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【製作国 : ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. ストレンジャー(1996) 今ではちょっと下火なのかな、20世紀末からしばらくサイコホラーってのが流行って、でも考えてみれば映画ってものがそもそも精神分析と同じころに誕生した兄弟だったわけで、『カリガリ博士』の時代にすでに心理学ブームはあり、このころは二度目の流行りと言えようか。表面だけを記録していくフィルムの機能が、かえって幻想を描くと生きてくる。これなんか一つのアイデアだけが命のホラーで、弦楽器のネットリした音楽が雰囲気をつないで、とりあえず一本の時間を退屈させずに見せてくれている。もっとじらしてほしいところもアッサリしてたりして、演出にコクがないけど、基本的にサイコホラーってのは凡作でも何か映画のポイントをつかんでるみたいなんだ。フィルムにおける内面の不可視ってことと関係があるんだろう。原題は「知らない人と口きいてはいけません」って。[映画館(字幕)] 6点(2009-08-03 11:56:41) 2. スターリングラード(2001) うまいところに目を付けた。ヒトラーとスターリンという悪役同士の戦場なら、おのずと兵士個人の物語へと感情移入がしやすい。都市に冠した独裁者の名を守るためにのみ、無名の若者が次々と投入されていく戦場。一方は野育ち、一方はインテリ、おそらく戦争でもなけりゃ永遠に出会わなかっただろう二人が争う。けっきょく絨毯爆撃や原爆といった巨大な暴力による大量虐殺によって終わる世界戦争の中にあって、一人一人を狙撃し仕留めていく二人が、古い剣豪物語の主人公のように見え、彼らだって殺人者なのに、その外側のより無機的な殺人システムを告発しているように見えてくる。とりわけソ連のまったく消費材としてしか兵士を見ない体質、たぶんあの戦争の時ここまで自国の兵士の命をないがしろに扱ったのは、日本とソ連がダントツだったと思うのだが、その共通点が何に由来するのか、昔から気になっているが分からない。[映画館(字幕)] 7点(2008-08-14 10:03:22) 3. SWEET SIXTEEN 印象深いのは、友人の“ピンボール”。人懐っこそうでいて、破壊的。彼にはリアムしかいないんだ。リアムには姉と母がいるけど。さらにやくざの“ファミリー”には、リアムだけが迎え入れられていく。ピンボールはあらゆるファミリーから除かれる。彼には“部屋”しかない。けっきょく彼がどうなったのか、どうともとれるようになっているんだけど、気になる。リアムもやがてピンボールのように“ファミリー”から排除されて海辺に立った。でも彼には姉からの電話がある。スコットランドなまりって、普通の英語と全然別ものに聞こえるんだけど。[映画館(字幕)] 7点(2008-06-07 12:16:49) 4. スパイ・ゾルゲ スパイの話なら「忠誠とはなんぞや」というテーマが出てくるかと思っていたが、そういう突っ込みはなく、描きたかったのは彼らの情熱か。ゾルゲらだけでなく、226の兵士たちの情熱にも焦点が当てられていた。時代を動かさずにはいられない情熱の沸騰へのおののきと共感。でもたとえば近衛文麿の「情熱のなさ」も歴史に関与したわけで、歴史と情熱の関係はそう単純なものではないだろう。映画の一番の売りだったCGによる過去の上海や東京の再現は、街にくすみがなくノッペリしていて、なんか修正済みの昔の絵葉書の中に入りこんだよう。それを狙ったんじゃないだろうけど、面白い味が出ていた。[映画館(邦画)] 6点(2008-05-15 12:24:51)
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