みんなのシネマレビュー
ひろすけさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 112
性別

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123

1.  ビッグ・フィッシュ 僕は今までファンタジーが苦手でした。日常とかけ離れているのは良いのだけど、心温まる話、それを感動の材料とするのは得意ではなかったのです。しかし・・・心温まるファンタジーが苦手な僕も簡単に落とされてしまいました。それは父親の話と日常との対比で見せる方法が、ただの一元的な御伽話の世界で終わるのではなく、息子の視点を取り入れた二元的な世界で撮られているからです。だから僕は容易くお父さんの荒唐無稽なお話も受け入れることができ、その親子の対話の中にある人間ドラマにも共感することができました。映画の中の「息子」は僕だったのだから当たり前ですね。そして僕は感動のまま映画館を出て、あることに気付きました。「お父さんのお話はもちろん、息子の世界であった日常、それさえもファンタジーだった。この映画の全て、そして自分が生きている世界でさえファンタジーだった」という事実に(映画のコピーである「人生なんてまるでお伽話さ」は、そういう意味でしたか)。あぁ、もうすっかりやられてしまった。押し付けがましい感動は苦手だけど、この作品はじんわりとからだの芯に染み込んできます。映画を観終わって何時間も経った今の今も僕の心の中を温かくしています。「永遠の子ども」と言われたティム・バートンが次はどんな作品を撮るのだろうと思ったらこれですよ。『シザーハンズ』『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』はこの映画の前振りに過ぎなかったのか・・・と、思うほど素晴らしい作品です。やっぱりファンタジー最高だよ!!!10点(2004-05-17 01:53:40)(良:2票)

2.  ミュンヘン 《ネタバレ》 この映画で良かったところは「正義が至るところにあった」ことでした。もちろん神さまも至るところにいて、皆が皆、神の名を口にしています。そして言っているそばから脳天を銃で撃たれます。人の数だけ正義はあることがハッキリ示されているだけでも満足でした。 パレスチナが悪い。いいやユダヤ人も悪い。パレスチナを二枚舌でちらつかせたイギリスのせいだ。アメリカも胡散臭い。それに無関心な人たちも悪い。世の中は悪人だらけ。完全な善人なんているんでしょうか。完全な悪人だって疑問です。世の中や社会が恐ろしいところは、自分たちに不利益をもたらすものを悪として「自分たちは正しい」と言い張るところです。でも、同時に自らの悪にも気付いていて、その感情を内面で押さえつけるために、限りないほど悪を叩き続けます。 他者を批判をすることが自身の肯定へと繋がらないことは、わかり過ぎるほどわかっているのに、それでもなお、どこからか悪を探し出してきては潰し、また潰す。テロの連鎖に終わりが見えないのも、歩み寄りの姿勢や他者の配慮に欠けている結果でしょう。本当に大切なのは悪を見つけて叩くことではなく、お互いの妥協点を見つけるために協議をし続けることです。強引に納得させることでもない、相手のアラを見つけて「やっぱり俺は正しいんだ」と悦に入ることでもないです。 そのような視点がないと、この映画には納得できません。「けっきょくどっちもどっち。両方悪いんでしょ」なんて言ってしまうのは論外。自分が相手だったらどう考え、どう思うのか。相部屋することになってしまった、ユダヤの暗殺部隊とイスラムのテロリスト。ラジオのチャンネルをお互いに切り替えては自分の優位性を示そうとする。劇場で観れば滑稽なこの行動と同じことを、僕らが普段やっていることに、いったい何人の人が気付いているのでしょう。 映画の終盤、チームは私的な復讐を終え、メンバー全員にチームの存在そのものへの疑問符が見られたころ、ミュンヘン事件のテロリストと同じ顔になっています。爆弾を作るメンバーと、自分が狙われていると思い一心不乱に部屋の爆弾を探す主人公、そのコントラストと、終演間際のニューヨーク世界貿易センタービル、それがこの映画そのものかもしれませんね。[映画館(字幕)] 9点(2006-02-08 22:16:57)(良:2票) 《改行有》

