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【製作国 : ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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81.  シリアの花嫁 《ネタバレ》 遠く極東に暮らすものにとっては、イスラエル占領地域からは出てシリアには入っていけない花嫁の歩むラストを、寓意ととっていいのかリアリズムととっていいのか、そこらへんからして曖昧で、ただ、占領地の住人は「無国籍」ってことになるのか、ってことは分かった。ニュースではパレスチナとの摩擦はよく出るが、北でもこすれてるんだよな、この国は。映画そのものより、この作品がどういう環境で製作されたのか、イスラエル内でどういう反応を得たのか、ってほうに興味がいった。なんか最近この国の映画はちょっと元気がいいようなのだ。軍のガザ侵攻に90%の国民が賛同している、なんてニュースを聞くと溜め息が出ていたものだが、一方でこういう映画も作られている。「我々」を歌うのではなく、「我々」によって疎外されているものに目を向け出している。かつてラビン首相を暗殺したような極右によって、「売国映画」と騒がれたりスクリーンを切られたりはしなかったのか。こういうフィルムが存在していること自体が、希望である。あの「修正液」に、まず正すべきはイスラエルの占領政策だ、とまで読み込んでいいのか。あちらの花婿をコメディアンに設定したのは、テレビでしか会えないということ以上の意味はあるのか。といろいろ湧き起こる疑問に遠い地の観客は戸惑いっぱなしだが、そういう疑点を得たことが私にとっては収穫である。[DVD(字幕)] 6点(2010-01-30 11:56:51)

82.  デッドマン(1995) 言ってみれば“もがり”の期間ということか。死の開始から完成までの。冒頭の機関車・主人公・風景のセットが、ラストのカヌーのシーンでも繰り返される。主人公はひたすら運ばれて、フダラク渡海にまで至るわけだ。3人組ってのが好きね、この監督。アメリカはしばらく「自然に優しく」とか、インディアンの生き方を真似ようというのが流行ってたが、とうとう死に方まで教わろうという段階になったようだ。この監督はやはり中・短編系の作家であって、オムニバスでなく2時間を越えると長すぎる印象。そもそも死生観を語ったりするのは似合わない。ちょっと出て殺されるのがガブリエル・バーンなどという贅沢はある。[映画館(字幕)] 6点(2009-11-03 11:55:08)

83.  サブリナ 《ネタバレ》 オリジナルでは、ハンフリー・ボガートが小娘のオードリー・ヘップバーンに恋をしてしまうって意外性がおかしかったんだけど、ハリソン・フォードでは、まあそういうこともあるだろうな、って感じ。ワイルダー作品としては中級かと思っていたが、リメイク見て思い返すと、やはりちゃんとした映画だった。周囲の人たちがサブリナを見る目が優しく嫌がらせがない、こういい人たちだけでもドラマは出来るってこと。こういう優しさの処理、今では出来まい。美人になって帰ってきたサブリナを弟は気づかないが、兄ハリソン・フォードはあっさり「やあサブリナ」と言うところで、兄弟のサブリナ観の違いをサラッと見せる手際。芝居の切符の手配を頼まれた秘書が「ミュージカルって、役者が不意に歌ったり踊ったりする芝居ですよ」と解説するところは笑った。恋をすると男も女も眼鏡をはずすのだ。[映画館(字幕)] 6点(2009-09-24 12:02:27)

84.  カットスロート・アイランド 海賊映画というジャンルにそもそも懐かしさがあり、そういうナツメロ的に味わえば楽しく見られる。ロープがよく出てくる映画になるのだ。見せ場はちゃんと次々にあるんだけど、なんかキレがもひとつ感じられないのは、不必要なスローモーションがブレーキになってるんじゃないか。ペキンパーのスローモーションは「思わず息を詰めて」ってところで使われた。でもその後、アクションのごまかし、つまり本当のスピードで映したらゆっくりしてるのを隠すためにスローにしてる、って使い方になってきて、とくにこの作品でそれをしばしば感じた。馬車のシーンなどよくやってるんだが、ロングでスピード感が減じ、一番の見せどころの、下を馬車、上を駆け抜けるいうとこ、上のバタバタが若干多すぎて、きびきび感が失われていた。こういうリズムは本当に難しいものだなあと思う。島もあんまり生きなかったし、かといって船のアクションてのも新味を出しづらい。ジーナ・デイヴィスの色気のない明るさってのは貴重だった。[映画館(字幕)] 6点(2009-09-20 12:07:24)(良:1票)

