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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. アナと雪の女王 《ネタバレ》 ディズニー映画で感動したのはトイ・ストーリー3以来。 中盤から後半にかけての内容だったら、いつもの楽しいディズニー映画。でもこの作品は前半がやばい。 有無を言わさず感動してしまう。それは理屈からくる感動ではなく、おそらく美しい絵や景色を見たときに湧き上がるどうしようもない感動に近いもの。私は芸術に疎いのですが、それでも心を揺さぶられてしまうのですから。この映画が大ヒットした理由がよくわかります。 もともとミュージカルは苦手。ですがこの映画は別格。ストーリーと歌が見事に融和して、言葉では言い表せない感動を味わいます。 TⅤで何度も紹介される『Let It Go』のシーンはもちろん、『生まれてはじめて』が流れる城が開城されるシーンも心が震えます。ここではエルサとアナが交互に歌う二重奏のような形式。Wヒロインもうなずける魅力的な二人のヒロイン。お嬢ちゃんたちが見る子供向けアニメと侮るなかれ。これほど完成度の高いミュージカルアニメには滅多にお目にかかれないでしょう。 皆を、特にアナを傷つけたくないと、独りでいるエルサがとにかく切ない。 魔法の部分の記憶だけ消され、姉がなぜ自分を避けるのかわけがわからないまま、それでも姉を慕うアナがまた切ない。 中盤からはごくありふれた冒険活劇になってしまいますが、それはそれでエンターテイメントとして楽しめます。 そしてここでエンターテイメントの傑作オラフ登場。オラフの存在が、中盤以降の暗くなりがちなストーリーの良い緩衝材になっています。オラフの存在は楽しく、そして愛らしくいじらしい。 エルサが作り出した雪のゴーレムみたいなやつが乱暴すぎるのがちょっとまずい。あなたの大事な妹が、あなたの作ったゴーレムで死ぬほど危険な目に遭っていますよ。 それにしても、アナとオラフの声優さんがね、もういないなんてね・・・ この映画を見ると本当にもったいないなって思っちゃいますね・・・[ブルーレイ(吹替)] 10点(2022-07-01 02:08:05)(良:1票) 《改行有》 2. ウォーリアー 《ネタバレ》 久しぶりに映画を見て泣きました。しかもなぜ泣けるのかがよくわからない。『感動させよう』というあざとい演出もないし。ただ男達が殴り合っているだけなのに。ブレンダンがロシアの優勝候補の選手と戦っているあたりからもう涙がとまらんかった。 戦場で何かがあった、秘密を抱える天才格闘家トミー。娘の治療費で家のローンがピンチ!家族と家を守るため、決死の覚悟でリングに上がるトミーの兄ブレンダン。 圧倒的な強さで勝ち上がるトミーにはヒロイズムを感じ、奇跡の逆転劇を繰り返すブレンダンに感動する。 実況やニュースキャスターを利用した盛り上げ演出もすごく上手い。ブレンダンの教え子たち、校長、そして妻、みんながブレンダンを応援する様子がぐっときます。最初は携帯からの連絡を待ち、次はTVで応援し、最後は会場まで応援にいっちゃう奥さんが最高に良い。『賞金をもらう前にあなたの生命保険を受け取ることになるわ』と辛らつな言葉の中にあふれる愛情、名台詞です。 ノンフィクションでは描かれない人間ドラマ、戦いの背景、そこに至るまでのプロセスを映し出してくれるのが映画の最大の長所だと思います。長尺を感じさせない、充実した時間を過ごすことができました。 ・・・2人はその後どうなったのだろう。ナレーションでも良いので、トミーとブレンダン、そしてその家族がどうなったのかちょっと知りたかったですね。[ブルーレイ(字幕)] 10点(2019-11-06 11:31:19)《改行有》 3. Mr.インクレディブル 《ネタバレ》 ヒーロー行為が違法行為になるという、今まであえて誰も踏み込まなかった領域に、ためらわず踏み込みましたね。 