3.  ネバーランド  俳優陣の演技はもちろん、脚本、演出すべてが良かったです。特にジョニーデップ、素晴らしかった。実在人物である劇作家ジェームズ・バリやピーター少年とは本当は違うのかもしれないけれど、そんなゴシップはどうでもいいです。映画を語る上では意味はない。  ネバーランドは御伽の国の話。それを誰もが子供の頃は信じているけれど、いつしか御伽の夢の世界を自分で排除しようと努めるようになる。でも、本当は現実に向き合っているようで、失望と慄きから目を背け、感情を押し殺し、それを「大人になった」と自己暗示で無理やり納得しようとしている。大人になった方が傷付かない? そんなことはないよ。遠ざければ遠ざけるほどリアルな世界はそこにあるんだ。  胸が痛い。「大切なのは信じる力だ」とジェームズ・バリは言う。少年に降りかかる悲劇はそれを体験したものでしかわかり得ない。どんな言葉も励ましにはならないけれど、それでも「信じる力」なんだ。説得力なんてないよ。でもそうなんだ。自分の弱さをどこまでも感じる。僕は大したことじゃなくてもすぐに信じることをやめる。でもそんなに大したことじゃないんだ。信じてみよう。信じよう。9点(2005-03-22 15:26:47)《改行有》

4.  パッション(2004) この作品は観なければいけないんだろうなと思いました。そして観ました。映画を観た小泉首相は「いや~、、残酷な映画だったね」と言っていたけれど、この作品の論点はそこではないと僕は思いました。映画を観た教会関係者がショック死したり、殺人犯が自首してきたり、ましてメル・ギブソンが私財を投じてハリウッドとしては破格の値段で制作し、フタ開けてみたら大もうけ・・・なんて、それはこの映画をアピールする要素であり、作品としてのPRであって、そのもの自体を語ってはいないです。この映画はイエスがイエルサレムの聖職者に捕まり、ゴルゴダの丘で処刑され、そして・・・。みなさんが知っている話です。限られた空間の中だけでカメラはまわり、イエスはなぶられ続ける。その痛さからは小泉首相じゃないけれど目を背けたくなります。だけど観てしまう。決して目を逸らすことなく。作品ではイエスの心が揺らぐとき、その後ろには悪魔が見えます。しかし最後には己の悪魔に打ち勝ちます。イエスは許しを請う。それは自らが虐待をする聴衆にではなく、自らに虐待を行う聴衆を神に対して許しを請うのです。「神よ、この者たちをお許しください!」僕も以前は他の人がそう感じるように「宗教なんて・・・」と考えていました。例えばカインとアベルの話を聞いても絶対に納得できなかったし「神を信じる者が何故争いを起こす?」とその矛盾を支持することはできませんでした。でもそれなりに僕も社会に出て多くの納得できないことや、矛盾に突き当たったことによって、段々と「世の中は決して白黒付けられるものだけではない」という考えを受け入れられるようになっていきました。子供のころは自分が正しいと思うことはみんなが正しいと思っていると受け止めていました。自分の考えの中には他者の考えは存在していなかったから。当然、世の中の人は反発し合います。正義を振りかざして相手の正義を非難する。それは矛盾そのものです。だけどそれを受け入れなければならない。聖書がもし矛盾なく白黒を付けているものならば、その聖書自体が矛盾しているのです。社会に目を向ければ矛盾しかない。だから宗教はそれを説いているのだと思うのです。自己の弱さは、イエスのように普通の人は払拭できないでしょう。だけど皆、自分の中の悪魔を振り払いたいと思うはずです9点(2004-10-29 23:29:49)(良:1票)