85.  ストレンジャー(1996) 今ではちょっと下火なのかな、20世紀末からしばらくサイコホラーってのが流行って、でも考えてみれば映画ってものがそもそも精神分析と同じころに誕生した兄弟だったわけで、『カリガリ博士』の時代にすでに心理学ブームはあり、このころは二度目の流行りと言えようか。表面だけを記録していくフィルムの機能が、かえって幻想を描くと生きてくる。これなんか一つのアイデアだけが命のホラーで、弦楽器のネットリした音楽が雰囲気をつないで、とりあえず一本の時間を退屈させずに見せてくれている。もっとじらしてほしいところもアッサリしてたりして、演出にコクがないけど、基本的にサイコホラーってのは凡作でも何か映画のポイントをつかんでるみたいなんだ。フィルムにおける内面の不可視ってことと関係があるんだろう。原題は「知らない人と口きいてはいけません」って。[映画館(字幕)] 6点(2009-08-03 11:56:41)

86.  わが教え子、ヒトラー 《ネタバレ》 これ元は戯曲かなんかなのか。舞台的ってことだけでなく、ワンアイデアで押していく趣向ってのが、なんか戯曲っぽい。セットでヒトラーをだまそうとする、なんてのは面白いんだけど(「廃墟ではない、今もベルリンはうるわしい!」)、でも趣向どまりで、せっかくの設定を膨らませきれてない。独裁者から威厳をはずして見せても、いまさら、という気分。ナチの怖さはヒトラーの人格の問題というよりシステムにあったわけで、たとえば日本のオウム事件でいかに麻原が俗物だったかを証明したって、事件の解明には程遠いのと同じことだ。ラストの演説もチャップリンの二番煎じという印象は否めず、しかもあちらはヒトラーが現役バリバリなときにやってる勇気と比べると、どうしたって物足りない。ただ主人公の役者さんは『善き人のためのソナタ』のときもそうだったが、とにかく絶望を一度通過した希望が見える見事な表情を作れる人で、物語よりも彼の顔のほうが見どころだった。[DVD(字幕)] 6点(2009-07-24 09:12:06)

87.  新しき土 《ネタバレ》 桜のタヲヤメぶりと、活火山のマスラヲぶりを順に見せて、これぞ日本。そういうアイテムの一つとして「侍の娘」ってのもあるわけだ。日本とヨーロッパの分かりやすい混淆。ジャズが流れる酒場に、新内流しのような女を立たせて三味線を響かせる。洋酒と日本酒。この分かりやすさがちょっと気持ち悪いけど、一番気持ち悪いのが話の本筋。小杉勇はヨーロッパの自由主義を捨て、妹のような娘と結婚し、満洲の開拓民になる、という展開に、作者が意図してなくても、時代のグロテスクがハッキリと記録されていたのではないか。国粋ということを煮詰めていけば、外部への絶対的な拒否になり、それはついには近親相姦的な歪みを抱えることになる。妹のような娘と結婚するのは、国粋の必然なのだ。もっとも山岳映画人の興味をひいたのは、同盟国としてよりも火山国としての日本だった。地震のある国。心理的背景はどうであれ、原節子と小杉勇の山のシーンは充実しており、「侍の娘の矜持」なんていう取ってつけたような解釈を越えた力が、画面にみなぎっていたように思う。[映画館(邦画)] 6点(2009-07-05 12:02:32)

