ち、息を呑ませる。 そういった撮影所的な影の投影技法が随所で光る。 人気のない海沿いの夜のレストラン内は波を反映して光が妖しく揺れている。 冒頭でジャック・カースンが惑うらせん階段や、母娘の決裂シーンで、二人の関係性を暗示する階段。 偏光による微かな歪つさを伴って画面に共存する邪な者の鏡像。 同時に遠い波音やグラスの破砕音、銃声の音響も要所で画面を引き締める。 その中で、特権的な照明を受けてクロフォードのアップは格別に美しく撮られており、印象深い。 主演女優賞は本人の芝居だけに依るのではなく、アーネスト・ホーラーの撮影の賜物だろう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-11-17 23:48:40)《改行有》

174.  自由への闘い 《ネタバレ》 屋根伝いの危険なスタントあり、操車場の高架から列車へ飛び乗るスタントあり。 アクションの演出も頑張っているし、空爆シーンは予算の都合らしく音響だけでの表現だが、 それでも十二分に空襲の恐怖感を伝えている。 ルノワールその人を思わせる相貌のチャールズ・ロートンの演説と身振りはヒトラーとは真逆で穏やかで淡々とし、 語る彼の姿よりも、それに聞き入る人々の表情に多くのショットを割いている。 その中で、彼を万感の想いで見つめるモーリン・オハラが一際美しい。 中でもルノワールらしいのが、映画の中盤、彼女とロートンがガラス戸を挟んで見つめるシーンだ。 屋内と屋外の空間処理の巧さもさることながら、彼女への想いをうまく伝えられない彼の気弱でシャイな姿が何ともいじらしい。 その彼が、ラストで彼を引っ立てようとするドイツ兵士の手を毅然と払い、胸を張って校舎を歩み出て行く。 映画前半の臆病を吹っ切った彼がみせる、さりげないが意思的で尊厳に満ちた身振りの数々が感動させる。[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-11-01 23:55:06)《改行有》

175.  ニュールンベルグ裁判 《ネタバレ》 検察側の人物を背後からカメラが正面に回り込んで映していくと、リチャード・ウィドマークである。 これはケレンを表現するカメラだ。 弁護士役マクシミリアン・シェルの長い熱弁を、法廷内の様子を見回すように旋回しながら収めたロングテイクは、 カンペ無しというアリバイを誇示しながら、彼の長広舌を印象付けるカメラといったところか。 そのカット尻で、彼と被告席のバート・ランカスターの二人をピタリと構図に収めるのなどは、 スター俳優達が別撮りではなく紛れもなく共演しているとアピールするカメラワークでもあろう。 これが、物語も佳境となるランカスターの弁論あたりまで続くとさすがに鼻についてくる。例によって旋回したカメラは彼を真正面に置くと 上昇して、決め台詞直前でいきなり高速ズームで彼を大写しにする。 金さんの桜吹雪や、水戸黄門の印籠じゃないんだから。 途端に映画自体が段取り臭く、様式的・誘導的で、押し付けがましいものとなってしまう。 様々な小道具を介しての場面繋ぎなど、細やかな工夫も随所に凝らされているし、 大戦の犠牲者として登場する二人の女優のキャスティングもいいのだが。[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-21 22:37:44)《改行有》

176.  わたしに会うまでの1600キロ 《ネタバレ》 山上から誤って片方の靴を落としてしまったヒロインは、もう一足の靴も潔く放り投げる。 それを実際にシェリル・ストレイドが行ったかどうかはまったく問題でなく、何よりも映画の要請として投げる。 『ダラス・バイヤーズクラブ』は主人公が病に冒されつつも行動的に世界各地を飛び回る、何ともフットワークの軽い映画に思えたが、 こちらはフラッシュバックを交えながらの地道な歩行の映画だ。 出発の朝、荷物を詰め込んだバックパックを何とか背負おうと悶絶格闘するヒロイン。 その重みの感覚、テント設営の不慣れな手つき、旅と共に身体じゅうに出来た傷や痣などの描写が実に丹念である。 劇中で、森で出会った子供が歌いだす。その清らかな歌声が不思議に沁み入る。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-18 18:06:36)《改行有》