5.  キル・ビル Vol.2 《ネタバレ》 1を観た人の中には2を受け入れられないという人がそこそこいるようだ。「滅茶苦茶さが足りない」…1を観てしまったら観客が「もっと」を求めるのは当然わかること。しかし僕が1を観て感じたのは「滅茶苦茶さはここで限界」ということだった(1でも「もうダメ」と感じた人はたくさんいるでしょう?)。しかし2が1以上の血糊たっぷりバイオレンスで仕掛けてくるとしたら…観客は醒めるでしょう。だからバイオレンスは「目潰し」などの最低限度で留めつつ(それでも「痛さ」を失っていないのが凄い)、映画評論家に言われるところの「動」から「静」への転換を図った。前作の売りだった「動」と同じでもダメ、それ以上でもダメ、そうなると別の路線で仕掛けるしかない。そしてタランティーノが考えたのは「ラブストーリー」だった。 僕は不思議だった。自分の映画で「マドンナの"ライク・ア・バージン"は巨根男を歌ったものだ」と言ってのけ、ざくろのような死体を持ってきた殺し屋に「女房が帰ってきたら離婚される!」とブチ切れる俳優タランティーノが出演しない理由はどこへ?・・・と。だけどタランティーノはもう既に出演している。タランティーノよりもタランティーノらしい"ビル"に姿を変えて。ビルはタランティーノそのものだ。前作の血糊に騙されてはいけない。彼はサディストではない。マゾヒストだ。究極のマゾヒストだ。2で突如挿入される1のいちシーン。オープニングタイトル前のあのシーンだ。ビル(= タランティーノ)は血まみれのユマに言う。「俺のことをサディストと思うか?…違う。俺以上のマゾヒストはいない」…そういうことだったのか。押さえきれない狂った愛情は他者を巻き込み最愛の人をも失い暴走し続ける。そして彼はユマの五点掌爆心拳の前に散る。彼は最初からわかっていた、そこに彼女が来ることも自分がそうなることも。わかりつつそれを止めることができず、そしてそんな自分を黙って受け入れる…マゾヒスト・タランティーノの真骨頂だ。この映画が「B級」と呼ばれ、全米(全世界)のPTAから叩かれても全米No1を獲ってしまう凄さ。ちゃちな仕掛けと『子連れ狼』がこの映画の醍醐味ではない。この映画は100%のタランティーノのラブストーリーであった。9点(2004-05-05 13:45:49)

6.  ロスト・イン・トランスレーション 言ってしまえばどうってことない映画でしょう。ドラマチックなものは何にもない・・・一般的に言えば。東京に放り出されたふたりのアメリカ人の男女。とくに何もなくテンポも悪く映画は進みます。『ブレードランナー』的混沌の東京で異質な世界を醸しつつ、だけどそれは「畏敬の日本」を 表したかっただけではないこともわかる(大なり小なり自国以外は全て異国であるから)。では、この映画は何が言いたかったんだろうと考えてしまう。そしていくら考えても僕はひとつの答えしか持ち合わせない。つまりこの映画は「ラブストーリー」であると。しかし「ラブストーリー」でありながらなんにもないわけです。ベットの上で服を着たまま転がるだけ(粘膜の擦り合わせが男女の愛情表現の全てではないです)。意味のないような京都のシーン。その一見無駄のようなシーンも花婿と花嫁の何気ない仕草により氷解します。最後の別れ、彼と彼女の囁きを感じ取って欲しいです。聞き取れなくていいんです。そこに愛情さえも超えた別の「ラブストーリー」を感じることができるでしょう。9点(2004-04-21 22:34:55)

7.  ソラリス A・タルコフスキー版が大好きで、ソダーバーグがリメイクということで警戒はしていたんですが…予想以上に面白かったです。前作よりこちらの方が原作に近いような気がしました。劇場パンフにも書いてありましたが、リメイクをするとなると前作の「熱狂的ファン」には大なり小なり文句は言われるものです。それを覚悟の上で撮ったソダーバーグには拍手を送りたいですね。9点(2003-07-02 16:37:59)

8.  めぐりあう時間たち ものすごくよかった。キッドマンのオスカーは納得です。9点(2003-05-19 23:08:48)