言うなれば、これは『ビルを壊したウルトラマンに損害賠償を請求する。』というアイデア。 いやー、面白いですね。これ。最高です。 誰にも見つからないように隠れてコソコソヒーロー活動。そこにあるのは『正義感』だけではない。過去の栄光を取り戻したい自分がいる。でも家族の生活も守りたい。そこへ追い討ちをかけるかのように、自分のせいでダークサイドへと堕ちてしまったアナキ・・じゃなかった、かつてのファン。切ない。ただのエンターテイメントには収まらないドラマ性が、この作品にはあります。 前半から中盤にかけては、逆風、逆境の連続で、見ているだけで気持ちが疲れちゃいそうになりますが、そこを暗くなりすぎず、軽快なテンポで次々と見せていくのはさすがピクサー。 そしてこのたまりにたまったもどかしい気持ちは、終盤へのカタルシスへと昇華されていくのです。 完璧です。 後半はインクレディブルファミリー大活躍。 スピード感あふれるアニメーションで繰り広げられる超能力バトル。待ってましたとばかりに駆け回るダッシュ。私はかれのダッシュシーンが相当のお気に入り。ラストでジャックジャックが何かやってくれそう、というのも予想通り。 こちらが期待するストーリーを期待以上のアニメーションで楽しませてくれるエンターテイメントの傑作。 『ジャックジャックアタック』という特典映像もかなり面白い。その面白さは本編を超えるかも・・ 久しぶりに永久保存版でブルーレイディスクを購入しようと思う1本です。[ブルーレイ(吹替)] 10点(2017-05-06 02:56:56)(良:1票) 《改行有》 4. アイドルとデートする方法 《ネタバレ》 久しぶりに良いラブコメを見ました。笑えるし泣ける。そして終盤では切ない気持ちに浸れる。まさかこんなティーン向けのコテコテなラブコメで涙腺がゆるんでしまうとは。 ストーリーは古臭さを感じさせるかもしれません。ですが昭和生まれの自分にとっては、この古臭さがストライク。 この作品では、タッドが悪役として描かれないのが良いですね。 タッドがただの女垂らしであれば、『ざまーみろ』の一言でおわり。 ですがタッドが何気に良い人なんですよ。ただのチャラ俳優ではありません。タッドなりにロザリーとのことを真剣に考えています。 だからロザリーが、タッドではなく結局ピートを選んでしまうラストに、B級作品とは思えない説得力が生まれます。 また、良い作品というのは、主役級の人たちだけではなく、その脇を固める人たちにも魅力があります。 この作品でも、『父親』『バーテンダーの姐さん』『ロザリーの親友』など、個性溢れる人たちがたくさん出てきます。 ただのあっぱっぱーな人もいれば、さりげない優しさを見せるひともいる。 そのバランスが極めて上手く、コメディタッチながらも穏やかな優しさにつつまれた作品へと仕上がっています。 ロザリーの父親の台詞は良かったですねー。 『タッドが来てから、街中がそわそわしている。いつもなら娘が誰を選ぶかはわかる。でも今は〝いつも〟とは違う。』 人を慰める名台詞だと思います。 劇中劇もしらけることが多いのですが、この作品での使い方は実に上手いです。 特に、冒頭の映画シーンと、クライマックスのリンクのさせかたは、ありがちだけど見事![DVD(字幕)] 10点(2016-09-30 17:47:54)(良:1票) 《改行有》 5. トラフィック(2000) 《ネタバレ》 クライムムービーとして、社会派ドラマとして、大変完成度の高い傑作。2時間30分があっという間に過ぎます。ここまでの作品にはめったにお目にかかれません。 大きな3つのエピソード、事件が、同時進行で進んでいく様子は圧巻。 一つ一つの点にすぎなかったエピソード、人物が、線と線で結ばれ、次々とつながっていきます。ですが、よくある『最終的に一つの大きな結末を迎える』というわけではありません。