88.  ウォンテッド(2008) 《ネタバレ》 イスラム過激派のリクルートを思った。そこらへんを意識してたんじゃないかな。惨めな日常にうんざりしている若者に、君は選ばれた者だという暗示を与え、厳しい訓練を課し、絶対者が悪と認定したのだからと迷わず見ず知らずの人物を暗殺できるまでに、組織に信頼を寄せさせる。この先にあるのは自爆テロリストへの道だろう。でもアメリカ映画のいいところは、組織に歯向かう個人のドラマになるとこで、途中の訓練の描写などの陰惨さ・ドギツさには不健全だなあと閉口させられたが、話の大枠はいたって健全であった。そしてなにより馬鹿馬鹿しさが救っている。最初のビルを飛び越える男が、廊下の奥のエレベーターから助走をつけるあたりで、すでに作品のトーンが決まり、以下馬鹿馬鹿しさが輝いているシーンのベスト3を順に挙げれば、まずアンジェリーナ・ジョリーが車で仰向けになって撃ちまくるとこ。次に、彼女の車が特急に追いつくとこ。特急の車掌も、あそこでは急停車させず、わざわざ崖の上の陸橋に来てブレーキをかけるという、事態を悪化させるのに協力的な態度をとるところが嬉しい。そして最後の二丁拳銃での殴り込み、ほとんど新体操の運動を見ているよう。そもそも気合いを入れれば曲がる弾道ってのが、根性ものの野球マンガに出てくる魔球みたいで、馬鹿馬鹿しくも懐かしかった。みなさんは絶対まねをしないでください、とテロップでも入れたいところ。[DVD(吹替)] 6点(2009-06-23 12:06:14)

89.  ピノキオ(1996) ディズニー版もそうだったけど、ピノキオって原作は悪童物語の傑作なのに、映画化されるとかわいくなってしまうんだな。悪の誘惑に乗ってくる悪ガキに見えない。それだけのせいではないだろうが、ラストで人間になると幻滅感が場内に漂った。いや、これは大事な問題なのかも知れない。アニメ的なものと実写とで、見ているこちら側の心の位置が微妙に違っているのではないだろうか。実写は記録として客観的に見ているのに、アニメになるとやや主観に寄っている、ということはないか。その主観が引き剥がされる感じが幻滅感になっているのでは。アニメと実写の合成された映画を見ているときに感じる、どうも落ち着かない感じ、案外あんなところに映画の秘密が隠されているような気がする。子どもがロバに変身するとこなんか、ディズニー版のほうがはるかに怖かった。全編アニメだと、SFXが浮いてしまうという心配がないわけだ。こちらでは、ピノキオが一時間待って時計塔の前に立っていると犬が小便ひっかけにやってくる、ってとこにのみ映画を感じた。ラストのクジラも弱かったなあ。[映画館(字幕)] 6点(2009-05-16 12:07:49)

90.  モンゴル ひとつ興味があったのは、遊牧民族の伝説ってのは、農耕民族の伝説となんか根本的に異質なものがあるのではないか、というところだったが、さして違わなかった。親の仇を討ち、さらわれた妻を奪い返す。もっともこの映画がどの程度、モンゴル現地の伝説に由来しているのかが分からず、途中で農耕民族にも分かり易いように変形させられたという可能性もある。現在世界に流布している文化の型は、圧倒的に定住の農耕系由来のものなので、非定住から生まれるまったく異質のものも見てみたかった。ちょっと違うかなあ、ってとこは、盟友との関係がサラッとしているとこ、あるいは血のつながりに関してもサラッとしているとこ。ここらへんに湿度の低い文化圏をわずかに感じた。映画としては、省略や物語のジャンプに変わったところがあり、不思議なリズムの体験。浅野忠信の起用と血煙りの描写は、たぶん監督が北野の『座頭市』を観ているのだろう。騎馬兵が、両刀を水牛の角のように構えて走ってくるところがいい。それと、とにかく広いこと。[DVD(字幕)] 6点(2009-05-11 12:03:49)

91.  レンブラントの夜警 《ネタバレ》 何かを読み取りたくなる演劇的な絵画、それを演劇的な映画を撮る監督が題材にしたとなると興味を引くが、なんか相殺し合ってしまったという印象。ベッド・テーブル・棺などの水平線が強調される画面で、その無機質な構造を破るように、馬や牛や鶏やらが闖入してくる。しかしそれらもあくまでも舞台の上を賑やかにするという雰囲気で、映画そのものをスリリングにはしてくれてない。安定した舞台で、小さなまとまりのある陰謀劇を鑑賞した気分。「夜警」についてどんな研究がされているのか知らないが、あの絵の面白さは読み取りきれない物語をいくらでも紡ぎ出してくるところで、市民の裏面話(事故に見せかけた殺人、孤児院を装った売春宿と、演じることの二重性はあるけど)で閉じてしまうだけでは勿体ない気がした。ましてレンブラントが推理劇の主人公のように告発したりするのは興を削ぐ。俗な欲求から生まれた集団肖像画が、後世まで興味を引き続ける偉大な絵画となる、という芸術の不思議さに大きく展開していく前に、この推理ドラマは小さく閉じてしまったように見えた。[DVD(吹替)] 6点(2009-03-26 12:00:27)(良:1票)