9.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》  スクリーンを観ているときにずっと考えていたことは「この作品も先日観た『ミュンヘン』と同じように(日本民族の)日本人には理解しにくいだろうな」ということでした。ですから僕も本質的な部分ではよくわかっていないんです。表面上はわかったつもりでも、日本民族のアイデンティティが99%を超える日本に住んでいる日本民族が、この問題を理解できるわけはないのです。  僕が『クラッシュ』を観ていて何度も何度も『ミュンヘン』を連想してしまったのは、この作品にもやはり完璧な善と悪とが存在していないからです。観賞している誰もが嫌悪感を抱くであろう黒人蔑視の白人警察官が映画の後半にどんな行動を起こすのか。また逆にそんな彼の差別的言動に嫌気が差した、相棒の若い白人警察官の行動は悲劇を招いてしまいます。黒人の自動車泥棒が素晴らしい行いもします。事件に巻き込まれる善良だと思われたアジア系男性の本性は…。物語が進んでいくほど分けがわからなくなって、そして「この人物はこういう性格だ」と色眼鏡を掛けようとしていた観客全てを嘲笑うのです。  私たちが生きている社会はつらいことがたくさんあって、面倒くさいこともたくさんあります。人は自分の経験が蓄積してくると、それに基づいた考え方や行動を取るようになります。ある一定の自分の中の法則を作り上げ、従って、そう考えて行動した方が楽だからです。全てを単純化して系統立てて考えた方が、自分の強さ弱さや善悪の判断基準をより明確にでき、揺るがない自信を得られると信じているからです。当たり前のことですが、人はステレオタイプの考えを持たないことは難しいです。けれど、自分の知らないことを知ろうとする努力と、自分のルール以外のことを考え考察する手間と、正しいと思い信じているものを再度検証してみることを怠けてはいけません。  人種や民族といったアイデンティティの違いから、他者を差別することはあってはならないことです。しかしアイデンティティを消して同質化を図ることも許されることではありません。『クラッシュ』はアメリカの物語であり、世界の物語です。日本のようなひとつが大部分の地域を取り出せば見えてこないような問題も、アメリカのように混ざり合うことで浮き彫りになるのです。他者をより尊重し、そして問題提起をする「人種のサラダボウル」をこの映画に見た気がしました。[映画館(字幕)] 8点(2006-02-18 23:53:05)(良:2票) 《改行有》

10.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 この作品は幼い頃からのインプリンティングで、評価するとかしないとかそういう次元の作品としては観れなくなってしまった。[映画館(字幕)] 8点(2005-12-11 15:37:58)(良:1票)

11.  アイランド(2005)  誰だって死にたくないものね。女性が肌を若く保ちたいと思うのは必然だろうし、自分の臓器が使い物にならなくなってしまったら「もしスペアがあったら…」と思うのも当然だと思う。でもね、そのスペアが意思を持ち喜怒哀楽の感情を持っていたら、それを果たして「物」として扱えるかどうかですよ。企業が躍起になるのもしょうがない。ひた隠しにするのも。しかし、倫理的な問題がこの映画の根底にあるのは当たり前としても、それに固執しなかったのはエンターテイメント作品としては大正解だったと思います。いや、ジトーーっと暗くじっくり考えさせる作品も好きなんですよ。でもそれだと説教臭くなって『ブレードランナー』なんかの焼き増しにしかならないんじゃないかなと。そういうアプローチの仕方であればミニシアター系の低予算映画で攻めるしかないのです。どっちの系統の映画も一長一短ですよね。大衆ウケしない玄人好みの映画が全て素晴らしい映画とは思えないから。この作品は一時的に壮大なテーマには目を瞑り、ド派手なカーチェイスと空中戦に目を向ければいいじゃないですか。『2001年宇宙の旅』『惑星ソラリス』もSF映画、『アイランド』も立派なSF映画ですよ。『時計仕掛けのオレンジ』『未来世紀ブラジル』へのオマージュも見受けられたし。…『ロスト・イン・トランスレーション』からのスカーレット・ヨハンソンの成長も見届けられたし………やっぱりかわいかった(結局はそこに落ち着く)。[映画館(字幕)] 8点(2005-07-23 23:40:47)(良:1票)