それぞれのドラマがそれぞれの完結を迎える脚本が、リアルを感じさせます。 一つ一つのエピソードは、それぞれ1本の映画が撮れそうなほど、中身が濃いです。 登場人物がこれだけ多いのに、全く混乱することがありません。 エピソードも、人物描写も、細部にわたって手抜きが一切見られません。 あまりにも真面目に撮られているため、一見娯楽性が無いように見えるこの作品。確かにそーかもしれません。 ところがこーゆー作品は、ある瞬間、物語の中に入りこんでしまうと、鳥肌が立つほど面白いのです。その面白さっていうのは、『楽しい』ではなく、物語を読み解く面白さなのです。 ハビエールとマノーロは、将軍と麻薬組織のつながりを証明できるのか。ヘレーナは300万$を調達することができるのか。ロバートはキャロラインを見つけ出し救うことができるのか。レイとモンテルはルイスを証言台で証言させることができるのか。 下手なアクション映画やサスペンスより、よほどハラハラさせられたのは、きっと私だけではないはずです。 何が凄いって、これが純度100パーセントのフィクションであるということです。 これだけシリアスで重いテーマを扱っているのに、ぎりぎりのバランスで大衆向けに収めていることです。 そしてすべてのエピソードに、『救い』と『報い』の両方を用意していることです。 これぞ究極のエンターテイメントであります。[DVD(字幕)] 10点(2016-05-17 08:17:21)(良:1票) 《改行有》 6. うちへ帰ろう 《ネタバレ》 泣いたー。久しぶりに映画見て泣きました。 これこそ隠れた名作でしょう。 この作品には、笑い、感動、人生において大切なすべてがつまっている気がします。 そして何より出演者のみなさんの迫真の演技が凄い。 特に終盤。母親の前で泣き崩れるダニー。デボラに父親の真相を話すドナ。父親に思いのたけをぶつけるデボラ。 誰もかれもが重要な役どころを完璧に演じきっています。 何故この父親と母親が離婚するまでに至ったのか、その真相は劇中では明かされませんでしたが、離婚っていうのは実際はそういう言葉にできない小さな積み重ねに因るところが大きいのかもしれませんね。 正直、若い人にはピンとこない映画かもしれません。 推奨年齢20代後半~40歳くらい。もしくは結婚を間近に控えている方。 そういった方は、きっと感動すること間違いなし。 心のデトックスされます。家族を大事にしたくなります。そんな映画です。[DVD(字幕)] 10点(2015-09-21 00:23:39)(良:1票) 《改行有》 7. ディープエンド・オブ・オーシャン 《ネタバレ》 弟ベン(サム)の性格の良さが無ければ成立しない感動の物語。久しぶりにものすごく良い映画に出会いました。 ひとつも無駄なシーン、無駄な台詞が無い完成度の高さです。役者さん達の演技も素晴らしい。とりわけ、子供時代のヴィンセントの演技は完璧でしょう。責任を感じながらも、母への不満を、その表情と少ない台詞のみで体現してしまっています。 ベンがいなくなり、母の心が壊れてしまい、家族の心の歯車が狂っていく序盤のシークエンス。正直ここでのベスには賛同できません。気持ちはわかります。でも母親です。いなくなったベンと同じくらい、ヴィンセントとケリーを、そして旦那さんを大切にしてほしいものです。ただ、『自分とベンだけが辛い』みたいなこの母親の姿が、きっと一番リアルに近いのでしょう。 母が母としての努めを果たさない日が続き、ヴィンセントは責任を感じているためそれに文句も言わず、諦めたように自分の足で家に帰り、母の代わりにケリーの世話をする。その様子がリアルすぎて痛々しすぎて、そして後半に活きてくる演出。すごい映画です。 家族の絆、リアルな兄弟の姿、それは決して完璧ではないが故に、見ていて感動しっぱなしです。 『君は木製のチェストから出られなくて、でも全然怖がりもせずに笑っていたんだ。』『君が来てくれると思って安心していたんだ。』