92.  エアフォース・ワン 映画の中で人質の処刑があると陰惨な気持ちになる。悪漢を悪く悪く描けば、正義の側が輝いてラストで観客も溜飲が下がる、って単純なものではないのだ。あの人は気の毒だったなあ、とみんなが喜んでいるラストでも残ってしまう。ホント娯楽映画では悪漢の扱いが一番難しい。狂った愛国者という設定はいいんだけど、主人公と拮抗する魅力に乏しかった。俳優としてのゲイリー・オールドマンはいいんだけどね。設定はダイ・ハード型、ただ政治が絡むぶんネトつく。インターナショナルの合唱が全体主義復活の伴奏みたいに使われてたけど、ちょっと違うんじゃないか。グダニスクのストライキや天安門では、共産軍に対する抵抗の歌として歌われたという歴史も持っている。[映画館(字幕)] 6点(2009-03-08 11:57:07)(良:1票)

93.  ヒトラーの贋札 「今日の銃殺より明日のガス」ってセリフは記憶に残るな。たとえそれが利敵行為と分かっていても、とりあえず今日の銃殺を避けようとするもんなあ。まして職人気質をくすぐられれば、歴史に残る贋札を作りたいと思っちゃう、そこらへんの「分かっちゃいるけどやめられない」の心理がナマナマしかった。『戦場にかける橋』で、つい捕虜たちが立派な橋を作りたくなった心理と同じだ。長期的な視点を持てないのではない、分かっちゃいるけど、現在の切迫がそちらの目を塞ぐのだ。歴史はこうしてクネクネと、理想へ直線的には動かないようにできてるのだな。ナチが悪役笑いするのには閉口。ナチの怖さは人格の卑しさから来るのではない。いたって有能な人物たちが、合理的思考に基づいてガス室の発明にまで至ったところにその怖さがある。この映画でだって、ユダヤ人の職工を使えば後始末が簡単、と合理的に考えるところが一番怖かった。よくナチと日本軍は同一視されるけど、どっちかって言うと対極にある。ナチは合理主義のバケモノ、日本は精神主義のバケモノだった。あっちは無駄を病的なまでに排斥する狂気、こっちは無駄が出れば出るほど気合いが入ると思い込んでいる狂気。[DVD(字幕)] 6点(2009-01-17 12:09:46)(良:2票)

94.  サラエボの花 《ネタバレ》 大事なことを言っている映画で、固有名詞を変えては、敗者の歴史で繰り返される悲劇のやりきれなさが伝わってくるが、正直、もう少しザラザラとこっちを掻き立ててくるものに欠けているような気がした。最初のほうで、報奨金(?)と引き換えに開かれる被害を受けた女たちの会の場があり、そこで若い女が無遠慮に笑うシーン、あれは世代の違いを言ってるのか、それともお仕着せの会の無力を笑ってるのか、よく分からなかったなりに、ザラリとしたものを感じ、沁み入ってきた。ああいう場面がもっとほしかった。おそらく女の子の描き込みが弱いのが欠点だろう。事実を知ったあと、ラストに至るまでの間に大きな心のドラマがあったはずだが、父親似の髪をナニするという一点に絞ってしまったので、あまり深まらない。とは言え、母の友人やその仕事場の同僚たちの連帯感の描き方などホロッとさせ、もちろん見ないよりは見てよかったと思った映画だ。[DVD(字幕)] 6点(2008-09-14 12:05:59)(良:1票)

95.  王は踊る 踊る王様って日本で言えば足利義政みたいなもんか。政治母なり妻なりにまかせてほっぽらかし、趣味に没頭して、こちらは銀閣寺を残し、あちらはベルサイユ宮殿を残した。政治的に無能な権力者って後世の人にとっては有り難いものだ。映画は当時の風俗が興味深かった。王が出掛ける先まで楽団も出張してBGMを奏でるの。王様が女性となんかしているときも、テントの外で気分を盛り上げる演奏をする。音楽を伴奏にそういうことが出来るってのは、王様並みのことなんだな。もっと言葉(モリエール)と音楽(リュリ)の争いが中心テーマになるのかと思ってたが、そうでもなかった。王の踊る足を崇拝していたリュリが、自分の足を指揮棒で突いて潰してしまう皮肉。[映画館(字幕)] 6点(2008-07-27 12:11:25)

96.  クロッシング・ザ・ブリッジ~サウンド・オブ・イスタンブール~ 最初のほうのトルコのバンドの連中、東洋と西洋の融合とか立派なことを言ってるんだけど、やってる音楽はおおむね西欧音楽の和音やリズムにオリエント風味を付けたもので、モーツァルトのトルコ行進曲の異国情緒と五十歩百歩。ヒップポップやブレイクダンスと、いまや世界中どこでも同じ光景になってしまった。やたら唇が動くトルコ語のラップは聴き応えあり。でもだんだんロードムービー的に進むにつれて、音楽世界が深まってくる。それが純粋なトルコ音楽に向かうというより、トルコ音楽と他の音楽との接点に集中していく。ジプシー音楽、クルドの民謡、アラビア音楽としてのトルコ音楽たち。純粋な伝統ってあるのか、そもそも文化とは不純な融合によって発展したものじゃないか、ってことをこの後半で言ってるみたい。そう思うと前半のバンドたちの音楽も、その中途半端さの意義を認めてやりたくなる。[DVD(字幕)] 6点(2008-07-08 12:14:55)

97.  es[エス](2001) ゲーム的な気分にしだいに「マジ」が入り込んでくるあたりが見せ場になるはずなのに、主人公が積極的に挑発してしまうので興を削ぐ。特定の誰かが仕掛けることなく、集団そのものの力学で事態が悪化していくべき。屈辱を与えなければならないという発想や、連帯責任の発想といった、人間集団の病理に迫れるところを、後半は既視感のあるB級映画の世界に逃げてしまった。個人の資質と無関係に状況から残虐は生まれてくる、って大事な話なんだけど。閉所恐怖症気味の人間としては、あの箱に閉じ込められるシーンがないといいな、と念じつつ見てたが、やっぱりあった。[映画館(字幕)] 6点(2008-06-26 12:15:26)(良:1票)

98.  ギャング・オブ・ニューヨーク 前半はほとんど長谷川伸的股旅ものの世界。久方ぶりに国にけえると、親分が死になすったあと子分どもは敵方の下働きになってて、情けねえ、の世界。女スリの姐御ってのも日本の時代劇の常連だ。アメリカも日本も同じころに内戦を体験し、同じころに徴兵制開始で揺れていたわけで、けっこう心性でも似通ったものが生まれる下地は出来てたんだ。国家が固まる前のならず者の時代の、自由と荒々しさはよく出ていた。まだ家畜のいるニューヨーク、火消したちの争い、いいかげんな選挙…。でも大味で、この監督ピークは10年前に終わったなあ、の思いをあらためて確認した作品でもあった。[映画館(字幕)] 6点(2008-05-31 12:17:49)

99.  K-19 “革命の英雄”と“強制収容所で死亡”と二つある父親に関する伝説、どっちが正しいのですかと尋ねられ、両方だ、と答えるH・フォード。簡潔に時代を描いている。ただほんとに描くべき時代の像は、冷戦の狂気であったはず。放射線の怖さは出ていたが、全体がヒロイズムの物語で閉じてしまっていた。放射能の危険地帯に乗り込んでいく勇気は賞賛されるが、そういう苛酷な選択を迫られる状況を招いたものへの怒りにまでは結ばれていない。いくら生き残れたものが哀悼したって、いい気なものだ、って気持ちにもなってしまうのだ。[映画館(字幕)] 6点(2008-05-30 12:14:33)

100.  スパイ・ゾルゲ スパイの話なら「忠誠とはなんぞや」というテーマが出てくるかと思っていたが、そういう突っ込みはなく、描きたかったのは彼らの情熱か。ゾルゲらだけでなく、226の兵士たちの情熱にも焦点が当てられていた。時代を動かさずにはいられない情熱の沸騰へのおののきと共感。でもたとえば近衛文麿の「情熱のなさ」も歴史に関与したわけで、歴史と情熱の関係はそう単純なものではないだろう。映画の一番の売りだったCGによる過去の上海や東京の再現は、街にくすみがなくノッペリしていて、なんか修正済みの昔の絵葉書の中に入りこんだよう。それを狙ったんじゃないだろうけど、面白い味が出ていた。[映画館(邦画)] 6点(2008-05-15 12:24:51)

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