12.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版 カオス理論っていうの? タイムパラドクス? よくわからないけれどそれは実生活でもイメージがわきますよね。「あのときこうやっておけば」とか「あの人に会っていれば(会わなければ)」とか・・・ふう。ま、そんな感じです(意味不明)。バタフライ効果といっても『オールドボーイ』じゃないですよ。どちらかというとシリアスな感じの 『バック・トゥ・ザ・フィーチャー』かな。一瞬だけ過去に戻れて「そのとき」をリロードすることができるから。でもこの手の映画ではつきものですが「こちらに立てばあちらに立てない」。必ずうまくいかないものです。友人が凶暴になっていたり、誰かが死にそうになっていたり。もう本当に疲れます。トラウマ要素が連発なんだもの。そしてラストは・・・。WIN WIN WINってほんとなのかな? 何かが誰かが犠牲になる。それは誰も気付かないところでかもしれない。悲劇は自分だけ知っている。とても悲しいね。そしてエンドロールにかかっていた曲はオアシスだった。そこでまた泣きそうになりました。いい映画でしたね。ちょっと重いけれど。[映画館(字幕)] 8点(2005-07-06 21:17:42)(良:1票) 《改行有》

13.  エターナル・サンシャイン  暴力的にあらすじを一言でまとめてしまうと「別れた恋人の記憶を消す話」です。主役がジム・日本では何故かそれほど人気がない・キャリーな時点でシリアスな話にはならないなと思っていたんですが、予想通りそうでした。でもね、あとからかみ締めるとやっぱり切ない話だよ。だって、いちどは愛した人の記憶を消してしまうんだよ? それだけで藤子不二雄は短編を5本は作れそうですよ(じっさいにパンフには藤子不二雄的であると指摘をしているコメントが載っていました)。  時間軸がねじれています。それは「メメント方式」というかなんというか。「わけわかんねー」と感じる人がいるかもしれません(『バニラスカイ』に似てたかな?)。けっこうそのアプローチの仕方は良いと思いましたよ。言ってしまえば簡単な話を複雑な切り口で表現することができるから。記憶の中でジム・キャリーを複数登場させるとか、時間軸をぶった切った意識を持たせることなんかは。  消えかけた記憶から逃げるジム・キャリーの気持ちは、後悔と失望の狭間で揺れ続けます。でも自分で選んだ結末なのに結局は消える記憶をいとしく思ってしまう。そこの弱さが配役的にピッタリでした。彼女はケイト・ウィンスレットだったけれど、僕はキルスティン・ダンスト(『スパイダーマン』の悲しそうな目をした女の子です)の方が良かった。好みの問題ですよ、ええ・・・って、彼女がいちばん切ないじゃん!?というツッコミはあえて考えない方向で。  記憶を消すなんてバカらしいよ。誰しもレーザービームで消し去りたいことなんてひとつやふたつ・・・数え切れないほどあるでしょう。でもそれが今の自分を作っている。血となり骨となって「もうあんなことは二度と御免だ」と考えたり、ときどき記憶が頭を持ち上げては切ない気分を思い出させる。しかし、それを含めて自分なんだ。良い記憶も悪い記憶もひっくるめて生きていけたらなぁと思う。強くなりたいと思うならなおさらね。過去に囚われた人を好きになってもその記憶ごと愛しているから・・・そんな(どんな?)ことを考えてしまった映画でした。8点(2005-03-22 15:38:31)《改行有》