のように、さりげなく心を打つ台詞が多いのもこの作品の特徴。その中で、『君』と、決してまだ家族にはなっていない距離感があることを感じさせる言葉のチョイスが逆に素晴らしい。 まさに名作と呼ぶにふさわしい傑作中の傑作です。[DVD(字幕)] 10点(2014-10-20 00:46:42)(良:1票) 《改行有》 8. トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 短いレビューが多くなりがちなアニメ作品やエンターテイメント作品において、同ジャンルにもかかわらず、これだけたくさんの方が長いレビューを書いていらっしゃる時点で、もはや驚愕の作品と言わざるを得ません。 ラストのアンディとおもちゃ達の別れのシーンが、今まで見たアニメの中では『風の谷のナウシカ』と同じくらい感動します。ただこちらは、現実世界で実際に起こりうる日常の1ページを切り取って、そこに感動があるというのが素晴らしいです。 感動は、映像の中の作られた世界の中にだけあるものではなく、現実世界の中にもたくさんあるようです。多忙な人生の中でそれに気づけないようになってしまった自分に、そのことを気づかせてくれた大事な作品となりました。 個人的には、おもちゃと同じくらい感動させてくれたのがお母さんです。『2』ではヤードセールでウッディを買おうとした客に、「それは息子の大事なもので、売り物ではないんです。」ときっぱり言うお母さん。今作では、荷造りの終わった息子の部屋を見て涙します。このシーンは、序盤でアンディとアンディの妹がおもちゃで遊んでいるところをお母さんが録画しているシーンがあって、これが完璧な伏線として効いています。 アンディがおもちゃを大切してきたという気持ちが、痛いほど伝わってくる本作。それは子供とその子供の人生を大切にしてきたという母親の気持ちでもあるみたいです。 トイ・ストーリーが1995年、そのときに7歳の人がリアルタイムで見ていたとしたら、トイ・ストーリー3と出会うのが22歳。もしそこまで計算して本作を作ったのだとしたら、この作品は『シリーズ』ではなく、1~3で、1つの壮大な、そうまさに『トイ・ストーリー』なのかもしれません。 観る人たちといっしょに歴史を刻んできたトイ・ストーリー。使い捨てが主流となり、壊れる事を想定した製品をメーカーが作っちゃうのが当たり前になってしまった現代において、この作品はそんな世界を変えてしまうかもしれないですね。[ブルーレイ(字幕)] 10点(2014-07-07 01:22:26)(良:4票) 《改行有》 9. アメリカン・プレジデント 《ネタバレ》 いやあ、これはもう「デーヴ」より好きかもしんないです。シリアスとコメディとロマンスが最高のバランスです。最高のエンターテイメントです。 大統領シェファード(マイケル・ダグラス)の人柄もさる事ながら、アネット・ベニング演じるシドニーの魅力が全然大統領に負けていないのが素晴らしい。見ている間、ずっと二人を応援しちゃいます。また、マーティン・シーンやマイケル・J・フォックスやサマンサ・マシスといった有名な俳優さんや好きな女優さんが、さりげない個性で大統領を支えている感じがたまらなく良いです。 それに、こういったドラマではお約束かもしんないですが、この映画でも「大統領」という立場を利用した大統領ジョークがちょいちょい炸裂するのです。序盤でシドニーからいたずらと勘違いされ電話を切られ、花屋からいたずらと勘違いされ電話を切られ、もう笑いっぱなしです。 そして終盤に近付くにつれ、感動的な台詞が多くなり、今度は涙腺が緩んでしまいます。ラストの演説はもちろんですが、報復爆撃を命じた直後の大統領の言葉も胸につきささるものがあります。 傑作です。超オススメです。これは本当に良い映画ですよー。[DVD(字幕)] 10点(2014-04-03 04:25:54)(良:3票) 《改行有》 10. パワー・オブ・ワン 《ネタバレ》 心に残る素晴らしい映画でした。 青年PKは、自分自身運命に翻弄され、幼少期に過酷ないじめを受け続けたからこそ、虐げられる立場にあった黒人たちの気持ちが痛いほどわかったのでしょう。 PKにとっては肌の色の違いによって人が差別されることが、あきれるほどにくだらないことでした。映画の中では常に異色の存在であるPK。彼の価値観は現代の私達に近く、当然当時のアパルトヘイト政策下では受け入れられるはずもありません。彼のまわりで悲劇が繰り返されるのはもはや必然だったのかもしれないです。 あまりにシビアな内容に、重く、暗くなってしまいそうなのに、全然そうならないのがこの映画の素晴らしいところ。むしろ、全編に渡って明るく爽やかなイメージが作品を支配しています。これはきっと、PK、ドク、ヒールピート、セント・ジョン、ポータ、マリア、ギデオンといった、彼とその周りの人達が、いつも希望を抱き続け、自分たちの信念を貫き続けたからでしょう。 この映画の中から感じられるのはいつも希望なのです。そしてその希望を信じて疑わないPKたちの心です。彼らの希望は、彼らの心は、言葉となり、歌となり、そして教育となって彼らの世界を駆け巡ります。 片目を失ったギデオンをPKが気遣ったときにギデオンが「俺の目なんかより教育だ。」と顔を輝かせているのを見たときは、涙が止まりませんでした。 どんなに過酷な状況に陥っていても、そこに希望があることが大事なのだと教えられました。 命がけで英語を学ぼうとする人々の姿に、教育の大切さを知ると同時に教育を当たり前のように受けられる現代の私達がいかに恵まれた環境にいるかを実感しました。 ドクが言った「人生で最も大切なのは健康と教育だ」と言ったことば、僕もこれからの人生で胸に刻んでおこうと思いました。[DVD(字幕)] 10点(2013-06-06 02:29:03)(良:2票) 《改行有》 11. ドクター 《ネタバレ》 病気になったとき、けがをしたとき、今までと同じはずの風景が、まるで違う景色に見えてくることは確かにあります。ですがその感覚っていうのは、当事者にしかわからないもので、非常に言葉にしづらい抽象的なもののはずなんです。その感覚をこんなにリアルに感じ取ることができるなんて、すごいことだと思います。 検査や診察の結果を妻に言い出せないでいるジャック(ウィリアム・ハート)。車椅子に乗ることを拒否するジャック。不安、プライド、孤独、焦燥感。ジャックの複雑な感情の起伏が、時にはジャックの目線で、時には妻や患者仲間のジューンや同僚の目線を通して画面から絶えず発信されてくるのです。 この映画では、1シーン、1シーンが、どれも重要なメッセージを伝えてきます。ものすごく丁寧で、ものすごくリアルで、ものすごくアツくて、それでいてものすごく静かなドラマです。心揺さぶられる物語です。 そして、ラストの屋上のシーン。 ジューンから届いた一通の手紙。 それをわざわざ屋上へ行って読むジャック。 そしてその手紙の内容が・・・。 うわー。やられたー。 この手紙・・・一生忘れることのない手紙になりそうです。 今まで見たことがある中でも、ベスト3に入るラストでした。 [DVD(字幕)] 10点(2013-05-09 04:27:29)《改行有》 12. ワイルド・チェンジ 《ネタバレ》 思っていた以上に充実した内容で感動しました。 実話ベースというのがまた良いです。 上に立つ者の資質として一番大切なことは「ぶれない」こと。それは責任を負う覚悟の現われだと思います。 モーガン・フリーマン演じる校長ジョー・クラークは、暴言、失言、確かにありますが、生徒や先生に対する姿勢が終始一貫しています。彼の優先順位はいつもはっきりしています。だからこそ、ジョーの気持ちはいつの間にか先生達と、そして生徒たちと一つになっていたのでしょう。 ジョーは日本では考えられない、不良少年たちの退学処分にはじまり、つぎつぎと改革を実行に移していきます。そのパワー。その信念。観ていて心にズドンときました。 先生達の新しい授業シーン、終盤のLEAN ON MEを合唱するシーン、そしてクライマックス、たたみかけるように心を震わされます。 マイナーな映画みたいですので、僕も存在を知らなかったのですが、観る価値ありの隠れた名作です。必見です! [DVD(字幕)] 10点(2013-04-09 00:47:30)《改行有》 13. デッドゾーン 《ネタバレ》 クローネンバーグ監督は、「ヴィデオドローム」で多少敬遠気味だったのですが、この作品は監督独特の世界観が抑えられていてとても見やすかった。 よく見るとスティーブン・キング原作。キング原作の映画は低評価のものが多いのですが、個人的にはキング原作の映画はどれも好きで、はずれがほとんどありません。この映画が面白いのも納得です。 事故と昏睡が原因で手に入れた超能力、ですがその能力をまったく歓迎していないジョニー。全編通して、彼はサラを失ってしまった悲しみを全身から漂わせていて、超能力設定が霞んでしまいそうなほど。ですが、ひとつひとつのエピソードを通して、少しずつ授かった能力を受け入れ始め、前向きにその才能を活かし始めるその心の変化の機微がなんとも見事。 そして死ぬ間際のデッドゾーンの使い方は素晴らしい。最後はこれ以上ないくらい深い感動と悲しみを残してくれました。 [DVD(字幕)] 10点(2013-03-04 00:21:57)(良:1票) 《改行有》 14. グラディエーター 満点。満点。満点。 誰が何と言おうと、満点。 僕の中では満点以外ありえない映画。 「ラッセル・クロウ」 映画ど素人の僕が、名前を覚えた数少ない映画俳優の一人。 この数年後に、「ビューティフル・マインド」を見て、ラッセル・クロウを神だと思いました。 当時友人・知人に薦めまくって、うざがられた思い出深い映画。 ですが、観終わったあと、みんなから「○○が薦める映画にしては、マジ面白かった。」と言われました。若干ひっかかる言い方でははありましたが、かなり嬉しかった。 どちらかというと、男友達のほうが評判が良かったです。 女友達からは「男の子映画だね。」と、なぜか上から目線で言われました。[DVD(字幕)] 10点(2012-05-16 16:03:27)(笑:1票) 《改行有》 15. レナードの朝 《ネタバレ》 点数をつけること自体に気がひけてしまうくらいすばらしい映画です。 マルコム・セイヤー医師は、医師ではなく研究者であったから、序盤は常に優先順位が「真実を知ること」でした。そのセイヤー医師がこの病院に、勘違いから赴任してしまったことが、最初の奇跡だったように思います。 赴任後、セイヤー医師は、看護師や患者さんたちと一緒に病気に向き合っていくことで、次第に医師としての側面を持つようになっていきます。 序盤、どうしてもセイヤー医師の笑顔が、「新しい真実を発見した喜び」に見えてしまいました。ですが彼は、少しずつ心境の変化を見せていきます。 セイヤー医師は、日常の小さな気付きから仮説をたて、実証することを繰り返します。 これが、言葉を発することができない患者さんたちの心と、少しずつ触れ合っていくきっかけとなったように思います。 また、後半では、レナードが自分を実験台にするように申し出ます。 実際に痙攣が始まります。レナードは、セイヤー医師に自分を撮るように促します。 ところが、セイヤー医師はためらってしまいます。 ああ、この人はもう医師であり、レナードの友人なんだと思いました。 レナードをふくむ病気の方たちが目覚めた期間はわずかなものだったかもしれません。 だとしても、その期間、間違いなくこの方たちは自分の人生を享受していました。そして自分にとって大切な人達との再会を果たすことができたのです。 それは彼らだけではなく、彼らを支え続けた人々にとっても同じことが言えると思います。むしろ、長い年月寂しい思いをしてきたのは、周りで支え続ける家族や医師たちのほうだったかもしれません。患者さんたちは、ずっと自分たちを支え続けてくれた人達のために、ほんのひとときだけ目覚めてくれたようにさえ感じます。 別れは再びやってきます。ラストは、彼らに取り残されたような気分になりましたが、それは彼らが目覚めていたとき、一緒に彼らの人生を楽しむことができたからだと思いました。 100冊の自己啓発本を読むより、この映画を1本見るほうが、自分の中で何かが目覚めた気がします。 [DVD(字幕)] 10点(2012-05-14 11:29:59)《改行有》 16. 赤毛のアン/完全版〈TVM〉 《ネタバレ》 赤毛のアンは今まで触れたことがありませんでした。ここのレビューを拝見しなければ、おそらく一生見ることはなかったでしょう。 今まで3時間超えの映画を観ていて中だるみしなかったのは、本作が初めてです。 はじめ、あんなにうっとうしかったアンが、次第にその才能を開花させ、周りの人たちから少しずつ認められ、頼る立場から頼られる立場へと移行していく。その様子がとても自然で、ストーリーがなめらかに進んでいきます。 これは、教職を目指している方にはぜひ一度ご覧になってほしい映画です。 教育上とても良い映画です。お子さんのいらっしゃる方は、一緒に鑑賞されることをオススメしたいです。[DVD(字幕)] 10点(2012-02-22 00:14:58)(良:1票) 《改行有》 17. マスク(1984) 《ネタバレ》 名作です。映画を見て泣いたのは久しぶりです。お涙頂戴の映画ではないからこそ、リアルな生き様と現実に強い感動を覚えます。 映画の出来が良すぎて、ラストまでロッキーが病人であることさえ忘れてしまいます。深い家族の絆と友情に、全編通して感動しきりです。 冷蔵庫に服がかけてあったり、みんなでロッキーの卒業式に参加したり、そこでのロッキーの校長先生への一言「みんなぼくの家族です。」にまた感動。 ロッキーは重い病気を抱えていますが、どちらかと言うと周囲の人間を支え、励まし、希望を与えるような力強い存在です。友人には勉強を教え、母にはドラッグをやめてもらおうと一生懸命です。目の見えないダイアナには色のイメージや「ふわふわ」のイメージを触覚を通して伝えます。ロッキーに出会えたことで、ダイアナの世界は大きく広がったと思います。 確かにロッキーは聖人君主ではありませんから、時に利己的になり母や親友を傷つけてしまうこともあります。ですが、そこがまた良かったと思います。 感動しすぎて、何を書いたら良いがよくわからなくなりましたが、一人でも多くの人にみてもらいたい映画です。[DVD(字幕)] 10点(2011-11-30 12:44:14)(良:1票) 《改行有》 18. クイズ・ショウ 《ネタバレ》 後味が悪い。ですがそれ以上に、空恐ろしさを感じ、震えました。 最初から薄々気付くような現代のやらせ番組とは違い、このクイズ番組はスポーツに近いと思います。選手が真剣に戦い、競技をし、そこに生まれるドラマや偉業に人々は感動し、熱狂します。しかしそれが八百長だとわかれば大変な事態を招きます。だからこそ国中を巻き込む大事件に発展したのでしょう。 また、この映画の恐ろしいところは、良識のある一個人が、いつの間にか金とメディアの力に踊らされ、本人が気付かないうちに大きなリスクを背負わされていることです。本当に取り返しがつかない、人生がひっくり返るほどのリスクです。それに本人が気付いたときには手遅れになっていることが怖いのです。 はじめに、「今出した問題と同じ問題を出すよ。」と言われたとき、怯えたように「気がひけるよ。」と言ったヴァン・ドーレンの表情が忘れられません。 本当に本番の最後の問題で、同じ問題が出ます。ヴァンドーレンは悩みます。悩んだ挙句、正解を答えてしまいます。ここが彼の人生の分岐点だったと思います。「はめられた。」「自分は最初からこの問題は答えることができたから悪いことはしていない。」 最も罪の意識の軽いところから始める。ところがここから徐々に歯止めが利かなくなってくる。まるで麻薬と同じです。 そして、この映画で最も恐ろしいところは、あれほどグッドウィンがテレビやスポンサーを裁くために動いていたのに、最終的に裁かれたのは祭り上げられた個人のみであることです。それはハービー・ステンペルであり、チャールズ・ヴァン・ドーレンであり、ダン・エンライトです。特にハービーとチャールズにいたっては、ほとんど犠牲者にも関わらず、社会から粛清されるという恐ろしい結果になります。 冒頭で、スポンサーの社長が「ステンペルは鼻につくから別のやつに変えろ」と軽く言っていたあのシーンがすべてを物語っています。最も公正・善良とは程遠く、個人の尊厳をひたすら軽く扱っているスポンサーが、全くノーリスクであり、本当に何の制裁も受けません。この権力の強さと、その社会の理不尽さ。そして大衆。強いメッセージが隠れている、そんな映画だと思います。[DVD(吹替)] 10点(2011-10-04 03:55:56)(良:3票) 《改行有》 19. チャイナ・シンドローム 《ネタバレ》 ずっと記憶に残る映画です。3.11があったからというだけではなく、映画としてこれほど完成度の高い社会派サスペンスは見たことがありません。 最初の原発事故。テレビ局にかかる圧力。隠蔽。しかしリチャード、キンバリーはそれぞれ単独行動をはじめ、真相を調べ始めます。 正直これだけでも面白いのに、ゴデルも単独行動を始め、真実を追究し始めます。そしてある真相にたどり着き、今度は大手の建設会社がからんできます。しかもゴデルに対する脅迫、口封じのための刺客。とうとう犠牲者まで。 さらには原発の無理な稼動を見たゴデルが旧友でもある仕事仲間から反抗され、ついに・・・もう最後まで全く目が離せません。見所が多すぎです。 この映画の醍醐味は、キンバリーはジャーナリストとして、リチャードは真実を放映するカメラマンとして、ゴデルは原発の現場責任者として、それぞれの正義を貫こうとするその姿勢にあります。最初は3人がばらばらに行動しますが、最後は3人がそれぞれの立場で力を合わせるところに鳥肌がたちます。 うまく言葉に表せませんが、とにかくすごい映画であることだけは間違いありません。 見てよかったです。[DVD(字幕)] 10点(2011-10-03 02:54:36)《改行有》 20. 小説家を見つけたら 《ネタバレ》 ときどき、このような美しい映画に出会えると、映画を見ていて良かったと思えます。表向きは、スポーツの才能と文才に恵まれた貧しい少年の成長と成功の軌跡を描いたサクセスストーリーに見えます。ですが、映画を鑑賞していて、メインのテーマが別にあるような気がしました。 「生きている時代、生まれた場所や環境や経済事情が違っても、人として大切なものを持っていれば、そこには必ず温かい友情が生まれる。」 ジャーマル(ロブ・ブラウン)は、生まれた街の友人たち、小説家フォレスター(ショーンコネリー)、私立高校の生徒クレア・スペンス(アンナ・パキン)やコールリッジと、友情を築いていきます。もちろんきっかけは、彼のバスケの才能や、高い学力や優秀な成績、そして文才だったかもしれません。ですが、彼らみんなとの絆は、彼の誠実な人柄が作りあげた気がします。だから彼のバスケの才能だけを疎んじていたチームメイトや、彼の文才しか見ていなかったクローフォード教授は、彼と最後まで分かりあえることはなかったのではないでしょうか。そういった、人と人とのつながりに何が必要かを教えてくれている気がするのですが、それが押し付けがましくなく、心地よい感じで胸に響きました。[DVD(字幕)] 10点(2011-07-17 04:45:25)《改行有》
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