177.  ジョン・ウィック 《ネタバレ》 結末部一歩手前を巻頭に持ってくるのも、キアヌ・リーヴスの顔半分に影を落として二面化する照明設計もノワールスタイルの証。 全般に照度を落とした心象情景の中、主として人工の光が彼の相貌を染める。 摩天楼の夜景空撮に稲光、白銀に輝く雨の反射にネオンサインと、光と影を意識してドラマに組み込んでいる。 雨の波止場で決着を付けた彼が画面手前に歩み来ると同時に、その顔面を次第にシルエット化させて死を仄めかす。 そこで冒頭のショットへと回帰するが、瀕死の彼を生に呼び戻すのは亡き妻の声と、彼女を映した携帯端末の光であると。 打撃系と関節系を組み合わせた連続技のアクションを出来うる限り持続的な引きのフィクスショットで撮る。 桟敷部分からの垂直落下を、多人数掛けの銃撃とそのリアクションをワンショットで収める。 そうした意欲的なアクション演出も随所に光る。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-10-17 22:06:38)《改行有》

178.  ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声 《ネタバレ》 この種のドラマでは、演奏後の大喝采や敵対していた少年との和解や教師たちとの別れのシーンをオーケストレーションで盛り上げて ベタ&ウェットに演出するパターンを和洋問わずさんざん見せられてきたが、本作はその点、物足りなさを感じてしまうくらい淡白でドライだ。 子供たちは安手の仲直りの段取りなど踏まないし、ドラマチックな別離のハグも握手もない。 演奏会を前に皆で一致団結して頑張りましょう的な安手のチームワークもない。 その簡潔な視線と短い台詞のやりとりの中に真情を込める節度あるディレクションがよろしい。 ここでは少年と大人たちとの関係が重視されており、大人への成長が一つの主題となっている。 少年期のみの音域というのもドラマのポイントで、発表会大成功の単純なサクセスストーリーに終わらないのも脚本の妙だ。 次のシーンの音や音楽を先行させて前のシーンに被せる、いわゆる音のズリ上げを用いた繋ぎが多用されていているのだが、 対話の中に合唱が重なってしまって煩わしい部分もある。やりすぎは良くない。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-09-13 20:20:09)《改行有》

179.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》 言語的で非運動的で簡便性が特徴である携帯電話はやはり映画的な小道具ではない。サスペンスを基調とする映画なら尚更で、 この映画の作り手もそこを理解していて、早々に子どもたちの携帯電話を無効にしてしまうなど、気が利いている。 孤立状態も割とあっさりなのだが。 枝葉や車輌など対象物の合間から、メインの恐竜を部分的に小出しに見せていく手管。昼間の擬態や、夜の闇の中で赤いレーザーサイトの交錯の中に シルエットを浮かび上がらせるといった、立体性を意識したモンスターの見せ方の工夫が楽しい。同じくモブシーンの混乱ぶりとスケールも気合が入っている。 もっと、人間視点の仰角構図で恐竜の迫力を見せて欲しかったが。 ヒロインについては、見せ方次第でもっと魅力を出せたはずなのが勿体無い。 滝の上で身支度して一念発起するシーンは、スカートの裾をたくし上げるとかの衣替えでもっと大胆にギャップを提示して欲しい。 後半、銃を打ぶっ放しタンクトップ姿で疾走する彼女はとてもいいが、逆光のショットなどで不美人に見えてしまうのは撮影側の問題である。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-09-11 00:00:10)《改行有》

180.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》 中空での宙吊りアクションといえば、『グランドキャニオンの対決』や『007リビングデイライツ』がある。 いずれも実景ロングショットでのスタントマンによるアクションと、スクリーンプロセスによる俳優らのミドルショットで構成される アクションシーンだが、そのショット繋ぎの巧さも相まって非常にサスペンスフルで迫真のシーンだ。 それらの「アクション」を踏まえていうなら、『ローグネイション』の宙吊りショットにあるのはスター映画の醍醐味であり、アクション映画の それではない。 巻頭の拘束部屋やオペラ舞台裏での格闘にしても、階段を下るカーチェイスにしてもアクションの段取りと設計はあるようだが、 その繋ぎが悪いのか画角が悪いのか、折角の俳優のアクションが映えないのが勿体無い。 クライマックスのマンホールへの滑り込みなども、トム・クルーズ自身は華麗な身体アクションを体現しているはずなのにそれを 効果的に撮れていない印象を受ける。 拘束具にキーが届かずに悪戦苦闘したり、水中行動での不手際や、バンク走行で膝を擦ったりという ハプニング的なアクションの採り入れ方はよいのだが。 トム・クルーズとサイモン・ペッグらとの信頼関係に関する部分は明らかに台詞が多い。 貸し借りがどうとか、彼を必ず救うだとかを言葉で表明してから行動というのはNGだろう。 有言実行は現実なら励行すべきだが、映画ではやるべきではない。 マイケル・マンを見習うべきである。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-09-06 00:21:39)《改行有》

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