14.  キル・ビル Vol.1(日本版) 満足しました。予想通りの出来でした。何十(何百?)億もかけてB級映画を作ってしまうタランティーノを尊敬します。でも、ぜったいに彼は意識してこの「B級風映画」を作ってますよね。今日、『キル・ビル』を観て確信しました。彼は数千という映画は観ているので、『ベストキット2』なんかも確実に観ているはず。どう考えてもアレは日本ではないし、日本刀を当たり前のように持ってはいないし、ハットリハンゾウは武士ではない。そんなことは監督だって百も承知だろうし、リアリズムを追求するならいくらでもできるハズ。何回も何回も流れる「鬼刑事アイアンサイドのテーマ」を耳にこびり付かせながら、僕はそう思いました。しかし芸が細かいよね。日本刀を構え対峙している状態での、日本刀の刃を起こす「カチャ」は侍映画では当然のように使われるけど、アメリカ映画では初めて見ました。刀は切りあっているうちに、切れない方向へ回転してしまうのですよね。でも、当然、刃は一定方向からの斬りつけからしか切れないので、「カチャ」を絶対にやる必要があるのです(音はもちろん鳴らないけど)。彼の日本映画に対する、しょうもないこだわりを感じます。あとは血の多さ。あれは日本で一般的に用いられるタイプの血を使っているのか、それともアメリカタイプのものを使っているのか。刀と拳銃で飛び散る血のタイプは違うのです。どっちだろうなぁ。水っぽいのと、粘り気があるものがあったので、両方とも使っていたりしてね。残酷なシーンがテンコ盛りで、受け付けない人は全くダメだろうけど、全然、実社会とは別物として考えれば、これほどエンターティメントに徹しているものはありません。キタノという、拳銃を本当にシビアな殺人のための道具として完璧に扱える人間もいるけど、タランティーノはそれに次ぐ拳銃の使い方の上手い監督だと常々思っていました。で、今年、『座頭市』ができたらこれかよ、みたいな(笑。続編が楽しみですね。#ちなみに関根勤が大絶賛しています。この映画。8点(2004-02-05 18:43:27)

15.  Vフォー・ヴェンデッタ プロバガンダを否定するプロバガンダ映画と言ってしまったら安直かな。言論・思想統制をする近未来のイギリスに突如現れたモンスターちっくな仮面の男。こいつが強い強い。小気味良く悪の権化と化した政府を千切っては投げる。このような判り難くなりがちな題材を判り易く表現している作品は、絶対的な悪が必要なんでしょう。だから爽快感はある。これは『1984年』『未来世紀ブラジル』と対比はしやすいだろうが、世界情勢の流れからも冷戦構造の時代とは異なり、アメリカ一極支配 VS テロリズムの混沌時代を反映させ、ラストは爽快な仕上がりになっている。全世界に配給する映画がカルトなものを作っては(それを売りにする以外には)予算が付かない。それが既存の映画産業に批判的な「ミニシアターバンザイ・ハリウッドはクソでしょ主義」=「それっぽい映画ファン」をのさばらせることにつながる。その点ではカルトテイストの本作をメジャーで公開していることに意味があると思う。制作がウォシャウスキー兄弟となっている時点でカルト色が押し出される形にはなるが、それでも『マトリックス』よりはメッセージ色が強く、わかり難いようで善悪がハッキリと描かれているため実際は理解しやすい。また米独合作というところでなんとなく納得してしまうのである。と,まあよくわかんないことをくどくど書いたけど、ナタリー・ポートマンが美しかったのでよしとする(何。[映画館(字幕)] 7点(2006-08-04 01:15:23)(良:1票)

16.  エミリー・ローズ ホラーカルト&法廷もので変な組み合わせ映画の新境地キター!!って感じでしょうか。この組み合わせはすごいよ。たぶん今まで誰も考え付かなかったんじゃないかな(ま、考える奴はそういないとは思うが)。 エミリーさんがスティーヴン・タイラーよろしく素でもごつくて怖かったりするんですが、悪魔が憑依したときの顔と演技は、もうそれだけでトラウマものでおなかいっぱい。悪魔祓いに失敗してエミリーさんを殺してしまった神父の裁判を軸に物語は進んで、証言で事件を振り返るというところが『羅生門』方式ですね(これは監督自身が言っていたみたい)。それがまたリアルでツボにハマります。もちろん『エクソシスト』ばりに悪魔が大暴れするシーンも怖さ全開ですよ。 そして何よりこの映画の魅力は事実に基づいて作られているということ。久しぶりに骨太のホラーカルト映画を観ました。満足満足。[映画館(字幕)] 7点(2006-03-19 03:27:25)《改行有》

