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プロフィール |
コメント数 |
1047 |
性別 |
男性 |
年齢 |
30歳 |
自己紹介 |
とにかくアクションものが一番
感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます
備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません 10点…大傑作・特に好き 9点…好き・傑作 8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く |
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1. 黄色い星の子供たち
《ネタバレ》 フランス人は、フランス革命の頃から同じ国の人間同士で差別し、告発し、殺し合ってきた歴史を持つ。
ある者は恐怖に屈してしまい、ある者は恐怖に抗うために戦うことを選んだ。
かつて赤狩りでアメリカを追われたジョゼフ・ロージーという男がいた。
彼はフランスでヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(ヴェル・ディヴ事件)について「パリの灯は遠く」で描いた。そこには理不尽な暴力に対する抵抗と国を追われた者の共鳴があったのだろう。
そしてこの「一斉検挙(黄色い星の子供たち)」は、フランス人の女性ローズたちによる一つの告白なのだ。
「星」によって差別される日常から映画は始まる。
追い詰める側はあくまで仕事として、作業を繰り返すように政策を進める。まるで感情のない機械のように。ユダヤ人にしてみれば、彼らは自分たちを引き裂き暴力で屈服させようとした恐ろしいマシーンも同然。服をはぎとり、容赦なく殴り蹴ってくる。
彼らも人質を取られていたのだろう。だがそんなものは言い訳だ。だからこの映画にも追い詰めた側の葛藤はあまり描かれない。
「家族を人質にとられててね(棒読み)」
そうかそうか、テメえの面に一発ブチこまれて欲しかったぜ俺はよ。
ヒトラーも家族と団欒しながら何万の人間の四肢をもぎ首を引きちぎる政策を進めていく。
対して、追い詰められる側は感情豊かだ。
歌い、踊り、走り、語り合い、愛し合って。あの小さな子が走る度に軍人や警官に銃殺されるのではないかと何故かハラハラしてしまった。あの子は妖精のように場を和ませ、「この子だけは死んでほしくない」という活力を人々に与えていた。
ユダヤ人狩りは加速していく。公園や職場からの追放、警官隊の不気味さ、銃殺覚悟で生き延びろと叫び続けた御婦人、競輪場に家畜のように押し込められる理不尽さ、医者の無力さ、糞溜めの中に託される希望、消防士たちの勇気、貴重な配給食糧をブチまけてまで脱出者たちを送り出す子供たちの覚悟、走りゆく列車から力なく垂れる手、手、手・・・。
ローズさん、貴方は優しいね。生き残った人々の顛末は多少描いたが、死の描写は少なかった。
彼らを追い詰めた(自殺?何言ってやがる、追い詰めたんだろうが)人々のその後までは描かれなかった。
それ以上追及しなかったのは、あくまで生き延びた人々の体験に沿った映画だからなのだろう。
二度と会えないと思っていた人との再会・失神するほどの歓喜が肉体を突き抜けるほど、死んでしまった人々の分まで何がなんでも生きてやるという瞬間に勝るものは無かったのだと思う。[DVD(字幕)] 8点(2015-12-23 22:11:37)《改行有》
2. 吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)
《ネタバレ》 ムルナウというと「サンライズ」や「ファウスト」「最後の人」といった素晴らしい傑作を残してくれた監督で、この「吸血鬼ノスフェラトゥ」もまた退屈というものを感じさせてくれなかった。・・・しかし正直感想は微妙だ。
久しぶりに「今見ると大したことないな」という映画だった。
自分でもビックリだ。
これまで豊作続きだっただけに、尚且つ上で述べた作品で感動しただけムルナウだけに今作はちょっとガッカリと言えた。
ブラム・ストーカーの原作を下敷きに、ヘンリック・ガレーンといったドイツ映画家たちのアレンジを組み込んだホラー映画。
名前のアレンジはモチロン、ねずみ男のような不気味な風貌(実際ねずみだらけ)、原作とは違った結末など普通の吸血鬼映画ではない。
むしろブラム・ストーカーの世界観をまともに映画化したのがトッド・ブラウニングの「ドラキュラ」辺りからだったし、それまではカール・テドア・ドライヤーの「吸血鬼」みたいにまったく別物の吸血鬼映画が量産された。
屋敷までのやり取りが40分もあるのは展開の遅さを感じた。丁寧すぎる印象を受けた。
つうか馬車のスピード早すぎバロス。
原作にある程度沿ったストーリー、ただ少し違うのがヒロインだ。
原作は伯爵がヒロインを誘惑する。
ただ今作は「かかって来い」と言わんばかりに伯爵を呼び込む。
食虫植物の授業をする教授も真っ青なくらい。
つうか教授がマジで使えねえ。杭を伯爵にねじ込むとかそんな能動的な事はまったくと言って良いほどしない。
「血は生命なり!血は生命なり!」と叫ぶ伯爵の部下はいつも通り。ハゲ具合も教授と双璧だ。
いやー次から次へとブラム・ストーカーのファンが発狂するようなシーンばっかりだね。伯爵のハゲ具合とか。
自分の棺桶を一生懸命に運ぶ伯爵が面白い。
墓場が並ぶ海岸とか、崩れそうな古屋、影、吸血鬼=ペストとなって押し寄せるという演出も不気味だ。
ラストはぶったまげた。
何せヒロインが「身をもって」伯爵を誘い込む。
己の肉体と引き換えに伯爵を消し去る・・・こういう「ドラキュラ」もアリだと思った。
コッポラの「ドラキュラ」なんかヒロインみずからドラキュラ殺りに行くんだぜ?
凄すぎてドン引きしたよ(監督を)。[DVD(字幕)] 8点(2014-12-04 23:17:38)《改行有》
3. キンスキー、我が最愛の敵
《ネタバレ》 ヴェルナー・ヘルツォーク入門&ヘルツォークをもっと好きになる傑作。
「殺したいほど愛している」なんて話はざらに聞くが、まさかそんな話を映画にしてしまう人がいるのだから困ったものだ。
監督と役者は主従である前に対等な存在だ。
「俺が監督してやっいてんだ!!」ま
「俺様が演じてやっているんだ!!!」という対立は苛烈になればなるほど現場を凍りつかせ、引き締める。そのピリピリしたものが、そのまま映画の緊張感に+されるのだ。
ヘルツォークの出世作ともなった「アギーレ/神の怒り」では、狂信的な英雄像をキンスキーが演じた。
二人の憎悪と愛情の表裏一体の関係の中は、数々の傑作を立て続けに生んでいく。
あの野郎を殺してやりたい、あの野郎を俺のものにしたい・・・!役者の狂気に、監督の狂気が応えていく。
ドイツが産んだ二人の野獣をもっと好きになる映画だ。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 15:16:03)《改行有》
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