17.  チャーリーとチョコレート工場 ティム・バートンは結婚して子供が生まれて、ある程度テーマというかその方向性が見えてきたような気がします。前作の『ビックフィッシュ』はモロに父親と息子の愛情(それを見守る家族愛)が主題でした。今回もやはりテーマは「家族愛」なんですが、そこにまたバートンならではのブラックジョークやニヒリズムがエッセンスとして加えられています。家族にはもちろん様々なかたちがあって、それぞれの家族がお互いを愛し合っています。しかしその愛情は時として周囲から見れば、滑稽なものであったり嘲笑の対象となるわけです。劇中ではそのような「おかしな家族愛」をちょっと観客が引くぐらいの勢いで軽快に叩き潰していました。バートンはもしかしたら自分が感動のさなかにあっても、そのコテコテの雰囲気に耐えられず「なんちゃって~」と言わずにはいられないお茶目な人なのかな…って感じましたよ。『ビックフィッシュ』があまりにも「感動作」であったためにそれに対するアンチテーゼを自分の中で作らざるを得なかった、と。もちろん何も気にせずに観れば序盤と最後の家族愛の前に、中盤のグロテスク(?)なかたちで間違った家族愛は吹っ飛ばされてしまいます。それでも観客の誰もが思うであろう「感動した!(…だけどちょっと中盤がやり過ぎって感じがしたよ)」がバートンの狙いであったのかな。見た目上はハッピーでコーティングして、少しずれてしまえば他の家族のように(傍から見れば)滑稽なかたちで叩き潰されてしまうんだよという、たぶん自分が想像し得なかったほどの順風な家族を作っちゃってるよ俺…的なバートン家族への自らの警鐘である、と。『マーズアタック!』などの作品を悪趣味という人はいるけれど、本作のブラックジョークは「家族愛」というコテコテのメッセージをアピールしたいがためのコントラストなのかもしれませんね。『コープスブライド』に続き、そのまた次回作も楽しみです。[映画館(字幕)] 7点(2005-12-11 15:47:25)

18.  ミリオンダラー・ベイビー  静かな映画。前半の「動」の部分も粗いフィルムと影のコントラストでとても落ち着いて見える。この映画は悲劇だ。ハリウッドの浪花節じゃない。それだけは言っても構わないだろう。でもそれだけしか言えない。この作品の全ては映画の世界でよく目にする悲劇だ。だけどそれだけではない何かを持っている。何かはわからない。たぶん僕の年齢ではわかり得ないんだ。コメントすることも拒否する映画。それに巡り会っただけでも幸せかもしれない。ハリウッド万歳の人に観て欲しい。また、ハリウッドを否定する人に是非観て欲しい。使い古された悲劇と裏切り裏切らないエンディングを。これはイーストウッドからハリウッドとアンチハリウッドに与えられた難解な宿題だ。[映画館(字幕)] 7点(2005-07-06 21:30:31)(良:1票)

19.  コンスタンティン 『エクソシスト』+『ハヌマプトラ』+『ロード・オブ・ザ・リング』+『マトリックス』・・・悪魔祓いで「おりゃー!」って感じですよ。でもこういう話は好きだなぁ。キアヌ・リーブスもカッコよかった。 [映画館(字幕)] 7点(2005-07-06 21:14:37)《改行有》

20.  きみに読む物語  いいねこれ。何のひねりもない純愛もの。若いふたりとお年を召したふたり、だけど何も変わらない愛。安心して観られます。 観に行った日は男性差別の日(レディースデイ)だったので、まわりは女の子ばっかり。劇場の至るところからすすり泣く声が(となりの人は号泣していました)。主人公の女の子がかわいかったです。あ、ちなみに僕はひとりで観に逝きましたヨ。 7点(2005-03-22 15:34:04)《改行有》

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS